2012年10月27日土曜日

微小循環基礎講座⑤ 女性は「微小循環狭心症」に注意


見過ごされやすい狭心症

女性の8割は更年期に心や体の変化を感じると言われています。40歳代の半ばから50歳代半ばの閉経前後の時期に、卵巣機能の低下に伴い女性ホルモンが急激に減少して、ほてり、のぼせ、逆に冷え、頭痛やめまい、耳鳴り、などの症状が出てきます。さらに、不安感やイライラ、憂鬱感の増幅、不眠など、精神的な症状が現れる方もいます。
 女性なら誰しも知っていると思いますが、更年期障害の原因は女性ホルモンが急激に減少することです。胸が痛くなる疲れやすくなるなどの症状が出ることもあります。これは、女性に特有の症状で、「微小血管狭心症」です。この年代の女性の10~20%が、微小血管狭心症が原因の胸痛を経験しているとみられ、早い人では30歳代で自覚症状が出始める人もいます。
 微小血管狭心症は米国立衛生研究所(NIH)のグループによって提唱されました。この微小血管狭心症の特徴としては、胸痛は安静時や就寝時に起こり痛みは数分で消失することが多いのですが、特効薬であるニトログリセリンも、継続する痛みに対して効きにくいのです。また、心臓の異常は心電図でも表れることがなく、冠状動脈にも異常はありません
 胸痛発作の引き金(誘因)となるのが、過労ストレス睡眠不足などです。これまでは、微小血管狭心症は大きな血管が詰まるわけではないので、本人が胸痛に苦しんでいるのに「異常なし」「気のせい」などと見逃されてきたケースも多かったようです。しかし、自覚症状を訴えた女性の中には心筋梗塞に至り死亡する例もあります。
 最近の研究では、胸痛の自覚症状がある人の5~6%が2年以内に虚血性心疾患で入院しているという報告もあります。男性に多い狭心症は、心臓表面の太い冠動脈の血管が動脈硬化で詰まって起こるのが特徴ですが、その太い血管が突然詰まることはありません。女性のように微小循環の血流が先に滞ります。
 狭心症の自覚症状は、胃の周辺や、肩、背中などに痛みが出る場合もあり見過ごされていまいます。日頃からちょっとした自覚症状でも微小循環の血流をイメージしてケアすることが大切です。

康復医学の基本 微小循環基礎講座⑤

■血流低下の原因にもなる"血栓"

基礎講座③でもお伝えしましたが、血管の内側の血管内皮細胞は、機能の低下や動脈硬化などによって血管壁にコレステロールがたまって、血管内が狭くなります。
 動脈硬化の部分が破れると内皮がはがれ落ち、血管がけがで傷ついたのと似たような状態になり血栓形成の原因になります。

ポイントは凝固因子フィブリン!

○健康な血管は、血管内皮に覆われ、血栓はできない
○血管内皮に傷がつくと、血小板が集まってくる
○血管の傷ついた部分に血小板がくっつき塊を作る
○凝固因子が働き、「フィブリン」という糊が血小板をからめて、強くし、出血を止める(下図の糸くずの様なものがフィブリン)

凝固因子は数多くあり、お互いに複雑に反応、制御しあい最終的にフィブリンをつくります。この凝固因子の反応は、血小板膜や血小板がちぎれてできた断片で加速され、血の塊を強固にし、出血を止めます。この血の塊が血中に漂うのが血栓です。処方されることが多い抗凝固薬は、凝固系の働きを抑え血液を固まりにくくするので、少しでも量が多すぎると、出血傾向になったりします。また、ビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくする効果を出すので、日常の食生活でビタミンKを摂ると中和してしまって薬が効かなくなる恐れがあるので、ビタミンKを含む食品にも気を付けないといけません。
 「霊芝」は、血小板血栓及びフィブリン血栓の形成に対して抑制効果があります。そして、生薬類似食品である霊芝は、抗凝固薬のように摂取量の違いで出血傾向になることはなく、日常の食事の心配もありません。血管内皮細胞も強化させるので理想的な生薬です。康復医学学会も推奨しています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月24日水曜日

微小循環基礎講座④ 脳血管障害/酸素を運ぶ赤血球


脳血管障害と微小循環

脳は生命活動を維持し、さらに言語機能の制御や精神活動をも行っています。多くの重要な働きを持つ脳の疾患は、人が生きていくうえで致命的となりかねません。
 1951年から1980年まで、日本人の死因のトップは脳卒中でした。その後、食生活の改善や医療の進歩により死亡率は減少傾向にありますが、依然として日本人の死因の3位以内の地位を保っています。

