2014年9月13日土曜日

LDLコレステロール:習慣病が重なってリスク倍増!

普通の食生活なのにLDLが高値になる?

脂っぽい肉類を毎日ガッツリ食べていると、悪玉といわれるLDLコレステロールは上がりやすくなります。しかし、健康に注意した食事を心掛けているのに、脂質異常症の診断基準LDL値が、140(mg/dl)以上の人がいます。このような人は単なる体質ではなく、遺伝に関わる身体異常でLDLが上がりやすくなり、若い頃から心筋梗塞などのリスクも高くなってしまいます。

LDL値の遺伝に関わる病気としては、「家族性高コレステロール血症」が代表格です。肝臓には、血中のLDLを取り込んで処理する≪LDL受容体≫がありますが、遺伝子変異によりLDL受容体の働きが半分程度に低下してしまいます。それが、家族性高コレステロール血症です。一般的に遺伝的な病気は、発症率がまれなことが多いのですが、家族性高コレステロール血症の発症率は意外に高いのです。

 脂質異常症治療のスペシャリスト、帝京大学医学部附属病院内科の木下誠教授は説明します。「遺伝子の染色体は、2本で1組の対になっており、多くの遺伝子の病気は、2本とも変異したときに発症します。だから発症率は低くなります。しかし、家族性高コレステロール血症は、1本だけの変異で発症するのです。国内での発症率は500人に1人。最近は、300~400人に1人との意見もあります。いずれにしても、LDL値は異常に高くなるため、若い頃の心筋梗塞などのリスクも高く、適切な時期に対策を行う必要があるのです」

 一般的に、女性ホルモンにLDLを下げる効果があるため、動脈硬化の進行は女性は男性よりも10~15年遅れるといわれます。そのため、女性の中にはLDLが高値でも良いなどという意見もあるのですが、家族性高コレステロール血症を長年放置すれば、当然のことながら心筋梗塞のリスクアップは避けられません。

 LDLが高値のままというのは、何か理由があります。食生活か、遺伝か、別の病気か‥‥。それを知った上で、症状に合わせた改善策をとる必要があるのです。

■"少し高値"が重なって大血管病リスク高まる

リスクは、1+1=2ではない!

東京女子医科大学病院高血圧・内分泌内科の市原淳弘主任教授は次のように警鐘を鳴らします。
「脂質異常症で、少々値が高い場合の血管病のリスクを『1』とすると、高血圧の少々高値もリスクは『1』です。しかし、2つを足した場合に、リスクは『2』ではなく、『3~4』に跳ね上がります。一般的に微妙な値は放置されがちですが、生活習慣病が2つ、3つと合わさると、リスクの山は一気に高くなるのです。放置してはいけません」
 脂質異常症、高血圧、糖尿病の値が、どれも少しずつ高い場合は、1つだけ高いときと比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった大血管病のリスクは6~7倍にも跳ね上がるそうです。ただし、この段階で、食事や運動などの生活習慣を改善すれば、一気にどの値も下げることが可能です。放置していると、いずれの値もやがて高くなり、薬に頼らざるを得なくなってしまうのです。

酸化LDLが増える!

糖尿病は、LDLコレステロールを変性させ、高血糖と変性LDLで、血管に大きなダメージを与えます。では、高血圧はどうでしょうか。

「高血圧では、血管内皮にコレステロールの接着分子が増えて、血管壁にコレステロールを取り込みやすくします。LDLは、酸化変性すると血管壁に入りやすいのですが、高血圧による酸化ストレスで、酸化LDLも増えるのです」(市原教授)

○危険知らせる診断基準でのチョイ高値(重なるとより危険)

脂質異常症/LDLコレステロール140以上
       HDLコレステロール40未満
       トリグリセライド150以上
 高血圧/診察室での測定 上(収縮期血圧):140以上
       下(拡張期血圧):90以上
 糖尿病/空腹時血糖値126以上
       HbA1c 6.5%以上
 ※脂質異常症と糖尿病の単位はmg/dl、血圧の単位はmmHg

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 脂質異常症と高血圧が合わさると、変性したLDLが血管壁にたまりやくなり、そこに高血圧の圧力が加わることで、心筋梗塞脳梗塞などが起こりやすくなります。糖尿病が加わると、この状態はさらに加速するので、1+1+1=3ではなく、リスクは6~7倍に跳ね上がるのです。

 血管壁にコレステロールがたまり動脈硬化が進んでも自覚症状は感じにくく、発見が遅れ大血管病に至る恐れがあります。日頃の注意が必要です。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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