2020年5月13日水曜日

COVID-19とグルタチオン

新型コロナ重症者にグルタチオン欠乏?

前号に引き続きCOVID-19関連のニュースです。4月25日、ロシアの科学アカデミーで、プレプリント(審査・査読前の論文)ではありますが、「COVID-19感染の重症と致死の主な原因としてグルタチオン(GSH)欠乏の可能性が高い」との研究が公表されました。

グルタチオンとは、肝臓やほかの細胞で合成される強力な抗酸化物質のことで、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)がこの順番でペプチド結合したトリペプチドです。
 グルタチオンは、細胞内で発生した活性酸素種や、過酸化物と反応してこれを還元し、消去します。過酸化物の消去はグルタチオンペルオキシダーゼ(酵素)によって触媒され、活性酸素種はグルタチオンが直接反応します。

 今回の研究で議論となるのが、ウイルス感染することでグルタチオンの欠乏を招くのか、グルタチオン欠乏が原因で感染者の重症化を招くのかという問題です。しかし、すでに100以上あるウイルス感染とグルタチオンの論文を考慮しても、「グルタチオン欠乏はウイルス感染の原因の一つ」「グルタチオンはウイルスの複製を阻害し、それによってウイルスによる負荷を減らし、肺のサイトカインストームを阻止する」との考え方が優勢を占めるといいます。
 
研究者は言います。「抗ウイルス作用のようにグルタチオンの有益な効果を多くの医学論文が報告しているにも関わらず、この強力な抗酸化物質の臨床での応用は過小評価されたままである」

 新型コロナウイルスで重症化しやすい人を見ると、高齢者、2型糖尿病、肥満、がん、心血管、呼吸器、肝疾患などで、これらの多くの慢性疾患患者にグルタチオン欠乏がみられます。
 さらに、グルタチオン欠乏は肺の炎症を悪化させる急性呼吸窮迫症(ARDS)、多臓器不全そして死亡につながる可能性があります。
 それでは、体内でグルタチオンの合成を促進するにはどうしたらよいのでしょうか。次項で解説します。
(出典:https://www.youtube.com/ 栄養チャンネル)

■グルタチオンの体内合成と含有食材

体内のエネルギーは、食べ物が酸化分解反応という酸化を受けて作られ、運動や力、活動に使われて消費されています。すなわち、エネルギーを作る"生体酸化反応"は、生命に大切な要素であり命の源です。ところが、この生体酸化反応は、過剰になってしまうと逆に人体にとって有害なものになります。
 生体酸化反応で発生した過剰な「活性酸素」が、細胞膜の構成成分である脂質を過酸化脂質(鉄が酸素で錆びるように、油が変質した状態)に変えてしまい、その結果、細胞を傷つけて動脈硬化や老化の促進、あるいはがんを引き起こす原因になってしまいます。それを防ぐために、体内の「グルタチオン」がすかさず過剰な活性酸素を消去し、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素と協力して、細胞膜を保護して人体を守っています。これを抗酸化作用といいますが、一般的に良く知られたものではビタミンC、ビタミンEなどがあり、グルタチオンもそうした抗酸化物質のひとつです。

 新型コロナウイルスの重症化を避けるカギになるかもしれないグルタチオンですが、グルタチオンの働きを促進させるにはどうすればよいのでしょうか。

体内合成を促進させる栄養成分

グルタチオンの体内合成を促すためには、右図のような栄養成分が不可欠です。特に原材料となるたんぱく質は欠かせません。実際、低たんぱく食の人はグルタチオン欠乏になりやすいという報告もあります。

グルタチオンが豊富な食材

 以前は、グルタチオンを口から摂っても、いちばん小さなアミノ酸に分解されてから吸収されると考えられていました。しかし今では、(全部ではありませんが)グルタチオンのまま吸収されてその効果を発揮することがわかってきています。
 アスパラガスの穂先の小さな三角形のものは、"はかま"と呼ばれる退化した葉です。アスパラガスは猛スピードで成長するため、葉が邪魔になり退化しましたが、このような葉では紫外線を浴びた時に自らを守ることができません。そこで、アスパラガスはアミノ酸をグルタチオンに変えて蓄え、穂先を紫外線から守っているというわけです。その他、スプラウト類にもグルタチオンが豊富に含まれています。植物の持つ新芽パワーを、ぜひ食事で摂り入れましょう。
 また、動物性食材なら、肉・レバー類、魚介類、酵母などに豊富に含まれています。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

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