2015年10月16日金曜日

がん減少と和食

なぜ、アメリカが“がん減少”に成功しているのか

栄養学が発達し、食物中の成分が栄養としてどう役立っているかが解明されるに伴って、たんぱく質、炭水化物、脂肪の三大栄養素を中心に、それに見合うビタミンやミネラルなどの微量栄養素を摂りさえすればよいという考え方が定着しました。
 しかしヨーロッパで生まれたこの栄養学を短略的にとり入れ、「食の欧米化」を進めた結果、日本人の間でがん・脳梗塞・心臓病など、「病気の欧米化」も急速に進んでしまったと断言できます。

 戦後の日本では肺や大腸、乳・卵巣・子宮、前立腺、すい臓などの欧米型がんが急激に増え、高度経済成長を始めた1960年代以降は特にその傾向が顕著になりました。
 1950年以前から比べると、現在は肉、牛乳、乳製品の摂取量が10~20倍と増え、米、ジャガイモ、サツマイモなどはそれぞれ0.65倍、0.4倍、0.07倍と激減しています。社会が豊かになるにつれ、油脂の摂取量増加と食物の精白化が進むのは多くの先進国の歴史が証明していますが、同時にがんを筆頭とする“生活習慣病”の増加もこれらの国に共通して起こっています。

「dietary goals for the united states」
ただ、先進国の中で唯一アメリカだけはがんを減らすことに成功しています。
 きっかけは、1977年に米上院の「栄養改善委員会」がまとめた5,000ページにも及ぶ報告書『Dietary Goals(栄養の目標)』でした。2年がかりの疫学調査に基づき、報告書はアメリカ人の食生活と病気の関係を綿密に分析しています。
 それを読んだマクガバン上院議員は、「我々はバカだった。これまで“造病食”“殺人食”を食べていた」と涙ながらに発表しました。
 そして、「果物、野菜、未精白穀物(玄麦・玄米・トウモロコシなど)、鶏肉、魚、スキムミルク、植物性油を多く摂ること」「全乳・肉・卵・バター・砂糖を多く含む食品、塩分、脂肪類を減らすこと」という食生活の指針が全米国民に提示されたのです。

 高カロリー・高たんぱくの食生活を見直した結果、アメリカでは1977年から2011年までの間にがんによる死亡率が17%減、しかも死囚のトップであった心筋梗塞による死亡率が58%も減りました
 一方、最近の日本では、さらに“食の欧米化”が進み、米飯からパン食・肉食中心、ファストフード中心になっています。日本とアメリカはまったく逆の道を進み、一方ではがん患者が増え、もう一方では減っているというわけです。

出典:『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實著)

■アメリカのがん死亡者を減らした和食!

『Dietary Goals(栄養の目標)』の主旨要約

1977年に、アメリカ上院の「栄養改善委員会」がまとめた報告書『Dietary Goals(栄養の目標)』の主旨を要約すると、以下のようなものです。

(1)1日のエネルギー摂取量の55~60%を炭水化物にする 
(2)1日のエネルギー摂取量の30%まで、脂肪摂取を減らす 
(3)飽和脂肪酸(バター、ラードなど動物の脂)と不飽和脂肪酸(魚油、植物油などの油)の摂取量の比率を同等にする 
(4)コレステロールの摂取量を1日30mgまでに減らす 
(5)砂糖の摂取量を40%減らす 
(6)塩の摂取量を1日3gまでに減らす――

 そして次のようにまとめています。
 「具体的には、果物、野菜、未精白の穀物、鶏肉、魚、スキムミルク、植物油の摂取を増やし、牛乳、肉、卵、バター、砂糖・塩・脂肪の多い食物の摂取を減らすことによって、この目標は達成されなければならない‥‥」

「食事ピラミッド」

1980年代にはアメリカ農務省が食事のバランスをアメリカ国民にわかりやすく示すために、「食事ピラミッド(Food Guide Pyramid)」(右図)を作りました。食べ物をいくつかの食品群に分けて、食生活全体での各食品群の重要度や摂取比率をピラミッドにして表したものです。
 以来現在まで、アメリカ人は「和食こそ世界一の健康食」*であることを理解し、ふだんの食生活でも米や豆腐・味噌などの豆製品、魚介類を多く摂るようになりました。その結果、先進国のG7加盟国としては、唯一がん死亡者が減っている国になったのです。
*但し、具体的には「元禄時代の和食」を指しています。

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和食を支える“だし文化”

日本の食文化の根底を支える「だし」には、油脂に匹敵する高度な美味しさがあります。生理学的に第5の基本味として認められた「うま味」成分には、単に美味しいだけでなく、健康や美容にとっても必要不可欠な要素を数多く含んでいます。
 昆布やトマトのグルタミン酸、鰹節・鮪節や煮干のイノシン酸、干し椎茸に多く含まれるグアニル酸を合わせると相乗効果が生まれ、うま味は5~10倍もアップします。
 日本人の体に昔から穏やかに生きる知恵が染み付いているのは、自然の恵みの素材の味を生かしてだしを使い、刺激が少なくやさしい食生活を続けてきたことにあります。
 康復医学学会がメーカーと共同開発した『薬膳の素』(和漢生薬研究所)は、日々の食事バランスを整える“うま味成分の三種混合天然だし”としてお使いいただけます。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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