2025年8月21日木曜日

骨粗鬆症

 骨を強くして骨折・寝たきりを防ぐ

 骨を強くするために、専門家が今すぐ始めるように勧めるのは運動です。骨は力学的なストレスがかかると強くなる性質を持っています。運動によって骨に負荷がかかると、骨芽細胞が活性化し骨の強度やカルシウムの吸収力も上がります。

 様々な研究解析により、中強度から高強度の運動を続ければ、骨粗しょう症による股関節骨折のリスクを男性では45%、女性では38%減らせることが分かっています。

※中強度の身体活動:速歩き、自転車こぎ、テニスなど、心拍数が上がり、少し息が切れるくらいの運動。

 また、かかとの骨を刺激する「かかと落とし」は、骨芽細胞を活性化させ骨の強度を高めるのに有効です。つま先立ちから、かかとを勢いよく落とすだけの簡単な体操なので、どこでも気軽に行えます。

 背骨の一部がいつの間にかつぶれてしまう圧迫骨折を防ぐために有効なのが「背筋体操」です。うつぶせになり、お腹の下に枕を置いて胸を少しずつ上げる「等尺性背筋運動」で、骨粗しょう症の人でも無理なく続けられ、背筋力と生活の質を上げられます。

 寝たきりや死亡に至るリスクが高い股関節(大腿骨近位部)の骨折は年間22万件(約2分25秒に1件)も起こっています。このような重大な骨折を防ぐためには、骨粗しょう症を防ぐだけでなく、転倒の予防が非常に大切です。「片脚立ち」などのバランストレーニングや、「バンザイ体操」を日常生活に取り入れましょう。バンザイ体操で腕の可動域を広げておけば、つまずいて転びそうになったときに手が出やすくなります。

 骨粗しょう症の予防には、骨の材料となる栄養素の摂取が大切です。特に重要なのがカルシウム。『食事摂取基準2025年版』では、女性なら〔1日当たり18~74歳⇒650mg、75歳以上⇒600mg〕、男性では〔18~29歳⇒800mg、30歳以上⇒750mg〕を摂取することを推奨しています。しかし、国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均摂取量は女性476mg、男性490mgで、174~310mg不足しています。カルシウムが豊富な食品は、牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品等(例:牛乳200mLに220mg、ヨーグルト100gに120mg、サバ水煮缶80gに208mg)。日常の食事にこれらを加え、カルシウム不足を解消しましょう。

 ただし、カルシウムの吸収を促すビタミンDや、カルシウムの沈着を助けるビタミンKもしっかり摂らなければ骨は強くなりません。特に、ビタミンDは、日本人の98%が不足または欠乏状態です。血中のビタミンD濃度が低いと転倒や骨折のリスクも高くなります。血中ビタミンDを高める方法には、鮭・鯖などの青魚やキノコなどから摂る"食事ルート"と、日光の紫外線により皮膚で合成する"紫外線ルート"があります。骨の強化に十分な量のビタミンDを食事だけで補うのは不可能とされるため、1日15分程度は日光に当たる必要があります。過度の紫外線防御はビタミンDの合成を阻むため、禁物です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■骨粗しょう症とコラーゲン

 骨がもろくなる「骨粗しょう症」という病気は、今まで骨の中のミネラル不足と考えられてきましたが、最新の研究では、コラーゲンの側の問題で骨が弱くなるタイプもあることがわかってきました。コラーゲンは骨の構成成分として重要で、骨の硬さとしなやかさを生み出しており、骨の質を維持するためにも大切です。

高齢者だけでなくメタボ気味の人でも要注意

 骨粗しょう症に関して、問題が起きるのは右図のようにコラーゲン分子でできている架橋の部分です。本来はピリジノリンという分子が弾力性に富んだ強い骨の善玉架橋を作るのですが、高齢者やメタボ気味の人では、ペントシジンという悪玉架橋の鉄筋のサビとなります。ペントシジンは、動脈硬化などと同様に、体の中の活性酸素が原因で増えてしまい、これが増えた人の骨は、もろくて折れやすくなります。

AGEで骨の柔軟性が低下する

 骨の架橋に必要なコラーゲン分子は、終末糖化産物のAGEでも影響を受けで骨の柔軟性を低下させてしまいます。外部から骨へ伝わる力の吸収を低下させるため、骨折などの骨障害の原因にもなっています。過去、骨の健康度は骨密度が重要視されてきましたが、近年は鉄筋の役割をしている骨質(架橋)の大切さが重視されています。

コラーゲンを改善する方法と摂取する際の注意点

良質なたんぱく質(魚、肉、卵、大豆など)をたっぷり摂る ●ビタミンB6B12葉酸を摂取する ●糖分(糖質)を控える ●禁煙する ●野菜を摂る ●血圧を正常にする

 一度に過剰な量のコラーゲンを摂取すると、消化の過程で腎臓や肝臓に負担がかかります。近年の研究で、「コラーゲンペプタイド」という小さく分解されたコラーゲンを摂取すると、腸で吸収され、血液を通じて関節軟骨にまで届くことが分かってきました。

 食物から摂取したコラーゲンが、コラーゲンのまま吸収され、体内で利用されることはなく、消化酵素でバラバラにされてから小腸で吸収され、最終的にコラーゲンペプタイド~単体のアミノ酸の形で血中に入ります。

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 康復医学学会の研究開発により製品化された「コラーゲン」は、ペプタイド型です。吸収性に優れているうえ、海洋性なので、動物系コラーゲンに比べ変性温度も低く、吸収性&即効性に優れています。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年8月7日木曜日

大切な幼少期の生活環境

成人期の肥満は幼少期に決まる?

 肥満の増加は今や世界的な問題です。世界保健機構(WHO)の報告(2022年)によれば、18歳以上の成人の43%が過体重であり、16%が肥満であるといいます。

 一般に肥満は、遺伝要因に加えて、食事や運動などの生活習慣の影響を強く受けて発症するため、いわゆる生活習慣病のひとつと考えられていますが、近年、そのリスク形成に子宮内や生後早期の様々な環境因子も強く関連していることがわかってきています。成人期の肥満のもとは幼少期にはすでに形成されていると考えられているのです。これはいわゆるDOHaD(ドーハッド)*の概念で説明されています。

*DOHaDとは:Developmental Origins of Health and Diseaseの略で、胎児期や生後早期の環境が将来の健康や病気にかかりやすさに影響を与えるという概念。

 肥満は脂肪組織の増大に起因しています。脂肪組織の増大とは脂肪細胞数の増加または脂肪細胞の肥大によって生じていますが、成人期に脂肪細胞の数が多いか少ないかは、幼少期までにはある程度決定されていると考えられているのです。例えば過去の報告によると、成人期に肥満である人とやせている人で脂肪細胞の数を比較すると、肥満者の方が脂肪細胞の数が多いことがわかっています。そしてその脂肪細胞が多いという状況は幼少期までにはすでに生じていることがわかっているのです。

 さらに興味深いことに、一度脂肪細胞の数が増えると、減量によってやせても減少しないことがわかっています。やせることによって脂肪組織が減るのは、肥大した脂肪細胞が小さくなるからなのです。つまり、幼少期までに脂肪細胞の数が増えると、その傾向は成人期まで続き、かつ一旦増えた脂肪細胞数は減少しないため、肥満のリスク増大と密接にかかわっている可能性が高いのではないかと推測されるのです。実際に、小児肥満では成人期の肥満につながっていくことが多く経験されます。

 ただ一方で、脂肪細胞の数が少ないことが必ず健康につながるとは限りません。極端な例をあげると、脂肪萎縮性糖尿病という病気があります。この病気では脂肪組織が減少または消失することで、糖尿病などの重大な合併症を引き起こします。脂肪組織は様々なホルモンを分泌する内分泌臓器としても重要であり、脂肪細胞が少ないことにより、糖尿病などを防ぐホルモンが十分に分泌されなくなり、これが病気のリスクにつながるのです。

 また、腸内細菌叢(腸内フローラ)と将来の肥満リスクの関連も興味深いものです。幼少期までの理想的な脂肪組織の発達や腸内細菌叢を得ることが、将来の肥満や関連する病気を防ぐことにつながるメカニズムがもっと詳細に解明されれば、"幼少期までの食育の重要性"がもっと見直されることになるかもしれません。

(出典:https://www10.showa-u.ac.jp/)


■幼少期のストレスと病気のリスク

 幼少期に虐待やネグレクト(育児放棄)などを受け強いストレスを経験すると、生涯にわたって心の病だけでなく、がん、心臓病、慢性疾患など身体的疾患も発症しやすくなることが、これまでの神経生物学的研究から示されています。発症の仕組みについて、独キンツィヒタール病院心療内科教授は「幼少期にストレスを受けると、脳がうまく対処しきれず、ストレスホルモンの増加により脳が損傷された結果、様々な身体的障害が生じる」と解説しています。特に、ストレス処理能力が未熟な幼少期にストレスを受けると、生涯にわたって病気にかかりやすくなってしまい、その中でも、咽頭がん、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、リウマチ性関節炎、2型糖尿病、心筋梗塞などの冠動脈性心疾患、脳卒中を発症しやすくなることが分かってきています。

寿命が20年短縮(米調査)

 米国では1万7,000人を対象に、幼少期のストレス要因に関して実施された疫学調査が行われ、幼少期のストレス要因の多くが、平均寿命を約20年短縮させることが示されました。

薬に頼らない子供のストレス対策

 子供のストレスの場合、情緒的な不安定さがすぐ体に現れるのが特徴です。症状は多岐にわたりますが、チック(目をパチパチさせる)、朝起きられない、顔色が悪い、友だちと遊ばないなどの症状が出たら要注意です。これといった原因がないのに右図にあるような症状が表れる場合もストレスが疑われます。

★薬には数々の子どもの副作用が報告されていますから、安易に頼るべきではありません。

ストレス解消のポイント

【セロトニン活性】

 ストレスは、特に脳内のセロトニン(神経伝達物質)の働きで解消されます。セロトニンの働きを促進させるポイントは、生活のリズム(起床・睡眠・食事時間やリズム運動)や良質の睡眠(セロトニン神経を休める)、そして食事などです。ストレスで一番不足する栄養素はアミノ酸(セロトニンの材料となるトリプトファンもアミノ酸の一種)です。たんぱく質を摂らせるよう心がけましょう。さらに、タマネギに多く含まれるポリフェノール「ケルセチン」は、抗ストレス作用を発揮する可能性があるとして注目されています。しかし、なんといってもセロトニンを活性させる一番簡単な方法は、康復医学学会の研究素材「天然ラフマエキス」配合のサプリメントを利用することです。セロトニン活性に関するデータがあり、また、良質の睡眠にも良い影響を与えます。お子様にも安心・安全で副作用もない方法です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン 

2025年7月31日木曜日

体の“サビ”と“コゲ”

 老いのスピードに大きな個人差

 老化の進行速度には個人差が大きく、これは遺伝的要因だけでなく、環境や生活習慣など多岐にわたる要因が関与しています。

■ 遺伝的要因:

 老化の速度において、遺伝子の影響は約25~30%、そして残りの70%以上は、環境要因や生活習慣によって決まると言われています。これは、同じ遺伝的背景を持つ双子でも、生活環境や習慣の違いにより老化の進行に差が出ることを示唆しています。

■ 生活習慣と環境要因:

 生活習慣や環境要因は、老化の速度に大きな影響を及ぼします。特に食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、ストレス管理などが重要な要素とされています。例えば、バランスの取れた食事や定期的な運動は、老化の進行を遅らせる効果があるとされています。一方で、不健康な食生活や運動不足、喫煙、過度の飲酒は、老化を加速させる要因となります。さらに最近の研究では、環境要因が遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。具体的には、環境要因が死亡リスクの17%を占めるのに対し、遺伝的要因は2%未満であると報告されています。

■ 生物学的老化の評価と研究:

 ニュージーランドのダニーデン市で行われた「ダニーデン研究」(1972~1973年に生まれた1037人が対象)は、20年以上にわたり追跡調査した研究です。この研究では、腎臓、肝臓、肺、代謝、免疫系の機能や歯の健康、コレステロール、心肺の状態、肺機能など、多岐にわたる健康指標が評価されました。その結果、同じ年齢であっても、生物学的な老化の速度には個人差があり、45歳時点での健康状態が、その後の老化速度の分岐点となる可能性が示唆されました。 

■ 老化の特徴と対策:

 老化には以下の4つの特徴があるとされています。 

(1)生理的機能の低下:筋力や視力、聴力などの身体的機能が徐々に低下します。

(2)代謝機能の変化:基礎代謝の低下により、太りやすくなるなどの変化が生じます。

(3)免疫力の低下:感染症にかかりやすくなるなど、免疫機能が低下します。

(4)細胞の老化:細胞の再生能力が低下し、組織の修復が遅れるようになります。

これらの老化現象に対して、適切な生活習慣を維持することが重要です。具体的には、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの適切な管理などが推奨されます。

また、定期的な健康チェックや早期の医療介入も、老化の進行を遅らせるために有効です。

■ 結論:

 老化の速度には個人差があり、その主な要因は遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因が大きく関与しています。特に、生活習慣や環境要因は、遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。したがって、健康的な生活習慣を維持し、環境要因を適切に管理することが、老化の進行を遅らせ、健康寿命を延ばすために重要であると考えられます。

(出典:president.jp/thesun.co.uk/jast1.jp/suntory-kenko.com)


■生物学的老化はサビとコゲで加速

過剰な「活性酸素」が体をサビ付かせ、老化を速める

 体内で発生した「活性酸素」には、免疫機能の一部として体内に侵入した細菌などの異物を攻撃する働きなどの役割があります。しかし、活性酸素が過剰に発生すれば、体を酸化させて老化や病気の原因になってしまいます。体に取り込まれた酸素は細胞内のミトコンドリアでエネルギー代謝に利用されますが、代謝の過程で1~2%が活性酸素に変化し、細胞内のミトコンドリアや核のDNA、さらに細胞膜を酸化させ傷つけます。活性酸素により酸化の連鎖反応が起こり、細胞膜は機能を失い細胞は死んでしまいます。ミトコンドリアをはじめ細胞の内外にはSODなどの抗酸化酵素が存在し、活性酸素を速やかに分解し無毒化しますが、抗酸化酵素の活性は加齢に伴って低下します。こうして活性酸素の攻撃と抗酸化酵素の防御のバランスが崩れると細胞は酸化により損傷し、老化が少しずつ進行していくのです。

