2022年7月7日木曜日

ひきこもり

 ひきこもり、血液バイオマーカー発見!

 九州大学は6月2日、ひきこもり者の血液中の代謝物や脂質の測定により、ひきこもりに特徴的な血液バイオマーカーを発見したと発表しました。この研究は、同大病院検査部の研究グループによるものです(研究成果は「Dialogues in Clinical Neuroscience」に掲載)

 日本のひきこもり者の数は100万人を超え、その対策は喫緊の課題です。また、海外でもひきこもり者の存在が示唆されています。ひきこもりは、オックスフォード辞書でも「hikikomori」と表記されており、日本発の社会現象として世界的に認知されています。コロナ禍でさらなる人数増加が懸念され、世界規模の対策が望まれています。

 これまで、ひきこもりは6か月以上自宅に引きこもるといった特徴に基づいて評価されてきましたが、厳密な診断評価法はなく、客観的指標での評価の試みはありませんでした。ひきこもりはうつ病など様々な精神疾患や身体疾患との並存が示唆されていますが、詳細はほとんど解明されていません。

 研究グループは、世界初の「ひきこもり研究外来」を立ち上げ、すでにひきこもりに関する国際的な診断評価法を確立しています。さらに、これまで質量分析による血しょうメタボローム解析を駆使することにより、血液中のいくつかの代謝物がうつ病の判別や重症度に関連していることを報告。客観的指標としての血液解析法を確立してきました。

 今回の研究では、未服薬のひきこもり者41人と健常者42人を対象に、血液メタボローム解析を実施。ひきこもり者を特徴づける血中成分(バイオマーカー)を探索。その結果、ひきこもり者の血中では、健常者よりオルニチンと長鎖アシルカルニチンが高く、ビリルビンとアルギニンが低いことが判明。また、男性では血清アルギナーゼが高値でした。

 続いて、血液成分と臨床検査値を加えた情報に基づいた機械学習判別モデルを作成。ひきこもり者と健常者を、高い精度で識別することができるとわかったのです。さらに、部分最小二乗法(PLS)-回帰モデルによって、ひきこもりの重症度を高い精度で予測することができました。また、ひきこもり者の臨床像に基づく層別化(クラスター分類)に寄与する血液成分として、尿酸値とコレステロールエステルを新たに同定しました。

 同研究の最も重要な点は、世界で唯一のひきこもりを専門とする九州大学病院ひきこもり研究外来で、厳密な評価に基づくひきこもり者の血液検体が収集され、未服薬の被験者のメタボローム解析を含む血液バイオマーカーを報告した最初のレポートであることです。

 ひきこもり者を特徴づけるいくつかのバイオマーカーについては、今後、栄養療法などの予防法・支援法の開発が期待されます。また、ひきこもり者とうつ病患者など他の精神疾患との相違点の解明など、生物学的な理解が進むきっかけになることが考えられます。

(出典:https://www.kyushu-u.ac.jp/)


■ひきこもりの要因

 ひきこもりのきっかけには、いろいろな要因や背景があると考えられます。一つは「対人関係」。一般に学校や職場の対人関係での挫折や不信感が、ひきこもりにつながりやすいと言われています。ひきこもりの人の中には、中学校や高校で不登校を経験している人が少なくありません。また、退職や解雇の経験などをきっかけにひきこもることもあります。

 家族との関係については、なかなか一概に言うことはできません。ただ、「幼少期から母親との結びつきが強い一方で、父親の存在感が薄い」「長男で周りからの期待が非常に大きくて、その期待に十分に応えられなかったと感じている」という傾向が多くみられ、自立していく時期の家族関係の影響が考えられます。

 また日本社会でよくみられる「○○でないと恥ずかしい」のような「恥」という意識の影響も考えられます。その背景には、「みんなと合わせなくてはならない」という厳しい社会からの圧力があります(同調圧力)。圧力に逆らえない一方で、合わせることも難しい場合に、ひきこもりにつながってしまうのかもしれません。

 一方で、心の病気や不調がひきこもりのきっかけになることがあります。ひきこもり自体は病気ではありませんが、様々な「心の病気」が関係していることもあるのです。

 うつ病  :意欲が低下して、以前は楽しめたことが楽しめなくなります。また、「自分はだめだ」「申し訳ない」という過剰な罪悪感を持ちやすく、外に出たいと思わなくなります。「眠れない」「眠り過ぎる」などの症状があると、昼夜が逆転して通学や通勤が難しくなります。

 社交不安障害  :「嫌われているのではないか」「恥ずかしい思いをするのではないか」などの不安に襲われます。それが原因で、ひきこもりになることがあります。

 発達障害  :子どものころからコミュニケーションが苦手だったり、落ち着きがなかったりという傾向があります。そのため、学校で孤立したり、いじめにあったりして不登校になったり、成人してからも対人関係が苦手で、ひきこもることがあります。

 統合失調症  :妄想や幻覚・幻聴、意欲の低下などの症状があるため、ひきこもりと似た状態になりやすいといえます。

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 このように、ひきこもりになるきっかけや背景は様々ですが、ひきこもっていると自分を肯定できず、生きづらさを強く感じたりするものです。前述した心の病気の有無にかかわらず、多くのケースで心理的・社会的な支援が必要となります。

 康復医学学会で長年研究を進めてきた「ラフマ葉エキス」は、精神安定性の改善、精神疲労の軽減に良い影響を与えることが確認されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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