2013年12月28日土曜日

「放散痛」とは?

思わぬ所に表われる「放散痛」に要注意

 残業続きで「疲れがたまった」くらいに思っていた。その後も、何度か左肩が強く痛む時があったが、特に気にしないでいたら3ヵ月後、心筋梗塞を起こしてしまった――。

 これは実際にあった話ですが、もし胸の辺りが激しく痛んだなら、この方は重大病と疑っていたはずです。しかし、重大病のサインは、そのものずばりの場所に出るとは限らないのです。このような重大病と関連があるとは思えない痛みの自覚症状を「放散痛」といいます。

九段クリニック・阿部博幸理事長は、「内臓にはさまざまな神経系統があります。痛みはそこを伝わって生じるので、思わぬ場所に表れることが少なくありません」と言っています。
 「狭心症の場合、左の肩や顎などが痛みます。狭心症は心筋梗塞の前兆とよくいわれますが、典型的な訴えは前胸部の真ん中あたりの圧迫感、焼けるような痛み、締め付けられるような感じです。いずれにしても、胸周辺に起こります。そのために、肩や歯が痛んでも、肩凝りや歯の痛みと勘違いするケースが珍しくないのです」(阿部理事長)。
 狭心症は、高血圧、喫煙者、肥満の人にリスクが高く、これらに該当するなら、左の肩凝り、左の歯痛は要注意です。
 「狭心症の症状は、長く続くわけではありません。数分から20~30分で症状が消えますが、労作に伴って何度も症状が表れます。そういった時は、循環器内科を受診してください」。

 こんな事例もあります。日頃、腰痛を訴えていた人が「これまでの腰痛と違う感じ」と何度も言い、「様子を見て、この痛みが続くようなら病院に行ってみる」と話していましたが、その数時間後、突然倒れ、そのまま亡くなり「解離性大動脈瘤」と診断されました。「腰痛は、解離性大動脈瘤の症状だった可能性が高い。解離性大動脈瘤は、放散痛として背中に痛みが表れます。それを腰痛などと勘違いする人がいるのです」。一般的には、解離性大動脈瘤の痛みは強烈です。しかし、ジワジワくる痛みの場合もあります。糖尿病を患っている人なら、神経に障害が生じているので痛みを感じにくく、本来は強烈な痛みと感じるところを、そう思わずにいることもあります。
「放散痛で命にかかわるといえば、狭心症や心筋梗塞、そして解離性大動脈瘤に関連した痛みになります。少しでも“いつもと違う”と思ったら、病院で検査を受けるべきです」(すべて阿部理事長)。

■関連痛と放散痛

神経は、各部位の神経が集まる箇所では一本の太い束ですが、身体の末端に行くほど枝分かれして細くなります。こうした仕組みから、脳は障害が起きている部位からの痛みの信号を特に異常のない身体の部位から送られているものと勘違いする場合があります。
 このように体のある部位の痛みを、別の部位の痛みと脳が勘違いして発生する痛みのことを「関連痛」といいます。

かけ離れた自覚症状

関連痛の中でも、病気や障害のある部位とは全くかけ離れた部位に現れる痛みのことを特に「放散痛」といいます。内臓疾患で肩・背中・腰に痛みが出たり、心筋梗塞などの心臓の病気で、歯・肩・背中などに痛みが出るといったものです。

主な関連痛


放散痛は、それ自体が色々な病気によって生じている症状のため、その根本となっている病気に対処することになります。上記のような自覚症状が長時間続く、頻繁に起るなどの場合は痛みの原因を追究し対処することが重要です。


いつもありがとうございます。
★今年の『本説伝(ホントツタエ)』は今回で打ち止めとなります。一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月25日水曜日

危険なタバコの煙!

副流煙の弊害!

タバコの副流煙(喫煙者が吸い込む主流煙に対してタバコの先から出る煙)は、喫煙者が吸う煙よりも多くの有毒化学物質が含まれています。この副流煙、心臓病になるリスクを最大で30%増加させることが知られています。

 米サンフランシスコ総合病院の研究チームは、これまでの研究で示されたものよりも濃度が低い副流煙を短時間吸い込むだけで、喫煙をしていない成人に血管機能障害の徴候が観察されることが分かった、と米医学誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表しました。

 今回の研究には糖尿病、心臓病、腎臓病にかかったことがない健康な非喫煙者33人(18~40歳)が参加しました。唾液中のコチニン(ニコチンからできる化学物質)の濃度を測り、研究前24時間以内に副流煙にさらされていないことを確認した上で、
 ①フィルター処理した清浄な空気
 ②一般的な喫煙者の家庭またはレストランに漂う副流煙
 ③タバコの煙が立ち込めるバーやカジノの副流煙
の3つの環境に割り付けました。これらの環境は実験室で再現され、タバコはフィルター付きのメンソールでないものを使用し、喫煙マシンで煙と測定器を使ってそれぞれの環境に準じた濃度の副流煙を発生させ、被験者を、30分間さらしました。その結果、環境中にしばらく漂う副流煙にさらされた成人では上腕動脈の拡張度が低下し、血管内皮細胞の機能が障害されることが示唆されました。血管内皮機能不全は、脳卒中心筋梗塞などを引き起こすアテローム性動脈硬化症との関連が指摘されています。

 一方で、尿検査と血液検査などの代謝物の測定を行いましたが、いずれも差は認められませんでした。研究者は「多くの成人と子供が地域社会の屋内外で遭遇している低濃度の副流煙を吸入すると、わずか30分後に血管機能が障害を受けることが示された。これは、非常に懸念すべき問題だ」と述べています。

 さらに「喫煙は、自分で変えられる心臓や血管の病気の最も大きな危険因子。今回の研究で、喫煙習慣が自分の心臓だけでなく、別の部屋で短時間喫煙するだけでも自分以外の人に危険を及ぼすことを喫煙者に強く認識してほしい」と結論づけました。
 また、被験者の数が少ないことと副流煙にさらされたのが1回のみだった点が研究の限界ですが、その点について「短時間で何度も副流煙にさらされるという日常生活により近い状況が再現されれば、代謝物や心臓と血管の機能に及ぼす影響の規模も大きくなる可能性がある」と述べています。

 現在、中国で発生しているPM2.5(微小粒子状物質)が話題になっていますが、実はタバコの煙もPM2.5そのものであることを忘れないでください。喫煙OKの居酒屋のPM2.5濃度は、ひどいときの北京市と同等以上なのです。

■血管内皮細胞と一酸化窒素

喫煙習慣がなくても、副流煙だけで血管内皮細胞機能が障害されることが示唆されています。血液内のLDL(悪玉コレステロール)の増加や、血圧上昇、酸化ストレスの増加などにより、血管内皮細胞の機能が低下し、一酸化窒素(NO)などの血管作動物質の産生が減り、臓器としての血管の機能に障害が出ます。血管内皮機能の障害はアテローム性動脈硬化症の発症につながり、この状態が続くと脳卒中や心筋梗塞などを引起こす恐れがあります。

一酸化窒素の重要性

血管内皮細胞から産生される一酸化窒素(NO)は、血管拡張作用(降圧作用)、血小板凝集抑制作用(抗動脈硬化作用)、単球などの白血球が血管内皮細胞に接着したり内皮細胞下組織に浸潤するのを防ぐ作用、などがあります。

 ○酸化ストレスによる内皮障害の抑制     
 ○血小板凝集の抑制
 ○白血球の内皮細胞への接着の抑制     
 ○平滑筋細胞遊走の抑制
 ○血管平滑筋細胞のアポトーシスの誘導   
 ○血管の拡張
 ○平滑筋細胞増殖の抑制

一酸化窒素(NO)の産生を促進する霊芝

※資料抜粋:『HM真菌エビデンス~自然食菌の同定から臨床まで』(微小循環研究所刊)

 康復医学学会が長年研究に取り組んでいる生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、上記データのように一酸化窒素(NO)の産生促進作用があります。一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞の障害の改善だけではなく、血管の拡張作用低下・血小板の凝集にも影響し、血流低下の改善にもなります。そのため、微小循環の血流改善のベースになり、動脈硬化による脳血管障害、心臓血管障害などの予防・改善に期待が持てます。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月21日土曜日

低体温症

屋内の方が発症率が高い?

 「低体温症」と聞くと、冬山などで寒風や雪、冷雨などにさらされて起きるものと勝手に思い込んでいる人が多のですが、実際はまったく違います。

 「実は、都会など普段の生活の中で生じる身近な危険として見過ごせないのが低体温症なのです。事実、救急車で病院へ運ばれてくる低体温症の患者さんのうち、自宅など屋内で低体温症を起こした患者さんが、屋外での発症者の3倍以上に上ります」。こう警鐘を鳴らすのは低体温症の全国調査を初めてまとめた日本救急医学会・熱中症に関する委員会の三宅康史委員長(昭和大学医学部・救急医学)です。

 「人体の中心部の温度(中心温)は通常36.5~37.1度に保たれていますが、それが36度を切ると低体温症と診断されます」。当初は皮膚表面の血管の収縮から鳥肌が立ち、熱を得るための筋肉の収縮から体がカタカタと激しく震え始めます。口ごもって言葉が思うように出なくなり、歩行もままならなくなります。
 「そのうち体熱の喪失が発熱を上回るようになると、中心温は33度以下(中等症)へ低下。やがて体の震えは止まり、意識障害からもうろうとなったり、支離滅裂なことを言い姶めたり、呼びかけに反応しなくなったりします」。
 さらに30度以下(重症)に低下すると昏睡状態に陥り脈拍は微弱となります。そして、心停止に至るというのが低体温症です。

 屋内の場合では、「たとえば、同居家族が不在中の昼間、トイレに行く途中で階段を踏み外し、倒れたまま動けなくなり、助けを呼べずに低体温症に陥ったお年寄りのケースもあります」。家の中でも暖房か効いていない寒いスペースはいくらでもあります。認知症のため適切に判断できない高齢者を抱える家庭では、特に注意しなければなりません。

