2024年12月18日水曜日

低体温

 冷え性よりも危険な“低体温”

“冷え性”は、人が寒さを感じない程度の温度環境で、手足や下半身などが冷えて、つらいと感じる自覚症状のこと。指先などが冷たくなっていても、身体の中心部の温度は正常なことが多くあります。一方“低体温”は、深部体温(脳や内臓など身体内部の温度)が下がってしまうことをいいます。

 深部体温が35度以下になると、激しい震えや、判断力の低下などの症状があらわれ、「低体温症」と診断されます。体温が下がるにつれ、筋肉の硬直、脈拍や呼吸の減少、血圧の低下などが起こり、死に至ることも。自覚がないまま進行することもあるため、高齢の人や、寒い中屋外作業をする人は注意が必要です。

 厚生労働省によると、2021年の熱中症での死亡者数641人に対して、低体温症による凍死は1245人。そのうち65歳以上が全体の80%以上となっています。

 凍死というと、「雪山での遭難」など、日常とは遠いところで起こるイメージが一般的ですが、実は多くが家などの屋内で発生しています。年齢を重ねると、身体能力の衰えや持病等により低体温症になりやすい上、寒さを自覚しにくくなることが要因の一つです。

 36度未満の軽度低体温でも、免疫力が低下し、感染症や脳血管障害、糖尿病など、身体に様々な不調が出やすくなる可能性があるといわれています。疲れやすくなったり、風邪をひきやすく、また風邪がなかなか治らないといった症状も。肺炎やインフルエンザのリスクも高まります。

 身体の深部温度は直腸で測るため、一般的な体温計では測定できません。普段から身体を冷やさない生活習慣を心がけましょう。ポイントは、衣服食事運動の3つです。

 衣服 :暖房での温度調整、厚手の靴下、マフラー・レッグウォーマー、ひざ掛け等を利用して、室内にいても、しっかり防寒対策しましょう。

 食事 :食事の7割は身体の熱になります。朝食をしっかり摂り、身体を温める食材(しょうが、にんにく、鍋料理など)を積極的に食べましょう。

 運動 :筋肉は身体の熱量の6割を作り出します。スクワットやストレッチなどで筋肉をつけましょう。暖かい室内でできる運動がおすすめです。

 ちょっとした心がけの積み重ねが、健康維持につながります。できることから実践して、体温アップを目指してみてください。

(出典:https://www.dydo.co.jp/)


■日常でも多い低体温の弊害

 一枚目でお伝えした通り、低体温症は、都会など普段の生活の中で生じる身近な危険として見過ごせません。事実、救急車で病院へ運ばれる低体温症の患者のうち、自宅など屋内で低体温症を起こした患者は、屋外での発症者の3倍以上と言われています。

 初めは皮膚表面の血管の収縮から鳥肌が立ち、熱を得るために体がカタカタと震え始めます。言葉が思うように出なくなり、歩行もままならなくなります。体熱の喪失が発熱を上回るようになると、中心温は33℃以下(中等症)へ低下。やがて体の震えは止まり、意識障害で朦朧となったり、支離滅裂なことを口走ったり、呼びかけに無反応になったりします。さらに30℃以下(重症)の低下で昏睡状態に陥り、脈拍は微弱となります。そして、心停止に至る‥‥というのが低体温症です。

 屋内の場合、たとえば同居家族が不在中の昼間、トイレに行く途中で階段を踏み外し、倒れたまま動けなくなり、助けを呼べずに低体温症になった老人のケースもあります。認知症の高齢者を抱える家庭では、特に注意しなければなりません。

 脳卒中や狭心症・心筋梗塞、低栄養などの病気を患っている場合、低体温症の発症をきっかけに病状を悪化させ、後遺症を残したり、死に至るケースも少なくありません。中でも糖尿病患者は要注意です。いわば糖は、体内でエネルギーを作り出すガソリン。このガソリンを燃焼させるため、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要がありますが、糖尿病はそれがスムーズにできなくなるので、低体温症に陥りやすいのです。自分一人で身の回りのことができなかったり、独り暮らしだったりする高齢者が低体温症になりやすいと言えます。体が冷えたまま、当初の体の震えがなくなったら危険な兆候です。ただちに救急車を。

 低体温症は、重症になると命に関わります。低体温は体質だけでなく、薄着などで熱が奪われたり、偏食(ダイエット等)による栄養不足、不規則な生活習慣、運動不足なども原因と考えられています。また、ストレスなどにより交感・副交感神経のバランスが崩れると体温が36℃を下回り、低体温特有の疾患や免疫力の低下などが表れることがわかっています。

低体温に陥る生活習慣

ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ

 過度のストレスは血行不良を呼び起こして低体温の原因となります。また、ストレスは、ホルモンバランスを崩し自律神経の働きを乱すため、体温コントロールが難しくなり、低体温になることがあります。

エネルギー産生の不足

 エネルギー産生機能が低下してエネルギー不足になると、基礎代謝が低下するため、冷え性や低体温の原因になります。

たんぱく質不足

 ダイエットや高齢者の摂食障害でたんぱく質が不足すると、血液を送る筋力が低下し、低体温の原因となります。細胞の中にあるミトコンドリアが熱を発生させているのですが、筋肉量が減ると、ミトコンドリアの数も少なくなり、それにともなって体温が下降すると考えられます。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年12月11日水曜日

短鎖脂肪酸

 2週間で腸内環境は変わる

新型コロナ禍の「巣ごもり便秘」が指摘されてから、すでに数年になります。第11波と言われる感染が広まる中、大腸劣化を食い止めるには、どうすればよいでしょうか。消化器病専門医で帝京平成大学教授の松井輝明氏が勧める腸活方法を紹介します。

 私たちの大腸には1,000種類、100兆個以上とも言われる腸内細菌がすんでいます。この細菌が元気に働き続けられるかどうかは、私たちの心掛け次第。大腸ケアに手遅れはありません。2週間で腸内フローラのバランスは劇的に変わります。

 朝1杯の水分で大きな活力 :朝起きたら、コップ1杯の水分を摂りましょう。まだ眠っている胃腸を目覚めさせます。また、朝食は必ず摂りましょう。朝食を摂ることで、「胃・結腸反射」がおこり、その刺激で腸が動き出します。

 朝のトイレを習慣づける :朝食後には必ず排便する習慣を。副交感神経を優位にし排便しやすくするためにも、トイレでの数分くらいはリラックスした気分で過ごしたいもの。

 ストレスと上手につきあう :ストレスや睡眠不足は、交感神経が優位になりやすく、腸の動きが悪化します。腸と脳との連動(脳腸相関)で、お互いがストレスを敏感に感じ取ります。好きな音楽を聴く、散歩や運動をするなどの時間を、毎日持つようにしましょう。

 毎日30分の運動習慣 :毎日30分の有酸素運動は血行をよくし、運動の刺激が腸を活発にします。少し早足で歩く、階段を使う、遠回りをするなど、できる範囲でかまいません。

 炭水化物抜きダイエットは避ける :腸内細菌のエサは食物繊維。日本人にとってお米は貴重な食物繊維源です。「食物繊維は野菜で」と思っている人も多いですが、実は、野菜より穀物のほうが食物繊維を多く含みます。ごはん抜きの食事は不足しがちな食物繊維摂取量を一層減らします。食事制限の指導がない限りは炭水化物抜きダイエットはNGです。

 水溶性食物繊維を一品プラス :有用菌の代表格、ビフィズス菌は加齢とともに減少します。ビフィズス菌のエサとなる食物繊維、特に水溶性食物繊維を摂るように心掛けましょう。食事に一品、ワカメの酢のものなど海藻を加えたり、白米を雑穀米にしたり、食後に果物を加えたりすることで、水溶性食物繊維を摂取できます。食事が不規則になりがちな人や外食の多い人は、オリゴ糖や天然のイヌリンなどを利用する方法もあります。

 発酵食品を上手に利用 :ヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品には、腐敗を防ぐ働きのある細菌や、腸内細菌が好むエサが含まれていて、大腸を元気にしてくれます。ヨーグルトは腸活効果を最も発揮させるため、寝る2時間くらい前に摂るのがベスト。夕食後、胃酸や胆汁の分泌が落ち着き、腸内細菌が活発になる時間帯だからです。

 食事は量より品数 :豊富な品数はバランスのよい食生活の基本です。外食時は丼物や麺類などより、食物繊維が摂れる小鉢付きの定食が良いでしょう。

(出典:https://www.asahi.com/)


■健康のカギを握る"短鎖脂肪酸"

 口から三大栄養素を摂り、消化・吸収されたあと、腸内では四つの現象が起こります。①発酵 ②腐敗 ③異常発酵 ④酸敗です。このうち①は健康に向かい、②③④は不健康へと向かいます。この発酵で産生する有機酸こそ、健康のカギを握る「短鎖脂肪酸」です

 脂肪酸には、炭素数12以上の長鎖脂肪酸、7~11の中鎖脂肪酸、6以下の短鎖脂肪酸があります。短鎖脂肪酸は、大腸内で、善玉菌が持つ酵素の働きによって行われる食物繊維(糖質)の発酵で生じます。短鎖脂肪酸は飽和脂肪酸です(不飽和脂肪酸には、短鎖及び中鎖脂肪酸は存在しません)。飽和脂肪酸は、肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを増加させ、動脈硬化を促進させる悪者‥‥これは間違いです。飽和脂肪酸がなければ、細胞膜はボロボロに崩壊し、細胞が存在できなくなります。細胞膜形成に欠かせない栄養素なのです。あり過ぎたり摂り過ぎたりすると問題なだけの話です。

ミトコンドリアの活性、免疫の強化に

 短鎖脂肪酸は、炭素の鎖の連結が短いために分解が容易ですぐにエネルギー源として働きやすいのです(体脂肪として蓄積されるのは、鎖が16以上ある脂肪酸であり、短鎖脂肪酸ではありません)。

 近年大きな注目を集めている「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」も短鎖脂肪酸です。酢酸は脂肪を合成する材料として、プロピオン酸は肝臓における糖新生の材料として使われています。酪酸は大腸の主要部分の栄養素となります。

 これら短鎖脂肪酸は、水溶性の食物繊維や糖質の発酵で生じ、免疫機能の向上や、健康増進・維持への有益性が認められてきました。短鎖脂肪酸の95%は大腸粘膜から吸収され、すべての消化管と全身の臓器の粘膜上皮細胞の形成・増殖を担い、粘液を分泌させる働きをしています。胃液も腸液、膵液、胆汁も全て短鎖脂肪酸が作っており、大腸粘液などは100%、短鎖脂肪酸をエネルギー源としています。さらに、細胞内のミトコンドリアに働き、エネルギー活性化を促進します。また、腸のpHを上げ、殺菌力を高めます。がんのアポトーシス(プログラムされた細胞死)にも関わっています。つまり短鎖脂肪酸は、人間の体液(粘液)のかなりの部分を作り、細胞のミトコンドリアを活性させ、粘液の強化に寄与しているのです。

短鎖脂肪酸を増やす食事を!

 短鎖脂肪酸を増やす材料は、熟した果物、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維です。穀物、大豆、キノコに含まれる不溶性食物繊維も材料となります。ほかには、酢(黒酢)、梅干し、漬物、キムチなどの発酵食品も、短鎖脂肪酸の材料になります。当然、康復医学学会の主要研究素材「HM-3000(特系霊芝)」には、不溶性食物繊維も豊富に含まれています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年12月4日水曜日

整腸剤

 整腸剤で得られる健康効果

 皆さんは「整腸剤」を飲んでいますか? 多くの人が「お腹の調子が良くない時に利用する」「下痢気味な時、便秘がひどい時に飲む」と答えます。もちろん、そんなとき整腸剤は効果を発揮してくれます。しかし、整腸剤にはそれ以上に大きなメリットがあります。

 一昔前までは「腸活=腸を整える」という、いわゆる「排便の改善」ばかりに注目されていましたが、近年、整腸剤は健康全体に大きな良い影響をもたらすことが明らかになってきていて、「アンチエイジング」や「美容」を目的に腸活している人が急増しています。

 整腸剤で得られる健康効果には以下のようなものがあります。

 食欲が激減、痩せやすくなる 

 整腸剤で、短期的に腸内環境を良好な状態に保つことができ、ジャンクフードへの欲求を減らすことができる。結果的に腸内環境が好循環に転換。さらに痩身効果から見ると、整腸剤はコレステロールを下げることが分かっている。2012年米心臓協会の発表では、高コレステロールに悩む人に整腸剤を飲んでもらったところ、LDLコレステロール:12%↓、総コレステロール値:9%↓という結果が得られている。

 肌がきれいになる 

 顔のテカリを放置しておくと、アクネ菌などのバクテリアが増殖、皮膚に炎症を起こし、ニキビや吹き出物の原因となる。しかし、整腸剤を摂ることで改善する可能性がある。皮脂の分泌により肌が荒れてしまうのは、腸内環境の悪化が原因とされており、整腸剤を使用することで腸内環境が好転、約80%の人のニキビが改善している。

 アレルギーやアトピーの改善 

 リーキーガット症候群により、異物に対して免疫が過剰に反応し、炎症を起こす。結果としてアトピー性皮膚炎やぜんそく、じんましん、食物アレルギーなどを引き起こしてしまう。アレルギーに悩む人には腸に問題があり、このリーキーガット症候群になっている人も多い。腸内環境が改善することにより、鼻づまりや花粉症が軽減した等のデータもある。

 下痢や便秘が改善する等お腹の調子が整う 

 整腸剤を飲むことで、腸内の善玉菌↑、悪玉菌↓となり腸内環境が改善、腸の不調をダイレクトに和らげてくれる。ただ、整腸剤は医薬部外品なので、即効性はない。毎日しっかりと飲み続けることが必要。

 疲労感が軽減する 

 研究によると、慢性疲労症候群の人は腸内環境が非常に悪いということがわかっている。慢性疲労症候群の患者を調べると、過敏性腸症候群を患っていたり、便秘だったりする人が多い。⇒腸内環境の悪さが日々の疲れやすさに関係している。整腸剤を飲むことで慢性疲労症候群の患者約70%に疲労感の回復が見られたという研究もある。

 メンタル不調が改善する 

 近年、腸内環境が脳にまで影響することが明らかになっている。「セロトニン」は腸で大半が作られるが、そのセロトニンが脳に働きかけることでメンタルが改善する。腸の働きが良ければ脳の機能が改善する。毎日整腸剤を服用した人は、健康増進はもちろん、うつ病や不安感、ストレスが改善したと報告されている。


■腸内フローラを整える

 腸内には数百種類の菌が生息しています。そして、この細菌の生息状態は一人ひとり異なります。腸はお腹の調子や消化吸収だけに関わる器官ではありません。免疫やホルモンの分泌、美肌、日々の調子など心身すべてに関わる器官です。腸内には様々な種類の細菌が生息していて、腸内フローラ(細菌叢)を形成しています。腸内フローラのバランスの改善し、美と健康を維持するために「整腸剤」も一つの回答となります。

腸内環境を改善するためには

 腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があり、人体に有害な働きをする悪玉菌が優勢になると心身の健康を損なうことがあります。腸内環境を改善するためには、善玉菌が働きやすい環境を作ることが重要です。腸内フローラの理想的な状態は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌の比率が2:1:7であると言われています。菌の割合の把握は難しいですが、食事と生活習慣を見直すことで、腸内フローラを整えることが可能です。

 食事では、発酵乳製品や漬物など善玉菌を含む食品・増やす食品(腸内で消化されにくい、オリゴ糖類食物繊維など)を摂ることと、腸内環境に悪影響を与える食材(高たんぱく高脂質化学調味料・添加物)を控えることが重要です。

 日常的なストレスは交感神経を刺激して便の排泄を抑制します。便の排泄が滞ることで、悪玉菌や、悪玉菌の作る有害物質(アンモニアや硫化水素)の排出ができなくなり、腸内フローラが悪化します。また、十分な睡眠時間を確保し、リラックスして入浴するなどして副交感神経を刺激することも重要です。

腸内フローラを整えることで期待できること

 腸内フローラの改善は、全身の健康も維持し、以下のような効果が期待できます。

【美肌効果】:腸内細菌がビタミンB群の生成を促進するため

【便秘解消】:善玉菌の増加で乳酸や酢酸などの有機酸が産生され、腸を刺激するため

【肥満予防】:腸内細菌が生産する脂肪酸がエネルギー代謝に関わる受容体を刺激するため

【体臭改善】:悪玉菌が産生するアンモニアや硫化水素が減少するため

【免疫力強化】:人体の免疫の7割を担う腸の免疫細胞を腸内細菌が刺激するため

【がんリスク低下】:がんの要因となる有害物質(アンモニアや硫化水素など)が減少するため

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 康復医学学会が、新しい甘味料のあり方として提案している「グリシン+霊芝炭」は、さまざまな健康作用が確認されています。整腸作用が高いこともそのひとつで、便通改善物質として働きます。グリシンは腸内善玉菌を増殖させて腸の働きを活発にするため、便秘や下痢になりにくくなるのです。また、食物繊維の一種「難消化性デキストリン」にも善玉菌を増やすことが知られており、腸内フローラを整えて健康的なお腹が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2024年11月27日水曜日

老化のしくみ

 若者の老化が進んでいる!?

 世界中で「早期発症がん」、つまり14歳から49歳までに診断されたがんが増えています。過去30年間(1990~2019年)で、50歳未満の新規がん患者は約80%も増えているのです。

(※浙江大学医学部、ハーバード大学、エディンバラ大学などの研究者らが昨年、英医師会雑誌に報告済)

 研究者たちは、2019年の世界疾病負担調査のデータを基に、204カ国の14~49歳の人々のがん罹患率と死亡率の変化を調査。2019年は、50歳未満の100万人以上ががんで死亡し、1990年から約28%も増加していました。研究者らは、2030年には、世界の新たな「早期発症がん」の症例数は31%、関連する死亡者数は21%増加すると推定しています。

 日本でも「国立がん研究センター」のがん情報サービスのデータによると、特に女性の「早期発症がん」が増えているそうです。

「早期発症がん」増加の原因のひとつとして考えられているのが、“老化が進んでいる”ことです。ワシントン大医学部の研究者らが、今年4月、若年成人のがんリスク増加と老化の加速が関連していることを、米国がん学会で指摘しています。

研究チームは、2つの関連を調べるために、英国バイオバンクに登録された約15万人のデータを使って、血液中の9つのバイオマーカーを分析し、参加者の生物学的年齢を算出しました。すると、1965年以降に生まれた人は、1950~54年の間に生まれた人にくらべて、生物学的年齢が年代よりも17%高かったといいます。

 次に研究チームは、加速する老化と「早期発症がん」発症の可能性との関連を調査。その結果、体の老化が早ければ早いほど、肺がん、消化器がん、子宮体がんの早期発症が高まっていました。やはり、50歳未満の新規がん患者が、過去30年間で約80%も増えているのは、老化が進んでいるからなのでしょうか。

 ボストン在住の内科医・大西睦子氏は言います。

「なぜ早期発症がんが増えているのか、その理由を見つけるために専門家は苦闘している。若い人の老化はひとつの理由であるかもしれないが、まだハッキリした理由は分かっていない。アルコールの飲み過ぎ、適切な睡眠の不足、日光への暴露、ストレス、長時間の座りっぱなし、メンタルヘルスの問題、交際関係の欠如などが考えられる。特にこれが悪いということではなく、食生活が乱れている人は、活動レベルが低くて、睡眠不足になりがちということもある。アメリカの研究では、1965~80年に生まれたX世代は、ベビーブーマー世代(1946~64年生まれ)に比べて、健康状態が悪く、また、飲酒や喫煙などの不健康な行動が多く、うつ病や不安症が多いことが指摘されている。便利な社会になり、インターネット、ソーシャルメディアなどと共に過ごす時間もますます増えている。これらに依存した生活は、ヘルシーなライフスタイルがしにくくなる、ということはあると思う」

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■老化のメカニズム

「老化」とは一般的に、成熟期以降に起こる“生理機能の衰退”を意味し、遺伝的な要因や外界からのストレスに対し、適応力が低下することで起こる変化と考えられます。

 老化のメカニズム 

 生物学的に老化への太刀打ちは難しいとする「プログラム説」と、成熟後の有害遺伝子の発現で老化していくという「擦り切れ説」があります。成長スピードと同様に、老化スピードにも個人差がありますが、また、体内の組織や細胞によってもそのスピードは違うので、老化が進んでも、組織によっては実年齢よりも若いこともあります。

 老化の原因 

 老化の原因の一つは、「活性酸素による体の錆び」と考えられています。活性酸素生成の原因も様々で、呼吸による酸素の活性酸素化や、車の排気ガス、たばこ、紫外線、激しい運動や心理的ストレスなども活性酸素の蓄積を誘発し、老化の原因になります。また、老化スピードは40歳代から加速しますが、それは40歳代になると「抗酸化酵素」の能力が急速に減少するからです。このことから、逆に老化抑制には代謝を抑え、活性酸素の蓄積を抑えることが有効とする、カロリー制限説が唱えられるようになりました。一方で、老化には活性酸素のみならず、様々な複雑な要因があることから、一概に「老化を確実に抑え込む」ことはできないという考え方もあります。

老化はいつから始まるか

 細胞レベルで見ると、老化は生まれた直後から始まります。研究で、胎児から採取した細胞は約50回の分裂が限界であることが分かりました。そして限界まで分裂した細胞を“老化細胞”と呼びます。老化細胞に増殖を促す処理を施しても、二度と増殖しません。若い頃は機能低下した細胞は除去され、新しい細胞が補充されて機能を保ち、老化を防いでいます。しかし、年齢と共に細胞の入れ替わりは遅くなり、それ自体が停止すると、組織の機能が低下し、徐々に老化が進行していきます。やがて、老化細胞で生きていかねばならなくなります。

 一方、極めて稀ですが遺伝子の異常によって、正常な人より早いスピードで老化する病気もあります。「早老症」といい、国の難病にも指定されています。

老化による身体への影響

 老化は、右表(⇒)のように体に様々な影響を引き起こします。このほかにも、視力の低下や聴力の低下など、高齢者には様々な身体の影響が出てくるのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2024年11月20日水曜日

てんかん

 てんかん、認知症との誤診に注意

 自動車整備工場で働く60代後半の男性は、2~3年前から職場で「ぼんやりしていて会話が成り立たない」「指示した内容を何度も忘れる」と指摘されていました。

 近所の脳神経内科では、アルツハイマー型認知症の疑いありとの診断。経過観察状態が続いたが、約半年前、家族旅行からの帰宅後、旅行の記憶がスッポリ抜け落ちていることに気が付く。家族に促され、大学病院で検査を受けた。診断名は「てんかん」だった――。

「てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮することで一時的な症状が繰り返し起こる脳の慢性疾患。高齢者てんかんで最も多いのが脳卒中の後遺症で、3~4割を占める。ほかにも脳腫瘍や頭部外傷、アルツハイマー病によって発症するが、全体の3分の1は原因不明とされ、誰にでも発症する可能性がある」(相模原市認知症疾患医療センター長の大石智氏)

 子供のてんかんではけいれん発作が多いですが、高齢者の場合は非常にまれで、けいれんを伴わない“複雑部分発作”がよく見られます。「ボーッとしている」「呼びかけに無反応」等の意識障害や、「口をペチャペチャモグモグさせる」「机や膝の上を指でトントン叩く」等の状態。1~2分ほど続きますが、目立つ症状ではないため、異変に気付きにくいそうです。

「高齢者がてんかん発作を起こすと、発作直後に意識障害が残る『もうろう状態』になることがある。自力で食事が摂れないだけでなく、あちこちウロウロと動き回るので、壁にぶつかったり転落したりする危険がある」(同氏)

 発作の後のもうろう状態は、数十分から1週間続きますが、本人はその間の記憶がないので、意識が回復しても周囲と話が噛み合いません。発作は飲酒や寝不足のほか、抗コリン作用を含む薬剤によって誘発されやすいので、注意が必要です。

 通常、てんかん発作は数分で消滅しますが、高齢者は意識障害が回復する前に何度も発作を繰り返す「てんかん重積」を起こしやすくなります。入浴中なら溺死、運転中なら事故につながりかねません。さらに一度重積状態を起こすと、再度起こしやすくなります。脳の一部が興奮した状態が長時間続き、脳細胞がダメージを受けて脳機能障害や精神機能障害などの後遺症が残る恐れがあります。

 早期の診断・治療のためにも、問診で発作発生時の状況を詳しく伝えるのが重要です。

「診察では、いつから、どんな時に、どんな症状かを伝えること。発作の頻度を把握し、てんかんの疑いが高ければ脳波検査で突発波と呼ばれる異常な脳波の有無を確認する」(同氏)

 てんかんの治療は、抗てんかん薬の経口投与が一般的。高齢者の場合、少量でも治療効果が非常に高く、9割は発作を消失または抑制できるとの報告もあります。一方で、認知症と誤診されるとてんかん治療の機会を逃すだけでなく、認知症の薬は逆にてんかん発作を誘発します。物忘れ=認知症と思い込まず、てんかんの疑いも持つべきでしょう。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■てんかんは“慢性の脳疾患

「てんかん」は国際保健機関(WHO)によって「大脳神経細胞の過剰な電気的発射に由来する、反復性の発作を主張する慢性の脳疾患」と定義付けられています。つまり、てんかんは、脳の興奮(=発作)を一回だけでなく繰り返す疾患だということです。

 人間の脳の回路は「興奮」と「抑制」の絶妙なバランスによって成り立っています。誰の脳でも(てんかん発作のない人でも)このバランスが崩れれば、回路が暴走して痙攣発作を起こす危険性を秘めています。例えば、酸欠状態や低血糖状態など特殊な環境下や、外傷や脳卒中で脳が傷つけられた急性期などです。

 てんかんとは、何らかの原因により(原因は様々)大脳の一部または全体に、普段から暴走しやすい回路ができている状態と言えます。その暴走しやすい回路は、過剰な電気的発射を起こす場所でもあり、「てんかん焦点」と呼ばれます。てんかんはこの焦点の分布のしかたで分類したものが「全般てんかん」と「局在関連てんかん」(=部分てんかん)です。 ※原因による分類は「特発性」と「症候性」

生体電流を乱す原因

 私たちを取り巻く現代の生活環境は、身体に有害なものをたくさん含んでいます。日常的に以下のような環境に置かれていると、生体電流の滞り、電位の乱れの可能性が大きくあり、「てんかん焦点」が形成されやすくなってしまいます。

▼食生活の乱れや運動不足 ▼パソコンやスマートフォン・携帯電話など家電の電磁波

▼加齢(40歳前後から生体電流は衰え始める) ▼ホルモンの変化(女性ホルモンの影響も大) ▼ストレス ▼疲労 ▼睡眠不足・睡眠リズムの乱れ

 携帯電話やTV、パソコン、電子レンジなど微弱な電磁波を常に発している機器、私たち自身の食生活や睡眠リズムの乱れ、ストレス、運動不足、加齢による生体電流生産の衰えなどが原因となって生体電流に乱れを生じさせるのです。

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 当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」に含まれる成分として有機ゲルマニウムがあります。有機ゲルマニウムには、血行促進、免疫細胞活性化、骨代謝調整ホルモンのバランス調整などの他に、生体電流を整える作用も認められています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン


2024年11月13日水曜日

過酸化脂質

 最強の毒ALE 発がん性と神経毒性

 老化物質AGE(advanced glycation end products;糖化最終産物)の危険性については、何度かお伝えしているのでご存知のことと思います。このAGEと同じくらい、いやむしろAGE以上に危険だとする研究者もいるくらいの危険物質が「ALE(advanced lipoxidation end products;脂質過酸化最終産物)」なのです。

 揚げ物が好きな人は多いと思います。唐揚げ、とんかつ、エビフライ‥‥でも、こうした美味しいものに限って危険が潜んでいるものです。高温調理過程の中でできてしまう毒、それがAGEであり、ALEなのです。

 AGEはたんぱく質が糖化されること(コゲによる劣化)によって生まれます。それが私たちの体に蓄積されることによって様々な障害を起こすのです。一方、高温調理で油が酸化され、過酸化脂質になります。この過酸化脂質がさらに酸化され、アルデヒド(酸化二次生成物)という毒になります。そしてアルデヒドがたんぱく質にくっついて過酸化されたもの(サビによる劣化)がALEです。これが体内に蓄積すれば、様々な病気の原因になるのです。

ALEを作るアルデヒド

 過酸化脂質が増えると、アルデヒドなど多くの酸化二次生成物をもたらします。過酸化脂質が発生してから少しずつ分解されていき、嫌な臭いを強く感じるようになります。この臭いの主成分がアルデヒド。「油酔い」と言われるもので、味も悪くなっていきます。

ALE産生の2パターン

①外因性:揚げ物などに含まれるアルデヒドの大量摂取により、活性酸素⇒ALEの形成。

②内因性:悪い生活習慣や炎症により、組織内にアルデヒドが産生される。

脂質アルデヒドの毒性(各種論文より)

▼腎臓や結腸における4-HNEたんぱく質(ALE)の形成は、がんの成長・進行を促進する。

▼4-HNEのレベルの上昇は、肝臓がんや膵臓がんの発症リスクを高める。

▼4-HNEは脳の神経細胞、血管筋・肝・骨格筋細胞のミトコンドリアに酸化ストレスを誘発。

▼4-HNEは発がん性、遺伝毒性、変異原性がある。


 私たちの体はもともとGST、GSH、ADH、AKR、ALDHなどアルデヒドを解毒する酵素持っていますが、揚げ物を摂り過ぎると、これらの酵素では対応しきれなくなり、結果的にアルデヒドが体内に蓄積されてしまうのです。

(出典:栄養チャンネルhttps://www.youtube.com/)


■過酸化脂質と疾病への関与

 体内の過剰な活性酵素・過酸化脂質は、組織の老化を加速させ、細胞の機能低下や細胞数の減少によって、様々な病気の発症につながる恐れがあります。

過酸化脂質って?

 過酸化脂質とは、活性酵素がコレステロール中の不飽和脂肪酸と結びつき酸化して出来た脂質の総称で、悪玉コレステロールと言われています。

 過酸化脂質を生み出す原因としては、▼ストレス ▼喫煙 ▼激しい運動 ▼大気汚染 ▼残留農薬 ▼紫外線 ▼食品添加物‥‥などがあります。

過酸化脂質の病気への影響

 過剰な過酸化脂質は、肌の老化からアルツハイマー病やガンまで、その影響は甚大です。血管内に付着・血管に溜まる過酸化脂質は、動脈硬化脳卒中心筋梗塞などに影響しますし、皮脂が酸化してできた過酸化脂質は、皮膚の細胞を傷つけ、アトピー性皮膚炎火傷の悪化かぶれシミソバカスなどの炎症を引き起こします。

 脂質異常症患者や冠動脈狭窄患者の血液では、過酸化脂質の濃度が健常者に比べて数倍高く、過酸化脂質が動脈硬化症発症に関与しています。また、過酸化脂質が蓄積した老化赤血球の数が多くなると、アルツハイマー型認知症のリスクが高まることも確認されています。

過酸化脂質を減らすには

 過酸化脂質対策には、活性酸素を抑える役割を持つ「抗酸化物質」が有効です。私たちの体内には元々抗酸化酵素や抗酸化物質が存在しています。しかし体内の抗酸化機能は肥満や食生活の乱れ、加齢によって低下しますので、食品から抗酸化作用をもつ成分を摂ることが重要となります。代表的な抗酸化物質としては、ビタミンAビタミンCビタミンEポリフェノールカロテノイドなどがあります(右表)。また、クロレラなどの食品から摂取するルテインによって、老化赤血球の増加が防げたり、味噌や醤油に含まれる糖化褐変物(メイラード反応産物)には抗酸化作用があることも分かっています。

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「HM-3000(特系霊芝)」には、非常に強い抗酸化作用を持つ酵素である「GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)の産生・増加作用があることが確認されています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年11月6日水曜日

肺と血液循環

 たばこを吸わない人の肺がん増加!

 今、たばことは強く関連しない肺がんが増えています。「肺がんの患者数は右肩上がりに増加する一方で、喫煙者は減っている。これは、たばこが原因でない肺がんが増えていることを意味する」(中部国際医療センター樋田豊明医師)

 肺がんは「組織型」という分類法で腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん・小細胞がんに分かれ、発生しやすい部位や特徴が異なります(右表参照)

 4分類のうち、喫煙との関連が強いのが扁平上皮がん小細胞がん。喫煙率の低下によって、扁平上皮がんと小細胞がんは減っています。そして、喫煙とは関連が少ない腺がんが急激に増えています。腺がんの発症理由ははっきりしていませんが、PM2.5等の大気汚染が肺のがん細胞の遺伝子異常を起こすというデータが複数出ています。たばこが身近ではない生活をしていても、だれでもリスクがあるということです。

「そもそも肺がんは無症状の場合も多く、症状がなくても全く大丈夫とは言えない。肺がんはステージⅣで発見される患者が珍しくない。それは自覚症状がないまま病状が進行してしまうから。早期発見には、喫煙者・非喫煙者を問わず受診することが重要」(同医師)

 重要なのは、「要精密検査」となったら、無症状でも、非喫煙者でも放置しないことです。国立がん研究センターの発表では、肺がん検診で要精密検査と判定された人の精密検査の受診率は83.8%。20%弱が放置しています。

 肺がんは、がんの部位別死亡率の中で、男性でトップ、女性で2位です。前述の通り、進行してから発見される人が多いからです。早期発見は当然ながら生存率を高めます。

 今年6月から放射線治療の一種、陽子線治療が肺がんで保険適用となりましたが、進行してからの発見では保険適用となりません。

 従来の放射線治療はX線やγ線を用います。これらは体の表面近くで最も強い効果があり、体の奥へ進むにつれ効果が弱くなり、さらにはがんを越えて体を突き抜けます。そのため、正常な組織や臓器を傷つけてしまうのです。これに対し陽子線治療では、最大のエネルギーを放出する場所(体の表面からの深さ)を設定できます。がんがある場所に設定すれば、そこで最大効果を発揮して停止。奥まで突き抜けません。がんに対して、集中的な治療ができるのです。肺がん治療の進化は目覚ましく、その恩恵を受けるためにも、正しい知識を。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■肺の構造と血液循環

 肺は体の中でもかなり大きい器官の1つです。胸腔の大部分を占め、ちょうど横隔膜の上に乗る形をしています。左右の肺は非対称で、大きさは右肺8:左肺7。心臓がやや左寄りにあるため、左肺の方が少し小さくなっています。多角形小葉の集まり"葉"で構成され、右肺は上葉・中葉・下葉の3葉、左肺は上葉・下葉の2葉でできています。

 肺の入り口である肺門には、気管支のほか、肺動脈、肺静脈などの血管、さらに神経なども多数出入りしています。

肺胞と血管の間のガス交換

 肺門から入った空気は、気道を進んで肺胞に入ります。肺胞は直径0.2mmほどの小さな袋で、その周囲を毛細血管が網の目のように取りまいています。

 肺胞のまわりには、肺動脈から続くたくさんの毛細血管が走り、その中には、体内を巡ってたくさんの二酸化炭素を運んできた静脈血が流れています。

 このとき、毛細血管の酸素分圧(PO2)は40mmHg、二酸化炭素分圧(PCO2)は46mmHgです。これに対し、肺胞内のPO2は100mmHg、PCO2は40mmHg。血管内と比べると、肺胞内のほうが圧倒的に酸素が多く、二酸化炭素は少ない状態です。

 ガスの移動は、ガス分圧の差によります。肺胞⇒静脈の毛細血管は、60(100-40)mmHgの圧力で酸素が移動し、静脈側の毛細血管⇒肺胞は反対に、6(46-40)mmHgの圧力で二酸化炭素が移動します。このガス交換の結果、酸素をたっぷり含んだ血液は、肺静脈から心臓へと戻り、再び全身へと向かい、一方、肺胞に移動した二酸化炭素は、肺の呼吸運動によって気道から体外へと排出されます。つまり、血液にとって肺胞は酸素の供給する場所であり、二酸化炭素の捨てる場所でもあるといえるのです。

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酸素供給・血流改善への霊芝の影響

 体内に取り込まれた酸素は、赤血球が全身へと供給します。そして、赤血球が運搬する酸素を切り離して、全身の細胞への酸素供給量を高め細胞の酸欠を改善するのは「2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)」の働きによるものです。また、血液の通り道である毛細血管の柔軟性の維持や傷ついた血管の修復・改善には「NO(一酸化窒素)」の作用が欠かせません。

 康復医学学会の推奨する生薬である「HM-3000(特系霊芝)」には、2,3-DPGを産生・増加させる作用があること、そして体内でのNO合成酵素を活性化させ、NOの産生を促進する作用があることが確認されています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年10月30日水曜日

高齢者の骨折

 脊椎圧迫骨折で介護度10倍上昇

 群馬大学は7月、レセプト情報*のビッグデータを活用し、高齢者に多い脊椎圧迫骨折の受傷後の経過の詳細を初めて明らかにしたと発表しました。この研究は、群馬大学、東京大学、自治医科大学の各研究者グループによるもの(『Journal of Bone and Joint Surgery』」に掲載)。

*レセプト情報とは:特定健診等情報(医療機関が医療保険者へ発行する診療報酬明細書のこと)

 脊椎圧迫骨折は加齢に伴う骨粗しょう症が主な原因で、転倒やしりもちなどのちょっとした怪我で生じる骨折です。高齢者の約5人に1人が経験する骨折ですが、多くの場合は数週間~数か月で治癒します。しかし、一部の患者では持続する腰痛や背骨の変形などに悩まされることもあり、足の痛みやしびれ、麻痺などの症状が出てくる場合には手術が必要になります。ところが、これまでの研究では、どのような患者で痛みが持続し日常生活に影響を及ぼすかについては明らかにされていませんでした。

 研究グループは今回、65歳以上の圧迫骨折患者18,392人のレセプト情報から、受傷後の生存期間・鎮痛剤の処方期間・要介護度の変化を調べ、さらにそれぞれのリスク要因について解析しました。

 その結果、圧迫骨折後に4か月以上の長期にわたって鎮痛剤が必要な患者が23%いることが明らかになりました。さらに、骨折前から介護を受けていた患者は、骨折後により多くの介護が必要となるリスクが、リスク比で10倍であることが判明しました。

 これまで不明だった高齢者の脊椎圧迫骨折後の鎮痛剤の処方期間や要介護度の変化について調査を行った結果、鎮痛剤を長期間処方された人や要介護度が悪化する人のリスク要因が初めて明らかになりました。脊椎圧迫骨折後の長期的影響を詳細に検証した研究は過去に例がなく、得られた知見は今後の適切な医療・介護の資源配分に役立つと考えられます。

 同研究成果により、すでに介護を必要としている患者は骨粗しょう症の治療を行うなど、適切に圧迫骨折を予防することが重要であることが明らかにされました。一方で、実際に患者が日常生活においてどのようなことで痛みに困っているのか、どのような介護が必要となったのかの詳細は明らかにされていません。そのため、具体的な日常生活動作のレベル(歩行できるのか、杖や車椅子が必要なのか)や必要な介護(食事の介助、入浴の介助、トイレの介助などが必要か)などについて、詳しく追跡調査することが必要です。

 また、骨粗しょう症の重症度(どれだけ骨が折れやすいか)や、骨折の重症度(変形をきたしているか、麻痺などの神経症状が出ているか)による違いは検討されていません。さらに骨折の後、骨粗しょう症治療を行うことで痛みや介護度が改善するか否かについての検討もされていません。「これらの重症度を考慮することで、将来的には患者にとってより最適な治療を提供できるようにすることが求められる」と、研究グループは述べています。

(出典:https://www.qlifepro.com/)


■高齢者に多い骨折と予防・ケア

 高齢者の骨折は、骨粗しょう症による骨の脆弱化が基礎にあり、わずかな外力でも骨折を起こすことが特徴です。いちど骨折を起こすと長期間の安静が必要で、「寝たきり」の原因になる可能性もあります。また、高齢者が骨折する原因のほとんどは「転倒」です。

高齢者に多い4つの骨折

(1)大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)骨折

 太ももの付け根の骨折で、転倒によって起こる。寝たきりになってしまう方も多く、社会問題となっている。

(2)脊椎圧迫(せきついあっぱく)骨折

 背骨の骨折。尻もちをつくことで起こることが多い。骨粗しょう症が進むと、普段の生活動作の中でも起こることがあり、「いつのまにか骨折」と言われるものもある。

(3)上腕骨近位部(じょうわんこつきんいぶ)骨折

 腕の付け根の骨折。転んで肩を直接打ったり、肘や手をついた時に起こる。

(4)橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折

 手首の骨折。転んで手をついた時によく起こる。

高齢者の骨折の治療について

 骨折の治療は、手術療法と手術によらない保存療法に分かれます。

 保存療法の場合は、骨折部位が安定するまで数週間から数ヶ月間、骨折部の安静を保つ必要があります。脊椎圧迫骨折や橈骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折で骨折部が安定している場合は、保存療法が選択される場合が多いです。

 しかし、大腿骨近位部骨折の場合、長期の安静により筋力低下・認知症・肺炎・褥瘡(じょくそう)などを発症し、寝たきりになる頻度が高いことがわかっています。可能であれば手術療法を選択し、早期からリハビリを行い、機能回復をはかることをお勧めします。

高齢者の骨折の予防は骨粗しょう症のケアから

 高齢者の骨折は予防が何より重要です。まずは骨粗しょう症のケアに取り組むことです。

【骨粗しょう症のケア】 

●定期的に検診を受け、骨粗しょう症の程度を評価をする。

●骨粗しょう症があれば内服薬や注射薬による治療で進行を抑える。

●カルシウム、ビタミンD、タンパク質などの栄養素を適量に摂取する。

●運動、日光浴を行う。

【転倒しないために】 

●ロコモティブシンドロームのチェックを行い、転倒しやすいかどうかを把握する。

●転倒しないよう、生活環境の整備を行う。

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 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」には、骨粗鬆症を治療する活性成分(βシトステロール、エポキシラノシトール、22トリエン3、6ジオン、霊芝ケトントリオール等)や、生物学的過程を通じて抗骨粗鬆症作用を発揮する成分が含まれていることがわかっています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年10月23日水曜日

肥満

 死亡リスク推定に有用な“丸み指数”

 肥満の一般的な指標はBMIですが、内臓脂肪の分布を反映していないため、より包括的な肥満指標として身長とウエスト周囲長から算出する身体の「丸み指数(=BRI;body roundness index)」が提案されています。北京中医薬大学の研究者らは、1999~2018年の米国民健康・栄養調査(NHANES)に参加した成人3万例超のデータを用いてBRIの推移と全死亡との関連を検討。その結果、米国成人のBRIは上昇傾向にあり、BRIの最低5分位群と最高5分位群で全死亡リスクが上昇するU字形の関連が認められたと、米国医師会雑誌『JAMA Network Open』(2024;7)に発表しました。

 BRIは「364.2-365.5×√〔1-[ウエスト周囲長(cm)/2π]2/[0.5×身長(m)]2〕」として算出します。ウエスト周囲長を考慮したBRIは内臓脂肪分布を反映しており、BMIよりも包括的な肥満指標であることを示すエビデンスが蓄積されつつあります。しかし、BRIと疾患や死亡のリスクとの関連を示すエビデンスは乏しい状況です。そこで研究者らは、1999~2018年のNHANESに参加した20歳以上の32,995例(平均46.74歳、女性50.10%)のデータを用い、米国成人におけるBRIの推移と全死亡との関連を検討。解析の結果、平均BRIは1999年→2018年で4.80→5.62と上昇しており、2年ごとの変化率は0.95%でした。

 同期間のBRIの上昇傾向は女性、65歳以上の高齢者、メキシコ系米国人でより顕著でした。BRIは加齢に伴い上昇し、女性の方が高値で男女差は経時的に拡大しました。この結果について、研究者らは「女性では体組成および食欲に性ホルモンが影響している可能性があり、高齢者のBRI高値は脂肪組織の老化や機能不全を反映している可能性がある。また、メキシコ系米国人においては一般的に食事の質の低下、食料不安、心理社会的ストレスが認められる」と説明しています。

約10年の追跡期間中における全死亡は3,452例(10.46%)でした。制限付き三次スプライン解析では、BRIと全死亡リスクとの間にU字形の関連が認められました。

交絡因子(年齢、性、人種/民族、教育歴、貧困所得比率、喫煙状況、飲酒状況、心血管疾患の家族歴、糖尿病の家族歴)を調整後の解析の結果、全死亡リスクはBRIの第3五分位群(BRI 4.45~5.46未満)と比べて第1五分位群(同1.05~3.41未満)で25%、第5五分位群(BRI 6.91以上)で49%といずれも有意に上昇していました。

 研究者らは「BRI超低値例は栄養不良、疲労、運動耐容能の低下、筋萎縮を伴っている可能性がある」と指摘し、BRI高値例については「内臓脂肪が蓄積すると、体重が基準範囲内であってもインスリン抵抗性が亢進し心代謝性疾患のリスクが高まる」と説明。その上で、「死亡リスクの推定や高リスク群特定のための簡便な非侵襲的スクリーニング法として、BRIは有用性が高い」としています。

(出典:https://medical-tribune.co.jp/)


■肥満に関わる善玉ホルモン

 脂肪には大きくわけて2つあります。それが「皮下脂肪」と「内臓脂肪」がです。皮下脂肪は一番落としにくい脂肪で、最後の手段として体がエネルギーとして使います。それに比べ内臓脂肪は一時的に体が蓄える脂肪で、比較的とれやすい脂肪です。

動脈硬化や糖尿病を抑制「アディポネクチン」

「アディポネクチン」とは、体の脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種で、動脈硬化や糖尿病を防ぐ善玉ホルモンです。生理活性物質の多くは肥満に伴って脂肪細胞からの分泌が活発化しますが、内臓脂肪が増えれば増えるほど、脂肪細胞が肥大・分裂し、悪玉物質がたくさん分泌される一方で、アディポネクチンの分泌量は大幅に減少(血液中の濃度が低下)してしまいます。したがって、肥満を改善し内臓脂肪を減らし、アディポネクチンの分泌を正常化させることが大切になります。

満腹信号を脳に送る「レプチン」

「レプチン」は、アディポネクチンと同じ脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンです。このホルモンは、食事開始から20~30分後に分泌が始まります。血液中にレプチンが流れ出して、血中のレプチン濃度が上がると、脳に対して“満腹信号”を発信します。内臓脂肪が増えるとレプチンの働きが低下します。つまり、なかなか満腹感が得られないので、つい食べ過ぎてしまうのです。

 食事は30分以上かけてゆっくり摂ることが重要です。一方で、レプチンは自然免疫細胞を刺激して炎症性サイトカインを産生させ、獲得免疫ではIFN-γを産生するTh1というTリンパ球の働きを増強して、多発性硬化症*の病態を悪化させてしまいます。

*多発性硬化症とは:免疫細胞が中枢神経(脳・脊髄)や視神経に炎症を起こして、神経組織を障害する自己免疫疾患。

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 肥満に関連したホルモンは、免疫機能を変化させ、炎症を促進する傾向にもあるようです。感染症、アレルギー、がんの予防としても、体重のコントロールが大切になってきます。

 当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、生体の免疫バランスを保ち、生体機能恒常性の維持に有効な作用があります。肥満やメタボによる免疫機能変化の抑制、および脂肪組織内でおこる炎症対策にも期待できます。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年10月16日水曜日

ストレス冷え

 ストレス冷え

 暖かい部屋に入ると、すぐに手足が温かくなりますか? 中々温かくならないですか? 手足など末梢の血流は、自律神経の働きが調節しています。ストレスで交感神経が緊張すると、末梢血管は収縮して血行が悪くなります。手足が温かくならない人は自律神経機能が乱れているため、血流の調節がうまくいっていないのです。これが“ストレス冷え”です。

 ストレス冷えはこのほか、自覚症状はあるのに診察では冷えがない人、逆に足が氷のように冷たくても自覚症状がない人など、冷えの認識にずれが生じていることもあります。

 ラットによる実験では、オスよりメスの方が血管拡張の反応が遅いという報告もあり、一般的に女性に冷え症が多いということを裏付けています。

 冷えは漢方が得意とする領域で、漢方薬の効果が認められています。治療では問診や脈、舌、腹部などを診察し、漢方の基本概念である気血水(きけつすい)や五臓六腑のどこに問題があるかによって処方を決め、心身のバランスを整えます。

 女性の冷えは、女性ホルモンの乱れから自律神経が変調をきたすという流れも多く、この場合は、冷えだけでなくのぼせの症状も現れます。また、甲状腺の機能低下、貧血、低血圧、膠原病(こうげんびょう)などによって、冷えの症状が表れることがあります。その他、肩こり、頭痛、腰痛、不眠、むくみ、疲れやすい、やる気・元気がない、肌のくすみ・しみ、乾燥なども、冷えによって起きやすい症状です。

 朝食を抜くと体温上昇機能は働かず、筋肉不足では熱が生み出せません。昼夜逆転は日内リズムを乱して、日中に体温が上がらない人もいます。便利な生活がかえって冷えを助長している可能性もあります。

 また、漢方では、加齢とともに体が「陽(新陳代謝が高い状態)」から「陰(新陳代謝が低下した状態)」に変わると考えます。このため、冷えとは無縁だった男性も冷えやすくなります。

 強いストレスで自律神経の働きが乱れると、体温調節がうまく機能せず冷えやすくなります。また、便利な生活や加齢により、誰にでも冷えが起きると言えます。身体や精神の諸症状、美容面にも影響します。患部を温めるだけでなく、生活全般を見直して冷えをもたらしている原因にも気をつけましょう。

(出典:https://www.healthcare.omron.co.jp/)


■自律神経と血流低下

ストレスと自律神経

 ストレスによる生体反応は、ストレスの刺激(物理的或は心理的)を受けると、以下のような生体反応が起こることから自覚症状が表れるのがわかっています。

視床下部⇒自律神経系⇒交感神経⇒副腎髄質 という流れで、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが血中に放出され、血糖値の上昇・胃腸機能低下・心拍数の上昇・血圧上昇などの循環機能を亢進させます。自覚症状としては、冷えのほか、肩こりや疲労などもあります。

 微小循環の血流が低下すると、細胞の酸素不足、エネルギー産生の低下、老廃物の蓄積などが起ります。ストレスなどによる生体反応からノルアドレナリン、アドレナリンなどが血中への放出が促進されると、細動脈の収縮から毛細血管への入口が収縮して微小循環の血液が低下します。そのため、冷えなどをはじめとする様々な自覚症状を発症します。

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ストレス冷え対策

 ストレス冷えは、ストレスにより毛細血管の入口が収縮し血流が低下していること、そして細動脈が収縮してしまうことが要因となります。この対策としては根本的に微小循環血管を改善することが重要です。毛細血管の入口拡張には、NO(一酸化窒素)が大きく関わり、また、細動脈の拡張にはセロトニンの働きが影響します。

 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」は、その血中一酸化窒素(NO)の産生を促進するデータがあります。

 また、細動脈の拡張・交感神経亢進の抑制には、神経伝達物質のセロトニンが影響を与えることが確認されています。当学会の研究素材のひとつ「ラフマ葉」は、脳内セロトニンの増加セロトニン神経通過性の安定を促すことが確認されています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年10月9日水曜日

目の健康

 健康な目を維持するために

 明日、10月10日は「目の愛護デー」です。はじまりは、昭和6年(1931)に失明予防の運動として、10月10日を「視力保存デー」と定め、中央盲人福祉協会主催、内務省、文部省の後援で毎年活動を始めたのがきっかけ。1938~1944の間は9月18日を「目の記念日」としましたが、昭和22年(1947)に再び10月10日を「目の愛護デー」としています。目の愛護デーでは、現在、厚生労働省が主催となり、全国で目の健康を促す活動がされたり、目の関連企業や団体がイベントを開催したりしています。

 目の健康の維持と保全には、正しい栄養の摂取が極めて重要であることが多くの研究結果からわかっています。健康的な食事として、ビタミンAやビタミンC、葉物野菜、魚など、抗酸化物質の豊富な食材を摂りましょう。魚をはじめとする多くの食品に、中心視力を担う黄斑の健康に重要な必須オメガ3脂肪酸が含まれています。

 抗酸化物質の摂取不足、アルコールや飽和脂肪の摂取などには、黄斑に害を及ぼすフリーラジカル反応の発生リスクがあります。また、高脂肪の食事は動脈の血流を阻害する脂肪の蓄積の原因になります。毛細血管が集まっている目は、特に大きな影響を受けます。

 目に良いビタミンの摂取  

:目の健康の維持に栄養が重要ですが、ほとんどの人は、食事のみでは、重要な目の栄養素の摂取量が不足しています。抗酸化物質であるビタミンC及びEに加え、オメガ3やルテインは、中心視力を担う黄斑の健康維持に重要です。

 タバコを吸わない  

:喫煙は、AGE(終末糖化産物)を増加させ、呼吸器系・循環器系に大きなリスクを与えますが、それが目を大量の酸化ストレスに晒すことにもなります。また、喫煙によって加齢黄斑変性(AMD)発症のリスクが上昇することが知られています。

 運動をする  

:運動によって血液循環をスムーズにすれば、目に行き渡る酸素量も多くなり、また毒素の排出も促進されます。

 紫外線を避ける 

:屋外の明るい光のもとは目にとっては辛い状況です。有害な紫外(UV)線は酸化ストレスを高める要因としても知られています。サングラスを着用するときは、必ず紫外線をブロックできるものを選ぶこと。また、つば付きの帽子をかぶれば、サングラスの縁から目に入ってくる紫外線の量を減らすことができます。

 パソコン・スマホ  

:IT機器の発展によって多様な働き方が可能になり、世の中は便利になりました。しかし反面、長時間にわたるVDT(Visual Display Terminals)作業を続けた結果、目の疲れや頭痛などの症状(VDT症候群)に悩まされる人が増えているのもまた事実です。作業中に適度に休憩をとって目を休める時間を作りましょう。

 目のケガ  

:目の損傷の範囲や重篤度は簡単には判断できません。必ず、すぐに専門家の診察を受けてください。

(出典:https://www.bausch.co.jp/ 他)


■血流を改善して目の健康を促進!

 物が見えるのは、左右の目を連動させて視野を捉えられるように脳が指令を出し、視神経を介して眼球周辺の筋肉を動かしているからです。眼球を動かす、水晶体を調整して焦点を合わせる、まぶたを開けるなど、視神経や目の周囲の筋肉や組織は絶えず連携しています。

食生活が血流を悪くする

 視神経や筋肉がスムーズに働くには、目の周辺に“血液がしっかり巡っている”ことがとても重要です。しかし、忙しい現代人の食事は乱れがち。外食やコンビニ食などで手軽に済ませる人が多く、脂質の過剰摂取になりがちです。すると、血液はドロドロになり、毛細血管の血流が滞ってきます。血流の悪化は、視神経や目の周囲の筋肉の働きも低下させます。

 脳が「見えづらい」と判断すると、視神経は目の周囲の筋肉をさらに緊張させるよう命令、それに連動して肩や首もガチガチに凝る。こんな状態では神経の興奮がなかなか収まらず、交感神経が優位になってしまいます。このように、血流の悪化によって、目の疲れ、肩こりや首の凝り、不眠など、不調の連鎖に陥ってしまうのです。

目の健康を支えるのは「微小循環」

 体の隅々まで血液を循環させること、それが微小循環の重要な働きのひとつですが、これが滞ることを「微小循環不全」といいます。微小循環は、全身の各組織の細胞に栄養を送り、老廃物などの代謝産物を回収するという大仕事を担っています。ゆえに、心臓や動脈などの太い血管よりも、微小循環のほうが“主役級”の存在、と言っても過言ではないのです。

 飲酒で顔が赤くなるタイプの人は、飲み過ぎに要注意です。アルコールの代謝がスムーズでないため、少量飲んだだけで解毒器官である肝臓に負担をかけています。肝臓も、微小循環が張り巡らされている臓器です。肝臓は、体に入った悪い物質を解毒するとともに、栄養となる物質を正常に代謝する働きも担っているので、肝臓の機能が低下すると、すぐに目にも悪影響が表れます。東洋医学では「肝は目につながる」と言い、目の健康には血流の改善が重要だと説いています。

活性酸素によっても目はダメージを受ける

 目は、紫外線などで常に活性酸素に晒されている器官で、大いなるストレスです。そして甘いものや炭水化物。血中の糖が過剰になると、体内では糖の代謝がフル回転で行われ、その結果、代謝産物である酸化物質が多く発生します。糖尿病の患者が「糖尿病性網膜症」になり、失明に至るのはこのような糖質過多の食習慣の蓄積が関係しているのです。

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 康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、毛細血管の血流を改善し。抗酸化作用のあるGSH-Px(抗酸化酵素)の増加を促しますので、目の健康に好影響を与えます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2024年10月2日水曜日

ビタミンB1

 疲れを感じたとき、摂るべき栄養素

 身体がだるい、朝なかなか起きられない、やる気が出ないなどの症状が出てきたら、疲れが溜まっているサインかもしれません。休養しても解消しない場合は慢性化している恐れもあります。この状態が続くと、免疫力が低下して病気にかかりやすくなってしまいます。

 疲労回復には、バランスの取れた食事でエネルギーと栄養をしっかり補給することが大切です。ダイエットで食事を控えている人は特に、栄養が不足して疲れやすくなります。活動エネルギーとなる糖質や、体のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることを心がけ、それらを効率よく利用するためにビタミン、ミネラルも摂ることが基本となります。

 糖質や脂質をエネルギーに変えるには、ビタミンB群が不可欠です。炭水化物ばかりの食生活では、ビタミンB群が不足して疲れやすい体になってしまいます。

 ビタミンB群(ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、B 12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類)は炭水化物、脂質、たんぱく質の3大栄養素の代謝やエネルギー生成に関わっていて、3大栄養素とチームで働いています。中でも、特に疲労回復には「ビタミンB1」が欠かせません。ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える時に必須の成分で、不足すると糖質の代謝が乱れ、エネルギーの産生が滞って疲労につながります。元々日本人は、体内でビタミンB1の消費量が多く、意識して摂らないとB1不足に陥ってしまいます。

 また、疲れた時に甘いものを食べる方がいますが、疲労時に糖質を摂取するとビタミンB1の消費が増え、より疲れやすくなります。また、糖質摂取で血糖値の乱高下が起こり、これもまた疲れやすくなる原因となります。疲労時は甘いものではなく、通常の食事をしっかり摂って栄養補給した方が早く回復します。特に暑くなる季節は清涼飲料水やアイス、冷たい麺類等を摂りがちですが、これらも糖質が多くビタミンB1の消費につながります。頻度を減らし、またビタミンB1を多く含む食品も一緒に摂取しましょう。

 ビタミンB1は、水溶性なので、調理によって損失しやすい栄養素です。茹でるなど水分を使う調理法はできるだけ避けましょう。また、タマネギやニンニク、ニラなどの臭気成分であるアリシンと組み合わせて摂ると吸収が高まり、血液中に長く留まってくれます。豚肉のニンニクソテーや、豚肉とタマネギ、ニラなどの炒め物などはお勧めのメニューです。

 米ぬかや胚芽部分にも、ビタミンB1は含まれています。精製米ではなく、玄米や胚芽米を主食にすることで、エネルギーとなる糖質と代謝に役立つビタミンB1を同時に効率よく摂取できます。主食を玄米や胚芽米、胚芽パンや全粒粉パンに変えてみましょう。

 疲労は、発熱や痛みと同様に体に何かしら異常があるというサインです。無理を続けると自律神経失調症などを発症することもあるので、日々の食事を見直して、早めの対策で解消していきましょう。

(出典:https://diamond.jp/)


■ビタミンB1不足を解消する

 ビタミンB1は、 豚肉、うなぎ、玄米等に多く含まれ、その働きとして、糖質がエネルギーに変わるときに、必要な補酵素の役目をします。

 ビタミンB1欠乏症になると、食欲不振、倦怠感、手足のしびれ、むくみ、動悸等が見られます。代表的な欠乏症は脚気(かっけ)。過剰摂取しても排泄され、毒性は知られていません。ビタミンB1は「疲労回復ビタミン」とも言われ、肉体疲労に効果があります。

ビタミンB1の豊富な豚肉を効果的に摂る

 豚肉を夕食に取り入れるなどして、ビタミンB1欠乏症にならないように注意が必要です。

 豚肉と一緒に調理すると疲労回復ビタミンの吸収率を上げてくれるのが、にんにく、ニラ、玉ねぎなど。全部ニオイが強い野菜ですが、この香り成分「アリイン」にパワーがあります。食べ方のコツは細かく刻んで香りをツンと出すこと。アリインは刻むことで「アリシン」という成分に変わり、油と一緒に加熱すると「アホエン」に進化。その状態で豚肉のビタミンB1とくっつくと、「アリチアミン」という成分に変わり、疲労回復の効果が期待できるのです。

病院の栄養点滴に匹敵する疲労回復飲料

 実は、豚肉を摂らなくても、日本には昔から体力回復に即効性のある飲料があります。「甘酒」です。江戸時代、庶民は質素な食生活の中で、暑い夏を乗り切るために甘酒を飲んでいました(甘酒は俳句の“夏”の季語です)。

 甘酒はご飯に米麹と湯を加えて温めておくとできますが、分析するとブドウ糖がきわめて多く、20%以上にもなります。また、米のたんぱく質も麹菌の酵素によって必須アミノ酸群に変えられて豊富に含まれています。そして、特筆すべきは、麹菌が繁殖するとき、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなど、生理作用に不可欠な重要なビタミン群を生成し、これが米麹にきわめて多量に蓄積しているということです。甘酒は米麹とお湯だけでも簡単に作れます。甘酒の一杯が豚肉に変わるほど、疲労回復に効果的なのです。また、ぬか漬けの“ぬか”もビタミンB群の宝庫です。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年9月25日水曜日

尿酸値

 尿酸値が気になったら

「尿酸」とは、体内で"プリン体"という物質が分解されたあとにできる老廃物のことで、血液中の尿酸の濃度を「尿酸値」といいます。

 私たちの体を構成する各々の細胞の中には核があります。プリン体は、細胞の核に含まれるDNAの主成分です。また、プリン体は体内でのエネルギー代謝の過程でも発生します。プリン体は、体内で約8割が生成され、残りの2割は食べ物から摂取されています。

 プリン体の老廃物として残った尿酸は、通常は尿と共に排出され、血液中の尿酸の量は一定に保たれます。しかし、不健康な生活習慣などにより、尿酸の量が増えたり、排泄力が弱まったりすると、血液中の尿酸濃度が高まり「高尿酸血症」になります。

 高尿酸血症の自覚症状はほとんどありません。気づかないまま高尿酸値状態を放置すると、痛風や尿路結石、腎機能低下のリスクが高まります。尿酸値の異常は健診などで早期発見することが大切です。高尿酸血症による代表的な病気が「痛風」です。高尿酸血症が続くと、血液中で尿酸が結晶化し、足の親指のつけ根や足首の関節などに蓄積します。そしてその部分に激しい炎症が起こり、針を刺すような激痛が生じる痛風発作が起こります。

 痛風は女性より男性のほうが圧倒的に多い病気です。それは、女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の排泄を促す作用があり、女性はもともと血中の尿酸値が男性に比べて低いためです。しかし閉経後、エストロゲンの分泌低下から尿酸値上昇を招き、女性でも痛風が増える可能性があります。

 かつて痛風は、ご馳走ばかり食べている人の病気と考えられ、「贅沢病」などと言われてきましたが、食生活が豊かになった現在では、誰でもかかり得る病気と言えます。

 尿酸値上昇の予防には、食べ過ぎ・飲み過ぎに注意し、水分補給を心がけることが大切です。特に肥満になると、尿酸値が上昇しやすくなり、高尿酸血症や痛風を起こしやすくなるため、食事には注意が必要です。また、毎日晩酌しているという人は要注意です。尿酸のもとになるプリン体は、特にビールに多く含まれています。焼酎やウイスキー等の蒸留酒はプリン体をほとんど含みませんが、実は、アルコールが分解されるときに尿酸がつくられるため、どんな種類のアルコールでも尿酸値の上昇を招く要因になります。また、アルコールには尿酸の排泄を阻害する働きもあります。さらに、プリン体の多い酒のつまみ(モツ・干物・白子・うに・レバーなど)を食べても、尿酸値は上昇します。

 毎日飲酒する人は、週2日は休肝日をつくり、飲む量を控えることを心がけましょう。 また、水分を多く摂り尿量を増やすことが尿酸の排泄を助けます。目安は1日1.5~2リットルですが、ジュースや牛乳、アルコール飲料はNGです。糖分やカロリーのない水やお茶をこまめに摂りましょう。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■プリン体と高尿酸値対策

 蒸溜酒よりも醸造酒の方が多く含まれています。ビールのプリン体は他のお酒に比べれば高いものの、極端に多くはありません。しかし、1枚目の『康復医学ニュース』でもお伝えした通り、"アルコールを分解する過程で尿酸が作られる"ため、お酒に含まれるプリン体の量自体では判断できません。どの種類のお酒を選ぶかは、高尿酸血症予防にとって本質的な問題ではないのです。

吸収を抑える乳酸菌

 近年、プリン体に作用して腸管から吸収されるプリン体の量を減らすという乳酸菌(PA-3乳酸菌)入りヨーグルトが登場しました。この乳酸菌はプリン体を菌の中に取り込む働きがあることが確認されています。高尿酸血症に詳しい専門家は、「尿酸値がやや高めの人が食べ過ぎに用心しながら利用する分にはお勧めしたい。ただし、尿酸値が高い状態が続き、すでに痛風を発病した人が利用しても効果はない」とし、生活スタイルを改善するきっかけとして利用する方法を勧めています。

果糖の摂り過ぎにも注意が必要!

 意外ですが、気をつけたいのは果物の摂り過ぎです。果糖は、肝の酵素(フルクトキナーゼ)によって代謝され、フルクトース1-リン酸になりますが、その際、ATPからリン酸を奪うため、ATPの分解が進みます。その結果、最終産物として尿酸が増えてくるのです。

 果糖の摂り過ぎは尿酸値を上げる要因になるため、果物もほどほどに。

痛風の発症するメカニズム

 高尿酸血症が長く続くと、関節の滑液膜という場所に尿酸ナトリウム結晶が析出して微小さな結節(微小痛風結節)を作り次第に大きくなっていきます。さらに経過すると、ある日突然に結節から針状結晶が関節腔内に崩れ落ちます(結晶脱落)。関節腔内に脱落した針状結晶は生体にとって異物ですから、これを排除しようとして白血球が激しく攻撃するので炎症が起こります。これが痛風性関節炎、すなわち「痛風発作」です。

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 正常ならば、血液中に溜まった尿酸は腎臓から尿中へ排泄します。しかし、プリン体を過剰に摂取し、新陳代謝機能が衰えて尿酸の排泄機能が低下してくると、尿酸値は上昇してしまいます。尿酸が過多に蓄積された状態は、いわゆる「瘀血(おけつ)という病理症候といえます。当学会お勧めの「HM-3000(特系霊芝)」の免疫増強・消炎・血栓溶解等の各作用は、瘀血を改善することで新陳代謝機能を促し、これまでに多くの高尿酸血症や痛風に苦しむ方々の尿酸値を下げ、平癒させています。また、高尿酸ラットを用いた実験でも、霊芝の天然成分GLPが血中尿酸値、尿中尿酸値に対し抑制作用が確認されています。


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2024年9月18日水曜日

老化と筋肉

 "抗重力筋"って何?

 抗重力筋とは言葉の本来の意味は「重力に逆らう筋」なので、全ての筋肉がそうだと言えますが、研究の分野で抗重力筋と言った場合には、通常「重力環境の中で姿勢を維持するために絶えず働いている筋肉」を指します。

 例えば宇宙に行って無重力の時、あるいは極めて微小な重力になると衰える筋肉、という捉え方です。

 抗重力筋を大別すると右図の5か所になります。

(1)背中脊柱起立筋広背筋 (2)腹筋腹直筋腸腰筋 (3)お尻大臀筋 (4)太もも大腿四頭筋 (5)ふくらはぎ下腿三頭筋(ヒラメ筋+腓腹筋)

 この5か所の抗重力筋が前後に働きながら重力に対してバランスを保っているのです。

 人間の重心は、支持基底面の中心部、すなわち足のつま先とかかとの真ん中にあります。そこに重心が落ちるようにすると、最もバランスのよい立ち方ということになるわけです。しかし足関節はよりかかとに近い位置にあるので、重心の位置は常に足関節より前にあるということになります。これが意味しているのは、足関節は常に体が前傾する方向に回転力が働いていることになります。ということは、それと逆の方向にも力が働いていないと立っていられなくなるわけです。そこで力を発揮するのが、ふくらはぎにあるヒラメ筋。ヒラメ筋が常に働いて、体が重力に負けて前に倒れないように後ろから引っ張っているのです。ふだん重い荷物を運ぶことが多い人は、重力に荷物の重さが加わるため、自然にヒラメ筋が鍛えられ、ふくらはぎが太くなるということも考えられます。

 また、脊柱はS字にカーブしているため、局所的にはいつもその曲がりが大きくなるように重力が働きます。これに抗するために、脊柱起立筋群も常に働く必要があります。筋肉が発揮する力そのものは大きくはありませんが、その力が抜けてしまうと頭の重さで体が前に倒れてしまう。それを阻止するために絶えず微妙な力で活動しているのです。完全に筋力がオフになるのは、寝ている時くらいでしょう。

 常に働いている筋肉だから鍛える必要がないかと言うと、そんなことはありません。重力を超えるような大きな力が外から加わった時には、それに耐えるための筋力が必要になるので、スポーツなどのパフォーマンス向上の観点からも日頃から鍛えておくことが大切です。

 常時活動している筋肉なので、他の部位と比べると遅筋線維が多いのが特徴です。ですから、鍛え方は、例えば低負荷・高回数にして、力を発揮した状態を長時間持続させるようなトレーニングをすることが抗重力筋の性質に合っていて効果的です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■老化対策には筋肉量だけではダメ

 肥満の改善はもちろん、糖尿病や高血圧などの生活習慣病予防、心疾患や認知症のリスクの低下にも「運動」が有効なことが明らかになってきました。そんな万能な抗老化メソッドである「運動」で重要なのが筋肉です。

 加齢に伴う筋肉量の低下は、糖尿病やフレイル(虚弱状態)のリスクを増加させます。ただし、筋肉の"量"さえ多ければいいというものではありません。

 アスリートを指導するパーソナルトレーナーによると、「筋肉量が十分でも、スムーズに動けない"使えない筋肉"の人がいる。"使える筋肉"を維持するには、筋肉の量だけでなく、質も筋力も伴う筋機能を維持することが重要」といいます。筋機能の維持に重要なのは、負荷を大きくすることではなく、動きの中で筋肉を使っていくことです。

 本来、日常生活でしゃがんだり立ち上がったりの動きを繰り返していれば、スムーズに動けて、いざというときには体を支えられる十分な筋機能を維持できますが、人は加齢に伴い、より少なく、効率よく動くようになり、筋肉を甘やかします。この"甘やかし"が筋機能を低下させる原因になっています。

 筋機能維持のトレーニングとして、提案したいのは、筋トレ要素を含む動きで"使える筋肉"をつくる「ムーブメント筋トレ」と、特に脂肪が気になる人に有酸素+筋トレ効果の「ミニジャンプ」。簡単な一連の動きの中には、しゃがんだり、立ち上がったり、体を支えたりといった動きが入っていて、筋トレ要素やストレッチ要素、有酸素運動の要素も含まれます。

 筋機能を高めるには、必ずしも負荷をかけたキツい筋トレである必要はありません。それよりも、動作を繰り返すことが大切です。低強度でも、繰り返すことで、加齢により筋機能が低下しやすい下半身や体幹部の筋機能が高まります(右図参照)

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筋量の減少 → エネルギー産生低下・基礎代謝低下

 筋肉の中には多くのミトコンドリアが存在します。心臓にミトコンドリアが多いのは心臓の大半が筋肉で出来ているからです。筋肉量が減少するとミトコンドリアも減少します。それはミトコンドリアの活性低下を意味し、サルコペニア(筋肉の量・質の低下)の原因であるエネルギー不足につながります。筋肉は身体を動かす役割のほかに、体液の循環や体温の維持をも担っています。特に基礎代謝量は筋肉量と関係が深い(基礎代謝の約40%が筋肉で消費されている)ため、筋肉量が減るとそれがそのまま基礎代謝の低下につながります。

 サルコペニア対策として「コエンザイムQ10」(Co-Q10)もおすすめします。Co-Q10は、ミトコンドリアを活性化させてエネルギーを作り出すために不可欠な存在です。


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2024年9月11日水曜日

チーズの虫歯予防効果

 キシリトールに血栓リスク?

 糖アルコールのキシリトールの摂取量が多いと、心筋梗塞や脳卒中などの主要心血管疾患の発生リスクが高まる可能性のあることが、米クリーブランドクリニック、ラーナー研究所の研究者らによる研究で明らかにされました。米国とヨーロッパの3,000人以上の患者を対象に解析した結果、キシリトールの高血中濃度は3年間の心血管疾患の発生リスク上昇と関連することが示されたそうです(『European Heart Journal』に6月6日掲載)

 キシリトールは砂糖と同程度の甘さですが、砂糖よりもカロリーの低い糖アルコールの一種で、あめやガム、焼き菓子、歯磨き粉などによく使われています。過去10年の間に、加工食品では、砂糖に代わる健康的な甘味料として糖アルコールなどの人工甘味料の使用が大幅に増加しています。研究者らは2023年に発表した研究で、米国ではキシリトールよりも使用頻度の高い糖アルコールのエリスリトールが心血管リスクと関連することを報告していました。今回の研究で同氏らは、キシリトールと心血管疾患との関連を調査しました。

 まず、調査の結果、キシリトールの循環レベルが、3年間の心血管疾患の発生リスクと関連することが明らかになったのです。次に、別の検証コホート(2,149人)の血漿サンプルを用いて、分析を実施したところ、キシリトールと心血管疾患の発生リスクとの関連が確認された。血液中のキシリトール濃度に応じて対象者を3群に分けた場合、最も高い群の心血管疾患の発生リスクは最も低い群の1.57倍と推定されました。

 補完的な研究として、分離されたヒト血小板、多血小板血漿、全血、および動物モデルを用いて、キシリトールが血小板の反応性および体内の血栓形成に与える影響を調べました。その結果、空腹時血漿中のキシリトールが、血小板の反応性および体内の血栓形成の複数の指標を増強することが示されました。最後に、健康な人10人を対象に、キシリトールを甘味料とする飲料の摂取が血小板の機能にもたらす影響を検討したところ、全ての対象者において、血漿中のキシリトール濃度が顕著に上昇し、血小板の反応性に関する複数の機能的指標が増強することが確認されました。

 研究者は、「過去の研究に続きこの研究でも、糖アルコールなどの人工甘味料、特に肥満や糖尿病のような疾患と闘っている患者に対して推奨され続けている人工甘味料を今すぐにでも調査する必要があることが示された」と話します。そして「キシリトール入りの歯磨き粉を捨てろとは言わないが、高濃度のキシリトールを含む製品を摂取することで血栓などの発生リスクが高まる可能性があることを認識しておく必要がある」と付け加えます。

 研究グループは、人工甘味料の使用も含め、食品の選択について医師や認定栄養士に相談することを勧めています。

(出典:https://academic.oup.com/)


■WHOも認めるチーズの驚きの効果

 WHO(世界保健機関)の報告によると、チーズは食品の中で、科学的にむし歯予防効果が最も高いランク(「ほぼ確実」で、キシリトールより高い)に分類されています。そして、アメリカの総合歯科学会などの研究機関は最新の調査結果により、チーズを食べることで、①虫歯を防ぐ ②初期虫歯を修復する という2つの効果が得られると発表しています。

 ここで重要なのは、牛乳やヨーグルトなどすべての乳製品に同じ効果があるのではなく、“チーズに限定された効果”であること。これはチーズに含まれているミネラル分であるカルシウムやリン酸などが唾液に溶け出しやすい形であることが大きく影響しています。

チーズで虫歯が防げる2つの理由

 通常、口の中はph値6.7程度の中性を保っています。しかし食べ物を食べると酸性に変化し、量が増えると歯のエナメル質が溶けやすくなり、虫歯になってしまうのです。一方でチーズは、「口内をアルカリ性に変化させる」ことで、虫歯になりにくくさせます。

 もう1つの理由は「歯の再石灰化を行う」ことです。再石灰化とは、簡単にいうと歯の修復です。エナメル質に保護膜を作り、歯を強くさせます。歯の成分の補充を行うことで初期の虫歯であれば自然治癒もあり得るほど。これは、チーズに含まれている歯の成分、リン酸カルシウムの働きによるものです。

 さらにチーズに含まれるカゼインというたんぱく質は、しっかりとエナメル質に吸着し、虫歯菌であるミュータンス菌から歯を守る作用が働きます。

虫歯を防ぐチーズの種類とその食べ方

 チーズにも向き不向きがあります。おすすめは、ハードタイプの硬く重量感のあるチーズです。ハードチーズの代表と言えば「チェダーチーズ」、セミハードタイプの「ゴーダチーズ」などがポピュラーですが、ミモレットやグリュイエールチーズ、パルジャミーノ・レジャーノなどもおすすめです。

 ハードタイプのチーズがお勧めの理由は、硬めのチーズはしっかりと良く噛まないといけないため、唾液が出やすくなり、より虫歯予防の効果を高めるからです。チーズはたくさん食べる必要はなく、食後に2~3口で十分です。毎日でも続けて食べることが大切です。

チーズ+歯磨きで虫歯ゼロに近づく

 チーズが虫歯予防になるといっても、歯みがきをしなくてよい訳ではありません。お仕事中などは難しい場合もあるかもしれませんが、食後の歯磨きはできる限り行いましょう。

 また、チーズの効果をより高めるために、チーズを食べた後は10分程度時間を置いてから歯みがきをすることをおすすめします。すぐに歯磨きをしますと、せっかくのチーズに含まれる栄養素が洗い流されてしまうこともあります。チーズ2~3口と毎日の歯みがきで、相乗効果を上げて、虫歯ゼロを目指しましょう。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年9月5日木曜日

副腎

 その疲れや不調は“副腎疲労症”かも

 腎臓の上に位置する「副腎」は、50種以上のホルモンを生産・分泌する臓器で“ホルモンの工場”と言われています。中でも特に重要な役割を担うホルモンが「コルチゾール」です。体内のあらゆる炎症を抑えるコルチゾールは、ストレスに対抗して正常な体の状態を維持する役割もあるため“ストレスホルモン”とも呼ばれます。

「副腎疲労(副腎疲労症候群)」とは、ストレスに対抗しようとコルチゾールを分泌し続けたため、副腎が疲れ果て、ストレスと戦えなくなっている状態です。その結果、様々な不調や症状が出てきてしまいます。多い症状としては、▼体がだるい ▼朝起きられない ▼寝付きが悪い ▼集中力・思考力が低下する ▼やたらと塩辛いもの、甘いものが食べたくなる‥‥など。

 副腎が正常に働いているかどうかは外から判断できないため、周囲からは“やる気がない”ように見えてしまいます。

 疲労が進行すると、些細なことでもイライラが抑えられなくなって、怒りっぽくなったり、仕事が億劫になったりする人もいます。結果的に有効な対策にたどりつけず、症状の悪化につながってしまいます。

 副腎疲労の原因にはストレスがあります。ストレスには「精神的」「肉体的」「環境的」の3つがあり、肉体的・環境的なストレスも副腎疲労を引き起こす原因となります。

 肉体的ストレスで非常に多いのが、小麦や乳製品、糖質の摂り過ぎによる小腸の炎症です。小麦に含まれる「グルテン」や乳製品に含まれる「カゼイン」、そして「糖質」は小腸の粘膜を傷つけ、炎症を引き起こすリスクが高いことがわかっています。

 また、環境的ストレスは、主に化学物質や有害貴金属との接触です。殺虫剤や農薬、食品添加物、洗濯洗剤、柔軟剤、日焼け止めクリームなど、私たちの身の回りは化学物質だらけ。ペットボトルの成形に使われるフタル酸エステルやドライクリーニングによく使われるブロモプロパンという有機溶剤も、体に不調をきたす原因の一つです。

 これらのストレスにより、副腎が分泌するコルチゾールの量を超えると副腎疲労が起こります。3つのストレスは耐性に個人差が大きく、肉体的・環境的なストレス耐性はいずれも遺伝要素が関係してきます。例えば、グルテンやカゼインで炎症を引き起こしやすい脆弱性があったり、化学物質などの毒素の排泄機能が弱かったり、といった具合です。

(出典:https://www.asahi.com/edua/)


■副腎ホルモンのバランスを整える

 副腎疲労の治療の基本ルールは ●体の負担になるものや毒素を「入れない」 ●毒素は溜めずこまめに「出す」 ●体にいい栄養素を「入れる」 の3つ。特に不調の原因になるものを入れない"引き算のケア"がもっとも効果的です。注意するポイントは ①グルテンを避ける ②カゼインを避ける ③糖質(炭水化物)や甘いものを減らす――どれも小腸の炎症や粘膜の荒れを引き起こす元です。主食をパンから米に変える、小麦粉の代わりに米粉などを使う、牛乳を豆乳にする、お菓子を減らすなどして、極力避けましょう。

 より徹底するなら、「加工食品を減らす」「殺虫剤を使わずハーブで虫除けをする」「芳香剤を使わない」「肌にやさしい日焼け止め、化粧品を使う」など、食生活以外でも化学物質を避けるようにします。便秘症状がある場合は、整腸剤を使うなどして毎日しっかり排便がある状態に導きます。毒素の排泄経路は、排便が約80%、尿が約20%、汗が約3%です。排泄機能を高めると共に、適度な運動で汗をかくことも副腎疲労の治療には大事です。

酸化ストレスの元凶「紫外線」

 体内で発生する活性酸素によって体に影響を及ぼすストレスを総称して「酸化ストレス」といいます。酸化ストレスを高める元凶の一つが「紫外線」です。水面や砂浜の反射した照り返しの紫外線は強く、屋外プールや海のレジャーには注意が必要です。逆に芝生の紫外線の反射率は1~2でほとんど照り返しはありません。

ストレスは副腎ホルモンのバランスを崩しやすい

 長期間のストレスは、体力・気力の消耗や免疫機能を抑制し発病のリスクを高めます。特に副腎ホルモンのバランスを崩しやすく、消化不良、吸収不良、アレルギー、動脈硬化、高血圧、低血糖、喘息、胃炎、潰瘍など多くの疾患のリスクが高まります。紫外線、活性酸素など抗酸化対策だけでなくホルモンバランスを整える対策も大切です。

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 体の概日リズムを整えるには脳内の神経伝達物質「セロトニン」が働きます。睡眠ホルモン「メラトニン」はセロトニンが原料です。当学会の研究素材「ラフマ葉エキス」には、セロトニン産生の促進に関するエビデンスがあります。

 また、体力(エネルギー)の産生には、酸素と「コエンザイムQ10」が不可欠です。

 さらに「HM-3000(特系霊芝)」で抹消血管機能を改善すれば、酸素は体の隅々まで供給され、エネルギー産生促進に大きく影響します。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年8月28日水曜日

脳動脈解離

 高すぎる枕は脳卒中につながる?

 国立循環器病研究センター(国循)は今年1月、脳卒中の原因の1つである「特発性椎骨動脈解離」は枕が高いほど発症割合も高く、より固い枕では関連が顕著であることを立証し、新たな疾患概念を提唱したことを発表しました(欧州の学術誌「European Stroke Journal」に掲載)

 脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の一部の機能が失われ、身体の一部が麻痺するなどの症状が出る疾患です。通常は加齢によって、中には若年~中年期でも生活習慣病などによって起きるとされ、「2022年人口動態統計の概況」(厚生労働省)によれば、死因の第4位(脳血管疾患)となっています。

 特発性椎骨動脈解離は、脳卒中の原因の1つで、首の後ろの椎骨動脈が裂けてしまうことで脳卒中を引き起こします。患者の約18%に何らかの障害が残り、根本治療がなく、予防のための原因究明が求められていましたが、約2/3の患者では原因不明でした。

 研究チームは、起床時発症の患者の中に、極端に高い枕を使っている人がいることに着目し、「高い枕」と「特発性椎骨動脈解離」の関連について調査、検討したのです。

 調査の結果、高い枕の使用は症例群が対照群より多く、12cm以上の枕では34%対15%、15cm以上の枕では17%対1.9%で、高い枕の使用と特発性椎骨動脈解離の発症には関連が見られました。そして、枕が高ければ高いほど、特発性椎骨動脈解離の発症割合が高いことも示唆され、この関連は枕が硬いほど顕著で、柔らかい枕では緩和されていたそうです。

 研究では、高い枕の使用が特発性椎骨動脈解離の発症に関連があり、特発性椎骨動脈解離の約1割が高い枕の使用に起因し得ることが示されました。枕の使用は容易に修正可能であるため、予防につながり得る点において今回の成果は意義があるとしています。

 時代劇などでも見られますが、日本には「殿様枕」と呼ばれる高く硬い枕が17~19世紀に使われていました。髪型を維持するのに有効だったとされ、名前は"殿様"だが広く庶民の間にも流通していました。1800年代の複数の随筆には、「寿命三寸楽四寸(12cm程度の高い枕は髪型が崩れず楽だが9cm程度が早死にしなくて済む)」(右図)といった言説が流布していたという記載が残されており、当時の人々は、高い枕と脳卒中との隠れた関連性を認識していた可能性がありそうです。

 研究チームは、今回示された患者が特有の疾患像を有していることから、暫定的な疾患概念「殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)を提唱しています。枕の硬さや高さなどで、睡眠の質が変わることは周知のところですが、何気ない睡眠習慣が、脳卒中の重要危険因子になることが世に広く認識され、脳卒中で困る患者が少しでも減ることが期待されます。

(出典:https://news.mynavi.jp/)


■脳動脈解離(椎骨動脈乖離)

 脳動脈解離は、40~50代の男性に多くみられます。原因不明もありますが、外傷や首を過度に曲げた場合にも起こります。場合によっては、クモ膜下出血や脳梗塞のリスクとなるため、手術が必要になることもあります。

 脳動脈解離とは、脳動脈の壁にある三層のうち内側の膜が裂けることで発症する疾患です。血管壁内に血液が流入することで血管内腔が狭くなって血流が滞り脳梗塞を生じたり、血管壁が破綻してクモ膜下出血を生じたりします。

 脳の動脈の壁は内膜、中膜、外膜という構成になっています。この内膜と中膜のあいだに「内弾性板」という強固な組織があるのですが、加齢や高血圧で強い負荷を長く受けることで次第に弱くなり、断裂しやすくなると考えられています。

 脳動脈解離が発生する脳の部位は、内頚動脈系(主に大脳半球に血流を送る血管)と椎骨・脳底動脈系(主に小脳や脳幹に血流を送る血管)があります。

 脳動脈解離は発生部位は、アジア人は椎骨・脳底動脈系に多いことが知られています。

脳動脈解離が起こる原因

 脳動脈解離が起こる原因は、外傷性、進展性、特発性の3パターンに分けられます。

【外傷性】外傷性の脳動脈解離は外部からの衝撃で脳の血管が裂けて発症するタイプ。強い衝撃は明らかでなく、頚部の進展が生じた場合(ゴルフ、カイロプラクティックなど)でも生じることがある。

【進展性】内頚動脈や椎骨動脈が直接解離をきたしていなくても、その中枢側での解離(大動脈解離)が生じた場合、解離の進展によりその末梢血管である内頚動脈や椎骨動脈にまで進展することがある。

【特発性】脳動脈解離の原因が不明の場合。

脳動脈解離の症状、治療方法

 椎骨動脈解離の代表的な症状は、後頭部に突然の強い頭痛を感じることです。中年男性が突然の強い後頭部痛を訴える場合には、脳動脈解離が起きているケースがみられることがあります。動脈解離によりくも膜下出血を生じた場合は、強烈な頭痛もしくは意識障害を生じ、場合によっては死に至る可能性があります。

 脳動脈乖離の検査はMRI、MRA、3D-CTA、脳血管撮影などで行われ、解離の進行などに合わせ、抗血栓薬による投薬や、コイル塞栓術、開頭クリッピングの手術が行われます。

 脳動脈解離の前兆があったら、すぐに病院を受診して早期発見することが重要です。

 代表的な前兆としては、今までに経験したことがない頭痛や、50歳以降における初発の頭痛などが挙げられます。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年8月22日木曜日

PM2.5と循環器疾患

 喫煙と循環器疾患

 たばこを吸うと、動脈硬化や血栓の形成が進むことから、虚血性心疾患を引き起こす原因となります。また、脳卒中(脳出血、くも膜出血、脳梗塞)のリスクを高めます。それだけでなく、喫煙は動脈硬化性疾患の早期発症や重症化にもつながることが報告されています。

 たばこの煙の血管系への影響 

 たばこの煙の中には、ニコチン、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、シアン化水素(HCN)、活性酸素(O2-)などの有害化学物質が含まれます。ニコチンは交感神経を刺激して、心拍数の増加、血圧上昇、心筋の収縮及び酸素需要の増加を引き起こします。同時に、血管収縮による血流量の低下、酸素や栄養の供給低下を招きます。COは、酸素供給能力の低下を招くとともに、血管内皮の組織障害や血栓形成の要因になります。活性酸素は炎症反応を誘発し、血管内皮の組織障害、脂質過酸化、インスリン抵抗性、血小板凝集などを通じて、動脈硬化や血栓の形成を引き起こします。

【虚血性心疾患】:虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。喫煙によって動脈の炎症や収縮が引き起こされ、動脈硬化や血栓の形成が進みます。また、血小板の凝集も血栓の形成につながります。これらの機序(メカニズム)の相互関連によって、虚血性心疾患を発症します。研究から、喫煙が虚血性心疾患の発症、および死亡リスクの増加は明らかです。また、喫煙本数を減らしたり、低タール・低ニコチンたばこへ切り替えても、虚血性心疾患のリスク低下にはつながらないとの結論が示されています(米国の報告書より)。

【脳卒中】:喫煙による脳の動脈の動脈硬化や血栓の形成、炎症反応により、脳梗塞やくも膜下出血の発症、および死亡のリスクが高まります。

【その他喫煙によって引き起こされる循環器疾患】:喫煙によって、末梢の動脈硬化症、主に閉塞性動脈硬化症や頸動脈硬化症のリスクが高まります。さらに、腹部大動脈瘤の破裂にも影響していることが明らかになっています。

 受動喫煙と循環器疾患 

 たばこの有害化学物質は、副流煙と喫煙者が吐き出した呼出煙とが混じりあった「環境たばこ煙」の中にも含まれます。そのため、喫煙者本人だけでなく、周りの人の健康へも悪影響を及ぼします。たばこ煙に晒された非喫煙者も、喫煙者本人と同様の機序で虚血性心疾患、脳卒中などのリスクが高まります。受動喫煙と、虚血性心疾患や脳卒中との関連には、因果関係の推定に十分な証拠がある(レベル1)と判断されています。

 加熱式たばこと循環器疾患 

 加熱式たばこは、一酸化炭素など他の有害化学物質については紙巻たばこよりも少ないという報告はあるものの、一方で、紙巻たばこには含まれない有害化学物質や、紙巻たばこよりも多く含む物質があるという指摘もあります。世界保健機構(WHO)の報告によると、加熱式たばこが紙巻たばこと類似した心血管毒性を有することが示唆されています。

(出典:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)


■PM2.5と循環器疾患の発生・増悪

 日本国内では大気汚染物質のうち、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化窒素、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、微小粒子状物質について大気環境基準が定められています。70年代に環境基準が設定され、ガス状汚染物質や浮遊粒子状物質の濃度は大きく減少しました。

 一方、粒径が2.5μm以下のPM2.5は粗大粒子よりも肺の奥深くに沈着することからその健康影響が懸念され、09年9月に環境基準が設定されました。PM2.5は中国からの越境汚染が話題になりますが、国内でも喫煙可能な室内は、北京市の最悪時の濃度と変わらないことは未だにあまり報道されていません。欧米を中心に循環器疾患に対する影響の知見は多いのですが、日本国内での疫学知見は少なく、最近ようやく認識されてきたという状況です。

 動物実験や毒性学的研究により、呼吸により肺に吸入されたPMから循環器疾患の発症や既存の循環器疾患の増悪に至るまでには以下の3経路が考えられています。

(1)肺組織での酸化ストレスと炎症を介する経路 

(2)肺の知覚神経終末や受容体を介する経路 

(3)PMやその成分が直接血管内へ移行する経路

 PMへの曝露により,肺胞洗浄液や血液中の炎症性サイトカインが増加することが報告されています。肺局所で放出された炎症誘発物質(サイトカインなど)や生理活性物質が全身循環に広がり、血管系や凝固系へ影響を及ぼす可能性があります。これまでの多くの動物実験より、PM曝露による肺の炎症の程度が、全身のサイトカインレベルや血管の機能不全と相関することも観察されています。このような炎症を介して、動脈硬化の進展やプラークの脆弱化をきたし、最終的には循環器疾患の発症に関わると考えられています。

 一方ラットへのPM曝露により心拍変動の減少がみられ、ヒトへの曝露実験でも同様の変化が観察されました。これはPM曝露による急性の反応であり、自律神経のアンバランスを介して不整脈を起こしやすくし、血管収縮や内皮機能不全をきたすと考えられています。

吸い込まれたPM2.5の行方

●気管、気管支に達したPM2.5

 気道の表面(上皮)の粘液に溶けやすい成分は、 細胞から血液中に吸収されます。不溶性粒子は、食道に飲み込まれるか、痰として吐き出されます。

●肺胞に達したPM2.5(右図)

 不溶性粒子の一部は肺胞マクロファージに食べられ、その後、マクロファージが気管支末端まで移動します。また、不溶性粒子の一部は、そのまま肺組織に沈着します。そして、溶けやすい成分は、血液中に吸収されて全身を巡ることになります。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年8月7日水曜日

糖質

 夏の食事 ⇒ 秋には怖い現実が

 夏はのど越しが良いめん類を食べる機会が増えます。単品で食べがちなめん類は、糖質過多になり、他の栄養素が不足するため、注意が必要です。めん類を食べるときには、意識して肉や野菜、海藻類、きのこ類などをトッピングして、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維も一緒に摂取することを心がけましょう。

 糖質は体のエネルギー源になる大切な栄養素ですが、摂り過ぎると太りやすくなります。これは、血糖値の上昇が関係しています(〔糖質過多〕⇒〔体内の血糖値が急上昇〕⇒〔膵臓からインスリン大量分泌〕)。このインスリンは、血糖値の低下に働くだけでなく、エネルギーとして使われなかった糖を中性脂肪などに合成して蓄積する働きもあるのです。

 血糖値の上昇を抑えるには、炭水化物を摂り過ぎないことと、「GI値」が低い食品を選ぶことです(GI値:その食品を摂取したときにどのくらいのスピードで血糖値が上がるかを示した数値)。GI値が低いほど、血糖値の上昇がゆるやかな食品とされています。玄米や胚芽米、全粒粉のパン、全粒粉のパスタやそばなどが挙げられます。最近では「糖質ゼロ」「低糖質」のめん類やパンも販売されています。炭水化物中心の食事になりがちな方は、これらがお勧めです。

 夏場に食べたくなるアイスクリームやシャーベットも糖質が多く、糖質過多の原因になります。好きな人が我慢するとストレスになるので、代わりに「果物」を活用しましょう。果物に含まれる「果糖」は、直接血糖値を上げることはなく、また、果物には体調を整えるビタミン・ミネラル・食物繊維の他、抗酸化作用のある機能性成分を多く含むので、美肌や便秘、むくみの改善など健康の維持に役立ちます。水分も多く、朝食に摂ることで、就寝中に失った水分を補うのに最適です。また、果実の噛み応えや適度な甘味は満足感にもつながります。ただし、果物に含まれる糖には果糖のほか、炭水化物と同じブドウ糖や、ショ糖もあります。特にブドウ糖やショ糖は吸収が早く血糖値が上がりやすいため、食べ過ぎには注意が必要です。お勧めは、キウイ、グレープフルーツ、りんごなど。

 お酒好きが注意したいのが、酒類に含まれる糖質。特にビールは他の酒より糖質が多く、空腹時に飲めば血糖値が上昇してしまいます。飲む前に野菜やキノコ類など食物繊維を含む食品を摂ることで、血糖値の上昇はゆるやかになります。また最近では、糖質オフのビールも販売されています。おすすめは糖質ゼロのハイボールや焼酎です。おつまみは、糖質の多いものは控えましょう。また、飲み過ぎは暴飲暴食につながります。締めのラーメンやスイーツは、更に糖質の摂り過ぎになります。適度な飲酒を心がけましょう。

 最後に、夏場の水分補給としてスポーツ飲料を飲む方がいますが、これには糖分が非常に多く含まれているので注意が必要。熱中症対策が太る原因になることもあります。

(出典:https://diamond.jp/)


■糖質をやめられない理由

 食べ物を摂取できない状態が続けば、肝細胞などに取り込まれていたグリコーゲンが、それも尽きれば脂肪細胞の中性脂肪が燃えることによって、私たちはエネルギーを得て、血糖値を安定させて命をつなぐことができます。逆に言えば、飢えた状態でも生き延びることができ、血糖値は下がり過ぎないのです。現代人に「いざというとき」はめったに訪れませんが、私たちの祖先は絶えず危機に直面し、日常的に飢えていて「いつ死んでもおかしくない」状態に置かれていました。そんな状態にあった祖先の脳には「血糖値を下げ過ぎるな。機会があれば糖質を摂れ」という指令がプログラムされています。私たちはそれを引き継いでおり、野菜や魚を食べられない人がいてもご飯やラーメンが嫌いだという人がいないのはそういう理由があるからです。つまり、生き延びるために糖質を摂るようにできているのです。

 そして、糖質を摂ったときには幸せを感じます。糖質によって血糖値が上がるとセロトニンやドーパミンが放出されて脳が快楽を得るのです。

 ところが現代人は飢えてもいないのに脳の快楽のため過剰な糖質を摂っています。まさに"糖質中毒"です。薬物依存研究の専門家は、「薬物依存と食べ過ぎはメカニズムが似ている」と指摘しています。脳が「報酬」を得られるために繰り返す中毒だというわけです。

病気の根本原因には必ず砂糖がある

 日本人の糖尿病に関する最も古い記録は平安時代の菅原道長の日記ですが、一般人が糖尿病にかかるようになるのは、戦後20年くらい過ぎてからのこと。経済の急成長とともに多くの人たちが白米や麺類、甘いお菓子や飲み物を口にできるようになり、糖尿病も増えていきます。そして、現在ほど30代~40代の男性に肥満者が多い時代はありません。

 生活習慣病は明らかに文明病と言えます。中でも食生活の変化が現代人を苦しめる病気を作り出したのです。肥満、糖尿病、高血圧、がん、脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化、脂質異常、うつ、ぜんそく、アレルギー、アトピー、海洋性大腸症候群‥‥これらは全て文明的な食事によって生まれたと言ってもいいでしょう。コロラド大学のリチャード・ジョンソン博士は専門してこう言っています。「病気の根本原因をたどると、必ずそこには“砂糖”がある」

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「霊芝」の活性化多糖体は、血糖と血液脂質の数値を下げ、また、その抗酸化作用が高血糖による血管内皮細胞の損傷を軽減し、主動脈の健康を維持する効果が認められています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年7月31日水曜日

酵素

 夏の食材、意外な効能

 スイカの白い部分 

 果肉の一番外側の部分で“果皮”と呼ばれます。スイカの果皮は食用が可能で、果肉部分に比べはるかに栄養価が濃縮されています。注目すべき栄養素は「クロロゲン酸」と「シトルリン」。クロロゲン酸は強力な抗酸化力を持つポリフェノールの一種で、生活習慣病の予防に役立ちます。また、シトルリンというアミノ酸も赤い果肉の2倍含まれており、利尿効果を高め、むくみをとる効果があるとされています。

 きゅうり 

 きゅうりにはカリウム、イソクエルシトリン、マグネシウム、ビタミンC、ビタミンKなど、多くの栄養素が含まれているものの、昔から特異的健康成分はないとされてきました。しかし2011年、きゅうりに「ホスホリパーゼ」という非常に効果が高い脂肪分解酵素が大量に含まれていることが発見されました。熱に弱いという弱点はありますが、日本ではきゅうりの料理はあまり加熱しません。さらに、この酵素はすりおろす事で、より放出されやすくなります。脂肪分の多い肉料理などに添えることをお勧めします。

 なす 

 他の野菜に比べ栄養豊富とは言いにくいですが、なす特有の「ナスニン」や食物繊維、カリウムなどが含まれるため、栄養補給にぴったりです。ナスニンは、なすの特徴的な栄養成分で、ブルーベリーや紫キャベツなどの紫色の食品に豊富なアントシアニンというポリフェノールの一種。高い抗酸化力を持ち、がんや動脈硬化の予防などだけでなく、シワやたるみの予防にもその効能が期待できます。

 枝豆 

 マメ科ダイズ属に属する枝豆。栄養学から見ると、大豆が豆類なのに対し、枝豆は"野菜類"として扱われます。体内での働きに基づいて色分けする「三色食品群」の考え方でも、大豆は「赤」の群(体を作るもと)に、枝豆は「緑」の群(体の調子を整えるもと)に分類されています。大豆と同様の栄養素の他に、アミノ酸の一種「メチオニン」を含んでいます。メチオニンは体内で合成できない必須アミノ酸の一つで、アルコールの分解促進作用により肝臓の働きを助け、飲みすぎや二日酔いの予防が期待できます。また、ヒスタミン(アレルギー物質)に作用し、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。さらにメチオニンはセロトニンやドーパミンなど神経伝達物質を合成する材料の一つで、抑うつ症状の予防、記憶力の向上など脳の活性化を促します。枝豆は野菜の中でメチオニン含有量が高く、100g中160mg含まれています。

 納豆 

 納豆の旬は冬の1~2月ですが、夏に必須の栄養素が含まれています。ネバネバに含まれるナットウキナーゼは有名ですが、ここではリゾチームと納豆菌を紹介します。「リゾチーム」は病原体溶解酵素。卵が腐りにくいのは殻の内側にあるリゾチームの働きです。納豆のリゾチームは卵よりも多く含まれ、様々な食中毒菌による感染を予防してくれます。そして強力な抗菌作用を持つ「納豆菌」は、O-157をはじめ、チフス菌や赤痢菌、サルモネラ菌などを抑制するだけでなく、腸内では善玉菌と同じような働きをし、善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えてくれます。まさに夏の食中毒を避けるためにも摂りたい食材です。


■代謝酵素と消化酵素

 生野菜や果物、発酵食品を食べたり、酵素飲料を飲んだりしても、「体内(代謝)酵素を補うため」ということなら全く意味はありません。“体内で働く酵素”を外部(口)から直接補うことはできないからです。まず理解したいのは、現在、多くの方が「酵素」と思って飲んでいる「酵素飲料」(ペースト状、カプセル状含む)は、野菜や果物を発酵させたもので、ビタミンやミネラルなどの栄養素は補えても、「酵素」そのものを補うことはできないということです。日本で販売されているほとんどの酵素製品も同様です。しかし、各メーカーは、「酵素は生命にもっとも大切」「酵素を補いましょう!」と商品をPRし、また“にわか酵素解説者”たちがインターネットなどで誤った酵素論を展開するため、多くの人が「酵素を飲み、生食すれば酵素は補える」と思いこむようになってしまったのです。

食物酵素は"事前消化"には役立つが‥‥

 直接代謝酵素を補うことにはなりませんが、食物酵素の多いものは非常に大きな意味があります。それは“事前消化”です。

 口にした食物は、本格的な消化活動の始まる前に胃の上部にしばらく留まり、食物自体の持つ酵素によって事前消化が進みます。事前消化がしっかり行われれば、すい臓は余分に消化酵素を作り出すという重労働から解放されますし、消化酵素作りに必要なエネルギーや原料(アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど)の消耗は抑えられ、他の代謝に支障がなくなります。ただ、生の食物が含む食物酵素は、自己消化はするものの、他の食物を分解することはしません。加熱品を食べた場合、事前消化は進みませんし、加工品の多い現代人には、事前消化してくれる別の酵素が必要になるのです。

 事前消化のために外部から補うことのできる唯一の酵素が「消化酵素」です。米国で「酵素サプリ」といえば消化酵素を指しますが、日本では事情が違います。日本には独得の法規制があり、消化酵素はサプリとしては販売できません。日本の「酵素サプリ」は“野菜や果物の発酵液”がほとんどで、米国の酵素サプリとは、まったく別物。事前消化のための酵素は補えないのです。

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 市販の多くの酵素液は“砂糖漬け”による発酵法で作られています。そこから抽出されたエキスはそのままだと飲めるような味ではないため、その後再び“大量の糖分”を加えて製品化されています。ほとんどの酵素液は約60%が糖分だと言われています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年7月24日水曜日

赤血球

 人工赤血球、臨床試験開始へ

 奈良県立医科大学は、献血で集めた血液のうち、有効期間が過ぎたものなどを再利用して人工的に赤血球を作製し、実際に人に投与して安全性や効果を確かめる臨床試験を、来年度(令和7年度)から本格的に始めると発表しました。実用化すれば、輸血用の血液の不足を補えると注目されています。

 研究グループは、全身に酸素を運ぶ赤血球を人工的に作製し、実際に人に投与して安全性や効果を確かめる臨床試験を、来年度から本格的に始めるということです。

 グループが開発した「人工赤血球」は、献血で集めた血液のうち、およそ1か月とされる有効期間が過ぎたものなどから赤血球の成分だけを取り出し、人工的な膜で包んだものです。

 輸血用の通常の赤血球は“冷蔵保存”する必要がありますが、「人工赤血球」は“常温”でおよそ2年間保存が可能だということです。

 今回の臨床試験では健康な人16人に投与する計画で、その後グループでは投与する人の数を増やすなどして、10年以内の実用化を目指したいとしています。

 担当教授は「実用化できれば、いつでもどこでも輸血ができるようになる。手術や救急医療の現場で活用できるよう、研究をすすめていきたい」と話しています。

【献血の現場は】

 日本赤十字社によりますと、献血された血液からは ▼赤血球 ▼血小板 ▼血漿 の成分に分けて輸血用の血液製剤が作られ、このうち、赤血球の製剤の有効期間は採血後、28日間ということです。このため、日本赤十字社では医療機関への供給量を調整しながら、期間内に使えるようにしていますが、中には期限が切れて廃棄しないといけないものもあるということです。さらに、1人が1年間にできる献血の回数や量には上限があるため、血液製剤を安定して供給するためには、多くの人が継続的に献血する必要があります。

 しかし近年、若年層の献血が減少していて、30代以下は令和3年度までの10年間で、およそ30%減ったということです。また、献血には年齢制限が設けられているため今後、少子高齢化がさらに進むと、血液製剤が不足するおそれがあるということです。

 奈良県赤十字血液センター献血推進課では「少子高齢化によって将来、医療機関に安定的に血液製剤を届けることができなくなり、日本の輸血医療が成り立たなくなることが懸念されていて大きな課題だ」と話しています。

(出典:https://www3.nhk.or.jp/)


■赤血球と血液循環

 赤血球は、体内で1秒間に約100~200万個、1日に2000億個が常につくられています。したがって、赤血球がつくられる仕組みが破綻した場合、容易に貧血になってしまいます。体内には20兆個の赤血球がありますが、赤血球が少なすぎると十分な酸素が運ばれず貧血になり、多すぎると血液が粘っこくなり、血栓症の危険性が高まります。このため、体内では赤血球を適切な数に調整する仕組みがあります。

 赤血球の主な役割は、肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶことです。実際には、赤血球はヘモグロビンに結びついた酸素を体のすみずみまで運びます。

 赤血球の内容の大部分はヘモグロビンです。ヘモグロビンにはヘム(ポルフィリンと鉄から生合成される)があり、ヘムに含まれる鉄に酸素が結びつくことによって、赤血球は酸素を運ぶことができます。

 赤血球の酸素を運ぶ能力は、血液中のヘモグロビン濃度で決まります。人体のすべての細胞にとって、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生のために酸素が必要なのです。

 赤血球は白血球・血小板と共に骨髄でつくられます。元になる細胞は骨髄中の「多能性造血幹細胞」で、骨髄内で増殖・分化を繰り返して形成されます。赤血球の寿命は約120日。古くなった赤血球は、最終的に脾臓のマクロファージによって処理されます。

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霊芝の赤血球・血液循環への影響

 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」。この霊芝は、赤血球及び血液循環に対して、主に以下のような作用が確認されています。

〇赤血球変形性の改善 〇集合性の低下 〇血栓形成の予防 〇組織酸素供給の向上 〇毛細血管の口径と密度の調整 〇血漿粘度の低下 〇2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生促進 〇血管内皮細胞の増殖促進 〇血圧の降下 〇血糖値の降下など

 これらの作用により、以下の病態への予防・対応が可能になります。

▼赤血球の老化と機能低下 ▼血栓形成症 ▼組織の酸欠 ▼血中脂肪含量の上昇 ▼毛細血管密度の減少 ▼新陳代謝の低下 ▼血漿粘度の増加 ▼血圧の上昇 ▼血糖値と糖化ヘモグロビンの上昇 ▼血管壁の障害など

「HM-3000(特系霊芝)」の効能は、上記の血液循環への影響の他、免疫系への様々な影響、抗酸化作用、その他(補肝・造血促進・生存期間の延長・鎮静・鎮痛作用など)が認められており、それぞれに関連するエビデンスによって実証されています。


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愛・感謝 村雨カレン

2024年7月17日水曜日

ミトコンドリア

 土用の丑の日といえば

今年の夏の「土用の丑の日」は7月24日(水)、そして二の丑が8月5日(月)です。ちなみに、土用の丑の日は夏だけではなく、春・夏・秋・冬に存在し、2024年は右表の6回となっています。

“土用”とは、四立(立春、立夏、立秋、立冬)の前、約18日の期間のことで、その中にある十二支の"丑の日"が「土用の丑の日」です。

 天然うなぎの旬は10~12月ですが、夏にもウナギを売りたいという鰻屋の相談に答えて、平賀源内が「“本日丑の日”という張り紙を店に貼る」という発案をしてから鰻屋は大繁盛した、というエピソードはあまりにも有名です。現在、養殖うなぎは「土用の丑の日」に合わせて6~8月を旬としつつ、一年を通して安定した美味しさが楽しめます。

 日本では古くから食文化に深い関わりを持つ重要な食用魚「うなぎ」ですが、その生態は意外と知られておらず、研究者の間でも、2006年にやっと産卵場(スルガ海山)を発見したほどです。

 ウナギの祖先はまず外洋の深海で誕生し、やがて陸域の川や湖との間を回遊するように進化してきたと遺伝子解析によってまとめられ、東京大海洋研究所や千葉県立中央博物館などのチームが発表しました。

 ウナギは淡水域で成長し、外洋に戻って産卵することが知られていますが、外洋に生息していた祖先が陸地近くの海や淡水域に行動範囲を広げたのか、その逆なのかは謎だったそうです。同研究所は「ウナギの複雑な生活パターンの起源の解明は、養殖に必要な飼育条件を研究する上でも重要な知見となるだろう」と話しています。

 チームはニホンウナギなど19種のウナギ属とウナギの親せきに当たる魚のうち、入手できた約40種に着目。それぞれが持つ細胞内小器官「ミトコンドリア」にあるDNAの配列を比較し、どのような道筋で進化してきたのかを示す「系統樹」を描きました。すると、浅い海に生息するアナゴやウツボなどとウナギとは、外見が似ているものの古くから別々に進化を遂げてきたことが判明。水深200~3000mにすむフクロウナギやシギウナギなどの深海魚の方がより近縁であることを示唆する結果となりました。

 この発見は、ミトコンドリアにあるDNAの解析によって解明されましたが、そのミトコンドリアは種の判別に使われるだけの器官ではありません。人間の場合、日頃の生活から病気、老化、寿命に至るまで係わる大切な器官なのです。

 土用の丑の日や夏バテ予防に食べられるウナギ。この季節、なぜか食べたくなる‥‥しかし、国産物の「うな重」は高くて、最近はなかなか口にできないのが現状です。


■ミトコンドリアはエネルギーの製造工場

 全ての真核細胞に存在するミトコンドリアは、呼吸を営み、生命活動に必要なエネルギー「ATP(アデノシン三リン酸)を作ります。細胞内分裂によって増えます。

 ミトコンドリアには緑色のイメージがありますが、生きた細胞の中のミトコンドリアは赤茶色です。ミトコンドリアの中に鉄成分が多く含まれていて、酸素と結合すると赤錆色になるからです。ちなみに、筋肉には白筋(速筋)と赤筋(遅筋)がありますが、赤筋が赤いのはミトコンドリアが多く存在するからです。

■ミトコンドリアの主な機能

 脂肪酸のβ酸化や、電子伝達系による酸化的リン酸化によるエネルギー生産が主な機能です。酸素は本来、原生生物にとって毒となるものでしたが、ミトコンドリアの機能により、酸素から運動エネルギーを獲得できるようになりました。 細胞のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどは、直接あるいは間接的に、ミトコンドリアからATPの形で供給されます。

■エネルギー産生の代償

 酸素を利用することによって、もっとも効率的なエネルギー産生システムを持っているミトコンドリアですが、酸素は他の化合物との反応性が強く、活性酸素の心配があります。呼吸で取込む酸素のほとんどはエネルギーに合成利用されますが、1~5%の酸素が体内で活性酸素になると言われています。

 健康や体力、抗老化などには、積極的に酸素を取込み効率よく使いエネルギーを産生することが大切ですが、エネルギー産生時にできる活性酸素は、疲労や老化、または、さまざまな疾患にも影響します。

■エネルギー代謝

 摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れると、脂肪細胞に脂肪がどんどん溜まっていくことになります。そして、エネルギー代謝を司るのがミトコンドリアなのです。エネルギーを多く必要とされるところにミトコンドリアが多く存在するのはそのためです。

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 当学会では、ミトコンドリアの活性化に「コエンザイムQ10」をお勧めしています。エネルギー(体力)の増強肉体疲労の改善老化予防に期待できます。


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愛・感謝 村雨カレン