2012年12月21日金曜日

うつと睡眠障害⑥


「うつ」発症の背景

うつ病発症の原因はそのほとんどが社会生活や家庭内などのストレスによるものです。また、ひとつの病気が原因でうつ症状が表れる場合もあります。

患者にうつ症状が表れると、本来の病気の治療が難しくなり、回復も遅くなります。たとえば、がんの患者などは、手術や抗がん剤投与を苦痛に感じ治療から逃避したい思いに駆られるためストレスになり、うつ症状が表れることがあります。しかし、食欲不振や不眠などの症状は、通常のがん治療でも表れるため、うつ病に気が付くのは難しいのが現状です。

 また、“病気と密接に関わるうつ”もあります。パーキンソン病は、筋肉の緊張や運動などを無意識に調整している神経機能がおかされる病気です。パーキンソン病は、手足や顔面の筋が突っ張って硬くなったり、手足の振るえが表れる、動作がのろくなる・・・などが特徴です。神経伝達物質・ドーパミンが主な原因とされていますが、ドーパミン神経の機能低下がセロトニン神経にも影響し、うつに関与していることがわかっています。

 うつは加齢にも関係します。65才以上の高齢者の100人に3~5人はうつ病(軽症を含む)といわれています。高齢者の場合、社会的地位の喪失、孤立的環境など、高齢者特有の心の持ち方があります。また、老化に伴う身体的変化により、感覚機能の低下、運動機能の低下、性機能の低下、身体疾患の合併などさまざまな要因で通常のうつ病とは違った加齢による症状の複雑さを示すのが特徴です。

そして、脳内のセロトニン・ドーパミン・アドレナリン等の合成能にも影響し、またそれが、分泌の低下の原因にもなるのです。


康復医学の基本 "うつ"と睡眠障害⑥

SSRIがうつ病患者を増やしている!

左下の図は厚労省が行った日本の気分障害の患者数(うつ病以外にも躁うつ病等もありますが、うつ病が大半です)の調査結果です。99年からの6年間で、通院するうつ病患者が2倍に増えました。また、右の図が抗うつ薬の市場変化で99年より右肩上がりで売上をのばしています。そして、両図に共通する99年がSSRIが発売された年なのです。この現象は過去に欧米でも起きていて英国などは87年に導入され他の米国をはじめとする先進国は80年代後半~90年代初頭にSSRIが導入されてうつ病患者が急増しました。



セロトニンを仮想的に増やす「SSRI」


セロトニンが増えているわけではないSSRI

右上図のように、抗うつ剤の一種SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)はセロトニンが再取り込みされるのを防ぎ、セロトニンの濃度を仮想的に高め不足を補う働きをするので、元々の分泌量自体が少なくなっている状態では意味がありません。また、これらの抗うつ剤は、特定の神経伝達物質にしか効果がありません。しかも神経伝達物質は多数あって、1種類の濃度を高めることより全体のバランスが大切なのです。
 康復医学学会の見解としては、初期の段階でのSSRIの使用は問題だと言わざるを得ません。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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