2011年5月30日月曜日

片頭痛の知識②

片頭痛と抑うつ

「片頭痛」(偏頭痛ともいいます)は病気としてあまり社会に認知されていないめ、患者さん自身も病院を受診することが少なく、せっかく受診してCTやMRIを撮っても、適切な診断をされないのが実情のようです。片頭痛の治療は「異常なし」からはじまると言われています。そんな片頭痛の人は、痛みが始まる数時間前に予兆を感じる人が多いようです。朝起きたら、なんとなく頭が重い、肩が重い、音が響くなどと思っているうちに、だんだんと痛みがひどくなり、食欲がなくなり、気持ち悪くなったりしてしまい、どうしようもなくなり一日中寝込んだりすると翌日スッキリしてしまう‥‥。このように片頭痛には予兆期、前兆期、頭痛期、回復期など典型的なパターンがあります。一番多いのが、キラキラ光るものがどんどん大きくなっていくように見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」という予兆です。片頭痛の場合、この予兆があるので「あっ、来るかな」と思った時点で鎮痛剤を服用してしまいます。しかし、この時の鎮痛剤が習慣になると、痛みを和らげるどころか逆に頭痛を引き起こす「薬物乱用頭痛」になる傾向にあります。もちろん「緊張型頭痛」の場合も同じで、鎮痛剤を飲みすぎが、頭痛のメカニズムを狂わせていると考えられています。そして、片頭痛・緊張性頭痛の2大誘発因子が“ストレス”と“肩こり”と言われています。頭痛があって肩こりがひどいというと緊張性頭痛と診断されるようですが、片頭痛の人の70~85%もの人が肩こりを感じているとのことです。ストレスに関しては、片頭痛とセロトニンの関係が明らかになっています。片頭痛を抱えている人に抑うつやパニック障害などを起こす割合が多いことも報告されています。
片頭痛とセロトニンの関係は、以下でお伝えします。  
※参考『頭痛』(旬報社)


■片頭痛の知識②

片頭痛とセロトニン


セロトニンは太い血管を収縮させます(毛細血管は拡張)。したがってセロトニンの代謝異常が起ると片頭痛を起こします。セロトニンの濃度が急に低下すると必ず頭痛を引き起こし、脳内のセロトニン量が安定的に供給されると片頭痛は改善することがわかっています。頭痛発作時は尿中や血漿中の脳内セロトニン代謝産物が増加しています。これは、頭痛発作時に脳内のセロトニンが大量に消費されて分解されたと考えられています。

セロトニン代謝異常

ストレスを含む様々な要因でセロトニンの代謝異常が起ると、下図のように脳内の血中にセロトニンが一時的に増えます。すると血管が収縮します。ます。収縮した血管からセロトニンが急激に減少すると今度は血管が拡張します。これによって血管の透過性が亢進し炎症物質が産生され血管壁が炎症や浮腫を起こします
これが痛みとして伝達されて片頭痛の発作が起こると考えられています。無題

ストレス⇒CRH(ストレスホルモン)上昇⇒5-HT(セロトニン)代謝異常⇒急激な血管収縮~拡張⇒血管の炎症・浮腫 ⇒片頭痛


【片頭痛対策】
慢性的な頭痛や片頭痛など、精神的なストレスで誘発される頭痛に対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が処方される場合があります。また、頭痛薬は、初期の段階では有効なときもありますが、長期連用・飲み過ぎは、頭痛をさらに発症させることにつながるので、注意が必要です。ストレスや疲労などでセロトニン神経が低下するとセロトニンの代謝異常がおこります。リラックスハーブ「ラフマ」はセロトニン神経への影響に期待がもてます。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