「糖質+たんぱく質」 が体をコゲ付かせ、老化を促進する

「糖質」は適量であれば体の中でエネルギー源として利用されますが、多すぎる糖はたんぱく質を糖化させて最悪のコゲ=老化物質「AGE(終末糖化産物)」を生成・蓄積させます。AGEは、肌や血管、骨、脳など、細胞全般を生物学的に老化させてしまうのです。

「酸化(サビ)」と「糖化(コゲ)」は連動している

 活性酸素によって体が酸化ストレスの攻撃を受けると、たんぱく質や糖質がその影響を受けて糖化が進み、AGEが発生しやすくなります。逆にAGEは、RAGE(AGEの受容体)に結合して、NADPH酸化酵素の発現を促し、ROS(Reactive Oxygen Species:活性酸素種)の産生を促進させ、酸化ストレスを作り出します。

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【対策】 抗酸化×抗糖化で老化に歯止めを

 ストレス、たばこ、紫外線などは、体内の活性酸素発生量が増大させ、老化を一段と加速させます。老化にブレーキをかけるには、生活習慣を見直すとともに、抗酸化物質の活性を高める運動や抗酸化食品をとり入れることが必要です。また、抗酸化酵素が糖化されると活性が低下してしまうため、抗酸化と抗糖化を同時に行うことが大切です。当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、強い抗酸化作用を持つ「GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)と、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の生成阻害作用のある「2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生を促進させます。まさにHM-3000は“抗老化生薬”といっても過言ではありません。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年7月23日水曜日

睡眠障害

 睡眠と健康

 睡眠は、健康増進・維持に不可欠な休養活動です。良い睡眠は、心血管、脳血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神健康の増進・維持に重要であり、睡眠が悪化することで、様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まることが報告されています。また、良い睡眠は、眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立ちます。さらに、睡眠は心身の疲労を回復する機能や、成長や記憶の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能を備えているため、睡眠の悪化は成長や適応能力の向上をも損なうことにつながります。

 良い睡眠は、十分な睡眠量(睡眠時間)の確保と、良質な睡眠で担保され、不適切な睡眠環境、生活習慣、嗜好品の摂り方および睡眠障害の発症によりこれが損なわれます。

 国民健康・栄養調査によると、1日6~8時間睡眠している人の割合は総じて5~6割程度で、特に40~60歳では、平成21年に比べて平成29年以降は減少しています。この調査によると、睡眠で休養がとれている人の割合は8割程度で、特に20歳以上で7割程度と低く、年々減少傾向にあります。

 睡眠で休養がとれている感覚(睡眠休養感)は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、日常的に摂取する嗜好品、睡眠障害の有無などの様々な要因により影響を受けますが、将来の健康状態に関わることが確認されており、良い睡眠の指標となります。

 一晩に眠ることができる時間には限りがあります。体が必要とする睡眠時間以上に眠ろうと床の上で長く過ごすと、「寝つくまでに長く時間がかかる」「途中で目が覚める時間(回数)が増える」「熟眠感が減る」など、眠りの質が低下することがわかっています。

 夜間、実際に睡眠可能な時間は、加齢により徐々に短くなることがわかっています。15歳前後では約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間というように、成人後は20年毎に30分程度の割合で夜間の睡眠時間が減少します。これと相反して、夜間に床の上で過ごす時間は、20~30歳代では7時間程度ですが、45歳以上では徐々に増加し、75歳では7.5時間を超える傾向があります。これらから、若い世代は床上時間の不足に伴い睡眠不足になりやすく、高齢世代では逆に必要な睡眠時間に比べ床上時間が過剰になりやすいといえます。さらに、加齢が進むと早寝早起きの傾向が強まり朝型化します。これは特に男性で強く、適切な睡眠習慣を考える上で年代別・性別の配慮が必要となります。

 適正な睡眠時間 

 複数の研究から、7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至る危険性が最も低く、これより長い睡眠、短い睡眠のいずれもこれらの危険性を増加させることから、成人においておおよそ6~8時間が適正睡眠時間と考えられています。こうした睡眠充足の個人差を把握する目安として、朝目覚めたときの睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が役立つこともわかってきました。

(出典:https://www.mhlw.go.jp/)


■高齢者の睡眠障害

 年齢とともに睡眠は変化します。健康な高齢者でも睡眠が浅くなり、"中途覚醒"や"早朝覚醒"が増加します。また、睡眠を妨げる心や体の病気にかかると睡眠障害が出現します。

高齢者に多い睡眠障害

 高齢者では心理的なストレスに加えて、不活発でメリハリのない日常生活、体の病気、その治療薬の副作用などによって、不眠症をはじめとするさまざまな睡眠障害が現れます。

【入眠障害】

 一般的には、寝つくまでに30分以上かかると入眠障害の可能性があるとされています。入眠障害の原因のひとつめは、床入りする時間が早いことも原因です。また、「今日は眠れるだろうか?」という不安や「眠らなければ」という義務感にとって代わり、更に寝つきが悪くなるという悪循環を生む可能性があります。

【中途覚醒】

 物音や尿意のようなこれといった理由は無いにも関わらず、何故か睡眠の途中で目が覚めてしまうのが中途覚醒です。一度目が覚めると寝直すことが難しい場合があります。そして、睡眠中に足がつり、そのために目が覚めてしまう周期性四肢運動障害。また、睡眠中に起こる無呼吸症候群も原因のひとつです。

【早朝覚醒】

 早朝4時や5時頃に目が覚めてしまい、更にその後、寝付けなくなってしまうのが早期覚醒です。高齢者の間では特に多い種類です。早朝の起床に慣れていない場合は、日中の眠気に悩まされることもあります。早期覚醒はうつ病患者に多く見られています。

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 睡眠・覚醒のリズムに影響するのが神経伝達物質のセロトニンとメラトニンです。年齢とともに減少するメラトニンは、原料であるセロトニンが慢性的に不足しているからです。

 康復医学学会が研究テーマ素材「ラフマ葉」は、セロトニン分泌の促進に期待でき、睡眠・覚醒のリズムを整えますので、高齢者特有の睡眠障害にお勧めです。

また、睡眠には脳内の老廃物を掃除する効果があるという研究データがあります。睡眠中のマウスのたんぱく質アミロイドβ(アルツハイマー病に関係しているとされる)を調べたところ、覚醒時に比べて睡眠中は2倍速く脳から取り除かれていました。良質な睡眠は認知症の予防にも有効です。

「HM-3000(特系霊芝)」には、霊芝エキスが血液脳関門(右図参照)の働きを高める効果などが確認されており、脳の神経細胞に関連する効果が期待できるとともに、アミロイドβの神経伸長抑制作用を軽減させる効果も認められています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年7月16日水曜日

脳神経細胞

 高齢でも脳神経細胞は増え続ける

 高齢になると脳細胞は減るばかりで増えることはないと考えられてきました。しかし近年、ラットや猿を使った動物実験から海馬領域の神経細胞は高齢でも新生することが明らかになってきています。そして人間でもこうした神経細胞の新生があることを示唆する研究もされてきていますが、2018年に報告された、新しい研究結果を紹介します。

 報告では、14~79歳で急死した健康な男女28人の脳を剖検した結果、高齢者でも若い人と同様に、記憶や学習に重要な役割を担う脳の海馬で前駆細胞から新しい神経細胞(ニューロン)を生成する能力がある可能性が示唆されたといいます。

 その結果、高齢者と若者の脳では中間型の前駆細胞と未熟な神経細胞がほぼ同数見つかったほか、海馬の容量に年齢で差はみられないことが分かりました。

 研究を率いた米コロンビア大学のボルドリーニ准教授は「高齢になっても脳内に(神経細胞に分化する)前駆細胞の存在を示すこの結果は、高齢者にとって朗報だ」と述べています。

 ただし、健康な79歳の脳が29歳の若々しい脳と全く同じというわけではなさそうです。高齢者の脳は血管新生が少なく、一部の海馬領域では静止期の前駆細胞プールが小さいことも明らかになっています。

 専門家の間では、高齢者の脳でも若い人の脳と同じように新しい神経細胞同士で信号を伝達したり、機能したりするかどうかは分かっていないが、この研究結果は有望だとも評価。そして、高齢者の脳で神経細胞を生成させ、細胞同士の信号伝達を促進する因子について、さらに研究を進めていく必要があると指摘しています。また、健康な高齢者と認知症の高齢者の脳を比較することにも興味を示しています。

 これまでの研究で、アルツハイマー病で死亡した人の脳の海馬では神経細胞の数が減ることが分かっています。しかし、この理由が、神経細胞が生成されなくなったためなのか、神経細胞が死滅した結果なのかは明らかになっていません。

 健康な高齢者の脳と認知症患者の脳を比較することで、高齢でも認知機能が衰えない人がいる理由を突き止められる可能性や新しい認知症治療の開発につながる可能性があると期待します。さらに、高齢になっても若々しい海馬を維持している人が実践している生活習慣を知ることも大切だとも強調しています。

 アルツハイマー病協会によると、多くの研究で、喫煙をしない、適正体重や正常血圧を維持する、健康的な食生活を送る、定期的に運動するといった生活習慣因子や、社会的活動、知的活動が認知症リスクと関連することが報告されているほか、運動によって海馬の神経細胞の生成が促進される可能性も示されているといいます。

(出典:https://www.gurutto-mama-yokohama.com/)


■脳神経細胞と認知症

 脳の神経細胞が機能低下したり、損傷を受けたりすると、認知症を発症します。

【認知症の原因となる神経変性疾患】

アルツハイマー型認知症:脳の機能を担う神経細胞が死滅することで、記憶障害や生活機能障害を引き起こす病気です。

レビー小体型認知症:脳の神経細胞に「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができ、神経細胞を傷つけて壊します。

【認知症の原因となる脳血管障害】

脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳卒中)により脳の神経細胞が破壊されることで起こる認知症です。

【認知症の症状】

記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などの中核症状のほか、多くの周辺症状(BPSD)があります(右図参照)。

【認知症の治療】

脳で生き残っている神経細胞を活性化させ、覚えたり考えたりする働きをある程度保つ薬(認知症の薬)があります。

脳血管性認知症の場合は認知症の治療のみならず、脳血管障害の治療も必要になることがあります。

【認知症のメカニズム】

脳に蓄積したアミロイドβの毒性で神経細胞が死滅して脳が委縮し、認知症を発症する「アミロイドβ仮説」が有力な説とされています。一方、タウタンパクが関与するアルツハイマー病の程度と関係する「タウオパチー」に焦点をあてた「タウ仮説」にも注目が集まっています。タウオパチーとは神経原線維変化を主な病理像とするものの総称で、多くの疾患が知られていますが、アルツハイマー病もその中の1つとされています。

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「HM-3000(特系霊芝)」は必要な栄養素を各臓器や器官に供給する微小循環血流を総合的に改善し、エネルギー産生に必要な酸素の供給に影響を与えます。また、それが脳血管性認知症やアルツハイマー病の発症も抑えると考えられています。

また「ラフマ」によるセロトニン産生の促進がうつ症状の抑制に影響し、仮性認知症対策として有効になります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年7月9日水曜日

肝臓病と霊芝

 薬の排泄には肝臓が活躍

 飲んだ薬の全部が効力を発揮するわけではありません。内用薬は、主に小腸で吸収された後肝臓に入り、薬の一部または大半が効能のない物質に変えられ、多くは腎臓から排出されます。病気を治すための薬ですが、通常は体に存在しない"異物"です。体外へ排出できず体内に留まっていたら、それはそれで問題です。

 肝臓は、栄養成分からエネルギーを産生、体を作る成分に変換、異物である薬や有害物質の処理などを行う体の中の化学工場です。内用薬の場合、肝臓を通過し、血液にのって全身を巡る薬の量は、小腸での吸収量よりも少なくなります。そのため薬の使用量は、この"目減り"の量を考えて決められます。肝臓を通過せずに血中に入る注射薬や外用薬は、この目減りを避けて体を巡ります。肝臓で失効・効力低下する薬は、内用薬ではなく舌下剤、噴霧剤、坐剤として使うのはこのためです。役目を終えた薬は、主に肝臓の酵素の働きで、排出されやすい性質へと変えられます(薬の「代謝」)。その後、腎臓に送られ、尿と一緒に体外へ排出されます。一部の薬は、胆汁と一緒に消化管へ入り、便とともに排出されます。量的には多くないものの、だ液や汗、吐く息、母乳から排出される薬もあります。

 大人の薬が使えるのは15歳から。15歳未満は子供とみなします。子供は、薬の代謝や排出に関わる肝臓や腎臓、そして薬の影響を受けやすい脳が未発達です。「体が小さいから、薬も半分でいい」という単純な計算は、必ずしも成り立たちません。大人用の薬には、子供での有効性や安全性が確立されていないものもあります。子供用と大人用とでは、成分量だけではなく成分そのものが異なる場合もあります。市販薬も、「小児用」「ジュニア」と書いてある薬を選び、保護者と相談しながら使うことが重要です。

 高齢者では、肝臓での代謝や腎臓からの排出機能が低下するため、薬が効き過ぎることがあります。特に肝臓や腎臓の病気を持っている場合、副作用の危険性が高くなります。複数の病気にかかり、使う薬が増えればますます肝臓や腎臓に負担をかけることになります。高齢者は、生活習慣病のような慢性的な病気が多いので、薬を使う期間も長くなりがちです。量を変える、より安全な薬に変える、などの検討が必要になってきます。

 重要なのはもちろん「狙い通りに効くこと」ですが、薬の役目を終えたら「速やかに代謝、排出されること」も同じくらい大切なのです。   

(出典:https://www.sumitomo-pharma.co.jp/)


■肝臓病と霊芝

 肝炎などの障害が生じると、肝細胞が破壊され、血液中にGOT、GPTが流れ出します。これら"肝臓の機能を評価する血液検査の指標"の数値が高いことは多くの肝臓の細胞が壊れていることを意味します。高値は急性肝炎・慢性肝炎などが疑われます。GOT、GPTは同じくらいの数値になることが多いのですが、GOTの方が高い場合は肝炎の急性期やアルコール性肝障害の疑いが高くなります。

 GOT、GPT、特にGPTは他の臓器にあまり含まれていないため、その血液中の数値の高さは肝障害を反映することになります。また、細胞膜の障害程度も反映します。

 健康な肝臓には、3%を少し超える程度の脂肪(中性脂肪・コレステロール・リン脂質など)が含まれています。しかし、10%を超えると細胞の中に脂肪滴という泡状のものが現れるようになります。この脂肪滴が、肝細胞の小さな集合体である肝小葉の中の肝細胞の3分の1以上に現れるようになった状態を「脂肪肝」といいます。

 脂肪肝の分類 

(1)過栄養性脂肪肝 (2)栄養欠乏性脂肪肝 (3)アルコール性脂肪肝 (4)薬物性・中毒性脂肪肝 (5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH) (6)急性妊娠脂肪肝

 ほとんどの薬剤は肝臓にて肝臓酵素によって分解、解毒され、腎臓にて排出されます。長期間に薬を服用している場合、肝臓の負担は重くなり、肝細胞の仕事限度を超えると肝細胞にダメージを与える事になり、肝臓障害を引き起こします。例えば、高血圧薬、高脂血症薬、心臓病薬、血流改善薬、鎮痛剤、睡眠導入剤などがあります。また短期間でも薬剤の毒性が強ければ、肝臓障害をもたらす薬もあります。例えば、抗癌剤、免疫抑制剤(自己免疫疾病―リウマチなど)、ホルモン剤、精神神経系薬などがあります。

HM-3000(特系霊芝)の肝機能への保護作用

■肝機能の低下は、ストレスに対抗する体の力(ストレス耐性)を低下させます。肝機能の低下は、メタボ、飲酒などの生活習慣なども原因のひとつです。「HM-3000(特系霊芝)」は、肝臓を保護し肝機能低下の予防に期待が持てます。

■右の霊芝のデータは、肝臓代謝性障害(脂肪肝・アルコール性肝炎を含む)に顕著な保護作用があるというエビデンスです。

■抗癌剤だけではなく、一般的な薬も肝臓に負担をかけます。そして、活性酸素やフリーラジカルは、さまざまな病気の原因や老化、美肌などに影響を与えます。霊芝には、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)という生体内最も重要な二つ抗酸化酵素の活性を促すというエビデンスがあります。活性酸素やフリーラジカルによる損傷から組織細胞を守る働きがあることが認められています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年7月2日水曜日

熱中症と自律神経

 自律神経酷使で“脳のオーバーヒート”

 体を動かすと全身が温かくなるのは、筋肉が熱を作るからです。しかし、実は体の中で最も発熱しやすいのは「脳」です。脳は、自律神経を通して、体内の全器官の動きをコントロールする司令塔です。自律神経の働きは生命活動の維持に不可欠なので、休むことなく働き続け、常に発熱の状態です。自律神経に負荷がかかれば、それだけ脳の発熱量も増えます。しかも、頭蓋骨に覆われている脳は、外気に晒して熱を放散することができません。特に、視床下部と前帯状回にある自律神経中枢は、鼻腔の奥に位置し、脳の深部にあります。熱を冷ますには、首や脇の太い血管を冷やすか、あるいは鼻から冷たい空気を吸い込むしかありません。発熱が抑えきれないと頭の中に熱が籠り、脳が「オーバーヒート」を起こして、のぼせや疲労感、頭痛などが生じます。

 自律神経の負荷が増えて、脳を疲れさせる原因は二つあります。一つは環境要因で、脳の発熱を抑えられない場合。気温が高くなると、体温調節で自律神経が酷使されるため、脳の温度が上がりやすくなります。二つ目は自律神経中枢の消耗。精神的・身体的なストレスが増すと、自律神経中枢の負荷が増して、脳が発熱しやすくなります。

 脳は体の全ての器官の動きを司っているので、脳がオーバーヒートすると、体内のコントロールが乱れます。体温や心拍、呼吸、血圧の調節などが乱れれば、あらゆる臓器の働きが低下するため、頭痛や発熱、めまいなど、体に不調が表れます。集中力を失い、パフォーマンスが低下します。体を安定した状態に戻そうと、自律神経中枢に負荷がかかり続け、脳のオーバーヒートが悪化、さらに脳が疲労するという悪循環が生まれるのです。

 脳のオーバーヒートの予防で最も大切なのは、自律神経に負荷をかけすぎないこと。暑い季節は、脳に合わせた環境づくりも重要です。脳にとっての最適温度は22~24℃と言われており、少し涼しいくらいが理想的です。気温が25℃以上になると、1℃上がるごとにパフォーマンスが2%下がるという研究報告もあります。

 日本人は欧米人に比べて筋肉量が少なく、体が発熱しにくいので、寒がりだと言われています。しかし、体に合わせてエアコン温度を設定するよりも、脳に合わせた室温にしておき、着る服で調整したほうが、脳のオーバーヒートは予防できます。

 さらに、6月頃から脱水症状を起こしやすくなります。湿気があるために汗が蒸発せず、喉の渇きを感じにくいので、水分の補給を怠りがちです。その結果、血流が悪くなって体に熱がこもりやすくなり、熱中症や脳梗塞などのリスクが増します。喉が渇く前に、意識的に水分補給を心がけましょう。              

 (出典:https://kenko.sawai.co.jp/)


■自律神経と体温調節

 人は体温を一定に保つことが重要ですが、体内で生産された熱と、体外へ放出される熱のバランスがうまく取れていないと体温を一定に保つことはできません。重要なのは体温を調節するシステムです。

体温調節の要:自律神経

 通常は、体内で作られた熱で血液の温度が上昇し、温まった血液が体表を通るときに皮膚から放熱して体温を下げます。しかし、猛暑の夏など、体表からの放熱だけでは間に合わない場合、皮膚に分布する汗腺からどんどん汗が出てきて皮膚の表面をぬらすことによって温度を下げる働きをします。汗腺も自律神経に支配されており、発汗を促進するのも交感神経の役割です。

熱中症とチアノーゼ

 血液中の酸素濃度が低下して、唇や爪の色が紫色になるチアノーゼですが、通常、健康な人の血液では、酸素とヘモグロビンが結合していて、それが血液の赤い色を作っています。

 しかし、熱中症で体温調節が限界を超えると皮膚血管の拡張のために皮膚に血液が集中し、発汗などのため血液粘度も上昇し血流障害を起こします。重症の場合、心負担⇒血圧低下⇒チアノーゼを経て虚脱状態や意識障害などになります。

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普段からの良好な血流の維持が大切

 現代人の汗をかけない原因の一つに、東洋医学でいうところの「瘀血(おけつ)の問題があります。つまり、微小循環血流の滞りです。血液は酸素や栄養素とともに体内の熱を運ぶ役割も持っていますから、微小循環血流を改善し、血流を良好に維持すれば、体温調節システムも効率よく働きます。康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」微小循環の改善作用と、「ラフマエキス」自律神経調整作用が、熱中症の予防にも役立ちます。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月25日水曜日

塩分について

 塩分摂取は“長寿の知恵

 今では、「塩分=高血圧」がすべての日本国民の固定観念となってしまいました。しかし「塩分摂取量の全国順位が40位以下の大阪や沖縄など(=全国平均よりも塩分摂取量が少ない地域)で高血圧疾患による死亡率が高い」という現実もあります。「塩分=高血圧」が正しければ、もっと順位が高い地域で高血圧疾患による死亡者が多くなるはずではないでしょうか。また、がんによる死亡率も同様に、塩分摂取量が全国順位40位以降の大阪、兵庫、島根などで全国平均よりも高くなっています。そして逆に、今や日本の最長寿県として知られる長野県の塩分摂取量は、日本で4番目に多いのです。

 さらに、うつや自殺(うつが要因になることが多い)は、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ロシアなどの北欧の国々で多発しています。日本でも、人口10万人当たりの自殺者数は、秋田県、山形県、青森県、新潟県といった北国が高いのですが、その要因は「日照量の少なさ」と「寒さ(低気温)」とされています。だからこそ北国の人々は、身体を温めるために塩分摂取量が伝統的に多かったのです。そうした地域に何百年も住んできた先祖の知恵だったわけです。しかし今や、塩分を極端に制限された東北の人々の体温は下がり、「うつ」や「自殺」が増加しています。「塩=高血圧」という一点の理由から始まった"減塩運動"が、こうした種々の弊害をもたらしていることは、ほとんど知られていません。西洋医学は歯牙にもかけていないし、一顧だにしません。

 話はやや旧聞に属しますが、アメリカで25歳から75歳までの20万7729人を対象にした国民栄養調査が行われ(1998年)、その結果をM,H.アルダーマン博士が世界的に権威のあるイギリスの医学雑誌『Lancet(ランセット)』に発表しました。

 同調査では、食塩の1日平均摂取量によって調査対象者を4つのグループに分け、あらゆる病気の脂肪率を比較しました。すると意外にも、食塩摂取量の一番多いグループの脂肪率が最も低く、少なくなるほど死亡率が高くなっていました。また高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの心臓・循環器系疾患の死亡率も、食塩摂取量が少ないほど高かったのです。調査対象者が数十人や数百人といった少人数であれば信憑性が劣ると指摘する人がいたかもしれませんが、20万人もの被験者がいたのですから文句のつけようはないでしょう。

 米・アインシュタイン大学のハイレル・W・コーエン博士は、8700人のアメリカ人を対象に行った健康栄養調査の結果、「塩分摂取の最も少ない25%に属する被験者は、摂取の最も多かった25%に比べて、心臓病による死亡率が80%高かった」と述べています(一般内科学誌『Journal of General Internal Medicine』掲載)。デンマーク・コペンハーゲン病院のニールス・グラウダル博士は、アメリカの高血圧学会誌に掲載した論文(2014年)の中で、「最も好ましい、健康的な食塩摂取量は“6.7~12.6g”である」と論じています。

(出典:『Renaissance』誌より/イシハラクリニック 石原結實院長)


■“減塩”による免疫機能低下

「塩分は、高血圧や脳出血の一大要因になる」という固定概念は、1960年代に米国のL・K・ダール博士が、日本人の塩分摂取量と高血圧の発症頻度を、塩分摂取量の少ないマーシャル諸島の人々やアラスカのイヌイットの人々と比較した論文が大きく影響しています。

 1960年頃、13~14g/日の食塩摂取をしていた鹿児島など南日本の人々の高血圧の発症率が約20%、同じく27~28gと2倍もの食塩を摂取していた東北地方の人々の発症率が約40%という結果が出た為、「塩分こそ、高血圧や脳出血の元凶である」という論文になりました。

 この頃から東北地方で減塩運動が始まり、全国に普及していったのです。1945(昭和20)年以降の日本人全体の平均食塩摂取量は15g/日でしたが、1979年(昭和54年)には13.1g/日になりました。しかし当時、厚生省が「10g以内が望ましい」と発表、その後1日の平均食塩摂取量は1985(昭和60)年には12.1g/日、2015(平成27)年には10.0g/日にまで減少しました。にもかかわらず、厚生省は減塩を推し進め、現在は「男性7.5g以下、女性6.5g以下が望ましい」としています。またWHO(世界保健機関)では5.0g以下を推奨しています。

“減塩”で免疫力が落ち、ガンに罹りやすくなる

 昔から塩は"生きていくための最重要食品"でしたし、文化の発展にも大いに寄与してきました。なのに「寒い地方の人々が体を温めるために塩を多く摂ったことで高血圧の人が多い」という一点の理由で、全国民に減塩を強制してしまったことのツケは実に甚大です。

 日本人の脇の下の平均体温は、1957(昭和32)年には36.9℃だったといいます。ところが今は36.5~36.2℃の人がほとんどで、中には34℃台の人もいるのです。体温が低くなってしまった要因の一つは、現代人の筋肉量が減っていることです。体温の40%は筋肉で作られているのに、体を動かす機会が減り、昔に比べて筋肉を動かさなくなっています。もちろん、体温を高く保ってくれる塩分の摂取不足も大いに関係しています。また、体温が1℃下がると免疫機能が約30%低下することや、ガン細胞は35.0℃の低体温で増殖し、39.6℃で死滅することも分かっています。

 1975(昭和50)年のガン死者数は約13万人で、当時は医師数も同様の約13万人でした。それから50年近くの間にガンの研究・治療は格段と進歩したし、医師数も約33万人へと増加したのに、2021年のガン死者数は約38万人でした。

 医師がガン細胞を切り取ったり、放射線で焼いたり、抗がん剤で殺したりという対症療法に終始していることの他に、ガンに罹る人が著しく増加しているのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月18日水曜日

便秘

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞のリスクに

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリアのモナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響して便秘を引き起こす薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析によって便秘が心血管疾患の危険因子であることが明らかになり、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■食物繊維と便秘

 食物繊維とは「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」です。食物繊維にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴によって体に対する働きが異なっています。

 消化・吸収されない食物繊維は、昔は栄養的に価値のないものと考えられていました。しかし、健康維持のために大切であることがわかり、現在では三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)、五大栄養素(三大栄養素+ビタミン・ミネラル)に加えて「第六の栄養素」と呼ばれています。日本人の食物繊維摂取の目標量は、男性19g以上、女性17g以上と定められています。しかし、実際の食物繊維摂取量は、年齢が若いほど少なく、目標量を満たしていません。

理想的な食物繊維の摂り方

 食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、上表のように、それぞれ腸の中で異なる働きをしています。両方を組み合わせることで便秘解消&デドックス効果が高まります。

●水溶性食物繊維:腸管内の水を吸収して、便を柔らかくしてくれる作用があります。ネバネバ・ヌルヌルとした粘性があるので腸内の老廃物や毒素を吸着し、便として排出してくれます。また、悪玉菌を減らして腸内環境を整える働きもあります。

●不溶性食物繊維:腸内で水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激して腸内の蠕動運動を促します。便の嵩を増やす作用があるので、便秘解消に効果的なのですが、水に溶けない性質のため、摂り過ぎると便が硬くなってしまいます。

 腸の健康を考えると、摂取量は「不溶性2:水溶性1」の割合が理想的と言われています*。厳密にこの割合を守る必要はありませんが、バランスよく摂取することが重要です。

*慢性便秘症の患者にポリデキストロース(水溶性食物繊維)を摂取してもらったところ、排便に対して最も良い結果が得られたのは不溶性食物繊維14g、水溶性食物繊維7gの割合であったという研究結果に基づいています。


 最近の「トクホ(特定保健用食品)」には、難消化性デキストリンを配合した商品が増えています。これは、水溶性食物繊維が"脂肪の吸収を抑え排出を増加させる効果がある"と言われているからです。ただし、デキストリンの原材料には遺伝子組み換えのトウモロコシを使用したものが多く、摂り過ぎには注意が必要です。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月11日水曜日

内臓脂肪

 中年男性、内臓脂肪を7日で15%減

 高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告されました。中年男性が7日間で1440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったといいます。

 この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のジャン=ピエール・デプレ氏らによるもの(詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載)

 論文の責任著者である同氏は、「我々の研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べています。

 また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括しています。

 この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加しました。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能が有意に高く、皮下および肝臓の脂肪量が有意に少ないものでした。

 これらの参加者に対して、7日間で1440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらいました。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供しました。

 7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの、わずかな変化に抑えられていました。

 それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL)、ウエスト周囲長も有意に低下していました(-3.2±1.7cm)。

 さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していました。

 研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けています。

(出典:HealthDay News)


■今、改めて"内臓脂肪"を知る

 人間の体では、脂肪は主に二つの場所に蓄積されます。このうち内臓の周りにつく脂肪が「内臓脂肪」、皮膚の下につく脂肪が「皮下脂肪」です。

 内臓脂肪は、腹筋の内側、胃や腸などの消化器官の収まる空洞「腹腔(ふくくう)」内につきます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べて注意が必要な脂肪と言われています。それは、内臓脂肪が過剰に蓄積すると糖尿病など様々な病気を引き起こす「生活習慣病」の原因になるからです。

内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクがアップ!

 内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなるのか、それは以下の理由です。

 お腹周りの脂肪である内臓脂肪は、脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体の生理に影響を与え、身体の働きを調整する役割を持つ、ホルモンに似た物質です。その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に深く関わっています。

 内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、反対に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、やがては糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。

 内臓脂肪の蓄積で増加する生理活性物質 

TNF-α:インスリンの働きを妨げ、血糖値を上げる。TNF-αの増加で糖尿病のリスクが上がる。アンジオテンシノーゲン:血圧を上昇させ、高血圧の原因となる。PAI-1:血栓をつくり、動脈硬化を促進させる。

 内臓脂肪の蓄積で減少する生理活性化物質 

レプチン:満腹中枢を刺激して食欲を抑制する、生活習慣病を防ぐ生理活性化物質。内臓脂肪の蓄積で分泌が減少すると、この効果も減少する。アディポネクチン:血圧や血糖を低下させ、傷んだ血管を修復する。動脈硬化の防止効果のある生理活性化物質。内臓脂肪の増加⇒血管損傷の進行⇒生活習慣病。

内臓脂肪が引き起こす主な病気

▼糖尿病 ▼高血圧症 ▼脂質異常症 ▼高尿酸血症・痛風 ▼狭心症・心筋梗塞 ▼非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝) ▼脳梗塞 ▼月経異常・不妊 ▼腎臓病

 内臓脂肪は生活習慣病の原因になり、放っておくと命に係わる病気を発症するリスクが高まります。健診などで内臓脂肪を指摘されたら、まずは自分の生活習慣を振り返り、無理のないゆるやかなダイエット生活を始めましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年6月4日水曜日

六月病

 “六月病”が増えている?

 五月病は聞いたことがあると思います。ゴールデンウィーク明け頃、主に新入社員や新入学の大学生など4月からの環境変化がストレスとなって発症するもので、急性の適応障害といえます。そして、6月ごろに現れる心身の不調が「六月病」です。新入社員だけでなく、異動などで環境の変わった社会人に多いものです。五月病が遅れて現れたようにも見えますが、実は五月病は性質が違っており、六月病はうつ病の入り口の状態といえます。

 4月からの環境変化が発端であることは同じですが、我慢に我慢を重ね、我慢しきれなくなって出てくるのが“六月病”。たとえば5月の段階で気づいて手を打てれば回復も早いのですが、六月病は“こじらせた状態”とも言え、適切な対応が求められます。

 環境の変化は入学、入社だけではなく、昇進なども要因になります。プレーヤーとして優秀な人がマネジャーとなり、自分と同じように仕事ができない部下へのいらだちなどがストレスとなって不調につながる、という「昇進うつ病」も珍しくありません。

 六月病は特にまじめに頑張る人に多い傾向があります。多少の不調があっても「このくらい大丈夫。もっと頑張らないと」と心身に鞭打って走り続けてしまい、無理がきかなくなって倒れてしまう、ということになりがちです。

 初期のSOSには気づかないことも多いもの。右表をチェックしてみましょう。一つでも当てはまるものがあれば、要注意です。

 六月病の予防あるいは長引かせないためには、原因となるストレスをなくすのが一番ですが、現実的には難しいでしょう。できることは、ストレスに強い状態をつくっておくこと。お勧めの方法をご紹介します。

 睡眠 :睡眠は健康の基本で、眠ると気分もリセットされます。睡眠のほか、しっかり食事を摂る、運動するなど、基本的なことを大切に。

 趣味を楽しむ :趣味や楽しみに意識を向けてストレス源から離れることで、心がリフレッシュします。

 安心できる人と話す :家族や友人などと話すことも効果的です。

 “お守り”をつくる :深呼吸する、空を見る、好きな音楽を聴く、大好きなお菓子を食べるなど、自分なりの“息抜き法”をつくると、ストレスへの対応力が高まります。これは「コーピング」というストレス対処法で、企業のストレスマネジメントなどにも広く活用されています。

 6月は心の調子を崩しやすい時期です。特に昨今は働き方が変化して、調子を崩しやすくなっていることが多いようです。日ごろからストレスとうまく上手に付き合う方法を身につけて、うまく乗り切ってください。

(出典:https:// //kenko.sawai.co.jp/)


■“六月病”の対策

 六月に入り、病気というほどでもないけれど、ちょっと調子が良くないという人は、次の三つのポイントを心がけてみましょう。

◆生活リズムを整える

 悩みや不安があると夜眠れず、起きる時間も遅くなりがちです。できるだけ同じ時間に起き、太陽の光を浴びましょう。朝、強い光に当たると「脳内セロトニン」が活性し、それが覚醒・睡眠リズムをつくります。セロトニンには、様々な脳内ホルモンのバランスをとって精神を安定させる働きがあるのです。またセロトニンは、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料でもあります。

◆適度に身体を動かす

 運動が好きな人は汗をかくのもいいでしょう。苦手な人はラジオ体操のようなリズミカルな運動をしたり、15分間歩いたりするだけでも違います。速く歩いたり、ゆっくり歩いたり、風景を眺めて季節を感じたりします。途中目にする野の花や夕焼けなどに「わあ、きれい」と声に出して言ってみると、心も温まります。

◆オンとオフを意識して区別する

 いつもオン状態だと交感神経が優位になり過ぎてしまいます。意識的にオフの時間をつくり、読書や音楽、映画鑑賞など好きなことをして、ゆったりと気分転換をしましょう。

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【薬に頼る前に】

 適応障害やうつの治療は、カウンセリングなどの精神療法が中心に用いられ、補助的に薬が用いられます。薬は主に睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬ですが、あくまでも症状を抑える対処療法です。また、たいていの薬は効果が出るまでに1~2週間を要し、逆に副作用はすぐに表れます。初期症状の段階で薬に頼ってしまうと、薬をやめる怖さから依存症に陥り、場合によっては本当のうつ病になってしまう人も少なくありません。特にSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)の、若年層への処方による凶悪な副作用については、ご存知の方も多いと思います。使用には十分な注意が必要です。

 不安感を改善する抗うつ薬の作用機序は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンによって精神状態や気分の高低が決定されるという“脳内モノアミン仮説”を前提としています。

 当学会の研究素材である「ラフマ」(キョウチクトウ科の多年草)には、セロトニン産生および脳神経細胞膜流動性への影響を示すデータがあります。ラフマ葉エキスの抗ストレス作用睡眠改善鎮静作用血圧安定作用などが、六月病対策として期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月28日水曜日

デジタル認知症

 デジタル時代の隠れた危険

 現代の私たちの日常生活では、デジタルテクノロジーが浸透し、スマートフォンやパソコンがない生活は考えられません。デジタル機器は、便利で生活を豊かにしてくれますが、過度な使用によっては「デジタル認知症」という危険が潜んでいます。

 デジタル認知症は、デジタル機器の過度な使用によって引き起こされる認知機能の障害で、記憶力の低下、注意力や集中力の低下、運動能力の低下などが症状として現れます。

 デジタル認知症は正式な病名ではなく、状態を表す呼称であり、最近ではスマホ認知症とも呼ばれています。この名称は、主に高齢者が発症する認知症と症状が似ていることから使用されていますが、脳の萎縮などの症状はありません。年齢や性別に関係なく発症し、特に脳が成長途中の若い世代に大きな影響を与えると言われています。

 デジタル認知症の原因としては以下のものが考えられます。

 情報過多による脳疲労 :スマホやパソコンを長時間使用し、常に新しい情報にアクセスすることで、情報過多になり、脳疲労が起こる可能性がある。

 デジタル機器依存による記憶力の低下 :電話番号などの情報の記憶は完全にスマホに依存し、検索して情報を取り出すだけという状態が当たり前になり、その結果、記憶力はどんどん低下していきます。

 対面コミュニケーションの不足 :SNSなどのバーチャルなコミュニケーションは、実際の対面コミュニケーションとは異なり、感情的なつながりが不足することがあります。また、すぐに返信しなければならないというプレッシャーや、誰かとつながっていないと不安というような感情を生むこともあります。これらの要因が精神的な問題を引き起こすリスクとなります。

 運動不足と不適切な姿勢の影響 :デジタル機器の長時間使用は、運動不足を引き起こし、肥満や体の健康問題につながる可能性があります。また、長時間前かがみの姿勢でいることも悪影響を及ぼします。

 デジタル認知症の症状として、右表のようなものが挙げられます。中でも、デジタル認知症が子どもに与える影響は深刻だと言われています。子どもは脳がまだ成長途中であるため、デジタル機器の過度な使用が脳の発達に悪影響を与える可能性が高いと考えられています。特に、発達の遅れや不安定な感情、協調性のない行動などに注意が必要です。

(出典:https://medical-b.jp/)


■デジタル認知症の予防

 デジタル認知症は、日々の行動に気を付けることで予防が可能です。

デジタル機器の使用時間を減らす⇒1日の中でデジタル機器を使用しない時間を決めたり、目的のない時はデジタル機器を使用しないなどのルールを設け、できるだけデジタル機器の使用時間を制限しましょう。また、デジタル機器を使った後は必ず一定の休憩時間をとりましょう。特に子どもに対しては、保護者が時間管理をサポートすることが重要です。

【頭を使う、脳を鍛える】⇒脳も体の他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまいます。日常生活で脳を鍛えるために、クロスワードパズル、数独、ボードゲームなどのゲームや、絵を描くこと、楽器の演奏など、画面から離れて脳をトレーニングする活動を取り入れることで、脳血流が活発化し、脳内の老廃物を運び出すとともに脳の記憶機能も鍛えられます。思い出せないことがあっても、すぐにスマホで検索せずに、思い出すことに集中しましょう。

【読書をする】⇒タブレットではなく、実際の本や雑誌、漫画、新聞を読むことで、読解力や記憶力が向上すると言われています。

屋外で体を動かす⇒屋外で体を動かす行為は、脳を活性化させ、血流を増加させて脳への栄養供給を促進します。デジタル機器から離れて屋外で時間を過ごすことは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層にとって有益なことです。

対面のコミュニケーションを促進する⇒人と直接会って話し、交流することは、脳を刺激し活性化させます。メールやSNSなどのオンラインコミュニケーションではなく、実際に相手と対面して、表情やしぐさを見ながらコミュニケーションをとることが大切です。

 人の脳の働きは取り入れた情報を処理し、アウトプットするまでがひとつのサイクルになっています。デジタル機器の使用においても、脳はそれらを情報として処理するために活発に稼働します。「特に考えずに」「なんとなく」取り入れた情報はアウトプットされないまま、「情報のゴミ」として蓄積されます。脳の容量を超えて情報のゴミが溜まり続けると脳の疲労が深刻化し、脳の機能が低下してしまうのです。

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 康復医学学会が推奨する「HM-3000(特系霊芝)」の、脳血流を維持・促進させる働きは、デジタル認知症の予防にもつながります。

 また、スマホやパソコンのブルーライトを見続けると睡眠を促すホルモン・メラトニンの分泌量が減少するといわれています。「ラフマ葉エキス」は、メラトニンの材料となるセロトニンの産生を促します。それがメラトニンの活性に影響し、質の良い睡眠へと誘います。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月21日水曜日

鉄欠乏

 鉄分不足、心臓には大きなリスク

 鉄分の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者の30%以上は鉄欠乏性貧血が合併していると報告されており、貧血を合併している人は、合併していない人と比べ、全死亡率や心不全による再入院率が高くなっています。また、心不全患者の鉄分不足を治療すると、再入院率とQOL(生活の質)が改善されるという報告もあります。

 鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを合成するために欠かせない物質で、不足するとヘモグロビンの生成が足りなくなり貧血が引き起こされます。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、貧血になると細胞が酸欠状態になり、疲労感、倦怠感、立ちくらみ、息切れ、動悸、めまい、頭痛など様々な不調が現れるのです。

 貧血が起こる原因は、その70~80%が冒頭で触れた鉄分不足による鉄欠乏性貧血で、多くは体から血液を失う要素がある人に生じます。例えば歯茎のトラブルや痔などで頻繁に出血しやすいとか、消化管など体内での出血、女性の生理の出血量などで起こります。こうした場合、慢性的な貧血状態になり、それが心臓に負担をかけることにつながります。貧血による体内の酸欠状態をカバーするため、心臓が必死に働き多く血液を循環させようとして、心拍数が増加する「心悸亢進」という症状が現れ、心臓に大きな負担がかかります。その結果、心不全の"予備群"のような状態になると、特に高齢者では心不全を起こしやすくなったり、心臓に障害があれば狭心症や大動脈弁狭窄症の症状が急激に現れたりするのです。

 貧血気味の人で息切れ、胸が苦しい、立ちくらみといった症状がある場合は、家族歴や既往歴を確認して、心臓疾患の疑いがあるなら専門医を受診したほうがいいでしょう。

 鉄欠乏性貧血は、鉄剤を服用して新たに赤血球を作り出す治療で改善できます。ただし、不足の鉄分を取り込んだとしても、体内に「貯蔵鉄」の蓄えがなければ、再び貧血が起こります。貯蔵鉄はフェリチンという鉄結合たんぱく質として肝臓、脾臓、骨髄などに貯蔵されており、体内の鉄分が不足すると血液中に放出されて不足分を補う働きをします。そのため、貯蔵鉄を十分に作っておかないと、貧血を繰り返すことになるのです。

 鉄分は食事で摂ることも重要です(右表)

 慢性的な鉄分不足の場合、心臓に負担がかかって何らかの影響が出る前に、まずは貧血の症状が先に現れやすいといえます。近頃疲れやすくなった、少し動くだけで動悸がするなどの変化を自覚したら、医療機関で血液状態をチェックしてもらいましょう。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■鉄欠乏の症状と対応法

 鉄は体内の酸素の運搬・貯蓄に強く関わる栄養素であり、人間は鉄が無くては生きていけません。欧米では小麦粉などの日常食材に鉄分を添加したり、鉄不足の女性に妊娠を控えるよう勧めたりする国もあるのに対し、日本はこれといった鉄不足対策は行われていません。特に55歳以下の有経女性の大半は鉄不足となっているのが現状です。

鉄欠乏の症状

 鉄不足でまず思い浮かぶ症状は貧血(男性:Hb値<13g/dl、女性:Hb値<12g/dl)です。検査で貧血と判定されるほどの鉄不足はすでに重症レベルと言えます。「フェリチン」(体内の鉄貯蔵量を反映するたんぱく質)を測定してみると、ほぼ底を付いているケースがほとんどです。鉄不足はほかにも次のような様々な症状を起こします。

 骨・皮膚・粘膜の障害 (あざ、コラーゲン低下による骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常) 

 知能・情動への影響 (不眠・集中力低下・学習障害・うつ・パニック障害) 

 ホルモンへの影響 (甲状腺ホルモンの成熟障害、不妊症)

 白血球・免疫への影響 (抵抗力の減少) 

 消化系に及ぼす影響 (嚥下障害、食欲不振、下痢、便秘、氷を好んで食べる) 

 いわゆる不定愁訴 (頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、寝坊癖、疲労、むずむず脚など)

 これらの症状が鉄不足からくることに気付いてない方が大勢いますので要注意です。

 貧血ではないから鉄不足ではないと考えがちですが、貧血でなくとも潜在的鉄欠乏の人は多いのです。血液検査項目の赤血球数Hb値などに続いて「MCV(平均赤血球容積)」という項目があれば注意してみてください。〔異常なし〕とされていてもMCVが95(fl)を下回り、かつ上記のような症状がある人は、鉄不足を疑って受診してみてください。

 貧血治療経験のある45歳の有経女性が特にわけもなく気が滅入ってきたとします。「更年期?」などと軽く済まさず鉄欠乏再発を疑いましょう。鉄不足でメンタルが不安定になるのは、やる気を高めるノルアドレナリンドーパミン、興奮と抑制をバランス調整するセロトニンなどの脳内神経伝達物質が、たんぱく質を原料として造られる際に鉄が必要だからです。

 女性が出産後、情緒不安定に陥るのも鉄不足の悪化が一因と考えられています。妊婦が鉄不足だと胎児も鉄不足となり早産や低出生体重児の原因となるため、妊婦の鉄不足はあらかじめ十分に改善しておく必要があります。

鉄欠乏の対応法

 まず、鉄分豊富な食材を意識的に摂ります。牛・豚・まぐろなどの赤身肉やレバーに含まれる動物由来「ヘム鉄」、小松菜、海苔、パセリなどの植物系食材に含まれる「非ヘム鉄」、吸収がよいのは前者ですが、両方一緒に摂るのが効果的です。

 病院では鉄剤が処方されますが、むかつきや便秘などの副作用が苦手な人もいます。そういう場合は上記の食材に加えて「ヘム鉄」サプリメントの服用も有効です。鉄が充足されれば吸収しなくなるだけなので鉄過剰とはなりません。出来れば血液検査でフェリチン値(貯蔵鉄)が60~100ng/ml以上になるまで補充するのがよいでしょう。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年5月14日水曜日

筋肉

 “質の良い筋肉”を目指す

 骨格筋は、筋線維という繊維状の細胞が集まって構成されています。筋線維の束は筋束(きんそく)と呼ばれ、全体は筋外膜で覆われています。筋肉の量が増えるというのはこの筋線維の1本1本が太くなることで、筋肉が減るというのは筋線維が細くなることを意味します。

 他の多くの組織と同じように、筋肉は絶えず新しい筋線維の合成と古くなった筋線維の分解を繰り返しています。ところが歳をとると、この合成が滞り、分解が進むようになります。そのため、普通に生活していても、全体の量が徐々に減っていってしまうのです。筋肉の合成が減少したり、分解が増加したりする理由には、運動量や身体活動量の減少、筋肉の合成を促すホルモン(男性ホルモンや成長ホルモン)の減少、栄養(特にたんぱく質)の摂取量の減少、筋肉の分解を促す「炎症性サイトカイン」の異常分泌――などがあります。

 筋肉の「質」の低下(機能低下)が起きるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

「筋肉は太いほど大きな力が出せる。筋力が落ちるのは、歳とともに筋線維が萎縮して細くなる(筋肉の量が減る)から。しかし、筋線維の太さは変わらない場合でも、細胞と細胞の間や細胞の内部に脂肪がたまり、実質的にやせ細っていることがある。見た目の筋肉の大きさは変わらないのに、実は“サシ”のように脂肪が入り込んでいる、この状態をダイナぺニアと呼ぶ。さらに進むと筋線維全体が細くなって、見た目の量も減っていく」(同志社大学スポーツ健康科学部教授・石井好二郎氏)

 本来、脂肪は皮膚のすぐ下の組織(皮下脂肪)や内臓周辺の脂肪組織(内臓脂肪)にたまるものですが、本来たまるべきではない場所にたまる「異所性脂肪」もあります。中に異所性脂肪がたまった筋肉は「脂肪筋」とも呼ばれ、肝臓に異所性脂肪がたまると「脂肪肝」と呼ばれます。筋肉の細胞に脂肪がたまると、収縮する力が低下します(=筋力の低下)。さらに、筋肉の細胞には、糖を取り込み血糖値を調整する機能がありますが、異所性脂肪がたまると糖を取り込む能力が落ち、糖尿病の発症にもつながります。

 筋肉に脂肪がたまる原因は、主にエネルギーの摂り過ぎ。余ったエネルギーが脂肪に変わり、皮下にも内臓周辺にもためきれずにあふれ出したものが、異所性脂肪となります。異所性脂肪がたまると、多くの場合まず脂肪肝になり、次に骨格筋に脂肪がたまり、筋力の低下が起こります。当然、内臓脂肪もたまっているので、生活習慣病のリスクが高くなります。高脂肪食をよく食べる人や運動不足の人は、異所性脂肪には要注意です。しかし、体重はさほど多くなく、見た目の肥満はない人でも、異所性脂肪がたまる人がいます。メタボに関連する高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上が当てはまる場合は、筋力が低く、筋肉の質の低下が起こっていることがよくあります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■筋肉と健康の密接な関係

 加齢によって筋力が減っていきます。一般に30歳を超えると年に1%ずつ筋力量が減るとも言われています。すると熱中になりやすくなったり、代謝が悪くなったりしやすいです。

筋トレは加齢していくほど大切

 筋トレというと、スポーツ選手や、筋肉質の体系を望む人がやるもの、と思われるかもしれません。しかし、実は年齢を重ねて行くほど、筋トレを習慣的に行うことが重要になります。筋肉量は30歳をすぎた頃から次第に減り始め、80歳の時点ではいちばん筋肉量があった時から6~7割も減った状態になってしまうからです。

 筋肉は運動器としての役割だけをしているわけではありません。筋肉は糖質と脂質を分解して、熱を発生する基礎代謝も行っています。

 筋肉量が多いほど体の中にある余分な糖質・脂質が燃焼され、その結果として血糖値の上昇が抑制され、重大疾患の要因になる生活習慣病の予防にもつながります。

筋肉の主な役割

 姿勢を保持 :骨格筋は姿勢保持にとって非常に重要。筋力の維持は、高齢者の転倒による怪我・骨折などの予防につながる。

 血液を心臓に戻す :血液を心臓へ戻す際、体の骨格筋が収縮することで血管を収縮してポンプのような役割をする。筋肉量が減ると心臓の筋肉に負担がかかり様々な不具合が出る。

 代謝を上げる :体温を一定に保ち生命維持に必要な「基礎代謝」はほとんど骨格筋が担っている。代謝(生命維持のために有機体が行う合成や化学反応)は、「異化」と「同化」に区分される。異化=物質を分解してエネルギーを得る過程、同化=エネルギーを使って物質を合成する過程。

 体を衝撃から守る :衝撃から内臓、骨、血管などを守るクッションのような役割をしている。

 水分を貯蔵 :骨格筋は体の約6割の水分を保持している。細胞が蓄える水分は、体内で脱水が始まると、細胞から脱水傾向のある血管内に水分を補填して、血液循環を保とうとする。

 免疫力を上げる :リンパ球などの免疫細胞は筋肉に多く蓄えられているグルタミンによって活性化される。ゆえに筋肉量が減ると、免疫機能も低下すると言われている。

 運動で生理活性物質(マイオカイン)を分泌 :骨格筋は運動をするときに、様々な生理活性物質を分泌していることがわかってきた。この物質を総称して「マイオ(筋)カイン(作動物質)」という。

代表的マイオカイン⇒●IL-6(糖や脂肪代謝を促し肥満や糖尿病を予防) ●FGF-21(肝臓で脂肪を分解) ●Irisin(肥満、糖尿病の予防) ●IGF-1(筋肥大の促進、認知症の予防) ●BDNF(脳の神経細胞を生育)

筋肉量を維持するには

筋トレを行う

■日常生活の中でこまめに体を動かす

■意識的にたんぱく質を摂取する

 筋力トレーニングでは、衰えやすい足腰の筋肉を優先的に鍛えるのがよいでしょう。また、筋トレ後30分以内に良質のたんぱく質を摂取すると、筋肉を合成する働きが促進されます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月7日水曜日

便の異常

 なぜ高齢者は便もれしやすいのか

 65歳を超えると30%の人が便秘になり、7%の人に便もれが起こると言われています。介護施設では50%近くの人に便もれの経験があるという研究もあります。高齢になると便秘気味、下痢気味になるひとがいますが、それは運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化、内服薬などが関係しています。

 高齢になると運動量が少なくなります。運動により腸も活発になりますが、動かないでいると腸に運動刺激が起こらず、適切に動いてくれません。すると便秘になりやすくなります。

 さらには筋肉が衰えます。腕や足の筋肉だけではなく、骨盤や肛門周りの筋肉も弱くなるのです。その結果、尿もれをしやすくなり、便の切れも悪くなります。踏ん張っても便を出し切れなくなるため、便秘になることがある一方で、便を我慢しなければというときに肛門をギュッと締めて抑えることができなくなります。

 腹圧性尿失禁(お腹に力を入れた瞬間に起こる尿もれ)に効果のあることが知られている「骨盤底筋トレーニング」という方法が、便失禁に対しても効果的なことが分かっています。

 それ以外にも、歩くだけでいいので足を使っての運動が便の排出・状態を良くします。

 高齢になると、腸内の環境も変わってきます。腸というのは非常に長い臓器です。腸の中にはおよそ1000種類もの菌(腸内細菌)がいて、消化吸収を助けたり、免疫機能を刺激したりしています。しかし高齢になってくると体調不良・食欲不振・度重なる抗菌薬の使用などにより、腸内環境が悪化しやすくなります。すると、同じような食事を摂ったとしても若い人と比較して適切な吸収が行われず、固まって便秘になったり、うまく吸収できず下痢になったりします。特に油ものやニンニクなどの刺激物を食べたときは、こうした胃腸の不調が顕著に現れやすくなります。

 対処法として、1つは乳酸菌やビフィズス菌、麹菌など、腸内細菌となりうるものを摂取することです。具体的には発酵食品。ヨーグルトのほかに納豆やしょうゆ、みそ、ぬか漬けなどを定期的に摂取することをお勧めします。それ以外にもプレバイオティクスといって、腸内細菌のエサとなるフラクトオリゴ糖のようなものを摂取することも大切です。これはバナナなどに含まれています。

 食物繊維にも整腸作用があります。キャベツのような分かりやすい食物繊維は不溶性食物繊維といいます。水に溶けにくいので不溶性です。一方で水溶性食物繊維と呼ばれる食物繊維も大切です。水溶性食物繊維は、ぱさぱさした食物繊維のイメージとは違い、ドロッとしたものです。例えば、オクラやモロヘイヤ、納豆などに含まれるねばねばした成分がそれになります。この水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することが、腸内環境を整える上で重要になります。そうして刺激の強いものを避けることが腸を守ります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■便の異常と内服薬の影響

 高齢者の便の異常の原因として、運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化とともに多いのが“内服薬の影響”です。

 高齢者が飲む内服薬には様々なものがありますが、腸の異常によく関係してくるのが便秘薬(緩下薬、下剤)や下痢止め(止痢薬)です。下剤は簡単に薬局で手に入るために安易に使用されることが多い薬です。少しでも便秘気味だと、便の排出を薬の力に頼ろうとする人は少なくありません。ただし、医師の管理下で飲むならいいのですが、そうでなく自己判断で使用をしている場合は注意が必要です。

 便秘は、本来は生活改善をして便が出やすい環境を整えるのが最優先です。下剤を使えばその時は便が出やすくなりますが、連用してしまうと、体が下剤の刺激に慣れてきて、効果が薄れてくる場合があります。すると、「ではもっと強い薬を」となって、きりがなくなります。運動や食べ物の工夫など、日々できることをやることが優先すべき対応です。

 また、医師に便秘の薬を処方されていて、便秘も改善されてやや下痢気味になってきたという場合。そんなときに外来で「お変わりありませんか?」と聞かれて「変わりません」と答えてしまうのもよくありません。そう答えた結果、医師に「便秘が改善していないのだな」と思われて薬が処方され続け、下痢気味になっているという方も多いのです。処方薬の服用で便の状況が変わってきたら、主治医に報告しましょう。

 自己判断で下痢止めを使うのも控えた方がいいでしょう。腸が下痢を起こしているときは何かしらの理由があります。例えば食中毒のように何か悪いものを食べて、体の中に入ったウイルスや菌を排出するために下痢が起きていることもあります。それなのに無理やり下痢止めで止めてしまうと、体の中にウイルスや菌が蔓延してしまいます。下痢がつらいときは、安易に下痢止めを使うのではなく、医師に相談して対処するほうが安全です。

 これらの薬だけではなく、高齢になると多くの薬を飲みます。その薬が副作用として下痢や便秘を引き起こすこともあります。特に便秘との関連が指摘されているのは、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬です。下痢は、抗菌薬や抗がん剤で起こりやすいようです。徐々に便秘になっていくケースもあり、飲んでいる薬が原因だと気づきにくいこともあります。下痢や便秘があるときは主治医や薬剤師に相談してください。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月30日水曜日

ジャンクフード

 英、ジャンクフードCMを深夜枠に限定

「やみつきになる美味しさ」に覚えはないでしょうか。甘いもの、脂っこいもの、辛い物やしょっぱいものなどが、その代表格です。

 人は生きるために必要な栄養素を体が自然と欲するようにできています。技術や科学の発展はめざましく、一食で様々な栄養が摂れるので、先進国では人々が飢餓に苦しむことはほとんどなくなりました。しかし、体の進化は悠久の時を経てきたものです。急激な食文化の変化に体がついて行かず、近年では、肥満による病気の方が問題になってきています。

 たとえば、様々な人が暮らすイギリスでは、1990年代初頭から肥満が増えてきました。同国の国民保健サービス(NHS)によると、成人の60%以上が太り過ぎ、または肥満だといいます。その問題の多くは子供時代に始まり、境遇が恵まれていない人ほど、食生活が乏しい傾向があることを研究は示唆しています。

 そこで英国は2021年6月、思い切った政策を打ち出しました。テレビとオンラインで、ジャンクフード(脂肪、砂糖、塩分を多く含む飲食物)のCM表示時間に、制限を設けるのです。チョコレートやアイス、ハンバーガー、シリアル、人工甘味料の入ったジュースなどの宣伝は、夜9時から朝5時半の「深夜枠」での表示となり、午後6時ごろなど、子供と大人が家で一緒にテレビを見るゴールデンタイムには放送されなくなります。

 非営利団体Cancer Research UKによると、英国の11~19歳がジャンクフードの広告を見ている場所は、ソーシャルメディア86%、テレビ84%、街中の看板82%でした。また、同国の保健省は、脂肪、砂糖、塩分が多く、子供が過剰に糖質とカロリーを摂取しがちな食品や飲料のオンライン広告を制限すれば、英国の4~15歳が1年間に食べる量を125億カロリー(ドーナツ6,200万個に相当)を減らすことが可能だとしています。

 この政策に対し、抗議や懸念の声もあがっています。BBCによると、英国の広告協会の人は「放送やオンラインパブリッシャーの仕事が失われる」と主張し、食品業界の一部は「ジャンクフードの広告だけを規制するのは不均等につながる」と話しています。

 英国政府は、若者が不健康な製品を過剰に消費するのを防ぐことを目指し、これまで長らく広告規制の政策を打ち出してきました。首都ロンドンでは、2018年から公共交通機関でジャンクフードの広告が禁止されています。

 かつて「成人病」という言葉がありました。これは大人が急になるものではなく、子供の頃からの生活習慣がもとで発症するため、今では「生活習慣病」と呼び方が改められています。若いうちにジャンクフードを食べ過ぎると、健康を害する未来が待ち受けている可能性があるのです。英国が打ち出した大胆な政策は、子供を守る立場にある大人がとった行動としては、評価できるものでしょう。

(出典:https://ideasforgood.jp/)


■ジャンクフードで脳が萎縮する

 ポテトチップスや甘い清涼飲料水、インスタントラーメン、クッキーなどの加工食品やファストフード‥‥ こうした食品は、塩分、糖分、脂質、カロリーが過剰なものが多く、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルや食物繊維などの栄養価は低いため、「ジャンク(=がらくた)フード」と呼ばれます。ジャンクフードを食べ続けると、肥満、糖尿病や心臓病などの生活習慣病になりやすいことはご存じの通りです。さらに最近の研究では、ジャンクフードが"脳にも悪影響"を与えることが明らかになってきました。

不健康な食事で左海馬の体積が小さくなる!?

 研究によると、[1]新鮮な野菜、サラダ、果物や魚などを摂取する健康的な食事のグループ [2]焼き肉、ソーセージ、ハンバーグ、ステーキ、ポテトチップスや清涼飲料水を摂取する西洋型の不健康な食事のグループに分けて調査した結果、[1]の参加者たちは、平均的な食事パターンの人より、左海馬の体積が45.7㎣が大きめでした。一方[2]の参加者たちは、左海馬の体積が52.6㎣小さくなっていました。また、年齢、性別、教育、労働状況、抑うつ症状と投薬、身体活動、喫煙、高血圧や糖尿病など他の要因を除いた食事だけでも、海馬の体積に影響を与えることが分かりました。

 海馬は学習や記憶、抑うつなど気分の調節に関与しています。また成人でも「ニューロン新生」と呼ばれるくらい、新しい神経細胞をつくる稀な脳の領域です。海馬の体積はうつ病だと減少し、抗うつ薬はニューロン新生と海馬の体積を増加させると報告されてきました。

加工食品は避けなければならない

 海馬は、一生を通じて学習、記憶および精神的健康の中心です。よって今回の調査結果は、全年齢の人に当てはまるでしょう。つまり、食事の主な成分を野菜、サラダ、果物、豆類、全粒穀物と生のナッツなどの植物性食品、魚や脂肪の少ない赤身肉、オリーブオイルなど、健康な脂質にすべきだということです。同時に、清涼飲料水、塩味の揚げたスナック、焼き菓子のような加工食品は極力、回避するべきです。健康に良くない脂質や糖分、精製された炭水化物を多く含む食品類は、海馬や消化管に悪影響をおよぼすのです。

 最近の研究で、腸内細菌叢が体や心の健康に関して、中心的な役割を果たすと分かってきました。食物繊維を多く含む食品や発酵食品は、腸内細菌叢の健康を促進しますが、脂肪や人工甘味料、乳化剤を含む加工食品は、腸の健康を損傷してしまうことが理解されています。

食事パターンと精神障害の発症の関係

 世界保健機関(WHO)によると、精神疾患や神経疾患に苦しむ人は世界で4.5億人にも上り、生涯に4人に1人が経験しています。特に大きな割合を占めるうつ病と不安障害の人口は、今後数十年のうちに世界全体でさらに増加すると示唆されています。精神障害の発症には遺伝や環境などの様々な要素が複雑に影響しあっていますが、今回の報告で、食事のパターンの重要性が示されたのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月23日水曜日

腸内環境

 腸内環境を整えて、元気な毎日を!

 腸は、食道、胃に続く消化器の一つで、小腸、大腸に分かれています。私たちは、これらの消化器から食べた物に含まれている水と必要な栄養素を吸収し、残ったものを便として排泄します。排便時に便の状態を確認することは、自分自身の健康状態を知るために役立ちます。理想的な便は、いきまずにストンと出る黄色または黄褐色の便です。便は、腸に長く留まるほど硬くなります。また、黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内環境のバランスが悪くなっている状態です。腸内環境が悪いと、便秘や下痢など、お腹の不調が起こります。

 腸内には、およそ1000種類、100~1000兆個の細菌が棲んでいると言われています。多種多様な菌の様子が花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれます。腸内細菌には、腸によい働きをする善玉菌と腸内で有害物質を作る悪玉菌、どちらかの優勢な方に味方する日和見菌があります。腸内細菌の種類は、人によって全く異なり、食べ物や生活習慣、加齢、ストレスなどによっても変化します。健康的な腸内環境は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢で、腸内を弱酸性に保ちます。酸性に傾いた腸内は、悪玉菌の増殖を妨げ、有害物質の生成を抑えます。また、悪いイメージの悪玉菌ですが、肉類などのたんぱく質を分解し、便として排泄するという大切な働きがあり、必要不可欠な存在なのです。

 善玉菌と悪玉菌の勢力争いにより、腸内フローラのバランスは毎日変化しています。

 私たちの腸は、体を病原菌やウイルスから守る「腸管免疫システム」を備えています。腸内環境はこの免疫システムにも影響するため、免疫力を高めるためにも、善玉菌を増やし、腸内環境を良好にすることが大切です。

 腸内環境は、食べたものに大きく左右されるので、食生活には注意が必要です。善玉菌を増やすには二つの方法があります。一つは、ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品などを摂ること。善玉菌を腸内に増やすためには、毎日続けて食べると効果的です。もう一つが、オリゴ糖や食物繊維を摂ることです。オリゴ糖や食物繊維の成分は、消化・吸収されることなく大腸まで達し、善玉菌のえさになって、菌の量を増やします。オリゴ糖は大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに多く含まれます。

 腸内環境を整えるには、腸そのものを動かす習慣をつけることも重要です。適度な運動は、体を振動し筋肉も動かすので、腸内の便の動きをサポートしてくれます。便を送り出すためには、腹筋や、体の深部にある腸腰筋が後押ししてくれるので、ウォーキングなど下半身の運動を増やすよう心がけましょう。また、十分な睡眠や朝食を摂ることでも、腸内のリズムが整います朝の目覚めに一杯の水や白湯を飲むと、大腸の反射を促すことができるのでおススメです。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■腸内環境とうつ病の関係

 うつ病の原因の一つが脳内セロトニンの不足です。不足すると神経細胞間の情報交換が乱れ、キレやすい、落ち込む、無気力、ボーっとするなど様々な症状が表れます。

 セロトニンは、実は脳内に2%、腸内(消化管粘膜)に90%、血液(血小板中)に8%という割合で存在しています。このたった2%の脳内セロトニンが人の精神状態を大きく支配するのですが、腸内環境が正常でないと腸内のセロトニンが脳まで上手く運ばれず、脳内セロトニンが不足してしまいます。

 セロトニンを増やす研究の中で、腸内細菌の重要性が分かってきました。スウェーデンのカロリンスカ研究所で、腸内細菌を持つマウスと持たないマウスを比較した結果、腸内細菌を持たないマウスは、危険を伴う攻撃的な性格や行動が顕著であることが確認されました。腸内細菌が活発な健康な腸はセロトニンを生成し脳に送り届けるため、精神状態も良好である事が分かったのです。つまり、腸内環境の悪化がうつ病の要因にもつながるという事です。

 高齢化の進んだ現代社会では、新たな問題も生じてきました。認知症と抗うつ剤の問題です。日本では認知症患者は多くの場合、精神科で診ます。認知症患者の表情は暗く、無気力なものです。これは認知症の周辺症状の一つにすぎませんが、精神科医の中には、これをうつ病と誤診して、強い抗うつ剤を処方することがあります。認知症患者に抗うつ剤を処方すると、歩行困難や寝たきりになるケースがままあります。認知症の人は、脳の状態が非常にデリケートで、薬の量が少し多いだけでもダメージが大きくなります。症状悪化⇒より強い抗うつ剤⇒症状がさらに悪化⇒二度と改善しないほど深刻化‥‥という状況に陥ります。

 高齢者の場合、それが認知症なのか、うつ病や統合失調症なのか区別をするのが困難です。幻視や妄想の症状のある人に、リスパダール(抗精神病薬)を処方する精神科医が多いですが、それが認知症の症状だった場合リスパダールを処方するのは極めて危険です。筋肉に異常が起こり、歩けなくなってしまう患者もいます。

「医者に言われたから」「有名な薬だから」と安易に薬を飲んでいると取り返しのつかないことになります。患者の家族側にも"知識"という武器が必要なのです。

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 脳内セロトニンの増加と脳神経細胞膜流動性の向上には「ラフマエキス」がお勧めです。

 また、「HM-3000(特系霊芝)」は、乳酸菌等で腸内細菌の環境を整えると同時に、腸壁に密集する絨毛(じゅうもう)内の毛細血管の機能を改善し、腸の働きを促します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月17日木曜日

脳の仕組み

 良質の油は思考を柔軟にする

 人の全ての細胞膜は、主にリン酸脂質によってつくられています。もちろん、脳の神経細胞の膜も脂質でできており、細胞膜がきれいな状態でなければ、神経伝達物質もうまく働いてくれません。神経伝達物質の正常なやり取りがなければ、脳は正常な指令を出すことができなくなり、ひどい場合には、うつ症状などが表れることになります。

 細胞は、生命の基本単位です。細胞が正常に働かなければ、人は何もできなくなります。細胞の再生が上手くいかなくなれば、その部分が壊死します。また、細胞間の神経伝達が滞れば、触っても何も感じなくなるのです。しかも、脳の神経細胞の数は、生まれたときに備わっていた数から増えることはありません。年を重ねるにつれ、どんどん少なくなっていくだけです。それでは、どうすれば細胞の働きを健康に保てるのでしょうか。

 たとえば肌の老化には、3つの大きな原因があると考えられています。

 一つは「乾燥」です。高齢者の肌がカサカサになるのは、保水力が衰え、皮膚が乾燥するからです。二つ目が「光老化」、つまり日焼けによる老化です。私たちの肌は、日光の中の紫外線を受けると日焼けを起こします。若いころは海水浴をして日に焼けても、そのうち黒くなった肌がむけ、3カ月もすると元通りになります。しかし、年齢とともに、焼けた肌はなかなか元のようには戻らなくなり、紫外線を受けた部分にシミやソバカスができるようになります。高齢者の顔に見られる紫斑がこの光老化によるもので、日光に晒される顔の部分に集中的に表れます。三つめは「酸化」です。酸化はストレス、飲酒や喫煙、紫外線、放射線、食品添加物などによって生じる、いわば身体のサビ。肌の老化の約8割がこの酸化によってもたらされている、とも言われています。

 よく言われるアンチエイジング(抗老化)というのは、肌の老化の3大原因をできるだけ避け、美しく健康的に歳を重ねることを提唱しているわけです。ここで注意しなければならないのは、肌で起こることは全身で起きている、ということ。中でも「酸化」は、細胞レベルでも日々起こっています。たとえば、悪い油を摂ると細胞膜がサビつきます。細胞膜の再生を促すような質の良い油を補給する必要があります。サビついた細胞をそのまま放置しておくと、神経の伝達はどんどん滞ってしまい、その結果、見た目の健康も、精神的な反応も、悪くなってしまうのです。

 ここでいう“質の良い油”とは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、オメガ3系の油です。イワシやサバなどの青魚、大豆などに多く含まれています。

 脳の神経細胞の膜をきれいに保つことができれば、判断力や思考力などもアップします。DHAやEPAは、血液をサラサラにする効果も非常に高く、肉体的な若さを保つ意味でも、積極的に摂るようにしたいものです。

(出典:『甘い物は脳に悪い』笠井奈津子著より)


