2022年10月20日木曜日

がん抑制成分

筋トレとがんの関係

自分の体が作る天然の抗がん剤

 

 筋肉を維持しておかないと、がんになるリスクが上がるかもしれません。これまでも運動と病気の関係はお伝えしてきましたが、実は筋トレは筋肉がついたり免疫が高まったりというだけではなく、筋肉ががんを抑制する天然の抗がん剤を産生してくれるというのです。つまり、筋トレや有酸素運動は、がん予防や抗老化のためにも大事なのです。


 日本人10万人を対象とした研究では、運動によって結腸がんや大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がんのリスクを低下させることが示されています。特に運動量が多いグループは少ないグループに比べて大腸がんのリスクが40%以上に下がるという結果が出ています。

 また、アメリカの報告書でも、大腸がんを減らすための生活習慣として「身体活動や運動」が唯一、"確実に効果的"と位置づけられています。

 骨や筋肉は体重の約40%を占めていて、筋肉は血液中の糖や脂質の多くを消費する代謝臓器でもありますが、長時間座り続けていると、全身の筋肉の70%を占める下半身の活動が停止状態に陥って代謝が落ちます。そして座りっぱなしの姿勢というのは血液が下半身にうっ血した状態が続くことで、血流が悪化し、代謝異常や筋肉の分解などが起きてしまいます。実際に座りっぱなしで死亡リスクが40%も上がることが分かっていて、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、そしてがんのリスクも上がってしまうという結果が出ています。

 実は本当に筋肉(骨格筋)からがんを抑制する成分が分泌されることが分かっています。それが「マイオカイン」といわれる物質です。マイオカインは、筋肉が収縮伸展を繰り返すことで初めて骨格筋から分泌されるホルモン様の生理活性物質の総称のことです。

 具体的な作用を見ると、マイオカインが分泌されることで、まず筋肉の芽とも言われる「サテライト細胞」を活性化して筋肉の合成を高め、筋肉量を維持してくれます。そしてマイオカインはうつ症状を抑えて認知機能を高めたり、脂肪を燃焼させて血管を柔らかく保つなど、脳や血管、細胞など全身の機能を調節してがん細胞の増殖抑制にも関係しています。

 国際予防研究所の研究チームが行った418万人の女性を対象とした研究では、1週間の運動量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、マイオカインによる乳がんのリスクが11~20%減少することがわかりました。また、乳がんの治療を受けている女性でも、運動を習慣として行うと、生存率が30~40%向上するという調査結果もあります。

 日常的にしっかり動き、マイオカインが分泌されることによって、がん予防をはじめ全身に良い影響を与えるのです。

(出典:https://project.nikkeibp.co.jp)


■がん抑制成分マイオカイン3種

 マイオカインの中で特に「イリシン」「スパーク」「インターロイキン6」には、とても強力ながん予防効果が認められています。


イリシン 

 イリシンは特に乳がんのがん細胞をアポトーシス(細胞死)へと導く作用があります。実験では、アポトーシスの量が22倍に増加することが確認されています。

 他にもイリシンは、脂肪を溜め込む白色脂肪細胞組織をエネルギー消費する褐色脂肪細胞に変換、一酸化窒素の量を増やして動脈硬化リスクの低下、脳に運ばれたイリシンによる脳細胞の新生や再生、シナプスを形成するたんぱく質の分泌促進など、血管の健康の維持や、アルツハイマー病や認知症の予防にも効果的なことが確認されています。

 運動が脳に良いのはイリシンの作用によるもの。筋肉を動かすことでアルツハイマー予防にもなりますし、太る白い脂肪を減らす=脂肪からの炎症物質も減らせる、ということになります。


スパーク 

 スパークは加齢によって減少し、運動によって増えるマイオカインの一つで、大腸がんを直接予防することが確認されています。スパークを作れない体では、運動してもがん抑制作用がなくなることが分かり、また、培養した大腸がんのがん細胞にスパークを与えるとがんの成長が止まり縮小していくなど、スパークは大腸がんにできたがんの芽を直接アポトーシスに導く働きがあることが確認されています。


インターロイキン6 

 筋肉を動かすことによってインターロイキン6というマイオカインも分泌されて、がん細胞の抑制に作用します。インターロイキン6は体に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する役割を持つ炎症反応物質。炎症反応を起こすことでがん細胞などの増殖を抑えたり、免疫反応を活性化して白血球を増殖させる働きがあります。慢性炎症や自己免疫疾患などで過剰発生すると、リウマチが悪化するなど、体に悪影響が起こってしまうので、インターロイキン6阻害薬などがリウマチ薬として使われています。しかし本来は私たちの体から異物を取り除いてくれる働きを持つ大切な物質なのです。運動によってもともと持っているインターロイキン6の免疫活性機能をがん抑制のために良い方向に使うことができるのです。


 がんの発症や再発を予防し、生存率を上げるためにも運動がとても大事で、特にがん治療中の患者はサルコペニアにかかりやすいため、座りっぱなしを避けて、日常生活の中でこまめに体を動かす必要があります。そして体を動かすことで筋肉からマイオカインという様々な天然の抗がん物質が分泌されるのです。


「マイオカインを効果的に分泌させる4つの方法」として、

 ①HIITトレーニング

 ②スクワット+ウォーキング

 ③咀嚼運動および口内の健康

 ④精油(フレグランスオイル、エッセンシャルオイル)

などが言われています。

 ご興味のある人はネットなどで調べてみてはいかがでしょうか。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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