 血液は脳のエネルギー源となるブドウ糖と酸素を運んでいます。その血液を大量に必要とする器官が脳であり、心臓から送られる全血液の20%が流れていきます。脳血管障害は、頭蓋内で出血する「頭蓋内出血」(部位によって「脳出血」と「くも膜下出血」があります)と脳動脈のつまる「脳梗塞」(脳血栓と脳塞栓)に大別されます。

 脳出血の主な原因は、高血圧、加齢、ストレス、栄養不足などで、脳内の血管に障害がおこり破裂します。戦前の“タンパク源が少なく塩分の多い食生活”下においては、脳血管障害の原因の3分の2は脳出血でした。年齢は40歳以降、特に60歳以上の高齢者に多く、時間帯は夜間より朝夕に、また季節はにおきやすい傾向があります。飲酒や過労、緊張や興奮のストレス、食事や入浴などで血圧が急に上がったときに脳出血は起こります。

 脳梗塞には「脳血栓」と「脳塞栓」があります。脳血栓は動脈硬化などで細くなった動脈に血栓が少しずつできて血流を止めてしまいます。脳血栓は糖尿病、高脂血症、脳動脈硬化などの病気が引き金になります。また、急激な血圧低下や、脱水で血液濃度が高くなることにより血流の停滞がおこり発症することもあります。ウォーキングやスポーツなどに夢中になって水分の補給を怠り、脱水状態に陥り脳血栓で倒れる場合もあります。また、夜間の睡眠中に血圧が低下することによっても起こりやすい傾向があり、60歳以上に多いのが特徴です。
 脳塞栓は、主に心臓にできた血栓が流れていって脳動脈をつまらせるものです。心疾患が引き金となり、過労や飲酒、ストレスなどが原因となって、突然、発作にみまわれます。年齢を問わず起きることが多く、若い人にも多いのが現状です。
 突然の発作に見舞われる前兆は、必ず微小循環に表れます。大量の血液を必要とする脳は、ちょっとした微小循環の変化で“頭痛”“めまい”など自覚症状として表れますので見過ごすことのないよう、注意が必要です。


康復医学の基本 微小循環基礎講座④

■細胞に必須な酸素を送る赤血球

身体の全身に張り巡らされている血管の末端(動脈から静脈に移る部分)、「微小循環」で、血液は初めて仕事をします。身体の細胞に必要な栄養素とその栄養素を有効活用するために必須な酸素を供給します。酸素は、1回の呼吸でおよそ17~20%しか体内で使われず、残りの酸素はそのまま血液が持ち帰って呼吸と共に吐出されています。

運んだ酸素を効率よく供給する!

酸素は、肺で赤血球のヘモグロビンと結合して血流に乗って微小循環内の毛細血管から細胞に供給されます。しかし、微血管の弾力性低下や血球の凝集、変形能の低下によって毛細血管の血流が低下すると、細胞への酸素の供給量が減少してしまいます。さらにこの微小循環の毛細血管のところで、酸素が赤血球から切り離されてなければ、細胞には供給されません。酸素を運ぶ赤血球が細胞へ酸素を供給するには、2,3-DPGという物質が必要になってきます。2,3-DPGは、酸素を赤血球のヘモグロビンから切り離す、いわば「酸素カッター」の役目をします。
 血液の流動性は、NO(一酸化窒素)の産生(微血管内皮の柔軟性)、赤血球の変形能、2.3-DPG。この3大要因によって酸素を体の隅々まで供給し、効率的に細胞内に取り入れることができるのです。

呼吸酸素を有効利用する!

ストレスや生活習慣などの影響で、微小循環の血流は低下します。この体内の細胞レベルで微妙な酸素濃度の変化でも、身体に様々な影響を及ぼすのです。
 人為的に酸素を補給(酸素濃度の高い水、酸素カプセル等)するのではなく、日常の呼吸酸素を有効利用するのが基本です。
 酸素の供給量を上げる2,3-DPGの産生促進に期待できるのが、「霊芝」です。このあたりのことは、後日「対策編」で詳しくお伝えしようと思います。。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月20日土曜日

微小循環基礎講座③  高血圧と血管内皮細胞


秋本番と本態性高血圧

残暑厳しい今年の夏でしたが、10月に入り一気に気温が下がって秋らしくなりました。
 この温度変化が、実は身体の血管にダメージを与えやすくしているのです。寒くなると、時には重篤な事態も起こりやすいので注意が必要です。
 その重篤な事態の一つが「大動脈瘤破裂」です。大動脈は、心臓から血液を全身に送り出す太い血管で、動脈硬化等で血管壁が弱くなると、壁の一部がコブ状に膨らみます。これが「大動脈瘤」です。寒くなると、このコブが破裂しやすくなります。「気温の急激な低下によって血管が収縮すると、血管の壁に圧力がかかりやすくなります。高血圧の人はなおさらです。その結果、大動脈瘤破裂、あるいは、血管の壁が縦に裂けてそこへ血流が流れ込む『大動脈瘤解離(かいり)にもなりやすい。寒くなってくると、患者さんは増えるのです」(東京医科大学病院心臓血管外科の荻野教授)。

