2021年11月11日木曜日

世界糖尿病デー

 藤原道長と糖尿病

 11月14日は「世界糖尿病デー」です。世界各国でイベントが催されるようですが、平安時代中期に摂政・太政大臣を務めた藤原道長が糖尿病だったことはご存知でしょうか。

 平安時代の華やかな貴族文化を象徴する権力者として有名な藤原道長ですが、万寿4年12月4日(西暦1028年)に62歳でこの世を去りました。当時の平安貴族の一般的な寿命から考えれば決して短命ではありませんが、記録が残るうちで日本最古の糖尿病患者といわれており、糖尿病が原因で亡くなったという説が濃厚です。

 現代では主に血液検査で糖尿病を診断します。しかし、平安時代に検査はありませんし、糖尿病という概念自体が確立していませんでした。では、なぜ道長が糖尿病だったと考えられているのでしょうか。実は道長が訴えていた不調が、まさに糖尿病の症状そのものだったのです。その症状が藤原実資(さねすけ)の遺した日記『小右記(しょうゆうき)』や、道長自身の日記『御堂関白記(みどうかんぱくき)』に記されています。

藤原道長
【道長にみられた症状】

 ●喉が乾いて大量に水を飲む 

 ●痩せてきて体力がなくなった

 ●目が見えなくなった 

 ●背中に腫れ物ができた

 なぜこれらの症状が糖尿病によるものだと考えられるのかは、次項で解説します。


道長が糖尿病になった理由は?

 糖尿病は生活習慣から起こりやすくなることが分かっている病気です。具体的には「過食」「運動不足」「過度の飲酒」などがこれにあたります。

 これを踏まえると、道長が糖尿病になってしまった背景についても記録から読み解くことができます。『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』や『延喜式(えんぎしき)』など平安時代の記録によると、平安貴族は山盛りの白米を食べ、糖度の高い日本酒を飲み、中国風の揚げ菓子や芋がゆ、そして果実などをデザートとして食べていたようです。仏教や陰陽道の影響で獣肉食が避けられる傾向にもあったようで、かなり糖質に偏った食生活になっていたと推測されます。

 また、歴史書『大鏡(おおかがみ)』によれば、道長の弓の腕は良かったようですが、平安貴族の数少ない運動機会である蹴鞠(けまり)については、道長に関する記録があまりありません。このことから、運動不足だった可能性が考えられます。

 糖尿病のほとんどを占めるタイプの2型糖尿病は、遺伝的要因がかなり大きいといわれています。道長の伯父:伊尹(これただ)、兄:道隆(みちたか)、甥:伊周(これちか)なども「飲水病」であったと記録があり、道長は糖尿病家系であったようです。道長が糖尿病にかかってしまったのは遺伝の要素も大きかったと考えられます。

(出典:https://medley.life/)


■糖尿病で表れる主な症状

 前項で紹介した、藤原道長に表れた症状を見てみましょう。

〇 喉が乾いて大量に水を飲む

 糖尿病はインスリンの効きの悪化、あるいはインスリンの量の不足が原因で起きる病気です。インスリンの効きが悪くなるとブドウ糖を細胞内にうまく取り込めないため、血中のブドウ糖濃度(血糖値)は高くなり、尿にもブドウ糖が漏れ出します。尿中の糖は浸透圧の原理で体の水分を奪い、多くの尿が出るので、喉が乾いて多くの水を飲むようになります。道長に関する記述にも「日夜を問わず水を飲み、口は乾いて力無し」とあります。平安時代には「飲水病」として恐れられたそうです。

〇 痩せてきて体力が落ちた

「太っている人がかかる病気」というイメージがあり、確かに糖尿病の原因の一つは肥満です。肥満はインスリンの効きが悪化します。しかし、糖尿病になるとブドウ糖をうまく取り込めなくなるので、次第に痩せてくることがよくあります。

〇 目が見えなくなった

 高血糖値の状態は全身の血管にダメージを与え、以下の「三大合併症」を引き起こします。

①神経障害(足先の感覚の鈍り、立ちくらみ、下痢や便秘、勃起障害など) ②網膜症(視力低下、失明など) ③腎症(むくみ、だるさ、皮膚のかゆみなど)

 これらの三大合併症は糖尿病になって数年以上かけて現れてきます(神経障害→網膜症→腎症の順に出ることが多い)。糖尿病網膜症は現在でも失明の原因としてとても多い病気であり、道長も網膜症により視力が低下した可能性が高いと考えられます。また、糖尿病では眼の水晶体が濁ってくる白内障も起こりやすくなります。

〇 背中に腫れ物ができた

 道長は亡くなる数日前から背中の大きな腫れ物で苦しみました。糖尿病では免疫細胞の機能異常が起きるため、感染症にかかりやすくなり、皮膚でもしばしば障害を起こします。また、合併症の神経障害で痛みを感じにくくなって皮膚のトラブルに気づかず、悪化するまで放置してしまいがちです。道長の背中の腫れ物も何らかの菌が全身に回ってしまったのかもしれません。糖尿病は「がん」にもなりやすいので、皮膚がんだったかもしれませんし、他の臓器から皮膚に転移したがんだった可能性も考えられます。

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「HM-3000(特系霊芝)」の産生物の一つ「2,3-DPG」は、酸素を効率よく細胞に供給する役割のほかに、糖化ヘモグロビン(HbA1c)生成の阻害作用も確認されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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