 「また、脳卒中や狭心症・心筋梗塞、低栄養などの病気を患っている場合、低体温症の発症をきっかけに病状を悪化させ、後遺症を残したり、死に至ったりするケースも少なくありません」。
 中でも糖尿病の患者は要注意です。「いわば、糖は体の中でエネルギーをつくり出すガソリンです。このガソリンを燃焼させるため、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要があるのですが、糖尿病はそれがスムーズにできなくなるので、低体温症に陥りやすいと言えます」「自分一人で身の回りのことができなかったり、独り暮らしだったりするお年寄りが低体温症になりやすいといえます」(すべて三宅委員長)。

 しかし、家族と同居していても、お互いのコミュニケーシヨンがとれていないケースも少なくありません。体が冷えたまま、当初の体の震えがなくなったら危険な兆候です。ただちに救急車を呼んでください。

■日常でも多い低体温の弊害

 「低体温症」は前項でもお伝えした通り、重症になると命に関わります。しかし、軽度な低体温でも様々な不調に悩む人が多いのが現状です。
 低体温は体質だけが原因ではなく、薄着でいることによる必要以上の熱の放出や、偏食(ダイエット等)などによる栄養不足、不規則な生活習慣・運動不足、等々も原因と考えられています。
 また、ストレスにも要注意です。ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると中心温が36℃を下回り、低体温特有の疾患や免疫力の低下などが表れることがわかっています。

低体温になる生活習慣

ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ

過度のストレスがかかると血行不良が起こることがあり、これも低体温の原因としてあげられます。
 また、ストレスはホルモンバランスを崩し、自律神経を乱してしまうため、体温をコントロールすることができなくなり、低体温になってしまうことがあります。

エネルギー産生の不足

エネルギーを作り出す機能が低下してエネルギー不足に陥ると、基礎代謝が低下するため冷え性や低体温の原因になります。

たんぱく質不足

ダイエットや高齢者の摂食障害によりたんぱく質が不足すると、血液を送る筋力も低下するので、やはり低体温の原因となります。細胞の中にある“ミトコンドリア”という小器官が熱を発生させているのですが、筋肉量が減ると、ミトコンドリアの数も少なくなるため、それに伴って体温が下降してしまうのです。
 体を作っているのはたんぱく質です。植物性だけでなく動物性たんぱく質もしっかり摂る必要があります。



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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月18日水曜日

がん、アルツハイマーもストレスに起因する

ストレスは万病の元?

ストレスとアルツハイマーとの関係について、佐賀女子短期大学非常勤講師の長谷川亨先生は、次のように述べています。「強いストレスが続くと、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が減少し、必須アミノ酸であるホモシステインがホモシステイン酸に変化するのを助長します。そして、このホモシステイン酸が、脳内でベータアミロイドの蓄積を加速させます。この“ベータアミロイド”というのが非常に有害な物質で、これが脳内に蓄積すると脳の神経細胞が死んでしまいアルツハイマーを発症するのです」。
 もちろん、アルツハイマーの発症率は若年層より老年層の方が高いのですが、「老化によってホモシステイン酸の排出機能が低下することや、年齢とともにストレスを引きずる傾向が高まることなどが挙げられます。気持ちを若く保ち、なるべく切り替えを早くすることが大事です」(長谷川先生)とのことです。
 一方、ストレスとがんの関係も研究によって徐々に解明されてきています。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の動きが活発な人よりも、そうではない人の方ががんにかかる率が高い傾向があることが分かっています。そしてこのNK細胞の活性が、ストレスによって抑制されてしまうことが報告されています」。
 また、「免疫の低下以外でも、活性酸素によって細胞のがん化が引き起こされることも分かっています。生体はストレスにさらされると、交感神経が緊張し、アドレナリンなどのホルモンが分泌されます。それによって生体が興奮状態に導かれると、それを元に戻そうとする調整作用が働き、アドレナリンの分解が起こります。この時、分解酵素の働きに伴って活性酸素が発生、がんの発症につながるのです」(お茶の水女子大学名誉教授・室伏きみ子氏)。
 ちょっとした体の変調から大病まで、まさにストレスは万病の元なのです。

 最も効果的なストレス解消法はもちろん「ストレス源を絶つこと」。しかし、そうそう仕事を辞めるわけにもいかないし、人間関係や生活習慣を改善するのは難しいものです。
 他にストレスを撃退する方法はないものでしょうか。

ストレスの予防・解消には、セロトニンを活性化させるのがおすすめです」。長年、ストレスと健康の関連を研究してきた東邦大学名誉教授の有田秀穂氏(脳生理学)は語ります。
「人はストレスに対して戦うか逃げるかのどちらかの行動を取るのですが、解決できないことが長く続くと、やがて戦わなくなってしまいます。そうなると、脳内でストレスホルモンが分泌され、うつや自律神経失調症、不眠などになります。セロトニンは、このストレスホルモンをコントロールする役割を持っています」。

■ストレスとセロトニン

ストレスに対抗するセロトニンですが、ストレスや睡眠障害、生活習慣などでセロトニン神経の機能が低下し、セロトニンの分泌量は減少してしまいます。分泌されたセロトニンは、リサイクルもされていますが、慢性的なストレスは、このリサイクル機能も低下させてしまいます。
 ストレスにより分泌される量が減り、リサイクル量も減ると慢性的なセロトニン不足となってしまうのです。

ストレスが神経伝達物質のバランスを崩す!

ストレス状態が続き、CRH(ストレスホルモン)が放出されセロトニン放出が抑制されると、アドレナリンやドーパミンをはじめとする神経伝達物質のバランスを崩します。その神経伝達物質のバランスを整えるのがセロトニンです。

 康復医学学会の主要研究テーマ「ラフマ」には、
〔セロトニン神経の活性〕→〔セロトニン分泌の促進〕→〔神経伝達物質のバランス調整〕
という働きに期待できるエビデンスがあります。

ラフマとセロトニン

ストレスやうつ状態に伴い脳内神経伝達物質セロトニンの量が変動することが知られています。下記はラットによる脳内セロトニンに対するラフマ錠剤の作用の研究データです。




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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月14日土曜日

ストレスで老化が進む

ストレスが老化を促進する!

職場や家庭、人間関係などで生じるストレスは社会的にも問題になっています。
 ストレスとは一体何なのか、そしてストレスを感じた時、体の中では何か起こっているのか? 今回は、そんな意外と知られていないストレスの基礎知識と最新情報をお送りします。

 ストレスとは、元々は物理学の言葉ですが、今では、動物に加えられる生物学的・精神的圧力の総称としても使われています。そして、ストレスには「悪い」ものと「良い」ものがあります。
 外国の研究チームが、同一の母ラットから同時に生まれたラットを数匹ずつの2つのグループに分け、片方のグループには食事量を減らし時々震動などのストレスを与え、もう一方には何のストレスも与えず十分な食事を与えて育てました。すると、前者の方が健康に育ったのです。

 「ストレス状態には①交感神経が興奮する警告期 ②防衛反応が引き起こされる抵抗期 ③生体が疲弊してしまう疲労期、という3つの段階があります。良いストレスとは②の抵抗期までで解消される程度のもので、悪いストレスとは③の疲労期にまで達したものです」とは、お茶の水女子大学名誉教授の室伏きみ子先生。つまり、適度なストレスは動物が成長する上で必要ですが、過剰なストレスはその生体に悪影響を及ぼす、ということなのです。

 そして、気になるのが過剰なストレスは老化が進む原因になってしまうということです。
 「脳の中の扁桃体はストレスを感知すると、“快”か“不快”のシグナルを視床下部に伝達します。その後、体内の2つの経路から抗ストレスホルモンと呼ばれるグルココルチコイド(コルチゾンやコルチソールを含む)が分泌され、生体に影響を及ぼします。ストレス状態が長く続くというのは、グルココルチコイドが長く出すぎることなのです」(室伏先生)。
 過剰なグルココルチコイドは体にどう影響するのでしょうか。
 「グルココルチコイドはたんぱく質を壊しながらグルコースを作りますので、筋肉が弱くなったり傷が治らなくなったりします。また、胃粘膜の減少と胃液分泌の亢進が起こり、胃潰瘍を引き起こすこともあります」と、室伏先生は続けます。
 「グルココルチコイドが長く出ている間は、成長ホルモンなど他のホルモンの分泌が妨げられてしまいます。例えば、成長ホルモンの分泌が減ると、子供なら発育不良になりますし、大人であれば、老化が進む原因になってしまうのです」。

■ストレスの数値化

ストレスは目に見えないものです。知らず知らずのうちにストレスをため込んでいても、自分ではなかなか気づきません。そこで専門家たちが腐心してきたのが“ストレスの数値化”という試みです。

