2021年7月23日金曜日

コレステロール

 コレステロールが気になったら

 私たちの血液中に含まれる脂質には、「コレステロール」や「中性脂肪」が存在します。

 これらには“健康によくない”イメージがありますが、中性脂肪は体を動かすための貯蔵用のエネルギー源となり、コレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸のもとになる体に必要不可欠なものです。

 大切な働きをするこれらの脂質ですが、LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪が増えすぎたり、HDLコレステロール(善玉)が少なすぎたりすると「脂質異常症」につながります。脂質異常症に自覚症状はありませんが、そのまま放置すると動脈硬化を促進し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。一般的に、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪は加齢とともに増加します。

 男性は、年齢を重ねるにつれ、内臓型肥満をもとに高血圧、高血糖、脂質異常が重なるメタボリックシンドロームを招きやすくなり、45歳以降、動脈硬化のリスクが高まります。

 女性は、女性ホルモンであるエストロゲンが脂質の代謝に関わっているため、閉経前の動脈硬化のリスクはそれほど高くありません。しかし、閉経後のエストロゲン低下に伴い、血中のLDLコレステロールや中性脂肪が上昇、50歳以降に脂質異常症を疑われる人が増える傾向があり、動脈硬化のリスクも高まります。

 脂質異常症の最大の原因は、高脂肪の食事や過食、運動不足といった生活習慣。男性も女性も未病の若いうちから、健康的な生活習慣を身につけておくことが大切です。

 LDLコレステロールが高めの人は、特に食事に気をつけることが大切です。LDLコレステロールを増やす作用のある動物性脂肪を控え、減らす作用のあるオリーブオイルやなたね油などの植物性油、アジやイワシなどの魚類の脂など、良質の油脂を摂りましょう。緑黄色野菜や海草類、きのこ類などの食物繊維にはコレステロールの吸収を抑える働きがあります。

 中性脂肪が高めの人は、腹八分目を心がけ、特に清涼飲料水や菓子類などの糖分やアルコールを控えめにしましょう。

 さらに、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らすために有効なのが「運動」です。ウオーキングや軽いジョギング、水泳など、少し息が弾む程度の有酸素運動が効果的です。運動する時間がとれない人も、日常生活の中で体を動かす習慣を身につけましょう。

 また、喫煙はHDLコレステロールを低下させるため、禁煙しましょう。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■コレステロール神話

 長い間「動物性の飽和脂肪は血中コレステロール値を上昇させ、コレステロールやほかの脂肪を動脈内にプラークとして堆積させる」と言われてきました。

 しかし、近年では高コレステロールの集団と低コレステロールの集団の間で冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、がん、感染症による死亡リスクに差はないこと、そして高コレステロールの集団のほうが死亡リスクは48%低く、高コレステロールが延命のカギであること、コレステロール値と心疾患罹患率との相関は見いだせないことなどがわかってきました。

 さらに、高コレステロールは認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経性変性疾患に於いても良好な効果をもたらします。実際、コレステロールは細胞膜の構築や維持に不可欠であり、ステロイドホルモン・胆汁酸・ビタミンDの原料となり、血管の内側に膜をつくり、血流による損傷から血管を保護し、脳の神経細胞の維持を行い、脳が適切にコミュニケーションを取り、機能するための進行役など重要な役割を持っています。

 現在では「コレステロールはアテローム性動脈硬化にほとんど関係がない」ことが明白となって、「コレステロールは増え過ぎると動脈硬化を進行させて、心筋梗塞などに結びつく」(コレステロール悪玉説)というコレステロール神話は今や完全に崩壊しています。


動脈硬化の原因

 では、アテローム性動脈硬化の原因は何か? それはリポたんぱく粒子の大きさの問題です。コレステロールや中性脂肪などの脂質は、そのままでは血液に溶け込むことができません。そのため脂質は、水と相性の良いたんぱく質などの成分に包まれるようにしてできた"リポたんぱく"という粒子となって、血液中に溶け込んでいます。リポたんぱくの中に、LDL、HDLなどの粒子があり、LDLは肝臓から全身へコレステロールを運び、HDLは余分なコレステロールを回収します。アテローム性動脈硬化の原因となるのはLDLの中でも直径の小さな小粒子LDLです。この小粒子LDLは酸化・糖化されやすく、血管の壁の中に入り込んで異物と見なされてマクロファージ(免疫系の細胞)に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を促進します。


糖質を控える食生活

 “糖質の過剰摂取”によりインスリンが過剰に分泌され、中性脂肪がたくさん作られます。そして、中性脂肪は小粒子LDLを生みだし、これがアテローム性動脈硬化の原因となるのです。心臓病、脳血管障害は単なる高コレステロールの問題ではなく、原因は、酸化、糖化、炎症、小粒子LDL、つまり糖質の過剰摂取が引き金となって起こります。中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子コレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。糖質制限食実施中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないのです。したがって、糖質を控えて、インスリンに負担をかけない食生活が心血管系疾患予防のカギとなるのです。 


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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