 このような重篤な病気に直面しなくとも、高血圧は様々な生活習慣病へ進行する原因のひとつでもあります。血圧は、秋のこの時期から冬にかけて上昇傾向にありますが、大半の人が何も疾患がないのに「ただ血圧が高いだけ」という本態性高血圧です。この本態性高血圧は、高血圧患者の約95%を占めています。高血圧が持続すると、血管はその圧に負けまいとして壁の厚さを増してきます。また、血管の内腔をおおっている血管内皮細胞は直接高い圧にさらされるため、小さな傷ができたり、うまく機能しなくなったりします。すると、血管壁に慢性的な炎症反応が生じ、血栓ができ易くなったり、白血球やコレステロールなどが血管の内側の層に集まってきて動脈硬化が進んでしまいます。

 高血圧により、血管壁に過剰なストレスがかかることも、血管障害を促進する重要な要因と考えられています。こうした血管障害は、特に脳、心臓、腎臓の血管に起こりやすく、その結果、心臓病や脳卒中、腎不全などの合併症が引き起こされます。もちろん、これらの疾患が突然発症することはないのですが、身体の血管の8%を占める毛細血管を含む微小循環領域では、相当前から血流の障害が起っています。
 原因がわからないとされる本態性高血圧も、微小循環での血流が悪くなるのが要因の一つなのです。

 この微小循環の血圧は、普段使われている血圧計では測れないので、事前の予測が難しいのです。原因不明の本態性高血圧の治療は、この微小循環の血流改善が本質なのですが‥‥。


康復医学の基本 微小循環基礎講座③

■毛細血管と血管内皮細胞

心臓から血液が送り出されている動脈と、心臓へと戻ってくる静脈。この動脈と静脈はつながっていると思いますか? もちろん閉鎖循環です。しかし、正確に言うとつながっていません。その動脈と静脈の間にあるのが微小循環です。
 全身に張り巡らされている血管は、心臓の動脈から始まり腹部まで伸びている最も太い「大動脈」、頭部や手足などへ血液を運ぶ「中動脈」、各内臓へ血液を運ぶ中動脈、そしてそこから小動脈、細動脈へと続き、さらに微小循環へつながります。この各組織の微小循環で、運ばれてきた酸素や栄養素や薬の成分が放出され、余分な老廃物や二酸化炭素を持ち帰ります。そこから静脈へとつながって、血液は心臓へと戻ります。

 動脈は厚い三層からなる血管で、外側を取り巻く結合組織からなる「外膜」、平滑筋、内弾性膜で構成される「中膜」、内皮細胞からなる「内膜」でできています。しかし、毛細血管は内皮細胞の一層しかありません。この一層の毛細血管の血管壁を通して、組織・細胞へ栄養素と酸素を送り、老廃物と二酸化炭素の回収を行っています。血液は、この微小循環内にある毛細血管で一番大切な働きをしますので、ここでの血流が最も大切なのです。

重要なのは血管内皮機能!

血管内皮細胞は、血管の健康状態を維持するのに非常に重要な役割を果たしています。血管内皮細胞は一酸化窒素(NO)など数多くの血管作動性物質(血管に働きかける因子)を放出しており、血管壁の収縮・弛緩をはじめ、血管壁への炎症細胞、血管透過性、凝固・線溶系の調節などを行っています。

 この血管内皮機能は、ストレスや高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの様々な生活習慣病によりその機能が低下します。この低下した血管内皮機能を改善することが、微小循環内の毛細血管の血流改善にもつながり、疾患の治癒、傷病後の健康回復、QOL(生活の質)の改善などにつながるのです。


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光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月18日木曜日

微小循環基礎講座② 「血管事故」危険度はMAX81倍!


危険度は3×3×3×3=81倍!