2011年5月27日金曜日

片頭痛の知識①

『国際頭痛分類』

慢性的な頭痛や普段感じないような頭痛を経験すると少し不安になることがあります。しかし、実際は、脳自体は痛みを感じない場所だということをご存知でしょうか。頭の血管や筋肉が刺激を受けて、初めて「頭が痛い」と感じるのです。たとえば「パソコンを仕事にする人の頭痛」はずっと同じ体勢でお仕事をしていることで、頭や首の筋肉が緊張して、ひどく凝ってしまうことによるものと考えられています。さらに、怖い話ですが、脳腫瘍や脳出血で起こる頭痛は、脳をとりまく血管や神経が引っ張られたり、圧迫されたりすることにより起こるとも言われています。
さまざまな頭痛がある中で、お酒の飲みすぎで翌日頭痛に悩ませられる経験をお持ちの方は多いと思います。「二日酔いの頭痛なんて飲みすぎが原因なので、病気の頭痛と同じように考えられるわけがない」とお思いでしょうが、実は二日酔いの頭痛も『国際頭痛学会』の国際頭痛分類(ICHD-Ⅱ)にしっかり明確に分類されているのです。この頭痛分類は、
  第1部:一次性頭痛
  第2部:二次性頭痛
  第3部:頭部神経痛・顔面痛・その他
の3部構成になっていて、この1~3部はさらに14に分類され、この中で“二日酔いの頭痛”は、二次性頭痛のグループ8の「物質またはその離脱による頭痛」に分類されています。このグループ8には、他に“シックハウス症候群”や“化学調味料のグルタミン酸塩の過剰摂取”などによる頭痛も明記されています。二次性の頭痛は、主に頭頸部外傷や脳の血管障害などによる頭痛ですが、「ホメオスタシス(恒常性)の障害による頭痛」のグループには、高血圧、低血圧などによる頭痛も明記されています。今回、以下で取上げる「片頭痛」(偏頭痛とも表記します)は、第1部の一次性頭痛の中に「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つのグループに分けられ明記されています。そして、片頭痛には15歳以上の日本人の約8%が悩まされているのです。


■片頭痛の知識①

(1)症候性頭痛と機能性頭痛
頭痛には大きく分けて、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜(ずいまく)炎などの頭蓋内のいろいろな疾患によってもたらされる「症候性頭痛」と慢性的に痛みを伴うものの、何の障害も残さずに治る頭痛の「機能性頭痛」があります。機能性頭痛としては、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛が代表的で、この中で片頭痛は大変多い疾患です。その頻度は男性より女性に多く、女性で20%、男性で6%という報告もあります。女性では月経前に生じやすいという特徴があります。

(2)片頭痛の症状
片頭痛の症状は、周期的に生じる片側性の頭痛で、ズキンズキンと脈を打つように拍動する痛みが特徴です。若年期に発症することが多い傾向にあるようです。頭痛発作の前日ないし数日前に、気分の変化、口の渇き、飢餓感、あくび、眠気などの症状が4人に1人の割合で出現します。特に治療をしなければ、頭痛は数時間から数日程度持続します。

(3)片頭痛の原因
頭蓋内で痛みを感じる組織は、血管、硬膜、静脈洞などで、これらは三叉(さんさ)神経の支配を受けています。この血管が何らかの原因で収縮した時期に前兆(脳内の血行不良による神経症状の出現)が生じ、その後の血管拡張時に拍動性の頭痛が生じると考えられていましたが、この血管説だけでは説明できない現象が多々あることがわかってきました。片頭痛患者では神経細胞(とくに脳幹部)の興奮性に異常があり、興奮が広がった時期にその代謝を支えるために血管が拡張し、逆に抑制が広がった時期に血管が収縮するのではないかとの説が有力です。正確なメカニズムはまだ不明ですが、最近の研究では神経伝達物質のセロトニンが、頭痛発生に深くかかわっていることがわかっています。

現在は片頭痛の原因として、血管説、神経説及び三叉神経血管説などが提唱されています。また、他にも血流やそれに伴う脳内の酸欠、高血圧・低血圧との関係など多岐にわたります。
次回からは、解説&対策をお送りします。


