秋の夜長に睡眠に悩む人へ・・・
人間の生理的欲求の一つ「睡眠」は、人の健康や美容、成長や記憶などにも影響を与えます。「質の良い睡眠をとるためには“全裸”で寝るべし」と勧めるのは、札幌市・五輪橋産科婦人科小児科病院の丸山淳士名誉理事長。「私は20年前から。脱パンツ睡眠を提唱してきました。睡眠障害は精神面ばかりが強調されていますが、着衣による身体的ストレスこそ重視しなければなりません。就寝時に下着類を取り払うことで、約7時間は確実にストレスから解放されるのです」。
「眠る時、人間の身体では手の甲や太腿から熱が放散されています。それに伴って脳や内臓の深部体温が下がり眠気を誘うのですが、布団内の空気の層が断熱作用を担うので、寒さの心配はありません。日本の寒冷地では、元々、裸で寝る習慣がありました」と丸山氏は言います。
そして、睡眠と美容に関する新説です。「睡眠中の美肌ホルモンは午後10時~午前2時の間にしか出ない」という定説が真っ赤なウソだというものです。肌を再生させる美肌ホルモンとは、睡眠中に分泌される成長ホルモンのことですが、脳や内臓、骨、筋肉などのメンテナンスも行い、傷ついた細胞を修復してくれます。これまで、多量に出る時間帯は22時~2時とか、0時~3時の間と言われてきましたが、何ら根拠のないことがわかりました。
【眠り始めの3時間がポイント】
成長ホルモンの分泌タイミングは、寝る時間帯にはまったく関係ありません。何時に寝ようと「眠り始めの3時間」に集中して分泌されることが、睡眠の実験研究によって明らかになっています。つまり、お肌のゴールデンタイムは寝ついてからの3時間ということです。たとえば午前1時に寝れば、ゴールデンタイムは午前1時から4時ということになります。ですから、無理に夜10時に眠ろうとしなくてもいいのです。江戸川大学社会学部人間心理学科の福田一彦教授は言います。「明け方に起床を促すために出る、覚醒作用のあるセロトニンや、夜が近づくにつれ、眠りを誘うために合成されるメラトニンなどは、決まった時間帯に分泌されるリズム(時間)依存型ホルモンです。しかし成長ホルモンは、最初の徐波睡眠(睡眠状態で、脳波に大きくゆるやかな波が現れる深い眠り=ノンレム睡眠)の時に出てくる睡眠依存型ホルモン。朝だろうと、夜だろうと、寝れば必ず出てくる物質なのです。ゴールデンタイムなんて全くの俗説で、なぜこんな誤った教えが定着してしまったのか。看護師の教科書にも記述があると聞いたことがあるし、医師の中にも信じている方がいるようです」。
また、福田教授は「昼夜逆転が続くと、様々なホルモンや自律神経系等との間にリズムのズレを生み、体に弊害をもたらします。時差ボケがそのいい例。前立腺がんの発症率も、通常の日中勤務の会社員に比べ、夜勤の人で2倍、昼夜が不規則な交代勤務者では3倍に跳ね上がるというデータもある」と述べています。
いずれにしても、生活リズムが整った睡眠を心がけることが大切です。
■睡眠と成長ホルモン
睡眠の質が低い日本人
今回、再認識された成長ホルモンは、睡眠依存型のホルモンです。睡眠のリズムを適正に保って眠っていれば分泌されることがわかりました。しかし、睡眠に関する製薬会社の調査では、不眠症の疑いがありながら70%以上の人が「自分は不眠症と思わない」と回答しています。不眠を自覚していない、もしくは不眠であっても病気だと認識していない人が多く、「何時間寝たか」ばかりにこだわる傾向があります。
睡眠で大切なのは時間ではなく、“睡眠の質”です。日本人の平均睡眠時間は十分に満たされているにもかかわらず、不眠を訴える人が多いのは、右表のように“睡眠の質”が良くないことが原因です。
健康寿命にも関係する成長ホルモン
成長ホルモンは、一生の間分泌されていて、脂肪組織や筋肉など全身に働きます。代謝をコントロールし、体の組成を正常な割合で維持し、身体機能を正常に維持する働きをします。成長ホルモンは、成長期にだけではなく成人になってからも必要です。成人や高齢者で成長ホルモンが不足すると、体脂肪量の増加、骨格筋強度の低下、筋力低下、強い疲労、骨密度の低下、脂質、心血管マーカーの異常、うつ状態、認知能低下、QOLの低下など、健康寿命にも影響します。そして、成長ホルモンの分泌低下の原因は加齢だけではありません。不規則な生活習慣、運動不足、睡眠不足、栄養の偏りなどが原因で、年齢に関わらずその分泌量は減少してしまいます。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ
0 件のコメント:
コメントを投稿