"抗重力筋"って何?
抗重力筋とは言葉の本来の意味は「重力に逆らう筋」なので、全ての筋肉がそうだと言えますが、研究の分野で抗重力筋と言った場合には、通常「重力環境の中で姿勢を維持するために絶えず働いている筋肉」を指します。例えば宇宙に行って無重力の時、あるいは極めて微小な重力になると衰える筋肉、という捉え方です。
抗重力筋を大別すると右図の5か所になります。
(1)背中:脊柱起立筋、広背筋 (2)腹筋:腹直筋、腸腰筋 (3)お尻:大臀筋 (4)太もも:大腿四頭筋 (5)ふくらはぎ:下腿三頭筋(ヒラメ筋+腓腹筋)
この5か所の抗重力筋が前後に働きながら重力に対してバランスを保っているのです。
人間の重心は、支持基底面の中心部、すなわち足のつま先とかかとの真ん中にあります。そこに重心が落ちるようにすると、最もバランスのよい立ち方ということになるわけです。しかし足関節はよりかかとに近い位置にあるので、重心の位置は常に足関節より前にあるということになります。これが意味しているのは、足関節は常に体が前傾する方向に回転力が働いていることになります。ということは、それと逆の方向にも力が働いていないと立っていられなくなるわけです。そこで力を発揮するのが、ふくらはぎにあるヒラメ筋。ヒラメ筋が常に働いて、体が重力に負けて前に倒れないように後ろから引っ張っているのです。ふだん重い荷物を運ぶことが多い人は、重力に荷物の重さが加わるため、自然にヒラメ筋が鍛えられ、ふくらはぎが太くなるということも考えられます。
また、脊柱はS字にカーブしているため、局所的にはいつもその曲がりが大きくなるように重力が働きます。これに抗するために、脊柱起立筋群も常に働く必要があります。筋肉が発揮する力そのものは大きくはありませんが、その力が抜けてしまうと頭の重さで体が前に倒れてしまう。それを阻止するために絶えず微妙な力で活動しているのです。完全に筋力がオフになるのは、寝ている時くらいでしょう。
常に働いている筋肉だから鍛える必要がないかと言うと、そんなことはありません。重力を超えるような大きな力が外から加わった時には、それに耐えるための筋力が必要になるので、スポーツなどのパフォーマンス向上の観点からも日頃から鍛えておくことが大切です。
常時活動している筋肉なので、他の部位と比べると遅筋線維が多いのが特徴です。ですから、鍛え方は、例えば低負荷・高回数にして、力を発揮した状態を長時間持続させるようなトレーニングをすることが抗重力筋の性質に合っていて効果的です。
(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)
■老化対策には筋肉量だけではダメ
肥満の改善はもちろん、糖尿病や高血圧などの生活習慣病予防、心疾患や認知症のリスクの低下にも「運動」が有効なことが明らかになってきました。そんな万能な抗老化メソッドである「運動」で重要なのが筋肉です。
加齢に伴う筋肉量の低下は、糖尿病やフレイル(虚弱状態)のリスクを増加させます。ただし、筋肉の"量"さえ多ければいいというものではありません。
アスリートを指導するパーソナルトレーナーによると、「筋肉量が十分でも、スムーズに動けない"使えない筋肉"の人がいる。"使える筋肉"を維持するには、筋肉の量だけでなく、質も筋力も伴う筋機能を維持することが重要」といいます。筋機能の維持に重要なのは、負荷を大きくすることではなく、動きの中で筋肉を使っていくことです。
本来、日常生活でしゃがんだり立ち上がったりの動きを繰り返していれば、スムーズに動けて、いざというときには体を支えられる十分な筋機能を維持できますが、人は加齢に伴い、より少なく、効率よく動くようになり、筋肉を甘やかします。この"甘やかし"が筋機能を低下させる原因になっています。 筋機能維持のトレーニングとして、提案したいのは、筋トレ要素を含む動きで"使える筋肉"をつくる「ムーブメント筋トレ」と、特に脂肪が気になる人に有酸素+筋トレ効果の「ミニジャンプ」。簡単な一連の動きの中には、しゃがんだり、立ち上がったり、体を支えたりといった動きが入っていて、筋トレ要素やストレッチ要素、有酸素運動の要素も含まれます。筋機能を高めるには、必ずしも負荷をかけたキツい筋トレである必要はありません。それよりも、動作を繰り返すことが大切です。低強度でも、繰り返すことで、加齢により筋機能が低下しやすい下半身や体幹部の筋機能が高まります(右図参照)。
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筋量の減少 → エネルギー産生低下・基礎代謝低下
筋肉の中には多くのミトコンドリアが存在します。心臓にミトコンドリアが多いのは心臓の大半が筋肉で出来ているからです。筋肉量が減少するとミトコンドリアも減少します。それはミトコンドリアの活性低下を意味し、サルコペニア(筋肉の量・質の低下)の原因であるエネルギー不足につながります。筋肉は身体を動かす役割のほかに、体液の循環や体温の維持をも担っています。特に基礎代謝量は筋肉量と関係が深い(基礎代謝の約40%が筋肉で消費されている)ため、筋肉量が減るとそれがそのまま基礎代謝の低下につながります。
サルコペニア対策として「コエンザイムQ10」(Co-Q10)もおすすめします。Co-Q10は、ミトコンドリアを活性化させてエネルギーを作り出すために不可欠な存在です。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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