勤労者のストレス点数

左の表は“勤労者のストレス点数表”といい、「配偶者の死」や「左遷」といった、誰にとってもストレスとなりそうな項目がずらりと並び、性別、年代別にそれぞれ点数がつけられています。
 「この表の元になっているのは、1967年に社会学者のホームズと内科医のレイがワシントン大学で発表した“社会的再適応評価尺度”。彼らはまず結婚や借金など、ストレスの作用因子になると考えられる項目を選び出して表を作成。結婚によるストレス度を50点とし、それを基準に0~100点の範囲でそれぞれの項目について多数の人に自己評価で点数をつけさせ、項目ごとのストレス度を割り出したのです」。
 そう説明するのは、大阪樟蔭女子大学心理学部臨床心理学科教授の夏目誠先生。
 「私は、大阪府立公衆衛生研究所の村田弘氏と共にホームズの“尺度”を日本的に改善し、勤労者用、大学生用、主婦用に分けてストレス調査票を作成しました。勤労者用では、大企業に就業中の1,630名(女性308名)に調査し、結婚によるストレスを50点として、それを基準にそれぞれの項目に対して任意で数値を記入してもいました。そのデータをもとに、統計ソフトなどを用いて解析して割り出したのが“勤労者のストレス点数”なのです」
 このような表をもとにして自らのストレス度を測定する方法を「ライフイベント法」と言うそうです。評価方法は、まず20項目のうち、ここ1年以内を振り返って当てはまるものに丸をします。20項目中で2個以上、上位10項目中で1個でもあてはまる人はすぐにでも休息をとったほうが良い。統計の結果は、健常者の平均点は102点、半健康状態の人の平均は260点、ストレス疾患のある人の平均は309点となっています。300点を超えていたら危険、ということになります。
 「ライフイベント法の利点は、自分のストレスを客観的に見ることができる点です。例えば、“多忙による心身の疲労”と“仕事上のミス”の両方に丸がついたとしましょう。その場合、過労のためにミスが起こったのか、ミスをリカバーするために多忙になったのかを考えます。もし過労によるミスだと分かったら、意識的に疲れをとることでミスも防げる、といったようなストレス回避策を具体的に考えられるのです」。

 現在、すでに市販されている「ストレス計測器」もあります。唾液アミラーゼの分泌量で急性のストレスを測ることができる機器で2005年の完成時から2012年末までに1万台以上を売り上げたと言います。
(参考:週刊新潮 2013.12.19日号)

 上記の「ストレス点数表」と「唾液による計測器」で判断すれば、自分のストレスをある程度“可視化”出来るようになります。
 しかし、これもあまり気にしすぎると、それ自体が新たなストレスとなってしまいます。ほどほどに‥‥。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月12日木曜日

「うつ病」?、それとも「認知症」?

判断が難しい高齢者のうつ病と認知症

高齢化や独り住まいの増加などを背景に、うつ病にかかる高齢者が多くなっています。65歳以上では軽症例を含めると約15%に及び、若い人のケースと比べて体の症状が前面に出やすく、自殺率も高いのが特徴です。

 認知症介護研究・研修東京センター副センター長の須貝 佑一先生は、「うつ病は意欲、感情、自律神経の障害が基本的な症状ですが、高齢者では食欲不振、不眠、体のだるさや痛みなどの身体症状が前面に出やすいのです」と言っています。食欲不振がひどいと衰弱して、もともとかかっていた病気が悪化したり、脱水を起こして血管障害を招いたりすることがあります。
 さらに、物事の成り行きを悪い方向にばかり考えやすく悲観的になったり、家族に迷惑を掛けたくないといった自責の念から、自殺を考えたりするケースもあります。

 「この他にも問題なのは、思考停止状態に陥って認知症と間違えられやすい点です。これを“仮性認知症”といいますが、逆に実際に認知症があってうつ病を合併することもあるのです。特に脳の血管障害による認知症を合併するケースが多く、脳血管性うつ病とも呼ばれています」(須貝先生)。高齢者のうつ病に早期に適切に対応するには、これまでかかったことのある病気や手術などの診療の記録などを把握する事も大切です。そして、「食欲がない、不眠が見られる、頭痛や腹痛があって近くの内科を受診してもこれといった原因疾患が見つからないようなときには、精神科の専門医を受診すべきです」(須貝先生)。最悪の事態を避けるには家族や周囲の注意が欠かせません。

 脳血管性うつ病の診断には、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)による脳の検査が必要になりますので、設備が整った精神科を受診した方がよいでしょう。治療には抗うつ薬が用いられますが、脳血管性うつ病では血流を改善する薬が併用されます。

■高齢者のうつと認知症

高齢者の場合、認知症の兆候かと思われる言動は、実はうつ病の症状である場合もあるので仮性認知症という位置づけがあります。
 現在、アルツハイマー型認知症の40~50%の人が抑うつ気分だということが確認されていて、10~20%の人にはうつ病が合併していることがわかっています。また、脳血管障害などには、約30%にうつ病が合併しています。

うつ病性仮性認知症と認知症の鑑別

うつ病性仮性認知の特徴として“思考の停止”があります。考えが止まってしまうのです。

 またうつ症状が強くなると、何もしたくない、食事もいらない、お風呂にも入らないなどの状態になっていきます。注意・集中力や判断力が低下し、認知症ではないかなと周りの人が思うようになってきます。

 うつ病性仮性認知症の場合、放っておけば高い確率で認知症になってしまいます。認知症の場合は、うつ対策を講じてもあまり効果がないとされていますが、うつ病性仮性認知症には、うつ対策が有効です。

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 うつ病では不眠や過眠、睡眠リズム異常などの睡眠障害が高頻度に合併します。また、睡眠障害はうつ病の症状であると同時に、うつ病の原因と治療経過に深くかかわっていることが明らかになっています。

 うつ病とも密接なかかわりがあるホルモンが、睡眠物質の「メラトニン」です。メラトニンは、脳内神経伝達物質の一つ「セロトニン」を原料としています。そして、康復医学学会が長年研究を続けている生薬「ラフマ」には、セロトニンの分泌の促進に関する豊富な研究データがあります。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月7日土曜日

ストレスと自律神経

冬場に乱れる自律神経

寒さが増してきましたが、この時期に便通が悪くなる、すぐ風邪を引いてしまうと悩んでいる人も多いと思います。このような人の場合、体の様々な機能を無意識に調節する「自律神経」の乱れが関係している可能性があります。

 自律神経は呼吸や心臓の動き、血液の流れ、食べ物の消化、体温などを制御しており、特に意識しなくても自然に活動し、自分の意思でコントロールできない神経です。脳の視床下部を起点に脊髄を通って、手足の先まで全身にくまなく張り巡らされています。

 この自律神経は、緊張をもたらすものとリラックスをもたらすものの2種類からなります。自律神経のうち、活動しているときや興奮・緊張するときに強く働くのが「交感神経」です。自動車のアクセルのようなイメージで、活発に働くと血管が収縮し、心拍数や血圧が上がります。
 これに対し、休息やリラックス時、睡眠の際に強く働くのが「副交感神経」で、ブレーキのような役割を果たします。活発化すると小腸や大腸が盛んに働きます。
 両者はシーソーのようにバランスを取りながら健康を保っていて、交感神経は午前中に、副交感神経は夕方から夜にかけてそれぞれ活発化します。

 健康維持には交感神経と副交感神経のバランスをうまく保つことが不可欠です。しかし、寒さや暑さ、ストレス、生活習慣の乱れなどの影響でバランスが崩れることがあります。「低温で乾燥した冬は、血管を収縮させようとして交感神経の働きが活発化する」と順天堂大学の小林弘幸教授は指摘します。副交感神経の働きが低下し、小腸や大腸の筋肉が収縮を繰り返す「ぜん動運動」が低調になるということです。この状態になると、便秘になりやすくなります。暖房が効いた室内と屋外との気温差が大きいことも、自律神経のバランスを崩す一因になります。

 冬に起こりやすい心筋梗塞脳梗塞も、交感神経との関連が指摘されています。寒いと血管が収縮して血圧が上がりやすくなるためです。
 また、自律神経のバランス悪化は病原体などから身を守る免疫システムにも影響を与えてしまいます。交感神経が優位な状態が続くと、体内でつくられるリンパ球が減り、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
 アンバランスを解消するには、副交感神経の働きを活発化させることが大切です。それには、十分に睡眠を取ることです。小林教授は「自律神経のバランスを整えると、病気になるリスクを減らせる」と訴えます。夜遅くまで仕事をしたり遊んだりしていると、交感神経が刺激され続け、副交感神経の活動が亢進しないまま朝を迎えることになってしまいます。

■ストレスに影響される自律神経

前半でも述べたように、自律神経は自分の意志や意識で働かせることのできない神経です。内臓や血管、瞳孔、汗腺などの働きは、この自律神経によって支配されています。心臓の動き、血圧、食べ物の消化、体温の調節など、生命を維持するうえで重要な体の機能をコントロールしているのが、自律神経なのです。

 自律神経の2つの神経「交感神経」と「副交感神経」は対照的な働きをしており、ほとんどの器官はこの2つの神経が同時に働くことで維持されています。

女性に多い自律神経失調症

自律神経のバランスがくずれる最大の原因は、“ストレス”にあるといわれています。仕事や人間関係などで感じる緊張や不安、イライラなど精神的なものを思い浮かべますが、人が受けるストレスはこれだけではありません。気温や気候などの急激な変化も、大きな身体的ストレスになります。そのため、季節の変わり目には自律神経失調症が起こりやすくなります。
 自律神経失調症は男性より女性に多く見られます。これには女性ホルモンが関係しています。女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部というところでコントロールされています。この視床下部は自律神経の働きもコントロールしているので、女性ホルモンの分泌が乱れると、自律神経もそれに影響されてバランスがくずれてしまうのです。

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ストレスが原因で自律神経系に起る反応としては、交感神経の活動が亢進する一方、逆に副交感神経の活動は低下することがあげられます。交感神経は副腎髄質を刺激するので、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが血中へ放出され、それらが血液・血管に影響を与えます。その結果、微小循環血流の低下を招き、様々な自覚症状や疾患へとつながってしまうのです。



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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月5日木曜日

睡眠時無呼吸症候群

女性も油断できない「睡眠時無呼吸症候群」

「睡眠時無呼吸症候群=SAS(Sleep Apnea Syndrome)」は、就寝中に呼吸が何度も止まるだけでなく、日中には強い眠気も襲います。さらにSASは、高血圧など生活習慣病の悪化も招く病気なのです。

 女性の患者も2~3割を占めているのですが、“太った中年男性の病気”というイメージが強いため、かなり見逃されている可能性があります。専門医によると、女性では閉経後に体重が増えた人、顎がほっそりしている人なども要注意とのことです。大きないびきを注意されたり、強い眠気が気になったりしたら、早めの対処が必要です。

 SASの大部分は、寝ている時に気道(のどの空気の通り道)がふさがって目覚めます。代表的な原因は肥満です。首周りに脂肪が付いて気道が狭くなっているうえ、さらに仰向けで寝ると、重力で舌の付け根部分がのどの方へ落ち込むことで起るのが特徴です。

 疫学調査から、SASは国内に少なくとも200万人いると推定されています。「正確な男女比は不明だが、男3~4に対し女1くらいではないか。男性が多い理由として考えられるのは、気道が女性より長いなど体の構造の違い。また、女性は閉経する更年期以降、男性との発症率の差があまりなくなることから、ホルモンの影響も疑われている。また最近は、病気が広く知られ抵抗感が減ったためか、小顎、細顎の若い女性の受診が増えてきた(睡眠総合ケアクリニック代々木・井上雄一理事長談)

 結婚後、夫の指摘で初めて自分のいびきを知り、SASと診断された人もいました。、彼女は、顎がほっそりしているため、寝ると舌が収まりきらずに気道をふさいでしまっていたようですが、自分では全く気づかなかったということです。

 SAS発見のきっかけは、ほとんどが家族や一緒に旅行した友人からの指摘です。大きく不規則ないびきが続き、何度か呼吸が止まって、のどから「カカッ、カカッ」などと苦しそうな音が聞こえることが多いようです。自覚症状としては、いくら寝ても疲れが取れない、昼間眠気が強いなどが多く確認されています。

 NPO法人SASネット・伊藤康子事務局長は、「男性を中心にSASの認知度はかなり上がったが、特に更年期以降、自分のリスクも上がることをきちんと理解している女性は少ない。今後は女性が自分の睡眠に関心を持つような啓発に力を入れたい」と話しています。

■SASは早めの対策が大切!

SASは眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚めます。再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。これを一晩中繰り返すため、深い睡眠がまったくとれなくなり、日中に強い眠気に襲われます。

 SASによって血中酸素濃度が下がってくるので、これを補うために心臓の働きが強まり、結果的に高血圧となります。また、酸素濃度の低下は動脈硬化を促し、心筋梗塞脳梗塞の原因ともなります。さらに、睡眠不足はストレスを生じますので、血糖やコレステロール値が高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームがひきおこされます。(厚労省「e-ヘルスネット」より)

SASの可能性がある症状

※以下の項目の3つ以上が当てはまる場合は、念のため受診をお勧めします。家族と一緒にチェックするのが有効です。

大きないびきをかく
就寝中に息が止まることがある
いくら寝ても疲れが取れない
肥満
高血圧
寝汗をかく
眠りが浅い
昼間の眠気、居眠りで困ることがある

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1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するようなSASを放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、生活習慣病、眠気による事故などの原因となります。いずれも死亡率が非常に高くなるものですから、すぐに治療する必要があります。
 ひどいイビキ、睡眠中の呼吸停止がある場合には、速やかに対策をとるよう心がけましょう!


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月30日土曜日

口は呼吸機能を持っていない

朝、喉が痛い人は、口呼吸の疑いあり!

人は呼吸をしなければ生きていけません。そして、呼吸の仕方次第で、美容や健康が左右されてしまいます。
 本来呼吸は鼻でするものですが、口で呼吸する人が最近急増中とのことです。「口呼吸」の研究の第一人者、免疫学者の西原克成医学博士はその著書『顔と口腔の医学』の中で、「人間の体の構造上、口は消化器官であり飲食物の通り道であって、呼吸器官としての機能はもちあわせていません。そのため鼻で呼吸していれば起こらないような弊害が、口呼吸によっていろいろと生じてくるのです」と述べています。

 鼻には4種類の大きな空洞「副鼻腔」があり、その内腔はすべて呼吸粘膜で覆われていて酸素が吸収されます。また、鼻孔の皮膚には鼻毛があり、鼻腔内は繊毛のある呼吸粘膜で覆われています。鼻腔に入った空気はすべて4つの副鼻腔を通って肺に入るため加温・加湿されるとともに空気が清浄化されるのです。
「つまり鼻は優秀な加湿器・空気清浄機なのです。人体に取って有害な異物を浄化して生体を感染から守る機能も備えています。呼吸は、鼻で行うのが正しい方法なのです。喘息や花粉症の患者のほとんどは口呼吸です。花粉症だから口呼吸になるのではなく、口呼吸だから花粉症になるのです」(前出西原博士・以下同)。

自分は口呼吸でないと思っている人が多いのですが、いびきをかく口が無意識のうちに半開きになる朝起きたら喉が痛い人などは、口呼吸をしている可能性が高いとみていいでしょう。
「口呼吸は呼吸器系、心臓など循環器系にも負担をかけますし、いびき防止の意味でも鼻呼吸することが大切です。鼻呼吸ができている人は口がしっかり閉じていられる筋力があるので、口の周りのしわやたるみが起こりにくいのですが、口呼吸では表情筋を使う頻度が減ります。筋肉は使わないと衰えるので、目の周りのたるみ、小じわも増えていく。なにより口呼吸は老化の原因となるのです」。
 そのほかにも、風邪や慢性疲労からアレルギー性鼻炎などの免疫疾患、そして、便秘、冷え性、頭痛などの症状を引き起こし、肌荒れ、しみ、むくみなど美容にも大きな影響が出てきます。

■口呼吸の危険性

口で呼吸していると、様々な弊害があります。空気中の埃やばい菌、ウイルスなどを直接吸ってしまいますので、のどの粘膜が炎症を起こします。眠っているときに口呼吸をしていると、朝起きたときにのどが痛くなります。

 鼻呼吸ならば、外の空気中の埃や菌を取りのぞき、きれいな空気が肺に入ることになります。乾燥した空気にもちょうどよい湿り気が与えられます。また温度も調整されます。鼻は空調設備の役割をしているのです。

さまざまな影響を及ぼす口呼吸

菌やウィルスが体内に入りやすくなる !!

呼吸は常時しているものですから、口呼吸をしていると鼻呼吸に比べて、空気中に含まれている埃、細菌、ウイルスなどを大量に体内に取り込んでしまいます。風邪をひきやすくなるほか、口臭、歯周病、虫歯などの原因にもなります。

免疫力の低下をまねく !!

口呼吸で体内にたくさん雑菌が取りこまれると、腎臓病、アレルギー、アトピー、肌荒れなどを引き起こすともあります。

美容面でも悪影響を及ぼす !!

口呼吸は美容面でも悪影響を及ぼします。口呼吸だと、口を常時開けていることになりますから、唇を閉めるための顔の筋肉が緩んでいます。それがしわやたるみの原因になります。口を閉じて鼻呼吸をするようになると、顔が引き締まります
 他にも、口の中が乾いて、唾液による浄化機能が低下し、歯の健康が損なわれやすくなるなどのデメリットがあります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月27日水曜日

不眠と睡眠薬

増加する高齢者の不眠

睡眠が、疲労回復や記憶の定着などに関与していることはお伝えしてきましたが、睡眠によって頭がすっきりする仕組みもわかってきました。

 これは、米ロチェスター大などの研究チームが明らかにしたもので、睡眠には脳内の老廃物を掃除する効果があることを突き止めたのです。脳の病気の原因になる、脳内にたまった老廃物の解明につながる可能性もあるということです。米科学誌サイエンス電子版で発表されました。
 チームは睡眠時と覚醒時のマウスの脳の体液の流れを調べました。その結果、脳内の隙間を流れる体液が毒性のある老廃物を除去していることを確認したのです。睡眠中のマウスの脳は体液の流れる隙間が、覚醒時より60%以上大きくなっていました

老廃物の一つには、アルツハイマー病に関係しているとされるたんぱく質「アミロイドベータ」があります。睡眠中のマウスの脳内のアミロイドベータを調べたところ、覚醒時に比べて2倍速く脳から取り除かれていました。睡眠不足になると、うまく決断できなかったり、学習が困難になったりします。睡眠は、脳内の老廃物を除去する役割があったということです。

近年、高齢者の間では不眠が増加傾向にあります。その背景には睡眠薬の投与と止め時が関わっていました。このことを重く見た厚生労働省の研究班と日本睡眠学会は、不眠症の治療に用いる睡眠薬を適切に使い、上手に止める指針をまとめました。

 この指針では、服用の効果を見極め、昼間のだるさなどの症状が改善されたら、減薬や休薬を検討するよう勧めています。研究班主任研究者の三島和夫・国立精神・神経医療研究センター部長によると、少なくとも3カ月に1度、睡眠薬を処方されている人は約20人に1人といい、処方率は年々上がっています。約7割の患者は1~2カ月で服用が終わりますが、一部の患者は服用が長期化し、服用量が増える傾向にあります。
 患者が勝手に薬をやめて、症状が以前より悪化し、再び薬が必要になるなど、うまく止められないケースもあります。「服用をいつまで続けるべきといったことが不明確だったことも一因」としています。

睡眠薬は副作用の頻度を高めないよう、一種類の服用を原則とし、年齢や持病、睡眠障害のタイプを考慮して、薬を選ぶことを推奨。指針には適した薬を例示しています。
 現在使われている大部分の薬に強い依存性はありませんが、自己判断で急に中止すると、不眠が悪化する可能性があるとも指摘しています。休薬に向けては、服用量を少しずつ減らす方法などがあります。
 三島部長は「睡眠薬は本来、ずっと飲み続けるものではない。短期でしっかり治療し、休薬を心掛けることが大事。日中の眠気や倦怠感が取れれば、医師の指示のもと、減薬や休薬を試みるのが基本」と話しています。
 一方、慢性化している人では、身体の痛みなどで薬をやめにくい人もいます。そうした人でも、漫然と服用するのでなく、睡眠の状態を定期的にチェックし、治療が適切かを確認すべきだとしています。


■睡眠薬に対する不安

日本人は諸外国の人たちと比べ、睡眠薬への不安が強いことが明らかになっています。一般市民の44%が「依存性があり止められなくなる」との印象を持っていたという結果もあります。
 こうした不安から自己判断で薬を止め、不眠症を慢性化させてしまう例も後を絶たちません。睡眠薬は副作用の頻度を高めないよう、一種類の服用を原則とし、年齢や持病、睡眠障害のタイプを考慮して、薬を選ぶことを推奨されています。現在使われている大部分の薬に強い依存性はありません。自己判断で急に中止すると、不眠が悪化する可能性もあります。

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインより

(睡眠薬に対する主なQ&A)

〔Q〕睡眠薬より寝酒が安心?        
 〔A〕アルコールは睡眠後半の質を悪化させる。毎日飲むと、徐々に体が慣れアルコール性不眠の原因になる。寝酒は百害あって一利なし。
〔Q〕ストレスや精神疾患による不眠に睡眠薬は効果があるか。
 〔A〕うつ病の不眠には効果的。心的外傷後ストレス障害(PTSD)に伴う不眠にはあまり効果がない。アルコール依存症に伴う不眠は、睡眠薬の副作用が起きやすく、勧められない。
〔Q〕認知症の不眠に、睡眠薬は効果があるか。
 〔A〕効果的な薬物療法はない。昼間の寝過ぎで夜眠れない睡眠・覚醒リズム障害、レム睡眠行動障害など認知症の不眠は原因が多様。不眠治療イコール睡眠薬処方と安直に考えるべきではない。
〔Q〕高齢で副作用が心配。
 〔A〕年齢とともに、薬が分解されにくくなり、薬に敏感になることがある。翌日ふらつくような場合は、医師に相談を。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月23日土曜日

血圧を下げる本当の目的とは

「血圧を下げるからいい」の誤解

今年、降圧剤ディオバンの論文捏造をめぐる報道で、「ディオバンは、血圧を下げる作用には問題ないので大丈夫」とする記事をよく見掛けました。しかしこれは大きな誤解であることを説明したいと思います。

 本来、血圧の薬は血圧の数値を下げるために飲んでいるわけではありません。その先にある脳卒中、心不全など、将来起きるかもしれない合併症を予防するために飲むのです。極端な話、血圧が下がらなくても脳卒中が予防できればいいわけです。だから、「ディオバンは血圧を下げる作用には問題ないので大丈夫」と言われても問題なのです。
 ディオバンを飲み続けてもいいと言うには、血圧が下がる効果だけでは不十分で、「脳卒中などの合併症の予防効果について、他の血圧の薬と同等の効果があるので大丈夫」でないと困るのです。合併症に関する効果が分からなければ、飲み続ける意味はありません

将来起こるかもしれない「(脳卒中など)合併症の予防のため」という視点は、血圧に限ったことではありません。ほとんど全ての病気について同じことが言えます。
 例えば、糖尿病も「血糖を下げること」が治療と思っているかもしれませんが、その先の網膜症や腎症、脳卒中、心筋梗塞などが予防できるかどうかで、治療の効果を判断する必要があります。実は、糖尿病の薬の多くは血糖を下げた分に見合う合併症の予防効果が認められていません。これは大きな問題です。

 血中コレステロールも同じです。コレステロールが下がるだけでなく、心筋梗塞が予防できているかどうかが重要なのです。

 がんでも同じことがあります。血液検査で腫瘍マーカーが下がることや、CT(コンピューター断層撮影装置)などの検査で腫瘍が小さくなっていることでは、治療の有効性の一部しか判断できていません。最終的には長生きできるかどうかが重要なわけで、いくら腫瘍が小さくなっても抗がん剤の副作用で死んでしまってはどうしようもないわけです。血圧の治療と同様、「この抗がん剤は腫瘍を小さくする効果があるので大丈夫」とは言えず、最低限、「この抗がん剤は寿命を延ばす効果があるので大丈夫」ということが必要なわけです。

 最後にもう一度繰り返しておきましょう。高血圧の治療効果は、血圧を下げるのでなく、脳卒中を予防できるかどうかという点で検討されなくてはならないのです。
(武蔵国分寺公園クリニック・名郷直樹院長)

★病気治療の本来の目的は、「いかに健康を回復して、QOL(生活の質)の改善や健康長寿につなげることができるか」ということであるべきなのです。

■高血圧の自覚症状と霊芝

康復医学学会では、微小循環からのアプローチ(血液粘度の改善ほか)により高血圧に対応しています。康復医学学会が研究を続けている「HM-3000(特系霊芝)」には、脳血管障害や心疾患などの対策として期待できるエビデンス(科学的根拠)があります。また、高血圧特有の自覚症状の緩和効果に期待できるエビデンスもあります。

霊芝の高血圧症に伴う高脂血症、脳血栓後遺症患者の血液力学への影響

 霊芝は臨床的に心血管系疾患(高血圧、冠状動脈硬化性心臓病、高脂血症、不整脈等)に治療効果があり、同疾患患者の自覚及び他症状を改善する。本研究は霊芝が血液粘度の高い患者に対して投与前、後の血液力学を観察した。

(『霊芝研究・1』P215)
○症状の改善            
 患者の各症状は投与前に比べて程度の差はあるが改善された。
 有効率は頭痛75%、不眠64.7%、眩量58.8%、胸苦しい53.8%、四肢のしびれ52.9%である(上記表参照)       
○血液粘度の下降作用          
 33例の霊芝使用組は投薬前後の比較より、血漿比粘度共減少した。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月21日木曜日

老化を加速させる「果糖」の恐怖!

果糖はブドウ糖の100倍!?

「果糖」は、食後血糖値を上昇させない甘味料の成分として知られています。
 しかし最近、果糖の摂り過ぎに警告をうながす臨床研究が相次いで発表されています。果糖の過剰摂取は、糖尿病の心配だけではなく、肥満や脂肪肝の原因にもなることが分かってきています。

 糖質(炭水化物といってもいいでしょう)は、「単糖類」と呼ばれる最小単位の物質が複数つながった構造を持ちます。
 食品総合研究所の徳安健 糖質素材ユニット長は「ご飯などに含まれるデンプンや砂糖など主な糖質は、胃腸で分解され、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)など単糖類として吸収される」と話しています。
 糖質は三大栄養素の一つですが、近年、食後に血糖値の急上昇を招き、肥満や糖尿病の原因になることが問題になっています。そのため「食品科学の分野では、糖質の消化・吸収を穏やかにする成分が開発され、特定保健用食品などに利用されてきた」と徳安ユニット長。
 天然の甘味で食後血糖を上げない成分として注目されたのが果糖です。果糖は果物などに豊富に含まれます。吸収されてすぐ血中に移行するブドウ糖に対し、果糖はほとんどが肝臓で代謝されます。そのため甘いものが欲しいとき、果糖を中心にとれば血糖値は上がらず、肥満を防げるはずと考えられ、果糖を主成分にした食品添加物や甘味料が人気を集めました。


しかし、実はこの果糖も、摂り過ぎはリスクがあると分かってきました。帝京大学医学部の山内俊一教授は「血液中の糖は、エネルギーとして使われる一方、体のたんぱく質と結びついて、最悪の老化物質と言われる『AGE(終末糖化産物)』を作り出し、毛細血管を傷つけるなど“毒性”を持つ。果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が理論上、ブドウ糖の約100倍であることが分かってきた」と話します。

 専門家は、果糖が肝臓で代謝されるのは、この“毒性”から体を守るためだと考え始めています。いわゆる砂糖(ショ糖)は、果糖とブドウ糖が半分ずつ。これに対し工業的に作られる高果糖のシロップなどを多く含む食品は、摂り過ぎると影響が強く出ます。
「一つは肝臓で代謝された果糖が中性脂肪を増やし、脂肪肝や肥満をもたらす点。また、果糖の一部は血中に流れ出しAGEとなって『肌のくすみ』など加齢を促進する」と山内教授。

 果糖は、摂り方によっては一番怖い糖といえるかもしれません。



■果糖の摂りすぎには要注意!

果物などを適量食べる程度なら問題はありませんが、“果糖”の多い飲み物とブドウ糖だけの飲み物での比較試験で、果糖のほうが内臓脂肪を増やすことが確認されています。

果糖が食品添加物に多く使われてきた理由

○甘味料として味が優れている
○同じ甘さならブドウ糖より低カロリー
○トウモロコシを原料に大量生産が可能
 →清涼飲料水、菓子などに大量に用いられるように
○健康によいイメージの果物に豊富に含まれている
○小腸で吸収後、肝臓で代謝されるのでブドウ糖のように血糖値を上昇させない
 →果糖を中心に含んだ健康食品も登場(高果糖コーンシロップ、アガベシロップなど)

過去5年の間に果糖のデメリットが解明

●果糖はブドウ糖の100倍もたんぱく質と結合しやすく、血液中に存在するとAGEを作り出す
 →メタボリックシンドロームの悪化、細胞や組織の老化につながる
●そのため人の体は、果糖を肝臓で分解するようになった
 →果糖をとっても食後血糖値が上がらないのは、“毒性”から身を守るためだったという説も
●果糖の摂取量が増えると、脂質代謝に異常をきたす
 →果糖のとりすぎで肥満や脂肪肝になる

ブドウ糖より果糖で脂肪が蓄積!

左グラフは、被験者を2群に分け、一方はエネルギー比25%の高果糖飲料を、もう一方はブドウ糖だけを使用した飲料を10週間飲み続けてもらった結果を示したものです。皮下脂肪、体脂肪、総脂肪の変化を分析したところ、果糖群で明らかに内臓脂肪、総脂肪が増加したことがわかりました。

★果物は食べない方がいいの?

果糖(フルクトース)だけを使った飲料や食品を摂ると、ブドウ糖のように消化酵素で分解されることなく、胃腸から吸収されてしまいます。ブドウ糖のようにインスリンの手を借りることもありません。体温にすぐ反応するため、ブドウ糖とは比べ物にならない速さでたんぱく質と結びつき、糖化たんぱく質となり、大量にAGEを生成してしまいます。
 しかし、果物には他に体に良い様々な成分を含んでいます。摂り方に気をつけることです。そうすれば食べても問題はありません。むしろ食べるべきです。
 一度に食べる量は、リンゴやミカンなら1個の4分の1程度に抑えましょう。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月16日土曜日

加齢による「筋肉減少」と「肥満」の関係

サルコペニア肥満

「サルコペニア肥満」をご存知ですか? 
 これは、サルコペニア〔=骨格筋低下〕と、肥満〔=体脂肪増加〕が重なって、生活習慣病や寝たきりになるリスクが非常に高まる状態のことです。

 体重を減らしたいと思ったとき、多くの人はまず食事の量を減らすことを考えます。しかし、減食一辺倒のダイエットは、たとえ体重が減っても将来の病気のリスクを高める可能性があります。筑波大学大学院人間総合科学研究科の久野譜也教授は「食事制限中心のダイエットは、体脂肪だけでなく筋肉量も減らしてしまう」と指摘します。筋肉量が減ると、体内の代謝機能も低下するため、糖尿病や高脂血症などメタボ系疾患のリスクが高まるためです。ご存知のように骨格筋量および骨格筋力が病的に減った状態を「サルコペニア」と言います。サルコペニアは代謝機能だけでなく、寝たきりや転倒骨折などを起こすリスクも高くなる病態として、近年、注目が集まっています。

 筋肉量は通常、年齢とともに減っていき、20~30歳代ではすでに減少傾向になります。食事制限だけのダイエットは、この加齢プロセス(筋肉減少)をわざわざ加速させることになってしまいます。また、サルコペニアの人は基礎代謝が落ちているため、体脂肪がたまりやすくなっています。このようにして、筋肉減少と肥満が重なった状態が「サルコペニア肥満」なのです。

サルコペニア肥満は、メタボ系疾患のリスクが非常に高い状態といえます。筋肉量が少ないため、外見的には太って見えないこともあります。しかし「太ももの太さが一緒でも、MRIで断層写真を撮ると、中身がまったく異なるケースも」(同教授)。筋肉率が測れる体組成計を使えば、自分でもチェックできます。サルコペニア肥満は高齢者に多い病態ですが、久野教授は「早ければ40代でも起きることもあります。若いうちから筋肉量を落とさないように注意することが大切」と話します。

 飽食の時代にもかかわらず、現在高齢者の間では、たんぱく質不足の栄養失調が増えているという事実を忘れてはいけません。

■サルコペニア肥満対策

サルコペニアは、加齢によって骨格筋の筋肉量が減少、筋機能が低下し、階段の上り下りなどの日常行動に困難を来たす状態です。日本の基準では若年期から筋肉の量が33%減った状態を指します。

サルコペニア肥満が動脈硬化指標に及ぼす影響
~立命館大と国立健康・栄養研究所の共同研究~
健康な40~85歳の男性196人を、①正常 ②一般肥満(BMI:25以上) ③サルコペニア ④サルコペニア+肥満(腹囲85cm以上)の4つのグループに分け、3種類の動脈硬化指標値を測りました。
 結果、動脈硬化指標値は高い数値順に、④サルコペニア+肥満 > ③サルコペニア > ②一般肥満 > ①正常、の順になりました。
 ただの肥満よりサルコペニアのほうが動脈硬化のリスクが高く、肥満とサルコペニアを併発すると、さらにハイリスクになるという結果が出たのです。

サルコペニア対策はたんぱく質

骨格筋の総量は30代から落ち始め、50歳までに約10%減少し、50歳を過ぎ80歳までにさらに30~40%が減少します。筋肉は日々、合成と分解を繰り返します。食事で摂取されたたんぱく質はアミノ酸に分解された後、再びたんぱく質に合成され筋肉になります。
高齢者の場合、食事摂取時の筋肉の合成段階で栄養障害が起きている可能性があります」(立命館大スポーツ健康科学部 藤田聡准教授)。
 そして、サルコペニア症候群の予防策として勧めるのがたんぱく質の摂取です。筋肉維持には、1日体重1kg当り0.75~1gのタンパク質が必要で、体重60kgの人なら60gが必要(同准教授)ということです。


いつもありがとうございます。


光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月14日木曜日

閉塞性動脈硬化症

放っておくと、深刻な事態に!

ある70代の男性は、歩くたびに足に痛みが走り、近くの公民館に行くのにも一苦労。最近は足が細くなり、爪や毛が伸びなくなってきました。「もうこの年だから」と放置していましたが、心配した家族の紹介で病院に行くと「閉塞性動脈硬化症」と診断されました。

 閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管に動脈硬化が起こり、血管の幅が狭くなったり塞がれたりして血流が悪くなる病気で、症状は主に足に表れます。初めのうちはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると少し歩いただけで痛み出します休むとまた歩けるようになるのが特徴です。
 山王メディカルセンター 血管病センターの重松 宏センター長は、「日本では100万人程度の患者がいるが、症状が出ない潜在患者は300万~400万人いるとされる」と言っています。また、症状がさらに重くなると「足の傷が治りにくくなって壊死(えし)し、最悪の場合は切断を余儀なくされる」(同センター長)と話しています。
 動脈硬化を引き起こすのは、加齢喫煙高血圧のほか、糖尿病も原因の一つです。
 そして、問題は足の症状だけではありません。帝京大学臨床研究センター長・寺本民生内科院長は、「足の動脈硬化は体のどこかで動脈硬化が起こっている可能性を表すサイン。将来、脳梗塞や心筋梗塞の可能性がある」と強調しています。

 足の冷えむくみを起こす症状は動脈に限りません。足の静脈の血管が逆流しても、冷えやしびれ、むくみの症状が現れます。下肢静脈瘤という血管疾患です。下肢静脈瘤は全身にまわった血液が心臓に戻る静脈に異常が起きる症状です。血液が逆流するのを防ぐ「弁」が壊れ、血液が血管内にうっ血します。
 総合東京病院(東京・中野)血管外科の佐久田斉部長は「放置しておくと、むくみがひどくなり足の血管が浮き出てボコボコになる。黒っぽく色がついて、皮膚が硬くなり、やがて歩くのが困難になる」と説明します。
 静脈性、動脈性の疾患にしろ、痛みやむくみといった症状がほとんどなので、特に高齢者の中には病院に行かず我慢している人も多くいます。「特に動脈の場合は、早期に見つけ治療をはじめないと死に至る恐ろしい疾患だ。脳や心臓など全身に関係する血液疾患という認識が大切」(重松 宏センター長)。

 症状が出ているのに「年だから」「冷え性の体質だから」と放っておくと、深刻な事態に陥る可能性があるのが足の血管障害なのです。

■閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化が進み、血管が細くなったり、つまったりして、充分な血流が保てなくなる病気です。そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。さらに進行すると、安静時にも症状が現れることがあります。

動脈硬化の進行に影響する血管内皮細胞!

血管内皮細胞は、微小循環を円滑に維持しています。ストレス、コレステロール、糖尿病などで、酸化ストレスが増加すると、血管内皮細胞が阻害され、NO(一酸化窒素)などの産生が低下し、血管が収縮し炎症を起こし易く、血栓が形成され易い血管になり、動脈硬化を進行させてしまいます。
血管内皮細胞は、活性酸素によって強くダメージを受け、血管透過性が亢進したり、微小血栓を形成し、微小循環障害から動脈硬化を起こします


動脈硬化の原因

 高血圧の状態が続くと、血管内皮細胞にも負担がかかり内皮細胞がもろくなるため、動脈硬化が起こりやすくなります。また、生活習慣でもストレス飲酒、喫煙などが危険因子になります。
 男性のほうが女性より動脈硬化を起こしやすいですが、女性でも閉経期を過ぎるとLDL(悪玉コレステロール)の低下作用を持つエストロゲン(女性ホルモンの一つ)が低下するため、動脈硬化を起こしやすくなります。
動脈硬化は、その進行度合いによって様々な疾患が引き起こされ、健康寿命を脅かします。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月9日土曜日

善玉ホルモン「アディポネクチン」

「アディポネクチン」がメタボ・糖尿病を助ける

 東京大学病院糖尿病・代謝内科教授の門脇孝氏,同科講師の山内敏正氏らの研究チームは、メタボリックシンドロームや糖尿病を防ぐホルモンの働きを活発にする物質をマウスの実験で発見した、と英科学誌ネイチャー電子版に発表しました。このことは、メタボや糖尿病を改善する薬の開発につながる、とても大きな研究成果で、研究チームは「5年以内に臨床試験に入りたい」としいます。

脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン「アディポネクチン」血中で脂肪を燃焼させたり、糖を分解するインスリンの働きを助けたりします。このアディポネクチンの血中濃度が下がるとメタボや糖尿病の原因となり、心臓病やがんの危険性が高まるとされています。
 教授らは600万種類以上の化合物の中から、アディポネクチンの受容体を活性化させる物質を見つけました。この物質を飲み薬として2型糖尿病のモデルマウスに1日1回、10日間与えたところ、与えないマウスに比べ、インスリンが効きやすくなったほか、筋肉や肝臓で脂肪酸を燃やす酵素が活発になるなど、運動と同じような効果がありました。

脂肪の多いエサを与えたマウスの120日後の生存率は30%でしたが、同じエサでもこの物質を飲ませたマウスは70%でした。
 メタボや糖尿病は、食事制限や運動療法が有効とされますが、心筋梗塞などの病気やひざ・腰の障害などで運動や食事制限ができない多く、アディポネクチンを薬にできれば糖尿病などを改善できると期待されますが、構造が複雑なため、飲み薬としての量産は難しいとされています。
 アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンです。運動や食事制限で増えることがわかっています。不足すると、糖尿病以外にも、がん心臓病肝臓病アルツハイマー病などが発症しやすくなると考えられています。
 100歳以上の長寿者では、血液中のアディポネクチン濃度が高いという研究結果もあります。

