2020年5月27日水曜日

睡眠

眠気はどこからやってくる?

新型コロナウイルス感染症拡散の影響で、不安な屋内生活を送っている人が多いと思います。そんな中でも時は移ろい、外は気候も風景も暖かく気持ちのいい季節になってきました。やむを得ず出勤していてもテレワークで自宅にいても、ついうとうとしてしまいます。
 昼間働いて夜はぐっすり眠る。これは、とても当たり前なこと。でも、昼間の仕事やWEBでの会議中、運転中などに眠気に襲われるのは困ったものです。
なぜ眠たくなるのでしょうか? それは、生きていくために睡眠は絶対必要だからです。
 眠ることで、心臓など内臓も、脳も筋肉も毎日の疲れを癒して、明日も元気に生きていくエネルギーをためているのです。だから、眠気はひとつの「疲労のサイン」とも言えます。昼間の眠気が頻繁であったりひどい時は、睡眠不足で疲労が解消されきっていないか、時には心配な病気の場合もあります。
(強い眠気を引き起こす病気:睡眠時無呼吸症候群や慢性疲労症候群、ナルコレプシーなど)

 ≪眠気対処法≫

十分に睡眠をとり、疲れを残さないことが一番ですが、眠気に襲われた場合は、以下を参考にして、うまく気分転換をしましょう。
●窓を開け、外の空気を吸う。日光を浴びる 
●歯磨きをする。
●お茶やコーヒーなどカフェイン入りの飲み物を飲む 
●深呼吸や体操をする(右図参照)
(1)手のひらの付け根でこめかみを押し上げる。そのまま30秒キープ。
(2)体の後ろで手のひらを外側に向けて両手を組む。肘をうーんと伸ばして後ろに引っ張る。顔は上を向く。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)

■睡眠が深いほど、体温は低下する!

夜は体温が低くなります。その原因のひとつは、昼間と違って、体を活動させないからですが、それ以外にも、睡眠自体が体温を低下させていると考えられます。
 睡眠に入ると、体温の基準値が下げられることにより、代謝が低下し、体内で生み出される熱の量(熱産生)が少なくなるためだと考えられます。ノンレム睡眠(深い睡眠)では、体温の低下が大きくなります。

理想の睡眠の条件は"皮膚温度が高く、深部体温が低い"

深部体温の変化と皮膚温度の変化、そして睡眠の段階を同時に測定すると、深部体温が低いほど、また皮膚の温度が高いほど、その直後の眠りやすさが強くなっています(右図)
 つまり、実際に眠りにつく前に、皮膚から熱を放散させ、体の内部の温度を下げることで眠りを引き起こしやすくしていると考えられます。

深部体温を下げるアミノ酸!

良質な休息をサポートする効果で注目されているのが「グリシン」です。グリシンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種です。このグリシンが脳に作用して深部体温を下げる働きがある事がわかっています。体を休めたいときにグリシンを摂取すると、深部体温が下がるのを助け、しっかりとした休息が取れるのです。

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 現代のストレスの多い生活習慣においては、深部体温が下がりにくくなっています。深部体温を下げ、睡眠の質に期待できるのが、康復医学学会が研究に携わった「グリシン」に「HM-3000(特系霊芝)」の炭末を配合した製品です。
 また、睡眠ホルモンといわれるほど睡眠リズムに密接な関わりがあるホルモンがメラトニンですが、その原料となるのは「セロトニン」です。当学会が主要研究素材としているリラックスハーブ「ラフマ」には、セロトニンの分泌促進に関するデータがあります。


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愛・感謝 村雨カレン

2020年5月21日木曜日

COVID-19とメラトニン

新型コロナとメラトニン

スペインのラパス大学病院で、新型コロナ予防に関するメラトニン投与の臨床試験(ランダム化比較試験=RCT)が2020年4月に開始されるというニュースが入ってきました。

調査対象/450人(18~65歳の医療関係者)、薬品/メラトニンサプリ、試験/介入群:メラトニン2mg、対照群:偽薬、方法/就寝前に経口でサプリメントを摂取し、12週間行う。

 何度かお伝えしましたように、抗ウイルスに関する自己の免疫機能を高めるため、薬からではなく栄養素から考えることが各国の研究機関で活発になってきています。
 なお、メラトニンはビタミンやミネラルと違ってホルモン的な作用があるため、「体にいいんだ」ということで安易にサプリメント使用に走らないようにしてください。
 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、今年3月に日本初のメラトニン受容体作動性入眠改善薬、世界初の遺伝子組み換えvon Willebrand因子(VWF)製剤、独自の化学構造を有する非定型抗精神病薬、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬などの医薬品が厚生労働省から承認を受けたと発表しました。血液脳関門を容易に通過できるので、即効性がありますが、理解のある栄養カウンセラーやお医者さんに相談して摂取する必要があります。
 メラトニンには抗酸化、抗炎症作用があり、体内合成することができるホルモン様物質です。私たちとしては、いかにメラトニンをきっちり合成・分泌させることができるかが、カギとなります。

 新型コロナウイルスが体内へ入ると「インフラマソーム」(ウイルス感染時に発現される炎症シグナルを送るたんぱく質)が合成されます。そしてインフラマソームが過剰になると炎症が持続し肺炎へと向かいます。「メラトニンはCOVID-19の重症化を軽減できるか」という研究もアメリカで行われています(20200408発表)。すでにメラトニンはインフラマソームをブロックする働きが解明されており、また、ウイルスによる活性酸素ストレスを阻害する働きもあることがわかっています(⇒抗炎症作用と抗酸化作用)。

さらに、新型コロナ感染では間質性肺炎*が問題になっていますが、これが悪化すると、肺胞の組織が線維化して硬くなってしまいます。そして2018年には、メラトニンは肺の線維症を予防することも確認されています。
*間質性肺炎:肺の中にある肺胞の壁の部分(=間質)に炎症が起こる病気の総称(右図参照)。

(出典:https://medical-tribune.co.jp/ 、https://www.youtube.com/ 栄養チャンネル)

■メラトニンの働きと合成

メラトニンは、睡眠に向かわせる作用のあるホルモンで、脳の松果体で合成・分泌されます。すでに哺乳類が誕生する30億年以上も前から存在し、もともとは活性酸素を消去する抗酸化物質として原始生命体が利用してきたことがわかっています。

メラトニンと睡眠

生命活動には概日リズム(体内時計)と言われる活動と睡眠の周期があり、朝日を浴びて規則正しい生活をすることでメラトニンを分泌する時間や量が調整されます。

夜、暗くなるメラトニン分泌量が増える脈拍・体温・血圧が低下睡眠を誘発

 睡眠中に行われるメラトニンの作用には以下のようなものがあります。

・抗酸化作用     ・抗炎症作用     ・損傷したDNAの修復 
・抗がん作用     ・免疫細胞強化作用  ・若返り効果 
・成長ホルモン分泌  ・骨の形成や葉の発達

 特にマクロファージ・樹状細胞・NK細胞・顆粒球・B細胞・ヘルパーT細胞など免疫細胞の作用を強化するメラトニンの効果は、ウイルス感染症対策のカギとなりそうです。

メラトニンの合成方法(右図参照)

 メラトニンの材料となるトリプトファンは食品からも摂ることができますが、経口摂取で取り入れたトリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)を経て作られたセロトニンは、その大部分が腸内で使用されてしまい、脳内の中枢神経系に2%しか存在しない脳内セロトニンの合成にはほとんど期待できません(セロトニンはほかに消化管粘膜に90%、血小板中に8%存在します)。したがってメラトニンの合成には至らないのが現状です。

マグネシウムとメラトニン合成

高齢者46人の二重盲検で、8週間毎日500mgのマグネシウムを投与したグループは、メラトニンが優位に増加したという研究があります(2012年)。
 マグネシウムはメラトニンを調節し、体内の睡眠覚醒サイクル(体内時計)を誘導します。
 だからマグネシウム(350~500mg/日)の摂取を意識することが大切なのです。

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 康復医学学会では、主要研究素材「ラフマ葉エキス」配合のサプリメントをお勧めしています。ラフマ葉エキスは、メラトニンの原料となる脳内セロトニンの産生を効率的に促し、セロトニン神経の通過性を安定させます。メラトニンの合成の促進に期待できます。
 

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愛・感謝 村雨カレン

2020年5月13日水曜日

COVID-19とグルタチオン

新型コロナ重症者にグルタチオン欠乏?

前号に引き続きCOVID-19関連のニュースです。4月25日、ロシアの科学アカデミーで、プレプリント(審査・査読前の論文)ではありますが、「COVID-19感染の重症と致死の主な原因としてグルタチオン(GSH)欠乏の可能性が高い」との研究が公表されました。

グルタチオンとは、肝臓やほかの細胞で合成される強力な抗酸化物質のことで、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)がこの順番でペプチド結合したトリペプチドです。
 グルタチオンは、細胞内で発生した活性酸素種や、過酸化物と反応してこれを還元し、消去します。過酸化物の消去はグルタチオンペルオキシダーゼ(酵素)によって触媒され、活性酸素種はグルタチオンが直接反応します。

 今回の研究で議論となるのが、ウイルス感染することでグルタチオンの欠乏を招くのか、グルタチオン欠乏が原因で感染者の重症化を招くのかという問題です。しかし、すでに100以上あるウイルス感染とグルタチオンの論文を考慮しても、「グルタチオン欠乏はウイルス感染の原因の一つ」「グルタチオンはウイルスの複製を阻害し、それによってウイルスによる負荷を減らし、肺のサイトカインストームを阻止する」との考え方が優勢を占めるといいます。
 
研究者は言います。「抗ウイルス作用のようにグルタチオンの有益な効果を多くの医学論文が報告しているにも関わらず、この強力な抗酸化物質の臨床での応用は過小評価されたままである」

 新型コロナウイルスで重症化しやすい人を見ると、高齢者、2型糖尿病、肥満、がん、心血管、呼吸器、肝疾患などで、これらの多くの慢性疾患患者にグルタチオン欠乏がみられます。
 さらに、グルタチオン欠乏は肺の炎症を悪化させる急性呼吸窮迫症(ARDS)、多臓器不全そして死亡につながる可能性があります。
 それでは、体内でグルタチオンの合成を促進するにはどうしたらよいのでしょうか。次項で解説します。
(出典:https://www.youtube.com/ 栄養チャンネル)

■グルタチオンの体内合成と含有食材

体内のエネルギーは、食べ物が酸化分解反応という酸化を受けて作られ、運動や力、活動に使われて消費されています。すなわち、エネルギーを作る"生体酸化反応"は、生命に大切な要素であり命の源です。ところが、この生体酸化反応は、過剰になってしまうと逆に人体にとって有害なものになります。
 生体酸化反応で発生した過剰な「活性酸素」が、細胞膜の構成成分である脂質を過酸化脂質(鉄が酸素で錆びるように、油が変質した状態)に変えてしまい、その結果、細胞を傷つけて動脈硬化や老化の促進、あるいはがんを引き起こす原因になってしまいます。それを防ぐために、体内の「グルタチオン」がすかさず過剰な活性酸素を消去し、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素と協力して、細胞膜を保護して人体を守っています。これを抗酸化作用といいますが、一般的に良く知られたものではビタミンC、ビタミンEなどがあり、グルタチオンもそうした抗酸化物質のひとつです。

 新型コロナウイルスの重症化を避けるカギになるかもしれないグルタチオンですが、グルタチオンの働きを促進させるにはどうすればよいのでしょうか。

体内合成を促進させる栄養成分

グルタチオンの体内合成を促すためには、右図のような栄養成分が不可欠です。特に原材料となるたんぱく質は欠かせません。実際、低たんぱく食の人はグルタチオン欠乏になりやすいという報告もあります。

グルタチオンが豊富な食材

 以前は、グルタチオンを口から摂っても、いちばん小さなアミノ酸に分解されてから吸収されると考えられていました。しかし今では、(全部ではありませんが)グルタチオンのまま吸収されてその効果を発揮することがわかってきています。
 アスパラガスの穂先の小さな三角形のものは、"はかま"と呼ばれる退化した葉です。アスパラガスは猛スピードで成長するため、葉が邪魔になり退化しましたが、このような葉では紫外線を浴びた時に自らを守ることができません。そこで、アスパラガスはアミノ酸をグルタチオンに変えて蓄え、穂先を紫外線から守っているというわけです。その他、スプラウト類にもグルタチオンが豊富に含まれています。植物の持つ新芽パワーを、ぜひ食事で摂り入れましょう。
 また、動物性食材なら、肉・レバー類、魚介類、酵母などに豊富に含まれています。


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愛・感謝 村雨カレン

2020年5月8日金曜日

COVID-19とビタミンD

新型コロナ重症患者はビタミンD不足?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の因子として、年齢や慢性疾患の有無、性別などの可能性が指摘されていますが、新たな研究により「ビタミンDレベル」と重症化との関係が明かされています。

必須栄養素の1つとされるビタミンD(V.D)は脂溶性ビタミンの一種であり、自然免疫応答と適応免疫応答のいずれにおいても重要な役目を持ちます。V.Dを含む食べ物は存在するものの、一般的な食生活でV.Dを十分に摂取するのは難しく、日光浴をして体内でV.Dを生成することも重要となってきます。

 ルイジアナ州立大学健康科学センター・ニューオーリンズの研究チームは、V.DとCOVID-19の関係性を確かめるべく、COVID-19患者の医療記録をたどり、V.D欠乏のサインとなる25-ヒドロキシV.D(25OHD)について調べました。25OHDが30ng/ml以下であれば、V.Dが不足していることを意味します。

 20人の患者の25OHDを調査したところ、患者のうち65%がICU(集中治療室)行きという状況において、一般病棟患者のV.D欠乏症の割合は57.1%でしたが、ICU患者のV.D欠乏症の割合は84.6%に上りました。また、ICUに入った患者のうち「75歳未満」に対象を絞ると、V.D欠乏症の割合はなんと100%になったとのこと。

 ICUにいるCOVID-19患者のうち血液凝固の症状が見られた人は62.5%で、リンパ球の減少は92.3%でした。これらを総合して、研究者はV.Dの欠乏が血液に影響を与え、免疫反応に混乱を起こしているのではないかと仮説を立てています。

 また、患者にはアフリカ系アメリカ人やホームレスが多いことが指摘されていますが、研究者はこの事象にV.D欠乏症が関係していることを示唆。加えて、イタリア・ギリシャ・スペインといった、COVID-19が深刻な被害をもたらしている国では、V.D欠乏症の割合が70~90%にのぼっており、ノルウェーやデンマークではこの割合が15~30%と比較的低いことも指摘されています。

 なお、今回の研究結果はサンプルが限られたもので、論文も査読を経ていないため、正確な結論を出すには、リスクにより分類した被験者を対象としたランダム化比較試験を行う必要があるとのことです。
(出典:https://gigazine.net/)

■ビタミンDという栄養素

ビタミンD(V.D)は骨を丈夫にするために必要な栄養素としてよく知られています。しかし、日本人の8割がV.D不足、4割が欠乏していると言われています。

 V.Dが不足すると血中カルシウム濃度を維持するために副甲状腺ホルモンが増加します。副甲状腺ホルモンは骨からカルシウムを放出してカルシウム濃度を維持しています。

 V.Dを食事から十分に摂取することは困難で、日光に当たることにより皮膚で合成されますが、現代社会で日光を過度に当たることは危険でもあります。また、病院で処方できるV.Dは活性型であり、医師の管理下に内服しないと副作用の危険があります。サプリメントに使用されているものは天然型のV.Dなので危険は少なくなっています。

V.Dの骨への効用

V.Dは脂溶性です。V.Dは日光に当たることにより皮膚で作られます。日光や食事・サプリメントで摂取するV.Dは生物学的に非活性型であり、体内で2回の作り替え(水酸化)を経て活性型となります。
 十分なV.Dがないと骨は細く、脆く、いびつになります。十分なV.Dは小児のくる病を予防し、成人の骨軟化症を予防し、カルシウムとV.Dは高齢者の骨粗鬆症を予防します。

骨以外部位でのV.Dの効用 

V.Dは骨の成長や再生だけでなく、細胞増殖、神経筋、免疫機能、炎症を変化させています。V.Dの欠乏は、呼吸器感染症や呼吸器疾患、自己免疫疾患、各種がん、糖尿病、痴ほう症、うつ病、妊娠結果に影響することがわかっています。

V.D過剰による健康被害

V.Dの過剰は、高カルシウム血症を起こし、食欲不振、体重減少、多尿、不整脈などの症状が出ます。より重症なものでは、血管や組織の石灰化が起こり、心血管や腎臓を障害します。また、腎結石の頻度が増す可能性があります。

V.DにはMgが欠かせない

マグネシウム(Mg)が充分にないとV.Dの代謝ができず、貯蔵されたまま非活性型に留まってしまいます(右図参照)

 Mgは、カルシウム、カリウム、ナトリウムに次いで人体の中で4番目に豊富なミネラルで、アーモンド、バナナ、豆類、ブロッコリー、玄米、ナッツ類、卵黄、魚油、亜麻仁、緑色野菜、牛乳、きのこ、オートミール、カボチャ、ゴマ、ヒマワリの種、スイートコーン、豆腐、全粒穀物などに豊富に含まれています。

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 多くの日本人や各国で、V.Dは不足・欠乏しています。これは日光に当たらないことや、高齢者では皮膚での合成能力の低下していることが原因です。通常の食事で不足していたら、新型コロナウイルス観点でだけでなく、健康を維持するためにも補給が必要です。


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愛・感謝 村雨カレン