2023年3月31日金曜日

ビタミンD

 ビタミンD、不足すると早死にする?

 ビタミンDは、脂溶性のビタミンの一種です。自然界に存在するビタミンDには、主にマイタケやキクラゲなどのキノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、魚肉や魚介類の肝臓などに多く含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)が存在します。

 ビタミンDの主な役割として、腸管や肝臓でのカルシウムとリンの吸収促進作用があります。骨や歯は、コラーゲンなどのたんぱく質の枠組みの上にリン酸カルシウムが沈着する「石灰化」によって形成されるため、カルシウムを摂ってもビタミンDが欠乏すると石灰化が十分に起こらず、骨が軟らかく変形しやすくなります。小児期の「くる病」や成人になってから骨が軟らかくもろくなる「骨軟化症」は、このビタミンD不足が原因です。欠乏まではいかなくともビタミンDが不足して血中のカルシウム量が低下すると、骨が分解されてカルシウムが血中に溶けだす骨吸収が高まるため、骨粗しょう症や骨折リスクが高まります。

 ただ、ビタミンDはこういった骨への影響とは別に、様々な健康状態との関連が明らかになってきています。例えば、生活習慣病との関係を示唆する報告があります。血中ビタミンDレベルが低い人は2型糖尿病や心疾患の発症リスクが高いことがわかったのです。また甲状腺機能亢進症や心臓病、うつ、認知症、男性不妊とも関連があるという報告もあります。

図出典:https://www.nikkei.com/
 これまでの研究から、ビタミンDには抗炎症作用免疫調節作用、がん細胞などを死に誘導するプロアポトーシス作用や、血管の機能を維持する作用などがあるとされていますが、疾患との関係はまだ多くの部分が明らかになっていません。ただ、ビタミンDの受容体が全身に存在し、各部位で恒常性の維持に不可欠な役割を果たしているのだと思われます。

 近年注目を集めたのは、ビタミンDと免疫機能の維持との強い関係性です。例えば、血中ビタミンD濃度が低いと流行性感冒(かぜ)やインフルエンザにかかりやすいという報告が国内外の研究で発表されています。2020年以降増えたのがコロナ関連での報告です。その多くが、ビタミンDの血中濃度が低い人ほどコロナの罹患リスクや重症化・死亡リスクが高いというものです。また、2018年には国立がん研究センターが、血中ビタミンD濃度が低い人では、そうでない人に比べてがん発症リスクが高くなることを報告。2022年11月にはオーストラリアの研究チームから、ビタミンD欠乏は死亡リスクの上昇にも関係することが報告されました。「英国バイオバンク」に登録している30万7601人を14年間追跡した調査の解析によるもので、研究チームは、ビタミンD欠乏の人はそうでない人に比べて、何らかの原因で死亡する確率が25%高いと結論づけています。

 このように、ビタミンDは様々な病気と関連し、健康に長生きするために不可欠なビタミンとして注目を集めているのです。さらに、最近では寝たきり予防にもビタミンDが重要だということも明らかになってきました。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■V.D、どのくらい摂取すればいい?

 全身の臓器で使われるというビタミンD。骨を強く保つ働きだけでなく、近年では感染症やがんを防ぐ免疫調整機能で注目を集めてきました。さらに、今研究が進められているのが、寝たきり予防につながる、筋肉におけるビタミンDの働きです。

 国立長寿医療研究センターが名古屋大学医学部の研究チームとともに行った老化に関する疫学研究によると、研究デー化の解析からサルコペニアと関連しそうな因子がいくつか見つかり、中でもどうやら加齢に伴う筋力の低下と血中ビタミンDレベルに相関性がありそうだということが分かってきたのです。


日本人の8割はビタミンD不足

 これまでに日本人を対象に行われた調査によると、約8割の人でビタミンDが不足または欠乏しており、男性より女性で不足しがちと報告されています。特に、高齢になれば皮膚でのビタミンDの合成機能も徐々に低下します。さらに、合成されたビタミンDをより活性の強いものに代謝する肝臓と腎臓の機能も少しずつ低下していきます。活動量が低下して外に出る機会が減ると、その分日の光を浴びなくなるのでさらに合成量は低下しやすくなります。そのため、少なくとも高齢者においては食事でのビタミンD摂取を心がけたり、適度な日光浴で紫外線を浴びることは重要だと考えられています。

 ビタミンDが多い食品は青魚やキノコなど(右表参照)

 日光浴でのビタミンD合成に関しては、近年、紫外線による悪影響を懸念してUVカット化粧品が一般化するなど、紫外線を浴びる機会が減少しており注意が必要です。ビタミンDが10μg合成できる目安として、顔と両手の甲を露出した状態で7月の正午ならつくばで6分、札幌で8分程度。12月の正午ならつくばで41分、札幌で139分の日光浴が必要です(国立環境研究所)

やたらと多く取ればいいというものでもない

【摂取推奨量】

 成人の場合、男女、妊婦、授乳婦ともに1日の摂取目安量は8.5μg。耐容上限量は100μg(妊婦と授乳婦には設定されていない)。なお、体内のビタミンD量は、魚介類の摂取や日照時間などで日間変動が非常に大きいことから、推奨量は米国・カナダの食事摂取基準から日照による産生量を差し引いたもので設定されています。

【不足による影響】

 長期にわたり不足状態が続くと骨の石灰化が妨げられ、骨の軟化や骨吸収が進んで骨密度が低下する骨粗しょう症につながります。また、感染症やがんの罹患リスクや生活習慣病の悪化リスク、死亡リスクを高めるともいわれています。

【過剰摂取による影響】

 脂溶性のビタミンDは体内に蓄積します。過剰摂取による高カルシウム血症は、腎障害や、血管など軟組織の石灰化のリスクが高まります。


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愛・感謝 村雨カレン

2023年3月23日木曜日

食後高脂血症

 中性脂肪値が上がりやすい人とは?

 多くのビジネスパーソンにとって「中性脂肪」は、健康診断の血液検査の項目の中でも特に気になる数値の1つではないでしょうか。中性脂肪は、肉や魚、植物油などに含まれる脂質の1つで、正式名称は「トリグリセライド(トリグリセリド)」です。私たちの体にたまる皮下脂肪や内臓脂肪は、主にこの中性脂肪でできています。

「中性脂肪はエネルギー源となると同時に、エネルギーの貯蔵庫としての役割も担っている。その他、体温を一定に保ち、臓器を衝撃から守る働きもあり、生命維持の上で欠かせない成分」。動脈硬化症や脂質異常症を専門とする、りんくう総合医療センターの山下静也理事長はそう話します。

 問題は、中性脂肪が過剰になったときです。食べ過ぎや運動不足のために中性脂肪をエネルギーとして使い切らなければ、肥満を招き、間接的に動脈硬化を促進することが知られています。動脈硬化は放っておくと心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすため、健康診断で中性脂肪が異常値になったら、生活習慣を見直して数値を下げる必要があります。

 では、中性脂肪はどんな人が上がりやすいのでしょうか。まず注意したいのは肥満の人です。ただし、肥満がある人すべてで中性脂肪が高値になるわけではなく、「女性に多い皮下脂肪型の肥満の場合は、中性脂肪値はそれほど上がらない。一方、BMIでは肥満に該当しない人でも、内臓脂肪がたまってお腹がぽっこり出ているような場合には、中性脂肪値が上がりやすくなる」(山下理事長)。内臓脂肪がたまっていると、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝にもなりやすいため、「脂肪肝のある人の多くも、中性脂肪値が高い傾向がある」(同理事長)

 中性脂肪はエネルギー源なので、測定の際は食事の影響を受けやすいことが知られています。「食べたものが小腸で吸収され、代謝されていく過程には8~10時間程度かかる。食事量が多かったり、糖質や脂質の摂取量が多かったりすると、その分、代謝にも時間がかかってしまう。その結果、血液中の中性脂肪が増えてしまうのだ」(同理事長)

 アルコールにも、中性脂肪の合成促進や、分解抑制の働きがあるため、検査前夜の大量飲酒は中性脂肪値を高めます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■食後高脂血症

 これまで「中性脂肪値が高い」としてきされたことはない人も油断は禁物です。健康診断は、朝起きたら朝食を食べずに会場に行き、空腹状態で採血を受けるのが一般的です。しかし近年、空腹時の中性脂肪値だけでは、生活習慣病の重要な危険因子を見落とすのではないかという声が、専門家の間で高まってきています。それが「食後高脂血症」です。食後高脂血症の人は、空腹時に中性脂肪が高い人と同等かそれ以上に、動脈硬化が進むリスクがあることが明らかになってきたのです。

 このため、2022年7月に改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」(日本動脈硬化学会)でも、脂質異常症の新たな診断基準として、食後(非空腹時、随時)の中性脂肪値が追加されました。

 食後高脂血症になりやすい主な条件(危険因子)は「空腹時の中性脂肪値が高い」「男性、閉経後女性」「糖尿病」「メタボリックシンドローム」「腎機能が低下している」です。これらの危険因子がある人や、空腹時・食後を問わず、中性脂肪値が高いことが分かっている人は、すでに動脈硬化が始まっている可能性があるため、今すぐにでも中性脂肪対策を始めましょう。

「中性脂肪値を下げるために取り組むべき対策のポイント」は右表の通りです。中性脂肪は食事や運動での対策を正しく実践していけば、着実に成果が表れやすいため、取り組みやすいものから始めてみましょう。

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 康復医学学会がメインの研究素材としている「HM-3000(特系霊芝)」の効能には、

中枢神経の興奮を抑える作用や鎮痛効果、◎血圧を安定させ、特に拡張期血圧(最低血圧)を下げる作用、◎血糖を下げる作用、◎血液の凝固を抑える作用、◎炎症やアレルギーを抑える作用、◎免疫を高める作用などのほかに、“高脂血症を改善する作用”があります。悪玉コレステロールや中性脂肪を低下させ、高コレステロール血症による動脈硬化を予防する働きが認められているのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2023年3月15日水曜日

AGE

 老化が速い人、共通の食べ物は?

 同じ年齢でも、若々しい人もいれば、老け込んでしまっている人もいます。人間誰でも年をとりますが、体の老化スピードが速い人と遅い人がいるのです。老化のメカニズムは長年研究されており、最近は「AGE(エー・ジー・イー)という終末糖化産物の存在が注目されるようになってきました。いつまでも若々しくいるためには、どんなものを食べているかが重要になってきます。

 AGEは「Advanced Glycation Endproducts」の略で、体内に蓄積された過剰な糖分とたんぱく質が結合してできる老化物質です。

 例えば、から揚げは鶏肉(たんぱく質)の周りに小麦粉や片栗粉(糖質)の衣をつけ、油で揚げることでこんがりときつね色においしそうにでき上がります。この“茶色に仕上がること”がまさに、AGE(終末糖化産物)なのです。

 たんぱく質+糖質を加熱する    表面が茶色に変化=糖化しAGEが発生する 

 これと同じ「糖化反応」が、人間の体内でも起きているのです。AGEは、一度作られると体外に排泄されにくいと言われています。つまりこのAGEを、いかに新しく作らないようにするかが、若さを保つカギとなるのです。

 AGEが体に及ぼす影響は、肌や髪などの見た目の老化だけではありません。体内の臓器や血管もたんぱく質で作られているので、血管が硬くなったり、詰まったりすると、動脈硬化や脳梗塞、高血圧の原因にもつながります。

 AGEが体内に蓄積されるのには二つのルートがあります。まず、食べ過ぎなどで血液中のブドウ糖が過剰な状態が続くと、体内の細胞や組織、臓器を作っているたんぱく質に糖が結び付き、それが体温で熱せられてAGEができるという体内で作られるルートです。もう一つは、食べ物に含まれているAGEを摂取することで体内に入ってくるルートです。

 血糖値が高い状態が続くと、体内のたんぱく質が糖とくっついてAGEがどんどん作られていきます。また、普段よく食べている物にAGEが多く含まれているものがないかを知ることはとても大切です。

 AGEが多く含まれている食べ物を挙げると、揚げ物や焼肉など多種多様です。気にしすぎてしまうと食べる楽しみがなくなってしまうので、回数や質に注意しましょう。

 いつまでも若々しく健康に過ごすためには、日々の食生活も大切です。AGEに注目して今日からの食生活を少しずつ改善していきましょう。

(出典:https://diamond.jp/)


■AGEを作らない食べ方

【対策1】 糖質を過剰摂取しない 

 糖質の摂取を控えるというと、食事を抜くことをイメージしがちですが、糖質は主食以外でもたくさん摂っています。例えば、水やお茶以外の糖質を多く含んだ飲み物。ジュースや炭酸飲料の多くには、果糖が入っています。たとえ微糖コーヒーであっても回数を重ねれば、摂取量も増えるので注意が必要です。また、栄養ドリンク、エナジードリンクにも意外と多くの糖質が含まれています。ドリンク以外では、お菓子やアイス等、間食の質や頻度もチェックしてみましょう。

 また、主食を白米や白いパンから、食物繊維が多く含まれている玄米やもち麦、全粒粉パン、そば等の低GI値のものに変えることで血糖値の急上昇を抑えることができます。

【対策2】 食物繊維を多く含むものから食べる 

 食べる順番や食べ方も大切です。野菜やキノコ類、海藻類等、食物繊維を多く含む食材から食べて、ご飯やパン等の炭水化物を最後に摂ることで血糖値の急上昇を抑えることができます。

【対策3】 AGEの含有量が多い食べ物を控える 

 食品に含まれるAGEの約7%が体内に残ると言われています。"たったの7%"でも、毎食AGEが多いものを食べていれば蓄積されていきます。AGEが多い食べ物は、揚げ物や焼肉等、ほとんどの定食物のおかずに見られます。気にしすぎてしまうと食べる楽しみがなくなってしまいますので、回数や質を注意していくとよいでしょう。

 AGEは、高温で長時間調理するほど増えるため、

〔揚げる〕>〔焼く〕>〔炒める〕>〔煮る〕>〔蒸す〕>〔生〕

の順番で多くなります。揚げ物や炒め物を毎食食べている人は、回数を減らしたり、調理の仕方を変えてみましょう。生で食べる野菜や刺身の頻度を上げるのもよいでしょう。

【対策4】 AGEを抑える食材を取り入れる 

 糖化を抑える「αリポ酸」という成分は、ホウレンソウやトマト、ブロッコリーなど、色の濃い野菜に含まれています。また、食物繊維が多く含まれる海藻類やオクラ、モロヘイヤなどもAGEを抑えるのに役立ちます。

 最近の研究により、スルフォラファンには、AGEを抑える作用があることが解明されてきました。スルフォラファンは、ブロッコリー、カリフラワー、ケール等に含まれています。スーパーでも見かけるようになったブロッコリースプラウトは、スルフォラファンを多く含む野菜として注目されています。そのままサラダとして食べたり、納豆やもずく等と混ぜて食べたりすることで、食物繊維もプラスされ、よりAGEを抑えるメニューになります。

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 AGEに関しましては、康復医学学会発行の小冊子『最悪の老化物質 AGE』(400円+税)もご参照ください(右)


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2023年3月10日金曜日

ウォーキングと健康

 “ファストウォーキング”が老いを防ぐ

50歳くらいから、歩行能力が急激に落ちていく人が目立ちます。ホルモンバランスの変化などで足の形が崩れ、それに併せて歩き方も悪くなる傾向があります。

 よく見られるのが、加齢に伴って足の裏の横アーチが潰れて足幅が広くなるケース。内側に広がる「扁平足」では外反母趾になりやすく、外側に広がる「カーブ足」ではO脚気味になってひざ痛の原因になります。普段の姿勢や重心のかけ方の癖などで広がり方が分かれ、割合としてはカーブ足になる人の方が多いといいます。これらの足の不具合が体のバランスの崩れ(ゆがみ)につながり、歩き方も悪くなって腰痛になったり、活動量が落ちて筋力も低下したりすることに。筋力が落ちて足をしっかり上げて歩けなくなると、つまずいて転倒もしやすくなります。そうした悪循環が、体の衰えを早めてしまいかねないのです。

 元気で長生きするには、自分の足で歩くことが重要。普段から体を動かしている人は、適度な刺激があって足の形や歩き方も崩れにくいのです。40~50歳ごろから健康維持につながる運動や歩き方を意識しておくと、高齢になった時の歩行不安のリスクが減ります。

 オススメは、正しい歩き方による「ファストウォーキング(FW)」、つまり早歩き。通常の歩行(時速4km)に対して、FWは時速5~7km。年齢や体力によって適切なスピードは異なりますが、「普段より速く歩く」運動の継続で、健康増進・体力アップにつながります。

FWのメリットは、運動効果の高さと体への負担の少なさです。時速5kmを超えるとエネルギー消費量の増加ペースが上がり、時速7~8kmで同速度のランニングと同程度に高まります。つまり、早歩きでもランニングに近い運動効果を得られるのです。

 また、ふくらはぎとすねの筋活動量も実はランニングより多く、血流の促進や、つま先を上げたつまずきにくい歩き方の習得といったことも期待できます。

 一方で、足を着地する際の衝撃は、FWは体重の約1.5倍で、同速度のランニングの7割程度。つまり体への負担が少なく、足首やひざ、腰などの故障リスクも小さいといえます。これは主に、歩くときは足が常に地面に着いているのに対し、走るときは両足が地面から浮いたうえで片足着地するという違いによります。時速7kmは1分間に約120m進むスピード。時速6~7kmなら、40~60代でもある程度の体力があればこなせる速さでしょう。

 実際に歩く際のポイントは、●十分に息が上がる速度を保つ、●真っすぐ前を見る、●背筋を伸ばす、●腕を後ろに振る、●ひざを伸ばしてかかとから着地する‥‥など。

 取り組む目安は、1回10~20分のFWを週に3~4回。1~2日置きに行って、筋肉が回復する時間をつくること。また、3分のFWと、2分のゆっくり歩きを繰り返す「インターバルウォーキング」で30~45分歩くと、筋力や心肺機能の向上に、より効果的です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■ウォーキングで得られる健康効果

 人類が二足歩行を始めたのは、今から約400万年前のこと。単純ながら、歩くことで人は自らの体調を保ち続けてきました。足を交互に前後に動かして前に進むという行為には、実に奥深い秘密があったのです。

健康診断などで不調が見つかると、「運動不足を解消するために、歩きなさい」とアドバイスされることがよくあります。なぜ、「歩く」ことを勧められるのでしょうか。


ウォーキングは、継続&習慣化しやすい

 生活習慣病を改善するには、食生活の見直しと、適度な運動を日常生活に取り入れることが大切です。日々の生活の中で、わざわざ運動するのは難しくても、日常的な動作を見直し、少し増やすだけなら負担は少ないもの。継続や習慣化するのもそれほど難しくありません。

 買い物や通勤、犬の散歩などの際にしっかり“歩く”だけでも効果はあります。

 ウォーキングは、脚を使うだけでなく、腹筋や背筋など、全身の筋肉を総動員して行うものです。私たちは歩く時、肩甲骨と股関節を連動させて脚を振り出しています。正しく左右の脚を交互に使えば、体の前後左右のバランスを整えることができ、体の隅々の筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、血流が活発になって、毛細血管もしっかりと機能するようになります。


医学的数値改善に加え4つの効果がある

 この全身運動による血流促進が、ウォーキングによる健康効果のポイントです。ウォーキングで期待できる効果は以下の4つ。

医学的効果肥満や高血糖、高脂血症など生活習慣病や、骨粗しょう症などの運動不足が原因で起こる病気の予防・改善。

体力増進効果筋力の持久力や、バランス機能が回復。転倒やけがも防げる。

心理的効果自然の中を歩くことで気分が変わり、リラックス効果がある。

社会的効果外を歩くことで人と触れ合うことができる。

 少し前までは、「1日1万歩」「20分以上続けて歩く」「はや足で歩く」ことで効果が出ると言われていましたが、最近の研究では、1日8000歩で生活習慣病が予防できるという研究結果も出ています(右表参照)

 逆にしっかり歩いているのに結果がでないのは、全身運動になっていない歩き方をしているからかもしれません。正しい歩き方ができていないために、筋肉が縮こまって硬くなっているので、関節の動く範囲も狭まり、小さな動きになる。無理やり大きく動かそうとして体の一部に負担がかかり、ゆがみを生じている可能性もあります。距離や歩数を増やすより、日常生活の中でゆっくりでいいから正しい歩き方を意識するだけでも効果は表れます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2023年3月1日水曜日

がん悪液

8割が苦しむ “がん悪液質”のサイン

「かなり体力が落ちてしまって。1時間とか1時間半とか、通常のコンサートは難しい」

 1月5日のTV番組に出演した音楽家の坂本龍一さんはがんとの闘病生活についても触れ、最近の体調をこのように語っていました。

 坂本さんは2014年に中咽頭がんを患ったものの、治療で寛解。21年には直腸がんを切除しています。これまでの報道によると、その直腸がんはリンパ節や肝臓、両肺にも転移していて、22年までに大小6度の手術を受けたそうです。

 他の臓器への転移があるステージ4は、多くのがんで予後がよくありません。しかし、直腸がん(大腸がん)は例外です。転移したがんを切除できれば、完治が見込めます。

 ジャーナリストの鳥越俊太郎さんは、05年に見つかった大腸がんはステージ4で、左肺に転移がありました。その後、右肺と肝臓にも転移していますが、原発の大腸がんも転移がんもすべて切除できたため、18年たった今も活躍されています。

 では、坂本さんの状態の悪さの原因は何なのでしょう。皆さんも気になるところだと思います。NHKの番組の様子や報道されたことからの推測ですが、がんによる“悪液質”が影響しているのでしょう。

 がん悪液質とは、複合的な代謝異常による症候群を指します。がん細胞は筋肉や脂肪を分解し、大量のブドウ糖をエネルギーとして増殖。やせて筋肉が減少するのは、そのためです。

 がん悪液質になると、少し動いただけでも疲れやすく、疲れるから動かなくなります。そうすると、余計に体力も筋力も低下する悪循環に陥るのです。同時に生理活性物質の作用によって、食欲不振が強まります。それによっても、体重低下が悪化するのです。

 健康な人でも体調を崩すと食欲がダウンしますが、がん悪液質による食欲不振は一過性ではなく、長期にわたるのが特徴。食欲低下と体重減少が見られたら、早期にがん悪液質を治療することが大切です。

 進行がんでは、4~8割にがん悪液質が認められ、死亡する1~2週間前では8割以上が体重減少になるといいます。ですから、がんと診断された後は、過去半年との比較で体重の5%以内の減少に食い止めるような食事療法を心掛けることがひとつ。もうひとつは、軽い有酸素運動や簡単な筋トレで筋肉をキープすることです。

 鳥越さんはがんになる前から運動に励み、いまも続けているように見えます。運動すると食欲がアップしますから、悪液質対策になります。転移などのがんをしっかり取り切ったことも大きいと思いますが、この生活習慣もとても大切です。

 いまでは、がん悪液質の薬剤もあります。薬物治療と並行して生活改善も重要なことが、今回の教訓といえるでしょう。

(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)


■生存率を左右する “がん悪液質”

 なぜ、がん治療に悪液質が重要かというと、進行がんでは初診時で半数、終末期には8割の方が悪液質を経験するからです。栄養状態、治療のリスクに関わるため、がん悪液質の重症度が、治療を優先するか症状を取るための支持医療を優先するか、ディシジョンメーキング(意思決定)の非常に重要な要素になります。

 がん悪液質は国際的に、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、骨格筋量の持続的な減少を特徴とし、進行性の機能障害にいたる、多因子性の症候群」と定義されます。つまり、がんによって体重が減り、筋肉も減少して歩けなくなる病態です。

 その発症リスクは、がん種によって異なり、膵がん、胃食道がん、頭頸部がん、肺がん、大腸がんで高く、血液がん、乳がん、前立腺がんなどでは低くなっています。


進行がんは、体が浪費モードになり筋肉まで燃やしてしまう

 治療前にがん悪液質があると、体重減少が少ない人より生存率が下がることも報告されています。406人の進行肺がんの患者さんを対象にした京都府立医科大学の研究では、治療前の体重減少が多いほど、生存率が低いとの結果でした。

 多くの薬が開発されて医療は進歩しましたが、未だに体重減少という基本的なものが生存率を左右しています。がん悪液質の患者は、身体機能が低下して要介護になりやすく、抗がん治療に耐えられなくなります。生存期間が短いだけではなく、生活の質が低下して、入院期間が長くなり、結果的に医療費がかかることもわかっています。


悪液質が起こるメカニズム

 私たちの体は、健康な時には省エネモードでエネルギーの代謝をハイブリッド車のようにコントロールしています。ところが、進行がんになると、炎症やがんから出る様々な物質によって浪費モードとなり、戦車のように燃料を使い続けてやせてしまいます。しかも、がん悪液質の患者は、脂肪だけではなく、筋肉まで燃焼させてしまい減少させているのです。

 がんを攻撃するために体から出る炎症性サイトカイン(細胞が放出する生理活性たんぱく質)が様々な臓器に働き、例えば、脳の食欲中枢に作用して食欲を落とし、肝臓に作用してエネルギーの備蓄ができないようにしてしまっているのです。

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 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」は、微小循環の改善に影響を与え、そして以下のような可能性が期待できます。

●悪液質の改善、老廃物回収の促進による体内環境の調整、転移・浸潤の抑制

●免疫機能の増進による腫瘍マーカーの改善

●細胞への酸素供給量の促進、がん化進行抑制

●血栓の生成を抑制し、血栓症(がんの死因に多い)を予防


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン