塩分摂取は“長寿の知恵”
今では、「塩分=高血圧」がすべての日本国民の固定観念となってしまいました。しかし「塩分摂取量の全国順位が40位以下の大阪や沖縄など(=全国平均よりも塩分摂取量が少ない地域)で高血圧疾患による死亡率が高い」という現実もあります。「塩分=高血圧」が正しければ、もっと順位が高い地域で高血圧疾患による死亡者が多くなるはずではないでしょうか。また、がんによる死亡率も同様に、塩分摂取量が全国順位40位以降の大阪、兵庫、島根などで全国平均よりも高くなっています。そして逆に、今や日本の最長寿県として知られる長野県の塩分摂取量は、日本で4番目に多いのです。
さらに、うつや自殺(うつが要因になることが多い)は、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ロシアなどの北欧の国々で多発しています。日本でも、人口10万人当たりの自殺者数は、秋田県、山形県、青森県、新潟県といった北国が高いのですが、その要因は「日照量の少なさ」と「寒さ(低気温)」とされています。だからこそ北国の人々は、身体を温めるために塩分摂取量が伝統的に多かったのです。そうした地域に何百年も住んできた先祖の知恵だったわけです。しかし今や、塩分を極端に制限された東北の人々の体温は下がり、「うつ」や「自殺」が増加しています。「塩=高血圧」という一点の理由から始まった"減塩運動"が、こうした種々の弊害をもたらしていることは、ほとんど知られていません。西洋医学は歯牙にもかけていないし、一顧だにしません。
話はやや旧聞に属しますが、アメリカで25歳から75歳までの20万7729人を対象にした国民栄養調査が行われ(1998年)、その結果をM,H.アルダーマン博士が世界的に権威のあるイギリスの医学雑誌『Lancet(ランセット)』に発表しました。
同調査では、食塩の1日平均摂取量によって調査対象者を4つのグループに分け、あらゆる病気の脂肪率を比較しました。すると意外にも、食塩摂取量の一番多いグループの脂肪率が最も低く、少なくなるほど死亡率が高くなっていました。また高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの心臓・循環器系疾患の死亡率も、食塩摂取量が少ないほど高かったのです。調査対象者が数十人や数百人といった少人数であれば信憑性が劣ると指摘する人がいたかもしれませんが、20万人もの被験者がいたのですから文句のつけようはないでしょう。
米・アインシュタイン大学のハイレル・W・コーエン博士は、8700人のアメリカ人を対象に行った健康栄養調査の結果、「塩分摂取の最も少ない25%に属する被験者は、摂取の最も多かった25%に比べて、心臓病による死亡率が80%高かった」と述べています(一般内科学誌『Journal of General Internal Medicine』掲載)。デンマーク・コペンハーゲン病院のニールス・グラウダル博士は、アメリカの高血圧学会誌に掲載した論文(2014年)の中で、「最も好ましい、健康的な食塩摂取量は“6.7~12.6g”である」と論じています。
(出典:『Renaissance』誌より/イシハラクリニック 石原結實院長)
■“減塩”による免疫機能低下
「塩分は、高血圧や脳出血の一大要因になる」という固定概念は、1960年代に米国のL・K・ダール博士が、日本人の塩分摂取量と高血圧の発症頻度を、塩分摂取量の少ないマーシャル諸島の人々やアラスカのイヌイットの人々と比較した論文が大きく影響しています。
1960年頃、13~14g/日の食塩摂取をしていた鹿児島など南日本の人々の高血圧の発症率が約20%、同じく27~28gと2倍もの食塩を摂取していた東北地方の人々の発症率が約40%という結果が出た為、「塩分こそ、高血圧や脳出血の元凶である」という論文になりました。
この頃から東北地方で減塩運動が始まり、全国に普及していったのです。1945(昭和20)年以降の日本人全体の平均食塩摂取量は15g/日でしたが、1979年(昭和54年)には13.1g/日になりました。しかし当時、厚生省が「10g以内が望ましい」と発表、その後1日の平均食塩摂取量は1985(昭和60)年には12.1g/日、2015(平成27)年には10.0g/日にまで減少しました。にもかかわらず、厚生省は減塩を推し進め、現在は「男性7.5g以下、女性6.5g以下が望ましい」としています。またWHO(世界保健機関)では5.0g以下を推奨しています。
“減塩”で免疫力が落ち、ガンに罹りやすくなる
昔から塩は"生きていくための最重要食品"でしたし、文化の発展にも大いに寄与してきました。なのに「寒い地方の人々が体を温めるために塩を多く摂ったことで高血圧の人が多い」という一点の理由で、全国民に減塩を強制してしまったことのツケは実に甚大です。
日本人の脇の下の平均体温は、1957(昭和32)年には36.9℃だったといいます。ところが今は36.5~36.2℃の人がほとんどで、中には34℃台の人もいるのです。体温が低くなってしまった要因の一つは、現代人の筋肉量が減っていることです。体温の40%は筋肉で作られているのに、体を動かす機会が減り、昔に比べて筋肉を動かさなくなっています。もちろん、体温を高く保ってくれる塩分の摂取不足も大いに関係しています。また、体温が1℃下がると免疫機能が約30%低下することや、ガン細胞は35.0℃の低体温で増殖し、39.6℃で死滅することも分かっています。
1975(昭和50)年のガン死者数は約13万人で、当時は医師数も同様の約13万人でした。それから50年近くの間にガンの研究・治療は格段と進歩したし、医師数も約33万人へと増加したのに、2021年のガン死者数は約38万人でした。医師がガン細胞を切り取ったり、放射線で焼いたり、抗がん剤で殺したりという対症療法に終始していることの他に、ガンに罹る人が著しく増加しているのです。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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