今回の前半は、東京医科大学八王子医療センターの病院長・高沢謙二医師の言葉(「」を中心にお伝えします。

「突然死につながる心筋梗塞や脳卒中といった病気について、誤った情報を信じている人が非常に多い。心筋梗塞になった患者さんは『まさか、自分がなると思ってもいなかった』と言う方がほとんどなのですが、それは正しい知識を持っていなかったからです」。
 「そもそも、心筋梗塞は『心臓が悪くて起る病気』と思っている人が多いのですが、それは間違い。心筋梗塞は心臓に血液を届ける血管が詰まって、心臓が壊死してしまう病気。脳卒中も同様に、脳に血液を送る血管が原因の病気です。つまり、突然死は『血管の事故』によって引き起こされるのです」。

 そして、突然死のリスクは体型や体重に関係がありません。「じつは、痩せている人ほど危ないこともあるんです。食事で脂肪分を摂取しても、皮下脂肪に溜まらないということは、血管の中にコレステロールが溜まっている可能性があるのです。痩せていて血中コレステロールの数値が高い人は一番危険です。さらにタバコを吸っているなら、いつ心筋梗塞になってもおかしくありません」。

 そもそも日本人においては、肥満と心筋梗塞や脳卒中との直接的な関係ははっきりしていません。血管は、どんなに硬くなって内壁にコレステロールが溜まっても、心筋梗塞や脳卒中が起きるまで自覚症状が現れないので“痩せているから大丈夫”と油断して、生活習慣を見直さないことも突然死に至る要因の一つです。

 また、心筋梗塞は心臓の血管が狭くなる狭心症が悪化して起ると思っている人が多いようですが、「心筋梗塞の約6割は、血管の詰まり具合が25%未満、つまり血液が75%は流れている状態で起こるのです。このことは、心臓の専門家であってもまだ知らない人がいます。狭心症の検査をして『大丈夫』といわれても、その当日や翌日に心筋梗塞で倒れて救急車で運ばれる、といった人はじつは非常に多いんです」。

 これら血管の事故の最も大きな原因は、①高血圧 ②脂質代謝異常 ③糖尿病 ④喫煙の4つです。「高血圧があると、突然死のリスクは普通の人の3倍、脂質代謝異常が加わると3×3=9倍。さらに糖尿病が加わると危険度は3×3×3=27倍、そこに喫煙習慣があると3×3×3×3=81倍という高リスクになると思って、注意しなければなりません」。
 血管の事故といっても突然太い血管が狭窄することはなく、末端の細い血管の微小循環の血流から変異していくので、微小循環領域の環境維持改善が特に重要なのです。

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康復医学の基本 微小循環基礎講座②

末端の微小循環での血液は、酸素や栄養素の供給、二酸化炭素や老廃物の回収など、健康を維持するために働いています。この微小循環における血流低下の改善は、傷病後の健康を回復し、再発・合併症の予防する学問“康復医学”の重要なテーマです。

■微小循環血流低下の原因

毛細血管の収縮

体に強いストレスがかかると、自律神経の交感神経が活発に働き、副腎髄質から大量のアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。そして毛細血管の出入口付近にある平滑筋に影響し、毛細血管が収縮し血球が入りづらくなります。また、中性脂肪や酸化ストレスが増加すると、血管内皮細胞が阻害され、NO(一酸化窒素)の産生が低下し伸縮しにくい血管になります。血球の直径よりも細い毛細血管は非常に繊細です。血流は血液の質も大切ですが、この毛細血管のしなやかさがとても重要になります。


赤血球の凝集

血液の40~45%は赤血球です。生活習慣や加齢、ストレス、疾患などが原因で赤血球表面の粘度が増加すると、赤血球どうしがくっつく「連銭状態」(左図上)になり、微小循環の血流が低下する原因になります。


赤血球の変形能

赤血球が酸素の供給を行う微小循環の毛細血管は、その径が赤血球の直径より細いため、毛細血管がNO(一酸化窒素)で拡張し、赤血球は自らが変形(右図下)して通っていきます。しかし、微小循環のNO産生の低下や、赤血球の変形(弾力性)の低下が起きると、赤血球自体が毛細血管に入りにくくなり、血液の機能も低下してしまいします。


★微小循環では、血管壁からのNO産生、毛細血管の本数、毛細血管の入口・出口の口径、血液の流速、赤血球の変形能、凝集など、すべての条件が整った状態が最高の血流とされています。“最高の血流”は、健康維持はもちろんのこと、傷病後の健康回復を目的とする康復医学の基本条件となっています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月12日金曜日

微小循環基礎講座① 「新・厄年」の考え方


エビデンスのある新厄年?

厄年に関する最も古い記述は平安時代にあります。そして現在の厄年は江戸時代に定着したとのことです。江戸時代は30代前半だった平均寿命が、現在ではだ男女平均で82歳を超えるまでに伸び、生活習慣も変わりました。

「年齢研究所」というところが、病院で保険診療を受けた患者の年齢や性別、病名、治療法などが明記されている75万人分のレセプトデータを分析して、病気が発症しやすい年齢を算出し「新・厄年」と名付けました。
 その中で注目されたのが、健康寿命を損ねる大きな原因となっている7大疾患です。7大疾患は、脳血管疾患、心疾患、認知症、関節疾患、骨粗しょう症、糖尿病、そして、がんです。昨年1年間に発症した患者の年齢と発症率を調べると、7大疾患を総合した発症率が一段と上がる年齢が判明しました。男性で24、37、50、63歳。女性で25、39、52、63歳でした。注目は男女とも63歳が、7疾患の発症率が急上昇する「大厄」となっていることです。
 男性24、女性25歳は、社会人になってから食生活の乱れが生じ生活習慣を誘発します。
 男性37歳は既婚者も多くなり、仕事や家庭のストレスも多くなります。女性の39歳で気をつけなければいけないのは“がん”です。乳がんは30代から徐々に増加していく傾向があります。
 50歳の男性の場合;「50代で管理職になってから急に体の不調を訴える人は意外と多いんです。それは、ストレスが原因で男性ホルモンの分泌が低下しているためです」(昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授)。50歳という新・厄年に病状が悪化すると、取り返しのつかないことになります。女性の52歳は、主に女性ホルモンが関係しています。「女性ホルモンの低下に伴って、さまざまな自覚症状が現れますが、こうした不調を更年期障害だからと片付ける人が多いですが、それは非常に危険です」(汐見台病院産婦人科・早乙女智子副科長)。
 そして、男女ともに63歳の大厄は、女性はホルモンバランスの低下から、男性は、定年から生活環境が変わり、仕事を失った喪失感や経済的な不安といったストレスが生じ、さまざまな病気のリスクが増えてきます。そして、来る2013年に新・厄年を迎える人が、向こう20年間で最多の680万人になります。茨城キリスト教大学・板倉弘重名誉教授は「厄年だから気をつけるのでは遅い。日頃の習慣の蓄積が病気の発症に結びつきます。厄年が近づいた時点で、生活を振り返って改善し、気をつけることです」と言います。新・厄年に関連する疾患は、血液・血流・血管が関わる微小循環の領域です。基礎講座で詳しくお伝えします。


康復医学の基本 微小循環基礎講座①

■微小循環は健康維持の本質

康復医学は、治療後の社会復帰や日常生活の質の向上など、人間の身体を本来あるべき状態に回復させるため医学です。そのポイントの一つが、血液を隅々まで正常に流す“血流”です。そして、血液が重要な機能を果たす場所が「微小循環」です。

 血管は心臓の動脈から流れはじめます。そして、全身の末梢に進むにつれて血管は細くなり、口径の小さい一層の内皮細胞からなる毛細血管になります(上図)。その末端の循環システム(細動脈→毛細血管→細静脈)が微小循環です。
 微小循環での血液は、赤血球どうしが適度な間隔を持って、弾力性(変形能)が良い状態で毛細血管に入ります。そして微小循環領域の毛細血管で、組織細胞への酸素と栄養素を送り出しています(中図)。微小循環領域では、赤血球が正常でも、血液粘度が高く赤血球が凝集し血管全体も色濃くなり変形能も低下している状態や、細動静脈と毛細血管の接合部分にある括約筋がストレス・自律神経の影響などで収縮すると毛細血管内の血流が低下することがあります。毛細血管の内皮細胞は微小循環を円滑に維持しています(下図)毛細血管の内皮は一層であることが重要で、栄養、酸素、老廃物の代謝はこの部分でのみおこなわれます。しかし、加齢、生活習慣、ストレスなどで血液粘度の上昇や酸化ストレスの増加などが原因になり、血管内皮細胞が阻害され、血管が収縮し炎症を起こし易く、血栓が形成され易い血管になり血流の低下が起ります。
 前項の7大疾患のほとんどは、この微小循環の領域で起る疾患といっても過言ではありません。

 今号より康復医学の基本となる微小循環の仕組みと、微小循環を正常に維持する対策等をお送りいたします。

いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月11日木曜日

感染対策!


警戒感の低下が原因? ウイルスの猛威!

前号の速報でお伝えしたように、ドイツ国内では最大規模の食中毒による健康被害は11,000人以上に増えました。そのノロウイルスの感染源は中国産の冷凍イチゴだということがわかり、食品の安全性が政治問題にもなってしまいました。
 ドイツ連邦消費者保護・食品安全庁によると、食中毒の原因となった給食は世界最大手の給食業者が提供し、問題のイチゴはドイツ国内の給食センターで砂糖煮に調理されていましたが、加熱が不十分でノロウイルスが死ななかった可能性があるということです。当初関連を否定していた同給食業者は謝罪し、問題のイチゴは回収が進み、被害の拡大は抑えられました。
この事件で「中国産」がクローズアップされ、ドイツの野党代表が「なぜ子供たちが中国産のイチゴを食べているのか。新鮮な地元産のリンゴの砂糖煮を食べればよいではないか」と指摘。食料・農業・消費者保護相も「地元の食材を食べるべきだ」と同調し、国産品利用の促進をテーマにした議論に発展しています。

日本国内では小児を中心に流行しているRSウイルスに続き、大人でも感染するマイコプラズマ肺炎の患者数が、平年の約3.8倍に急増しています。マイコプラズマ肺炎は、発熱やだるさなどの症状が表れ、熱が下がった後も乾いたせきが3~4週間続きます。抗菌薬で治療しますが、重症化すると、重篤の肺炎や胸に水がたまるなど、、入院が必要になることもあります。増加した詳しい原因は分かっていませんが、厚労省結核感染症課は「平成12年から増加傾向が続いている」と指摘しています。
 大人の場合、獲得免疫(一度感染症にかかった生体がその感染症に抵抗性を獲得した状態)などの関係でマイコプラズマによる肺炎を起こすことはほとんどないと言われていますが、実は風邪やインフルエンザに罹ると、その後に細菌性肺炎を起こしやすくなることがわかっています。「肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などの細菌は、普段から鼻や口腔内の粘膜に住んでいることが多く、健康体なら気管支の粘膜表面に無数にある線毛が働いて病原体は痰と一緒に排出されます。しかし、風邪やインフルエンザを発症すると線毛の働きが低下するので、鼻や口腔内にいる細菌が肺の奥まで落ちて、その後、2次的に肺炎が起こるのです」(国際医療福祉大学三田病院・呼吸器センター 佐藤哲夫教授)。高齢者はもとから線毛の働きが弱いので、最初から合併するケースもあるということです。インフルエンザをはじめとするウイルスや細菌などで流行する場合、流行期を過ぎたと油断し警戒を怠って、感染がよりいっそう拡がるという傾向があります。

 新型インフルエンザも絶滅したわけではなく、ウイルスが変異している可能性も考えられます。通年の対策が必要です。
 そして、週刊現代(10月20日号)で詳しく伝えられているように、輸入加工食品は要注意です(ぜひ一読をおすすめします。怖いです)。

■危機意識を高め感染対策!

危機意識が低下し重症化や感染が拡がらないためにも、流行期に関係なく日頃の感染対策が必要です。ウイルスや細菌が侵入する入口となる鼻腔や気管は、粘膜で覆われています。粘液の下には線毛細胞という細かな毛をもつ細胞がたえず動いていて粘膜でからめ取ったウイルスを外へ排出しようとしています。

ウイルス&細菌は感染前に防ぐ!

粘膜を刺激する!
★よく聞かれる「~免疫療法」といわれるのは、血中や組織液に存在する免疫グロブリンG(IgG)のことで、細菌やウイルスなどの侵入を阻止する免疫グロブリンA(IgA)を産生する細胞は、粘膜の下の組織にしか存在しません(この組織はIgGも産生できる)。この粘膜免疫は、粘膜の上から刺激することでIgAの分泌を促します。

【通年の感染対策】

ウイルスや細菌は、疲労、ストレス、基礎疾患などがあると体力や免疫が低下し、感染・発症しやすくなります。口や鼻から気道に入るウイルスの予防のチャンスはここにあります。
 夏の猛暑・残暑の影響で体力や免疫が低下する人が増えていますので、流行の拡大・重症化が心配です。

 康復医学学会が推奨しているのは、ウイルスの不活化データを持っている『レイシセンダン葉のど飴』のような、のど飴形状のものです。成分がのどで留まり、気道でのウイルスの不活性化に期待できます。また、「霊芝」を舐めることにより、霊芝特有の苦味成分が上気道の粘膜を刺激するので、粘膜免疫(IgAの分泌)の産生に期待が持てます。
 就寝時の口呼吸による乾燥はたいへん危険です。霊芝を舐めて予防しましょう。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月5日金曜日

