ストレスが老化を促進する!
職場や家庭、人間関係などで生じるストレスは社会的にも問題になっています。ストレスとは一体何なのか、そしてストレスを感じた時、体の中では何か起こっているのか? 今回は、そんな意外と知られていないストレスの基礎知識と最新情報をお送りします。
ストレスとは、元々は物理学の言葉ですが、今では、動物に加えられる生物学的・精神的圧力の総称としても使われています。そして、ストレスには「悪い」ものと「良い」ものがあります。
外国の研究チームが、同一の母ラットから同時に生まれたラットを数匹ずつの2つのグループに分け、片方のグループには食事量を減らし時々震動などのストレスを与え、もう一方には何のストレスも与えず十分な食事を与えて育てました。すると、前者の方が健康に育ったのです。
「ストレス状態には①交感神経が興奮する警告期 ②防衛反応が引き起こされる抵抗期 ③生体が疲弊してしまう疲労期、という3つの段階があります。良いストレスとは②の抵抗期までで解消される程度のもので、悪いストレスとは③の疲労期にまで達したものです」とは、お茶の水女子大学名誉教授の室伏きみ子先生。つまり、適度なストレスは動物が成長する上で必要ですが、過剰なストレスはその生体に悪影響を及ぼす、ということなのです。
そして、気になるのが過剰なストレスは老化が進む原因になってしまうということです。
「脳の中の扁桃体はストレスを感知すると、“快”か“不快”のシグナルを視床下部に伝達します。その後、体内の2つの経路から抗ストレスホルモンと呼ばれるグルココルチコイド(コルチゾンやコルチソールを含む)が分泌され、生体に影響を及ぼします。ストレス状態が長く続くというのは、グルココルチコイドが長く出すぎることなのです」(室伏先生)。
過剰なグルココルチコイドは体にどう影響するのでしょうか。
「グルココルチコイドはたんぱく質を壊しながらグルコースを作りますので、筋肉が弱くなったり傷が治らなくなったりします。また、胃粘膜の減少と胃液分泌の亢進が起こり、胃潰瘍を引き起こすこともあります」と、室伏先生は続けます。
「グルココルチコイドが長く出ている間は、成長ホルモンなど他のホルモンの分泌が妨げられてしまいます。例えば、成長ホルモンの分泌が減ると、子供なら発育不良になりますし、大人であれば、老化が進む原因になってしまうのです」。
■ストレスの数値化
ストレスは目に見えないものです。知らず知らずのうちにストレスをため込んでいても、自分ではなかなか気づきません。そこで専門家たちが腐心してきたのが“ストレスの数値化”という試みです。勤労者のストレス点数
左の表は“勤労者のストレス点数表”といい、「配偶者の死」や「左遷」といった、誰にとってもストレスとなりそうな項目がずらりと並び、性別、年代別にそれぞれ点数がつけられています。「この表の元になっているのは、1967年に社会学者のホームズと内科医のレイがワシントン大学で発表した“社会的再適応評価尺度”。彼らはまず結婚や借金など、ストレスの作用因子になると考えられる項目を選び出して表を作成。結婚によるストレス度を50点とし、それを基準に0~100点の範囲でそれぞれの項目について多数の人に自己評価で点数をつけさせ、項目ごとのストレス度を割り出したのです」。
そう説明するのは、大阪樟蔭女子大学心理学部臨床心理学科教授の夏目誠先生。
「私は、大阪府立公衆衛生研究所の村田弘氏と共にホームズの“尺度”を日本的に改善し、勤労者用、大学生用、主婦用に分けてストレス調査票を作成しました。勤労者用では、大企業に就業中の1,630名(女性308名)に調査し、結婚によるストレスを50点として、それを基準にそれぞれの項目に対して任意で数値を記入してもいました。そのデータをもとに、統計ソフトなどを用いて解析して割り出したのが“勤労者のストレス点数”なのです」
このような表をもとにして自らのストレス度を測定する方法を「ライフイベント法」と言うそうです。評価方法は、まず20項目のうち、ここ1年以内を振り返って当てはまるものに丸をします。20項目中で2個以上、上位10項目中で1個でもあてはまる人はすぐにでも休息をとったほうが良い。統計の結果は、健常者の平均点は102点、半健康状態の人の平均は260点、ストレス疾患のある人の平均は309点となっています。300点を超えていたら危険、ということになります。
「ライフイベント法の利点は、自分のストレスを客観的に見ることができる点です。例えば、“多忙による心身の疲労”と“仕事上のミス”の両方に丸がついたとしましょう。その場合、過労のためにミスが起こったのか、ミスをリカバーするために多忙になったのかを考えます。もし過労によるミスだと分かったら、意識的に疲れをとることでミスも防げる、といったようなストレス回避策を具体的に考えられるのです」。
現在、すでに市販されている「ストレス計測器」もあります。唾液アミラーゼの分泌量で急性のストレスを測ることができる機器で2005年の完成時から2012年末までに1万台以上を売り上げたと言います。
(参考:週刊新潮 2013.12.19日号)
上記の「ストレス点数表」と「唾液による計測器」で判断すれば、自分のストレスをある程度“可視化”出来るようになります。
しかし、これもあまり気にしすぎると、それ自体が新たなストレスとなってしまいます。ほどほどに‥‥。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ
0 件のコメント:
コメントを投稿