■肥満に密接に関係するホルモン

アディポネクチンレプチン*は、いわば兄弟のような関係で、共に「アディポサイトカイン(アディポカイン)」と呼ばれる、脂肪細胞から分泌されるホルモンです。双方とも肥満に対して密接な働きをしてます。
*レプチン(leptin)とは : レプチンは脂肪細胞によって作り出され、強力な飽食シグナルを伝達し、交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらすペプチドホルモンです。レプチンの役割は、肥満の抑制や体重増加の制御、および食欲と代謝の調節です。

アディポネクチンとレプチン

アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、肥満状態や内臓脂肪過多状態で低下し、体重減少によって増加します。糖尿病患者、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)患者では低下していることが知られています。通常は血中に多く存在し、抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用、抗炎症作用を有し、いろいろな生活習慣病の予防に大切な働きをしていると考えられています。一方肥満によりアディポネクチンの低下した状態では、高血圧糖尿病動脈硬化脂質異常症(高脂血症)を引き起こすと考えられます。
 レプチンは脂肪細胞から分泌されるサイトカイン**の一種で、通常は肥満によって増加し、脳の視床下部に作用し、食欲減退、エネルギー消費量増大、抗インスリン抵抗性を増大させるように働き、肥満の影響を少なくしようと防御的に働いていますが、肥満状態が続くと、レプチンの効果が無くなってきます。これを「レプチン耐性」といいます。このような状態になりますと、いくら食べても満腹感が無くなってきます。
**サイトカイン (cytokine) とは : 細胞から分泌されるタンパク質であり、細胞間相互作用に関与する生理活性物質の総称です。標的細胞にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、細胞死、機能発現など多様な細胞応答を引き起こすことで知られています。

睡眠不足はレプチンの分泌を抑制する

睡眠時間と食欲を調整する2つのホルモン、グレリンとレプチンの血液中の濃度を調べた結果(上表)、日頃から5時間しか寝ていない人は、8時間の人に比べて、グレリンが15.5%多い一方、レプチンは14.9%低い結果が出ました。




いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月6日水曜日

眼精疲労

「ノー・スマホデー」

一晩ゆっくり眠って目の調子が回復するならば、単なる疲れ目です。しかし、眠っても休んでも目の痛みやかすみなどが改善しないのは、『眼精疲労』です。眼精疲労は、疲れ目が慢性化した状態です。
 「PC、携帯、スマホ、レーシックなどの影響で、眼精疲労を訴える患者さんが増えています」と話すのは、東急東横線・大倉山駅近くにある、かとう眼科の加藤利博院長です。カギを握るのは、物を見るときにピントを調整する「毛様体筋」という小さな筋肉。PCやスマホを、至近距離で長時間凝視する行為は、この毛様体筋に過度の負担をかけ、眼精疲労を引き起こします。近視メガネをかけている人や、レーシックにより視力が良過ぎる状態(過矯正)の人にも同じことが起きます。レーシック難民が、目の疲れや頭痛、目まいを訴えるのも眼精疲労の一種ということです。
 「本来でしたら保険適用される立派な病気なのに、単なる目の使いすぎと侮っている人が多いですね。毛様体筋は自律神経ともつなかっているので、放っておくと、目まい頭痛肩凝り、果ては自律神経失調症うつ病を引き起こすこともあります。原因不明の頭痛と目まいで、耳鼻科、内科、脳神経科をたらい回しされ、うちに来てようやく眼精疲労が原因と分かった患者さんもいます」(同院長)。

 仕事柄、PC仕事が多く、遠くにピントが合っている状態の目で、近くのPC画面を長時間見続けていると、毛様体筋がヘトヘトになります。特に遠視は、近視の人より疲れやすいということです。
 また、眼精疲労の陰には別の病気も潜んでいます。スマホなどを見続けて起こりやすいのは「ドライアイ」。人間は、無意識のうちに1分間に平均14回のまばたきをしますが、スマホなどに熱中していると、1分間に5回程度にまでまばたきは減ってしまいます
 鎌倉市後藤眼科医院の後藤英樹院長はこう話します。「ITの発展で目を使った働き方が主流となり、目からの情報の取得の重要性は増すばかりです。目と脳への情報の氾濫、目の酷使の流れは、当面、続くと思われます。この状況下で、目だけでなく身体への負担は、予防策を講じても完全に防げるものではありません。スマホなど携帯末端との付き合いには節度を持ち、さらには意図的に自然に触れることによって、目も身体も休ませる必要があるのです。私自身も、携帯端末は文明の利器として便利に使用していますが、月に1日でも『ノー・スマホデー』、寝る前の数時間は必ず『ノー・スマホタイム』を設けるよう心掛けています」。
【2013/11/4:日刊ゲンダイより】

■ 眼精疲労と対策

眼精疲労は、疲れ目が慢性化した状態です。目の症状だけでなく、頭痛や吐き気なども伴うことがあり、放置しておくと、肩こりや首の痛み、全身のだるさ、イライラなどの症状も重なり、悪化します。朝起きたときに、目が充血して調子が回復しないようならば要注意です。

眼精疲労のタイプ

【調節機能の低下】
目の筋肉疲労が原因で、焦点を合わせるのに必要な調節機能が低下するために起こる疲労。見え方がぼやけたり、かすんだりする。

【筋肉のはたらきの異常】
 眼球を動かす筋肉(眼筋)に疲労がたまり、眼球を正しい位置に動かすことができなくなるために起こる疲労。近くのものが見えづらくなったり、ダブって見えたりする。

【視神経の疲労】
 目を酷使して、目の筋肉だけでなく、視神経の働きが悪くなって起こる疲労。スマホやパソコンのディスプレイを長時間見ていると、視神経が光と色の刺激を長時間受けて疲労する。

【ほかの病気の影響】
 結膜炎やものもらい、白内障、緑内障といった目の病気のために、目の組織にかかる負担が増えて起きる疲労。原因となっている目の病気を治療しなければ、疲労の症状は解消されない。

涙とストレスの関係

目を守るためにある涙の分泌は、副交感神経が活発になっているとき(リラックスし状態)に促され、ストレスを感じると交感神経が興奮し、涙の分泌を抑えてしまいます。ストレスを受けることで、目が乾き、症状が悪化して、またストレスになるという悪循環が起こります。


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 人がストレスの情報を認識するのは、目から入る視覚ストレスが80%といわれています。したがって、目を閉じて光を遮断するだけで目から入った情報が処理される脳の負担が80%軽減されます。目の疲れには「目の筋肉をほぐす」ことと「目に潤いを与える」ことが良いと言われますが、目の筋肉をほぐすには、目や目の周りを暖め「血流」を良くすること、そして目に潤いを与えるには、目を休めることが一番です。

康復医学学会の研究から生まれた「高機能アイマスク」(製造販売:和漢生薬研究所)は、光を遮断し目を休めるのはもちろんのこと、特殊ポリマーを混合した複合体独自素材を使用することで、目と目の周りを温め、血流に影響を与えます。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年11月2日土曜日

あなどれない「不整脈」

不整脈が引き金に?

発症すると死亡したり重い後遺症を残したりする脳卒中。中でも重症化しやすいのが、心臓の不整脈の一つ「心房細動」が原因で起きる脳梗塞です。

 ある男性は、銀行で用事を終え外に出ようとした時、足元がふらつきうまく歩けず、道端にしゃがみ込んでしまいました。幸いふらつく感じは数分間で去り、普通に歩けるようになりました。普段の日常生活に戻りましたが、1週間後、今度は自宅で倒れてしまいました。しゃべることもできず、右手と右足が動かない・・・・。男性は家族に助けられて東京慈恵会医科大学病院(東京都港区)へ運ばれました。脳梗塞と診断され、治療が始まりました。
 脳の血管が詰まって発症する脳梗塞は、大きく動脈硬化が原因のものと、不整脈など心臓が原因のものに分けられます。上記の男性の場合は、検査で心臓の上部にある心房がけいれんしたように激しく動く「心房細動」という不整脈があることが判明しました。
 治療に当たった東京慈恵会医科大学病院の井口保之教授(神経内科)は「重症化せずに済んだのは、心臓が原因と判断され、血液が固まるのを防ぐ抗凝固薬を適切に使うことができたから」と話します。発症後、早めの治療が始まったことに加え、幸い詰まった血管が細く、悪影響があまり広がりませんでした。男性は会話が問題なくできる程度に回復。治療経過は順調に進み無事退院できました。男性は「健診も受けて健康には自信があった。よもや自分が脳梗塞になるとは思わなかった」と語ります。

では、心房細動がなぜ、脳梗塞の原因になるのでしょうか。
心臓で血液がよどんで流れにムラができると、血が固まりやすくなるんです」と話すのは、日本医科大学多摩永山病院の新(あたらし)博次院長です。この血のかたまり(血栓)が血管の中を通って脳に運ばれ、脳梗塞を起こします。「血栓はときに指先ぐらいの大きさになることも。これが脳の太い血管を塞ぐと、重い脳梗塞になります」(同院長)。
 心房細動は、突然発症するとドキドキする、気持ち悪くなるなどの症状が出ることもあります。しかし、慢性になると気がつかない場合も多く、健診の心電図で偶然発見されることがあります。

 心臓が原因の脳梗塞では、6割の患者が、介助が必要になったり寝たきりになったり、また死に至ったりと重症化の度合いが大きいのが特徴です。平均入院期間が100日前後の脳卒中の中でも、いっそう厳しくなるケ―スが多いのです。原因が心臓なので再発のリスクも高いといわれています。

■特系霊芝と不整脈

心臓は、規則的なポンプ活動を行っていますが、なんらかの原因で脈が速くなるものを「頻脈性不整脈」、遅くなるものを「徐脈性不整脈」といい、不整脈はこのどちらかに分けられます。

不整脈の原因のひとつ「心室性期外収縮」

心室性期外収縮とは、心臓のメインポンプ“心室”が本来の心拍のタイミングでない時期に収縮してしまうことです。心臓が収縮する時には十分な血液が心臓の中に入っている必要があります。心臓の収縮のタイミングがずれて少し本来より早く収縮してしまうと、十分な血液が送り出せず、脈が抜けたように感じます。その一方で、次の心拍では、前の収縮でうまく送り出せなかった血液が心臓内に残っているために収縮が強くなり脈を強く感じたりするのです。

特系霊芝の心機能への影響

不整脈の原因は多岐にわたります。中でも「心室性期外収縮」は、比較的よくある頻脈性不整脈です。
 康復医学学会では、霊芝が心臓機能に与える影響も研究しており、結果、「HM-3000(特系霊芝)」は、心室性期外収縮に影響するデータ、および心臓の負担になる微小循環血流に影響するデータを得ています。

【霊芝の摘出心臓の灌流再開による心室性期外収縮(PVC)への影響】


霊芝3mg/ml組は対照組と比べ、心室性期外収縮(PVC)の発生が非常に遅くなった(p<0.01)。
0.3mg/ml組は、PVCの平均発生数が少なくなった(p<0.05)。

【霊芝の微小循環(毛細血管)への影響】


霊芝投与組の服用二週間後に毛細血管の本数は対照組より明らかに多くなり、毛細血管
入口、出口の口径は対照組より拡張し、流速も対照組より顕著に速くなったことが臨床実験
確認された。これらのことによって腎臓のろ過率は高くなり、体内の老廃物、毒素、化学薬
などの排出は速くなる。         ※『HM真菌エビデンス』(微小循環研究所刊)より


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年10月30日水曜日

気温差が血管を襲う!

気温が5度以上下がったら要注意!

急激に冷え込む日が増えてきました。寒くなると心筋梗塞や心不全などの心臓病や、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳血管障害の患者が増えます
 厚労省の統計によると、心筋梗塞などの心臓病による死亡者数は1月が最も多く、次いで2月、12月、3月と冬季に集中していて、夏季の1.5倍に上ります。とりわけ、寒くなり姶めの時季は前日に比べて気温が5度以上も下降した日が要注意です。
 イギリス医師会雑誌の研究では、気温が1度低下すると心筋梗塞の発症が28日間で2%増加するというデータもあります。また、今年の欧州心臓病学会では、最低温度が10度低下がると、心筋梗塞が7%増加する研究が報告されています。別の研究でも5度低下すると15日間で5.7%の増加が認められています。
 欧州には<クリスマス梗塞>という言葉があります。クリスマスに暖かいレストランで食事をしてから急に寒い店外に出ると、温度差によって心筋梗塞や脳梗塞を発症するケースが増えることから生まれた言葉です。温度差は、血管を直撃するのです。

東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授は言います。「気温が下かって寒くなると、人は血管を収縮させて血管内を流れる血液の量を減らし、熱を体外に逃がさないようにします。また、代謝を活発にして体温を上げるために、アドレナリンなどが過剰に分泌されます。血管が縮んで細くなると、ポンプである心臓は大きな力で血液を送り出さなくてはなりません。そのため、血圧が上がり、大きな力を必要とする心臓の負担が増えるのです。さらに、アドレナリンの過剰分泌によって血液が固まりやすくなります。冠状動脈が細くなり血液が固まると、急性心筋梗塞になります。脳の血管でも同じようなリスクが高まります」。
 実際、教授の病院では気温が低下した1週間に心筋梗塞や不安定狭心症の患者が倍増したと言います。

 肥満、糖尿病、高脂血症などの動脈硬化のリスク因子がある人はもちろん高血圧だけでも危険です。自分は健康だと思っていても、温度差が血管に悪影響を及ぼすことに変わりはなく、健康診断などで見逃される高血圧症、軽い動脈硬化や不整脈がある人も多いから注意が必要とのことです。何より、前日との気温差が大きい日は、血管に負担がかかっていることを意識して行動するのが重要です。

■ストレスによる血管への影響

ストレスによる生体反応を見てみると、ストレスの刺激(物理的或は心理的:今回は気温差によるストレス)を受けると、生体反応が起こり、主に精神神経系・心臓血管系・内分泌代謝系・筋肉運動系・消化器系・生殖系など、自覚症状や疾病が表れるのがわかっています。

*CRH(コルチコトロピン放出ホルモン)=ストレスホルモン

ノルアドレナリン・アドレナリンは血管を収縮させるだけではない

ストレスは血圧や血糖値を上げ、消化器系の働きを抑制し、血清コレステロール値を急上昇させたりします。そして、ノルアドレナリン・アドレナリンは、血小板凝集を促進させ、正常な血液の流れを妨げ、血栓症を起こします。血栓ができると、動脈硬化症で狭窄した動脈に重い閉塞を招きかねません。

対策は、神経伝達物質のバランス

ストレス状態が続くとCRHが放出されセロトニンの分泌が抑制されます。するとアドレナリンをはじめとする神経伝達物質のバランスが崩れます。
〔血管の収縮や血小板凝集の亢進⇒血栓⇒微小循環血流の低下〕という流れから、それに伴う疾病が表れることが考えられます。そして、神経伝達物質のバランスを整えるのがセロトニンです。
 康復医学学会はリラックスハーブ「ラフマ」を研究しています。ラフマには、セロトニン神経を活性させ、セロトニン分泌を促進して、神経伝達物質のバランス調整を期待できる下記のようなエビデンス(科学的根拠)があります。

ラフマ錠剤組の短期/長期投与による5-HT(セロトニン)の変化(ng/g) 
※5-HT3及びその代謝物(5-HIAA)に対して、低、中用量の
ラフマは増加作用を有することが確認された。*p<0.05 vs対照組


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年10月26日土曜日

「人の記憶」について

記憶の定着

人の記憶は、脳内の「海馬」と「大脳皮質」の中で、情報が詰め込まれた神経細胞の結びつきが強まって、強化されるといいます。しかし、そのメカニズムは最新の科学をもってしてもなお不明な点が多いのが現状です。
 ただはっきりしていることは「記憶の定着」という高度で複雑な作業が、実は睡眠中に行われているということです。睡眠時間を削り、徹夜すら厭わぬビジネスマンや受験生たち、彼らにとって就寝中は無駄な時間と思われがちです。しかし、脳神経外科専門医・北品川クリニックの築山節所長は言います。「これは大いなる間違いです。そもそも睡眠の目的の一つには、『日中、頭に人力された情報を整理し、記憶として定着させる』こと。瞼の向こうで眼球がせわしく動くレム睡眠時に脳は活発に活動して情報の整理を行っています」。
「昼間、得た情報の多くは、まず脳の中枢にある海馬という器官に入る。そこから大脳皮質のあちこちにある貯蔵庫に送られます。日中、バラバラに頭に入ってくる様々な情報は、眠っている間に、『仕事の情報』『勉強の情報』『遊びの情報』などといった目的のファイルに分類される。いわば寝ることで、パソコンが再起動され、雑多に貯まっていた情報が整理されて、空いたディスクに保存されるわけです。海馬は情報の図書館の入り口であり、そこから中に入った本は、睡眠中に書庫で整理される。こうして本棚に並べられたものが記憶として残る、というイメージで考えてもらっても結構です」(築山所長)。

 睡眠中に記憶が強化されるという学説は、様々な実験でも実証されています。「楽器の演奏やスポーツ、ゲームなど、技巧や運動機能に関わる記憶のことを、言葉や文章で表現できない『手続き記憶』と呼びます。こうした記憶のうちから、例えばテレビゲームや、タイピングを繰り返し行わせ、得点や速さを指標とする実験を行うと、当然、継続するほど被験者の腕は上がっていきますが、なにより面白いのは、睡眠を充分にとった後に、より上達したということです。

■睡眠と記憶の関係

人の記憶は「大脳皮質」(右図)に保存されていると考えられています。大脳皮質に新しい記憶が作られるときに重要なのが、脳の内部にある「海馬」という部位です。海馬には、視覚や嗅覚などの感覚情報が集められてきます。そして、大脳皮質への記憶の書込みを助けています。記憶の読み出しにも、一時的に(最大で数ヶ月)海馬は必要です。ただし、一定期間が過ぎれば、海馬の助けがなくても大脳皮質にある記憶を読み出せるようになります。

記憶にも種類がある

【エピソード記憶】
⇒個人の経験や出来事にもとづく記憶。新しい記憶は海馬がないと記憶できません。
【意味記憶】
⇒言葉の意味や数式、年号など、いわゆる知識とよばれる記憶。
【手続き記憶】
⇒特定のスポーツの技術や自転車の乗り方など、体の動かし方に関する記憶。この記憶は、海馬がなくても覚えられる。

睡眠と海馬の関係

5~18歳までの健康な子ども290人を対象に、MRIを使って脳の詳細な画像を撮影し、「海馬」の体積を調べました。平日の睡眠時間のデータをあわせて分析したところ、睡眠時間が長いほど海馬の体積は大きくなり、睡眠時間が長い子どもの海馬は1割程度大きくなっていました。
 本研究を行った東北大学東北メディカル・メガバンク機構の瀧靖之教授は、「アルツハイマー病やうつ病などでは海馬が小さくなることが知られており、海馬の大きさの違いは記憶や認知機能などにも影響する可能性がある。子どものころから十分な睡眠をとることが、生涯にわたって健康な脳を保つうえで重要であることを示しているのではないか」と話しています。


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