2013年3月30日土曜日

最悪の老化物質「AGE」⑩


脳のエネルギーはブドウ糖だけではない!

 脳はどの臓器よりも多くのエネルギーを消費するにもかかわらず、そのエネルギー源となるのは
ブドウ糖だけで、たんぱく質や脂肪では補えません。しかも、脳に蓄積できるブドウ糖はほんのわずかですから、頭脳作業で頭が疲れてボーっとしているときに「脳の栄養素は糖分!」と信じて、朝から缶コーヒーや炭水化物などを意識して補給をしている人がいます。
 「ブドウ糖は脳のエネルギー」と思い込んでいる人が、非常に多いようです。確かにブドウ糖が脳のエネルギーであることには間違いありませんが、「ブドウ糖が唯一のエネルギー」というのは問違いです
 確かに、細胞の中のミトコンドリアでエネルギーを生み出すTCA回路はブドウ糖も燃料としています。しかし、体内のブドウ糖が不足すると、肝臓で中性脂肪を分解した「脂肪酸」や、その脂肪酸から作られる「ケトン体」という物質も脳のエネルギーとして使われます
 脳に血液を送る血管には、ウイルスや細菌が侵入するのを防ぐ「血液脳関門」という関所があります。脂肪酸は、脳以外の部位ではブドウ糖やケトン体と同じようにエネルギーとして使われますが、分子量が大き過ぎて「血液脳関門」は通ることはできません。このことが「脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけ」という誤解を生みました。しかし、ケトン体は分子量が小さいので「血液脳関門」を通ることができ、ブドウ糖と同じく脳の栄養素として使われます。ケトン体は、脳だけではなく、筋肉や心筋、骨格筋では日常的に使われています。
 糖質の摂取を控えると、血液中のケトン体の濃度は数倍以上になり、脳はエネルギー必要量のほとんどをケトン体でまかなうことができるのです。使い切れないケトン体は、尿や呼気になって体外に排泄されるので蓄積することはありません。糖質を制限すると、身体はケトン体をうまく使えるようになり、脳は、ブドウ糖に加えてケトン体というエネルギー源を使うことになり、頭の働きも良くなることに期待が持てるのです。


最悪物質AGE⑩

■AGEが関与する様々な影響

たんぱく質は、三大栄養素のひとつであり、生きていくうえで特に重要な栄養素です。体重の約1/5をしめ、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であるとともに、酵素などの生命の維持に欠かせない多くの成分になります。
 体の水分を除くほとんどがたんぱく質でできているので、糖化を完全に防ぐことはできません。高血糖が続くと、余分な糖が体内で糖化反応を引き起こし、AGEを大量に生成して老化や病気の発症を加速させます。


糖尿病合併症は、AGEによって全身の毛細血管が障害されることが大きな原因です。なかでも「三大合併症」と呼ばれるのは、「腎臓」「目」「神経」です。腎臓の場合は、ろ過膜の毛細血管がAGEに障害されることにより、ろ過機能が低下し、「糖尿病性腎症」が起こります。目の合併症は「糖尿病網膜症」です。網膜の裏側に張り巡らされた毛細血管がAGEによってもろくなり、出血が起こると失明することもあります。このように、糖尿病合併症が起こると、人間の基本的機能がじわじわと蝕まれていくのです。これが「糖尿病患者の寿命は、通常の人よりも10年も短い」と言われる所以です。
 動脈硬化は、AGEとAGE受容体(RAGE)が引き起こす血管壁の炎症が原因であり、老化に拍車をかける要因になっています。心臓の血管で動脈硬化が進むと、心筋梗寒や狭心症が起こりやすくなります。

認知症予防は、脳をよく使うことよりもAGE対策が有効!

認知症には「脳血管型」と「アルツハイマー型」の2つがありますが、どちらのタイプにもAGEの関与が認められています。糖化はアルツハイマー病の大きな憎悪囚子です。アルツハイマー病は、「β-アミロイド」というたんぱく質が脳内にたまるのが原因で、この物質が蓄積すると、脳に「老人斑」というシミができます。この脳にできたシミを調べると、AGEがたくさん検出されています。AGEの作用によって脳内の細い血管がもろくなり、微小脳梗塞が多発し、脳血管型の認知症を発症する大きな原囚になっています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ


2013年3月28日木曜日

最悪の老化物質「AGE」⑨


死亡リスクが高まる「AGE」!

過去、糖尿病は、インスリン分泌異常をコントロールできなかったために、身体の飢餓状態が「糖尿病昏睡」を起こし亡くなる人が少なくありませんでした。高血糖による脱水や栄養失調から、意識を失い昏睡状態に陥って命を落とす急性の合併症です。

行し、
 しかし、現在ではインスリンや血糖値を下げる薬があります。脱水に対しては速やかに点滴で補充することもできます。したがって、糖尿病と気づかず、仮に血糖値が一時的に上がってしまっても、急性の糖尿病昏睡によって亡くなる人は少なくなりました。

 糖尿病で問題なのは、慢性的に進む合併症です。糖尿病の人の場合、さまざまな病気にかかって亡くなるリスクが普通の人の1.8倍も高くなっています。また、男性女性、年齢に関わらず、肥満でなくとも、死亡に影響する他の因子を補正しても、糖尿病があると死亡リスクが高くなるという研究の報告があります。原因疾患別に、死亡率が高いのは心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気で、普通の人の2.3倍。血管系の病気以外で亡くなる危険性も1.7倍。さらに、がんによる死亡1.2倍高くなります。糖尿病になると、肝がん、すい臓がん、子宮体部がん、腎臓がん、結腸・直腸がん、膀胱がん、乳がんなどのリスクが高くなるとのことです。

 また、糖尿病の人は、健康寿命が、約15年短いというデータもあります。糖尿病患者の場合、注意しなければいけないのが「AGE」です。AGEがさまざまな病気の発症やその死亡リスクを上げている可能性が考えられています。糖尿病の治療は、できるだけ高血糖をコントロールして、AGEをためないようにすることですが、糖尿病でない人にも同じことが言えます。あらゆる病気の危険性を引き上げるのがAGEだとしたら、そのAGEをためないようにすることが健康で長生きする秘訣。それが老化を防ぐことになるわけです。


最悪の老化物質「AGE」⑨

■こんな人がAGEを増やしている!

AGEが生成されやすいのは、血液中に糖質が多いときです。日頃から糖質の摂り方次第で、老化のスピードや病気にかかる確率が変化してきます。
 以下の項目に当てはまる人は、AGEを蓄積して老化に邁進している人です。ご注意を!

●肌のハリ・ツヤがなくトラブルが多くなった

⇒糖質の摂りすぎをチェック。肌組織のコラーゲンが糖質ダメージを受けている可能性が大きい。

●「年のせいだから」と無気力になりがち

⇒生活習慣の見直しが必要。体のだるさや疲れやすさも、糖質の摂り過ぎが影響している場合が多く、食生活の見直しが必要です。

●糖分を摂らないと脳が働かないと思う

⇒脳のエネルギーは糖質だけではない。糖質を摂らなくても、中性脂肪を分解したケトン体などがエネルギー源となるので心配ありません。

●「果糖」はくだものの糖だから健康的だと思う

⇒甘味料の果糖はAGEを作るスピードが10倍速い。果物にも果糖が含まれるので取りすぎには注意が必要です。

●疲れたときには、甘いものがほしくなる

⇒血糖値を上げても疲労は回復しません。疲労回復には質の良い睡眠が理想的です。疲労のため睡眠の質も低下し血糖値に影響を及ぼします。

●「糖類ゼロ」や「微糖」につい手がのびる

⇒成分表示に惑わされない。成分表示はしっかりチェックして、「糖質ゼロ」や「甘さ控えめ」などの表示でも、糖質がまったく入ってないとは限りません。

●お腹いっぱい食べてしまう

⇒「これ以上食べられない」というぐらいに食べてしまうと、血糖値が急上昇してしまい、すい臓にも負担がかかってしまいます。

●ファストフードやコンビニ商品をよく食べる

⇒家庭ではできない高温調理はAGEをグンと増やします。フライドチキンやフライドポテトは最悪です。また、ジャンクフードと呼ばれるいわゆる“スナック”類もAGEを多量に含んでいます。

●焼き鳥は、こんがり焼けたタレが好き

 ⇒「焦げた食品」を摂り過ぎない。焦げた部分は老化物質のAGEが多く含まれていため、摂りすぎには要注意。

●食後は眠くなる

⇒食後1時間は、血糖値が最も高くなります。この時間になるべく体を動かすようにする。

●タバコをやめられない

⇒タバコは肌の糖質ダメージを加速させます。酸化ストレスも起こします。また、タバコの煙はAGE
そのものなので、周囲の人にも影響を及ぼします。百害あって一利なし。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年3月23日土曜日

最悪の老化物質「AGE」⑧


高血糖の記憶 !?

