2012年12月13日木曜日

うつと睡眠障害③


睡眠の重要性!

慢性的なストレスはさまざまな病気を発症します。しかし、ストレスそのものが直接、肉体的な病気に結びつくことはありません。慢性的なストレスでは、まず脳が疲労を起こし、それがさまざまな肉体的症状につながっていくのです。

 脳内にある神経細胞は非常に疲労しやすい細胞です。そして、その神経細胞の基本的な機能は情報の伝達なのですが、情報の伝達には大きなエネルギーを必要とします。脳内では他の臓器に比べ2倍から30倍のエネルギーが使われています。そしてこのエネルギー産生システムを守る“防御機能”がストレスによって低下することが脳の疲労の一因なのです。
 実験動物の脳を刺激してストレスを与えると、深い睡眠を引き起こすプロスタグランジンD2(PGD2)という物質を作る酵素が作られることがわかっています。人の場合も同じと考えられ、睡眠によって脳の働きをシャットダウンして脳の健康を保っています。睡眠障害がある人は、このシステムが破綻しているため脳疲労が起こるのです。

 そして、ストレスに対する防御機能は他にもあり、脳内の神経伝達物質もそのひとつです。神経伝達物質にはグルタミン酸やGABAなど数多くの種類があります。代表的なのがセロトニンとドーパミンです。車に例えるとドーパミンは「このまま進もう」という意欲・やる気のトップギアで、セロトニンはローギア、ゆったりとした感情・安心感を醸成します。疲労回復という点で重要なのがセロトニンです。脳内セロトニンの働きの低下が、睡眠障害を招き脳疲労うつなどの原因のひとつになっているのです。
 また、気質や性格とストレス・疲労との関係についても研究が進み、日本人は将来に不安を抱きやすく、慢性疲労にも陥りやすいと考えられています。24時間型の現代社会なって、体内のリズムと社会のリズムが合わなくなっていることが睡眠障害を招いているとすれば、睡眠の重要性をいまこそ真剣に考え“睡眠の質”を高めることが求められます。


康復医学の基本 “うつ”と睡眠障害③

■ 情報伝達:神経伝達物質

人間は、何らかの行動を起こすときや、欲求、ストレスなどを受けたとき、まず大脳でま解析し、その後各部位をめぐる神経細胞の流れに乗り、そこで感情が生まれます。その流れを伝達するのが、50種類以上の神経伝達物質です(その働きが比較的わかっているのは20種といわれています)。
精神活動の面では、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが重要な働きをします。またそれらは、さまざまな脳内の部位に大きな影響を及ぼすことで知られています。

●他の神経系に関与し調整する・・・セロトニン!
他の神経系と連携しているので、脳内の“総合指揮者”と呼ばれ、広範囲に重要な影響を及ぼしています。セロトニンは他の神経系に抑止的に働き、過剰な興奮や衝動を軽減しますが、セロトニンが不足すると、うつ状態になったり、暴力的になったりすることが知られています。

●積極的な行動には重要な働きも・・・ノルアドレナリン!
人間は、危険や恐怖体験をするとノルアドレナリンを分泌し、立ち向かうか逃げるかの態勢に入り、応力で回避行動に入ります。そして、ノルアドレナリン濃度が上昇し過ぎると、過敏で攻撃的な興奮状態を生じてしまいます。

●快感神経系を増幅する・・・ドーパミン!
快楽神経系が興奮すると、快楽を感じ、身体の動きが活発になり、幸福感を得ます。幸福感が慢性化すると典型的な依存症(たばこやアルコール)になります。逆にドーパミンを過剰に消費するようになると、幻覚や幻聴、妄想などが生じるようになります。覚醒剤依存がやがて精神分裂病によく似た症状を来すのも、ドーパミンの過剰消費と同じ原理です。

質の良い睡眠に影響するセロトニン

睡眠を司る脳内伝達物質「メラトニン」です。メラトニンは脳内の松果体で作られます。そして、このメラトニンの原料になるのがセロトニンです。
 セロトニンの原料のトリプトファン(必須アミノ酸)にいくつかの酵素が働いてセロトニンが出来ます。そこに、さらに別の酵素が働いてメラトニンが作られるのです。このメラトニンを作るために、松果体には他の脳内部位の50倍ものセロトニンがあることが知られています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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