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愛・感謝 五月雨ジョージ

2011年5月23日月曜日

乳酸の知識④ ~総集編~

疲労の定義

「日本人の3人に1人は慢性的な疲労を感じている」
という厚生省のデータがあります。うち1割弱は「学校や会社の休みが必要」と答えました。他に病気がないにもかかわらず、家事や仕事ができないほど極端な疲労が6カ月以上続いたとき、「過度の肉体的・精神的な活動により生じた独特の病的不快感と休養を求める欲求をともなう身体的あるいは精神機能の減弱状態」と定義しています。疲労は、肉体的な疲労とストレスなどからくる精神的な疲労があり、病気ではなく病的な不快感で、精神機能なども衰弱状態にあるということです。そして、これら疲労の指標となるのが「自覚的疲労感」「体のパファーマンスの低下」ということです。疲労の原因の一つとしては、ストレスが挙げられますが、ストレスには個人差があります。
「ストレスは遺伝と性格が大きく影響しています。ストレスに弱いタイプの人は神経伝達物質の"セロトニン"が欠乏しやすい遺伝子を受け継いでいる、と考えられています」(関西福祉科学大学・倉恒弘彦教授)セロトニン神経が活性化すると、ノルアドレナリン神経(不安やストレスが高まると分泌)やドーパミン神経(すべての行動を起こす動機付けになる)の働きをうまくコントロールして、心の状態を安定させます。また、性格でいうと完ぺき主義者はストレスを強く感じやすい傾向にあるようです。倉恒教授は言います。「最近は仕事が複雑になり、精神的な疲労が高まっているため疲れが取れにくくなっています。でも、疲れは痛みや発熱と同じ体の異常を知らせる警報。自分の体の疲労度を自覚してください」


■乳酸の知識④ ~総集編~

乳酸は、エネルギー産生時に作られる!
エネルギー産生には、瞬発的にエネルギーを必要とするときに産生する「解糖系」と持続的にエネル
ギーを産生する「TCA回路~電子伝達系」があります。糖を使ってエネルギーを産生する解糖系の段階で余った物が「乳酸」という形で残ります。乳酸は一時的に作られる物で、燃えカスや老廃物ではありません。必要に応じてミトコンドリア内の「TCA回路~電子伝達系」で再利用されエネルギーになりますので、ミトコンドリアの多い筋肉繊維や心筋などで、乳酸は多く使われます。

セロトニンの再吸収を亢進する「乳酸」
「乳酸」は、そのセロトニン再取込み口の働きを亢進させ、セロトニンを必要以上に取り込んでしまい、結果的にセロトニンが枯渇した状態を作りだしてしまいます。乳酸も少ないうちは肝臓に運ばれ乳酸を糖に戻す働きで再び糖に還元されて肝臓に蓄えられますが、ストレスや過度の運動などで、過剰に乳酸がたまると還元されずに残り、セロトニン神経に影響を与えます。そのため運動神経などが低下し、力が出ない、疲労、気力が衰えるなどの症状が出てしまいます。

エネルギー産生の低下で乳酸が蓄積する!
ミトコンドリア内にあるエネルギー産生工場の電子伝達系で、乳酸はここで再利用されエネルギー産生に役立ちます。このシステムが低下していると、エネルギー不足を起こし疲労の原因にもなります。また、乳酸も消費できず蓄積することになります。



【疲労対策】乳酸そのものが疲労物質ではなくセロトニンに影響を与え疲労を発生させることが
わかっています。セロトニン神経機能に影響を与える「ラフマ」に期待がもてます。また、エネルギー産生の過程でできる乳酸は、そのエネルギー産生システムが正常に機能していれば乳酸もエネルギー産生時に再利用され消費されます。このシステムは、加齢、病気、ストレスなどで低下することがわかっています。コエンザイムQ10は、エネルギー産生の促進に影響を与えます。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

2011年5月20日金曜日

乳酸の知識③

疲労の認識

私たち人間を含め地球上の生物は、自分の身体能力の限界を超えて運動すると死に至ります。
そのため、身体はその危険を事前に察知して運動を制限するため「疲労感」「倦怠感」
といった不快な症状を示します。これこそが疲労の生物学的意味なのです。
「痛み」「発熱」「疲労」の三つを疲労のメカニズムを説明する研究者が「三大アラーム」と呼んで
いるそうです。人は「痛み」を感じた時にはその発生源を特定して、何が起きているのかを確認した
上で対策を講じます。切り傷であれば絆創膏を貼り、胃炎なら胃薬を飲み、骨折であればギプス
など処置をします。「発熱」時も感染症や炎症を疑い投薬や休養をとるなど策を講じます。そして、
疲労も身体の恒常性の乱れを通報するアラームと考えられています。肉体的な疲労の蓄積をスト
ップさせるには休息や睡眠など、精神的な疲労には気分転換できる趣味やリラクゼーションなどが
有効とされ、これらにより疲労を回復させ、再び次の行動に移ることができるのですが、こうした策
をとっても回復しない疲労もあります。それは「病気からくる疲労」です。「疲れがとれない、だるく
てやる気が出ないといって病院へ行き検査をしてみたら、重大な病気が見つかった」などと聞くこと
があります。肝炎、糖尿病、結核、脳血管障害、悪性腫瘍、内分泌疾患など疲労をともなう病気は
たくさんあります。これらのような病気で疲労が引き起こされている場合は、原因とされる病気を治
療しない限り休養や睡眠だけでは解決しません。休養や睡眠をとることで回復するような疲れは、
「病気からくる疲労」に比べれば「健康的な疲れ」(生理的な疲労)と言えるのではないでしょうか?
ご存知の「慢性疲労症候群」はどちらかというと「病気からくる疲労」に分類されますが病気が原因
で疲れるよりは、「疲れること自体が病気」という、ややこしい疲労の分類に入るそうです。「健康的
な疲れ」でも年齢と共にエネルギー産生の低下から回復力の衰えや、疲労が蓄積しやすくなるの
で安心できません。「疲労」と一言でいっても原因と対策が異なってきます。まずは、自身が感じ
ている疲労がどんな種類の疲労なのか
を把握しておくことが大事なことではないでしょうか?  
 ※参考『危ない!「慢性疲労」』倉恒弘彦・井上正康・渡辺恭良 著(NHK出版)


■乳酸の知識③

乳酸を使い切る! コエンザイムQ10
「乳酸」は、糖を原料にエネルギー産生の解糖系の段階で作られる副産物ですが、解糖系
~ミトコンドリア内のエネルギー産生段階で再利用されます。


下図のように摂取した栄養素(脂質・炭水化物・タンパク質)は、分解されて解糖系・TCA回路に入り、
各段階でエネルギー源となるATPを作り出しますが、この過程で作られるATPは少なく、重点的に
ATPが作られるのがエネルギー産生工場といわれる電子伝達系です。乳酸もここで再利用されエネ
ルギー産生に役立ちます。このTCA~電子伝達系は、ミトコンドリア内にあり、このシステムが低下
していると、エネルギー不足を起こし疲労の原因にもなります。また、乳酸も消費できず蓄積すること
になります。電子伝達系の機能には、コエンザイムQ10が重要な役割をはたします。


【疲労対策】エネルギー産生の過程でできる乳酸は、そのエネルギー産生システムが正常に
機能していれば乳酸もエネルギー産生時に再利用され消費されます。このシステムは、加齢、病気、
ストレスなどで低下する
ことがわかっています。エネルギー産生の低下は「エネルギー不足の疲
労」
「乳酸の蓄積によるセロトニンへの影響による疲労」の両方を引き起こしかねません。コエ
ンザイムQ10はエネルギー産生の要、電子伝達系に影響を与えます。コエンザイムQ10がないと、
この電子伝達系が機能しない
といっても過言ではありません!


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

2011年5月16日月曜日

乳酸の知識②

ただの疲れではない、精神的疲労

「気分が沈みがち」「いつもなんとなく疲れている」「何事も億劫」「些細なことに腹が立つ」「他人と顔を合わせたくない」などの状態が続く場合は、“精神的疲労”が考えられます。
この状態を放置しておくと、こころもからだも病的な状態に陥ることがあるので注意が必要です。疲労は大きく「急性疲労」と「慢性疲労」に分類することができます。急性疲労は数分から数十分の短い時間で生じるものと数時間単位で生じるものとで分類されます。慢性疲労の場合は、1日の活動が翌日までに回復するかどうかを問題にする「日周性疲労」と1週間単位以上の疲労を問題にする「慢性疲労」に分類されます。
一方で、疲労を活動や作業の性質の違いから分類すると、「肉体的疲労」と「精神的(神経的)疲労」とに分類されます。肉体的疲労は言うまでもありませんが、精神的疲労は、複雑な計算や記憶、思考などの心理活動ばかりではなく、我慢や緊張、時間に追われて作業をすることの焦燥感やストレスなど、感情や意思の活動が過度に要求された場合に生じる疲労です。特徴として、肉体的疲労は、一日の活動と共に強くなり、活動を終えた夜間にピークになりますが、精神的疲労は朝、目が覚めた時、つまり、一日を始める前が大きい傾向があります。肉体的疲労は休息を取ると、回復する可能性がありますが、精神的疲労は休息をとっても、あまり疲れが取れない傾向があります。そして、この精神的疲労が問題となるのは、これがしばしば睡眠への導入の邪魔になったり、途中覚醒を引き起こし睡眠不足状態などの睡眠障害を引き起こす原因になることです。このような場合、疲労は1日のサイクルで処理されずに翌日に持ち越されます。
強調文この悪循環が起ると、心身は容易に慢性疲労へと陥ることになります。慢性的な精神疲労は生活の質を損なうばかりか、しばしば、うつなどの心の病気の引き金にもなりますので、普段から十分な対策を取る必要があります。疲労により乳酸の分泌が促進され、質の良い睡眠の導入に欠かせないセロトニンに影響を与えることがわかっています。     
※参考【疲労の科学・講談社】


■乳酸の知識②

乳酸は「疲労物質」ではありませんが、必要以上に体内に存在すると神経伝達物質の「セロトニン」に影響を与えることがわかっています。そして、脳疲労から結果的に肉体的な「疲労」「慢性疲労」という症状がでます。

セロトニンの再吸収を亢進する「乳酸」
神経伝達物質のセロトニンは、セロトニン神経の先端(終末部分)からセロトニンを放出します。そして、様々な標的細胞へセロトニンを供給していきますが、セロトニンを有効活用するため、使われなかったセロトニンを「セロトニン再取込み口」から取り込み再利用します(図上段)。しかし、「乳酸」は、そのセロトニン再取込み口の働きを亢進させ、セロトニンを必要以上に取り込んでしまい、結果的にセロトニンが枯渇した状態を作りだしてしまいます(図下段)。





乳酸も少ないうちは肝臓に運ばれ乳酸を糖に戻す働きで再び糖に還元されて肝臓に蓄えられますが、ストレスや過度の運動などで、過剰に乳酸がたまると還元されずに残り、セロトニン神経に影響を与えます。
そのため運動神経などが低下し力が出ない、疲労、気力が衰えるなどの症状が出てしまいます。
※参考『セロトニン呼吸法』(有田秀穂・高橋玄朴著)

【疲労対策】
乳酸そのものが疲労物質ではなくセロトニンに影響を与え疲労を発生させることがわかっています。セロトニンに影響を与えることは、疲労だけに留まらず、睡眠障害、倦怠感、抑うつなど精神神経系にも影響することが考えられます。セロトニン神経機能に影響を与える「ラフマ」に期待がもてます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 五月雨ジョージ

エネルギー代謝とエネルギー産生

エネルギー代謝とエネルギー産生

太りやすい体質という人がいますが、これは体内で行われる、エネルギー代謝というものが大きく影響
しています。エネルギー代謝が高ければ高いほど、太りにくい体質といえます。そして、エネルギー代謝
には以下の3種類があります。


■3つのエネルギー代謝

(1)基礎代謝‥‥1日の総消費量エネルギーの60~70%を占める
人間は安静にしていても、生きていくために最低限必要なエネルギーが消費されます。このことを基礎代
謝と言います。基礎代謝が高いということは、それだけ必要とするエネルギーが多いということです。
エネルギーをたくさん使うということは、脂肪が燃焼されて太りにくいということです。

(2)生活活動代謝‥‥総消費エネルギーの20~30%を占める
日常の動作など身体を動かすときに必要となるエネルギー消費のことを言います。通勤通学や重労働を
したりすると高くなります。

(3)食事誘導性熱代謝‥‥総消費エネルギーの10%を占める
食事をすると身体が温まり汗をかきます。このように食事のときに使われるエネルギーのことを言います。
ダイエットのために食事を抜くと、この食事誘導性熱代謝が使われないということになってしまいます。


■2つのエネルギー産生システム

(1)解糖系
炭水化物(糖質)を利用してエネルギーを産出するしくみを解糖系と呼びます。酸素がなくてもエネルギー
を産生しますが量は少ないですが、素早くエネルギーを産生します。

(2)細胞呼吸系(TCAサイクル:クエン酸回路・電子伝達系)
酸素が十分にある状態では、解糖系は血液中の糖分やグリコーゲンを利用し、ピルビン酸を作ります。
ピルビン酸からいくつかの物質に変化しクエン酸が作られます。クエン酸が代謝されて、TCAサイクル・電
子伝達系を回し続けます。これが運動のためのエネルギーを生み出します。産生のスピードは遅いです
がエネルギー産生量が多いのが解糖系との違いです。これを回し続けるためには、十分な酸素と燃料が
必要です。逆に、酸素と燃料が十分に供給されれば、エンジンを回し続けることが可能です。そして、燃料
を効率的にTCAサイクルで使うには、CoQ10、α-リポ酸、L-カルニチンが、酸素の供給には霊芝のミトコ
ンドリアスクエアが期待できます。


いつもありがとうございます。
五月雨ジョージ

2011年5月14日土曜日

乳酸の知識①

乳酸は有効なエネルギー源だった

疲労は、身体が健康を維持するために現れる防御反応およびその兆候と言われます。倦怠感、思考力低下、身体の痛みなどの自覚症状が代表的な例で、生理現象の一つとして考えられ、病気とは区別されます。しかし、疲労の度が過ぎると、病気に近い状態、あるいは実際の病気である慢性疲労となります。
現代社会には疲労を引き起こす要因が多く存在すると言われています。疲労感とは、精神的な要因に大きく影響され、個人差もありますが例えば、気分が高揚しているような場合は、通常では疲労を感じるような仕事量でも、疲労を感じないことがあります。そして、疲労の原因には次のようなものが考えられると言われています。

(1)エネルギー産生の低下
栄養不足や細胞内でエネルギー産生機能の低下により十分なエネルギーの摂取が行われない場合。
(2)疲労物質の蓄積
日々の活動に伴い、疲労物質が蓄積することで筋肉の収縮が妨げられ、疲労する場合。
(3)体内の恒常性の失調
汗をかくことにより浸透圧など体内の恒常性が失われることで疲労する場合。 
(4)脳の調整力の失調
思考や記憶を連続して行うことやストレスなどにより、脳の調整力が低下し、情報の処理や神経伝達物質の分泌がバランスよくスムーズに行われなくなることで疲労する場合。精神的疲労などは、これにあたります。

(2)の疲労物質の乳酸の蓄積については、近年の研究では否定的になってきていて、「乳酸は老廃物ではなく有効なエネルギー源」という説明が定着しています。
エネルギーは、細胞内のミトコンドリアで糖や脂肪から合成され、急激な運動をすると糖分解が活発化してミトコンドリアに送られますが、ミトコンドリアでの処理には限界があるため一時的に余ってしまう物質があります。それが乳酸なのです。「乳酸が疲労物質なら運動後もずっと残っているはず。でも実際は運動から1時間もすれば元のレベルに戻ってしまう。疲労物質ではない何よりの証拠。疲労はもっと複合的な要素で起こる現象だ」と東京大学の運動生理・生化学准教授は話しています。疲労物質ではない乳酸ですが、疲労や慢性疲労症候群などの改善に関わるセロトニンに影響を与えることがわかっています。


■乳酸の知識①

過去、乳酸は疲労の原因とされ「疲労物質」などと言われてきました。しかし現在、疲労の原因は、リン酸の蓄積、カリウムが筋内から漏れ出す、筋グリコーゲン濃度の低下、体温の上昇、活性酸素の発生、脱水症状、脳疲労など様々な原因が挙げられています。

乳酸は、エネルギー産生時に作られる!
ご存知のように、エネルギー産生には、瞬発的にエネルギーを必要とするときに産生する「解糖系」
と持続的にエネルギーを産生する「TCA回路~電子伝達系」があります。このふたつは、糖を使ってエネルギーを産生するのに時間差が出てしまい余った物が「乳酸」という形で残ります。
(下図参照)




★老廃物ではない「乳酸」★
乳酸は一時的に作られる物で、燃えカスや老廃物ではありません。必要に応じてミトコンドリアで、再利用されエネルギーになりますので、ミトコンドリアの多い筋肉繊維や心筋などで、乳酸は多く使われます。実際、マラソンランナーは完走時に体内に「乳酸」はほとんど残っていないそうです。

脳疲労に関わる「乳酸」
疲労は、筋の力が出ないといった生理学的なことだけではなく「だるさ」というような感覚も含んでいます。だるさという感覚は、脳が「こんな運動をしていると、体に悪影響がでるから止めなさい」という指令と考えられています。そして、脳疲労には神経伝達物質「セロトニン」の関与も知られていて「乳酸」が、このセロトニンに関わっていることがわかっています。
※次回へ続く‥‥

いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

2011年5月10日火曜日

「康復医学」を知っていますか?

日本の「康復医学」を考えよう!

延命治療とは、疾病の根治ではなく延命を目的とした治療のことで対症療法のひとつですが、
がんの術後、延命治療を行った場合、患者はその間余計に苦しむことになる場合もあります。
しかし、近年がん治療に対する考え方が大きく変わりつつあります。短期間の腫瘍縮小効果
や「奏功率*」といった指標ではなく、「どれだけ元気で長く生存できたか」(QALY)とする「生活
の質」の向上を優先する考え方が一般的になってきました。

そして、その考え方を現在実行している俳優さんがいます。「先生には『早くて8月、頑張れば
12月くらいまではいける』って言われましたね」(本人談)。「銭形平次」や「水戸黄門」などの
ドラマで名脇役として知られる俳優・入川保則(71)さんです。現在、がんは全身に転移してい
るそうですが、抗がん剤などの延命治療は拒否しているとのことです。突然の告知にもまった
くショックはなかったそうです。ご本人は、「人間一度は死ぬんだ、生きている間は生き生き生
きたい」と、医師と相談した上で再手術や抗がん剤治療も受けないことを決意。「むしろ理想通
り(の死)で落ち込んでもいない。預貯金もないけど借金もないし、ちょうどいい」と残された時
間を自分らしく生きて行こうと決意したそうです。

生活の質を優先し余命をまっとうすることは「康復医学」の考え方のひとつでもあります。「康
復医学」は、治療や予防と違い健康を回復するための医学です。中国の各医科大学では、各
地域の気候などの地域性を踏まえて、自然と共鳴して生き生き生きることを目的とする、医学
として大系づけられた“実践医学としての康復法”があります。

わが日本でも、日本の地域性(気候の違い、自然環境の違い)にあった“日本の康復医学”を
考えていくべきではないでしょうか。


■「康復医学」のイメージ

疾病の予防を行うことや、病気になりにくい心身の健康増進を図るための医学は「予防医学」
といいます。また、西洋医学を中心として病気やけがなどを治療していくのが「治療医学」です。
そして、治療後の日常生活の質や職場への復帰を助ける医学が「康復医学」という範疇に入り
ますが、それだけではなく、WHOの健康定義に基づいた本来の健康を取り戻したり、最近
では、がん治療の評価も「どれだけ元気で長く生存できたか」とする考え方が定着しています。
これら全てが「康復医学」の大きな目的となっているのです。

○予防医学=運動・食事・睡眠など
○治療医学=西洋医学は治療の中心。病理判断、手術、即効性のある対症療法など
○康復医学=微小循環・身体調整生薬・鍼灸・整体・ストレスフリー・气功など


【康復医学のイメージ】

いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