 HbA1c(ヘモグロビン エー・ワン・シー)は、赤血球の中にあるたんぱく質、ヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、「糖化ヘモグロビン」とも言います。HbA1cは、血液検査を受ける約1~2か月前の平均的な血糖状態を反映します。
 血糖値が高い場合、薬で血糖値を下げることができます。また、赤血球は120日の寿命があるので、糖質を制限すれば数値を下げることに期待ができます。
 しかし、糖尿病の患者さんの場合、ある程度の期間、高血糖状態が続いてしまうと、その後血糖値を下げて正常に戻しても、老化やさまざまな病気の進行は一向に止まらないことがあります。たとえば、6~7年間高血糖にさらされた患者さんは、その後10年間、一生懸命治療して血糖をコントロールしても、病気の進行は思ったほどには止まりません過去の高血糖を長期にわたって引きずってしまい、途中から血糖コントロールを行っても、思ったほどには病気の進行を抑えることができず、症状が悪化してしまいます。これは糖尿病の研究者の間で『高血糖の記憶』と言われているものです。
 似たような現象は、タバコとがんとの関係にも存在します。タバコを吸う人は将来肺がんになる危険性が高く、そのリスクは禁煙したあとも一定の期間続きます。一日何十本もタバコを吸う生活を長年続けていた人が、「今日から禁煙したから」といっても、いままでの喫煙歴がすぐになくなるわけではありません。タバコをやめたあとも肺がんになるリスクは高いまま推移します。一度もタバコを吸ったことがない人のレベルに戻るまで、禁煙後何十年もかかります。タバコをやめてからも肺がんのリスクは高いまま残ります。つまり、過去の喫煙歴を引きずってしまいます。
 同じように高血糖も「記憶」の現象が存在するわけです。もし、その時の血糖値だけが問題なら、血糖値を下げれば、治療効果がすぐにあらわれ、治療を開始した時点から、少なくとも病気の進行が止まり、症状が良くなっていくはずです。それなのに、進行が止まりません。この謎はなかなか解けなかったのです。高血糖だった時代にある物質が作られて、それができると人間の体の中に長くとどまり、血糖値が正常に戻ったあとも、ずっと悪さをし続けるためではないのか・・・・? 糖尿病の研究者の間では、この「高血糖の記憶」ともいうべき現象のメカニズムが長く説明できずにいました。
 そして、ついにその物質が解明されたのです。その物質こそが、糖尿病に伴う合併症を進行させ老化を促進する原因物質「AGE」だったのです。


最悪の老化物質「AGE」⑧

■糖化リスクは“食後高血糖”

一般の健康診断で広く行なわれている血糖値測定は、空腹時の血糖値ですが、たんぱく質が糖と必要のない反応をする「糖化」は、食後、血液中に余分な糖があふれている状態で発生します。食後の高血糖時に起こるので、食後にチェックするのがいちばん有効なのです。空腹時に測るだけでは十分ではありません。


「食後血糖値」は、糖化はもちろん、早期段階の糖尿病を見つける指標としてもたいへん重要です。左上グラフのように、糖尿病になる人は、病気が発症する5年くらい前から、食後血糖値が上昇しはじめます。しかし、この早期の予兆は空腹時血糖値だけでは見つけることができません。「糖尿病の発症リスクを早期に発見するには、食後の血糖値をチェックしなければならない」というのは、現在、世界の医療の常識です。もちろん、誰でも食後は血糖値が上がります。しかし、左下グラフのように、糖化が進んでいる人や糖尿病リスクがある人は、上がり方がまったく違います。インスリンがすぐには分泌されず、食後血糖値が上がったまましばらく下がらないという特徴的傾向を示すのです。しかも、空腹時は普通なのですが、食後だけ高くなります。

食後1時間の血糖値が重要!

食後血糖値が上がり、体内にいちばんAGEができやすいのは「食後1時間」です。この食後1時間の時点で血糖値が150を超えていたら要注意です。そして、200を超えていたら「リスクが大きい」と考えるようにしてください。
 食後血糖値を測らなくても、糖化が進んでいるかどうか、ある程度の想像がつく場合もあります。たとえば、“食後に決まって眠くなる人”の何割かは、食後血糖値が高くなっている可能性があります。さらに、胃がもたれるほどに食べてしまう傾向がある人などは要注意です


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年3月20日水曜日

最悪の老化物質「AGE」⑦


糖質を制限すると脂肪が燃えやすい身体になる!

身体がエネルギー源として利用できるは、脂質・たんぱく質・糖質の3大栄養素です。このうちたんぱく質は、筋肉などからだそのものをつくる材料としての役割が大きいので、エネルギー源としては脂質と糖質が使われることになります。
 では、脂質と糖質のどちらがメインのエネルギー源になるのでしょう? 本来であれば、脂質です。脂質と糖質の両者を比べてみると、その根拠がわかります。脂質は糖質に比べて、効率よくエネルギーを蓄えることができます。数値的には、脂質が1gあたり蓄えられるエネルギーは9kcal。一方の糖質は1gあたり4kcalと脂質の半分以下です。脂質は体脂肪として十数キロと大量にからだに蓄えることもできるので、本来のメインのエネルギーとなるのは、脂肪なのです。ブドウ糖は、脳・赤血球・網膜などの特殊な細胞のエネルギー源です。しかし、心筋・骨格筋など多くの体細胞においては、ブドウ糖は予備エネルギー源で、瞬時に使うエネルギー(解糖系:短距離走とか格闘など)という位置づけです。しかし、現代人は糖質を頻繁に・大量に摂取する食生活を続けているので、ブドウ糖をエネルギー源として優先的に使うようになってしまっているのです。これが脂肪を効率的に使えないからだの正体です。常に瞬発用のエネルギー(ブドウ糖)を使い、もともとのエネルギー(脂肪)は保存しているので、非効率なのです。
 また、加齢とともに、解糖系のエネルギー産生機能も低下するので、糖の消費も低下します。しかも糖質の摂取が多いと、二重の意味で太りやすくなります。ひとつは、からだの脂肪が燃えにくくなる。もうひとつは、摂り過ぎたぶんの糖質が脂肪になってしまうのです。炭水化物などの糖質は、体内で消化され、ブドウ糖などになって腸で吸収されます。これらは血液に乗って全身に運ばれエネルギー源となりますが、使われなかった分は肝臓や脂肪細胞で中性脂肪となります。ですから、糖質を制限すれば、この状態は改善されます。本来のエネルギー源である脂肪が優先的に使われるようになると1日中、脂肪が燃えるようになるため、太ること自体が難しくなってきます。


最悪の老化物質「AGE」⑦

AGEが含まれる食品もある!

AGEは高血糖によって体の中だけで作られるだけではありません。AGEが含まれる食べ物を食べることで外からも摂り込まれてしまいます。摂取した食べ物に含まれるAGEの7~10%が最終的に人間の体内に蓄積されます。

「体内で生成されるAGE」+「食品のAGE」


AGEは、こんな食品に含まれる!
 AGEはたんぱく質と糖との酵素によらない反応によって最終的に生み出される物質です。高温で加熱調理したもの、つまり「メイラード反応(糖化反応)」の結果、AGEがたくさん生成されるのです。以下のような食べ物に多く含まれます。
○電子レンジで二度、三度と加熱した食品 ○揚げ直した揚げ物
○電子レンジで10分以上加熱した食品   ○肉や魚の焦げた部分
○マヨネーズが酸化して変色した部分
○空気や紫外線にさらされながら保存されたもの(干物など)
 AGEは、フライドチキンやフライドポテトなどに多量に含まれていることが知られています。老化が怖いなら、ファストフードには近づくべきではありません。また、ジャンクフードと呼ばれるポテトチップスやスナック類も控えましょう。特に危険なのはタバコです。タバコの葉は高温で乾燥するためAGEが多く含まれているのに加え、一服するだけで30分後には体内にAGEが生成することがわかっています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ



2013年3月16日土曜日

最悪の老化物質「AGE」⑥


グルコーススパイク !?

