2024年5月15日水曜日

肥満と脂肪細胞

 世界の肥満者数、10億人を超える

 世界の肥満者の数が、大人と子供を合わせ10億人を超えました(英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の研究者らが『The Lancet』に2月発表)。研究によると、現在世界には肥満の成人が約8億8000万人、肥満の小児が約1億5900万人いると推定されています。研究者は、「1990年に多くの地域の成人で顕著になった肥満の蔓延が、現在は学齢期の子供や青少年にも認められるようになった。これは極めて憂慮すべき問題だ」と危機感を示します。

 1,500人以上の研究者が参画したこの研究では、3,663件の研究の対象者である、197カ国、2億2200万人(うち5~19歳6300万人)の体格指数(BMI)の分析が行われました。

 その結果、1990年~2022年の間に、子供や10代の肥満率は女児で1.7%⇒6.9%、男児で2.1%⇒9.3%へと約4倍上昇していました。成人の肥満率も上昇し、女性が8.8%⇒18.5%へと2倍以上に、男性は4.8%⇒14%へと約3倍に達していました。世界で最も肥満率が高いのは、女性がトンガと米領サモア、男性が米領サモアとナウルでした。またポリネシアとミクロネシアでは成人の60%以上が肥満でした。これらの数値は世界肥満連合(WOF)が『世界肥満アトラス2022』で示した"2030年までに世界の肥満者数が10億人に達する"との予測値を上回るものです。今回の研究によると、この『世界肥満アトラス2022』が発行された時点で、すでに世界の肥満者数はこの数値を超えていたことになります。

 WOFは、遺伝的要因や生物学的要因、ヘルスケアへのアクセス、必須栄養素が不足した高カロリー食品の普及など、世界には肥満を引き起こす様々な要因が存在すると説明しています。さらに研究者らは、地球規模の問題が肥満と低体重の両方の状況を悪化させることに懸念を示しています。インドの研究者は、「気候変動や新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ウクライナ戦争などの問題が貧困を拡大し、栄養価の高い食品のコスト上昇を招くことで、肥満と低体重の割合の上昇をもたらす危険がある」と指摘。また、これらの出来事が「一部の国々で家庭での食料不足を招き、また他の国々では非健康的な食品へのシフトをもたらす一因となっている」と説明。その上で、「より健康的な世界を実現するためには、これらの問題に対処するための包括的な政策が必要だ」と述べています。

 一方、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「今回の新たな研究によって、食事、身体活動、必要に応じた適切なケアを通じて、幼少期から成人期にかけての肥満を予防し管理することがいかに大切であるかが浮き彫りになった」と話します。また、「肥満削減という世界的な目標達成に向けて進むためには、WHOと各国の公衆衛生機関によるエビデンスに基づき、政府と地域社会の取り組みが必要」と指摘し、「協力する民間セクターは、自社製品が健康に与える影響について説明責任を果たさなければならない」とする見解を示しています。

(出典:HealthDay News)


■脂肪細胞から分泌されるホルモン

 病気の主要原因の一つに肥満があります。脂肪は一般に、皮下脂肪から内臓脂肪へ、さらに臓器へと進行し、それに伴って合併症へのリスクは高まります。肥満は食事からの摂取栄養素とエネルギー産生能力のバランスが崩れ、余剰体脂肪が増えることで起こります。

 脂肪細胞から分泌される「アディポサイトカイン」という物質(ホルモン)があります(「アディポ=脂肪の」「サイトカイン=細胞から分泌される生理活性物質」)。

 なんとなく「脂肪細胞から分泌される=悪い物質」というイメージがありますが、決してそういうわけではなく、良い働きをする善玉と、悪い働きをする悪玉があります。

善玉アディポサイトカイン

【アディポネクチン】⇒ インスリン感受性を上昇させる作用があります。つまり、インスリンが効きやすくなり、血糖値が下がりやすくなります。

【レプチン】⇒ 摂食を抑制する作用と、エネルギー消費を亢進する作用があります。肥満にならないような働きをしてくれます。そして、睡眠不足はレプチンの分泌を抑制します。

悪玉アディポサイトカイン

【アンギオテンシノーゲン】⇒ 血圧を上昇させる作用があります。血圧が上がりやすくなり、高血圧症のリスクが高まります。

【TNF-α】⇒ インスリンを抵抗性を増大させる作用があります。つまり、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなってしまいます。

【PAI-1】⇒ 血液を固める作用があります。血液を固めることは大切ですが、固めすぎてしまうと、動脈硬化などのリスクが高くなってしまいます。


※ちなみに肥満者の場合、善玉・悪玉どちらの分泌も増加している状態です。「じゃあ、肥満の人はレプチンが出ているのだから、食べ過ぎないし、痩せやすくなるのでは?」と思うかもしれませんが、実は肥満者の場合、レプチンが効きにくい状態となっているため、分泌量が増加しているにも関わらず、肥満は改善されにくいのです。

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肥満などの生活習慣病対処法

 康復医学学会では、微小循環血流の総合的な改善、必須栄養素の各臓器や機関への供給、エネルギー産生に必要な酸素の供給などに影響する「HM-3000(特系霊芝)」をお勧めしています。HM-3000(特系霊芝)は、生体の免疫バランスを保つ生体機能恒常性を維持するなど有効な作用があります。肥満やメタボによる免疫機能変化の抑制、および脂肪組織内でおこる炎症対策にも期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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