2015年12月4日金曜日

糖質制限ダイエットの落とし穴

明治期、ドイツ人医師が感嘆した日本人の体力

Erwin von Bälz

1876年、明治政府の要請で東京医学校(現・東京大学医学部)教授として招かれたドイツ帝国の医師エルヴィン・フォン・ヘルツの日記に、面白いエピソードが残されていました。
 ベルツは、草津温泉の泉質を調査し、その湯が体に良いことを証明して、草津温泉を有名にした人で、滞在中に日本人女性を妻に娶っています。

 当時、東京など市中の乗りものは人力車がほとんどでした。ベルツは、車夫の強靭な体力に感嘆していましたが、医学的関心からその体力がどれくらいか測りたくなったようです。そこで行なったのが、車夫と馬との日光までの競争です。東京から日光までは約150キロの道のりです。
 ベルツは、馬を6回乗り換え、14時間かけてやっと日光にたどり着きました。一方の車夫は、人間ひとりを乗せて交代なしに走り通し、ベルツより遅れること30分で日光に到着したのでした。普通に考えれば、人間よりも馬のほうが体力はあるし格段に速いはずですが、これではまるで逆。ベルツは、たいへん驚きました。この体力はいったいどこから来るのだろうか、と。

 そこで、道中での車夫の食事内容を聞き出します。車夫の弁当の中身は《玄米の握り飯と梅干し、味噌大根の千切り、たくあん》だけでした。聞けば平素の食事も、米・麦・粟・ジャガイモなどの典型的な低タンパク・低脂肪食とのこと。この内容に、ベルツは驚愕したといいます。

 その後ベルツは、2人の車夫を雇い、一方には肉食を与えて競争させてみました。しかし肉料理を食べたほうの車夫は疲労が募って次第に走れなくなり、「どうか普段の食事に戻して欲しい」と懇願したそうです。

 車夫の普段の食事は一見貧しく、質素に見えますが、実は理に適った食事でもあったのです。
 まず、食物繊維が多いこと。また、酵素も酵母も多く、エネルギー代謝を助けるビタミンB群もあります。ミネラルも豊富で、車夫の腸内は発酵という現象が起こっていたと思います。足りないのは、ビタミンB12くらいです。
 また、ベルツは、日本人女性について「こんなに乳が出る民族は見たことがない」とももらしています。

 彼はドイツに帰国後、このことを報告し、ドイツ国民に広く菜食(穀物、野菜類の摂取)を提唱しています。明治時代の日本人の食事の内容は、耐久力や健康面に関しても大きなメリットがあったのです。

■糖質制限ダイエットの危険な落とし穴

糖質制限ダイエットとは

近年、「糖質制限ダイエット」や「低炭水化物ダイエット」が人気です。食事から糖質を極力制限し、そのかわりに肉はいくら食べてもいいというダイエット法です。
 やせる理由に挙げられているのは、インスリンというホルモンです。食事で摂った糖質は体内で消化され、ブドウ糖として血液に送られます。そこでインスリンが分泌され、細胞に取り込まれます。しかし、血液中にブドウ糖が増え過ぎるとインスリンが過剰に分泌され、増え過ぎたブドウ糖はどんどん細胞に取り込まれます。そして、取り込まれた一部が脂肪に形を変え、皮下脂肪として蓄積されるのですが、タンパク質や脂肪はインスリンが分泌されにくいので、いくら食べても、脂肪が増えにくいというのが、人気の秘密のようです。

長期間続けると糖尿病でない人は病気リスクが高まる

しかし、このダイエット法はとてもリスクが大きいと言う研究者も多いのです。なぜなら、ブドウ糖だけを栄養とする臓器が人の体には四つもあるからです。
肺の粘膜」、「神経組織の内膜」、「眼の水晶体」、「血管壁」です(よく言われることで、脳もブドウ糖を栄養源としますが、ブドウ糖がない場合はアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生や脂肪を分解して作るケトン体を栄養源にするので、この四つには入りません)。
 このダイエットを長期間続けると、四つの臓器に栄養が不足することになり、最終的には肺気腫神経痛白内障を起こすリスクが高まります。血管もダメージを受けます。

 アメリカでは、このダイエット法を「アトキンス・ダイエット」といい、多くの人が行なっています。確かに、やせることはやせます。ただ、動脈硬化の促進が見られるなど、体調は悪くなる人が多いのも事実です。
 血液がドロドロになり、微小循環が悪化するのです。腎臓にも多くの負担がかかり、腎炎や腎不全なども発症しやすくなります。
 何よりも、腸内環境が悪化します。腸内で起きる発酵現象がなく、タンパク質の摂りすぎで起こる“腐敗”や脂肪の摂りすぎで起こる“酸敗”が起きてしまうからです。そして、その結果生じた窒素残留物が、がんを含め多くの病気を発症させるのです。また、発酵がなければ、善玉菌のビフィズス菌が作る有機酸(短鎖脂肪酸)も作れません。

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炭水化物とうまく付き合って健康にダイエットを

前回説明した短鎖脂肪酸の力を理解すれば、糖質制限ダイエットの怖さはご理解いただけると思います。糖類、デンプン、セルロースなど炭水化物は、体に有用でとても大事な栄養素なのです。要は食べ過ぎがいけないのです。
 痩身より健康が第一です。糖尿病でない人なら、量や食べ方を工夫して炭水化物と上手に付き合っていくことが必要です。体内の消化酵素を制限して代謝に回すためにも、食物酵素の豊富な食材を十分に摂りましょう。
 「HM-3000(特系霊芝)」による微小循環の改善と免疫機能の調整があれば完璧です。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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