2025年10月22日水曜日

廃用症候群

 寝たきりになったのに退院を迫られた

 入院する前よりも歩けなくなったのに、病院から「退院してほしい」と言われた――。こんな、患者の家族の戸惑いの声を聞くことがあります。「病院は治療して、患者が元の生活に戻れるようにする施設」と思われていますが、そうならないケースは珍しくありません。

 過去に脳梗塞を起こしたことがある70歳代の女性は、ある日、食事が取れなくなり、動けなくなってしまいました。「また脳梗塞を起こしてしまったのではないか」。家族はそう思い、救急車を呼びました。急性期病院に搬送されて検査を受けましたが、新たな脳梗塞の所見はなく、はっきりとした原因は分かりませんでした。ただ、家族の強い希望により入院となり、口から食べられないという理由で、鼻から管を入れて栄養を取ることにしました。

 入院中は、転倒リスクや安全管理の観点から歩行を制限されることがあります。寝たきりの生活が長引くと、筋肉や関節、内臓などの機能が著しく衰えてしまいます。「廃用症候群」と呼ばれ、たとえ病気の治療はうまくいっても、以前のように動けなくなってしまうのです。

 この女性は、入院中に 誤嚥性肺炎や尿路感染を繰り返し、その間に廃用が進み、ほぼ寝たきりとなってしまいました。管による栄養摂取が続き、ご家族は「この状態では、家では看病できない」と悩まれました。しかし、病状が落ち着いていることから、病院からは退院してほしいと言われたのです。

「入院が長引くほど筋力が落ちる」「病院は治療の場であって、生活を支える場ではない」という前提があります。しかし、家族は「入院すれば元気になる」「退院するときは元通りに近い状態であるはず」と考えていることが多く、そこに大きなギャップが生じています。

 この女性の病状はその後、安定したものの、「退院して自宅に戻るのは困難」と判断されて療養病棟に転院しました。

 急性期病院には、できるだけ早く退院してほしいという意図があったと思います。しかし、女性は様々な合併症を持っており、回復は想像以上に難しいものでした。だからこそ、入院中から「退院後の生活」を見据えた準備が必要です。医師、看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーなど、多職種が連携して退院支援を行い、必要に応じて在宅介護、施設入所、リハビリ入院、療養病棟などの選択肢を検討していくことが大切です。

 患者や家族も、「今の状態では家での生活が心配」「介護サービスについて知りたい」というのであれば、地域の行政機関や専門機関、医療関係者、民生委員などに相談しましょう。

「入院前より悪くなっている」と感じることは、とてもつらいことです。しかし、現実から目をそらさず、「どうすればこれからの日常を支えられるか」と考えていくことが、次の一歩につながります。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■廃用症候群

 廃用症候群(Disuse Syndrome)は、身体や精神の機能低下を起こす状態で、長期間にわたる身体的な活動や使用の減少・停止が要因です。特に、病気や怪我、手術、長期の臥床療養、または精神的な理由などにより、日常的な動作や活動を行う機会が制限されると発生しやすくなります。廃用症候群は、多岐にわたる臓器や機能に影響を及ぼし、結果としてQOL(生活の質)の低下、社会活動の制限、身体的な衰弱や合併症を引き起こします。

廃用症候群の主な特徴と兆候

 廃用症候群の兆候は、身体的、精神的、社会的側面にわたります。代表的な身体症状は、筋力低下や関節可動域の減少、筋萎縮です。長期臥床による筋肉委縮は、歩行や日常動作に支障をきたし、転倒や骨折リスクも高まります。さらに、関節が硬くなり、動きが制限されることもよくあります。精神面では、意欲や気力の低下、抑うつ状態、認知機能の低下など。これらは精神的な疎外感や孤立感を促進する結果となります。社会的な影響では、長期間の安静や身体的制約により、社会活動や趣味、仕事からの離脱、孤立感の深刻化などが生じます。

