2025年1月15日水曜日

筋トレと認知機能

 認知症が増えた背景

 認知症が初めて世に発表されたのは今から119年前です。1906年、ドイツのアロイス・アルツハイマー医師により発表されました。つまり、それより以前は認知症のような症状は稀だったのです。当初から認知症は文明の発達によってもたらされた現代病と考えられていました。それを証明するために昔の人々の認知症の有病率を調べようとしましたが、残念ながら資料が全くなく、当時の人々も生存していないため調査手段がありませんでした。

 総合能力研究所所長の本山輝幸氏は次のような仮説を立てています。「近代化によって人々の暮らしが便利になった反面、現代人の"感覚神経"が休眠状態になってしまい、筋刺激が脳に戻りにくくなった結果、認知症が増えてしまった。昔の人々は負荷の強い日常生活で全身を使うため感覚神経が良好になっており、認知症のような人は少なかった」

 2022年に南カリフォルニア大学から『アルツハイマー病予防への新たな洞察』という論文が学術誌に掲載されました。それは、南米・ボリビアで暮らす先住民の高齢者を対象に、認知症の有病率を調べたものです。ボリビアは学校や最低限のインフラなどもあり他国と極端な違いはないものの、先住民は昔ながらの自給自足の生活をしていて文明の利器を使っていない点が現代人と大きく異なります。専門医が心理テストやCTなどを使って彼らの脳機能を厳密に検査したところ、その結果は、認知症の有病率は0.6%で、100人中1人にも満たないという驚異的なものでした。日本の認知症有病率は17%、運動が習慣化しているアメリカでも11%です。論文発表した研究者は、「産業革命以前の生活の中にある"何かしらの要素"が、この地域の高齢者を認知症から保護しているようだ」と述べています。

「私はこの"何かしらの要素"は"感覚神経の良好さ"であると確信している。世界の研究者たちは認知症が増えたのは高齢化、身体活動量の減少、食物摂取の変化やストレス、遺伝子など様々な要因を列記している。どれも一因ではあると思うが、私は"感覚神経"の不具合が認知症増大の大きな要因と考えている。なぜなら感覚神経を良好にしたMCI(軽度認知障害)や認知症の人たちは健常者に戻るし、感覚神経が良好であろう民族には認知症の人がほとんどいないからだ」(本山氏)

 事実、認知症が多いのは近代化が進んだ先進国であり、身体に負荷のかかる生活をしている国では認知症は少ないのです。

 そして、2022年、アメリカの『neurology(神経学)』という科学誌にも「2000人異常の高齢者を11年追跡した結果、下肢の感覚が鈍い人はそうでない人に比べて認知症になりやすかった」との研究結果が発表されています。

 現代人は幼少期から過保護になり過ぎ、身体に負荷を与えるようなことを避ける傾向にあります。自ら積極的に動き、感覚神経を良好にすることで、認知症を予防していきましょう。

(出典:ダイレクト出版『ルネサンス』)


■筋トレで脳を覚醒する

 認知症やMCI(軽度認知障害)の人たちは、筋肉の痛みや疲れを感じにくいという身体的特徴があります。例えば、驚くような距離を一晩で徘徊したり、スクワットをとめどなく続けられたり、といったことです。こんなことができてしまうのは、筋肉と感覚神経とのつながりが悪く、筋肉の情報が脳に伝わりにくくなっているからだと言われています。通常、長距離を歩いたり、何度もスクワットをすれば、足が疲れてしまって歩けない、筋肉が痛くなって続けられないなど、疲労や痛みを感じます。しかし、筋肉の情報が脳に伝わらないと、疲れや痛みを脳が感知できず、歩き続けたり、スクワットを続けたりができてしまうのです。

 伝わりにくくなってしまった筋肉からの情報が、再び脳へ伝わるように回復する可能性はあります。低下した感覚神経の働きの改善方法として「強めの筋トレ」が効果をあげます。

意識した筋肉への強い刺激が脳を覚醒させる

 筋肉からの刺激が通る脳幹という部分には、生命活動の中枢を担う「脳幹網様体」という神経繊維の集まりがあります。ここに筋肉からの強い刺激が伝わると脳が覚醒します。その結果、失われていたり、眠っていたりした脳細胞の機能を取り戻すことができるのです。

 脳に伝わる筋刺激は強いほど効果が高く、筋肉の太さに比例します。つまり、体の中で最も大きい筋肉である太ももの筋肉を鍛えるのが最も効果的です。筋トレのポイントは「鍛える部分に意識を集中させること」です。トレーニングする筋肉を意識することで、運動神経を通して「この筋肉を動かす」という指令が脳から目的の筋肉に伝わり、その筋肉で生じた「筋トレによる痛み」が強い電気信号となり、感覚神経を通して大脳へ戻ってきます。目的の筋肉を意識していた場合には脳が感じ取る痛みが増し、感覚神経の改善につながるのです。

 感覚神経の働きが回復すると、筋肉で生じた痛みや疲れが脳に伝わり、「足が疲れた」「太ももが痛い」と感じられるようになるのです。

感覚神経が回復すると認知機能も向上する

 強めの筋トレを続けると、感覚神経のつながりが良くなり、痛みや疲労を感じるようになります。それに合わせて認知機能も向上することが多いようです。MCIの方が週1回の筋トレを3ヶ月続けた結果、記憶力スコアが健常者レベルにまで回復したという報告もあります。

筋トレを行う頻度と強度

 筋トレは、極限近くまで筋肉を使う強度で週1回行うことがお勧めです。残りの6日間で筋繊維が修復され、より強い筋肉に若返ります。自分の体力レベルに合ったトレーニングを実践すれば、早い人はその日のうちに、通常では2~3ヶ月で効果を実感できるでしょう。

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 認知症の予防・改善のためにはサルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)にならないよう、日々の運動と食事が大切です。脳機能の維持に有効な微小循環の改善には「HM-3000(特系霊芝)」が、また、体力の維持・強化には「コエンザイムQ10」がお勧めです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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