春の皿には苦味を盛れ
ふきのとう |
人間は寒い冬を乗り越えるため、冬の期間中は自然と脂肪を蓄えるメカニズムになっています。しかし、そのまま活動的な春を迎えるわけにもいかないので、体は自然と「春仕様になろう!」とします。そこで、冬に溜まった脂肪や老廃物を出す作用をもつ苦味のある春特有の野菜を食べるようになったとされているのです。そう考えると「春の皿には苦味を盛れ」のことわざの意味に納得できます。
「春の苦い食べ物」といって、まず思い浮かべるのはふきのとうやたらの芽など山菜系ですが、これらはきちんと下ごしらえをして調理しないと、独特の強い苦みが口に残ります。
これらの山菜類には、春野菜独特の苦味成分「植物性アルカロイド」が含まれていますが、「植物性アルカロイド」は腎臓のろ過機能を向上させる効果や、解毒作用、新陳代謝を促進する効果があるといわれています。
さらに、春野菜には「ポリフェノール類」の成分も含まれていますが、このポリフェノール類には、体に溜まった老廃物を外に出し、新陳代謝を高めるといった効果が期待できます。まさに、冬から春への切り替えにぴったりといえます。
代表的な二つの春野菜とその効果、食べ方
【菜の花】
菜の花のおひたし |
【ふきのとう】
春の訪れをいの一番に感じさせてくれる食材・ふきのとうには、ナトリウムを排泄させる効果があるので、むくみ対策にもよいといわれています。また、ふきのとうの独特な香りは「フキノリド」という成分からくるもので、胃腸の働きをよくする効果があります。ふきのとうは、おひたしなどにする場合はアク抜きが必要ですが、天ぷらにすればその必要はありません。春野菜が天ぷらとして好まれるのには、そういった理由もあります。
── 冬眠から目覚めた熊などの動物たちも、まずは春野菜を食べると言われています。そのくらい、春の苦味は体をリセットするのに大事な役目を果たしてくれるようです。今夜のおかずの一品に春野菜を加えてみませんか。
(出典:https://tenki.jp/)
■苦味は薬味!
味覚は、動物の五感の一つで、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本の味です。人の場合、主に舌で感じますが、5味のうち苦味が最も感度が高いのです。食べ物を口に入れたとき、すべての種類の味を舌で同じように感じるわけではなく、それぞれに味に対する感覚はその味の種類によって舌の感受性が高い部位が異なっており、それぞれの味に特に敏感な舌の部分があります(右図)。動物は特に苦いという感覚に敏感で、その感覚は舌の奥の方が敏感です。一般的に苦さに対する感覚は甘さや辛さに比べて敏感です。また、年をとるにつれて味覚に対する感覚が鈍くなる傾向があります。
「良薬は口に苦し」:この言葉の本来の意味は、「よく効く薬は苦くて飲みにくい。本当に自分のためを思ってしてくれる忠告は、聞くのがつらいが、身のためになる」というたとえのことで、中国の書物が語源。「良薬は口に苦し 忠言耳に逆らう」という言葉だったものが短縮されてしまったのです。
薬物は用量によって薬にも毒にもなり得ます。薬物として有効な程度のわずかな量でも、毒物による苦味として、人間は敏感に感じ取ってしまいます。そのため薬には苦味がつきものなのですが、良薬ほど口に苦いのにはわけがあるのです。苦味物質は、水に溶けにくい親油性のものが多く、親油性が高いほど低い濃度でも苦味が強いという性質を持っています。多くの薬は、人体の細胞膜の受容体に結合して、薬理作用を発揮します。このとき、親油性の高いものほど受容体と結合しやすく、細胞膜を透過しやすくなります。つまり、親油性の高い性質をもつ苦味物質は、低い濃度でも薬理効果をもたらし、苦味も強く、"薬理効果が高い良薬は苦い"ということになるのです。人々は苦味を取り入れることで味覚の世界を豊かにしてきました。苦味は人間だけが楽しむことのできる味であり、その効果が期待できる味でもあるのです。
霊芝の特異成分は苦味成分の"ガノデリン酸"
霊芝の主な有効成分の90%以上はキノコの傘の部分にあり、水溶性のβ-グルカン等の多糖類と、脂溶性のトリテルベノイド系(天然物化合物の総称)の苦味成分であるガノデリン酸が中心です。ガノデリン酸は霊芝の特異成分(他のキノコ類にはない成分)です。
ガノデリン酸は数十種類が確認されていて、ガノデリン酸A,B,C1,C2,D~I,J,K,Ma~Mk及びO~Zが知られています。
霊芝の薬理作用との関係では、次の4つが確認されています。 ①ガノデリン酸A:肝保護作用・免疫活性作用 ②ガノデリン酸B,D,F,H,K,S及びY:血圧降下作用 ③ガノデリン酸U,V,W,X,Y及びZ:抗腫瘍作用 ④ガノデリン酸R,S等:肝臓障害抑制作用
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン