2021年9月30日木曜日

歩行と健康

 歩く時間10分増で死亡リスク28%減

 米国心臓協会は、成人向け運動ガイドラインで、週にウォーキングなどの中強度の運動を150分以上、あるいはランニングや水泳などの高強度の運動を75分間行うことを推奨しています。しかし近年、日常的に使えるスマートフォンの健康アプリやウェアラブルデバイスが登場したことで、ウォーキングの歩数や様々な体の動きを測定できるようになり、さらに一歩踏み込んだ運動に関する研究結果が発表されています。

 参考になるのが、2011年から15年にかけて、60歳以上、平均72歳の女性1万6732人にウェアラブルデバイスを身につけてもらい、週4~7日間の身体活動を追跡した調査報告(米ノースカロライナ大学)。そして短い時間での身体活動の内容を「中断の少ない10分以上のウォーキングなどの運動」「掃除や洗濯などの家事、階段の昇降、車まで歩くなどの日常での移動や運動」の2種類に分け、さらに19年まであらゆる原因による死亡について調査しました。すると、1日2000歩以上の人は死亡リスクが32%減少したのですが、特に運動をしていなくても1日の歩数を1000歩増やすだけで、歩数が少ない場合に比べて死亡リスクが28%減少。長生きするには1日4500歩増やすと最高とのことですが、何もそれはウォーキングのような「中断の少ない10分以上の運動」でなくてもよいとの結果でした。

 カリフォルニア大学の研究でも同様の結果が出ています。同大学の学生を対象にしたこの研究では、長時間座っていると、心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などのリスクを高め、1時間に1回は立ち上がって体を動かすと、そのリスクが低くなるとのこと。

 1日の歩数を1000歩増やそうと思ったら、10分くらい歩けばいいといわれています。10分=1000歩。それも、10分間歩き続けなくてもいいのです。1回買い物に出掛ければ、家から店までの往復と、店内を見て回る時間とで、10分なんてすぐです。「1日1000歩増」は、日常生活の中ですぐに実現できてしまう目標設定なのです。

 1分でもいい。立ったり動いたりする回数をできる限り多くする。必要なのは「体を動かそう」という気持ちだけ。在宅勤務で毎日通勤しなくなった人は、歩数獲得の貴重な機会がなくなってしまいました。コロナ感染拡大が言われるようになって1年半足らず、在宅勤務中心の人はその働き方が今後も変わらないでしょうから、歩数減少が将来の身体の健康へ与える影響は想像以上だと考えられます。

 日常生活の中でちょっとだけ活動量を増やすことを習慣化できればベスト。座っている時間を、少し短くするだけでもいい。「1時間仕事したらトイレに行ったり洗面所で歯磨きしたりする」「昼の休憩時間で家や会社の周辺をぐるりと歩く」「駅から自宅までの帰り道、近道ではなくやや遠回りをする」など、自分ができる範囲で行ってみてください。

(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)


■歩行と認知症予防

「高齢者は寝たきりになると認知症になりやすい」といいます。逆に、「よく歩くと認知症になりにくい」ことがわかってきました。実際、70~80歳の女性の認知機能テストの成績と日頃の運動習慣の関係を調べると、よく歩く人はテスト成績が良く、1週間に90分(1日あたり約15分)歩く人は、週40分未満の人より認知機能が良いのです(右図)。なぜ歩行が脳の高次機能に影響を与えるのか。それは、脳の働きに欠かせない脳血流がポイントなのです。


脳の血流とアセチルコリン

 脳が正しく働くためには、絶えず十分な血液が流れている必要があります。脳の働きを担う神経細胞は、血流不足にとても弱く、再生能力もありません。高齢者やアルツハイマー型認知症患者では、大脳皮質や海馬(記憶などの高次機能を司る部位)で脳血流の低下がみられます。この大脳皮質や海馬には、大脳の奥から伸びてきてアセチルコリンという化学物質を放出する神経(アセチルコリン神経)が来ています。


無理せずゆっくり歩く

 海馬の血流は、歩行開始直後から増えはじめ、歩行をやめると徐々に元に戻ります。血圧は、「速く」歩いたときには著しく上がりますが、「遅い」または「普通」の速さではほんの少し上がるだけです。「普通」の速さで歩いた時の海馬のアセチルコリン量は増えることがわかっています。つまり、血圧があまり上がらない程度に無理せずゆっくり歩くことにより、海馬のアセチルコリンが増え、年齢に関係なく海馬の血流が良くなるのです。

 また、歩行運動が不可能でも、皮膚や筋、関節に刺激を与えることで、同様の効果が得られます。皮膚刺激により、アセチルコリンを作る神経細胞の活性化し、大脳皮質でアセチルコリンが放出され、血流が増加します。身体のどの部位の刺激でも効果がありますが、特に手足への刺激は効果的です。軽い刺激でも、15分続けると血流がとても増えてきます。

 年相応の物忘れ程度では、アセチルコリンを作る神経細胞がまだ多く残っていますので、身体への刺激によるアセチルコリン増加が可能となります。つまり、歩いたり皮膚を刺激したりすることで、抗認知症薬と同じ効果が期待できるのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2021年9月24日金曜日

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

 騒音もCOPDのリスク因子!?

英語の頭文字をとって「COPD」
 大気汚染は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクとされています。大気汚染といっても色々なものがありますが、基本的に空気中に漂っているモノは大体アウトという印象です。

 さて、大気汚染だけでなく、“騒音”も健康被害を起こすことが分かっています。騒音ストレスというのは、精神的な影響だけでなく、身体的な影響も大きいとされており、その最たるものが心血管系疾患なのです。また、騒音の高曝露地域では高血圧のリスクが低曝露地域と比較して高いと推測されています。

 では、騒音は呼吸器系に一体どのような影響を及ぼすのでしょうか。一説として、ストレスホルモンとしてコルチゾールが分泌され、これが呼吸器疾患発症の引き金になるというものがあります。

 デンマーク看護師コホート*は、44歳以上の2万8731人の女性看護師を登録した大規模コホートです。ベースライン時の質問票で、喫煙歴、食生活、教育水準、その他生活スタイルなどを調査しました。ICDコード**でCOPDを発症した看護師を抽出し、居住地域の大気汚染(PM2.5、NO2、NOx)、騒音レベル(0-35dB)をリンクさせました。

*コホート:共通した因子を持ち、観察対象となる集団  ** ICDコード:国際疾病分類でアルファベットと数字を用いたコード

 調査対象となった2万4538人のうち平均追跡期間18.6年において、COPDを発症したのは977人でした(粗罹患率10万人年当たり214.4症例)。解析の結果、COPDを発症した人において大気汚染や騒音レベルが有意に高かったという結果でした。ハザード比は、PM2.5 が6.26μg/m3上昇するごとに1.19(95%信頼区間[CI]1.01-1.41)、NO2が8.19μg/m3上昇するごとに1.13(95%CI 1.05-1.20)、時間帯補正等価騒音レベルが10dB上昇するごとに1.15(95%CI 1.06-1.41)上昇しました。相互調整すると、NO2と時間帯補正等価騒音レベルの関連は減衰しましたが、PM2.5で補正しても頑健性がありました。

 これらの結果から、交通に関連したNO2大気汚染と騒音レベルはCOPD発症に独立して関連していることが分かりました。

 この論文の考察では、「騒音により酸化ストレスが誘導され、肺に炎症が引き起こされる可能性がある」と書かれています。また、騒音により睡眠障害になり、これによって身体活動性が低下し、体重増加や肥満を助長し、これが結果的にCOPDのリスクにつながるのではとも書かれています。いずれのストーリーも推察にすぎないとは思いますが、とにもかくにも、騒音がCOPDのリスク因子としてこれから注目されていくかもしれません。

(出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/)


■COPDの治療法と対策

一度破壊され変化を起こした肺は元に戻らない!

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で肺胞が壊れ、細気管支に炎症を起こすと肺機能が低下します。残念ながら、一度破壊され変化を起こした肺を元に戻すことはできません。しかし、症状を和らげたり、病気の進行を抑制したりすることは可能です。


6つの治療管理目標

 COPD 治療の管理目標は以下の6項目です。

① 症状とQOL(生活の質)を改善する 

② 運動能力や身体能力の向上させるまたは維持する 

③ 増悪を予防する 

④ 疾患の進行を抑制する 

⑤ 全身併存症や肺合併症を予防する 

⑥ 寿命を延長する

 COPDが進行すると呼吸困難の症状により、運動能力やQOLが低下します。このような状態を改善するために、薬物療法に加えて、運動療法や栄養療法、在宅酸素療法、日常生活の管理などを総合的に行うことになります。このような包括的な治療は「呼吸リハビリテーション」と呼ばれています。COPD は慢性の病気なので、治療は長期間に及びます。患者自身が病気と向き合い、病気とうまく付き合う能力を身につけ(セルフマネジメント)、生涯治療を続けていくことが必要になります。


対策・治療には"完全な禁煙"が必要

 COPD 患者は、症状の急激な悪化(増悪)が命にかかわることがありますので、普段から増悪を起こさない対策が重要です。喫煙は呼吸機能の低下だけでなく増悪を起こす危険や肺がんになる可能性が高いので、すぐに禁煙をする必要があります。

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 人は、肺の中にある3億個の肺胞とその周りに網のように絡みつく毛細血管との間で行われるガス交換によって酸素を得ています。COPD患者の肺は肺胞壁が壊れてガス交換できない肺胞(肺胞死腔)があり、通常の呼吸だけでは全身組織への酸素量が足りなくなります。在宅酸素療法により酸素量を増やす必要があるのです。しかし、体内の血液と血流の働きが正常でなければ酸素が末端の細胞まで届かないのは同じこと。康復医学学会が長年研究を続けている生薬「HM-3000(特系霊芝)」には血液循環に対する様々な作用が認められています。肺胞と毛細血管とのガス交換、および全身への酸素の運搬・配送の改善を促すことも大いなるメリットの一つです。


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愛・感謝 村雨カレン

パニック障害

 TWICEのメンバーが活動中断!パニック障害”とは

 先月、人気女性アイドルグループのTWICE(トゥワイス)のメンバー、ジョンヨンさんが「パニック障害および不安障害の症状」のため活動を中断し回復に専念されることが発表されました。ジョンヨンさんは昨年10月に不安症状を訴え、暫定的に活動を中断。休養に務め、今年2月より活動を再開していました。

 このパニック障害という病気、どのようなものなのでしょうか。

 実は、このパニック障害という病名は、近年使用されるようになったものです。それまで、長らく「不安神経症」と呼ばれていました。1990年代に「パニック障害」という用語が登場すると、そのキャッチーな響きが一般に広まり、短期間のうちに浸透したのです。

 パニック障害は「不安症」の分類の一つで、その症状は、身体的な異常がないにも関わらず、突然の動悸、呼吸困難、発汗、震え、眩暈などのパニック発作を繰り返す、というものです。最も頻度の高い身体的な症状は、動悸と息苦しさです。発作の際には、強い不安や恐怖感を伴います。パニック発作そのものは、数分から数十分で治まります。診察を受けても身体的な異常は見つかりません。それでも発作の最中は「このまま死んでしまうのではないか」「重大な病気にかかっているのではないか」と思うぐらい苦しいものだそうです。

 パニック障害の患者は、「また発作が起きるのではないか」という不安が強く、外出などの行動が制限されることもあります。これを「予期不安」といいます。

 パニック発作は多くの場合、特定の場所や状況で誘発されます。特に、電車や飛行機などの乗り物、エレベーターなどの閉鎖的な空間が誘因となりやすいのです。「パニックを起こしやすい状況」に対して不安を感じ、それを避けるために外出を控えるようになります。

 うつ病と同様に、パニック障害は、出現する頻度の高い一般的な疾患であり、多くの患者さんが存在しています。また、改善率、治癒率が良好で、比較的「良性」の疾患といえます。

 パニック障害に、先天的な要因がないわけではありません。遺伝的な素因が関与しているという報告がいくつもあります。しかし、原因らしいものがないのに発作を起こすこともありますし、ストレスがきっかけになることもあります。

「パブロフの犬」についての研究をご存じの人も多いでしょう。実は、パニック障害も同じような現象なのです。いうなれば「悪い学習」です。満員電車の中で、たまたま動悸と息苦しさが生じ、不安や恐怖感を覚えたとします。すると、「満員電車」と「動悸や息苦しさ、不安や恐怖感」という、本来は関係のない現象が結び付いてしまうのです。その結果、その人は電車に乗るだけで、または駅に近づくだけで、パニック発作を起こすようになるのです。


