2013年1月19日土曜日

疲労とその対策④

根本的な治療法がない疲労?
 40代男性は、勤務中に急に体の異変が起きました。汗が噴き出て全身が震え始めました。微熱もあったので早めに帰宅し体を休めたが、治りません。体調不十分のまま出勤したものの、仕事にならず近くの病院に駆け込みました。診断結果は「風邪」。しかし、いっこうに良くならない。脳や肝臓などの検査は問題なく精神科でも異常は見つからず、とりあえずビタミン剤などをもらい服用しましたが、日常生活に支障をきたすほどの痛みが筋肉や関節に出始めました。ようやく診断がついたのが慢性疲労症候群でした。
「疲労は誰もが感じる。通常は休めば改善するが、この病気では強い疲労が続き、休んでもなかなか改善しない」と関西福祉科学大学・倉恒弘彦教授は解説します。日本でも30万~40万人の患者がいるとみられており、働き盛りの20~50歳に多く、身体的な症状の他、患者の多くが眠れない、集中力が続かないなどと訴えます。しかし、根本的な治療法がないため、現在は免疫力を高める薬や痛みを和らげる薬、活性酸素を減らす薬や向精神薬を使う場合もあるようですが、クスリで改善するのは約4割ということです。
 また、日本大学板橋病院心療内科・村上正人科長は「うつ病など精神疾患と見分けるのが難しい場合もある」と話します。発症時に精神的症状を訴えるのは約4割ですが、病気が長引くにつれ割合が高まるということです。
 難しい病気ですが、研究の積み重ねで発症の仕組みなども徐々に分かってきています。感染症やストレスなどで免疫力が下がると、ウイルスが働き始めます。これに対抗して免疫関連物質が多く作られ、脳や自律神経などの機能低下が、症状を引き起こしている可能性を指摘しています。この脳や自律神経の機能低下の原因こそが、神経伝達物質・セロトニンの減少と、セロトニン神経の機能低下によるものです。
 疲労には、倦怠感のような症状がありますが、実は脳がこのような症状を引き起こしているのです。


康復医学の基本 疲労とその対策④

■疲労は脳が感じる?

肉体の疲れで、手や足、腰がだるいとしても、疲労を感じているのは手や足、腰の筋肉ではありません。筋肉の抹消から疲労した信号が脳に伝わると、脳で「疲れた」という感覚が生じて、意欲や行動が低下すると考えられています。抹消組織から送られてきた疲労信号を脳内で感知し、疲労感を伝える脳内の物質の働きが「疲労の本質」といわれています。その過程は、免疫系や内分泌系もからんでいて、脳にこれらの働きを制御する左上の図のような「疲労回路」があるのです。疲労感が長く続く慢性疲労症候群の患者は、脳内の神経伝達物質の分泌の低下が確認されており、脳の機能が低下していると考えられています。

ストレスによる「疲労」のしくみ


 ストレスによる血管運動の低下→収縮は、微小循環の血流を低下させ、細胞への酸素供給不足や老廃物の蓄積から肉体的な症状の疲労を招きます。また、ストレスホルモンが長期的に過剰に分泌され、セロトニンの代謝異常などから睡眠障害→痛みを伴う疲労、慢性疲労などに至ります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ


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