2016年1月15日金曜日

昔も今も、願いは「健康・長寿」

願いは「健康で長生き」、江戸時代の庚申信仰

小正月も過ぎましたが、今年は申年。寺社などで時々見かける三猿などが彫刻された「庚申塔」という石塔があります。これは江戸時代、庶民の間に流行した民間信仰の産物で、この石塔には人々の願いが込められています。
 庚申塔は沖縄を除く日本各地に見られ、60日ごとに巡ってくる庚申(かのえさる)の日に禁忌行事を行う「庚申信仰」と結びついています。

 庚申信仰の始まりは中国の道教にある「三尸説(さんしせつ)。人の体には三尸という虫が棲みついていて、庚申の日の夜になると三尸は人体から抜け出し、天帝にその人の悪行を伝えに行くと考えられていました。しかも天帝は悪行の度合いによって、その人の寿命を縮めてしまうのです。延命長寿を願う人々にとっては大問題。そのため、三尸が告げ口に行けぬようにと、庚申の日は一睡もせずに夜を徹して身を慎む「守庚申(しゅこうしん)」が行われるようになりました。

 日本では平安時代に貴族たちの間で流行っていましたが、身を慎むことよりも徹夜をすることが重視され、酒宴を開いたりして娯楽的な要素もあったようです。
 やがて庚申信仰は仏教や神道などさまざまな進行や風習と習合し、独自の信仰として発展。江戸時代になると庶民の間でも盛んになり、人々は「庚申講」を組み、神仏を祀って食事をし語り合って一夜を過ごす「庚申待(こうしんまち)」が行われました。庚申待を3年間18回続けると一切の願望が成就すると言われ、これを達成した人たちが造立したのが庚申塔ともいわれています。

 庚申塔はさまざまな信仰や風習と結びついているため、彫刻された神仏もいろいろ。三猿のほか青面金剛(しょうめんこんごう)もよく見られます。青面金剛は人体の「伝尸(でんし)」(肺結核)を駆除することから三尸説と混合し、庚申信仰の本尊として多くの庚申塔に彫刻されるようになります。
 また、庚申塔といえば三猿ですが、三匹だけでなく一匹や二匹の場合や、猿田彦の彫刻も多いようです。なぜ猿なのかについては、庚申の「申」と「猿」をかけた、山王信仰と結びついたことにより山王権現の使いである猿が用いられた、三尸が天帝に告げ口ができないよう「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿で対抗した、など諸説あります。

 いずれにしても、庚申塔には今も昔も変わらない人々の「健康で長生きしたい」という願いが込められているのです。


■現代人として、健康・長寿を実現するために

上述の「人体には三尸の虫が棲んでいる」話は、現代社会にも通用する考えです。「その人の悪行=不摂生」の度合いによって寿命が縮まってしまう、ということです。

現代の環境と病気の要因

近年、さまざまな社会環境の変化によって、江戸時代などには上らなかったような病気や体調不良が増えてきました。自律神経失調症や慢性疲労症候群、不眠症などの睡眠障害、イライラ・不安感・意欲低下、肌荒れや冷え症等々、他人にはわからないつらい症状で悩む人が多いと思います。現代病の大きな要因は以下の5つが考えられます。

▲よく話題に上る、農業・食料分野
圧倒的な世界シェアを誇るアメリ
巨大企業を告発するビデオ。
●ストレス 
●電磁波 
●有害化学物質 
●重金属 
●細菌・ウイルス・寄生虫

 そして、人間が作り出した不自然な食品群だらけの環境
高熱加熱食品・化学調味料・食品添加物・遺伝子組み換え・トランス脂肪酸・農薬や放射能・加工食品・精製食品(砂糖や塩など)

現代病の対策:5つの予防方法

①体に良いことをする前に、体に悪いことをやめる(喫煙、食べ過ぎ飲み過ぎ・偏食、ジャンクフード、無理なダイエットなど)
②情報を選択・入手し、正しい知識を身につける
③自分自身の力で改善できる方法(セルフケア)を増やし、病院(医師・薬)依存症にならないよう心掛ける
④心の状態が身体に大きく影響することを認識する
⑤病気、体調不良の要因を作らない、近づけない

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 現代における健康と長寿の問題は、そのまま康復医学学会のテーマでもあります。康復医学は、人間の身体を本来あるべき状態(身体的健康・精神的健康・社会的健康のバランスのとれた状態)に回復させるため、さまざまな医療行為を実践する医学といえます。

 近年、現代医学では「生活の質」(QOL)を高めるという考え方が主流です。たとえばガン治療の分野では、医薬品や治療技術の有効性評価の標準的な臨床効果指標として、QOLを優先的に考えた「生活の質を調整した生存年数」(QALY)を採用するようになってきました。治療を最優先にするのではなく“健康寿命を全うする”ことを重視するというこの指標こそ、まさに康復医学的な考え方といえるでしょう。

 西洋医学(=緊急医療)の進歩・発展が著しい現代だからこそ、“健康を回復する医学”と定義する「康復医学」の正しい理解と、それを医療の現場にどう取り入れるかという実践がますます重要になってきているのです。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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