ストレスと腰痛の関係
ストレスと腰痛は一見すると無関係のように思われますが、整形外科領域では「ストレスが腰痛の発症や慢性化に密接に関与している」という見解は常識となっています。
複数の大規模調査や診療ガイドライン、学術論文で「ストレスと腰痛には明確な相関がある」というエビデンスが報告されています。日本整形外科学会と日本腰痛学会が定めた腰痛診療のガイドラインでは、慢性腰痛の約85%が心理的ストレスと関与しており、画像検査などで明確な原因が分からない「非特異的腰痛」が大半であるとしています。近年の国民生活基礎調査や複数の国内外の疫学研究でも、ストレスの多い人ほど腰痛を訴えるリスクが高いことが明らかになっています。
ストレスと腰痛の関係にはいくつかのメカニズムがあります。帝京大学溝口病院整形外科の専門医はその仕組みをこう解説しています。「何らかの要因で腰痛が起きると、脳の"側坐核"が反応して報酬・快楽物質であるドーパミンという物質を出す。ところが精神的ストレスが多いと側坐核が正常に働かなくなり、痛みのコントロールができなくなる」。ストレスが自律神経のバランスを乱し、交感神経優位となることで筋緊張が持続し、筋肉の血流不全が生じ発痛物質が発生しやすくなります。ストレスやうつ、不安など心理社会的要因が脳の痛み抑制機能に障害をもたらし、痛みの感じ方が増強される「痛みの慢性化」の構造があると考えられます。仕事や人間関係等の多様なストレスで「身体化(体に症状が現れる)」現象が起きると、腰部の筋肉や筋膜が緊張しやすくなります。画像診断で原因が見えない非特異的腰痛(多くが慢性腰痛)には、心理社会的因子の悪化が強く関与しているとし、「心理的ストレスが腰痛の発症因子・増悪因子」だと考えられています。
また、職場の満足度やサポート体制が十分な環境では腰痛の発症・慢性化率が低いという前向き研究、日本全体の労働者を対象とした追跡調査からも、ストレスや不安、抑うつ傾向が腰痛の発症や長期化に強く関係していることが報告されています。
実際の診療現場でも、腰痛が単なる骨や筋肉の障害だけでなく、多面的なアプローチ(ストレス管理や心理支援を含む)が不可欠と認識しており、腰痛の治療や予防には、ストレスを軽減させる生活改善やメンタルヘルスへの配慮が極めて重要であるとされています。
このように、ストレスと腰痛が深く関連していることは、国内外のガイドラインや多くの研究により示されており、整形外科領域では当然視されています。
■心因性腰痛と下行性疼痛抑制系
腰痛の中には、ストレス、不安、うつなどの、心の不調が原因の一つとなって起こるケースがあります。こうした腰痛は「心因性腰痛症」と呼ばれ、ストレスの多い現代社会においてとてもよく見られるようになりました。
心因性腰痛の特徴
ストレスや不安などの"心理・社会的要因"が絡んだ腰痛には、以下の様な特徴があります。
◆腰が痛いのに検査をしても異常がない:X線(レントゲン)やMRIなどの画像検査を行っても、腰の骨、椎間板、筋肉、神経などの組織に異常がみられない。
◆治療の効果がない:色々な治療法を試しているのに治らない、鎮痛薬もあまり効かない、手術をしても痛みが消えない、一度治ったり症状が和らいだりしてもすぐに再発する、など。
◆腰痛以外の症状がある:腰だけでなく、全身のあちこちに腰痛以外の不調がみられることが多い(肩こり、不眠、胃の不快感、吐き気、動悸など)。
痛みを抑えるシステム「下行性疼痛抑制系」
人間の脳には、身体の損傷部分から神経を伝わってくる痛みの信号を抑制するシステムが備わっています。これを「下行性疼痛抑制系」といいます。下行性抑制系にはセロトニン系とノルアドレナリン系の二つの系があります。【セロトニン系の痛み抑制作用】
痛みの信号が脳神経系に伝わる途中で、セロトニン神経は鎮痛効果を発揮します。一つは感覚神経が脊髄に入るところで起こり、次に痛みの情報がストレス反応に変換されるところで起こります。さらに、ストレス情報が恐怖や不安などの情動を起こすところでも抑制作用が現れます。このように、痛みの情報が順次処理されていく過程で、セロトニン神経は抑制作用を発揮します。
==================
ストレスの蓄積は「自律神経」のバランスも崩れます。自律神経が過敏になると痛みを感じるセンサーが強く働くようになり、少しの症状でも強い痛みを感じるようになります。
セロトニンには、ドーパミン、ノルアドレナリンなど他の神経伝達物質の過剰な働きを抑制する作用や自律神経のバランスを整える作用があることから、"セロトニン不足"は、うつ状態やパニック発作、摂食障害などを引き起こします。 康復医学学会の研究素材「ラフマ」は、脳内セロトニンの増加及びセロトニン神経通過性の安定に作用します。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

