自閉症、海馬異常で他者覚えづらく
今日4月2日は「世界自閉症啓発デー」。2007年の国連総会において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。
昨年6月、東京大学の研究者らは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などとの共同研究で、自閉スペクトラム症(ASD)*で脳の海馬にある特定の神経同士の接続が弱くなり、他者を記憶する能力が下がることをマウスの実験で突き止めました(英科学誌「Nature Communications」に掲載)。ASDでは他者を記憶しづらくなる社会性記憶障害が起きることがあります。成果はASDの解明や治療法の開発に役立つと見られています。
脳が物事を記憶する際、複数の神経細胞が繋がる神経回路に情報を保存していると考えられています。他者に関する記憶の場合、相手に応じて反応する神経細胞の集団が変わります。
*自閉スペクトラム症(ASD)とは:何らかの脳機能の障害によって、日常生活に支障をきたすほど他者とのコミュニケーションに困難を抱えたり、特定の物に強い興味やこだわりなどを示したりする発達上の障害。子どものころに症状があらわれはじめ、男児に多く発症する傾向がある。ASDに関与する遺伝子は数百以上に上り、複数の遺伝子の異常によって発症するとみられている。人によって様々な症状を示し、根本的な治療法はない。かつては言語発達の違いで「自閉性障害」や「アスペルガー症候群」と区別していたが、現在は多様な症状をまとめ、ASDとしている。
ASDではコミュニケーション障害や興味の幅が狭まる症状のほか、社会性記憶障害が起きることがあります。研究チームはASD発症者の多くで変異が生じる遺伝子「Shank3」について、マウスの脳全体で働かなくさせるとこの障害が起きることを見つけていましたが、詳しい仕組みは未解明でした。今回の研究では、記憶に関わる脳の海馬だけでShank3遺伝子が働かないように遺伝子操作したマウスを使い、社会性記憶障害との関連を調べました。通常のマウスは初対面の相手に興味を抱き、近寄って観察する時間が長くなります。一方で面識がある相手を観察する時間は短いのです。ところが遺伝子操作したマウスは面識がある相手にも長く接しました。他者に関する記憶には一定数の神経細胞が必要なことも分かりました。Shank3遺伝子が働かないようにした海馬の神経細胞の数を徐々に増やすと、ある段階で社会性記憶障害が起きました。
疾病対策センター(CDC)によると8歳児の36人に1人がASDの患者だと推定されています。ASDに関わる遺伝子は数百個あり、複数の遺伝子変異の蓄積で発症する場合も多いようです。症状は様々で、根本的な治療法はありません。
研究チームはヒトのASDの社会性記憶障害でも、脳の海馬の同様な仕組みが関わっているとみています。研究者の一人は「海馬がASD治療の新たな標的となる可能性がある」と話しており、海馬の神経細胞のつながりを改善する研究などを進める考えです。
(出典:https://www.nikkei.com/)
■自閉症と自律神経
自閉症の人では、自律神経のバランスが乱れていることが多く、自律神経失調症の症状が起こりやすくなります。自律神経失調症の症状としては、思うように体が動かない、イライラしやすい、やる気が出ない、不安感が強くなるなどが挙げられます。
自閉症は、遺伝要因と環境要因による複合性疾患と考えられており、生まれつきの障害で完全に治ることはありません。自閉症の環境要因としては、妊娠初期の喫煙、水銀、有機リン酸系農薬、ビタミン等の栄養素、親の高齢、妊娠週数、出産時の状況(帝王切開等)、夏の妊娠、生殖補助医療による妊娠などが考えられています。また、自閉症では、知的能力障害(知的障害)のほか、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、学習障害(限局性学習症、LD)などがしばしば併存します。
リーキーガット症候群
小腸の粘膜にはもともと穴が開いており、身体に必要な栄養を吸収しています。ところが何らかの理由で穴が大きくなってしまうと、有害なものまで体内に取り込んでしまい、それが慢性炎症を生じさせて病気を起こしやすくさせます。これを「リーキーガット症候群」(右図参照)といい、ガン、心臓病、糖尿病、アレルギー疾患、認知症、うつ、不安症、そして自閉症などにも深く関わっています。
リーキーガット症候群の原因として、慢性ストレスや冷え、糖質過多の食事、加工食品や抗生剤などの薬、残留農薬の野菜などが挙げられています。
発達障害とキノコ
発達障害の子どもを調査したところ、野菜嫌いの子どもの中でも、特にキノコが苦手な子どもが多いという結果が出ているようです。自閉症とキノコに関する総論において、キノコの摂取が腸内細菌叢を改善させて、自閉症を改善する可能性が指摘されています。
また、食用キノコのサプリメントが、自閉症児の腸内細菌叢を改善することが報告されており、チャーガ(Inonotus obliquus)、霊芝(Ganoderma lucidum)、冬虫夏草(Cordyceps militaris)、山伏茸(Hericium erinaceus)、ひらたけ(Pleurotus giganteous)、マジックマッシュルーム、舞茸、椎茸などの“自閉症やADHDに対する有効性”が指摘されています。
自閉症児では偏食が多く、偏食によって腸内フローラの問題が起こることが指摘されています。一方で、腸内細菌叢が操り人形のように摂食行動を操作することが知られています。
自閉症の腸内フローラの特徴としては、多様性とプレボテラ(腸内細菌タイプ=エンテロタイプを決める3種類の菌のうちの一つ)が少ないことが指摘されています。マウスの実験では、キノコ類がプレボテラを増やすことが確認されています(2018『Journal of Functional Foods』)。
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愛・感謝 村雨カレン