■脳の仕組みとこころ

感情・思考を生み出すのは脳

 楽しい、悲しいといった感情や物事を考える思考は、頭の中つまり脳で生み出されています。では、脳は何でできているでしょうか? 答えは「神経細胞」です。

 脳は神経細胞の集合体で、その数は500億~1000億個以上と言われています。集合体の中ではある一つの神経細胞がキャッチした外部情報をリレーのように次の神経細胞へ、そしてまた次の神経細胞へと伝えています。

 情報を伝えるバトンの役割をするのが神経伝達物質です。神経細胞内部では情報が電気信号となって細胞の末端まで到達しますが、電気信号のままでは次の神経細胞に情報を伝えることはできません。そこで、電気信号は神経伝達物質が収納されている袋に働きかけ、神経伝達物質を放出させます。すると、次の神経細胞では放出された神経伝達物質をキャッチし、その情報を再び電気信号に変換して次の神経細胞へとリレーをつなぎます。つまり外部情報は、電気信号と神経伝達物質に変換されることを繰り返しながら伝えられていきます。

 また、キャッチした外部情報のすべてが次の神経細胞に伝えられるわけではありません。情報量が一定量未満の場合には、その情報は消えてしまいます。

 このように脳内の500億~1000億個以上ある神経細胞では、外部情報を取捨選択しながら情報の取り込みと伝達を繰り返す「外部情報のリレー」が無数に起きています。そして、その果てしないリレーの結果として感情・思考が生み出されているのです。

こころの病気と神経伝達物質

 神経伝達物質は情報を伝達する大切な役割を担っています。神経伝達物質の働きがきちんと行われているからこそリレーが続き、その結果として感情・思考は正常に作動して精神状態が正常な状態に保たれます。逆に、神経伝達物質の働きが乱れてしまうと、精神状態を正常に保てなくなるのです。精神状態が正常に保たれなくなった結果として、うつ症状や過剰な不安・興奮が現れてしまうのです。

 神経伝達物質は量が不足しても過剰であっても“正常でない”状態です。神経伝達物質には多くの種類がありますが、こころの病気に関係する代表的なものは、ノルアドレナリンドーパミンセロトニン(右表参照)で、「脳内3大神経伝達物質」と呼ばれています。


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2025年4月9日水曜日

4月10日は「女性の日」

 女性特有の病気

 明日、4月10日は「女性の日」です。1949年に労働省(現・厚生労働省)が「婦人の日」として制定し、1998年「女性の日」に改称されています。

 さて、治療や入院、手術を伴う疾病の中には、女性がかかりやすい病気がいくつかあります。女性の病気は年代によって異なりますが、ライフステージごとに何かしらの疾患リスクがあります。「年齢のせい」「疲れのせい」などと自己判断していると、知らない間に病気が進行してしまう可能性もあります。以下は各世代で気を付けたい病気です。


 20代~30代   就職や結婚、妊娠・出産など、大きな変化が起こりやすい年代です。

(1)月経関連の病気:女性は慢性的なストレスを抱えていると、ホルモンバランスの乱れから、月経関連の病気にかかりやすくなります。

(2)甲状腺の病気:代謝をつかさどる「甲状腺ホルモン」が体内で過剰に分泌されると、バセドウ病という甲状腺疾患を発症することがあります。女性の罹患率は男性の3~5倍とされており、女性特有疾患のひとつに数えられています。

(3)乳がん・卵巣がん・子宮がん:女性特有の器官にまつわるがんは比較的若いうちから発症リスクが高くなります。事実、厚生労働省の統計によると、乳がん・卵巣がん・子宮がんのいずれも20代~30代以降から罹患率が上昇し始めています。

 40代~50代   加齢による衰えが目立ち始める年齢で、心身の不調に悩まされやすくなります。40代後半、更年期の症状が表れ始めますが、他にも気を付けたい病気があります。

(1)乳がん・卵巣がん・子宮がん:40代以降になると罹患率が大きく上昇する病気です。特に乳がんの罹患率は20代~30代と比べると7倍以上に及んでいます。

(2)更年期障害:閉経期前後の10年間に、卵巣ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少し始め、症状が現れます。のぼせや顔のほてり、動悸、息切れ、発汗、頭痛やめまい、イライラなど、心身に様々な不調を来すようになります。閉経を迎えると、これらに加えて膀胱炎や関節痛、無気力感などの症状が表れ始め、さらに心身への負担が大きくなります。

 60代以降   60代以降は、加齢や閉経などの影響で心身に異常やトラブルが発生しやすくなります。女性ホルモンの分泌減少に伴うトラブルに悩まされるようになるため注意が必要です。また、男女問わず疾患リスクも高くなるため、幅広い病気に備えることが大切です。

(1)がん:女性特有のがんに限らず、胃がんや大腸がん、肺がんなど他の部位のがんリスクも高くなります。特に大腸がんや肺がんは、乳がんに次いで罹患数が多いがんであり、死亡数で見ると大腸がん・肺がんが乳がんより上位に位置しています。

(2)更年期関節症:女性ホルモン「エストロゲン」の受容体は、筋肉や腱などの関節組織にも分布しており、節々の柔軟性を維持する働きを担っています。更年期にエストロゲンの分泌が不安定になると、関節の柔軟性が徐々に失われ、手足にこわばりや痛みを感じるようになります。

(出典:https://www.taiyo-seimei.co.jp/)


■女性のストレス

 職場に家庭、子育て、仕事量や人間関係など、日常的に抱えるストレスは、女性なら月経不順といった体の不調や深刻な病気を引き起こすことが多くあります。

女性の脳とストレスの影響

 女性は脳内セロトニンの産生能力が男性よりも低い*ため、ストレスが体に反映しやすくすぐ生理周期や体調に影響してしまうので、女性にとってのストレスはまさに大敵です。

 これは、女性の脳の仕組みに理由があります。自律神経をつかさどる視床下部と女性ホルモンを分泌させる下垂体が近くにあり、ストレスで自律神経が刺激を受けると視床下部と一緒に下垂体も反応し、ホルモンがスムーズに分泌できなくなってしまいます。その結果、女性ホルモンのバランスが乱れ、生理不順PMS(月経前症候群)月経困難症など女性特有のトラブルが起こりやすくなってしまうのです。

* 女性の脳内セロトニンの産生能力は健常男性よりも約52%低く、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少することが研究でわかっています。

月経異常、PMSはストレスで症状が悪化?

 更年期年齢(45~55歳)でもないのに3カ月以上月経がないとか、24日以内の周期で頻繁に月経があるようなら、明らかに月経異常です。無排卵の可能性もあります。放置すると不妊になったり、血管や骨の老化を早めたりする原因にもなります。また、月経の3~10日前に以下のような症状が出たらPMSの可能性があります。 ●腹部のはり ●むくみ ●頭痛 ●便秘 ●肌荒れ ●落ち込み ●感情の制御不能 ●イライラ ●眠い ●異常な食欲

 ストレスが強いと痛みや精神的な症状が強く出る傾向があり、中には暴力的になる人もいます。これらの症状は月経がはじまると治まります。

女性はうつ病の生涯有病率が男性の2倍!

 うつの症状は、環境の変化や仕事などのストレスなどが引き金になります。特に女性の場合、環境の変化の他に、出産や閉経などの女性ホルモンが減少することがきっかけになることがあります。

 人が一生のうちにかかる「うつ病」の割合(生涯有病率)、男性に比べ女性のほうが約2倍高いことがわかっています。特に社会的な影響が大きいのは産後に発症する産褥期(さんじょくき)です。発見が遅れると、母親の状態が子供の発達にまで影響を及ぼします。

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 月経の前(黄体期)にはセロトニンが低下することが知られています。PMSの症状軽減には、「ラフマ葉エキス」のセロトニン活性効果が期待できます。


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2025年4月2日水曜日

自閉症

 自閉症、海馬異常で他者覚えづらく

 今日4月2日は「世界自閉症啓発デー」。2007年の国連総会において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。

 昨年6月、東京大学の研究者らは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などとの共同研究で、自閉スペクトラム症(ASD)*で脳の海馬にある特定の神経同士の接続が弱くなり、他者を記憶する能力が下がることをマウスの実験で突き止めました(英科学誌「Nature Communications」に掲載)。ASDでは他者を記憶しづらくなる社会性記憶障害が起きることがあります。成果はASDの解明や治療法の開発に役立つと見られています。

 脳が物事を記憶する際、複数の神経細胞が繋がる神経回路に情報を保存していると考えられています。他者に関する記憶の場合、相手に応じて反応する神経細胞の集団が変わります。

*自閉スペクトラム症(ASD)とは:何らかの脳機能の障害によって、日常生活に支障をきたすほど他者とのコミュニケーションに困難を抱えたり、特定の物に強い興味やこだわりなどを示したりする発達上の障害。子どものころに症状があらわれはじめ、男児に多く発症する傾向がある。ASDに関与する遺伝子は数百以上に上り、複数の遺伝子の異常によって発症するとみられている。人によって様々な症状を示し、根本的な治療法はない。かつては言語発達の違いで「自閉性障害」や「アスペルガー症候群」と区別していたが、現在は多様な症状をまとめ、ASDとしている。

 ASDではコミュニケーション障害や興味の幅が狭まる症状のほか、社会性記憶障害が起きることがあります。研究チームはASD発症者の多くで変異が生じる遺伝子「Shank3」について、マウスの脳全体で働かなくさせるとこの障害が起きることを見つけていましたが、詳しい仕組みは未解明でした。今回の研究では、記憶に関わる脳の海馬だけでShank3遺伝子が働かないように遺伝子操作したマウスを使い、社会性記憶障害との関連を調べました。通常のマウスは初対面の相手に興味を抱き、近寄って観察する時間が長くなります。一方で面識がある相手を観察する時間は短いのです。ところが遺伝子操作したマウスは面識がある相手にも長く接しました。他者に関する記憶には一定数の神経細胞が必要なことも分かりました。Shank3遺伝子が働かないようにした海馬の神経細胞の数を徐々に増やすと、ある段階で社会性記憶障害が起きました。

 疾病対策センター(CDC)によると8歳児の36人に1人がASDの患者だと推定されています。ASDに関わる遺伝子は数百個あり、複数の遺伝子変異の蓄積で発症する場合も多いようです。症状は様々で、根本的な治療法はありません。

 研究チームはヒトのASDの社会性記憶障害でも、脳の海馬の同様な仕組みが関わっているとみています。研究者の一人は「海馬がASD治療の新たな標的となる可能性がある」と話しており、海馬の神経細胞のつながりを改善する研究などを進める考えです。

(出典:https://www.nikkei.com/)


■自閉症と自律神経

 自閉症の人では、自律神経のバランスが乱れていることが多く、自律神経失調症の症状が起こりやすくなります。自律神経失調症の症状としては、思うように体が動かない、イライラしやすい、やる気が出ない、不安感が強くなるなどが挙げられます。

 自閉症は、遺伝要因と環境要因による複合性疾患と考えられており、生まれつきの障害で完全に治ることはありません。自閉症の環境要因としては、妊娠初期の喫煙、水銀、有機リン酸系農薬、ビタミン等の栄養素、親の高齢、妊娠週数、出産時の状況(帝王切開等)、夏の妊娠、生殖補助医療による妊娠などが考えられています。また、自閉症では、知的能力障害(知的障害)のほか、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、学習障害(限局性学習症、LD)などがしばしば併存します。

リーキーガット症候群

 小腸の粘膜にはもともと穴が開いており、身体に必要な栄養を吸収しています。ところが何らかの理由で穴が大きくなってしまうと、有害なものまで体内に取り込んでしまい、それが慢性炎症を生じさせて病気を起こしやすくさせます。これを「リーキーガット症候群」(右図参照)といい、ガン、心臓病、糖尿病、アレルギー疾患、認知症、うつ、不安症、そして自閉症などにも深く関わっています。

 リーキーガット症候群の原因として、慢性ストレス冷え糖質過多の食事加工食品抗生剤などの薬残留農薬の野菜などが挙げられています。

発達障害とキノコ

 発達障害の子どもを調査したところ、野菜嫌いの子どもの中でも、特にキノコが苦手な子どもが多いという結果が出ているようです。自閉症とキノコに関する総論において、キノコの摂取が腸内細菌叢を改善させて、自閉症を改善する可能性が指摘されています。

 また、食用キノコのサプリメントが、自閉症児の腸内細菌叢を改善することが報告されており、チャーガ(Inonotus obliquus)、霊芝(Ganoderma lucidum)、冬虫夏草(Cordyceps militaris)、山伏茸(Hericium erinaceus)、ひらたけ(Pleurotus giganteous)、マジックマッシュルーム、舞茸、椎茸などの“自閉症やADHDに対する有効性”が指摘されています。

 自閉症児では偏食が多く、偏食によって腸内フローラの問題が起こることが指摘されています。一方で、腸内細菌叢が操り人形のように摂食行動を操作することが知られています。

 自閉症の腸内フローラの特徴としては、多様性とプレボテラ(腸内細菌タイプ=エンテロタイプを決める3種類の菌のうちの一つ)が少ないことが指摘されています。マウスの実験では、キノコ類がプレボテラを増やすことが確認されています(2018『Journal of Functional Foods』)


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2025年3月26日水曜日

難聴と認知症

 難聴は認知症に直結!

 最近、テレビの音が聞こえづらくなったなぁと思っている方、実は聴力は認知症に直結することがわかっています。「加齢性難聴は、大体の人がなる。男性も女性も40代~50代でなることが多い。大規模な調査で、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、糖尿病など生活習慣病がある人は、難聴が早く起こりやすいことが分かった。生活習慣病の放置は、難聴の進行を促すという結果も出ている」(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長、石井正則氏)

 耳は外側から、大きく外耳、中耳、内耳に分かれています。このうち、脳に音を伝える器官、蝸牛(かぎゅう)がある内耳の周りには細い動脈がとぐろを巻いています。生活習慣病になると動脈硬化が起こりやすく、その動脈硬化の影響で蝸牛の中にある細胞に栄養が行き渡らなくなり、結果として細胞の機能が落ちて、高い音から聞こえづらくなっていきます。

 蝸牛の中の細胞は毛が生えている有毛細胞で、音が入ってきてこの毛が振動することで脳に音が伝わります。有毛細胞に栄養が届かないと、この毛がどんどんと抜けていきます。それで聞こえづらくなっていくのです。しかもこの毛は、一度抜けたら生えてきません。

 この毛が抜けないようにするには、生活習慣病の改善が大事です。血流を良くするには、心地よく汗をかく有酸素運動が決め手になります(但し、ホットヨガのように強制的に汗をかくとよくないという結果も出ています)。あくまでも“心地よく”汗をかく有酸素運動を心がけましょう。

 自分はどれくらいの難聴なのかを判断するのに、「指こすりテスト」というチェック法があります。腕を横に伸ばした状態で、乾いた親指、人さし指、中指の3本の指先をこすり合わせます。このカサカサという音は約1000~3000(平均2000)ヘルツで、この音が聞こえなければ、軽度の難聴と考えられます。次に、腕を曲げて耳から、大体50cmぐらいの位置で同じようにこすります。ここで聞こえなければ中等度の難聴の可能性があります。

 そして、軽度でも診察を受けることをお勧めします。それは難聴が認知症につながる危険因子の第1位になっているから。

「耳から入る情報が減ると、脳の中で情報伝達のために作られる“シナプス”という構造も減少し、これが認知症の発症に影響することが明らかになっており、国際アルツハイマー病会議でも報告されている。聞こえづらいと人と会話をするのも億劫になり、外出する機会も減る。孤独は認知症につながる。聞こえづらくなったら補聴器を使ってください」(石井氏)

 補聴器は抵抗がある、という方も多いかもしれません。

「G7(先進7カ国)の中で、日本は補聴器の装用率が桁違いに低い。年寄りに見える、恥ずかしい、などと考える方が多いようだ。補聴器を使うと認知症になりにくいというデータも出ている。補聴器は安くはないが、補助を出している自治体もあるし、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医を受診して作れば、医療費控除の対象にもなる」(同氏)

(出典:https://mainichi.jp/)


■難聴と血流

 難聴には血流が大きく関係しており、血流障害や動脈硬化などが原因となる場合があります。難聴と血流の関係について、次のようなことが知られています。

●動脈硬化が進行すると、蝸牛神経を養っている毛細血管の血流が途絶え、難聴が進行する。

●内耳血管で血栓や出血、麻痺などが起こり、内耳の血流が妨げられると突発性難聴が起こることがある。

●疲れやストレスで自律神経のバランスが崩れ、血流が悪くなることで突発性難聴を発症しやすくなる。

●内耳や神経の老化、血管の年齢的変化などにより、50歳位から難聴をきたす加齢性難聴(老人性難聴)になることがある。

 難聴の治療では、血流改善薬と共にビタミンB12が投与されることもあります。ビタミンB12には、難聴を引き起こす傷ついた末梢神経を修復させる働きがあると言われています。

 また、内耳の血流を良くするには、以下のような方法もあります。

◆耳の後ろにあるツボ(完骨)の辺りにホットタオルを当てる ◆寒くなる時期は日頃から耳を冷やさないようにして、イヤーマフや帽子などで防寒対策を心がける ◆耳のマッサージを行う ◆亜鉛を多く含む食材や、葉酸を含む食材を積極的に摂る

脳の血流と認知症の関係

 難聴は認知症の発症リスクを増大すると言われており、それにも脳の血流が大きく関わっています。認知症と脳の血流には次のような関係があります。

 慢性的な血流低下⇒認知機能障害のリスクUP :脳の血流が低下すると、脳に十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、認知機能障害の発症や病態の悪化につながる。

 脳の血管の障害⇒認知症が発症 :脳の血管が詰まる、破れる、収縮することで脳への血流が制限され、認知機能が低下。この状態が長期間続くと、認知症が発症する。

 アルツハイマー病の初期に代謝・血流が低下する :アルツハイマー病の初期には、大脳皮質連合野の代謝や血流が低下する。

 脳血管が詰まる、破れる、収縮することで脳への血流が制限され、認知機能も低下します。脳血管障害(脳卒中)によって脳の血管が詰まったり、出血したりすることで起こる認知症を「血管性認知症」といいます。認知症全体の約2割を占めており、高血圧や糖尿病、不整脈、高脂血症などの生活習慣に起因するものが大半です。

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 脳の血流や脳の血管の機能維持・改善に期待できるのが「HM-3000(特系霊芝)」です。HM-3000の連続使用により、認知症患者の症状が改善したという多くの実証例があります。


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2025年3月19日水曜日

自律神経とセロトニン

 自律神経の乱れで起こる体の変化

 自律神経が乱れると、体にはどのような変化が起きるのでしょうか。自律神経の研究で知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると「まず、呼吸が浅くなって血流が悪くなる。すると、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなるため、首や肩のこり、腰痛、冷え、頭痛、疲れが抜けない、だるいなど、様々な不調が生じてくる」とのこと。

 脳にも酸素や栄養が運ばれにくくなるので、冷静な判断ができなくなったり集中力を欠いたり、感情のコントロールが利かなくなったりします。その結果、仕事のパフォーマンスが落ちて、ミスが増えるようにもなります。そうなると、 事が思うようにはかどらない  ⇒ イライラ  ⇒  時間がなくなって焦りが生じる  ⇒  自律神経はいっそう乱れる ‥‥

「また、イライラや焦りから余計なことを言ってしまうリスクも高まる。つい口走ってしまって『言わなければよかった』と落ち込むと、自律神経はさらにいっそう乱れることに。まさに"悪い流れ"に乗ってしまった状態で、やっかいなことに、一度ハマるとなかなか抜け出せない」(小林氏)

 通常、心身の調子が悪ければペースを落としたり、ゆっくり休もうと思うものですが、自律神経が乱れていると、交感神経が優位になったままで副交感神経が十分に上がらず、リラックスして休むことができません。その結果、睡眠の質が悪くなって、翌日も"悪い流れ"を引きずってしまうのです。

 小林氏は「人の体は『流れに乗る』のは得意だが、『流れを変える』のはあまり得意ではない」と言います。

 では、悪い流れを断ち切るにはどうすればいいのでしょうか。

「今、私たちが意識すべきは"戻す"ではなく『新たに始める』ことで新しい生活をつくっていく、という考え方にシフトすべき。新しい生活をつくるには、今までやったことがないことを始める必要がある。なぜなら、心身の調子が下がっている状態だと、今までと同じようなことをしてもインパクトに欠けて、自律神経をリセットできないからだ」(小林氏)

 サッカーや野球でも、悪い流れを断ち切るのは目が覚めるようなファインプレーです。人生も同じで、流れを変えるには、今までやらなかったことをやる必要があります。「例えば、不規則な生活をしている人なら、夜は10時に寝て朝は5時に起きる。運動不足の人なら、通勤時には1駅前で降りて歩くようにしたり、会社内の移動はエレベーターを使わずに階段を使ったりする。食生活に気を使ってこなかったのなら、朝起きたら白湯を一杯飲む、とにかくよく噛む、ということでもいい」(小林氏)

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■セロトニンの増加で及ぼす効果

「セロトニン」は、ストレスに対して効能のある脳内物質です。セロトニンの分泌を促すことによりメンタル不調の予防が期待できます。脳内セロトニンを生成する能力は、男性は女性に比べて約52%高く、セロトニンの分泌は女性ホルモンとも連動しています。

日光とセロトニン

 日光を浴びると、私たちの脳内では神経伝達物質セロトニンが分泌されます。セロトニンは、精神の安定や安心感や平常心、頭の回転を良くして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせるカギとなる脳内物質です。特にストレスに対して効能があり、精神安定剤とよく似た分子構造をしています。日光を浴びるタイミングとしては、起床直後から30分までが重要です。一日15分~30分ほど日光浴することを意識しましょう。

セロトニンの分泌を促すには

 セロトニンは日光浴のほか、様々な方法で分泌を促進できます。その一つが、リズミカルな運動。基本的なリズム運動には、歩行運動、食事の咀嚼、意識的な呼吸などがあります。一定のリズム運動は、セロトニン神経を刺激して覚醒状態を高める効果があります。また、人との触れ合い(グルーミング)も効果的です。

食事もセロトニンの分泌に大きく影響します。その栄養素はトリプトファン(必須アミノ酸の一種)です。体内では生成できないので食事から摂る必要があります。トリプトファンを含む食品としては、魚類、乳製品、大豆製品、ナッツ類やバナナなど。また、ビタミンB6、マグネシウム、ナイアシンを含む食品もセロトニン生成に関わります。ただし、心身の健康には、これらの栄養素だけに偏ることなくバランスのよい食事が基本となります。

 実はセロトニンの大部分は消化管に存在しています。腸は「第2の脳」とも言われ、精神状態と大きな関係があるのです。腸の働きは自律神経によってコントロールされており、ストレスの多い現代社会では、自律神経の働きが乱れやすくなっています。腸管免疫は体で最大の免疫器官で、体内のセロトニンの90%が消化管にあります。

 また、睡眠もセロトニンに大きく影響します。脳は、複雑で高度な活動を行う器官ですので、定期的にしっかりと休むことが重要です。寝不足が続くと、些細なことでイライラしたり、気分が晴れなかったりするように、脳の機能も低下してしまうのです。

 日中にセロトニンを作られず不足すると、夜に分泌量が増える睡眠ホルモンのメラトニンも減少するため、睡眠障害や、睡眠の質の低下などの弊害が出てきます。

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 康復医学学会のお勧めする「ラフマ葉エキス」には、脳内セロトニンを増やしセロトニン神経の通過性を安定させるエビデンスがあります。したがって、自律神経のバランスを調整・活性化に影響すると考えられています。睡眠の改善や精神疲労の改善に役立ちます。


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2025年3月12日水曜日

インスリン様成長因子

 高身長は“がん”のリスクが高い

 中国・復旦大学付属上海市第5人民病院の研究調査によると、身長が高い人は、がんになるリスクが高いといいます(『Cancer Epidemiology誌』2024年10月号に掲載)。中国人の特定集団を一定期間にわたり追跡調査した結果、身長の高い人は、がん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頚がんのリスクが有意に関連していました。さらに、中国、日本、韓国のデータを用いて解析した結果、東アジア人は、高身長が、肺がんおよび胃がんのリスク因子となる可能性があるそうです。研究チームは「身長とがんのリスクとの関連性は多くの研究で示されているが、こうした研究の大半は西洋人を対象としている。本研究では東アジア人におけるこの関連性を評価することを目的とした」としています。

 身長と病気との関係については、日本の「国立がん研究センター」も調査結果を発表しています(2018)。調査結果によると、身長が高い成人は男女ともに脳血管疾患で死亡するリスクは低いが、身長の高い男性はがんの死亡リスクが高くなっています。この研究は40~69歳の男女10万7794人を対象とし、長期間(平均約19年)追跡調査したもの。身長は自己申告で、身長別に4群に分け、全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患などを調べています。その結果、男性の低身長(160cm未満)と、高身長(168cm以上)との間には差があり、脳血管疾患の死亡リスクは高身長の方が17%低くなりました。また、呼吸器疾患死亡リスクも16%低かった一方、全がん死亡率は低身長の人に比べて、高身長の方が17%高くなっています。女性の場合は、脳血管疾患死亡リスクで差が出ました。高身長の女性(156cm以上)は、低身長(149cm未満)より脳血管疾患の死亡リスクが16%低くなっています。

 すでに欧米などの研究では、高身長ほどがんによる死亡リスクが高く、循環器疾患(心疾患や脳血管疾患)による死亡リスクが低いことが報告されています。

 では、なぜ高身長だとがんのリスクが高くなり、循環器疾患のリスクが低くなるのか。

「“高身長の人はがんリスクが高い”というのは欧米では一致した意見になっている。がんリスクが高まるメカニズムは、まだ明らかにされていない。ただ、高身長の人ほど発がんに関連する『インスリン様成長因子(IGF)』のレベルが高いことが関係している可能性は考えられる。IGFレベルが高いと細胞分裂が促され体も大きくなるが、がん細胞も増殖してしまう。もっとも、がんになるのはいくつも要因があり、高身長が及ぼす影響は微々たるものだろう。一方、高身長の人の循環器疾患のリスクが低くなるというのは、高身長の人のリスクが低いのではなく、低身長の人のリスクが高い、ということかも知れない。一般的に低身長の人は、幼少期に低栄養だった可能性があり、血管がもろく、循環器疾患のリスクが高くなるとも考えられる」(医療ガバナンス研究所理事長、内科医・上昌広氏)

 身長と病気との関係について研究が進み、予防や治療に役立つことが期待されます。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■インスリン様成長因子(IGF)とは

「インスリン様成長因子(IGF)」とは、インスリンに非常に似た構造を持つペプタイドホルモン(増殖因子)で、細胞の成長や分化、生存、代謝の調節など様々な役割を担っており、成長ホルモンにより肝臓や他の組織(骨格筋など)で産生されます。

 成長ホルモン(GH)の作用の多くはIGF-1を介したものです。ただ、脂肪を積極的に代謝する作用や、抗インスリン作用による耐糖能低下などは、成長ホルモンによる直接の作用であり、IGF-1にはありません。一方、IGF-1はインスリンと類似した作用を持っています。

 インスリンは細胞膜にあるインスリン受容体に結合し、IGF-1は1型IGF受容体に結合して、細胞内にシグナルを伝達します。糖尿病の患者ではこの2種類の受容体がハイブリッドを形成して、インスリン抵抗性の一つの原因になりますが、IGF-1はこのハイブリッド受容体とも強く結合し、その作用を発揮できる優れた点を持っています。

 以前はIGF-1とインスリンの比較をした文献が多く見られ、それらをたんぱく代謝、糖運搬、グリコーゲンやトリグリセリド合成などの面から比較検討していましたが、近年では、IGF-1の持つ筋合成、筋分化、加齢、筋損傷、筋疾患に対する作用に注目した文献も増えてきました。

 IGFの主な役割は次のとおりです。

◆新しい細胞の生成や損傷した細胞の再生を促進する。

◆代謝の調節や老化の抑制を行う。

◆肌のハリや潤いを保つために必要なヒアルロン酸の生成に関わる。

◆皮膚の構造と機能の維持に重要な役割を担う。

◆生活習慣病の予防や認知機能の改善、抗うつ効果、育毛効果などがある。

 IGFは成長ホルモン(GH)によって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。GHの作用の多くはIGF-1を介して行われます。

 インスリンとIGFは似た構造ですが、それぞれ異なる受容体に結合しています。インスリンは血糖値を下げる作用を持つたんぱく質です。

 インスリン様成長因子(IGF)とインスリンは、構造が似ていますが、作用や分泌のタイミング、結合する受容体などが異なります(右表)

 IGFは、成長ホルモンによって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。また、インスリンは糖や脂質などの物質代謝を調節する役割を担っています。


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