2024年1月11日木曜日

排尿と前立腺

 排尿健診の重要性

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。さて、今年最初にお届けするのは「排尿は健康のバロメーター」というテーマです。

 一般的に「夜間排尿3回は、年のせい」と言われていますが、6000人以上の調査で、夜間に3回以上排尿に行く男性の場合、死亡率が1.9倍になるとの報告もあります。

 年をとると男性は前立腺肥大症で頻尿を起こしやすく、夜間のトイレ回数は増えたり、またオシッコの切れが悪くなったりします。しかし、「年のせいだから」と放置していると、男性ホルモンのテストステロン値まで下し、男性力が下がってしまいます。

 テストステロンの減少だけでも筋力や活力は低下しますが、頻尿や残尿感で外出もままなくなると足腰は弱り、筋肉が脂肪に置き換わって身体能力が低下するサルコペニック肥満、心身虚弱のフレイルへとつながり、将来の寝たきりリスクを上げることにもなるのです。

 それを防ぐためにお勧めしたいのが「排尿健診」です。排尿の状態が健康のバロメーターになることを多くの人に知っていただきたいと思います。

 順天堂医院・泌尿器科准教授の斎藤恵介先生は、「私は長年、大学病院で排尿障害の研究を行う一方、手術も多く手がけてきました。並行して泌尿器科在宅クリニックの設立を手掛け、常に100人程度の地域の患者さんをつぶさに診てきました。この経験で、排尿障害の改善が健康長寿に役立つことを痛感したのです」と言います。

 いつまでも健康で元気に過ごすには、正常な排尿がとても大切です。しかし、一般の健康診断には排尿健診はありません。排尿障害は全身の健康を損ない、病気の後押しをするのですが、その意識がないからかもしれません。

 尿検査では、尿蛋白などで腎機能の状態はわかっても、膀胱の機能の状態を知ることはできません。排尿に関係する体のホルモンバランスも調べられることはありません。だから、前立腺肥大症で夜間頻尿を抱えている人は、膵胱機能が低下する認識が薄い状態が続いています。

「尿の排出力(尿流量測定)、残尿測定、筋肉量測定、骨年齢、血管年齢、男性ホルモンのテストステロンなど排尿に関係のある各種のホルモン採血も行います。生体年齢もわかります」(斎藤先生)。

 排尿障害の原因だけでなく、関連する病気や身体状態を知ったうえで、個人差のある排尿障害を改善し、それをアンチエイジングにもつなげていくことが求められます。排尿力は若さや男性力を維持するために欠かせません。もっと排尿を意識して、健康的な排尿を維持するようこころがけましょう。

(出典:夕刊フジ)


■前立腺の働きと前立腺肥大症

 前立腺は男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護したりする役割を持っています。

 前立腺は直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいるため、肥大すると尿道が圧迫されて、排尿に関わる様々な症状が出現します。

 一般的な成人男性の前立腺の大きさは、体積で表すと20ml以下と言われ、「クルミぐらいの大きさ」と例えられます。前立腺が肥大すると、卵やみかんの大きさになります。

前立腺肥大になりやすい人

 組織学的な前立腺肥大は、30歳代から始まり、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%にみられますが、そのすべての方が治療を必要とする症状を伴うわけではありません。前立腺の肥大と排尿症状を伴い、治療を必要とする、いわゆる前立腺肥大症の頻度は、その1/4程度と言われています。

 肥満、高血圧、高血糖および脂質異常症と前立腺肥大症の関係が指摘されており、メタボリック症候群との関係についても、検討されています。野菜、穀物、大豆などに多く含まれるイソフラボノイドは前立腺肥大症の発症抑制効果があることが指摘されていますが、喫煙やアルコール、性生活との関係は明らかではありません。

原因と症状、合併症

 前立腺肥大の原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし「男性ホルモンの働き」が関与していることは間違いなく、中高年になって男性ホルモンを含む性ホルモン環境の変化が起こることにより、前立腺が肥大すると考えられています。前立腺肥大症では、排尿症状(排尿困難)、蓄尿症状(頻尿)、排尿後症状(残尿感、排尿後尿滴下)がみられます。

 前立腺が肥大しても必ずしもすべて治療が必要になるわけではなく、症状の程度や、どれくらい生活の支障となるかが重要です。また、一般的には加齢とともに徐々に進行しますが、大きさや症状が全く変わらないことも少なくありません。しかし、前立腺肥大症が進行すると、症状の悪化のみでなく、次のような様々な合併症を引き起こすことがあります。

【肉眼的血尿】:前立腺肥大のために、尿道粘膜の充血が起こり、前立腺部の尿道粘膜から出血して、血尿が出やすくなる。

【尿路感染】:排尿障害のために、膀胱内に残尿が残るようになると、尿路感染が起こりやすくなる。

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 九州大学の研究(2007~2009)により、「霊芝」前立腺肥大症、前立腺がんの予防・症状改善抗男性ホルモン活性などに有効な機能を有することが見出されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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