2025年6月18日水曜日

便秘

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞のリスクに

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリアのモナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響して便秘を引き起こす薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析によって便秘が心血管疾患の危険因子であることが明らかになり、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■食物繊維と便秘

 食物繊維とは「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」です。食物繊維にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴によって体に対する働きが異なっています。

 消化・吸収されない食物繊維は、昔は栄養的に価値のないものと考えられていました。しかし、健康維持のために大切であることがわかり、現在では三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)、五大栄養素(三大栄養素+ビタミン・ミネラル)に加えて「第六の栄養素」と呼ばれています。日本人の食物繊維摂取の目標量は、男性19g以上、女性17g以上と定められています。しかし、実際の食物繊維摂取量は、年齢が若いほど少なく、目標量を満たしていません。

理想的な食物繊維の摂り方

 食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、上表のように、それぞれ腸の中で異なる働きをしています。両方を組み合わせることで便秘解消&デドックス効果が高まります。

●水溶性食物繊維:腸管内の水を吸収して、便を柔らかくしてくれる作用があります。ネバネバ・ヌルヌルとした粘性があるので腸内の老廃物や毒素を吸着し、便として排出してくれます。また、悪玉菌を減らして腸内環境を整える働きもあります。

●不溶性食物繊維:腸内で水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激して腸内の蠕動運動を促します。便の嵩を増やす作用があるので、便秘解消に効果的なのですが、水に溶けない性質のため、摂り過ぎると便が硬くなってしまいます。

 腸の健康を考えると、摂取量は「不溶性2:水溶性1」の割合が理想的と言われています*。厳密にこの割合を守る必要はありませんが、バランスよく摂取することが重要です。

*慢性便秘症の患者にポリデキストロース(水溶性食物繊維)を摂取してもらったところ、排便に対して最も良い結果が得られたのは不溶性食物繊維14g、水溶性食物繊維7gの割合であったという研究結果に基づいています。


 最近の「トクホ(特定保健用食品)」には、難消化性デキストリンを配合した商品が増えています。これは、水溶性食物繊維が"脂肪の吸収を抑え排出を増加させる効果がある"と言われているからです。ただし、デキストリンの原材料には遺伝子組み換えのトウモロコシを使用したものが多く、摂り過ぎには注意が必要です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年6月11日水曜日

内臓脂肪

 中年男性、内臓脂肪を7日で15%減

 高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告されました。中年男性が7日間で1440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったといいます。

 この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のジャン=ピエール・デプレ氏らによるもの(詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載)

 論文の責任著者である同氏は、「我々の研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べています。

 また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括しています。

 この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加しました。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能が有意に高く、皮下および肝臓の脂肪量が有意に少ないものでした。

 これらの参加者に対して、7日間で1440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらいました。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供しました。

 7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの、わずかな変化に抑えられていました。

 それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL)、ウエスト周囲長も有意に低下していました(-3.2±1.7cm)。

 さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していました。

 研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けています。

(出典:HealthDay News)


■今、改めて"内臓脂肪"を知る

 人間の体では、脂肪は主に二つの場所に蓄積されます。このうち内臓の周りにつく脂肪が「内臓脂肪」、皮膚の下につく脂肪が「皮下脂肪」です。

 内臓脂肪は、腹筋の内側、胃や腸などの消化器官の収まる空洞「腹腔(ふくくう)」内につきます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べて注意が必要な脂肪と言われています。それは、内臓脂肪が過剰に蓄積すると糖尿病など様々な病気を引き起こす「生活習慣病」の原因になるからです。

内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクがアップ!

 内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなるのか、それは以下の理由です。

 お腹周りの脂肪である内臓脂肪は、脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体の生理に影響を与え、身体の働きを調整する役割を持つ、ホルモンに似た物質です。その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に深く関わっています。

 内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、反対に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、やがては糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。

 内臓脂肪の蓄積で増加する生理活性物質 

TNF-α:インスリンの働きを妨げ、血糖値を上げる。TNF-αの増加で糖尿病のリスクが上がる。アンジオテンシノーゲン:血圧を上昇させ、高血圧の原因となる。PAI-1:血栓をつくり、動脈硬化を促進させる。

 内臓脂肪の蓄積で減少する生理活性化物質 

レプチン:満腹中枢を刺激して食欲を抑制する、生活習慣病を防ぐ生理活性化物質。内臓脂肪の蓄積で分泌が減少すると、この効果も減少する。アディポネクチン:血圧や血糖を低下させ、傷んだ血管を修復する。動脈硬化の防止効果のある生理活性化物質。内臓脂肪の増加⇒血管損傷の進行⇒生活習慣病。

内臓脂肪が引き起こす主な病気

▼糖尿病 ▼高血圧症 ▼脂質異常症 ▼高尿酸血症・痛風 ▼狭心症・心筋梗塞 ▼非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝) ▼脳梗塞 ▼月経異常・不妊 ▼腎臓病

 内臓脂肪は生活習慣病の原因になり、放っておくと命に係わる病気を発症するリスクが高まります。健診などで内臓脂肪を指摘されたら、まずは自分の生活習慣を振り返り、無理のないゆるやかなダイエット生活を始めましょう。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月4日水曜日

六月病

 “六月病”が増えている?

 五月病は聞いたことがあると思います。ゴールデンウィーク明け頃、主に新入社員や新入学の大学生など4月からの環境変化がストレスとなって発症するもので、急性の適応障害といえます。そして、6月ごろに現れる心身の不調が「六月病」です。新入社員だけでなく、異動などで環境の変わった社会人に多いものです。五月病が遅れて現れたようにも見えますが、実は五月病は性質が違っており、六月病はうつ病の入り口の状態といえます。

 4月からの環境変化が発端であることは同じですが、我慢に我慢を重ね、我慢しきれなくなって出てくるのが“六月病”。たとえば5月の段階で気づいて手を打てれば回復も早いのですが、六月病は“こじらせた状態”とも言え、適切な対応が求められます。

 環境の変化は入学、入社だけではなく、昇進なども要因になります。プレーヤーとして優秀な人がマネジャーとなり、自分と同じように仕事ができない部下へのいらだちなどがストレスとなって不調につながる、という「昇進うつ病」も珍しくありません。

 六月病は特にまじめに頑張る人に多い傾向があります。多少の不調があっても「このくらい大丈夫。もっと頑張らないと」と心身に鞭打って走り続けてしまい、無理がきかなくなって倒れてしまう、ということになりがちです。

 初期のSOSには気づかないことも多いもの。右表をチェックしてみましょう。一つでも当てはまるものがあれば、要注意です。

 六月病の予防あるいは長引かせないためには、原因となるストレスをなくすのが一番ですが、現実的には難しいでしょう。できることは、ストレスに強い状態をつくっておくこと。お勧めの方法をご紹介します。

 睡眠 :睡眠は健康の基本で、眠ると気分もリセットされます。睡眠のほか、しっかり食事を摂る、運動するなど、基本的なことを大切に。

 趣味を楽しむ :趣味や楽しみに意識を向けてストレス源から離れることで、心がリフレッシュします。

 安心できる人と話す :家族や友人などと話すことも効果的です。

 “お守り”をつくる :深呼吸する、空を見る、好きな音楽を聴く、大好きなお菓子を食べるなど、自分なりの“息抜き法”をつくると、ストレスへの対応力が高まります。これは「コーピング」というストレス対処法で、企業のストレスマネジメントなどにも広く活用されています。

 6月は心の調子を崩しやすい時期です。特に昨今は働き方が変化して、調子を崩しやすくなっていることが多いようです。日ごろからストレスとうまく上手に付き合う方法を身につけて、うまく乗り切ってください。

(出典:https:// //kenko.sawai.co.jp/)


■“六月病”の対策

 六月に入り、病気というほどでもないけれど、ちょっと調子が良くないという人は、次の三つのポイントを心がけてみましょう。

◆生活リズムを整える

 悩みや不安があると夜眠れず、起きる時間も遅くなりがちです。できるだけ同じ時間に起き、太陽の光を浴びましょう。朝、強い光に当たると「脳内セロトニン」が活性し、それが覚醒・睡眠リズムをつくります。セロトニンには、様々な脳内ホルモンのバランスをとって精神を安定させる働きがあるのです。またセロトニンは、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料でもあります。

◆適度に身体を動かす

 運動が好きな人は汗をかくのもいいでしょう。苦手な人はラジオ体操のようなリズミカルな運動をしたり、15分間歩いたりするだけでも違います。速く歩いたり、ゆっくり歩いたり、風景を眺めて季節を感じたりします。途中目にする野の花や夕焼けなどに「わあ、きれい」と声に出して言ってみると、心も温まります。

◆オンとオフを意識して区別する

 いつもオン状態だと交感神経が優位になり過ぎてしまいます。意識的にオフの時間をつくり、読書や音楽、映画鑑賞など好きなことをして、ゆったりと気分転換をしましょう。

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【薬に頼る前に】

 適応障害やうつの治療は、カウンセリングなどの精神療法が中心に用いられ、補助的に薬が用いられます。薬は主に睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬ですが、あくまでも症状を抑える対処療法です。また、たいていの薬は効果が出るまでに1~2週間を要し、逆に副作用はすぐに表れます。初期症状の段階で薬に頼ってしまうと、薬をやめる怖さから依存症に陥り、場合によっては本当のうつ病になってしまう人も少なくありません。特にSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)の、若年層への処方による凶悪な副作用については、ご存知の方も多いと思います。使用には十分な注意が必要です。

 不安感を改善する抗うつ薬の作用機序は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンによって精神状態や気分の高低が決定されるという“脳内モノアミン仮説”を前提としています。

 当学会の研究素材である「ラフマ」(キョウチクトウ科の多年草)には、セロトニン産生および脳神経細胞膜流動性への影響を示すデータがあります。ラフマ葉エキスの抗ストレス作用睡眠改善鎮静作用血圧安定作用などが、六月病対策として期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月28日水曜日

デジタル認知症

 デジタル時代の隠れた危険

 現代の私たちの日常生活では、デジタルテクノロジーが浸透し、スマートフォンやパソコンがない生活は考えられません。デジタル機器は、便利で生活を豊かにしてくれますが、過度な使用によっては「デジタル認知症」という危険が潜んでいます。

 デジタル認知症は、デジタル機器の過度な使用によって引き起こされる認知機能の障害で、記憶力の低下、注意力や集中力の低下、運動能力の低下などが症状として現れます。

 デジタル認知症は正式な病名ではなく、状態を表す呼称であり、最近ではスマホ認知症とも呼ばれています。この名称は、主に高齢者が発症する認知症と症状が似ていることから使用されていますが、脳の萎縮などの症状はありません。年齢や性別に関係なく発症し、特に脳が成長途中の若い世代に大きな影響を与えると言われています。

 デジタル認知症の原因としては以下のものが考えられます。

 情報過多による脳疲労 :スマホやパソコンを長時間使用し、常に新しい情報にアクセスすることで、情報過多になり、脳疲労が起こる可能性がある。

 デジタル機器依存による記憶力の低下 :電話番号などの情報の記憶は完全にスマホに依存し、検索して情報を取り出すだけという状態が当たり前になり、その結果、記憶力はどんどん低下していきます。

 対面コミュニケーションの不足 :SNSなどのバーチャルなコミュニケーションは、実際の対面コミュニケーションとは異なり、感情的なつながりが不足することがあります。また、すぐに返信しなければならないというプレッシャーや、誰かとつながっていないと不安というような感情を生むこともあります。これらの要因が精神的な問題を引き起こすリスクとなります。

 運動不足と不適切な姿勢の影響 :デジタル機器の長時間使用は、運動不足を引き起こし、肥満や体の健康問題につながる可能性があります。また、長時間前かがみの姿勢でいることも悪影響を及ぼします。

 デジタル認知症の症状として、右表のようなものが挙げられます。中でも、デジタル認知症が子どもに与える影響は深刻だと言われています。子どもは脳がまだ成長途中であるため、デジタル機器の過度な使用が脳の発達に悪影響を与える可能性が高いと考えられています。特に、発達の遅れや不安定な感情、協調性のない行動などに注意が必要です。

(出典:https://medical-b.jp/)


■デジタル認知症の予防

 デジタル認知症は、日々の行動に気を付けることで予防が可能です。

デジタル機器の使用時間を減らす⇒1日の中でデジタル機器を使用しない時間を決めたり、目的のない時はデジタル機器を使用しないなどのルールを設け、できるだけデジタル機器の使用時間を制限しましょう。また、デジタル機器を使った後は必ず一定の休憩時間をとりましょう。特に子どもに対しては、保護者が時間管理をサポートすることが重要です。

【頭を使う、脳を鍛える】⇒脳も体の他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまいます。日常生活で脳を鍛えるために、クロスワードパズル、数独、ボードゲームなどのゲームや、絵を描くこと、楽器の演奏など、画面から離れて脳をトレーニングする活動を取り入れることで、脳血流が活発化し、脳内の老廃物を運び出すとともに脳の記憶機能も鍛えられます。思い出せないことがあっても、すぐにスマホで検索せずに、思い出すことに集中しましょう。

【読書をする】⇒タブレットではなく、実際の本や雑誌、漫画、新聞を読むことで、読解力や記憶力が向上すると言われています。

屋外で体を動かす⇒屋外で体を動かす行為は、脳を活性化させ、血流を増加させて脳への栄養供給を促進します。デジタル機器から離れて屋外で時間を過ごすことは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層にとって有益なことです。

対面のコミュニケーションを促進する⇒人と直接会って話し、交流することは、脳を刺激し活性化させます。メールやSNSなどのオンラインコミュニケーションではなく、実際に相手と対面して、表情やしぐさを見ながらコミュニケーションをとることが大切です。

 人の脳の働きは取り入れた情報を処理し、アウトプットするまでがひとつのサイクルになっています。デジタル機器の使用においても、脳はそれらを情報として処理するために活発に稼働します。「特に考えずに」「なんとなく」取り入れた情報はアウトプットされないまま、「情報のゴミ」として蓄積されます。脳の容量を超えて情報のゴミが溜まり続けると脳の疲労が深刻化し、脳の機能が低下してしまうのです。

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 康復医学学会が推奨する「HM-3000(特系霊芝)」の、脳血流を維持・促進させる働きは、デジタル認知症の予防にもつながります。

 また、スマホやパソコンのブルーライトを見続けると睡眠を促すホルモン・メラトニンの分泌量が減少するといわれています。「ラフマ葉エキス」は、メラトニンの材料となるセロトニンの産生を促します。それがメラトニンの活性に影響し、質の良い睡眠へと誘います。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月21日水曜日

鉄欠乏

 鉄分不足、心臓には大きなリスク

 鉄分の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者の30%以上は鉄欠乏性貧血が合併していると報告されており、貧血を合併している人は、合併していない人と比べ、全死亡率や心不全による再入院率が高くなっています。また、心不全患者の鉄分不足を治療すると、再入院率とQOL(生活の質)が改善されるという報告もあります。

 鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを合成するために欠かせない物質で、不足するとヘモグロビンの生成が足りなくなり貧血が引き起こされます。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、貧血になると細胞が酸欠状態になり、疲労感、倦怠感、立ちくらみ、息切れ、動悸、めまい、頭痛など様々な不調が現れるのです。

 貧血が起こる原因は、その70~80%が冒頭で触れた鉄分不足による鉄欠乏性貧血で、多くは体から血液を失う要素がある人に生じます。例えば歯茎のトラブルや痔などで頻繁に出血しやすいとか、消化管など体内での出血、女性の生理の出血量などで起こります。こうした場合、慢性的な貧血状態になり、それが心臓に負担をかけることにつながります。貧血による体内の酸欠状態をカバーするため、心臓が必死に働き多く血液を循環させようとして、心拍数が増加する「心悸亢進」という症状が現れ、心臓に大きな負担がかかります。その結果、心不全の"予備群"のような状態になると、特に高齢者では心不全を起こしやすくなったり、心臓に障害があれば狭心症や大動脈弁狭窄症の症状が急激に現れたりするのです。

 貧血気味の人で息切れ、胸が苦しい、立ちくらみといった症状がある場合は、家族歴や既往歴を確認して、心臓疾患の疑いがあるなら専門医を受診したほうがいいでしょう。

 鉄欠乏性貧血は、鉄剤を服用して新たに赤血球を作り出す治療で改善できます。ただし、不足の鉄分を取り込んだとしても、体内に「貯蔵鉄」の蓄えがなければ、再び貧血が起こります。貯蔵鉄はフェリチンという鉄結合たんぱく質として肝臓、脾臓、骨髄などに貯蔵されており、体内の鉄分が不足すると血液中に放出されて不足分を補う働きをします。そのため、貯蔵鉄を十分に作っておかないと、貧血を繰り返すことになるのです。

 鉄分は食事で摂ることも重要です(右表)

 慢性的な鉄分不足の場合、心臓に負担がかかって何らかの影響が出る前に、まずは貧血の症状が先に現れやすいといえます。近頃疲れやすくなった、少し動くだけで動悸がするなどの変化を自覚したら、医療機関で血液状態をチェックしてもらいましょう。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■鉄欠乏の症状と対応法

 鉄は体内の酸素の運搬・貯蓄に強く関わる栄養素であり、人間は鉄が無くては生きていけません。欧米では小麦粉などの日常食材に鉄分を添加したり、鉄不足の女性に妊娠を控えるよう勧めたりする国もあるのに対し、日本はこれといった鉄不足対策は行われていません。特に55歳以下の有経女性の大半は鉄不足となっているのが現状です。

鉄欠乏の症状

 鉄不足でまず思い浮かぶ症状は貧血(男性:Hb値<13g/dl、女性:Hb値<12g/dl)です。検査で貧血と判定されるほどの鉄不足はすでに重症レベルと言えます。「フェリチン」(体内の鉄貯蔵量を反映するたんぱく質)を測定してみると、ほぼ底を付いているケースがほとんどです。鉄不足はほかにも次のような様々な症状を起こします。

 骨・皮膚・粘膜の障害 (あざ、コラーゲン低下による骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常) 

 知能・情動への影響 (不眠・集中力低下・学習障害・うつ・パニック障害) 

 ホルモンへの影響 (甲状腺ホルモンの成熟障害、不妊症)

 白血球・免疫への影響 (抵抗力の減少) 

 消化系に及ぼす影響 (嚥下障害、食欲不振、下痢、便秘、氷を好んで食べる) 

 いわゆる不定愁訴 (頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、寝坊癖、疲労、むずむず脚など)

 これらの症状が鉄不足からくることに気付いてない方が大勢いますので要注意です。

 貧血ではないから鉄不足ではないと考えがちですが、貧血でなくとも潜在的鉄欠乏の人は多いのです。血液検査項目の赤血球数Hb値などに続いて「MCV(平均赤血球容積)」という項目があれば注意してみてください。〔異常なし〕とされていてもMCVが95(fl)を下回り、かつ上記のような症状がある人は、鉄不足を疑って受診してみてください。

 貧血治療経験のある45歳の有経女性が特にわけもなく気が滅入ってきたとします。「更年期?」などと軽く済まさず鉄欠乏再発を疑いましょう。鉄不足でメンタルが不安定になるのは、やる気を高めるノルアドレナリンドーパミン、興奮と抑制をバランス調整するセロトニンなどの脳内神経伝達物質が、たんぱく質を原料として造られる際に鉄が必要だからです。

 女性が出産後、情緒不安定に陥るのも鉄不足の悪化が一因と考えられています。妊婦が鉄不足だと胎児も鉄不足となり早産や低出生体重児の原因となるため、妊婦の鉄不足はあらかじめ十分に改善しておく必要があります。

鉄欠乏の対応法

 まず、鉄分豊富な食材を意識的に摂ります。牛・豚・まぐろなどの赤身肉やレバーに含まれる動物由来「ヘム鉄」、小松菜、海苔、パセリなどの植物系食材に含まれる「非ヘム鉄」、吸収がよいのは前者ですが、両方一緒に摂るのが効果的です。

 病院では鉄剤が処方されますが、むかつきや便秘などの副作用が苦手な人もいます。そういう場合は上記の食材に加えて「ヘム鉄」サプリメントの服用も有効です。鉄が充足されれば吸収しなくなるだけなので鉄過剰とはなりません。出来れば血液検査でフェリチン値(貯蔵鉄)が60~100ng/ml以上になるまで補充するのがよいでしょう。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年5月14日水曜日

筋肉

 “質の良い筋肉”を目指す

 骨格筋は、筋線維という繊維状の細胞が集まって構成されています。筋線維の束は筋束(きんそく)と呼ばれ、全体は筋外膜で覆われています。筋肉の量が増えるというのはこの筋線維の1本1本が太くなることで、筋肉が減るというのは筋線維が細くなることを意味します。

 他の多くの組織と同じように、筋肉は絶えず新しい筋線維の合成と古くなった筋線維の分解を繰り返しています。ところが歳をとると、この合成が滞り、分解が進むようになります。そのため、普通に生活していても、全体の量が徐々に減っていってしまうのです。筋肉の合成が減少したり、分解が増加したりする理由には、運動量や身体活動量の減少、筋肉の合成を促すホルモン(男性ホルモンや成長ホルモン)の減少、栄養(特にたんぱく質)の摂取量の減少、筋肉の分解を促す「炎症性サイトカイン」の異常分泌――などがあります。

 筋肉の「質」の低下(機能低下)が起きるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

「筋肉は太いほど大きな力が出せる。筋力が落ちるのは、歳とともに筋線維が萎縮して細くなる(筋肉の量が減る)から。しかし、筋線維の太さは変わらない場合でも、細胞と細胞の間や細胞の内部に脂肪がたまり、実質的にやせ細っていることがある。見た目の筋肉の大きさは変わらないのに、実は“サシ”のように脂肪が入り込んでいる、この状態をダイナぺニアと呼ぶ。さらに進むと筋線維全体が細くなって、見た目の量も減っていく」(同志社大学スポーツ健康科学部教授・石井好二郎氏)

 本来、脂肪は皮膚のすぐ下の組織(皮下脂肪)や内臓周辺の脂肪組織(内臓脂肪)にたまるものですが、本来たまるべきではない場所にたまる「異所性脂肪」もあります。中に異所性脂肪がたまった筋肉は「脂肪筋」とも呼ばれ、肝臓に異所性脂肪がたまると「脂肪肝」と呼ばれます。筋肉の細胞に脂肪がたまると、収縮する力が低下します(=筋力の低下)。さらに、筋肉の細胞には、糖を取り込み血糖値を調整する機能がありますが、異所性脂肪がたまると糖を取り込む能力が落ち、糖尿病の発症にもつながります。

 筋肉に脂肪がたまる原因は、主にエネルギーの摂り過ぎ。余ったエネルギーが脂肪に変わり、皮下にも内臓周辺にもためきれずにあふれ出したものが、異所性脂肪となります。異所性脂肪がたまると、多くの場合まず脂肪肝になり、次に骨格筋に脂肪がたまり、筋力の低下が起こります。当然、内臓脂肪もたまっているので、生活習慣病のリスクが高くなります。高脂肪食をよく食べる人や運動不足の人は、異所性脂肪には要注意です。しかし、体重はさほど多くなく、見た目の肥満はない人でも、異所性脂肪がたまる人がいます。メタボに関連する高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上が当てはまる場合は、筋力が低く、筋肉の質の低下が起こっていることがよくあります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■筋肉と健康の密接な関係

 加齢によって筋力が減っていきます。一般に30歳を超えると年に1%ずつ筋力量が減るとも言われています。すると熱中になりやすくなったり、代謝が悪くなったりしやすいです。

筋トレは加齢していくほど大切

 筋トレというと、スポーツ選手や、筋肉質の体系を望む人がやるもの、と思われるかもしれません。しかし、実は年齢を重ねて行くほど、筋トレを習慣的に行うことが重要になります。筋肉量は30歳をすぎた頃から次第に減り始め、80歳の時点ではいちばん筋肉量があった時から6~7割も減った状態になってしまうからです。

 筋肉は運動器としての役割だけをしているわけではありません。筋肉は糖質と脂質を分解して、熱を発生する基礎代謝も行っています。

 筋肉量が多いほど体の中にある余分な糖質・脂質が燃焼され、その結果として血糖値の上昇が抑制され、重大疾患の要因になる生活習慣病の予防にもつながります。

筋肉の主な役割

 姿勢を保持 :骨格筋は姿勢保持にとって非常に重要。筋力の維持は、高齢者の転倒による怪我・骨折などの予防につながる。

 血液を心臓に戻す :血液を心臓へ戻す際、体の骨格筋が収縮することで血管を収縮してポンプのような役割をする。筋肉量が減ると心臓の筋肉に負担がかかり様々な不具合が出る。

 代謝を上げる :体温を一定に保ち生命維持に必要な「基礎代謝」はほとんど骨格筋が担っている。代謝(生命維持のために有機体が行う合成や化学反応)は、「異化」と「同化」に区分される。異化=物質を分解してエネルギーを得る過程、同化=エネルギーを使って物質を合成する過程。

 体を衝撃から守る :衝撃から内臓、骨、血管などを守るクッションのような役割をしている。

 水分を貯蔵 :骨格筋は体の約6割の水分を保持している。細胞が蓄える水分は、体内で脱水が始まると、細胞から脱水傾向のある血管内に水分を補填して、血液循環を保とうとする。

 免疫力を上げる :リンパ球などの免疫細胞は筋肉に多く蓄えられているグルタミンによって活性化される。ゆえに筋肉量が減ると、免疫機能も低下すると言われている。

 運動で生理活性物質(マイオカイン)を分泌 :骨格筋は運動をするときに、様々な生理活性物質を分泌していることがわかってきた。この物質を総称して「マイオ(筋)カイン(作動物質)」という。

代表的マイオカイン⇒●IL-6(糖や脂肪代謝を促し肥満や糖尿病を予防) ●FGF-21(肝臓で脂肪を分解) ●Irisin(肥満、糖尿病の予防) ●IGF-1(筋肥大の促進、認知症の予防) ●BDNF(脳の神経細胞を生育)

筋肉量を維持するには

筋トレを行う

■日常生活の中でこまめに体を動かす

■意識的にたんぱく質を摂取する

 筋力トレーニングでは、衰えやすい足腰の筋肉を優先的に鍛えるのがよいでしょう。また、筋トレ後30分以内に良質のたんぱく質を摂取すると、筋肉を合成する働きが促進されます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月7日水曜日

便の異常

 なぜ高齢者は便もれしやすいのか

 65歳を超えると30%の人が便秘になり、7%の人に便もれが起こると言われています。介護施設では50%近くの人に便もれの経験があるという研究もあります。高齢になると便秘気味、下痢気味になるひとがいますが、それは運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化、内服薬などが関係しています。

 高齢になると運動量が少なくなります。運動により腸も活発になりますが、動かないでいると腸に運動刺激が起こらず、適切に動いてくれません。すると便秘になりやすくなります。

 さらには筋肉が衰えます。腕や足の筋肉だけではなく、骨盤や肛門周りの筋肉も弱くなるのです。その結果、尿もれをしやすくなり、便の切れも悪くなります。踏ん張っても便を出し切れなくなるため、便秘になることがある一方で、便を我慢しなければというときに肛門をギュッと締めて抑えることができなくなります。

 腹圧性尿失禁(お腹に力を入れた瞬間に起こる尿もれ)に効果のあることが知られている「骨盤底筋トレーニング」という方法が、便失禁に対しても効果的なことが分かっています。

 それ以外にも、歩くだけでいいので足を使っての運動が便の排出・状態を良くします。

 高齢になると、腸内の環境も変わってきます。腸というのは非常に長い臓器です。腸の中にはおよそ1000種類もの菌(腸内細菌)がいて、消化吸収を助けたり、免疫機能を刺激したりしています。しかし高齢になってくると体調不良・食欲不振・度重なる抗菌薬の使用などにより、腸内環境が悪化しやすくなります。すると、同じような食事を摂ったとしても若い人と比較して適切な吸収が行われず、固まって便秘になったり、うまく吸収できず下痢になったりします。特に油ものやニンニクなどの刺激物を食べたときは、こうした胃腸の不調が顕著に現れやすくなります。

 対処法として、1つは乳酸菌やビフィズス菌、麹菌など、腸内細菌となりうるものを摂取することです。具体的には発酵食品。ヨーグルトのほかに納豆やしょうゆ、みそ、ぬか漬けなどを定期的に摂取することをお勧めします。それ以外にもプレバイオティクスといって、腸内細菌のエサとなるフラクトオリゴ糖のようなものを摂取することも大切です。これはバナナなどに含まれています。

 食物繊維にも整腸作用があります。キャベツのような分かりやすい食物繊維は不溶性食物繊維といいます。水に溶けにくいので不溶性です。一方で水溶性食物繊維と呼ばれる食物繊維も大切です。水溶性食物繊維は、ぱさぱさした食物繊維のイメージとは違い、ドロッとしたものです。例えば、オクラやモロヘイヤ、納豆などに含まれるねばねばした成分がそれになります。この水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することが、腸内環境を整える上で重要になります。そうして刺激の強いものを避けることが腸を守ります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■便の異常と内服薬の影響

 高齢者の便の異常の原因として、運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化とともに多いのが“内服薬の影響”です。

 高齢者が飲む内服薬には様々なものがありますが、腸の異常によく関係してくるのが便秘薬(緩下薬、下剤)や下痢止め(止痢薬)です。下剤は簡単に薬局で手に入るために安易に使用されることが多い薬です。少しでも便秘気味だと、便の排出を薬の力に頼ろうとする人は少なくありません。ただし、医師の管理下で飲むならいいのですが、そうでなく自己判断で使用をしている場合は注意が必要です。

 便秘は、本来は生活改善をして便が出やすい環境を整えるのが最優先です。下剤を使えばその時は便が出やすくなりますが、連用してしまうと、体が下剤の刺激に慣れてきて、効果が薄れてくる場合があります。すると、「ではもっと強い薬を」となって、きりがなくなります。運動や食べ物の工夫など、日々できることをやることが優先すべき対応です。

 また、医師に便秘の薬を処方されていて、便秘も改善されてやや下痢気味になってきたという場合。そんなときに外来で「お変わりありませんか?」と聞かれて「変わりません」と答えてしまうのもよくありません。そう答えた結果、医師に「便秘が改善していないのだな」と思われて薬が処方され続け、下痢気味になっているという方も多いのです。処方薬の服用で便の状況が変わってきたら、主治医に報告しましょう。

 自己判断で下痢止めを使うのも控えた方がいいでしょう。腸が下痢を起こしているときは何かしらの理由があります。例えば食中毒のように何か悪いものを食べて、体の中に入ったウイルスや菌を排出するために下痢が起きていることもあります。それなのに無理やり下痢止めで止めてしまうと、体の中にウイルスや菌が蔓延してしまいます。下痢がつらいときは、安易に下痢止めを使うのではなく、医師に相談して対処するほうが安全です。

 これらの薬だけではなく、高齢になると多くの薬を飲みます。その薬が副作用として下痢や便秘を引き起こすこともあります。特に便秘との関連が指摘されているのは、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬です。下痢は、抗菌薬や抗がん剤で起こりやすいようです。徐々に便秘になっていくケースもあり、飲んでいる薬が原因だと気づきにくいこともあります。下痢や便秘があるときは主治医や薬剤師に相談してください。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年4月30日水曜日

ジャンクフード

 英、ジャンクフードCMを深夜枠に限定

「やみつきになる美味しさ」に覚えはないでしょうか。甘いもの、脂っこいもの、辛い物やしょっぱいものなどが、その代表格です。

 人は生きるために必要な栄養素を体が自然と欲するようにできています。技術や科学の発展はめざましく、一食で様々な栄養が摂れるので、先進国では人々が飢餓に苦しむことはほとんどなくなりました。しかし、体の進化は悠久の時を経てきたものです。急激な食文化の変化に体がついて行かず、近年では、肥満による病気の方が問題になってきています。

 たとえば、様々な人が暮らすイギリスでは、1990年代初頭から肥満が増えてきました。同国の国民保健サービス(NHS)によると、成人の60%以上が太り過ぎ、または肥満だといいます。その問題の多くは子供時代に始まり、境遇が恵まれていない人ほど、食生活が乏しい傾向があることを研究は示唆しています。

 そこで英国は2021年6月、思い切った政策を打ち出しました。テレビとオンラインで、ジャンクフード(脂肪、砂糖、塩分を多く含む飲食物)のCM表示時間に、制限を設けるのです。チョコレートやアイス、ハンバーガー、シリアル、人工甘味料の入ったジュースなどの宣伝は、夜9時から朝5時半の「深夜枠」での表示となり、午後6時ごろなど、子供と大人が家で一緒にテレビを見るゴールデンタイムには放送されなくなります。

 非営利団体Cancer Research UKによると、英国の11~19歳がジャンクフードの広告を見ている場所は、ソーシャルメディア86%、テレビ84%、街中の看板82%でした。また、同国の保健省は、脂肪、砂糖、塩分が多く、子供が過剰に糖質とカロリーを摂取しがちな食品や飲料のオンライン広告を制限すれば、英国の4~15歳が1年間に食べる量を125億カロリー(ドーナツ6,200万個に相当)を減らすことが可能だとしています。

 この政策に対し、抗議や懸念の声もあがっています。BBCによると、英国の広告協会の人は「放送やオンラインパブリッシャーの仕事が失われる」と主張し、食品業界の一部は「ジャンクフードの広告だけを規制するのは不均等につながる」と話しています。

 英国政府は、若者が不健康な製品を過剰に消費するのを防ぐことを目指し、これまで長らく広告規制の政策を打ち出してきました。首都ロンドンでは、2018年から公共交通機関でジャンクフードの広告が禁止されています。

 かつて「成人病」という言葉がありました。これは大人が急になるものではなく、子供の頃からの生活習慣がもとで発症するため、今では「生活習慣病」と呼び方が改められています。若いうちにジャンクフードを食べ過ぎると、健康を害する未来が待ち受けている可能性があるのです。英国が打ち出した大胆な政策は、子供を守る立場にある大人がとった行動としては、評価できるものでしょう。

(出典:https://ideasforgood.jp/)


■ジャンクフードで脳が萎縮する

 ポテトチップスや甘い清涼飲料水、インスタントラーメン、クッキーなどの加工食品やファストフード‥‥ こうした食品は、塩分、糖分、脂質、カロリーが過剰なものが多く、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルや食物繊維などの栄養価は低いため、「ジャンク(=がらくた)フード」と呼ばれます。ジャンクフードを食べ続けると、肥満、糖尿病や心臓病などの生活習慣病になりやすいことはご存じの通りです。さらに最近の研究では、ジャンクフードが"脳にも悪影響"を与えることが明らかになってきました。

不健康な食事で左海馬の体積が小さくなる!?

 研究によると、[1]新鮮な野菜、サラダ、果物や魚などを摂取する健康的な食事のグループ [2]焼き肉、ソーセージ、ハンバーグ、ステーキ、ポテトチップスや清涼飲料水を摂取する西洋型の不健康な食事のグループに分けて調査した結果、[1]の参加者たちは、平均的な食事パターンの人より、左海馬の体積が45.7㎣が大きめでした。一方[2]の参加者たちは、左海馬の体積が52.6㎣小さくなっていました。また、年齢、性別、教育、労働状況、抑うつ症状と投薬、身体活動、喫煙、高血圧や糖尿病など他の要因を除いた食事だけでも、海馬の体積に影響を与えることが分かりました。

 海馬は学習や記憶、抑うつなど気分の調節に関与しています。また成人でも「ニューロン新生」と呼ばれるくらい、新しい神経細胞をつくる稀な脳の領域です。海馬の体積はうつ病だと減少し、抗うつ薬はニューロン新生と海馬の体積を増加させると報告されてきました。

加工食品は避けなければならない

 海馬は、一生を通じて学習、記憶および精神的健康の中心です。よって今回の調査結果は、全年齢の人に当てはまるでしょう。つまり、食事の主な成分を野菜、サラダ、果物、豆類、全粒穀物と生のナッツなどの植物性食品、魚や脂肪の少ない赤身肉、オリーブオイルなど、健康な脂質にすべきだということです。同時に、清涼飲料水、塩味の揚げたスナック、焼き菓子のような加工食品は極力、回避するべきです。健康に良くない脂質や糖分、精製された炭水化物を多く含む食品類は、海馬や消化管に悪影響をおよぼすのです。

 最近の研究で、腸内細菌叢が体や心の健康に関して、中心的な役割を果たすと分かってきました。食物繊維を多く含む食品や発酵食品は、腸内細菌叢の健康を促進しますが、脂肪や人工甘味料、乳化剤を含む加工食品は、腸の健康を損傷してしまうことが理解されています。

食事パターンと精神障害の発症の関係

 世界保健機関(WHO)によると、精神疾患や神経疾患に苦しむ人は世界で4.5億人にも上り、生涯に4人に1人が経験しています。特に大きな割合を占めるうつ病と不安障害の人口は、今後数十年のうちに世界全体でさらに増加すると示唆されています。精神障害の発症には遺伝や環境などの様々な要素が複雑に影響しあっていますが、今回の報告で、食事のパターンの重要性が示されたのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年4月23日水曜日

腸内環境

 腸内環境を整えて、元気な毎日を!

 腸は、食道、胃に続く消化器の一つで、小腸、大腸に分かれています。私たちは、これらの消化器から食べた物に含まれている水と必要な栄養素を吸収し、残ったものを便として排泄します。排便時に便の状態を確認することは、自分自身の健康状態を知るために役立ちます。理想的な便は、いきまずにストンと出る黄色または黄褐色の便です。便は、腸に長く留まるほど硬くなります。また、黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内環境のバランスが悪くなっている状態です。腸内環境が悪いと、便秘や下痢など、お腹の不調が起こります。

 腸内には、およそ1000種類、100~1000兆個の細菌が棲んでいると言われています。多種多様な菌の様子が花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれます。腸内細菌には、腸によい働きをする善玉菌と腸内で有害物質を作る悪玉菌、どちらかの優勢な方に味方する日和見菌があります。腸内細菌の種類は、人によって全く異なり、食べ物や生活習慣、加齢、ストレスなどによっても変化します。健康的な腸内環境は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢で、腸内を弱酸性に保ちます。酸性に傾いた腸内は、悪玉菌の増殖を妨げ、有害物質の生成を抑えます。また、悪いイメージの悪玉菌ですが、肉類などのたんぱく質を分解し、便として排泄するという大切な働きがあり、必要不可欠な存在なのです。

 善玉菌と悪玉菌の勢力争いにより、腸内フローラのバランスは毎日変化しています。

 私たちの腸は、体を病原菌やウイルスから守る「腸管免疫システム」を備えています。腸内環境はこの免疫システムにも影響するため、免疫力を高めるためにも、善玉菌を増やし、腸内環境を良好にすることが大切です。

 腸内環境は、食べたものに大きく左右されるので、食生活には注意が必要です。善玉菌を増やすには二つの方法があります。一つは、ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品などを摂ること。善玉菌を腸内に増やすためには、毎日続けて食べると効果的です。もう一つが、オリゴ糖や食物繊維を摂ることです。オリゴ糖や食物繊維の成分は、消化・吸収されることなく大腸まで達し、善玉菌のえさになって、菌の量を増やします。オリゴ糖は大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに多く含まれます。

 腸内環境を整えるには、腸そのものを動かす習慣をつけることも重要です。適度な運動は、体を振動し筋肉も動かすので、腸内の便の動きをサポートしてくれます。便を送り出すためには、腹筋や、体の深部にある腸腰筋が後押ししてくれるので、ウォーキングなど下半身の運動を増やすよう心がけましょう。また、十分な睡眠や朝食を摂ることでも、腸内のリズムが整います朝の目覚めに一杯の水や白湯を飲むと、大腸の反射を促すことができるのでおススメです。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■腸内環境とうつ病の関係

 うつ病の原因の一つが脳内セロトニンの不足です。不足すると神経細胞間の情報交換が乱れ、キレやすい、落ち込む、無気力、ボーっとするなど様々な症状が表れます。

 セロトニンは、実は脳内に2%、腸内(消化管粘膜)に90%、血液(血小板中)に8%という割合で存在しています。このたった2%の脳内セロトニンが人の精神状態を大きく支配するのですが、腸内環境が正常でないと腸内のセロトニンが脳まで上手く運ばれず、脳内セロトニンが不足してしまいます。

 セロトニンを増やす研究の中で、腸内細菌の重要性が分かってきました。スウェーデンのカロリンスカ研究所で、腸内細菌を持つマウスと持たないマウスを比較した結果、腸内細菌を持たないマウスは、危険を伴う攻撃的な性格や行動が顕著であることが確認されました。腸内細菌が活発な健康な腸はセロトニンを生成し脳に送り届けるため、精神状態も良好である事が分かったのです。つまり、腸内環境の悪化がうつ病の要因にもつながるという事です。

 高齢化の進んだ現代社会では、新たな問題も生じてきました。認知症と抗うつ剤の問題です。日本では認知症患者は多くの場合、精神科で診ます。認知症患者の表情は暗く、無気力なものです。これは認知症の周辺症状の一つにすぎませんが、精神科医の中には、これをうつ病と誤診して、強い抗うつ剤を処方することがあります。認知症患者に抗うつ剤を処方すると、歩行困難や寝たきりになるケースがままあります。認知症の人は、脳の状態が非常にデリケートで、薬の量が少し多いだけでもダメージが大きくなります。症状悪化⇒より強い抗うつ剤⇒症状がさらに悪化⇒二度と改善しないほど深刻化‥‥という状況に陥ります。

 高齢者の場合、それが認知症なのか、うつ病や統合失調症なのか区別をするのが困難です。幻視や妄想の症状のある人に、リスパダール(抗精神病薬)を処方する精神科医が多いですが、それが認知症の症状だった場合リスパダールを処方するのは極めて危険です。筋肉に異常が起こり、歩けなくなってしまう患者もいます。

「医者に言われたから」「有名な薬だから」と安易に薬を飲んでいると取り返しのつかないことになります。患者の家族側にも"知識"という武器が必要なのです。

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 脳内セロトニンの増加と脳神経細胞膜流動性の向上には「ラフマエキス」がお勧めです。

 また、「HM-3000(特系霊芝)」は、乳酸菌等で腸内細菌の環境を整えると同時に、腸壁に密集する絨毛(じゅうもう)内の毛細血管の機能を改善し、腸の働きを促します。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年4月17日木曜日

脳の仕組み

 良質の油は思考を柔軟にする

 人の全ての細胞膜は、主にリン酸脂質によってつくられています。もちろん、脳の神経細胞の膜も脂質でできており、細胞膜がきれいな状態でなければ、神経伝達物質もうまく働いてくれません。神経伝達物質の正常なやり取りがなければ、脳は正常な指令を出すことができなくなり、ひどい場合には、うつ症状などが表れることになります。

 細胞は、生命の基本単位です。細胞が正常に働かなければ、人は何もできなくなります。細胞の再生が上手くいかなくなれば、その部分が壊死します。また、細胞間の神経伝達が滞れば、触っても何も感じなくなるのです。しかも、脳の神経細胞の数は、生まれたときに備わっていた数から増えることはありません。年を重ねるにつれ、どんどん少なくなっていくだけです。それでは、どうすれば細胞の働きを健康に保てるのでしょうか。

 たとえば肌の老化には、3つの大きな原因があると考えられています。

 一つは「乾燥」です。高齢者の肌がカサカサになるのは、保水力が衰え、皮膚が乾燥するからです。二つ目が「光老化」、つまり日焼けによる老化です。私たちの肌は、日光の中の紫外線を受けると日焼けを起こします。若いころは海水浴をして日に焼けても、そのうち黒くなった肌がむけ、3カ月もすると元通りになります。しかし、年齢とともに、焼けた肌はなかなか元のようには戻らなくなり、紫外線を受けた部分にシミやソバカスができるようになります。高齢者の顔に見られる紫斑がこの光老化によるもので、日光に晒される顔の部分に集中的に表れます。三つめは「酸化」です。酸化はストレス、飲酒や喫煙、紫外線、放射線、食品添加物などによって生じる、いわば身体のサビ。肌の老化の約8割がこの酸化によってもたらされている、とも言われています。

 よく言われるアンチエイジング(抗老化)というのは、肌の老化の3大原因をできるだけ避け、美しく健康的に歳を重ねることを提唱しているわけです。ここで注意しなければならないのは、肌で起こることは全身で起きている、ということ。中でも「酸化」は、細胞レベルでも日々起こっています。たとえば、悪い油を摂ると細胞膜がサビつきます。細胞膜の再生を促すような質の良い油を補給する必要があります。サビついた細胞をそのまま放置しておくと、神経の伝達はどんどん滞ってしまい、その結果、見た目の健康も、精神的な反応も、悪くなってしまうのです。

 ここでいう“質の良い油”とは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、オメガ3系の油です。イワシやサバなどの青魚、大豆などに多く含まれています。

 脳の神経細胞の膜をきれいに保つことができれば、判断力や思考力などもアップします。DHAやEPAは、血液をサラサラにする効果も非常に高く、肉体的な若さを保つ意味でも、積極的に摂るようにしたいものです。

(出典:『甘い物は脳に悪い』笠井奈津子著より)


■脳の仕組みとこころ

感情・思考を生み出すのは脳

 楽しい、悲しいといった感情や物事を考える思考は、頭の中つまり脳で生み出されています。では、脳は何でできているでしょうか? 答えは「神経細胞」です。

 脳は神経細胞の集合体で、その数は500億~1000億個以上と言われています。集合体の中ではある一つの神経細胞がキャッチした外部情報をリレーのように次の神経細胞へ、そしてまた次の神経細胞へと伝えています。

 情報を伝えるバトンの役割をするのが神経伝達物質です。神経細胞内部では情報が電気信号となって細胞の末端まで到達しますが、電気信号のままでは次の神経細胞に情報を伝えることはできません。そこで、電気信号は神経伝達物質が収納されている袋に働きかけ、神経伝達物質を放出させます。すると、次の神経細胞では放出された神経伝達物質をキャッチし、その情報を再び電気信号に変換して次の神経細胞へとリレーをつなぎます。つまり外部情報は、電気信号と神経伝達物質に変換されることを繰り返しながら伝えられていきます。

 また、キャッチした外部情報のすべてが次の神経細胞に伝えられるわけではありません。情報量が一定量未満の場合には、その情報は消えてしまいます。

 このように脳内の500億~1000億個以上ある神経細胞では、外部情報を取捨選択しながら情報の取り込みと伝達を繰り返す「外部情報のリレー」が無数に起きています。そして、その果てしないリレーの結果として感情・思考が生み出されているのです。

こころの病気と神経伝達物質

 神経伝達物質は情報を伝達する大切な役割を担っています。神経伝達物質の働きがきちんと行われているからこそリレーが続き、その結果として感情・思考は正常に作動して精神状態が正常な状態に保たれます。逆に、神経伝達物質の働きが乱れてしまうと、精神状態を正常に保てなくなるのです。精神状態が正常に保たれなくなった結果として、うつ症状や過剰な不安・興奮が現れてしまうのです。

 神経伝達物質は量が不足しても過剰であっても“正常でない”状態です。神経伝達物質には多くの種類がありますが、こころの病気に関係する代表的なものは、ノルアドレナリンドーパミンセロトニン(右表参照)で、「脳内3大神経伝達物質」と呼ばれています。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年4月9日水曜日

4月10日は「女性の日」

 女性特有の病気

 明日、4月10日は「女性の日」です。1949年に労働省(現・厚生労働省)が「婦人の日」として制定し、1998年「女性の日」に改称されています。

 さて、治療や入院、手術を伴う疾病の中には、女性がかかりやすい病気がいくつかあります。女性の病気は年代によって異なりますが、ライフステージごとに何かしらの疾患リスクがあります。「年齢のせい」「疲れのせい」などと自己判断していると、知らない間に病気が進行してしまう可能性もあります。以下は各世代で気を付けたい病気です。


 20代~30代   就職や結婚、妊娠・出産など、大きな変化が起こりやすい年代です。

(1)月経関連の病気:女性は慢性的なストレスを抱えていると、ホルモンバランスの乱れから、月経関連の病気にかかりやすくなります。

(2)甲状腺の病気:代謝をつかさどる「甲状腺ホルモン」が体内で過剰に分泌されると、バセドウ病という甲状腺疾患を発症することがあります。女性の罹患率は男性の3~5倍とされており、女性特有疾患のひとつに数えられています。

(3)乳がん・卵巣がん・子宮がん:女性特有の器官にまつわるがんは比較的若いうちから発症リスクが高くなります。事実、厚生労働省の統計によると、乳がん・卵巣がん・子宮がんのいずれも20代~30代以降から罹患率が上昇し始めています。

 40代~50代   加齢による衰えが目立ち始める年齢で、心身の不調に悩まされやすくなります。40代後半、更年期の症状が表れ始めますが、他にも気を付けたい病気があります。

(1)乳がん・卵巣がん・子宮がん:40代以降になると罹患率が大きく上昇する病気です。特に乳がんの罹患率は20代~30代と比べると7倍以上に及んでいます。

(2)更年期障害:閉経期前後の10年間に、卵巣ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少し始め、症状が現れます。のぼせや顔のほてり、動悸、息切れ、発汗、頭痛やめまい、イライラなど、心身に様々な不調を来すようになります。閉経を迎えると、これらに加えて膀胱炎や関節痛、無気力感などの症状が表れ始め、さらに心身への負担が大きくなります。

 60代以降   60代以降は、加齢や閉経などの影響で心身に異常やトラブルが発生しやすくなります。女性ホルモンの分泌減少に伴うトラブルに悩まされるようになるため注意が必要です。また、男女問わず疾患リスクも高くなるため、幅広い病気に備えることが大切です。

(1)がん:女性特有のがんに限らず、胃がんや大腸がん、肺がんなど他の部位のがんリスクも高くなります。特に大腸がんや肺がんは、乳がんに次いで罹患数が多いがんであり、死亡数で見ると大腸がん・肺がんが乳がんより上位に位置しています。

(2)更年期関節症:女性ホルモン「エストロゲン」の受容体は、筋肉や腱などの関節組織にも分布しており、節々の柔軟性を維持する働きを担っています。更年期にエストロゲンの分泌が不安定になると、関節の柔軟性が徐々に失われ、手足にこわばりや痛みを感じるようになります。

(出典:https://www.taiyo-seimei.co.jp/)


■女性のストレス

 職場に家庭、子育て、仕事量や人間関係など、日常的に抱えるストレスは、女性なら月経不順といった体の不調や深刻な病気を引き起こすことが多くあります。

女性の脳とストレスの影響

 女性は脳内セロトニンの産生能力が男性よりも低い*ため、ストレスが体に反映しやすくすぐ生理周期や体調に影響してしまうので、女性にとってのストレスはまさに大敵です。

 これは、女性の脳の仕組みに理由があります。自律神経をつかさどる視床下部と女性ホルモンを分泌させる下垂体が近くにあり、ストレスで自律神経が刺激を受けると視床下部と一緒に下垂体も反応し、ホルモンがスムーズに分泌できなくなってしまいます。その結果、女性ホルモンのバランスが乱れ、生理不順PMS(月経前症候群)月経困難症など女性特有のトラブルが起こりやすくなってしまうのです。

* 女性の脳内セロトニンの産生能力は健常男性よりも約52%低く、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少することが研究でわかっています。

月経異常、PMSはストレスで症状が悪化?

 更年期年齢(45~55歳)でもないのに3カ月以上月経がないとか、24日以内の周期で頻繁に月経があるようなら、明らかに月経異常です。無排卵の可能性もあります。放置すると不妊になったり、血管や骨の老化を早めたりする原因にもなります。また、月経の3~10日前に以下のような症状が出たらPMSの可能性があります。 ●腹部のはり ●むくみ ●頭痛 ●便秘 ●肌荒れ ●落ち込み ●感情の制御不能 ●イライラ ●眠い ●異常な食欲

 ストレスが強いと痛みや精神的な症状が強く出る傾向があり、中には暴力的になる人もいます。これらの症状は月経がはじまると治まります。

女性はうつ病の生涯有病率が男性の2倍!

 うつの症状は、環境の変化や仕事などのストレスなどが引き金になります。特に女性の場合、環境の変化の他に、出産や閉経などの女性ホルモンが減少することがきっかけになることがあります。

 人が一生のうちにかかる「うつ病」の割合(生涯有病率)、男性に比べ女性のほうが約2倍高いことがわかっています。特に社会的な影響が大きいのは産後に発症する産褥期(さんじょくき)です。発見が遅れると、母親の状態が子供の発達にまで影響を及ぼします。

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 月経の前(黄体期)にはセロトニンが低下することが知られています。PMSの症状軽減には、「ラフマ葉エキス」のセロトニン活性効果が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月2日水曜日

自閉症

 自閉症、海馬異常で他者覚えづらく

 今日4月2日は「世界自閉症啓発デー」。2007年の国連総会において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。

 昨年6月、東京大学の研究者らは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などとの共同研究で、自閉スペクトラム症(ASD)*で脳の海馬にある特定の神経同士の接続が弱くなり、他者を記憶する能力が下がることをマウスの実験で突き止めました(英科学誌「Nature Communications」に掲載)。ASDでは他者を記憶しづらくなる社会性記憶障害が起きることがあります。成果はASDの解明や治療法の開発に役立つと見られています。

 脳が物事を記憶する際、複数の神経細胞が繋がる神経回路に情報を保存していると考えられています。他者に関する記憶の場合、相手に応じて反応する神経細胞の集団が変わります。

*自閉スペクトラム症(ASD)とは:何らかの脳機能の障害によって、日常生活に支障をきたすほど他者とのコミュニケーションに困難を抱えたり、特定の物に強い興味やこだわりなどを示したりする発達上の障害。子どものころに症状があらわれはじめ、男児に多く発症する傾向がある。ASDに関与する遺伝子は数百以上に上り、複数の遺伝子の異常によって発症するとみられている。人によって様々な症状を示し、根本的な治療法はない。かつては言語発達の違いで「自閉性障害」や「アスペルガー症候群」と区別していたが、現在は多様な症状をまとめ、ASDとしている。

 ASDではコミュニケーション障害や興味の幅が狭まる症状のほか、社会性記憶障害が起きることがあります。研究チームはASD発症者の多くで変異が生じる遺伝子「Shank3」について、マウスの脳全体で働かなくさせるとこの障害が起きることを見つけていましたが、詳しい仕組みは未解明でした。今回の研究では、記憶に関わる脳の海馬だけでShank3遺伝子が働かないように遺伝子操作したマウスを使い、社会性記憶障害との関連を調べました。通常のマウスは初対面の相手に興味を抱き、近寄って観察する時間が長くなります。一方で面識がある相手を観察する時間は短いのです。ところが遺伝子操作したマウスは面識がある相手にも長く接しました。他者に関する記憶には一定数の神経細胞が必要なことも分かりました。Shank3遺伝子が働かないようにした海馬の神経細胞の数を徐々に増やすと、ある段階で社会性記憶障害が起きました。

 疾病対策センター(CDC)によると8歳児の36人に1人がASDの患者だと推定されています。ASDに関わる遺伝子は数百個あり、複数の遺伝子変異の蓄積で発症する場合も多いようです。症状は様々で、根本的な治療法はありません。

 研究チームはヒトのASDの社会性記憶障害でも、脳の海馬の同様な仕組みが関わっているとみています。研究者の一人は「海馬がASD治療の新たな標的となる可能性がある」と話しており、海馬の神経細胞のつながりを改善する研究などを進める考えです。

(出典:https://www.nikkei.com/)


■自閉症と自律神経

 自閉症の人では、自律神経のバランスが乱れていることが多く、自律神経失調症の症状が起こりやすくなります。自律神経失調症の症状としては、思うように体が動かない、イライラしやすい、やる気が出ない、不安感が強くなるなどが挙げられます。

 自閉症は、遺伝要因と環境要因による複合性疾患と考えられており、生まれつきの障害で完全に治ることはありません。自閉症の環境要因としては、妊娠初期の喫煙、水銀、有機リン酸系農薬、ビタミン等の栄養素、親の高齢、妊娠週数、出産時の状況(帝王切開等)、夏の妊娠、生殖補助医療による妊娠などが考えられています。また、自閉症では、知的能力障害(知的障害)のほか、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、学習障害(限局性学習症、LD)などがしばしば併存します。

リーキーガット症候群

 小腸の粘膜にはもともと穴が開いており、身体に必要な栄養を吸収しています。ところが何らかの理由で穴が大きくなってしまうと、有害なものまで体内に取り込んでしまい、それが慢性炎症を生じさせて病気を起こしやすくさせます。これを「リーキーガット症候群」(右図参照)といい、ガン、心臓病、糖尿病、アレルギー疾患、認知症、うつ、不安症、そして自閉症などにも深く関わっています。

 リーキーガット症候群の原因として、慢性ストレス冷え糖質過多の食事加工食品抗生剤などの薬残留農薬の野菜などが挙げられています。

発達障害とキノコ

 発達障害の子どもを調査したところ、野菜嫌いの子どもの中でも、特にキノコが苦手な子どもが多いという結果が出ているようです。自閉症とキノコに関する総論において、キノコの摂取が腸内細菌叢を改善させて、自閉症を改善する可能性が指摘されています。

 また、食用キノコのサプリメントが、自閉症児の腸内細菌叢を改善することが報告されており、チャーガ(Inonotus obliquus)、霊芝(Ganoderma lucidum)、冬虫夏草(Cordyceps militaris)、山伏茸(Hericium erinaceus)、ひらたけ(Pleurotus giganteous)、マジックマッシュルーム、舞茸、椎茸などの“自閉症やADHDに対する有効性”が指摘されています。

 自閉症児では偏食が多く、偏食によって腸内フローラの問題が起こることが指摘されています。一方で、腸内細菌叢が操り人形のように摂食行動を操作することが知られています。

 自閉症の腸内フローラの特徴としては、多様性とプレボテラ(腸内細菌タイプ=エンテロタイプを決める3種類の菌のうちの一つ)が少ないことが指摘されています。マウスの実験では、キノコ類がプレボテラを増やすことが確認されています(2018『Journal of Functional Foods』)


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2025年3月26日水曜日

難聴と認知症

 難聴は認知症に直結!

 最近、テレビの音が聞こえづらくなったなぁと思っている方、実は聴力は認知症に直結することがわかっています。「加齢性難聴は、大体の人がなる。男性も女性も40代~50代でなることが多い。大規模な調査で、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、糖尿病など生活習慣病がある人は、難聴が早く起こりやすいことが分かった。生活習慣病の放置は、難聴の進行を促すという結果も出ている」(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長、石井正則氏)

 耳は外側から、大きく外耳、中耳、内耳に分かれています。このうち、脳に音を伝える器官、蝸牛(かぎゅう)がある内耳の周りには細い動脈がとぐろを巻いています。生活習慣病になると動脈硬化が起こりやすく、その動脈硬化の影響で蝸牛の中にある細胞に栄養が行き渡らなくなり、結果として細胞の機能が落ちて、高い音から聞こえづらくなっていきます。

 蝸牛の中の細胞は毛が生えている有毛細胞で、音が入ってきてこの毛が振動することで脳に音が伝わります。有毛細胞に栄養が届かないと、この毛がどんどんと抜けていきます。それで聞こえづらくなっていくのです。しかもこの毛は、一度抜けたら生えてきません。

 この毛が抜けないようにするには、生活習慣病の改善が大事です。血流を良くするには、心地よく汗をかく有酸素運動が決め手になります(但し、ホットヨガのように強制的に汗をかくとよくないという結果も出ています)。あくまでも“心地よく”汗をかく有酸素運動を心がけましょう。

 自分はどれくらいの難聴なのかを判断するのに、「指こすりテスト」というチェック法があります。腕を横に伸ばした状態で、乾いた親指、人さし指、中指の3本の指先をこすり合わせます。このカサカサという音は約1000~3000(平均2000)ヘルツで、この音が聞こえなければ、軽度の難聴と考えられます。次に、腕を曲げて耳から、大体50cmぐらいの位置で同じようにこすります。ここで聞こえなければ中等度の難聴の可能性があります。

 そして、軽度でも診察を受けることをお勧めします。それは難聴が認知症につながる危険因子の第1位になっているから。

「耳から入る情報が減ると、脳の中で情報伝達のために作られる“シナプス”という構造も減少し、これが認知症の発症に影響することが明らかになっており、国際アルツハイマー病会議でも報告されている。聞こえづらいと人と会話をするのも億劫になり、外出する機会も減る。孤独は認知症につながる。聞こえづらくなったら補聴器を使ってください」(石井氏)

 補聴器は抵抗がある、という方も多いかもしれません。

「G7(先進7カ国)の中で、日本は補聴器の装用率が桁違いに低い。年寄りに見える、恥ずかしい、などと考える方が多いようだ。補聴器を使うと認知症になりにくいというデータも出ている。補聴器は安くはないが、補助を出している自治体もあるし、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医を受診して作れば、医療費控除の対象にもなる」(同氏)

(出典:https://mainichi.jp/)


■難聴と血流

 難聴には血流が大きく関係しており、血流障害や動脈硬化などが原因となる場合があります。難聴と血流の関係について、次のようなことが知られています。

●動脈硬化が進行すると、蝸牛神経を養っている毛細血管の血流が途絶え、難聴が進行する。

●内耳血管で血栓や出血、麻痺などが起こり、内耳の血流が妨げられると突発性難聴が起こることがある。

●疲れやストレスで自律神経のバランスが崩れ、血流が悪くなることで突発性難聴を発症しやすくなる。

●内耳や神経の老化、血管の年齢的変化などにより、50歳位から難聴をきたす加齢性難聴(老人性難聴)になることがある。

 難聴の治療では、血流改善薬と共にビタミンB12が投与されることもあります。ビタミンB12には、難聴を引き起こす傷ついた末梢神経を修復させる働きがあると言われています。

 また、内耳の血流を良くするには、以下のような方法もあります。

◆耳の後ろにあるツボ(完骨)の辺りにホットタオルを当てる ◆寒くなる時期は日頃から耳を冷やさないようにして、イヤーマフや帽子などで防寒対策を心がける ◆耳のマッサージを行う ◆亜鉛を多く含む食材や、葉酸を含む食材を積極的に摂る

脳の血流と認知症の関係

 難聴は認知症の発症リスクを増大すると言われており、それにも脳の血流が大きく関わっています。認知症と脳の血流には次のような関係があります。

 慢性的な血流低下⇒認知機能障害のリスクUP :脳の血流が低下すると、脳に十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、認知機能障害の発症や病態の悪化につながる。

 脳の血管の障害⇒認知症が発症 :脳の血管が詰まる、破れる、収縮することで脳への血流が制限され、認知機能が低下。この状態が長期間続くと、認知症が発症する。

 アルツハイマー病の初期に代謝・血流が低下する :アルツハイマー病の初期には、大脳皮質連合野の代謝や血流が低下する。

 脳血管が詰まる、破れる、収縮することで脳への血流が制限され、認知機能も低下します。脳血管障害(脳卒中)によって脳の血管が詰まったり、出血したりすることで起こる認知症を「血管性認知症」といいます。認知症全体の約2割を占めており、高血圧や糖尿病、不整脈、高脂血症などの生活習慣に起因するものが大半です。

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 脳の血流や脳の血管の機能維持・改善に期待できるのが「HM-3000(特系霊芝)」です。HM-3000の連続使用により、認知症患者の症状が改善したという多くの実証例があります。


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2025年3月19日水曜日

自律神経とセロトニン

 自律神経の乱れで起こる体の変化

 自律神経が乱れると、体にはどのような変化が起きるのでしょうか。自律神経の研究で知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると「まず、呼吸が浅くなって血流が悪くなる。すると、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなるため、首や肩のこり、腰痛、冷え、頭痛、疲れが抜けない、だるいなど、様々な不調が生じてくる」とのこと。

 脳にも酸素や栄養が運ばれにくくなるので、冷静な判断ができなくなったり集中力を欠いたり、感情のコントロールが利かなくなったりします。その結果、仕事のパフォーマンスが落ちて、ミスが増えるようにもなります。そうなると、 事が思うようにはかどらない  ⇒ イライラ  ⇒  時間がなくなって焦りが生じる  ⇒  自律神経はいっそう乱れる ‥‥

「また、イライラや焦りから余計なことを言ってしまうリスクも高まる。つい口走ってしまって『言わなければよかった』と落ち込むと、自律神経はさらにいっそう乱れることに。まさに"悪い流れ"に乗ってしまった状態で、やっかいなことに、一度ハマるとなかなか抜け出せない」(小林氏)

 通常、心身の調子が悪ければペースを落としたり、ゆっくり休もうと思うものですが、自律神経が乱れていると、交感神経が優位になったままで副交感神経が十分に上がらず、リラックスして休むことができません。その結果、睡眠の質が悪くなって、翌日も"悪い流れ"を引きずってしまうのです。

 小林氏は「人の体は『流れに乗る』のは得意だが、『流れを変える』のはあまり得意ではない」と言います。

 では、悪い流れを断ち切るにはどうすればいいのでしょうか。

「今、私たちが意識すべきは"戻す"ではなく『新たに始める』ことで新しい生活をつくっていく、という考え方にシフトすべき。新しい生活をつくるには、今までやったことがないことを始める必要がある。なぜなら、心身の調子が下がっている状態だと、今までと同じようなことをしてもインパクトに欠けて、自律神経をリセットできないからだ」(小林氏)

 サッカーや野球でも、悪い流れを断ち切るのは目が覚めるようなファインプレーです。人生も同じで、流れを変えるには、今までやらなかったことをやる必要があります。「例えば、不規則な生活をしている人なら、夜は10時に寝て朝は5時に起きる。運動不足の人なら、通勤時には1駅前で降りて歩くようにしたり、会社内の移動はエレベーターを使わずに階段を使ったりする。食生活に気を使ってこなかったのなら、朝起きたら白湯を一杯飲む、とにかくよく噛む、ということでもいい」(小林氏)

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■セロトニンの増加で及ぼす効果

「セロトニン」は、ストレスに対して効能のある脳内物質です。セロトニンの分泌を促すことによりメンタル不調の予防が期待できます。脳内セロトニンを生成する能力は、男性は女性に比べて約52%高く、セロトニンの分泌は女性ホルモンとも連動しています。

日光とセロトニン

 日光を浴びると、私たちの脳内では神経伝達物質セロトニンが分泌されます。セロトニンは、精神の安定や安心感や平常心、頭の回転を良くして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせるカギとなる脳内物質です。特にストレスに対して効能があり、精神安定剤とよく似た分子構造をしています。日光を浴びるタイミングとしては、起床直後から30分までが重要です。一日15分~30分ほど日光浴することを意識しましょう。

セロトニンの分泌を促すには

 セロトニンは日光浴のほか、様々な方法で分泌を促進できます。その一つが、リズミカルな運動。基本的なリズム運動には、歩行運動、食事の咀嚼、意識的な呼吸などがあります。一定のリズム運動は、セロトニン神経を刺激して覚醒状態を高める効果があります。また、人との触れ合い(グルーミング)も効果的です。

食事もセロトニンの分泌に大きく影響します。その栄養素はトリプトファン(必須アミノ酸の一種)です。体内では生成できないので食事から摂る必要があります。トリプトファンを含む食品としては、魚類、乳製品、大豆製品、ナッツ類やバナナなど。また、ビタミンB6、マグネシウム、ナイアシンを含む食品もセロトニン生成に関わります。ただし、心身の健康には、これらの栄養素だけに偏ることなくバランスのよい食事が基本となります。

 実はセロトニンの大部分は消化管に存在しています。腸は「第2の脳」とも言われ、精神状態と大きな関係があるのです。腸の働きは自律神経によってコントロールされており、ストレスの多い現代社会では、自律神経の働きが乱れやすくなっています。腸管免疫は体で最大の免疫器官で、体内のセロトニンの90%が消化管にあります。

 また、睡眠もセロトニンに大きく影響します。脳は、複雑で高度な活動を行う器官ですので、定期的にしっかりと休むことが重要です。寝不足が続くと、些細なことでイライラしたり、気分が晴れなかったりするように、脳の機能も低下してしまうのです。

 日中にセロトニンを作られず不足すると、夜に分泌量が増える睡眠ホルモンのメラトニンも減少するため、睡眠障害や、睡眠の質の低下などの弊害が出てきます。

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 康復医学学会のお勧めする「ラフマ葉エキス」には、脳内セロトニンを増やしセロトニン神経の通過性を安定させるエビデンスがあります。したがって、自律神経のバランスを調整・活性化に影響すると考えられています。睡眠の改善や精神疲労の改善に役立ちます。


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2025年3月12日水曜日

インスリン様成長因子

 高身長は“がん”のリスクが高い

 中国・復旦大学付属上海市第5人民病院の研究調査によると、身長が高い人は、がんになるリスクが高いといいます(『Cancer Epidemiology誌』2024年10月号に掲載)。中国人の特定集団を一定期間にわたり追跡調査した結果、身長の高い人は、がん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頚がんのリスクが有意に関連していました。さらに、中国、日本、韓国のデータを用いて解析した結果、東アジア人は、高身長が、肺がんおよび胃がんのリスク因子となる可能性があるそうです。研究チームは「身長とがんのリスクとの関連性は多くの研究で示されているが、こうした研究の大半は西洋人を対象としている。本研究では東アジア人におけるこの関連性を評価することを目的とした」としています。

 身長と病気との関係については、日本の「国立がん研究センター」も調査結果を発表しています(2018)。調査結果によると、身長が高い成人は男女ともに脳血管疾患で死亡するリスクは低いが、身長の高い男性はがんの死亡リスクが高くなっています。この研究は40~69歳の男女10万7794人を対象とし、長期間(平均約19年)追跡調査したもの。身長は自己申告で、身長別に4群に分け、全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患などを調べています。その結果、男性の低身長(160cm未満)と、高身長(168cm以上)との間には差があり、脳血管疾患の死亡リスクは高身長の方が17%低くなりました。また、呼吸器疾患死亡リスクも16%低かった一方、全がん死亡率は低身長の人に比べて、高身長の方が17%高くなっています。女性の場合は、脳血管疾患死亡リスクで差が出ました。高身長の女性(156cm以上)は、低身長(149cm未満)より脳血管疾患の死亡リスクが16%低くなっています。

 すでに欧米などの研究では、高身長ほどがんによる死亡リスクが高く、循環器疾患(心疾患や脳血管疾患)による死亡リスクが低いことが報告されています。

 では、なぜ高身長だとがんのリスクが高くなり、循環器疾患のリスクが低くなるのか。

「“高身長の人はがんリスクが高い”というのは欧米では一致した意見になっている。がんリスクが高まるメカニズムは、まだ明らかにされていない。ただ、高身長の人ほど発がんに関連する『インスリン様成長因子(IGF)』のレベルが高いことが関係している可能性は考えられる。IGFレベルが高いと細胞分裂が促され体も大きくなるが、がん細胞も増殖してしまう。もっとも、がんになるのはいくつも要因があり、高身長が及ぼす影響は微々たるものだろう。一方、高身長の人の循環器疾患のリスクが低くなるというのは、高身長の人のリスクが低いのではなく、低身長の人のリスクが高い、ということかも知れない。一般的に低身長の人は、幼少期に低栄養だった可能性があり、血管がもろく、循環器疾患のリスクが高くなるとも考えられる」(医療ガバナンス研究所理事長、内科医・上昌広氏)

 身長と病気との関係について研究が進み、予防や治療に役立つことが期待されます。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■インスリン様成長因子(IGF)とは

「インスリン様成長因子(IGF)」とは、インスリンに非常に似た構造を持つペプタイドホルモン(増殖因子)で、細胞の成長や分化、生存、代謝の調節など様々な役割を担っており、成長ホルモンにより肝臓や他の組織(骨格筋など)で産生されます。

 成長ホルモン(GH)の作用の多くはIGF-1を介したものです。ただ、脂肪を積極的に代謝する作用や、抗インスリン作用による耐糖能低下などは、成長ホルモンによる直接の作用であり、IGF-1にはありません。一方、IGF-1はインスリンと類似した作用を持っています。

 インスリンは細胞膜にあるインスリン受容体に結合し、IGF-1は1型IGF受容体に結合して、細胞内にシグナルを伝達します。糖尿病の患者ではこの2種類の受容体がハイブリッドを形成して、インスリン抵抗性の一つの原因になりますが、IGF-1はこのハイブリッド受容体とも強く結合し、その作用を発揮できる優れた点を持っています。

 以前はIGF-1とインスリンの比較をした文献が多く見られ、それらをたんぱく代謝、糖運搬、グリコーゲンやトリグリセリド合成などの面から比較検討していましたが、近年では、IGF-1の持つ筋合成、筋分化、加齢、筋損傷、筋疾患に対する作用に注目した文献も増えてきました。

 IGFの主な役割は次のとおりです。

◆新しい細胞の生成や損傷した細胞の再生を促進する。

◆代謝の調節や老化の抑制を行う。

◆肌のハリや潤いを保つために必要なヒアルロン酸の生成に関わる。

◆皮膚の構造と機能の維持に重要な役割を担う。

◆生活習慣病の予防や認知機能の改善、抗うつ効果、育毛効果などがある。

 IGFは成長ホルモン(GH)によって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。GHの作用の多くはIGF-1を介して行われます。

 インスリンとIGFは似た構造ですが、それぞれ異なる受容体に結合しています。インスリンは血糖値を下げる作用を持つたんぱく質です。

 インスリン様成長因子(IGF)とインスリンは、構造が似ていますが、作用や分泌のタイミング、結合する受容体などが異なります(右表)

 IGFは、成長ホルモンによって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。また、インスリンは糖や脂質などの物質代謝を調節する役割を担っています。


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2025年3月5日水曜日

ストレスと心血管系

 “騒音”は心臓に悪影響を及ぼす?

「騒音」は心臓にとって大敵になる──。そんな新たな研究が、2024年8月、欧州心臓病学会年次総会で発表されました。

 ドイツのブレーメン心臓血管研究所に急性心筋梗塞で入院した50歳以下の患者430人の居住地の騒音レベルを調べたところ、同地域の一般住民よりも高レベルの騒音に暴露していることがわかったそうです。若年で心血管疾患リスクが低い人でも、騒音の悪影響によって急性心筋梗塞のリスクがアップした可能性が示されたのです。

 またフランスの別の研究では、急性心筋梗塞で入院して28日以上生存していた患者864人を追跡調査。入院から1年後の時点で19%の患者に主要心血管イベント(心臓突然死、心筋梗塞の再発、狭心症など)が発生していて、夜間の騒音レベルが10dB(デシベル)増加するごとにリスクが25%増加することが明らかになったといいます。

 騒音と心臓疾患との関係は数多くの研究が行われています。マサチューセッツ総合病院の研究では、幹線道路沿いや空港周辺などの騒音レベルが高い環境に長期で暴露され続けた人は、騒音レベルが低かった人に比べて心血管疾患の発症リスクが3倍以上でした。健康な成人男女499人を対象に脳と全身の動脈のPET/CT画像を撮影、米国運輸省の騒音データに照らし合わせて騒音レベルを評価。騒音レベルが高い環境に住む人は情緒管理機能中枢である脳の扁桃体の活動レベルが高く、動脈の炎症レベルも高いことがわかったのです。

 他にも、115dB以上の環境で20年以上耳栓なしで生活した場合、心筋梗塞が最大で1.6倍に増えると報告されていますし、WHO(世界保健機関)も1日平均65~70dBの騒音は心臓疾患を増加させるとしています。

 騒音が心臓疾患リスクを高める原因については、「ストレス」と「ホルモン」の関与が考えられています。騒音は、脳のストレス検知部位である扁桃体の活動を活発にさせます。扁桃体は、外からの刺激に反応して自分にとって有益=快なのか、害悪=不快なのかを判断する役割があり、害悪の場合は活性化し、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミン、皮質からはストレスホルモンのコルチゾンを分泌させるのです。これらは心拍数を増加させ、血流を増して血管を収縮させるため血圧が上昇します。それだけ、心臓や血管の負担が増大することになります。さらに、ストレスによって炎症細胞が放出され、動脈硬化性のマクロファージが炎症反応を増強するため、プラークができたり、動脈瘤を形成したりすることなどもわかっています。騒音が不快な音の刺激として扁桃体を過剰に活動させることが、心血管疾患リスクをアップさせるのです。

 もちろん、騒音によって生じる睡眠不足や活動量の低下、難聴なども心臓に悪影響を与え、心臓疾患リスクを高めますから、騒音は考えている以上に心臓にとって大敵といえます。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■ストレスによる心血管系への影響

 ストレスによる生体反応を見てみましょう。ストレスの刺激(物理的或は心理的)を受けると、生体反応が起こり、主に精神神経系・心臓血管系・内分泌代謝系・筋肉運動系・消化器系・生殖系など、自覚症状や疾病があらわれるのがわかっています。

 ストレスが心臓に与える影響は次のとおりです。

交感神経の働きが高まり、脈が速くなり血圧が上昇する 

血管が収縮するため、心臓と血管に大きな負荷がかかる 

神経伝達物質が増え、血栓ができやすくなる 

血液の粘りが強くなり、冠動脈の硬化や閉塞が起こる 

心臓の筋肉が収縮しにくくなり、正常に血液を送り出せなくなる(たこつぼ心筋症)

 ストレスによる心臓の違和感は、ズキズキ・チクチクといった痛みで、長時間持続することがあります。また、強い不安感や不眠などの精神的な症状を伴うこともあります。

【ストレスが心臓血管系に及ぼす影響】

ストレス ストレスホルモンCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)ノルアドレナリン・アドレナリン 交感神経興奮 細動脈収縮 血圧・心拍数 心臓負担 

【関連する疾患と症状】

高血圧、狭心症、不整脈、神経性狭心症、血圧不安定など。 

ノルアドレナリン・アドレナリンが血小板凝集を促進

 ストレスは血圧や血糖値を上げ、消化器系の働きを抑制し、血清コレステロール値を急上昇させたりします。そして、ノルアドレナリン・アドレナリンは、血小板凝集を促進させ、正常な血液の流れを妨げ、血栓症を起こします。血栓ができると、動脈硬化症で狭窄した動脈に重い閉塞を招きかねません。

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対策ポイント:神経伝達物質のバランスと微小循環の血流改善

 ストレス状態が続くとストレスホルモンが放出されセロトニン放出が抑制され、アドレナリをはじめとする神経伝達物質のバランスを崩します。そして、微小循環の血流を低下させ、血小板凝集の促進~血栓~伴う疾病が表れることが考えられます。

 康復医学学会が長年研究を続けている「活性ラフマ」は、脳内のセロトニンを活性させます。脳内セロトニンの増加、セロトニンの神経通過性の改善により、ノルアドレナリン及びアドレナリンの働きを安定化させます。また、「HM-3000(特系霊芝)」は微小循環の血流改善に働くため、ストレスによる脳・心臓血管系対策に期待が持てます。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年2月26日水曜日

低血圧と認知症

 降圧薬減らして認知機能低下が抑制

 高齢者への降圧薬投与は珍しくありませんが、同薬の認知機能に及ぼす影響について一貫した見解は得られていません。米・カリフォルニア大学の研究者らは、高齢者1万2,644例を対象に降圧薬の減薬と認知機能低下の関連を検討する標的試験模倣研究を実施。その結果、「降圧薬の減薬による認知機能低下リスクの抑制が示唆された」と『JAMA Intern Med(9月23日オンライン版)』に報告しました。

 対象は、2006~19年に米軍退役者向け介護施設(CLC)での生活歴が12週間以上、降圧薬の継続期間が4週間以上で65歳以上の高齢者1万2,644例(平均年齢77.7±8.3歳、男性97.4%、白人73.1%、黒人17.5%)。CLC入所時に血圧160/90mmHg超、心不全の既往、降圧薬不使用が確認された例は除外。

 降圧薬の定義を9種の薬剤(β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、α遮断薬、血管拡張薬、カリウム保持性利尿薬)とし、減薬の定義を〔①前週と比べ使用薬数の減少または30%の用量減が認められ、②使用薬数または用量が低下した状態を2週以上維持した状態〕とした上で、対象を減薬群(1,290例)と継続群(1万1,354例)に分け、2年間またはCLC退所/死亡まで追跡しました。

 主要評価項目は、認知機能スケール(正常1点、軽度2点、中等度3点、重度4点)に基づき患者本人または介護職員から報告された12週時の認知機能低下とし、性、年齢、患者背景(体重、血圧、投薬量、既往歴など)を加味した解析で算出しました。

 追跡期間の中央値は減薬群が23週(範囲9~65週)、継続群が21週(同5~77週)で、ベースライン時の認知機能に両群で差はありませんでした。

 12週時の認知機能低下リスクは、継続群に比べ減薬群で有意な低減が認められ、認知症集団ではリスクの低減幅がより大きかったことがわかりました。

 研究者は研究の限界として、〔①大部分が白人男性である、②心不全患者を除外している、③認知症の種別を考慮していない〕ことを挙げた上で、「降圧薬の減薬による認知機能低下リスクの抑制が示唆された。特に認知症例において抑制効果が大きいと考えられる」と結論づけています。

(出典:https://medical-tribune.co.jp/)

※日本においても、東海大学名誉教授で大櫛医学情報研究所所長の大櫛陽一氏が、その著書『高血圧の9割は正常です』(ダイレクト出版刊)や『長生きしたければ高血圧のウソに気づきなさい』(ベストセラーズ刊)などで、脳梗塞や認知症と降圧薬の危険な関係を明らかにしています。


■低血圧と認知症の関係

 血圧というと高血圧ばかりに注意が向けられますが、健診における低血圧の基準値はありません。日本高血圧学会の基準でも、上120未満、下80未満であれば、どれだけ低くても「正常血圧」と判定されてしまいます。「診察室血圧」は病院で計る血圧、「家庭血圧」は家で計る血圧です。大抵の人は病院では少し緊張するため、上の血圧が10~20、人によっては30以上も高くなります。そのため最近は、家庭血圧の方が重視されているようです。

日本では「低血圧」は病気ではない?

 日本高血圧学会が決めた血圧の基準値の中にも「低血圧」という言葉は一切出てきません。また「高血圧学会」は存在しますが、「低血圧学会」はありません。つまり日本では、低血圧は病気として扱われていないということです。ただし世界保健機関(WHO)の定義があり、“上100以下、下60以下の状態が継続している”ものを低血圧としています。日本でもこれに準じて診断している医師が大勢いるので、健診の最後の「内科診察(医師による診察)」で「低血圧」と判断され、その旨が健診結果に記載されることがあります。

 低血圧の主な症状は、めまい、立ちくらみ、朝起きられない、など。命に係わることはなく、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが低いこともあって、「低血圧は治療の必要がない」とする医師が少なくありません。食事や生活習慣の改善指導を行う程度です。

 低血圧に悩む人の数はよく分かっていませんが、人口の約1~2%(125万~250万人)といわれます。また男性よりも女性のほうが多く、男女比は1:2とされています。     

血圧と認知症の意外な関係

 そんな低血圧と認知症の発症との関係を示唆する研究が、最近増えてきています。中年期では高血圧が認知症のリスク因子とされており、血圧を下げることが、将来の認知症の予防になると考えられています。ところが老年期になると、むしろ低血圧が認知症のリスクを高めるらしい、ということが分かり始めてきたのです。

 低血圧の人は、血液が全身に十分に回りにくく、特に脳は体の最上部にあるため、血液不足になりやすいのです。しかも高齢になると、ほとんどの人が動脈硬化になります。血管が硬くなるため、血圧を上げなければ、ますます血流量が減ってしまいます。つまり低血圧が続くと、血の巡りが悪くなって、脳細胞が酸素不足や栄養不足になるリスクが増してしまうのです。それが認知症の引き金になると考えられています。実際、高血圧の高齢者への降圧剤の処方で、血圧が下がり過ぎ、かえって認知能力が低下した、という話をよく耳にします。

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 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」には、恒常性の保持・調整作用「温寒」の性質に対する双方向性作用生理機能(呼吸や排泄、血液の循環、生殖、汗をかくことなど、生命活動に関連する基本的な機能)の正常化作用などが認められており、それらの作用が高血圧を改善するとともに、低血圧をも正常に戻す働きを持っていると言われています。


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愛・感謝 村雨カレン


2025年2月19日水曜日

膵臓がんと糖尿病

 膵臓がんと糖尿病の関係

 メディアで語られる膵臓がんのイメージは、「非常に怖いがん」であるということ。実際、膵臓がんの5年生存率は8.5%と、数あるがんのなかでもダントツで低いのです。「膵臓がんが見つかって、あっという間に亡くなってしまった」という話もよく聞きます。

 膵臓は血液中の糖を調整するインスリンを分泌するため、糖尿病と膵臓がんは密接な関係があります。50歳以上になって急に糖尿病になった人は要注意です。糖尿病が発症してから2年以内に膵臓がんが発見されることが多く、特に発症して1年未満の人が膵臓がんになるリスクは、糖尿病でない人と比べて5.4倍と非常に高くなっています。

 膵臓がんの早期発見で大きな実績を上げている、JA尾道総合病院副院長の花田敬士氏によると「治療中の糖尿病が急に悪化した人に、膵臓がんが発見されることも少なくない。糖尿病を長くコントロールしてきたのに急に数値が悪化した場合は、膵臓がんを疑う必要があり、私も臨床の現場でときどき遭遇する」とのことです。

 膵臓がんだけでなく、慢性膵炎などの膵臓の病気でも糖尿病が悪化することがあります。普段の生活習慣が原因である糖尿病と、膵臓の病気が原因となった糖尿病とでは、治療方法が異なるので、きちんと検査して原因を突き止めることが大切です。

 喫煙や肥満も膵臓がんの危険因子で、喫煙者の膵臓がんのリスクは約1.8倍です。禁煙でリスクは低下しますが、非喫煙者と同レベルまで下がるには約20年かかると言われます。

 肥満の程度を表すBMI(体格指数)が、海外で30以上、日本で25以上になると「肥満」と定義されます。海外では肥満による膵臓がんのリスクは1.3~1.4倍です。日本の場合、肥満男性の膵臓がんリスクは1.7倍で、特に、20代の肥満男性は3.5倍になるので要注意。

 不規則な食事や運動不足は肥満の原因となるので注意が必要です。また、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病があると、やはり肥満につながる可能性が高まります。肥満を解消することは、膵臓の病気のリスクを下げ、膵臓を守ることにつながると言えます。

 膵臓がんをはじめ、膵臓の病気はどれも初期の状態では自覚症状がほとんどありません。それが病気を早く発見することを難しくしていますが、だからこそ、膵臓の病気の「危険因子(リスク)」を知っておくことが重要になります。

「膵臓の病気は、生活習慣と関わりが深いという特徴がある。お酒が好きで量を飲む人や、脂っこい食べ物が好きな人は、膵炎のリスクが高くなる。また、糖尿病などの生活習慣病があると、膵臓がんのリスクが高まる。そのため、膵臓を守るためには、生活習慣の見直しがその第一歩になるといえる」(花田氏)

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■膵臓がんの予防と霊芝

 膵臓がんはよく“難治がん”といわれます。膵臓は深いところ(胃の裏)にあり、臓器や血管に囲まれているため、腫瘍の発見や診断のための細胞採取が困難とされています。周辺にある動脈に膵臓がんが拡がると、がんの大きさが小さくても手術が行えないことが多々あります。これが、膵臓がん全体の7割は手術で治すことができないこと、がんによる臓器別の死亡数で第4位と不良であることの理由です。

膵臓がんの予防

 膵臓がんの危険因子として、膵炎、胆石症、糖尿病があります。膵臓の炎症を繰り返しおこしていると、がん化しやすくなります。また、がんが存在していて、炎症を繰り返す場合もあります。慢性膵炎や急性膵炎もともに膵臓がんの発症と関係があります。糖尿病を患っている方も発生率が高いといわれています。

 生活習慣については、危険因子として、喫煙、肉食傾向、肥満が膵臓がんの発生する確率を高くするといわれています。適度な運動をし、肥満を防いで、喫煙や食生活の改善を心がけることでリスクを減らすことが大切です。また、歯周病で膵臓がんのリスクが2.2倍になることも分かってきています。歯の健康にも気を付けましょう。

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がん・糖尿病と霊芝

 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」は、微小循環の血流を改善し、体内環境の正常化をもたらしますので、抗がん対応としてもお勧めできます。

 膵臓がんをはじめとする各種悪性腫瘍ですが、その進行に伴い栄養状態が悪化し衰弱した状態を称して「悪液質」という言葉が用いられます。多くの研究によって、霊芝はがんで生じた悪液質を改善し、転移・浸潤の可能性を減らすというデータが揃ってきています。

 さらに霊芝には、免疫バランスの保持、生体機能恒常性の維持、酸素供給量の促進、血栓形成の抑制、抗酸化作用、抗がん剤の薬効の向上と副作用抑制等の働きが認められています。

 糖尿病に関しては、霊芝の三大産生物質の一つ「2,3-DPG」(グリセリン2,3-リン酸)に、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の生成を阻害する作用があることが確認されています。

 また糖が消費されるのは、細胞内構造物であるミトコンドリア内で大量にエネルギーが産生される時です。ミトコンドリア活性を促す最も重要な栄養素である「コエンザイムQ10(Co-Q10)は、効率的にエネルギーを産生させ、糖の消費量を増やすため、糖尿病に関して有効に働きます。霊芝とCo-Q10との併用が効果的です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年2月12日水曜日

ペニシリンの日(抗生物質)

 風邪は抗生物質は効かない!

 今日、2月12日は「ペニシリンの日」です。ペニシリンは、1928(昭和3)年にイギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミング博士によってアオカビから発見された世界初の「抗生物質」です。そして、1941(昭和16)年のこの日、イギリスのオックスフォード大学附属病院が、世界で初めてペニシリンの臨床実験に成功したことを記念して「ペニシリンの日」が制定されました。

「抗生物質」とは、簡潔に言うと「抗菌薬」です。つまり細菌による感染症に対して有効な薬のことを言います。逆に言えば、細菌以外(ウイルスなど)の原因で引き起こされた病気には効果はありません。例えば「風邪」です。風邪はそのほとんどがウイルスによって引き起こされます。ウイルスは細菌ではないので、“抗生物質が風邪に効くことはほぼ無い”と言っていいでしょう。

 しかし「風邪の時にも病院で抗生物質を処方された」という方も多いと思います。実は風邪の時に抗生物質を処方されることは珍しいことではありませんでした。これには処方する病院側からすると“保険”的な意味合いが強いようです。「万が一細菌性の風邪だったら‥‥」「症状がひどくなって肺炎になったら‥‥」「風邪で抵抗力が落ち他の感染症を併発してしまったら‥‥」等々、このようなことが起きたときのための“言い訳”として抗生物質を処方してしまうのです。※肺炎などの予防効果もほとんどないことが、様々な研究で明らかになっています。

 患者側の意識も関係していて、「抗生物質で病気が早く治る」とか「抗生物質は何にでも効く」といったイメージがあることも問題のひとつです。これは日本に限らず、イギリスでも3割以上の人が「風邪には抗生物質が効く」と思っているそうです。

 ちなみに抗生物質を処方しがちかどうかは、医師の教育環境(出身大学、研修先の病院など)に関係なく、抗生物質を処方する医師は処方してしまうというデータがあります。

 また、抗生物質は、感染症に対し非常に有効な薬ですが、同時に使い方を間違えると大変なことになる薬でもあります。それは抗生物質を使い過ぎると、その抗生物質に対する耐性菌を発生させてしまうからです。

 薬剤耐性菌による感染症は、現代医療においても治療が困難な病気です。現代医療最大の発明とも言われる抗生物質を受け付けない感染症なのですから、それも当然と言えるでしょう。特に、複数の抗菌薬に耐性をもつ多剤耐性菌の場合、治療は非常に困難を極めます。普段から抗生物質の使用が過ぎると、いざ命にかかわるような感染症にかかった時、抗生物質が効かないという可能性が十分に有り得るのです。

 抗生物質の乱用には様々な弊害があります。抗生物質を飲んでも風邪が早く治るわけではありません。特に子供たちの将来のためにも、そのことを記憶に留めておきましょう。

(出典:https://hara-kodomo.com/)


■抗生物質と免疫

(毎日新聞記事)
 抗生物質(抗菌薬)は、免疫力に影響を与える場合があります。抗生物質は、体内に侵入した悪い細菌を殺すことで病状を改善しますが、同時に体内に存在する善玉菌(良い細菌)も殺してしまいます。善玉菌は免疫の獲得に重要で、それが減ると免疫の獲得に時間がかかる可能性があります。

 また、抗生物質の不適切な服用は、薬剤耐性菌を生み出す原因にもなります。薬剤耐性菌とは、細菌が生き残るために自らの遺伝子を変異させたり、別の細菌やウイルスから薬に抵抗性のある遺伝子をもらったりして、その薬が効かなくなる細菌のことです。風邪の原因はほとんどがウイルスなので、抗生物質による治療は不要です。(※ウイルス感染による風邪でも、細菌感染を合併している場合は抗生物質の投与が必要になります)

抗生物質の副作用

 抗生物質の主な副作用には、発疹、めまい、吐き気、下痢、酵母菌感染症などがあります。また、深刻な副作用としてクロストリジウム・ディフィシル感染症が起こる可能性もあります。そして、抗生物質の使いすぎは、次のような問題を引き起こす可能性があります。

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●薬剤耐性菌が増加する     ●抗生物質が効きにくい体になる

●腸内細菌が壊され下痢になる  ●アレルギーが発症しやすくなる

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 抗生物質は、ウイルスによる風邪やインフルエンザには効果がありません。ウイルス感染による風邪でも、細菌感染を合併している場合は抗生剤の投与が必要になります。

 抗生物質は、適切に使用すれば効果は高く耐性菌も発生しにくいです。処方された分は最後まで飲み切りましょう。

霊芝に見られる双方向の免疫調整機能

 古代中国の時代から、“最高峰の生薬”とされてきた「霊芝」。現代においては、霊芝が免疫に対して“双方向の調整機能”を有していることが科学的に解明されています。つまり、不足の場合は上げ、過度の場合は抑えて身体の恒常性を保つ特性があるのです。

 免疫機能が低下すると、細菌やウイルスに感染しやすくなるため、霊芝は身体の細胞性免疫と液性免疫を増やすことによって、病原菌から体を守ることができます。

 免疫が過度になると、身体の外部の物に異常に反応しやすくなり「アレルギー反応」を引き起こします(アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、じんましん、食物アレルギー等)。重篤な場合、自分の体内の組織や細胞に反応し、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、1型糖尿病等)になる恐れがあります。そんな場合、霊芝は免疫の働きを調整して異常反応を押さえます。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年2月5日水曜日

睡眠時無呼吸症候群

 女性の“隠れ”睡眠時無呼吸症候群

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)といえば、中年以降の太った男性に多い病気というイメージがあります。太った男性は確かにSAS患者の典型例ですが、痩せている人にも多いです。

 世界的にも問題視されているのが、女性のSAS。女性のSASは誤診される人も多く、熊本・くわみず病院の池上あずさ院長はこれを「隠れSAS」と呼んでいます。

 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったりする状態(無呼吸・低呼吸)を繰り返し、体の低酸素状態が発生する病気です。肥満、小さい顎、舌の根元が落ち込む舌根沈下や扁桃肥大などによる上気道の狭窄が原因になると言われており、睡眠中に呼吸が止まることで眠りの質が低下し、日中の眠気や体のだるさなどが生じ、QOL(生活の質)が低下します。

 低酸素状態や無呼吸・低呼吸に対する脳からの覚醒反応で交感神経系が強く働くと心拍数が増え、血圧が上昇して血管に負担がかかり、心血管障害(心筋梗塞や脳梗塞等)の発症リスクが高くなります。SASで心筋梗塞は3倍、脳梗塞は4倍リスクが増すとの報告もあります。

「隠れSASの人は、SASを放置していることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを抱えたまま。速やかに適切な 治療に結びつける必要がある」(池上院長=以下同)

 女性のSASが“隠れ”となってしまうのは、多くのSASの典型例(「太っている」「就寝中の大いびきで突然呼吸停止、しばらくして大いびき再開」)が見られないからです。「女性ホルモンには呼吸をスムーズにしたり、代償する働きがあり、よほど肥満でない限り、更年期までは女性はSASになりにくい。ところが更年期以降、女性ホルモンの分泌の急激な減少で、睡眠中の呼吸に影響が生じる。無呼吸とまではいかなくとも、気流制限や呼吸が浅い低呼吸を起こす。さらに、女性では、男性ではあまり反応しない程度の気流制限でも脳が反応し、中途覚醒となったり、自律神経の異常が生じやすい」

 SASの重症度は一般的には「無呼吸低呼吸指数(AHI)」(呼吸が止まる回数、浅くなる回数が1時間にどれくらいあるかを示すもの)で示されます。AHIが5以上でSASと診断され、5~15が軽症、15~30が中等症、30が重症とされています。

「ところが女性のSASではAHIで見る重症度と、実際の症状やQOLの低下とは一致しないことがよくある。女性によく見られる気流制限くらいでは、AHIではカウントされずSASの診断には至らない。しかし、症状はあるのでつらい。心筋梗塞や脳卒中のリスクも高く、男女の比較試験では、AHIは女性の方が明らかに低いものの、心筋梗塞のリスクは高齢女性では、むしろ高かったとの結果が出ている」

 SASを疑う症状としては「多少の差はあれ、いびきがある」「起床時の頭痛」「日中の眠気や倦怠感」「中途覚醒」「息苦しくて目が覚める」が挙げられます。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■睡眠時無呼吸症候群と高血圧

「睡眠時無呼吸症候群(SAS(Sleep Apnea Syndrome))」は眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚め、再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。これを一晩中繰り返すため、その結果十分に睡眠がとれず、日中の眠気、集中力の低下などが表れます。

 睡眠時無呼吸症候群になると、酸素濃度が下がるのを補うために心臓の働きが強まり、高血圧となります。また、酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増します。さらに、睡眠不足によるストレスにより、血糖やコレステロール値が高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームが引き起こされやすくなります。

SASの可能性がある症状

□大きないびきをかく □就寝中に息が止まることがある □いくら寝ても疲れが取れない □肥満 □高血圧 □寝汗をかく □眠りが浅い □昼間の眠気、居眠りで困る

※3項目以上当てはまる場合は、念のため受診を。家族と一緒にチェックするのが「有効」です。

 1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するような睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、生活習慣病、眠気による事故、などのため、死亡率が非常に高くなるため、すぐに治療が必要です。ひどいイビキ、睡眠中の呼吸停止がある場合には速やかに対策をとることが大切です。

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SAS対策

 SASの、無呼吸に伴うストレスや睡眠障害等の影響による高血圧や心・脳血管障害などの対策には、「HM-3000(特系霊芝)」をお勧めします。高血圧対策(表参照)の他、血栓、酸素供給に影響するデータもあります。

 また、SASは睡眠の質の低下を招きます。睡眠を促すホルモン「メラトニン」の原料が「セロトニン」です。セロトニンは体内リズムの“朝の目覚め(昼間の健康的な活動)”に影響し、夜の“質の良い睡眠”に作用するのがメラトニンです。「ラフマ葉エキス」はセロトニン活性に働き、この体内リズムを改善して正常に維持します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年1月29日水曜日

出血傾向

 大人の鼻血は重大病のサイン?

「鼻血」は、大人になるにつれ少なくなります。成人してから1カ月に何度も繰り返したり、止血をしてもなかなか止まらなかったり場合には注意が必要です。

「左右の鼻の穴は鼻中隔という壁で隔てられていて、鼻の入口から1cmほど奥にある“キーゼルバッハ部位”には、動脈が集結している。鼻の中は柔らかい粘膜で覆われているので、洗顔したり、鼻をかんだりするだけで簡単に出血しやすい。大人の鼻血で受診される8~9割以上は、このキーゼルバッハ部位(右図)からの出血だ」(日本橋大河原クリニック大河原大次院長)

 アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)があると、鼻水の量が増えて何度も鼻をかむようになり、粘膜は傷つきやすくなります。また冬の時季は、粘膜を覆う粘液が乾燥し、少しの刺激で鼻血が出やすくなります。ティッシュを丸めて鼻の中をグリグリする人もいますが、粘膜の表面を傷つけます。アレルギーによる鼻血なら、原因となる病気の治療が必要です。

 鼻血は押さえなければ止まりません。いざ鼻血が出たら椅子やソファにリラックスした状態で腰かけ、親指サイズに丸めたティッシュまたは綿を鼻の穴に詰め、出血した側の小鼻を親指で30分間押さえて圧迫します。その際、喉へ血液が流れ出て飲み込むと胃が刺激され吐き気を催しやすいので、嘔吐を防ぐためにも飲み込まず吐き出しましょう。

「血が固まる前にティッシュを取り出すと、再び出血したり傷口が広がる恐れがある。入れたティッシュは12時間入れたままに。止血後もかさぶたが取れないよう鼻はなるべく触らず、当日は飲酒を避け、入浴はせずシャワーを浴びる程度にしてください」(同院長)

 注意したいのが、止血を行ってもなかなか止まらず、何度も繰り返す鼻血です。稀に、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患があると、血小板の数が減少し、鼻血が止まりにくくなります。また、それらの病気の初発症状として鼻血が現れるケースもあります。

ある30代の男性は、水のような鼻血が長時間止まらない日もあると耳鼻科を受診。検査の結果、白血球の数値に異常な増加が見られ、白血病の疑いが高いと言われました。

「大人の鼻血の場合、背後に重大な病気が隠れている場合も少なくない。白血病だけでなく、鼻腔や副鼻腔に悪性腫瘍があると鼻血が出やすいので、診察では血液検査をはじめ、鼻咽腔ファイバースコープなどの内視鏡で鼻の奥を観察し異常がないか確認している」(同院長)

 他にも脳梗塞や心臓病の治療で抗凝固薬を服用していると、血液がサラサラになって鼻血が止まりにくい上に、容易に出血しやすくなります。また血管の形成異常が起こるオスラー病は、血管がもろくなりあらゆる部位から出血が起こりやすいです。患者の8~9割は鼻血を繰り返すとされ、放置すると肺の血管に血栓ができ脳梗塞のリスクが高くなります。

 たかが鼻血だと放置せず、1カ月に何度も鼻血を繰り返していたら耳鼻科でしっかりと検査を受けることです。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■“出血傾向”の出現

 人間の身体には、出血を止めるための機能として、血液中にある血小板や凝固因子(血液を固まらせるたんぱく質)を持っています。何らかの理由でこの働きが崩れると「出血傾向」が出現します。出血傾向とは、「血が止まりにくくなる」あるいは「ささいな怪我でも出血しやすくなる」状態のこと。ひどい場合には明らかな原因がないのに体から血が出ます。

 出血傾向の症状としては、「青あざ」「鼻血」「歯茎の出血」「皮下出血」「下血」「吐血」「黒色便」「血痰」「血尿」などがあります。「吐血」「下血」「黒色便」があれば、胃や腸など消化管からの出血を疑います。そのような場合には、同時に血便や腹痛、腹部膨満感などが現れることも。下血や吐血の前に食欲不振や吐き気などの症状が現れることもあります。

「血尿」が出たら、腎臓や尿管、膀胱などからの出血の疑いがあります。同時に頻尿、排尿時の痛み、下腹部痛などがみられることがあります。

 出血が原因と気が付きにくい症状としては、頭蓋内出血の際に見られる吐気・めまい・激しい頭痛・項部硬直・意識障害・麻痺・視力障害・感覚障害など、また眼底出血時の目のかすみなどの症状、関節内出血に伴う関節の変形や腫れ・痛み・運動制限などがあります。

 このような明らかな症状で出血傾向に気がつく場合もありますが、「手術(抜歯)により出血が止まらない」などをきっかけに、初めて出血傾向に気がつくこともあります。

出血傾向の原因

 高齢者の場合、加齢で皮下組織や血管の壁がもろくなっているので、ちょっとしたことで皮下出血しがちです。明らかな原因がなく両方の手や腕にできる出血斑は「老人性紫斑」という良性のものです。この場合、特に治療は必要ありません。

 病的な出血傾向の原因としては、以下の3通りに分かれます。

(1)血小板の形や働き・数に問題がある場合

 血小板が産生しづらくなる再生不良貧血や急性白血病、骨髄異形成症候群などの血液疾患、または悪性腫瘍の骨髄への転移や抗がん剤の影響などがあります。特発性血小板減少性紫斑病・全身性エリテマトーデスのようにせっかく造られた血小板が壊されてしまう病気も考える必要があります。また、生まれつき血小板の働きに問題があるような場合(血小板無力症など)もあります。

(2)凝固因子の数や働きに問題がある場合

 血友病などでは、生まれつき凝固因子の働きが悪いことがあります。また、ワルファリンなど抗凝固薬の影響で凝固因子が働かなくなり、出血傾向をきたすことがあります。

(3)血管の壁に問題がある場合

 老人性紫斑はこのタイプ。またクッシング病など副腎皮質ホルモンに異常がある病気でも出血傾向がみられることがあります。

出血傾向の予防・ケア

 出血傾向がある方が怪我をすると、血が止まらなくなります。転倒や怪我には十分注意しましょう。ワルファリンなどの抗凝固剤、抗血小板剤を内服している方は、出かける時には「おくすり手帳」を持ち歩くと安心です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年1月22日水曜日

血管モレ

 女性の更年期に血管が老化する?

 お腹まわりが太ってきた、健康診断の数値が悪くなった──これらは更年期を迎えるころから体が「内臓肥満型」に変わり、「血管老化」が進行しているサインかも。女性の更年期は生活改善のギアチェンジが必要な時期です。

 健康に気を配り食事にも気をつけているつもりなのに、更年期に入ってからお腹まわりが太りやすく、洋服のボトムスがきつくなる一方。同時に、血糖値やLDLコレステロール値といった健康診断の数値も悪化するなど、“更年期メタボ”のような現象に戸惑っている人が多いようです。女性の場合、変化の始まりはエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンの分泌の低下からです。

「女性は更年期に卵巣機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下していく。男性と同様に内臓肥満が起こりやすく、メタボになりやすい体質に変わる。その結果、血管の老化が一気に進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった病気のリスクが高くなってくる」(大阪大学大学院特任准教授・野口緑氏)

 更年期の血管老化は、エストロゲンの減少による動脈硬化脂肪が蓄積する場所の変化LDLコレステロールの増加──という3つの変化とともに進んでいきます。

(1)エストロゲンの減少が、ダイレクトに血管を硬くする 

⇒エストロゲンは、血管の最も内側にある血管内皮細胞で分泌される血管拡張物質NO(一酸化窒素)の産生を高め、血管をしなやかに保つ。しかし、エストロゲンが減少するとNOの産生が減るので、NOが担っていた血管拡張作用が発揮されず、血管の弾力性が低下する。

(2)脂肪がたまる場所が変わる

⇒女性は、更年期まではエストロゲンの働きによって余剰エネルギーを優先的に「皮下脂肪」にためる性質がある。柔らかくて指でつまむことができる皮下脂肪。更年期以降は、男性同様「内臓脂肪」として蓄積するようになる。

(3)血管が詰まる要因を作るLDLコレステロールの増加

⇒たとえ肥満でなくとも、女性は更年期以降、LDLコレステロール値の悪化が起こりやすくなる。コレステロールはホルモンや細胞膜、胆汁酸という消化液などの材料になる。しかし、更年期以降は女性ホルモンを作る必要がなくなるために、材料のコレステロールが余る。

「更年期にエストロゲンの分泌が減少すると、ホルモン作りに使われていたコレステロールが消費されなくなります。必要量が減っているのに、食事からコレステロールやコレステロールの材料となる飽和脂肪酸をとり続けると、LDLコレステロールの数値が悪化することになります」(野口氏)

 そして、コレステロールは脂質の仲間とはいっても、中性脂肪とは違ってエネルギーを作るために消費することができず、運動をしてもなかなか減らないのが難点です。食事の見直しが重要です。                    

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■毛細血管の機能低下 “血管モレ”とは

 毛細血管は、体中の細胞に血液を通じて栄養と酸素を届けます。この毛細血管は、45歳を境に急激に傷つきやすくなり、栄養分が漏れ、消滅しやすくなります。これを「血管モレ」といい、これが老化に多大な影響を及ぼすことがわかっています。

「血管モレ」はこうして起こる!

 毛細血管がダメージを受けて傷つき、老化して血管モレを起こすメカニズムは、毛細血管の外側にある壁細胞と内側の内皮細胞のゆるみにあります。

 毛細血管は加齢や紫外線、活性酸素によるダメージが原因で、外側の壁細胞が剥がれやすくなります。壁細胞が剥がれてしまうと内側の内皮細胞に影響が及び、不安定な血管に。内皮細胞にも隙間ができて、栄養分や酸素が漏れ出てしまいます。これが血管モレの正体です。

 血管モレが続くと、毛細血管の末端まで血液が届かなくなり、そうなると、毛細血管は無機能血管になってしまいます。周囲の細胞も血管も消滅して"ゴースト血管"となり、さまざまな不調の原因になるのです。

 安定した血管は、外側の壁細胞と内側の内皮細胞が密着して安定した構造を維持しています。加齢や活性酸素などで壁細胞がダメージを受けると、壁細胞と内皮細胞の構造がゆるみ、血管は不安定になります。血流が滞り、写真のように毛細血管はゴースト血管になってしまうのです。

 血管モレによるゴースト血管こそが肌や髪、全身の不調の原因です。このゴースト血管を防ぐには、毛細血管の壁細胞と内皮細胞との接着剤の役割をする“Tie2(タイツー)”という受容体を活性化させることです。“Tie2受容体”が活性化すると、剥がれそうな血管を補強したり、壁細胞自体を強く丈夫にしたりする働きをします。

「血管モレ」を生活習慣で防ぐ

 血管モレは以下のような生活習慣の実践で予防することができます。

塩分と糖質、悪い油を摂らない

血液の質をよくする腸内環境もケア

全身の血流を改善して体を温める

ふくらはぎ運動

毛細血管復活の救世主“Tie2活性植物”ヒハツシナモン月桃葉ルイボスハス胚芽スターフルーツなどがTie2受容体の活性化に効果が認められている)

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 康復医学学会のメイン研究テーマは「HM-3000(特系霊芝)」です。霊芝は微小循環系*の改善に最適です。また、抗酸化作用や健寿延命への影響が期待されます。

*微小循環系とは:毛細血管床その輸入・輸出血管である細動脈・細静脈を一括した呼称。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン


2025年1月15日水曜日

筋トレと認知機能

 認知症が増えた背景

 認知症が初めて世に発表されたのは今から119年前です。1906年、ドイツのアロイス・アルツハイマー医師により発表されました。つまり、それより以前は認知症のような症状は稀だったのです。当初から認知症は文明の発達によってもたらされた現代病と考えられていました。それを証明するために昔の人々の認知症の有病率を調べようとしましたが、残念ながら資料が全くなく、当時の人々も生存していないため調査手段がありませんでした。

 総合能力研究所所長の本山輝幸氏は次のような仮説を立てています。「近代化によって人々の暮らしが便利になった反面、現代人の"感覚神経"が休眠状態になってしまい、筋刺激が脳に戻りにくくなった結果、認知症が増えてしまった。昔の人々は負荷の強い日常生活で全身を使うため感覚神経が良好になっており、認知症のような人は少なかった」

 2022年に南カリフォルニア大学から『アルツハイマー病予防への新たな洞察』という論文が学術誌に掲載されました。それは、南米・ボリビアで暮らす先住民の高齢者を対象に、認知症の有病率を調べたものです。ボリビアは学校や最低限のインフラなどもあり他国と極端な違いはないものの、先住民は昔ながらの自給自足の生活をしていて文明の利器を使っていない点が現代人と大きく異なります。専門医が心理テストやCTなどを使って彼らの脳機能を厳密に検査したところ、その結果は、認知症の有病率は0.6%で、100人中1人にも満たないという驚異的なものでした。日本の認知症有病率は17%、運動が習慣化しているアメリカでも11%です。論文発表した研究者は、「産業革命以前の生活の中にある"何かしらの要素"が、この地域の高齢者を認知症から保護しているようだ」と述べています。

「私はこの"何かしらの要素"は"感覚神経の良好さ"であると確信している。世界の研究者たちは認知症が増えたのは高齢化、身体活動量の減少、食物摂取の変化やストレス、遺伝子など様々な要因を列記している。どれも一因ではあると思うが、私は"感覚神経"の不具合が認知症増大の大きな要因と考えている。なぜなら感覚神経を良好にしたMCI(軽度認知障害)や認知症の人たちは健常者に戻るし、感覚神経が良好であろう民族には認知症の人がほとんどいないからだ」(本山氏)

 事実、認知症が多いのは近代化が進んだ先進国であり、身体に負荷のかかる生活をしている国では認知症は少ないのです。

 そして、2022年、アメリカの『neurology(神経学)』という科学誌にも「2000人異常の高齢者を11年追跡した結果、下肢の感覚が鈍い人はそうでない人に比べて認知症になりやすかった」との研究結果が発表されています。

 現代人は幼少期から過保護になり過ぎ、身体に負荷を与えるようなことを避ける傾向にあります。自ら積極的に動き、感覚神経を良好にすることで、認知症を予防していきましょう。

(出典:ダイレクト出版『ルネサンス』)


■筋トレで脳を覚醒する

 認知症やMCI(軽度認知障害)の人たちは、筋肉の痛みや疲れを感じにくいという身体的特徴があります。例えば、驚くような距離を一晩で徘徊したり、スクワットをとめどなく続けられたり、といったことです。こんなことができてしまうのは、筋肉と感覚神経とのつながりが悪く、筋肉の情報が脳に伝わりにくくなっているからだと言われています。通常、長距離を歩いたり、何度もスクワットをすれば、足が疲れてしまって歩けない、筋肉が痛くなって続けられないなど、疲労や痛みを感じます。しかし、筋肉の情報が脳に伝わらないと、疲れや痛みを脳が感知できず、歩き続けたり、スクワットを続けたりができてしまうのです。

 伝わりにくくなってしまった筋肉からの情報が、再び脳へ伝わるように回復する可能性はあります。低下した感覚神経の働きの改善方法として「強めの筋トレ」が効果をあげます。

意識した筋肉への強い刺激が脳を覚醒させる

 筋肉からの刺激が通る脳幹という部分には、生命活動の中枢を担う「脳幹網様体」という神経繊維の集まりがあります。ここに筋肉からの強い刺激が伝わると脳が覚醒します。その結果、失われていたり、眠っていたりした脳細胞の機能を取り戻すことができるのです。

 脳に伝わる筋刺激は強いほど効果が高く、筋肉の太さに比例します。つまり、体の中で最も大きい筋肉である太ももの筋肉を鍛えるのが最も効果的です。筋トレのポイントは「鍛える部分に意識を集中させること」です。トレーニングする筋肉を意識することで、運動神経を通して「この筋肉を動かす」という指令が脳から目的の筋肉に伝わり、その筋肉で生じた「筋トレによる痛み」が強い電気信号となり、感覚神経を通して大脳へ戻ってきます。目的の筋肉を意識していた場合には脳が感じ取る痛みが増し、感覚神経の改善につながるのです。

 感覚神経の働きが回復すると、筋肉で生じた痛みや疲れが脳に伝わり、「足が疲れた」「太ももが痛い」と感じられるようになるのです。

感覚神経が回復すると認知機能も向上する

 強めの筋トレを続けると、感覚神経のつながりが良くなり、痛みや疲労を感じるようになります。それに合わせて認知機能も向上することが多いようです。MCIの方が週1回の筋トレを3ヶ月続けた結果、記憶力スコアが健常者レベルにまで回復したという報告もあります。

筋トレを行う頻度と強度

 筋トレは、極限近くまで筋肉を使う強度で週1回行うことがお勧めです。残りの6日間で筋繊維が修復され、より強い筋肉に若返ります。自分の体力レベルに合ったトレーニングを実践すれば、早い人はその日のうちに、通常では2~3ヶ月で効果を実感できるでしょう。

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 認知症の予防・改善のためにはサルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)にならないよう、日々の運動と食事が大切です。脳機能の維持に有効な微小循環の改善には「HM-3000(特系霊芝)」が、また、体力の維持・強化には「コエンザイムQ10」がお勧めです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン