脳のエネルギーはブドウ糖だけではない!
脳はどの臓器よりも多くのエネルギーを消費するにもかかわらず、そのエネルギー源となるのはブドウ糖だけで、たんぱく質や脂肪では補えません。しかも、脳に蓄積できるブドウ糖はほんのわずかですから、頭脳作業で頭が疲れてボーっとしているときに「脳の栄養素は糖分!」と信じて、朝から缶コーヒーや炭水化物などを意識して補給をしている人がいます。
「ブドウ糖は脳のエネルギー」と思い込んでいる人が、非常に多いようです。確かにブドウ糖が脳のエネルギーであることには間違いありませんが、「ブドウ糖が唯一のエネルギー」というのは問違いです。
確かに、細胞の中のミトコンドリアでエネルギーを生み出すTCA回路はブドウ糖も燃料としています。しかし、体内のブドウ糖が不足すると、肝臓で中性脂肪を分解した「脂肪酸」や、その脂肪酸から作られる「ケトン体」という物質も脳のエネルギーとして使われます。
脳に血液を送る血管には、ウイルスや細菌が侵入するのを防ぐ「血液脳関門」という関所があります。脂肪酸は、脳以外の部位ではブドウ糖やケトン体と同じようにエネルギーとして使われますが、分子量が大き過ぎて「血液脳関門」は通ることはできません。このことが「脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけ」という誤解を生みました。しかし、ケトン体は分子量が小さいので「血液脳関門」を通ることができ、ブドウ糖と同じく脳の栄養素として使われます。ケトン体は、脳だけではなく、筋肉や心筋、骨格筋では日常的に使われています。
糖質の摂取を控えると、血液中のケトン体の濃度は数倍以上になり、脳はエネルギー必要量のほとんどをケトン体でまかなうことができるのです。使い切れないケトン体は、尿や呼気になって体外に排泄されるので蓄積することはありません。糖質を制限すると、身体はケトン体をうまく使えるようになり、脳は、ブドウ糖に加えてケトン体というエネルギー源を使うことになり、頭の働きも良くなることに期待が持てるのです。
最悪物質AGE⑩
■AGEが関与する様々な影響
たんぱく質は、三大栄養素のひとつであり、生きていくうえで特に重要な栄養素です。体重の約1/5をしめ、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であるとともに、酵素などの生命の維持に欠かせない多くの成分になります。体の水分を除くほとんどがたんぱく質でできているので、糖化を完全に防ぐことはできません。高血糖が続くと、余分な糖が体内で糖化反応を引き起こし、AGEを大量に生成して老化や病気の発症を加速させます。
糖尿病合併症は、AGEによって全身の毛細血管が障害されることが大きな原因です。なかでも「三大合併症」と呼ばれるのは、「腎臓」「目」「神経」です。腎臓の場合は、ろ過膜の毛細血管がAGEに障害されることにより、ろ過機能が低下し、「糖尿病性腎症」が起こります。目の合併症は「糖尿病網膜症」です。網膜の裏側に張り巡らされた毛細血管がAGEによってもろくなり、出血が起こると失明することもあります。このように、糖尿病合併症が起こると、人間の基本的機能がじわじわと蝕まれていくのです。これが「糖尿病患者の寿命は、通常の人よりも10年も短い」と言われる所以です。
動脈硬化は、AGEとAGE受容体(RAGE)が引き起こす血管壁の炎症が原因であり、老化に拍車をかける要因になっています。心臓の血管で動脈硬化が進むと、心筋梗寒や狭心症が起こりやすくなります。
認知症予防は、脳をよく使うことよりもAGE対策が有効!
認知症には「脳血管型」と「アルツハイマー型」の2つがありますが、どちらのタイプにもAGEの関与が認められています。糖化はアルツハイマー病の大きな憎悪囚子です。アルツハイマー病は、「β-アミロイド」というたんぱく質が脳内にたまるのが原因で、この物質が蓄積すると、脳に「老人斑」というシミができます。この脳にできたシミを調べると、AGEがたくさん検出されています。AGEの作用によって脳内の細い血管がもろくなり、微小脳梗塞が多発し、脳血管型の認知症を発症する大きな原囚になっています。いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