なかにし礼さん/抗老化・抗肥満⑩


ガンからの生還、そして『康復医学』

「4センチありますね。むろん初期ではありません」「今のところステージⅡの後半です」。

 今年2月、胸のむかつきを訴え胃カメラを受けた作詞家・なかにし礼さんが医師から食道がんを告知されたときの言葉です。毎年3月に胃カメラ検査をしているのですが、昨年は3月の震災で騒然とし受ける余裕がなかったとのことです。1回目の抗がん剤治療の結果、食道の4センチあった患部が2センチほどに収縮していて、次に「陽子線治療」を受けることになりました。しかし、放射線治療を受けると放射線で焼かれた粘膜は、縫合の時にうまく接合できないので、今後手術は受けられなくなるリスクがありました。そして、陽子線治療は全部で30回6週間、同時に抗がん剤治療も受け、治療の終わった3週間後、CT、胃カメラ検査でがんはすべて消えていました。そして、10月1日にはレギュラー番組にも復帰しました。

 今回、なかにし氏の場合、陽子線治療から完治に至るまでが週刊誌に取上げられていましたが、近年がん治療の分野では、医薬品や治療技術の有効性評価の標準的な臨床効果の指標として、QOL(生活の質)を優先的に考えた「生活の質を調整した生存年数」(QALY)を重視するようになってきています。治療を優先するのではなく"健康寿命を全うする"ことを重視するのです。まさに、康復医学の目的である、身体機能を回復させ、患者の健康を質の高いレベルに到達させることにあります。従来のリハビリに加えて、総合的な康復処置により、患者のQOLを改善し、より高いレベルの健康回復と社会復帰を手助けする実践医学が康復医学です。がん細胞が消滅しても、治療によるQOLの低下や再発も考えられます。これからのなかにし氏に必要なのは、まさに康復医学なのです。

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NEWS 日本とドイツでウィルスの猛威!

ドイツ東部の州で8,300人の児童が、学校給食のノロウイルスが原因で下痢や嘔吐の症状を訴え、多数の学校が休校する事態となっています。地元紙では「ドイツで最大規模の食中毒事件」と伝えています。
 一方、日本国内では乳幼児を中心に例年冬場に流行するRSウイルス感染症の患者が、今年は早くも急増しています。過去10年で最も速いペースで増えており、感染研の安井良官は「両行の立ち上がりが早まった原因はわからないが、冬になる前に流行が例年以上に広がる可能性があり、注意が必要」と話しています。
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理屈がわかれば簡単に痩せられる
抗老化・抗肥満とは⑩

■たんぱく質不足で老化が進行!

たんぱく質は、乳幼児から成長期まではたんぱく質代謝の過程で、合成が分解より大きくなります。これは身体が成長する中で多くのたんぱく質を必要とし、成人期になると合成と分解がほぼ等しくなり、体重も安定しています。しかし、成人期を過ぎ老化の過程で分解が主となり、合成も低下したんぱく質不足が老化の促進を進行します。

老化だけではない、たんぱく質不足!

年齢とともにできるシワの原因のひとつは、皮膚をつくっているたんぱく質のコラーゲン代謝が低下するためです。また、骨や軟骨、腱などが弾力性を失うのも同じ理由からで、たんぱく質の不足は骨折や関節炎などが起こりやすくなります。特に、中高年からのたんぱく質の不足は、筋肉を弱め、血管をもろくし、骨粗鬆症を起こす要因ともいわれます。さらにホルモン分泌や免疫力も低下し、老化を早める原因となります。

たんぱく質の補給には注意が必要!

たんぱく質を過剰にとりすぎてしまうと、逆に健康上のトラブルにつながります。肉食中心で摂ると、たんぱく質だけでなく、飽和脂肪酸なども多量に摂取することになり、心臓病や痛風などを引き起こす原因になるので、注意が必要です。また、高齢者の場合、食欲の低下に加え、胃液の分泌が減ったり、胃液の酸度が下がることで、たんぱく質の消化吸収量が減少するため、食事などによる補給が難しい場合があります。

【たんぱく不足・老化対策】
 たんぱく質を手軽に摂取・吸収に期待できる『薬膳の素』(和漢生薬研究所)は、康復医学推奨商品です。アミノ酸スコア100のペプチドコラーゲンをベースにした"だし"タイプですので、普段の食事に合わせるだけで食事による負担を軽減でき、脂肪分の少ない良質のたんぱく質を簡単に摂取できます。
 そして、テラヘルツ波を体に吸収すると、ミトコンドリアの活性化→エネルギー産生に影響し、抗老化対策に期待ができます。
 このように「特定栄養素の供給+最先端医学療法」こそが康復医学学会が提唱する康復療法なのです。
※参照『康復医学大綱』p63(微小循環研究所 刊)


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2012年10月3日水曜日

抗老化・抗肥満⑨


肥満や老化だけではないたんぱく質不足!

今シリーズの抗肥満で取上げた「カロリー制限によるたんぱく質不足」は、肥満だけではなく老化健康の維持などにも影響しています。たんぱく質は、筋肉、内臓、骨、血液などをはじめ、ホルモン、酵素など体の主要な構成成分です。たんぱく質は体内で分解と合成が繰り返されていますが、その入れ替わりの量も速度も年齢によっても違います。また、加齢とともに食嗜好の変化や偏食による不足も起ります。

 そして、意外と多いのがダイエット中に陥るたんぱく質不足です。やせたいと思っている人は、どうしてもカロリーカットにばかり目が向き、その結果、痩せるためにとても重要なたんぱく質まで減らしているケースが目立ちます。たんぱく質の材料となるのは食事から摂るたんぱく源です。これらの食品を食べると、消化の過程でアミノ酸という小さい単位まで分解されてから体内に吸収され、他のたんぱく質に作り替えられます。材料となるアミノ酸が揃っていなければ体内で必要なたんぱく質は作れません。体が必要なアミノ酸を調達するには食事やサプリなどから摂るのが一般的で、有効的な摂取方法としては、夜摂ることです。エネルギーの消費量は夜よりも昼の方が多いのですが、たんぱく質は寝ている間に多く使われます。成長ホルモンは睡眠中に出て、筋肉を作ったり、痛んだ組織を修復するために使われます。この時、材料としてふんだんにアミノ酸が用意されていることが理想です。

 一方、抗肥満には、筋肉を維持したり増やしたりすることが大切です。筋肉の量は、そのままミトコンドリアの量→基礎代謝量につながります。筋肉量が多ければ、基礎代謝量が増えて、太りにくくやせやすい身体になります。リバウンドもたんぱく質不足が関係します。たんぱく質は筋肉を作る源ですが、いくら運動や筋トレをしても、たんぱく質を摂取しなければ筋肉は作られません。たんぱく質不足は、この他に、むくみ、貧血、疲れやすさ、老化の促進、ホルモン分泌の問題、血圧の問題、内臓障害をはじめ、あらゆるトラブルを引き起こすことになります。


理屈がわかれば簡単に痩せられる抗老化・抗肥満とは⑨

■たんぱく質不足が肥満を招く!

 痩身や肥満を気にする人たちが一番陥りやすいのは、たんぱく質不足です。どうしてもカロリーカットにばかり目が向き、痩せるために必要なたんぱく質まで減らすため、期待するほど効果が見られないケースが目立ちます。

【水太り】

血液の中にたんぱく質が少なくなると、血中濃度を保つために、血液中の水分は血管外へ追いだされます。これが組織間にたまり、むくみになります。食事制限をしている女性の脚がむくみ、脚ばかりではなく、余分な水分が体内に保持され、それだけ体重にも響くことにもなります。そして「水を飲んでも太る」と思いこみ、水分摂取を控える傾向になり悪循環に陥ります。

【リバウンド】

脂肪だけが減ればいいのですが、気をつけないと重要な筋肉をも落としてしまいます。とくに体重減ばかりに気をとられている場合、こうした失敗に陥ります。筋肉が減少すると基礎代謝率も低下するので、リバウンドしやすく、痩せにくい体質になるばかりか、かえって太りやすくなってしまいます。筋肉はたんぱく質の塊なのです。

【酵素のすべては、たんぱく質】

さらに重要なことは、体内の代謝に必要な何千という酵素すべてがたんぱく質(ペプチド結合)だということです。たんぱく質不足ではその酵素がまともに作れません。また、酵素は口から摂っても、分解、消化されて体内に入ることはなく、体内で作られるものなのです。脂肪の燃焼や水分代謝はもちろん、あらゆる代謝機能にトラブルが発生することになります。これではスリムボディは期待できません。

【たんぱく不足・抗肥満対策】

身体は、たんぱく質を栄養源として細胞分裂や修復作業が活発に行われます。すると基礎代謝がアップし、脂肪が燃焼して太らない体質を作ります。食事を制限することが痩身につながるということではなく、ミトコンドリア燃焼されることが基本なのです。
 しかし、普段の食生活で、たんぱく質がきちんと吸収され有効利用されているかは別問題です。
 康復医学学会が推奨する『薬膳の素』(和漢生薬研究所)は、たんぱく質の摂取・吸収が手軽に期待できるアミノ酸スコア100のコラーゲンペプチドをベースにした"だし"タイプの食品です。普段の食事にプラスするだけで、簡単に良質のたんぱく質を摂取できます。さらに、テラヘルツ波を効果的に体内に取り入れることで、ミトコンドリアの活性化→代謝に影響し、肥満対策に期待ができます。
 この「特定栄養素の供給+最先端医学療法」こそが、康復医学学会が提唱する康復療法なのです。
※『康復医学大綱』p63(微小循環研究所 刊)


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