2020年12月16日水曜日

鎮痛薬の正しい飲み方

 頭痛薬で陥る“薬物乱用頭痛”

「母親も頭痛持ちだったが、私も生理前になると頭痛がひどくなり、薬局の痛み止めでなんとか凌いでいた。でも、その痛み止めを飲む回数が増えてしまって…」という頭痛患者が少なくないそうです。この場合、外来で詳しく話を聞けば、診断はさほど難しいものではありません。「薬物乱用頭痛」です。元々の原因となっている頭痛は「片頭痛」のことが多い(80%)のですが、もちろん「緊張型頭痛」など、その他の頭痛でも起こり得るのです。

 たとえば片頭痛で不適切な治療を繰り返していると、頭痛発作が頻発するようになってしまいます(慢性片頭痛)。月に10~15日以上起こる頭痛が、3カ月を超えて続いている場合には要注意です。そして、この頭痛発作を慢性化させる最も一般的な原因が薬物の乱用であり、国際頭痛学会ではこれらを「薬剤の使用過多による頭痛」(薬物乱用頭痛/medication-overuse headache;MOH)としています。

 原因となる薬物は、片頭痛発作時に服用するエルゴタミンやトリプタン、さらにはアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬などです(米国では麻薬も)。特に非ステロイド性抗炎症薬であるアスピリンやイブプロフェンは、OTC(over the counter=町の薬局で簡単に入手可能)として市販されていて、厄介です。

 全人口の1~2%の人(全ての頭痛の14.6%)が薬物乱用頭痛に苦しんでいると考えられています。女性が70%を占め、30~50歳代に多くみられます。乱用に至る機序として、麻薬などによる薬物依存との類似性も指摘されています。

 乱用に陥った人の多くでは、日常生活が制限されるばかりでなく、繰り返す頭痛発作によって仕事の効率が低下し、治療費もかさむことになります。これらによる経済的損失も大きな問題となっているのです。

 患者に、自身が陥っている状態を理解してもらうことが治療のスタートです。その上で、原因となっている薬物を即時中止(麻薬などは段階的に減量、中止)し、中止によって起こる頭痛への対処を考えます。ここでは予防薬の投与が重要になります。元々の頭痛が片頭痛である場合には、抗てんかん薬のバルプロ酸(セレニカ)、トピラマート(トピナ;保険適応外)や、抗うつ薬のアミトリプチリンを選択する場合もあります。

 この頭痛は、乱用中止によって消失する頭痛なのです。OTCに頼るのはいけません。

(出典:http://www.sankeibiz.jp/)


■痛み止めの正しい飲み方は?

 頭痛や生理痛などで使われている鎮痛薬(痛み止め)は若い世代にも多く使用されていますが、使用法の誤解も多い薬の1つです。市販の痛み止めの使い方として、「生理痛がひどいと薬の量を増やしたり、時間を空けずに飲んだりしてしまう」という声がありました。

 効果がないと思って決められた量や回数よりも多く使ってしまうといったことはついやりがちなのかしれません。しかし、副作用が出るリスクを高めるだけでなく、エスカレートしてしまい、体に様々な異変が起きるようになってしまいます。


 具体的には、用法用量を守らずに痛み止めを使いすぎると、胃腸障害腎障害頭痛などが起きることがあります。市販の痛み止めの多くは「NSAIDs(エヌセイズ)」と呼ばれる成分が含まれています。NSAIDsは、頭痛や生理痛など様々な炎症や痛みの原因になる物質である「プロスタグランジン」が作られるのを抑えて効き目を表します。

 その一方で、プロスタグランジンには胃の粘膜を保護する役目を持つものもあって、それも作られなくなるため胃腸障害が起きてしまいます。また、プロスタグランジンは腎臓にも作用していますが、NSAIDsによってプロスタグランジンが減ってしまうと、血流が低下し、尿が減少することで腎障害が起きる可能性もあります。

 また、痛み止めを飲んで、かえって頭痛が起きてしまうことがあります(薬物乱用頭痛)。使用しているうちに痛みに対して神経が敏感になり、弱い痛みでも強い痛みとして感じてしまうようになってしまうのです。


 痛み止めは「用法用量を守って月に10日まで!」と覚えましょう。また、市販薬を飲んでも効果がない場合は、生活習慣を見直す必要や、別の病気の場合もあるので要注意です。


正しい薬の 飲み方は?

 薬を用法用量通りに飲むことはもちろん、「飲み方の基本」を抑えておくことも重要です!

 薬の飲み方で正しいのはどれ? 

①薬はコップ1杯の水でのむ

②錠剤は砕いて飲むと効き目が早い

③「食後」に服用の薬は食後30分以上経って飲む

 答えは、①が○、②③は×です。

①水なしや少量の水で飲む人もいますが、カプセルや錠剤がのどや食道に貼り付いて、その部分の粘膜を傷めてしまうことがあるため危険。また、水の量が少ないと薬が十分溶けないため吸収率が下がってしまう場合があります。効果をきちんと得るためにはコップ1杯程度(200cc)の水が必要です。

②薬の外側は糖やセルロースなどでコーティングされていたり、薬が腸で溶け出すようにできていたりと、薬の効果が適切に発揮できるように工夫されています。薬を砕くとこのような工夫が台無し。効き目の出方が変わってしまいます。錠剤を噛み砕いてはいけません。

③「食後」と指示されている薬は、胃に食物がある状態で飲む薬なので、「食後30分以内」に飲むことが基本です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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