糖質を摂ると、血液中のブドウ糖が増えて高血糖状態になります。その血糖値を下げるためにすい臓がインスリンを出します。糖質を摂取するたびに長年に渡りインスリンを頻回に大量に分泌し続けていると、すい臓のベータ細胞が疲弊して次第に働きが弱くなり、高血糖状態が続くようになってしまいます。これが糖尿病です。
 血糖値は糖質をとったあと約1時間が非常に高く、その後下がりますが、下がったところで糖質を摂るとまた急激に上がってしまいます。この空腹時と食後の血糖値の差が激しい時の高血糖状態を、「グルコーススパイク」と呼びます。グルコースとはブドウ糖のことです。このグルコーススパイクは、慢性的な高血糖状態以上に血管を傷つけることがわかっています。糖尿病にかかっていない人も、糖質をとれば一時的に血糖値ははね上がります。小さなグルコーススパイクは、糖質を含んだ食事のあとには必ず起こっています。1日3回の食事なら1年で1000回以上、血管はくり返しくり返しダメージを与えられていることになります。しかも高血糖状態ということは、血液粘度も高くなり血流の低下も考えられます
 高血糖が一番怖いのが、血管を傷つけて動脈硬化を進行させる事です。高血糖により血管の内皮に炎症が起こり傷が生じます。そして、この傷にコレステロールが張り付きます。これをくり返すと分厚く盛り上がり、狭くなったり硬くなったりします。その結果として動脈硬化が生じるのです。
 コレステロールがたまっていくと、血流が滞ってしまいます。血流の悪化がもたらす動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす要因です。すぐに動脈硬化になるわけではありませんが、グルコーススパイクにより代謝が乱れるため、アレルギー疾患や肥満などを招いてしまうことにもなります。
 糖質オフ・・・・血流低下の原因となる糖質を遠ざけることによって、血流は本来の動きをとり戻します。血流がよくなると、毛細血管を通ってからだのすみずみまで栄養や酸素が運ばれ、老廃物の回収もされて代謝も戻るようになります。



最悪の老化物質「AGE」⑥

AGEと血管!

血管は主にコラーゲンでできています。コラーゲンが血管の強度や弾力性に大きな役割を担っているのです。また、血管に傷ができても、コラーゲンによって修復されています。しかし、たんぱく質であるコラーゲンが糖化されAGEが生じると、動脈硬化などの重大な事態を引き起こします

血管本来の機能を低下させる!

血管の中膜はそのほとんどがコラーゲンで構成されていて、血管のしなやかさを保っています。そして、血管の内膜である血管内皮細胞が、血流や血栓、血管の修復などを担っています。AGEはこの機能を阻害し、血管本来の機能を低下させてしまいます。

AGEの血管に対する影響

○AGE化したコラーゲンは、中膜だけではなく血管の外側を覆う平滑筋細胞の異常増殖を促進して、動脈硬化をもたらします。
○AGEの生成により、血管の内側の血管内皮細胞に、血中を流れるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)がしみ込みやすくなり、動脈硬化を進行する。
○AGEによる糖化ストレスにより、内皮細胞の機能のひとつである一酸化窒素(NO)産生機能を不活性化させ、血管伸縮、炎症反応、血栓傾向をさらに悪化させて動脈硬化症の進行に影響をあたえます。
 動脈硬化の本質は、この「一酸化窒素(NO)の欠乏」とも言われ、動脈硬化を原因とする脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症などの原因となります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ



2013年3月14日木曜日

最悪の老化物質「AGE」⑤


有史以来、現代人は糖質を摂りすぎている !?

人はもともと大量のインスリンを分泌することに慣れていませんでした。
 地球上に人類が誕生したのが約700万年前といわれていますが、文明が発達して農耕が始まり、穀物(炭水化物)を摂取するようになったのはわずか1万年程度です。ちなみに日本で考えると、旧石器時代、繩文時代はずっと動物や魚、本の実や野菜を食糧にする狩猟採集の食生活でした。
旧石器時代が9万年前から始まり、縄文時代に移行します。縄文時代は1万6千年前から弥生時代までの約1万3千年間です。じつは日本人が米を食べ出したのは弥生時代以降のわずか3000年間の話で、意外と短い期間なのです。
 農耕を始めて安定した食糧が確保できるようになったことで、人類の人口は爆発的に増えていきました。18世紀になるとフランスで炭水化物の精製技術が開発され、19世紀になって全世界に普及すると白いパンをはじめ、精製された炭水化物やその加工品が普及します。ところが精製された炭水化物は消化吸収が速いために血糖値がすぐに上昇します。
 左のグラフをご覧ください。精製された炭水化物がある食生活は、農耕が始まる前の食生活に比べると、食後の血糖値上昇幅が約3倍もはね上かっているのです。このような事態は、人類700万年史上初めてです。この急激な変化に、からだがついていけないのは当然のことかもしれません。さらに糖尿病の人が糖質をとると、血糖値は200mg/dl以上にもはね上がってしまうのです。


最悪の老化物質「AGE」⑤

■AGEリスクは骨にも及ぶ!

骨は、骨膜・骨質・骨髄・関節軟骨の4つで構成されています。骨膜は関節以外のすべての骨の表面を覆っている薄い膜で、主にコラーゲン繊維からできています。そして、骨表面の保護、骨を生成する役割を果たしています。骨には、体を支える、血液を作る、臓器を守る、カルシウムを貯蔵する、骨代謝を行うなどの働きがあります。

骨の柔軟性がなくなる?

骨の成分の90%以上を占めるコラーゲン。それが糖化してAGEを生じていくと、骨の柔軟性は低下し、外部から骨へ伝わる力の吸収が低下してしまうため、骨障害の原因になってしまいます。
 過去には、骨密度が重要視されていたことがありましたが、近年は鉄筋の役割をしている骨質(コラーゲン分子とコラーゲン分子同士をつなげる“架橋”)の大切さが注目されています。


骨折しやすい人はAGEが多い

大腿骨頸部を骨折した人と骨折していない人の軟骨内コラーゲンのAGE量を比較しました。骨折した人は若い骨・古い骨ともに、骨折していない健康な人よりAGE量が多いことがわかりました(右表)。この結果から、骨折群では骨形成の早期からコラーゲンの糖化が進んでいることが分かりました。
(データ:Clinical Calcium;19,8,46-53,2009)


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年3月9日土曜日

最悪の老化物質「AGE」④


AGE生成は、ブドウ糖の10倍、フルクトース!

たんぱく質と糖による糖化反応が作る老化物質、それがAGEです。その場合の「糖」とは、ほとんどがブドウ糖で、過去には「糖」の種類はあまり問題にしてきませんでした。体内で起こるAGE化は、ほとんどがブドウ糖とたんぱく質との糖化反応だったからです。しかし、糖はブドウ糖だけではありません。いろいろな種類があって、たんぱく質を糖化するスピードにもそれぞれ差があることがわかっています。

 ブドウ糖と同じ単糖類の一つに「フルクトース」(果糖)があります。フルクトースはブドウ糖(グルコース)よりAGE化を生成しやすい糖です。日常生活の中で食べる程度の果物に含まれるグルコースなら問題ありません。1日1000kcal以上も果物でフルクトースを摂取する人はいないと思います。せいぜい100kcalくらいです。リンゴであれば1個、バナナであれば1本。みかんなら3~4個くらいです。みかんを手のひらが黄色くなるまで毎日食べ続けてしまうような極端な食べ方をしなければ、もちろん大丈夫です。しかも果物はビタミン豊富です。

 しかし、現代社会はフルクトースを極端にとる状況下にあります。フルーツジュース、清涼飲料水、炭酸飲料、お菓子、缶詰、各種加工食品など、飲み物や食料の甘味づけに「フルクトースコーンシロップ」が使われています。納豆の「たれ」にまで使われているとのことです。コーンシロップとは、トウモロコシ由来の甘味料のことです。甘味は砂糖の1.7倍で、熱に強く変性しにくいので保存も可能という特徴があります。

 フルクトースが人の身体に与える影響として、ブドウ糖より依存性が強く、どんどん欲しくなるという研究結果があります。そして、AGEを生じやすく、ブドウ糖の10倍の速さでAGEを作ります。また、フルクトースの代謝産物は、中性脂肪の合成に作用するので、取り過ぎは、高脂血症のリスクも高まります。


最悪の老化物質AGE④

■年齢より老けて見える肌の糖化!

加齢とともにシワやクスミ、シミなど、肌にも年齢の変化が見られます。しかし、肌にハリがなくなってきた、年齢より老けて見られる、などの個人差があります。これは、「肌の糖化」が原因のひとつになっています。

AGEでコラーゲンが硬くなる

 肌を構成しているたんぱく質は、糖分と結びついてAGEが生成し、硬くなり、塊になっていきます。肌のたんぱく質とは、コラーゲンやエラスチンなどです。肌の内部で糖化したたんぱく質は弾力を失って褐色化し、そのせいで肌表面がくすんで、黄色や褐色に見えるようになります。これが「肌の糖化」という老化現象です。

糖化による肌の糖化

肌の透明感の低下
真皮が硬く、薄くなる事で、お肌の透明感を失う
肌のハリの低下
コラーゲン繊維の伸縮性が失われる
肌の弾力の低下
エラスチンの弾力性が失われる

高血糖で進行する肌のくすみ

上記のように、肌のくすみは皮膚のたんぱく質が糖化した症状です。糖尿病の人が茶色がかった肌の色をしているのは、高血糖のために肌の糖化が進んでいる証拠と考えられています。また、皮膚の真皮は約70%をコラーゲンの線維が占め、互いに橋をかけあうように生理的結合(架橋結合)することで、肌のハリが保たれていますが、AGEは余分な架橋結合(悪玉架橋)を増加させ、その結果肌は弾力を失い、硬くなるのです。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年3月7日木曜日

最悪の老化物質「AGE」③


AGEは最悪の老化物質!

人の体が老化するのには必ず原因があります。年をとれば、皮膚がたるんだり、血管がもろくなったり、視力が低下したりしますが、それは体の中で組織が何らかの変化を起こしたからです。それが、老化のきっかけとなる最悪の物質=AGE(Advanced Glycation End-products:終末糖化産物)です。様々な老化現象はこのAGEで説明できることが近年の研究でわかってきました。老化の原因物質が発見されたからには、それを取り除いたり、減らしたりすれば老化を防ぐ方法も見つけることができるはずです。
 1912年、フランスの化学者ルイ・カミーユ・メイラードが、糖とたんぱく質を一緒にして加熱すると、褐色あるいは黄色い物質ができることを発見しました。この「褐変反応」のことを、発見者の名前をとって「メイラード反応」と呼びます。
 メイラード反応は、日常的によく経験している化学反応です。たとえば、小麦粉(糖)と卵(たんぱく質)をミックスしてホットケーキをつくると、表面がこんがりしたキツネ色になります。糖とたんぱく質や脂質が加熱反応によってメイラード反応が起きたわけです。肉や魚を焼いたときの褐色の焼き目や焦げ目などもメイラード反応です。味噌や醤油が寝かすことで熟成するのもメイラード反応です。キャラメルやお煎餅の色、ビールやコーヒー、ほうじ茶や麦茶の色などもメイラード反応が関わっていることを示しています。多くの食品にはさまざまな種類の糖やタンパク質が含まれていて、加熱するとメイラード反応が起きます。プリンのカラメルのように糖質だけを加熱してもメイラード反応は起こりません。
 そして人の体内では、加熱されなくても、アミノ基とカルボニル基の間に酵素によらない化学反応によって、糖とたんぱく質のメイラード反応(糖化反応)が起きることがわかりました。体の細胞や組織はほとんどがたんぱく質でできています。体内の組織が糖にさらされて糖化が進み、元のたんぱく質や糖質に戻ることのない最終的な糖化物質「AGE」(AGEsとも言います)を生じます。
 たんぱく質が糖化されて生じたAGEが体内のいたるところにたまっていって、本来の組織の老朽化が進みます。皮膚の老化が進むと、たるみやしわ、しみやそばかすも出てきます。骨の老化が進むと、スカスカになり、骨粗しょう症などになります。目の老化の典型は「白内障」です。白内障になると目の水晶体が白く濁ってきます。白く濁ったことで白内障に気づき処置を受けるわけですが、そのまま放置してしまうと、水晶体は黄色になることが知られています。目の水晶体や関節の軟骨組織は一生組織が入れ替わらないため、AGEが年齢を重ねるだけ蓄積されていきます。これもメイラード反応(糖化反応)による老化なのです。


最悪物質AGE③

■AGEを生成するメイラード反応

○食品のメイラード反応
たんぱく質(アミノ酸)と糖をいっしょに加熱すると、褐色化し香ばしさが増す反応。
(たんぱく質+糖)×熱=メイラード反応 ⇒AGEの生成
(香ばしく美味しくなるが、食べればAGEを摂取したことになる)
※以前は摂取されたAGEは体外に排出されるといわれていましたが、近年の研究で、摂取したAGEの7~10%が体内に蓄積されることがわかっています。

○体内で起るメイラード反応
身体の中ではたんぱく質と糖が結びつき、非酵素の化学反応によって
(たんぱく質+糖)×時間=メイラード反応 ⇒AGEの生成
(AGEを生じて蓄積し、老化を早めや病気を起こす)

AGE:身体に対する影響

AGEを増やす原因は「高血糖」です。血糖は身体のエネルギー源ですが、多すぎると糖化を促進します。特に気をつけたいのは、糖尿病でなくても食後に高血糖になるだけで糖化のリスクが増すことです。

【肌への影響】 

 糖化の影響を特に受けやすいのがコラーゲンです。コラーゲンの多い肌は、老化物質が蓄積しやすい組織の一つなので、高血糖を防ぐことが美肌対策になります。

【骨への影響】 

 骨はカルシウムのかたまりと思われがちですが、実はその体積の半分はコラーゲンでできています。骨の中には無数のコラーゲン繊維(=線維)があり、その繊維同士を「梁(はり)」のようなもので結んでいます。この梁が弾力性のある強い骨を作っていますが、AGEが通常の梁に代わって「悪質な梁」を作り、骨に影響をあたえます。

【血管への影響】

太い動脈は、3層でできています。その中膜はコラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質で構成されていますが、これらはいずれも糖化しやすく、AGEが蓄積すると血管のしなやかさが失われ、動脈硬化などが進行してしまいます。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年3月1日金曜日

最悪の老化物質「AGE」②


血糖値を上げる糖質!

米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません糖質は、摂取直後から急激に血糖値を高く速く上昇させ、2時問以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
 このように、糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。世界糖尿病連合の07年の報告などによると、食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害を起こす危険因子として確立されています。食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。1gの糖質は、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白米ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.2gの糖質が含まれており、血糖値を166mg/dl上昇させます。一方、牛サーロインステーキを250g(1000kcal)食べても、糖質含有量は1gもないので、血糖値上昇は3mg未満なのです。できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐのが理想です。血糖値は180mg/dlを超えると、リアルタイムに血管の内皮細胞を傷つけるので、長年積み重なれば動脈硬化を促進させるリスクとなるのです。
 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などのさまざまな病気を引き起こします。空腹時血糖値が110mg/dl未満で正常でも、糖質を摂取して食後血糖値が180mg/dlを超える高値になると動脈硬化のリスクとなります。
 糖尿病の三大合併症としてよく知られている「腎症、網膜症、神経障害」は、微小循環の障害によるものです。微小循環に起る合併症もQOLを低下させ大問題ですが、心筋梗塞、脳梗塞といった疾患は直接命にかかわり、これらは食後高血糖に深く関わっています。そして、その過程には最悪物質の終末糖化産物「AGE」が関わっているのです。


■最悪物質AGE②

糖とは? 糖質と糖類

炭水化物は、食物繊維と糖質からできています。そして、糖質は右図のように「糖類」+「多糖類」+「糖アルコール」などの総称です。「糖類」はあくまでも「糖質」の一部なので、「糖類ゼロ」と表示されても、その他の「糖質」が含まれています。糖質量も100g当たり糖類0.5g未満なら「無、ゼロ、ノン、レス、フリー」、100g当たり糖類5g以内、1000ml当たり糖類2.5g以下なら「低、ひかえめ、ライト、ダイエット」などと表示できるのです。

要チェック! 「異性化糖」

異性化糖(食品成分表示には、一般に「ぶどう糖果糖液糖」または「果糖ぶどう糖液糖」と表示されています)とは、トウモロコシのデンプンを原料として作られる液状のシロップです。特性は、砂糖より製造価格が安く、冷やすとさらに甘味度が増し、少量でも甘みが強いので、 清涼飲料水、缶詰、パン、調味料などによく使われています。

○ブドウ糖果糖液糖:果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50%未満のもの。
○果糖ブドウ糖液糖:果糖含有率が 50%以上 90%未満のもの。
○高果糖液糖:果糖含有率が 90%以上のもの。
○砂糖混合異性化液糖:上記の液糖に 10%以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖混合ブドウ糖果糖液糖)。

 使われている食品は、甘い食品だけでなく、ケチャップ、サラダドレッシング、ビール、ベーコン、市販のソースや冷凍食品にも含まれています。低温での利用に向いている半面で、熱に弱く、加熱するとメイラード反応(糖化反応⇒AGE生成の元凶)が起きます。AGE生成の危険性は、上図にある果糖などの単糖類が一番高く、次の二糖類、三糖類の順に上へ行くほど低くなります。また、パンにおいしそうな茶色い焼き目に付ける為に、表面に異性化糖を塗ってから焼いている場合もあります。


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