■パニック障害とその対策

 パニック障害の典型的な症状は、突然生じる「パニック発作」。そして、その発作の再発を恐れる「予期不安」。さらに長期化で、生活範囲を限定する「広場恐怖症」があります。

 パニック発作  パニック障害患者は、日常的にストレスを溜め込みやすい生活環境の人が多く、突然、強いストレスを覚え、動悸、めまいなどの自律神経症状と空間認知による強烈な不安感に襲われる。

 予期不安  パニック発作に強烈な恐怖を感じるため、発作が発生した場面を恐れ、また発作再発の不安を募らせていく。これを「予期不安」という。そして、神経質となりパニック発作を繰り返すようになる。

 広場恐怖症  「もし今何かが起きたら、ここから逃げられるだろうか?」と考えて、人の多い場所や、そこに人だかりのできることを恐れる。また、心の不安が激しくなったときに容易に逃げ出すことができないような場所に恐怖を感じるようになり、外出などを控えるようになる。

ストレス⇒CRH*↑⇒5-HT**↓⇒精神的自覚症状↑

【関連する疾患と症状】パニック障害、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、緊張性頭痛、偏頭痛、不眠、睡眠障害、心因性多飲多食症、拒食症など。

*CRH:ストレスホルモン  **5-HT:セロトニン

 パニック障害の薬物療法としては、SSRI等の抗うつ作用と抗不安作用がある薬で、脳内神経伝達物質のノルアドレナリンやセロトニンに関する療法が行なわれます。しかし、SSRIでは、飲み忘れ等で服用を中止した数日後に起きる激しいめまい・頭痛などの離脱症状が問題となり、パニック障害に対する安全性・有用性に疑問も呈されています。

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 ストレスホルモンが放出されると、セロトニン放出が抑制されたり、微小循環の血流を低下させ生体反応が表れたりすることが考えられます。

 康復医学学会では、安全にセロトニン活性に影響を与える「ラフマ葉エキス」や、微小循環の血流に影響を与えることがわかっている「HM-3000(特系霊芝)」を推奨しています。さらに、体力の低下による"ストレス耐性"の強化に期待できる「コエンザイムQ10」を一緒に摂ることもおすすめです。


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愛・感謝 村雨カレン

2021年9月8日水曜日

COVID-19 霊芝への期待

 キノコ素材コロナ禍で需要拡大

 新型コロナ禍で、免疫素材の代名詞とも言えるキノコに注目が集まっています。昨年2月下旬以降、原料サプライヤーへの問い合わせが増加。一昨年より海外でスーパーフードとして人気が高まり、国内でも徐々に再評価されていたキノコ素材にさらなる追い風が吹いています。機能性研究も活発化しており、免疫賦活のほか、コレステロール低下、整腸、血圧抑制、抗酸化、脳機能改善、抗アレルギー、抗ロコモ、抗腫瘍に関するエビデンスが蓄積されています。中でも「エルゴチオネイン」には、国内外から注目が集まっています。また新たな機能性表示食品も登場。免疫分野での届出にも期待が高まります。

 日本では、2000年代初頭のアガリクスショック以降、健食市場でのキノコ素材には逆風が吹いていましたが、海外でのスーパーフードとしての人気に後押しされ、近年市場が回復傾向にありました。こうした中、巻き起こった今回の新型コロナ騒動です。キノコ素材を取り扱う原料サプライヤーには、免疫サポート用途での問い合わせが急増しており、「前年同月130%以上の伸び」「免役対策で商品化を急ぐメーカーからの問い合わせが増えた」「数種類のキノコを組み合わせたプレミックス原料の採用が進んだ」などの声も。ハナビラタケやヤマブシタケなど女性サポート、美肌、脳機能改善分野で近年、利用が進んだキノコ素材も免疫対応素材として再評価されています。国民のセルフメディケーションの意識が急激に高まる現在、免疫賦活作用に関するエビデンスが豊富なキノコ素材への注目が増していることがうかがえます。

 キノコは、β-グルカン、ビタミンD、食物繊維、アミノ酸、多糖類などを豊富に含みます。古くから健康維持を目的に漢方素材として活用され、現在は、サプリメント、健康茶、ふりかけ、ソバなど健康食品から一般加工食品まで幅広く利用されています。一口にキノコといってもその種類は膨大で、日本に生息するキノコは5,000種以上。そのうち約200種が食用キノコとして区分されます。健食用途では、冬虫夏草、霊芝、アガリクス、メシマコブ、タモギダケ、ヤマブシタケ、ハナビラタケ、ベニクスノキタケなどが流通し、大学研究機関、健康食品メーカーが機能性研究に注力しています。免疫賦活をはじめ、コレステロール低下、整腸、血圧抑制、抗酸化、脳機能改善、抗腫瘍―など様々な有用性が明らかとなっています。

 最新の学術研究では、エルゴチオネインに注目が集まっています。東洋大学・加藤和則教授の最新研究では、免疫制御分子の産生抑制効果について、キノコの免疫賦活成分としてよく知られているβ-グルカンとは異なる作用メカニズムが確認され注目を集めました。この研究成果は、今年6 月のアメリカ癌学会でのポスター発表として採択されており、国内外で注目を集めています。エルゴチオネインは免疫賦活作用のほか、認知症改善、美肌などに関する研究も進展しています。

(出典:https://www.kenko-media.com/)


■新興感染症対策、"霊芝"への期待

 2021年8月15日、アメリカの科学誌『米国アカデミー紀要(PNAS)』に一つの研究論文が掲載されました。その内容は「新型コロナウイルスの活性を抑制する潜在力を持つ薬物5種類を発見した」というもので、発表したのは台湾の最高学術研究機関である中央研究院。

 この薬物とは、抗マラリア剤の一つであるメフロキン(Mefloquine)抗HIV(エイズ)薬のネルフィナビル(Nelfinavir)漢方の「霊芝」から抽出した多糖体RF3ミントエキスシソエキスの5つ。研究チームによると、そのうちメフロキンはウイルスの量を10分の1に減らすことができ、その他も60~80%減らすことが分かったそうです。


 一方、中国栄養食品協会は、新型コロナウイルスの予防・治療効果が期待できるものとして、12種類の栄養補助食品を公表しましたが、そのうちの一つに免疫機能を調整する効果が認められている「霊芝」が含まれています。


早くから着目されていた霊芝の抗ウイルス作用

 さかのぼること6年前(2015年)には、九州大学の研究グループが「霊芝から抗インフルエンザ成分を発見」しています。ここでは霊芝に含まれる31種類の化合物(トリテルペノイド類)の中のガノデリン酸TQ及びガノデリン酸TRが、インフルエンザウイルスの増殖抑制に、タミフルの1.5倍の効果があることがわかりました。このことでタミフルが効かないインフルエンザウイルスへの対応にも期待が持たれているのです。


霊芝の免疫の双方向調節作用

 免疫が低すぎると、ウイルスに「侵入」されやすく様々な病気のリスクが高まります。また、免疫機能が高すぎると、体外の物質によって体内の組織細胞に過剰反応を引き起こす可能性があります ⇒ アトピー、アレルギー症、自己免疫疾患(リウマチ・膠原病・SARS・甲状腺機能異常、劇症肝炎 …)、糖尿病など。

 霊芝の持つ免疫の双方向性作用により免疫が改善されると、体の免疫を正常なレベルに戻し、抵抗力を高めて健康を維持します。


2つの強力な抗酸化物質(エイジングケア成分)

 さらに、霊芝が話題の理由は、含まれている抗酸化物質にもあります。霊芝には、特に肌にとって最も強力な抗酸化物質の2つが含まれています。活性酸素消去作用が高い還元型グルタチオンと、さらにその3~30倍の抗酸化作用を持つエルゴチオネインです。高いエイジングケア効果が期待できるとともに、新型コロナウイルス感染患者の20.4%(イタリア:88名中18名)に見られる肌のトラブル("みずぼうそう"の様な皮膚症状)の予防や緩和の効果も期待されています。


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愛・感謝 村雨カレン

2021年9月2日木曜日

子供の睡眠

 睡眠の仕組みが幼児の知的発達と関連

 北海道大学の大学病院である北海道大学病院、金沢大学附属病院、秋田大学医学部附属病院、東邦大学医療センター大森病院、聖路加国際病院、日本赤十字社医療センター、市立札幌病院の7者は8月4日、睡眠・覚醒制御のメカニズムが乳幼児の知的発達と関連する可能性を明らかにしたと発表しました。

 同成果は、北大病院 周産母子センターの安藤明子医師、同・センター長の長和俊診療教授を中心とした7つの病院・医療センターと3つの大学の総勢25名の医師・研究者らが参加した共同研究チームによるものです。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

 これまで乳幼児の睡眠と知的発達の関係について調べた研究は少なく、統一した見解は今のところ得られていないといいます。また、睡眠と発達についての評価は保護者へのアンケート調査による研究が多く、アンケート調査では主観的な評価になる傾向がある点も課題とされていました。

 そこで今回の研究では、睡眠パターンの基礎が形成される1歳半の早産児101名(男児44名、女児57名)を対象に、睡眠と知的発達の関係をより客観的な手法を用いた調査が実施されることとなりました。2013年から2020年の間に出生した36週未満かつ1500g未満の児が対象で、アクチグラフ(睡眠計)を1週間継続して装着して解析が行われたのです。

 また発達評価には、心理士による「新版K式発達検査」が用いられました。同検査は、子どもが取る行動や反応を同年齢と比較して、発達の度合いが実際の年齢よりどのくらい差があるかを「姿勢・運動」、「認知・適応」、「言語・社会」の3領域で評価するというものです。

 そして調査の結果、起床時刻のばらつきが小さいほど、発達指数が高いことが明らかにされたのです。

 睡眠制御のシステムが正常に機能していると、寝起きの時刻が安定することが、これまでの研究から明らかになっています。覚醒制御の中心は、これまで脳幹・視床下部などに存在することが知られていました。しかし今回の研究では、「知的発達が良好な児(=大脳が成熟した児)」において、「起床リズムが一定(=睡眠制御機能が成熟)である」ことがわかり、発達過程において大脳も睡眠を制御する可能性が示唆されたとしました。

 なお、研究チームは今後も睡眠発達のメカニズムについての検討を続け、乳幼児の発達をサポートする睡眠環境を明らかにしたいと考えているとしています。

(出典:https://news.mynavi.jp/)


■子供の夜型化と生活習慣病

 現代社会が24時間化するとともに生活は夜型化し、睡眠時間は減少する傾向にあります。こうした社会的環境の変化は、子供の生活にも影響を与えています。

「夜10時以降に就寝する子供」の割合は、1歳6ヶ月・2歳・3歳で半数を超えており、子供の生活時間の夜型化の実態が明らかになっています。これは10年20年前に比べて、顕著な増加です。また小・中・高と学年が進むにつれて就床時刻が遅くなり、睡眠時間が減少し、「睡眠不足を感じている児童生徒」の割合が増加しています。特に大都市部に居住する幼児の睡眠習慣は、就寝時刻と起床時刻が遅い傾向にあることがわかっています。

 睡眠不足は、成長の遅れや注意や集中力の低下などをもたらしますが、子供の場合、眠気をうまく意識することができずに、イライラ・多動・衝動行為などとしてみられることも少なくありません。また睡眠不足は将来の肥満の危険因子になることも示されています。

 代表的な子供の睡眠障害に、睡眠時無呼吸症候群があります。子供の睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、アデノイド・扁桃肥大です。3-6歳の児童に最も多く、肥満よりむしろやせ型の子供に多いのが特徴です。症状としては、夜間のいびきや無呼吸・睡眠中の陥没呼吸・起床時の不機嫌などがみられます。この年代は習慣的に昼寝をすることが少なくないので、日中の過眠よりも多動・衝動行為・学習障害などがみられることが多いと言われています。


不眠・睡眠不足と生活習慣病との悪循環

 近年子供の肥満が増加しており、小学校高学年~中学生では肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群が多くみられます。子供の肥満は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を合併することが多く、食事や生活習慣を見直し、減量指導が必要となります。

 その他、子供によくみられる睡眠障害には、寝ぼけオネショ(夜尿)があります。寝ぼけは睡眠時随伴症のひとつで、睡眠時遊行症と睡眠時驚愕症が代表的です。5歳以降、週2度以上のオネショがあれば、睡眠時遺尿症と呼ばれます。これ以前のオネショは病気と考えなくても大丈夫。ストレスによって生じたり、悪化したりすることもあるため、対応は「あせらず・怒らず」が基本です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン