2024年12月18日水曜日

低体温

 冷え性よりも危険な“低体温”

“冷え性”は、人が寒さを感じない程度の温度環境で、手足や下半身などが冷えて、つらいと感じる自覚症状のこと。指先などが冷たくなっていても、身体の中心部の温度は正常なことが多くあります。一方“低体温”は、深部体温(脳や内臓など身体内部の温度)が下がってしまうことをいいます。

 深部体温が35度以下になると、激しい震えや、判断力の低下などの症状があらわれ、「低体温症」と診断されます。体温が下がるにつれ、筋肉の硬直、脈拍や呼吸の減少、血圧の低下などが起こり、死に至ることも。自覚がないまま進行することもあるため、高齢の人や、寒い中屋外作業をする人は注意が必要です。

 厚生労働省によると、2021年の熱中症での死亡者数641人に対して、低体温症による凍死は1245人。そのうち65歳以上が全体の80%以上となっています。

 凍死というと、「雪山での遭難」など、日常とは遠いところで起こるイメージが一般的ですが、実は多くが家などの屋内で発生しています。年齢を重ねると、身体能力の衰えや持病等により低体温症になりやすい上、寒さを自覚しにくくなることが要因の一つです。

 36度未満の軽度低体温でも、免疫力が低下し、感染症や脳血管障害、糖尿病など、身体に様々な不調が出やすくなる可能性があるといわれています。疲れやすくなったり、風邪をひきやすく、また風邪がなかなか治らないといった症状も。肺炎やインフルエンザのリスクも高まります。

 身体の深部温度は直腸で測るため、一般的な体温計では測定できません。普段から身体を冷やさない生活習慣を心がけましょう。ポイントは、衣服食事運動の3つです。

 衣服 :暖房での温度調整、厚手の靴下、マフラー・レッグウォーマー、ひざ掛け等を利用して、室内にいても、しっかり防寒対策しましょう。

 食事 :食事の7割は身体の熱になります。朝食をしっかり摂り、身体を温める食材(しょうが、にんにく、鍋料理など)を積極的に食べましょう。

 運動 :筋肉は身体の熱量の6割を作り出します。スクワットやストレッチなどで筋肉をつけましょう。暖かい室内でできる運動がおすすめです。

 ちょっとした心がけの積み重ねが、健康維持につながります。できることから実践して、体温アップを目指してみてください。

(出典:https://www.dydo.co.jp/)


■日常でも多い低体温の弊害

 一枚目でお伝えした通り、低体温症は、都会など普段の生活の中で生じる身近な危険として見過ごせません。事実、救急車で病院へ運ばれる低体温症の患者のうち、自宅など屋内で低体温症を起こした患者は、屋外での発症者の3倍以上と言われています。

 初めは皮膚表面の血管の収縮から鳥肌が立ち、熱を得るために体がカタカタと震え始めます。言葉が思うように出なくなり、歩行もままならなくなります。体熱の喪失が発熱を上回るようになると、中心温は33℃以下(中等症)へ低下。やがて体の震えは止まり、意識障害で朦朧となったり、支離滅裂なことを口走ったり、呼びかけに無反応になったりします。さらに30℃以下(重症)の低下で昏睡状態に陥り、脈拍は微弱となります。そして、心停止に至る‥‥というのが低体温症です。

 屋内の場合、たとえば同居家族が不在中の昼間、トイレに行く途中で階段を踏み外し、倒れたまま動けなくなり、助けを呼べずに低体温症になった老人のケースもあります。認知症の高齢者を抱える家庭では、特に注意しなければなりません。

 脳卒中や狭心症・心筋梗塞、低栄養などの病気を患っている場合、低体温症の発症をきっかけに病状を悪化させ、後遺症を残したり、死に至るケースも少なくありません。中でも糖尿病患者は要注意です。いわば糖は、体内でエネルギーを作り出すガソリン。このガソリンを燃焼させるため、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要がありますが、糖尿病はそれがスムーズにできなくなるので、低体温症に陥りやすいのです。自分一人で身の回りのことができなかったり、独り暮らしだったりする高齢者が低体温症になりやすいと言えます。体が冷えたまま、当初の体の震えがなくなったら危険な兆候です。ただちに救急車を。

 低体温症は、重症になると命に関わります。低体温は体質だけでなく、薄着などで熱が奪われたり、偏食(ダイエット等)による栄養不足、不規則な生活習慣、運動不足なども原因と考えられています。また、ストレスなどにより交感・副交感神経のバランスが崩れると体温が36℃を下回り、低体温特有の疾患や免疫力の低下などが表れることがわかっています。

低体温に陥る生活習慣

ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ

 過度のストレスは血行不良を呼び起こして低体温の原因となります。また、ストレスは、ホルモンバランスを崩し自律神経の働きを乱すため、体温コントロールが難しくなり、低体温になることがあります。

エネルギー産生の不足

 エネルギー産生機能が低下してエネルギー不足になると、基礎代謝が低下するため、冷え性や低体温の原因になります。

たんぱく質不足

 ダイエットや高齢者の摂食障害でたんぱく質が不足すると、血液を送る筋力が低下し、低体温の原因となります。細胞の中にあるミトコンドリアが熱を発生させているのですが、筋肉量が減ると、ミトコンドリアの数も少なくなり、それにともなって体温が下降すると考えられます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2024年12月11日水曜日

短鎖脂肪酸

 2週間で腸内環境は変わる

新型コロナ禍の「巣ごもり便秘」が指摘されてから、すでに数年になります。第11波と言われる感染が広まる中、大腸劣化を食い止めるには、どうすればよいでしょうか。消化器病専門医で帝京平成大学教授の松井輝明氏が勧める腸活方法を紹介します。

 私たちの大腸には1,000種類、100兆個以上とも言われる腸内細菌がすんでいます。この細菌が元気に働き続けられるかどうかは、私たちの心掛け次第。大腸ケアに手遅れはありません。2週間で腸内フローラのバランスは劇的に変わります。

 朝1杯の水分で大きな活力 :朝起きたら、コップ1杯の水分を摂りましょう。まだ眠っている胃腸を目覚めさせます。また、朝食は必ず摂りましょう。朝食を摂ることで、「胃・結腸反射」がおこり、その刺激で腸が動き出します。

 朝のトイレを習慣づける :朝食後には必ず排便する習慣を。副交感神経を優位にし排便しやすくするためにも、トイレでの数分くらいはリラックスした気分で過ごしたいもの。

 ストレスと上手につきあう :ストレスや睡眠不足は、交感神経が優位になりやすく、腸の動きが悪化します。腸と脳との連動(脳腸相関)で、お互いがストレスを敏感に感じ取ります。好きな音楽を聴く、散歩や運動をするなどの時間を、毎日持つようにしましょう。

 毎日30分の運動習慣 :毎日30分の有酸素運動は血行をよくし、運動の刺激が腸を活発にします。少し早足で歩く、階段を使う、遠回りをするなど、できる範囲でかまいません。

 炭水化物抜きダイエットは避ける :腸内細菌のエサは食物繊維。日本人にとってお米は貴重な食物繊維源です。「食物繊維は野菜で」と思っている人も多いですが、実は、野菜より穀物のほうが食物繊維を多く含みます。ごはん抜きの食事は不足しがちな食物繊維摂取量を一層減らします。食事制限の指導がない限りは炭水化物抜きダイエットはNGです。

 水溶性食物繊維を一品プラス :有用菌の代表格、ビフィズス菌は加齢とともに減少します。ビフィズス菌のエサとなる食物繊維、特に水溶性食物繊維を摂るように心掛けましょう。食事に一品、ワカメの酢のものなど海藻を加えたり、白米を雑穀米にしたり、食後に果物を加えたりすることで、水溶性食物繊維を摂取できます。食事が不規則になりがちな人や外食の多い人は、オリゴ糖や天然のイヌリンなどを利用する方法もあります。

 発酵食品を上手に利用 :ヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品には、腐敗を防ぐ働きのある細菌や、腸内細菌が好むエサが含まれていて、大腸を元気にしてくれます。ヨーグルトは腸活効果を最も発揮させるため、寝る2時間くらい前に摂るのがベスト。夕食後、胃酸や胆汁の分泌が落ち着き、腸内細菌が活発になる時間帯だからです。

 食事は量より品数 :豊富な品数はバランスのよい食生活の基本です。外食時は丼物や麺類などより、食物繊維が摂れる小鉢付きの定食が良いでしょう。

(出典:https://www.asahi.com/)


■健康のカギを握る"短鎖脂肪酸"

 口から三大栄養素を摂り、消化・吸収されたあと、腸内では四つの現象が起こります。①発酵 ②腐敗 ③異常発酵 ④酸敗です。このうち①は健康に向かい、②③④は不健康へと向かいます。この発酵で産生する有機酸こそ、健康のカギを握る「短鎖脂肪酸」です

 脂肪酸には、炭素数12以上の長鎖脂肪酸、7~11の中鎖脂肪酸、6以下の短鎖脂肪酸があります。短鎖脂肪酸は、大腸内で、善玉菌が持つ酵素の働きによって行われる食物繊維(糖質)の発酵で生じます。短鎖脂肪酸は飽和脂肪酸です(不飽和脂肪酸には、短鎖及び中鎖脂肪酸は存在しません)。飽和脂肪酸は、肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを増加させ、動脈硬化を促進させる悪者‥‥これは間違いです。飽和脂肪酸がなければ、細胞膜はボロボロに崩壊し、細胞が存在できなくなります。細胞膜形成に欠かせない栄養素なのです。あり過ぎたり摂り過ぎたりすると問題なだけの話です。

ミトコンドリアの活性、免疫の強化に

 短鎖脂肪酸は、炭素の鎖の連結が短いために分解が容易ですぐにエネルギー源として働きやすいのです(体脂肪として蓄積されるのは、鎖が16以上ある脂肪酸であり、短鎖脂肪酸ではありません)。

 近年大きな注目を集めている「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」も短鎖脂肪酸です。酢酸は脂肪を合成する材料として、プロピオン酸は肝臓における糖新生の材料として使われています。酪酸は大腸の主要部分の栄養素となります。

 これら短鎖脂肪酸は、水溶性の食物繊維や糖質の発酵で生じ、免疫機能の向上や、健康増進・維持への有益性が認められてきました。短鎖脂肪酸の95%は大腸粘膜から吸収され、すべての消化管と全身の臓器の粘膜上皮細胞の形成・増殖を担い、粘液を分泌させる働きをしています。胃液も腸液、膵液、胆汁も全て短鎖脂肪酸が作っており、大腸粘液などは100%、短鎖脂肪酸をエネルギー源としています。さらに、細胞内のミトコンドリアに働き、エネルギー活性化を促進します。また、腸のpHを上げ、殺菌力を高めます。がんのアポトーシス(プログラムされた細胞死)にも関わっています。つまり短鎖脂肪酸は、人間の体液(粘液)のかなりの部分を作り、細胞のミトコンドリアを活性させ、粘液の強化に寄与しているのです。

短鎖脂肪酸を増やす食事を!

 短鎖脂肪酸を増やす材料は、熟した果物、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維です。穀物、大豆、キノコに含まれる不溶性食物繊維も材料となります。ほかには、酢(黒酢)、梅干し、漬物、キムチなどの発酵食品も、短鎖脂肪酸の材料になります。当然、康復医学学会の主要研究素材「HM-3000(特系霊芝)」には、不溶性食物繊維も豊富に含まれています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2024年12月4日水曜日

整腸剤

 整腸剤で得られる健康効果

 皆さんは「整腸剤」を飲んでいますか? 多くの人が「お腹の調子が良くない時に利用する」「下痢気味な時、便秘がひどい時に飲む」と答えます。もちろん、そんなとき整腸剤は効果を発揮してくれます。しかし、整腸剤にはそれ以上に大きなメリットがあります。

 一昔前までは「腸活=腸を整える」という、いわゆる「排便の改善」ばかりに注目されていましたが、近年、整腸剤は健康全体に大きな良い影響をもたらすことが明らかになってきていて、「アンチエイジング」や「美容」を目的に腸活している人が急増しています。

 整腸剤で得られる健康効果には以下のようなものがあります。

 食欲が激減、痩せやすくなる 

 整腸剤で、短期的に腸内環境を良好な状態に保つことができ、ジャンクフードへの欲求を減らすことができる。結果的に腸内環境が好循環に転換。さらに痩身効果から見ると、整腸剤はコレステロールを下げることが分かっている。2012年米心臓協会の発表では、高コレステロールに悩む人に整腸剤を飲んでもらったところ、LDLコレステロール:12%↓、総コレステロール値:9%↓という結果が得られている。

 肌がきれいになる 

 顔のテカリを放置しておくと、アクネ菌などのバクテリアが増殖、皮膚に炎症を起こし、ニキビや吹き出物の原因となる。しかし、整腸剤を摂ることで改善する可能性がある。皮脂の分泌により肌が荒れてしまうのは、腸内環境の悪化が原因とされており、整腸剤を使用することで腸内環境が好転、約80%の人のニキビが改善している。

 アレルギーやアトピーの改善 

 リーキーガット症候群により、異物に対して免疫が過剰に反応し、炎症を起こす。結果としてアトピー性皮膚炎やぜんそく、じんましん、食物アレルギーなどを引き起こしてしまう。アレルギーに悩む人には腸に問題があり、このリーキーガット症候群になっている人も多い。腸内環境が改善することにより、鼻づまりや花粉症が軽減した等のデータもある。

 下痢や便秘が改善する等お腹の調子が整う 

 整腸剤を飲むことで、腸内の善玉菌↑、悪玉菌↓となり腸内環境が改善、腸の不調をダイレクトに和らげてくれる。ただ、整腸剤は医薬部外品なので、即効性はない。毎日しっかりと飲み続けることが必要。

 疲労感が軽減する 

 研究によると、慢性疲労症候群の人は腸内環境が非常に悪いということがわかっている。慢性疲労症候群の患者を調べると、過敏性腸症候群を患っていたり、便秘だったりする人が多い。⇒腸内環境の悪さが日々の疲れやすさに関係している。整腸剤を飲むことで慢性疲労症候群の患者約70%に疲労感の回復が見られたという研究もある。

 メンタル不調が改善する 

 近年、腸内環境が脳にまで影響することが明らかになっている。「セロトニン」は腸で大半が作られるが、そのセロトニンが脳に働きかけることでメンタルが改善する。腸の働きが良ければ脳の機能が改善する。毎日整腸剤を服用した人は、健康増進はもちろん、うつ病や不安感、ストレスが改善したと報告されている。


■腸内フローラを整える

 腸内には数百種類の菌が生息しています。そして、この細菌の生息状態は一人ひとり異なります。腸はお腹の調子や消化吸収だけに関わる器官ではありません。免疫やホルモンの分泌、美肌、日々の調子など心身すべてに関わる器官です。腸内には様々な種類の細菌が生息していて、腸内フローラ(細菌叢)を形成しています。腸内フローラのバランスの改善し、美と健康を維持するために「整腸剤」も一つの回答となります。

腸内環境を改善するためには

 腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があり、人体に有害な働きをする悪玉菌が優勢になると心身の健康を損なうことがあります。腸内環境を改善するためには、善玉菌が働きやすい環境を作ることが重要です。腸内フローラの理想的な状態は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌の比率が2:1:7であると言われています。菌の割合の把握は難しいですが、食事と生活習慣を見直すことで、腸内フローラを整えることが可能です。

 食事では、発酵乳製品や漬物など善玉菌を含む食品・増やす食品(腸内で消化されにくい、オリゴ糖類食物繊維など)を摂ることと、腸内環境に悪影響を与える食材(高たんぱく高脂質化学調味料・添加物)を控えることが重要です。

 日常的なストレスは交感神経を刺激して便の排泄を抑制します。便の排泄が滞ることで、悪玉菌や、悪玉菌の作る有害物質(アンモニアや硫化水素)の排出ができなくなり、腸内フローラが悪化します。また、十分な睡眠時間を確保し、リラックスして入浴するなどして副交感神経を刺激することも重要です。

腸内フローラを整えることで期待できること

 腸内フローラの改善は、全身の健康も維持し、以下のような効果が期待できます。

【美肌効果】:腸内細菌がビタミンB群の生成を促進するため

【便秘解消】:善玉菌の増加で乳酸や酢酸などの有機酸が産生され、腸を刺激するため

【肥満予防】:腸内細菌が生産する脂肪酸がエネルギー代謝に関わる受容体を刺激するため

【体臭改善】:悪玉菌が産生するアンモニアや硫化水素が減少するため

【免疫力強化】:人体の免疫の7割を担う腸の免疫細胞を腸内細菌が刺激するため

【がんリスク低下】:がんの要因となる有害物質(アンモニアや硫化水素など)が減少するため

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 康復医学学会が、新しい甘味料のあり方として提案している「グリシン+霊芝炭」は、さまざまな健康作用が確認されています。整腸作用が高いこともそのひとつで、便通改善物質として働きます。グリシンは腸内善玉菌を増殖させて腸の働きを活発にするため、便秘や下痢になりにくくなるのです。また、食物繊維の一種「難消化性デキストリン」にも善玉菌を増やすことが知られており、腸内フローラを整えて健康的なお腹が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン