2011年5月20日金曜日

乳酸の知識③

疲労の認識

私たち人間を含め地球上の生物は、自分の身体能力の限界を超えて運動すると死に至ります。
そのため、身体はその危険を事前に察知して運動を制限するため「疲労感」「倦怠感」
といった不快な症状を示します。これこそが疲労の生物学的意味なのです。
「痛み」「発熱」「疲労」の三つを疲労のメカニズムを説明する研究者が「三大アラーム」と呼んで
いるそうです。人は「痛み」を感じた時にはその発生源を特定して、何が起きているのかを確認した
上で対策を講じます。切り傷であれば絆創膏を貼り、胃炎なら胃薬を飲み、骨折であればギプス
など処置をします。「発熱」時も感染症や炎症を疑い投薬や休養をとるなど策を講じます。そして、
疲労も身体の恒常性の乱れを通報するアラームと考えられています。肉体的な疲労の蓄積をスト
ップさせるには休息や睡眠など、精神的な疲労には気分転換できる趣味やリラクゼーションなどが
有効とされ、これらにより疲労を回復させ、再び次の行動に移ることができるのですが、こうした策
をとっても回復しない疲労もあります。それは「病気からくる疲労」です。「疲れがとれない、だるく
てやる気が出ないといって病院へ行き検査をしてみたら、重大な病気が見つかった」などと聞くこと
があります。肝炎、糖尿病、結核、脳血管障害、悪性腫瘍、内分泌疾患など疲労をともなう病気は
たくさんあります。これらのような病気で疲労が引き起こされている場合は、原因とされる病気を治
療しない限り休養や睡眠だけでは解決しません。休養や睡眠をとることで回復するような疲れは、
「病気からくる疲労」に比べれば「健康的な疲れ」(生理的な疲労)と言えるのではないでしょうか?
ご存知の「慢性疲労症候群」はどちらかというと「病気からくる疲労」に分類されますが病気が原因
で疲れるよりは、「疲れること自体が病気」という、ややこしい疲労の分類に入るそうです。「健康的
な疲れ」でも年齢と共にエネルギー産生の低下から回復力の衰えや、疲労が蓄積しやすくなるの
で安心できません。「疲労」と一言でいっても原因と対策が異なってきます。まずは、自身が感じ
ている疲労がどんな種類の疲労なのか
を把握しておくことが大事なことではないでしょうか?  
 ※参考『危ない!「慢性疲労」』倉恒弘彦・井上正康・渡辺恭良 著(NHK出版)


■乳酸の知識③

乳酸を使い切る! コエンザイムQ10
「乳酸」は、糖を原料にエネルギー産生の解糖系の段階で作られる副産物ですが、解糖系
~ミトコンドリア内のエネルギー産生段階で再利用されます。


下図のように摂取した栄養素(脂質・炭水化物・タンパク質)は、分解されて解糖系・TCA回路に入り、
各段階でエネルギー源となるATPを作り出しますが、この過程で作られるATPは少なく、重点的に
ATPが作られるのがエネルギー産生工場といわれる電子伝達系です。乳酸もここで再利用されエネ
ルギー産生に役立ちます。このTCA~電子伝達系は、ミトコンドリア内にあり、このシステムが低下
していると、エネルギー不足を起こし疲労の原因にもなります。また、乳酸も消費できず蓄積すること
になります。電子伝達系の機能には、コエンザイムQ10が重要な役割をはたします。


【疲労対策】エネルギー産生の過程でできる乳酸は、そのエネルギー産生システムが正常に
機能していれば乳酸もエネルギー産生時に再利用され消費されます。このシステムは、加齢、病気、
ストレスなどで低下する
ことがわかっています。エネルギー産生の低下は「エネルギー不足の疲
労」
「乳酸の蓄積によるセロトニンへの影響による疲労」の両方を引き起こしかねません。コエ
ンザイムQ10はエネルギー産生の要、電子伝達系に影響を与えます。コエンザイムQ10がないと、
この電子伝達系が機能しない
といっても過言ではありません!


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

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