2011年5月27日金曜日

片頭痛の知識①

『国際頭痛分類』

慢性的な頭痛や普段感じないような頭痛を経験すると少し不安になることがあります。しかし、実際は、脳自体は痛みを感じない場所だということをご存知でしょうか。頭の血管や筋肉が刺激を受けて、初めて「頭が痛い」と感じるのです。たとえば「パソコンを仕事にする人の頭痛」はずっと同じ体勢でお仕事をしていることで、頭や首の筋肉が緊張して、ひどく凝ってしまうことによるものと考えられています。さらに、怖い話ですが、脳腫瘍や脳出血で起こる頭痛は、脳をとりまく血管や神経が引っ張られたり、圧迫されたりすることにより起こるとも言われています。
さまざまな頭痛がある中で、お酒の飲みすぎで翌日頭痛に悩ませられる経験をお持ちの方は多いと思います。「二日酔いの頭痛なんて飲みすぎが原因なので、病気の頭痛と同じように考えられるわけがない」とお思いでしょうが、実は二日酔いの頭痛も『国際頭痛学会』の国際頭痛分類(ICHD-Ⅱ)にしっかり明確に分類されているのです。この頭痛分類は、
  第1部:一次性頭痛
  第2部:二次性頭痛
  第3部:頭部神経痛・顔面痛・その他
の3部構成になっていて、この1~3部はさらに14に分類され、この中で“二日酔いの頭痛”は、二次性頭痛のグループ8の「物質またはその離脱による頭痛」に分類されています。このグループ8には、他に“シックハウス症候群”や“化学調味料のグルタミン酸塩の過剰摂取”などによる頭痛も明記されています。二次性の頭痛は、主に頭頸部外傷や脳の血管障害などによる頭痛ですが、「ホメオスタシス(恒常性)の障害による頭痛」のグループには、高血圧、低血圧などによる頭痛も明記されています。今回、以下で取上げる「片頭痛」(偏頭痛とも表記します)は、第1部の一次性頭痛の中に「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つのグループに分けられ明記されています。そして、片頭痛には15歳以上の日本人の約8%が悩まされているのです。


■片頭痛の知識①

(1)症候性頭痛と機能性頭痛
頭痛には大きく分けて、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜(ずいまく)炎などの頭蓋内のいろいろな疾患によってもたらされる「症候性頭痛」と慢性的に痛みを伴うものの、何の障害も残さずに治る頭痛の「機能性頭痛」があります。機能性頭痛としては、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛が代表的で、この中で片頭痛は大変多い疾患です。その頻度は男性より女性に多く、女性で20%、男性で6%という報告もあります。女性では月経前に生じやすいという特徴があります。

(2)片頭痛の症状
片頭痛の症状は、周期的に生じる片側性の頭痛で、ズキンズキンと脈を打つように拍動する痛みが特徴です。若年期に発症することが多い傾向にあるようです。頭痛発作の前日ないし数日前に、気分の変化、口の渇き、飢餓感、あくび、眠気などの症状が4人に1人の割合で出現します。特に治療をしなければ、頭痛は数時間から数日程度持続します。

(3)片頭痛の原因
頭蓋内で痛みを感じる組織は、血管、硬膜、静脈洞などで、これらは三叉(さんさ)神経の支配を受けています。この血管が何らかの原因で収縮した時期に前兆(脳内の血行不良による神経症状の出現)が生じ、その後の血管拡張時に拍動性の頭痛が生じると考えられていましたが、この血管説だけでは説明できない現象が多々あることがわかってきました。片頭痛患者では神経細胞(とくに脳幹部)の興奮性に異常があり、興奮が広がった時期にその代謝を支えるために血管が拡張し、逆に抑制が広がった時期に血管が収縮するのではないかとの説が有力です。正確なメカニズムはまだ不明ですが、最近の研究では神経伝達物質のセロトニンが、頭痛発生に深くかかわっていることがわかっています。

現在は片頭痛の原因として、血管説、神経説及び三叉神経血管説などが提唱されています。また、他にも血流やそれに伴う脳内の酸欠、高血圧・低血圧との関係など多岐にわたります。
次回からは、解説&対策をお送りします。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

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