“金縛り”の原因は睡眠障害?
金縛りや幻覚を経験した、という人の話はよく聞きます。どうやらこれらの原因は睡眠障害にあるようです。通常、人間は眠りに就くと「ノンレム睡眠」に入り、その後、「レム睡眠」に移行します。このサイクルを繰り返し、朝になると目が覚めます。しかし、不規則な生活が続いて明け方に寝たり、寝不足や長い昼寝をした時などは、寝入りばなにいきなりレム睡眠に入ってしまうことがあります。
脳が半分起きている寝入りばなは≪自分がどこにいるのか≫≪どんな状態なのか≫といった意識が残っていて、その状態のままリアルな夢を見ると夢が現実に起こっているように感じます。恐怖や不安の記憶をつかさどる脳の扁桃体も活性化するので、恐ろしい夢を見てしまうのです。
さらに、レム睡眠時は筋弛緩状態になります。全身の力が抜けているため、恐怖を感じているのにまったく動けなくなります。これが「金縛り」と「幻覚」のメカニズムです。
東京都医学総合研究所の精神行動医学研究分野・睡眠研究プロジェクトのリーダーを務める本多真氏は、次のように話します。
「通常、深い眠りであるノンレム睡眠から入れば、その後のレム睡眠中にいくらリアルな夢を見ても、自分の状況に対する意識は遠のいたままなので金縛りは起こりません。レム睡眠中に筋弛緩が起こるのは、体を休める意昧もありますが、リアルな夢によって睡眠中の体が動いてしまわないよう、脳から体を動かそうとする信号をシャットアウトする役割を持ちます」
ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルにズレがなければ、金縛りに悩むことはないのですが、そもそも金縛りは若者に多く見られる現象で、年を取るに従って徐々になくなるものだといいます。
「不規則な生活を送っていたり、寝不足が続くと、大人になってからも金縛りにあうケースもあります。しかし、規則正しい生活を送っているのに、若い頃からずっと金縛りや幻覚に悩まされている方がいたら『ナルコレプシー』を疑ったほうがいいかもしれません」
ナルコレプシーは、居眠り病と呼ばれる過眠症の一種で、睡眠中の頻繁な金縛りや幻覚のほか、日中に急な眠気に襲われ、会議や仕事中でも耐えられずに居眠りをしてしまったり、夜の睡眠時に何度も目が覚めてしまうといった症状が表れます。また、笑ったり、気分が高揚したりすると急に体の力が抜けて倒れたり、膝がカクツと抜けてしまう情動脱力発作も起こるといいます。
「日本人のナルコレプシーの有病率は600人に1人という高い頻度です。病気であることに気付かず“自分は眠気の強いタイプだから”とか“なぜ居眠りをやめられないのだろう”などと自分を責めて苦しんでいる人も多いのです」(すべて本多氏)。
■睡眠のサイクルとメラトニン
睡眠にはサイクルがあり、浅い眠りと深い眠りを繰り返しています。そのサイクルが、レム睡眠とノンレム睡眠の周期です。眠り始めてすぐ深いノンレム睡眠が集中します。レム睡眠中は眼球が小刻みに動きますが、これは脳の覚醒に向けた準備運動の一つで眠りは浅くなります。
※レム(REM)とはRapid eye movementの略で急速眼球運動という意味。睡眠中の
状態のひとつで、身体が眠っているのに、脳が活動している状態(浅い眠り)です。
居眠り病とも呼ばれるナルコレプシー
寝言が頻発し内容は感情的なものが多く、しばしば悪夢を伴います。若い頃に発症し、寝入りばなに幻覚を見たり(入眠時幻覚)、金縛りにあったり(睡眠麻痺)、笑ったり怒ったりすると急に体の力が抜けたり(情動脱力発作)します。覚醒させる神経システムが弱くなるため、一日に何度も急に耐え難い眠気に襲われて眠り込んでしまいます。
眠気を促すホルモン「メラトニン」
脳の視床下部には「松果体」という内分泌器官があり、ここから睡眠のサイクルに必要なホルモン「メラトニン」が分泌されます。メラトニンは体内時計の働きによって、外が明るいときには産生されず、夕方から夜にかけて多く作られ眠気を誘います。そして、真夜中に分泌量が最大になります。
====================================
睡眠・覚醒のサイクルに重要なメラトニンをはじめとする神経伝達物質は、ストレスや加齢、喫煙、生活習慣などで減少します。また、メラトニンの減少は、原料である「セロトニン」が慢性的に不足していることも考えられます。
康復医学学会の研究テーマ素材「ラフマ」にはセロトニン分泌を促進する働きがあり、睡眠・覚醒のサイクルを整えます。睡眠障害対策にはお奨めのハーブです。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