2013年11月27日水曜日

不眠と睡眠薬

増加する高齢者の不眠

睡眠が、疲労回復や記憶の定着などに関与していることはお伝えしてきましたが、睡眠によって頭がすっきりする仕組みもわかってきました。

 これは、米ロチェスター大などの研究チームが明らかにしたもので、睡眠には脳内の老廃物を掃除する効果があることを突き止めたのです。脳の病気の原因になる、脳内にたまった老廃物の解明につながる可能性もあるということです。米科学誌サイエンス電子版で発表されました。
 チームは睡眠時と覚醒時のマウスの脳の体液の流れを調べました。その結果、脳内の隙間を流れる体液が毒性のある老廃物を除去していることを確認したのです。睡眠中のマウスの脳は体液の流れる隙間が、覚醒時より60%以上大きくなっていました

老廃物の一つには、アルツハイマー病に関係しているとされるたんぱく質「アミロイドベータ」があります。睡眠中のマウスの脳内のアミロイドベータを調べたところ、覚醒時に比べて2倍速く脳から取り除かれていました。睡眠不足になると、うまく決断できなかったり、学習が困難になったりします。睡眠は、脳内の老廃物を除去する役割があったということです。

近年、高齢者の間では不眠が増加傾向にあります。その背景には睡眠薬の投与と止め時が関わっていました。このことを重く見た厚生労働省の研究班と日本睡眠学会は、不眠症の治療に用いる睡眠薬を適切に使い、上手に止める指針をまとめました。

 この指針では、服用の効果を見極め、昼間のだるさなどの症状が改善されたら、減薬や休薬を検討するよう勧めています。研究班主任研究者の三島和夫・国立精神・神経医療研究センター部長によると、少なくとも3カ月に1度、睡眠薬を処方されている人は約20人に1人といい、処方率は年々上がっています。約7割の患者は1~2カ月で服用が終わりますが、一部の患者は服用が長期化し、服用量が増える傾向にあります。
 患者が勝手に薬をやめて、症状が以前より悪化し、再び薬が必要になるなど、うまく止められないケースもあります。「服用をいつまで続けるべきといったことが不明確だったことも一因」としています。

睡眠薬は副作用の頻度を高めないよう、一種類の服用を原則とし、年齢や持病、睡眠障害のタイプを考慮して、薬を選ぶことを推奨。指針には適した薬を例示しています。
 現在使われている大部分の薬に強い依存性はありませんが、自己判断で急に中止すると、不眠が悪化する可能性があるとも指摘しています。休薬に向けては、服用量を少しずつ減らす方法などがあります。
 三島部長は「睡眠薬は本来、ずっと飲み続けるものではない。短期でしっかり治療し、休薬を心掛けることが大事。日中の眠気や倦怠感が取れれば、医師の指示のもと、減薬や休薬を試みるのが基本」と話しています。
 一方、慢性化している人では、身体の痛みなどで薬をやめにくい人もいます。そうした人でも、漫然と服用するのでなく、睡眠の状態を定期的にチェックし、治療が適切かを確認すべきだとしています。


■睡眠薬に対する不安

日本人は諸外国の人たちと比べ、睡眠薬への不安が強いことが明らかになっています。一般市民の44%が「依存性があり止められなくなる」との印象を持っていたという結果もあります。
 こうした不安から自己判断で薬を止め、不眠症を慢性化させてしまう例も後を絶たちません。睡眠薬は副作用の頻度を高めないよう、一種類の服用を原則とし、年齢や持病、睡眠障害のタイプを考慮して、薬を選ぶことを推奨されています。現在使われている大部分の薬に強い依存性はありません。自己判断で急に中止すると、不眠が悪化する可能性もあります。

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインより

(睡眠薬に対する主なQ&A)

〔Q〕睡眠薬より寝酒が安心?        
 〔A〕アルコールは睡眠後半の質を悪化させる。毎日飲むと、徐々に体が慣れアルコール性不眠の原因になる。寝酒は百害あって一利なし。
〔Q〕ストレスや精神疾患による不眠に睡眠薬は効果があるか。
 〔A〕うつ病の不眠には効果的。心的外傷後ストレス障害(PTSD)に伴う不眠にはあまり効果がない。アルコール依存症に伴う不眠は、睡眠薬の副作用が起きやすく、勧められない。
〔Q〕認知症の不眠に、睡眠薬は効果があるか。
 〔A〕効果的な薬物療法はない。昼間の寝過ぎで夜眠れない睡眠・覚醒リズム障害、レム睡眠行動障害など認知症の不眠は原因が多様。不眠治療イコール睡眠薬処方と安直に考えるべきではない。
〔Q〕高齢で副作用が心配。
 〔A〕年齢とともに、薬が分解されにくくなり、薬に敏感になることがある。翌日ふらつくような場合は、医師に相談を。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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