2018年2月14日水曜日

生薬と微小循環

漢方薬や鍼灸等 "伝統医療" WHOが認定へ

漢方薬や鍼灸など日本や中国の伝統医療が、今春にも開催される世界保健機関(WHO)の総会で認定される方針であることが、関係者への取材で分かりました。具体的には、国際的に統一した基準で定められた疾病分類である「国際疾病分類」(ICD)に、伝統的な東洋医学の章が追加されます。100年以上、西洋医学一辺倒だった世界の医療基準の転換点となるとともに、中国と異なり独自に発展してきた日本の伝統医療の再評価につながります。

 関係者によると、WHOが伝統医療に注目したのは、同機関で扱う医療の統計が西洋に偏り、伝統医学での治療に依存しているアジアなどでほとんど統計が取られていないとされる「情報格差」を埋めることが目的にあるといいます。

 国際疾病分類(ICD)は1900年(明治33年)に初めて国際会議で承認、日本でも同年に採用されました。約10年ごとに改訂され、現在は全22章から成りますが、日本や中国などに根差した「伝統医療」が新しい章として加わります。病名や患者の体質を示す「証(しょう)」が約300項目記載されるということです。

 ICDの作成にも携わった千葉大の並木隆雄診療教授(和漢診療学)は「WHOに公式に認められれば、日本の伝統医療の地位向上に役立つ。科学的な調査のもと、漢方の有効性も検討でき、成果は国民に大きく還元される」と話しています。

日本の漢方は古代中国に起源があるものの、西洋医学と融合し、中国とは運用方法や処方の作り方も異なるなど、独自の発展を遂げました。鍼灸も奈良時代に漢方とともに伝えられ、「日本の医療」として進化。特に中国はボールペンの芯ほどの太い鍼(はり)を使いますが、日本は髪の毛ほどの細い鍼を使うところに特徴があります。

 病気に対し狙いを絞って対処する西洋医学に対し、東洋医学では、病気は全身の体内バランスが崩れて起こるという考えを持ち、同じ症状でも患者の体質によって治療を変えます。日本では昭和51年に147種の漢方エキス製剤が医療保険に適用。漢方医学は平成13年から医学教育に、14年からは薬学教育にも導入されています。
(出典:http://www.sankeibiz.jp/) 

■生薬と微小循環、そして康復医学

 “生薬=漢方薬”ではありません。漢方薬は中国古典医学の理論に基づき、数種の生薬を調合する日本の複合薬です。生薬はCrude Drug(多種の成分を含む薬)であり、「多様性」があることをその特徴としています。人体の健康を単一成分で対応することは不可能です。まさに「多様性」を持って初めて対応可能となるのです。
 中国・明の医師、李時珍(1518~1593)は古典薬学書『本草綱目』において生薬を上薬、中薬、下薬の3段階に分けています。日本では、霊芝をはじめとする上薬(副作用がなく調整作用を持つアダプトゲン)は、薬として認可されていません。上薬は、本質的には基礎代謝の改善を主目的とするものです。

 伝統医学は予防医学、治療医学、康復医学に分けられ、中国においては「康復医学」は医学として大系づけられた“康復法”を持ち、それは地域性を有し、その内容は実用的な実践医学です。病院には必ず「康復科」が存在し、治療には現代医療、投薬の他、鍼灸、整体、気功も含まれます。また、栄養学ではなく医学としての「食療学」があります。病に対する目的は“健康回復”であり、まさに「康復医学」なのです。

 病の原因を抑えても、基礎的代謝や微小循環系の血流改善を前提としなければ、健康は回復しません。例えば糖尿病。血糖値だけにこだわるのであれば現代医学にはインスリンという特効薬があります。しかし、インスリンでは病は解決しません。後退性疾患の特徴として、時間がたつほど悪化するのです。

 予防、治療、康復の各医学は一連のものであり、このうちひとつを取り上げ「病に対応している」と考えることは傲慢です。まさに第3の医学として康復医学はあり、その中心をなすのが「生薬」なのです。そして、改善すべきは「微小循環」です。微小循環の主目的は生体内部環境の維持、すなわち全身の各組織細胞に対する「生活物質(酸素・栄養素)の供給」と「代謝産物(老廃物)の除去」にあります。その意味で、微小循環こそまさに循環系で最も本質的な部分であり、心臓や太い血管は微小循環に適切な血液を供給するた(参考『新生理化学大系第16巻循環の生理学』)

 全身の細胞の生活条件は微小循環によって直接規定されるのです。治療にあたりまず重要なのは、分子細胞生物学(生理学)に基づく微小循環の血流改善なのです。
めの補助装置であるとも言えます

 末梢血管まで正常に血液を流さずに改善する病はありません。康復医学と微小循環学なくして、病の根本的改善と健康回復は語れないのです。

 古典医学を“免疫”で解説されることがよくあります。しかし、古典医学書に「免疫」の言葉はなく、ここでは「瘀血(おけつ)(=微小循環の滞り)の改善を治療の中心においています。これは、まさに古典医学が本質を捉えている証であると考えられるのです。
(康復医学学会 理事長 森 昌夫)


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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