2024年6月19日水曜日

睡眠と胃腸

 胃や腸は眠らない?

 睡眠は基本的に心身の休息の時間だが、全ての臓器が休んでいるわけではありません。心臓は動いていますし、呼吸も普通に続けられます。脳もレム睡眠中は活動し、そのため夢を見ることが分かっています。胃や腸など、食べ物の消化・吸収を担当する「消化器」も休みません。睡眠中も胃腸はしっかり働いています。そのため、朝起きると空腹を感じるし、トイレにも行きたくなるわけです。飲酒して寝てしまっても、睡眠中に肝臓が働き続け、二日酔いを防ごうとしてくれます。

 早稲田大学スポーツ科学学術院教授で同大学睡眠研究所所長の西多昌規氏は、睡眠中の消化器の活動について次のように話します。「近年は小型カメラなどが開発され、睡眠中に消化器が何をしているかも、分かるようになってきた。睡眠中も消化器は働き続けるが、基本的に起きている時よりも活動はゆっくりしている。ただし、臓器によって差がある」

 まず胃の場合、レム睡眠のときは覚醒時と変わりませんが、ノンレム睡眠のときは動きが鈍くなります。そのため寝る前に食べ過ぎると、食べ物が胃に残って翌朝、胃もたれを感じることになるのです。大腸も睡眠時はあまり動きません。年を重ねると尿意を感じて中途覚醒することが増えますが、便意を感じて目を覚ますことはめったにないはずです。

「一方、小腸のぜん動運動は睡眠時も覚醒時と変わらない。何メートルもある長い臓器だし、大腸のように消化物をためておける機能もないので、渋滞が許されないのだ。それで睡眠中も休まず働いているのだ」(西多氏)

 不思議なことが一つあります。緊張していると空腹を感じない、という経験は誰しもあるでしょう。これは、緊張時は自律神経のうち交感神経が優位になっていて、消化器の活動が抑えられるため。では副交感神経が優位になる睡眠中はどうでしょう。緊張したときとは反対に、消化液の分泌や消化管のぜん動運動は促進されるような気がします。それなのに実際は、睡眠中は胃や大腸の動きが鈍くなる。これは何故なのでしょう。

「消化管には自律神経だけでなく“腸神経系”という独自のコントロールシステムがあるから。副交感神経の影響で消化管の運動が活発になると、睡眠中に便意が生じて睡眠が浅くなってしまう。そのため腸神経系が動きを抑えているのではないかとされている」(西多氏)

 睡眠中は胃酸が食道へ逆流しやすいことも分かっています。胃酸が食道に逆流して胸焼けを感じるのが「胃食道逆流症」です。このうち胃酸によって食道の粘膜に炎症が起こった状態を「逆流性食道炎」と呼びます。上半身が垂直のときは重力によって逆流が抑えられますが、横になると胃から食道に胃酸が流れ込みやすくなります。「食べた後すぐに横にならない」のは胃食道逆流症を防ぐうえで大切です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■胃食道逆流症と睡眠の質

 睡眠中に逆流が起こりやすい理由は重力だけではありません。まず、1日の中で胃酸が最も分泌されるのは午後10時~深夜2時の間、つまり多くの人が眠っている時間帯です。さらに、ノンレム睡眠中は食道のぜん動運動が弱まるので、逆流してきた胃酸を胃に戻しにくくなっています。そのため、食道がダメージを受けやすいのです。

 睡眠中の胃食道逆流症と睡眠の質には関係があることも分かっています。睡眠の質が悪い人ほど胃酸が逆流する時間が長く、胃食道逆流症が重症化すると睡眠の質も悪くなるという悪循環をもたらすのです。

※不眠症患者が胃食道逆流症を起こすリスクは通常の3倍高い(スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究)。

 睡眠障害の中でも、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の人は胃食道逆流症も起こしやすいです。無呼吸によって胃と食道の間にある括約筋という筋肉が緩み、胃酸が逆流しやすくなるといいます。逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群の両方がある人は多いです。

 逆流性食道炎の人は外食も多く、肥満や生活習慣病を併せ持つ人も少なくありません。そのため胃薬を飲むだけではダメで、治療には生活習慣の改善も欠かせません。

 生活習慣の改善には、睡眠の質の向上も含まれます。睡眠の質が悪いと胃食道逆流症が悪化するのであれば、逆に睡眠の質を良くすれば胃食道逆流症の予防にもつながります。

睡眠障害の人には過敏性腸症候群も多い

 腸に器質的な異常はないのに、通勤で電車に乗ると腹痛が起こったり、慢性的な下痢や便秘が続いたりする「過敏性腸症候群」も、睡眠と関係があります。過敏性腸症候群は、日本では全人口の10~20%が悩んでいるといいますから、想像以上に患者数は多いのです。

 過敏性腸症候群では、患者が自覚する下痢や腹痛等の胃腸症状の強さと、睡眠の質の悪さとの間に強い関連があることが分かっています。睡眠時間が短い人ほど症状が出やすいという報告もあり、睡眠不足や睡眠の質の悪さが過敏性腸症候群の要因になっています。

 過敏性腸症候群の患者に、抑うつなどメンタルの不調を抱えている人が多いのも事実です。うつ病になると不眠症を併発しやすいことを考えても、睡眠状態が過敏性腸症候群に影響している可能性は高そうです。

睡眠不足や寝過ぎで便秘のリスクも高くなる

 睡眠と関係する胃腸の病気は、まだあります。それが便秘です。便秘の原因は不健康な食生活や運動不足などの生活習慣とされますが、中には睡眠不足や寝過ぎなども含まれます。

 また、交感神経が優位になると腸の動きは抑制されます。睡眠不足によるストレスで腸の動きが悪くなり、便が移動しにくくなるわけです。

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いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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