廃用症候群の発生メカニズム

 廃用症候群の発症には、身体・心理の両面からのメカニズムがあります。身体的には、運動不足により筋肉の萎縮や関節の硬化が進行し、血液循環の減少や骨密度の低下も促進されます。これらにより、リハビリテーションや身体活動への適応が困難になり、二次的な合併症を引き起こすこともあります。一方、心理的側面では、長期の療養や身体制約に伴うストレス、孤独感、意欲の低下が、身体活動の再開を妨げる悪循環を生み出します。精神的なストレスや不安は、交感神経系や免疫系のバランスを崩し、さらに身体機能の低下を助長します。

廃用症候群の予防と対策

 廃用症候群の予防・改善には、多角的なアプローチが重要です。まず、早期のリハビリと積極的な身体活動の促進は不可欠。特に長期臥床を余儀なくされる場合でも、患部の運動や、理学療法士の指導による関節や筋肉のストレッチ、筋トレが推奨されます。また、日常生活の活動量を増やす努力も重要です。杖や歩行器などの補助具を使った活用した歩行訓練や、座ったままできる体操も効果的です。併せて心理的ケアも行えば、モチベーションの維持や精神的なサポートが可能となります。さらに、栄養管理や適切な休息、睡眠の質向上も、身体と心の回復に寄与します。多職種連携による包括的なケア体制の整備が鍵でしょう。

廃用症候群の治療とリハビリテーション

 既に発症した場合の治療は、原因の除去とともに、身体的・精神的機能の回復を目指します。具体的には、段階的な身体活動の導入、理学療法や作業療法、リハビリテーションプログラムの実施、精神的支援や社会的支援を組み合わせて行います。早期の介入で、筋肉や関節の硬化を防ぎ、日常生活動作の回復が可能です。


2025年10月15日水曜日

健康な生活

 “座りっぱなし”は認知機能を低下?

 毎日身体活動をしていても、ソファで過ごす時間が長い高齢者はアルツハイマー病(AD)を発症しやすい可能性があるようです。

 新たな研究で、高齢者における長い座位時間は、認知機能の低下やADの発症に関連する脳領域の萎縮と関連していることが明らかになったのです。米ピッツバーグ大学神経学分野のマリッサ・ゴグニアット博士らによるこの研究結果は、学術誌『Alzheimer's & Dementia』に5月13日掲載されました。

 ゴグニアット博士氏らは、50歳以上の成人404人(平均年齢71±8歳、男性54%)を対象に、座位時間とADの関係を調査。試験参加者は、腕時計型の活動量計を7日間装着して活動量を測定したほか、神経心理検査と脳の3T MRI検査を受けました。試験開始時の活動量計での測定時には、79%の参加者で認知機能に障害は見られませんでした。また、87%が米疾病対策センター(CDC)が推奨する身体活動量(中~高強度の運動〔MVPA〕を1週間当たり150分以上)を満たしており、1日当たりのMVPAの時間は平均61分でした。

 横断解析(1時点のデータに基づく)の結果、座位時間が長いことは、嗅内皮質や中側頭皮質などのADに関連する脳領域の皮質厚の減少(ADシグネチャー)、およびエピソード記憶の低下と有意な関連を示しました。ただし、エピソード記憶との関連はMVPAで調整すると有意ではなくなりました。これらの関連は、ADの遺伝的リスク因子であるAPOE-e4の保有者において特に顕著でした。一方、縦断解析(長期追跡データに基づく)からは、座位時間が長いほど、記憶を司る海馬の体積の減少速度が速く、また、言葉を思い出す能力と情報を処理する能力の低下速度が速いことが明らかになりました。

 こうした結果を受けてゴグニアット博士は、「ADのリスクを減らすには、1日に1回の身体活動だけでは不十分だ。たとえ毎日、身体活動を行っていても、ADの発症リスクを抑制するには座位時間を最小限に抑えるべき」と話しています。

 加齢に伴うライフスタイルの選択とそれが脳の健康に及ぼす影響を研究することは非常に重要です。この研究は、座位時間を減らすことが、脳の神経変性とそれに続く認知機能低下を予防する有望な戦略となり得ることを示したものであり、特に、ADの遺伝的リスクが高い高齢者において、座位時間を減らすことの重要性が強調されています。

 日中に座って過ごす時間を減らして体を動かし、活動的な時間を増やすことは、脳の健康にとって非常に重要です。

(出典:HealthDay News)


■健康的な生活を送るために

 健康的な生活は、身体的・精神的な健康を維持・向上させるために不可欠なものであり、生活の質を高める基盤となります。健康的な生活を送るためには、適切な要素の取り入れ、日々のルーティーンの確立、そして避けるべき習慣を理解し実践することが重要です。

健康生活に欠かせない要素

 1. バランスの良い食事 :栄養素をバランスよく摂取することは、身体の機能維持や免疫向上に直結します。具体的には、野菜や果物、全粒穀物、良質なタンパク質(魚・鶏肉・豆類など)、良質な脂質(オメガ3脂肪酸を含む魚油やナッツ類)を適度に摂ることが大切です。一方で、加工食品や過剰な砂糖、塩分、飽和脂肪酸の摂取は控えましょう。また、水分補給も忘れずに。十分な水分摂取は代謝を助け、身体の老廃物を排出する役割を担います。

 2.  適度な運動 :WHO(世界保健機関)では、成人は週に最低150分の中強度有酸素運動、または75分の高強度有酸素運動を推奨しています。有酸素運動は心肺機能の向上や体脂肪の減少に寄与し、筋力トレーニングは筋肉量の維持・増加を促します。さらに、ストレッチやヨガも、ケガ防止やストレス軽減に役立ちます。運動は精神面にも好影響を与え、うつ症状の軽減にもつながります。

 3. 十分な睡眠 :睡眠は身体の修復や記憶の定着、ホルモンバランスの調整にとって重要です。成人の場合、7~9時間の睡眠が推奨されています。睡眠の質を高めるためには、毎日同じ時間に就寝・起床する規則正しい生活習慣を心掛け、寝る前のスマホやテレビの使用を控えることが効果的です。寝室は静かで暗く、適温に保つことも大切です。

4.  ストレス管理 :過度なストレスは免疫機能の低下、血圧上昇、消化不良など身体に悪影響を与えます。ストレス緩和のために瞑想や深呼吸、趣味の時間を持つことも有効です。人間関係を良好に保ち、感情を適切に表現・発散することもストレス管理に役立ちます。

避けるべき・止めるべき習慣

 健康的な生活を阻害する習慣の代表が「喫煙」です。タバコはがんや心臓病のリスクを大幅に高めます。禁煙は重要な健康改善策の一つです。また、「過度な飲酒」も肝臓疾患や各種健康問題を引き起こします。適量・節酒を心がけましょう。さらに「過食」「ジャンクフードの常習的摂取」も肥満や生活習慣病の原因となります。

 また、「座りっぱなし生活」も健康に悪影響を及ぼします。姿勢の悪化や筋力低下、代謝の低下を招くため、立ち上がって身体を動かす習慣を持つことが大切です。さらに、「睡眠不足」「不規則な生活」は免疫低下や精神的な不調を招きます。規則正しい生活を。

 総じて、健康的な生活は上記4つの健康要素を基本に意識しつつ、それらを日々のルーティーンに落とし込み、不健康な習慣を避けることによって築かれるのです。小さな習慣の積み重ねが大きな効果を生むため、無理なく継続できる取り組みを優先し、自身の生活環境や好みに合わせて調整していくことが、健康的な生活を長く維持する鍵となります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年10月8日水曜日

喫煙のリスク

 膀胱がんの5割はたばこが関係

 たばことがんの関係というと、一般の方は肺がんを思い浮かべるかもしれません。肺もそうですが、実は、「膀胱」もたばこの影響を受けやすいことが知られています。

 韓国では、40歳以上の閉経女性約136万人を追跡したところ、たばこを吸わない人に比べて喫煙の"累積量"が多いほど膀胱がんリスクを高めることが明らかになりました。累積量とは1日の箱数と喫煙年数を掛けて算出する数値で、単位はパックイヤー。たとえば1日2箱で10年なら、20パックイヤーです。

 膀胱がんのリスクは10パックイヤーで1.5倍、20パックイヤーで2.3倍でした。現在は禁煙している人でも、吸っていた時の累積量が20パックイヤーならば、2.25倍と高止まりしたままでした。

 この調査は40歳以上の閉経女性が対象でしたが、50歳以前に膀胱がんを発症するのはそもそも稀ですから、喫煙は女性全体の膀胱がんリスクを高めることを意味しています。男性についても世界的に同様の結果となっています。国立がん研究センターの多目的コホート研究でも、累積量が40パックイヤー以上だと膀胱がん発症リスクは約2倍になっています。

 たばこに含まれる発がん物質は、肺胞で吸収されて血中に入ると、やがて腎臓から尿の中に排出されて膀胱へ。発がん物質は排尿されるまで膀胱の内壁を刺激するため、膀胱がんを発症しやすくなるのです。現在では、膀胱がん全体の5割は、喫煙が関係しているとされます。ですからスモーカーは要注意でしょう。

 昨年12月に膀胱がんで亡くなったキャスターの小倉智昭さん(享年77)は、闘病経験を発信するようになると、過去の喫煙歴に触れつつも、「たばこが(膀胱がんの)原因になることは意外に知らなかった」と語っています。もし現在まだ喫煙されている人は、なるべく早く禁煙することが最重要事項と言えます。

 
前述の国立がん研究センターの多目的コホート研究では、禁煙して「10年未満」の膀胱がん発症リスクは1.8倍。最も高リスクだった「累積量50パックイヤー以上」の2.2倍よりやや下がるもののあまり変わりません。

この多目的コホート研究では、「禁煙10~19年」で吸わない人の1を下回る結果が出ていますが、世界的には「禁煙10~15年」で約1.5倍、「禁煙20年以上」で約1.2~1.5倍ほど。大幅なリスク低下を期待するなら、20年以上の禁煙が必要とされていますから、早期の禁煙が大切です。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■喫煙の体への悪影響と霊芝

喫煙は様々な病気の原因となり、寿命を縮めます。具体的には、肺がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、歯周病など、多くの疾患のリスクを高めることがわかっています。また、妊娠中の喫煙は、早産や低体重児の出産、先天異常のリスクを高めます。

具体的健康リスク

 がん :肺がん、喉頭がん、口腔がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がんなど、全身のがんの発症リスクを高めます。

 心臓病 :虚血性心疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症など、心臓に関する病気を引き起こしやすくなります。

 脳卒中 :脳出血、脳梗塞など、脳血管に関する病気を引き起こしやすくなります。

 呼吸器疾患 :慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、慢性気管支炎など、呼吸器に関する病気を引き起こしやすくなります。

 糖尿病 :喫煙はインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症リスクを高めます。

 歯周病 :口腔内の炎症や歯周組織の破壊を引き起こし、歯周病のリスクを高めます。

 その他の影響 :寿命が短くなる、妊娠中の影響(早産、低体重児、先天異常)、勃起障害、生殖機能の低下など、さまざまな影響が報告されています。

★受動喫煙:喫煙者の周囲で煙を吸い込むと、喘息の発作、呼吸器感染症、心臓病の発症リスクが高まる可能性があります。また、妊娠中の受動喫煙により、胎児の発育遅延、早産、低体重児、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを高めます。

喫煙者における霊芝の効能

 喫煙者は、霊芝の摂取により免疫力を高め、体内の酸化を防ぎ、血管や臓器の健康を保つ効果が期待できます。また、中枢神経の興奮を抑え、鎮痛効果もあります。霊芝には、多くの有効成分(200種以上の霊芝多糖類)や特異成分(ガノデリン酸など10種類以上)が含まれています。

免疫力向上:霊芝には、免疫細胞を活性化させ、免疫力を高める働きがあります。喫煙は免疫力を低下させるため、霊芝の摂取は喫煙者にとって特に有効です。

酸化防止:喫煙によって体内で活性酸素が大量に発生し、細胞やDNAを損傷させます。霊芝に含まれるポリサッカライドは、活性酸素を消去し、酸化を防ぐ働きがあります。

血管の健康:喫煙は血管を硬化させ、高血圧や動脈硬化のリスクを高めます。霊芝には血圧を下げる作用や、血管を柔軟にする作用があるため、喫煙者にとって血管の健康を保つ効果が期待できます。

臓器の保護:喫煙は肝臓や腎臓にも負担をかけており、霊芝には肝臓や腎臓の機能を保護する作用があるため、喫煙者にとって臓器の健康を保つ効果が期待できます。

神経系の安定:霊芝は中枢神経の興奮を抑え、鎮痛作用があるため、喫煙によって神経が高ぶっている喫煙者のリラックス効果が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年10月1日水曜日

老年期うつ

 老年期うつ病

 日本は世界一の長寿国です。2022年の「平均寿命」は男性81.05歳、女性87.09歳となっています(厚生労働省調査)。しかし、「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を見ると、男性72.57歳、女性75.45歳と、平均寿命より男性で8.49年、女性で11.63年も短くなっています。つまり多くの人は、70代から何らかの健康問題を抱え、生活を制限されながら10年近くの余生を過ごすことになるわけです。

 中高年~老年期では、老化の進行により、体の様々な箇所で支障をきたすことから「体の調子」に目が行きがちです。ですが、健康で元気に長生きするためには、「心の調子」にも目を配る必要があります。特にシニア層は、「老年期うつ病」に注意が必要です。

「老年期うつ病」は、65歳以上の人がかかるうつ病のことで"老人性うつ"や"老後うつ"とも呼ばれます。生きがいや物事に対する興味を感じなくなったり、漠然とした不安にかられたりする特徴があります。

 生きがいを感じられず、幸福感を得られないと、生活の質も落ちていきます。加えてその状態を放置すると、「ひきこもりがちになる」→「外界との交流がなくなる」→「足腰が弱まり、ロコモティブシンドローム*になる」→「認知症&寝たきりになる」といった悪循環に陥ることになりかねません。

*ロコモティブシンドローム:筋肉や骨、関節、神経などの運動器の障害で、立ったり歩いたりする移動機能が低下した状態。

 高齢者の生きがいを感じている割合が減っている事実もあります。内閣府の「令和3(2021)年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」(60歳以上の男女、2435人)によると、生きがいを「十分に感じている」という人は23.1%にとどまります。これは平成25(2013)年の結果、38.5%に比べて大きく減少しています。「(生きがいを)多少感じている」人の割合は50.1%ですが、理想は「十分感じている」状態です。

 厚生労働省の調査結果(2017年)によると、気分障害(うつ病、双極性障害など)の年齢別患者割合は、65歳以上が最も多く31.7%。この数字を見ても、高齢者のメンタルケアが欠かせないことが分かります。

 気分障害の原因には、ストレスが大きく関与しています。強いストレス状態が続くと、コルチゾール(=ストレスホルモン)の分泌量が増え、細菌やウイルスなどへの免疫力が低下します。このため、ストレスを減らす考え方や行動、ストレスを受けたときの対処法が重要です。

 味気ない現実、面倒な人間関係、健康上の不安、経済的な心配など、人生にはストレスがつきものです。高齢者の場合、残りの人生を悲観したり、健康や経済面の不安も増大したりして、気持ちが落ち込みます。しかし、これを侮ってはいけません。こうしたストレスが蓄積していき、老年期うつ病につながっていくからです。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■老年期うつと認知症の違い

症状の進行速度 :認知症は、記憶障害などが徐々に進行することが多く、発症時期がはっきり確定できません。老年期うつは、何かの原因や環境変化に伴って、比較的短い期間に様々な症状が出るため、周囲の人が気付きやすいという特徴があります。

 自責の念の有無 老年期うつの方は、「自分の病気のせいで、周りの人に迷惑をかけている」という自責の念が強くなり、抑うつ症状が特に強く見られます。老年期うつと違い、「死にたい」という気持ちや自責の念を訴えることはあまりありません。

 本人の自覚の有無 認知症の場合、問題行動は見られますが、認知機能の低下で、自分の症状に無関心になることが多くなります。不安や抑うつ症状は、認知症のBPSD(周辺症状)の一部として出る場合もありますが、主要な症状のことはあまりありません。老年期うつの人は、自分の認知機能の低下を、その前後で自覚できるため、自分の症状が悪化していないかどうかをよく気にするようになります。

 記憶障害(物忘れ)の有無 記憶障害は、うつと認知症の両方にみられますが、症状の表れ方が違います。認知症の場合、軽度の記憶障害から始まって、徐々に進行していきます。日常で食事したこと自体を忘れてしまうなど、物事自体を忘れてしまいます。老年期うつの人の場合、環境変化や日常のストレスなどをきっかけとして、突然数日前のことを思い出せなくなり、それによって本人自身の心配や不安が高まっていく傾向があります。

 質問に対する受け答え方の違い 認知症の人は、質問に対して、見当違いな回答をします。そのことを指摘すると、取り繕う様子が見られることも多い。老年期うつの場合は、質問に対して考え込んでしまい、明確な回答ができないことが多いという特徴があります。

うつ病改善のカギは「セロトニン」

 脳内セロトニン(神経伝達物質)は、気分や睡眠、食欲などの調節に関わり、うつ病の発症にはセロトニンの機能低下が関与していると考えられています。特に高齢者は、セロトニンの分泌量が減少し、セロトニン作動性の神経細胞も減少するため、うつ病リスクが高まるのです。セロトニンを増加させれば、うつ病の症状の改善、予防に繋がる効果が期待できます。

 康復医学学会の主要研究素材「ラフマ葉」には脳内セロトニンを増加させ、セロトニン神経の通過性を安定させる作用が確認されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月24日水曜日

頭痛と片頭痛

 見逃すと生命にかかわる頭痛

 頭痛には上手に付き合わざるを得ない「一次性頭痛」と、脳やその他の部位の疾患のサインとして現れる「二次性頭痛」があります。実は、この二次性頭痛の中には、見逃すと生命にかかわるものもあるので注意が必要です。

 一次性頭痛は、脳の一過性の異常によって起こる頭痛で、「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれます。全体の約80%を占め、偏頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれます。大半は良性で、つらいことはあっても、生命に危険を及ぼすことはありません。

 一方、放っておいたら危ないのが、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍などにより引き起こされる二次性頭痛です。この場合の頭痛は、脳や身体の異常を知らせるサインの役目をはたしているため、すぐに医療機関を受診することが求められます。

 危険な頭痛のサインには次のようなものがあります。

 ハンマーで殴られたような頭痛

 こうした表現をされるのが、脳卒中のひとつで、脳動脈瘤が破裂して起きる「くも膜下出血」です。激烈な頭痛に襲われるのに加えて、嘔吐や意識喪失、痙攣などがみられます。さらに、うなじから首にかけて硬くなる項部硬直も起きます。このような場合は、すぐに救急車を呼びましょう。救急車で運び込まれた人の1/3は社会復帰できるまでに回復し、次いで1/3は身体に何らかの障害を残しています。そして残り1/3は寝たきりか死亡というのが現状です。くも膜下出血タイプの頭痛は、「この時から頭痛が始まった」というように発症時期が明確なのが特徴です。

 吐き気、嘔吐、手足のしびれ、言葉の障害などを伴う頭痛

 頭部を打撲したときに緊急を要するのが「急性硬膜下血腫」や「急性硬膜外血腫」です。頭痛の域を越えている症状なので、救急車で運ばれることになります。そのときは何の問題もなくても、2週間~数ヵ月後に頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出てくることがあります。これは「慢性硬膜下血腫」といい、頭蓋骨の内側の硬膜と脳のすき間に少しずつ血腫ができ、それが脳を圧迫して、様々な症状を呈する病気です。頭部を打撲した場合は、症状のあるなしにかかわらず2~3週間後にCT検査を受けることをおすすめします。

 朝方に痛みが強くなる頭痛、おう吐

 脳腫瘍の代表的な症状です。脳腫瘍には多くの種類がありますが、とりわけ多いのが「髄膜腫」と「神経膠腫」。最も多い前者は、ほとんどが良性ですが、後者はゼリー状の腫瘍で、脳のあらゆる部分にできるたちの悪い腫瘍です。どちらも初期の症状は目立たないものの、腫瘍が大きくなるに従って、次第に痛みが強くなります。頭全体が重苦しく、四六時中痛みます。そして、特徴的なのが「朝方により痛みが強くなる」ことです。脳腫瘍による頭痛は、一度始まったら治療するまで止まりません。1~2週間ずっと途切れずに頭痛が続くような場合は、脳神経外科を受診しましょう。

(出典:https://www.healthcare.omron.co.jp/)


■男性より女性に多い片頭痛

 片頭痛(偏頭痛)の症状は、周期的に生じる片側性の頭痛で、ズキンズキンと脈を打つように拍動する痛みが特徴です。若年期に発症することが多い傾向です。

 頭痛発作の前日ないし数日前に、気分の変化、口が渇く、飢餓感、あくび、眠気などの症状がでる場合があります。特に治療をしなければ、頭痛は数時間から数日程度持続します。片頭痛の頻度は男性より女性に多く、女性で20%、男性で6%という報告もあります。女性では月経前に生じやすいという特徴があります。

朝から痛むのは片頭痛ではない

 起床時の頭痛は片頭痛だと思い込んでいる人も多いのですが、東京科学大学(旧東京医科歯科大)大学院・神経内科学教授は次のように言っています。「片頭痛は頭部の血管が三叉神経などを刺激して痛みを起こす病気と考えられている。痛みが出る前に目の前がチカチカする閃輝暗点症状などの前駆症状があるのが典型で、多くは拍動性の痛みが特徴だ。しかし、前駆症状があるとは限らず、起床時にきまって起きることはめったにないので、朝からの頭痛の大半は片頭痛の薬を飲んでも無駄なのだ」。

セロトニンの異常分泌

 睡眠障害やストレス、生活習慣など様々な要因で神経伝達物質のセロトニンの分泌に異常が起ると、脳内の血中にセロトニンが一時的に増えます。すると血管が収縮します。収縮した血管からセロトニンが急激に減少すると今度は血管が拡張します。これによって血管の透過性が亢進し炎症物質が産生され血管壁が炎症や浮腫を起こします。これが痛みとして伝達されて片頭痛の発作が起こると考えられています。

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 頭痛薬は、初期の段階では有効な時もありますが、長期連用・飲み過ぎは、頭痛をさらに発症させることにつながるので、注意が必要です。また、慢性的な頭痛や片頭痛などに対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が処方される場合もあります。

 ストレスや疲労、不摂生な生活習慣などでセロトニン神経の機能が低下するとセロトニンの代謝異常がおこります。康復医学学会が長年研究している天然ハーブ素材「ラフマ」には、セロトニン神経を活性させ、正常なセロトニンの分泌を促進するデータがあります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月17日水曜日

脳とたんぱく質


 菜食主義者はうつ病になりやすい?

 食事とうつ病の関係としては、食事の時間帯とうつ病の発症リスクが関係している可能性が示されたり、高脂肪の食事を繰り返すとアルツハイマー病やうつ病リスクが悪化することが判明したりと、様々な研究が行われています。ブラジル・ポルトガルの大学による共同研究で、新たに「肉を抜いた菜食主義の食事とうつ病の関係」が示されました。

 ブラジルの大学で集団的健康のプログラムを担当する研究者らのチームは2022年9月に公開した論文で、35歳から74歳のブラジル人1万4216人を含むデータを用いて横断分析の研究を発表しました。調査の中には「食物の頻度に関するアンケート」が含まれており、個人が肉を食べるか肉を含まない食事を選んでいるかを判断しています。その後、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス面での問題の有無を調べる特別の手法を使用して、個人のうつ病に関するエピソードを喫煙やアルコール摂取量、身体活動、健康状態、毎日のエネルギー摂取量などの要因と合わせて評価しました。

 結果として、うつ病に関するエピソードの発生率が、肉なしの食事との間に正の関連性があると研究者たちは発見しました。肉を食べない人は、肉を日常的に食べる人の約2倍の頻度でうつ病に関するエピソードを経験していたのです。

 菜食主義とメンタルヘルスとの研究は過去にも行われており、2020年の研究ではメタ分析により関連性が観察されなかった一方で、2021年の研究では同様のメタ分析で菜食主義と高いうつ病スコアの関連性が確認されました。2022年1月にイギリスの研究者らが発表した論文では、「過去のメタ分析では、7件の研究で菜食主義とうつ病に関係があると示され、7件の結果では関連性が見られないとされていますが、分析された研究は不均一で、さらなる研究が必要だ」と述べ、範囲を広げた詳細なメタ分析を行いました。結果として研究者は「菜食主義は肉を食べる人よりもうつ病との関連性が高く、またヴィーガンの食事はベジタリアンの食事よりもうつ病との関連性が高い」と示しています。

 ブラジルの研究チームによる論文では、うつ病のリスクは社会経済的要因やライフスタイルではなく、肉を食べない人に多く見られる傾向であると結論付けていますが、栄養不足がその原因ではなく、うつ病と菜食主義との直接的な因果関係の調査はできていません。

 また一方で、この研究についてのオンライン掲示板のスレッドでは、「肉を食べないからうつ病になりやすいのではなく、動物に道徳的価値を強く置いて肉を食べないという選択をする人は、共感性が高くメンタルヘルスを害しやすいのではないか」といった意見や、「ベジタリアンは肉を食べることを非倫理的と思っている人もいるため、多くの人が肉を食べていることに常に心を痛めている」「食べ慣れない料理を前にしたとき、料理に何が入っているのかを気にせねばならないのはストレスだ」などの具体的な指摘も挙げられています。

(出典:https://gigazine.net/)


■認知症予防:脳を守るたんぱく質

なぜたんぱく質が脳に重要なのか?

 脳は、思考、学習、記憶といった高度な機能を司る臓器であり、その活動には絶え間ないエネルギーと栄養が必要です。たんぱく質は、体のあらゆる組織を作る基本的な材料であり、脳にとっても例外ではなく、脳の構造と機能の両面で、重要な役割を担っているのです。

神経伝達物質の合成:脳内の情報伝達は、神経伝達物質(化学物質)によって行われます。これらの神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン等)は、アミノ酸から合成されます。アミノ酸はたんぱく質が分解されてできる最小単位であり、十分なたんぱく質摂取は神経伝達物質の合成を円滑に行うために不可欠です。

脳細胞の維持・修復:脳細胞(ニューロン)は、情報の伝達や処理を行います。たんぱく質は、これらの脳細胞の構造を維持し、ダメージを受けた細胞を修復するために必要です。

脳のエネルギー源:一部の研究では、たんぱく質が脳のエネルギー源としても利用される可能性が示唆されています。

たんぱく質摂取と認知症リスクに関する研究

 複数の研究が、たんぱく質摂取と認知症リスクとの関連性を示唆しています。

 疫学研究 :大規模追跡調査では、高齢者においてたんぱく質の摂取量が多いほど、認知機能の低下リスクが低い傾向があります。特に、動物性たんぱく質だけでなく、植物性たんぱく質も認知機能の維持に貢献する可能性が指摘されています。

 介入研究 :たんぱく質の摂取量を増やしたり、特定のアミノ酸を補給したりする介入研究では、認知機能の一部が改善したという報告があります。

 ただし、これらの研究はまだ発展途上であり、量、種類、摂取タイミングなど、より詳細な検討が必要です。しかし、現時点での知見は、たんぱく質が認知症予防の一助となる可能性を示唆しています。

 右図は、たんぱく質がどのように脳の健康に貢献するかを示しています。このプロセスが円滑に進むことで、情報伝達がスムーズになり、結果として認知機能の維持・向上に繋がるというメカニズムです。

 たんぱく質は、脳の構造と機能の両面において不可欠な栄養素であり、認知症予防においても重要な役割を果たす可能性が示唆されています。バランスの取れた食生活の中で、様々な食品から十分なたんぱく質を摂取することは、脳の健康を維持し、認知機能の低下を遅らせるための有効な戦略の一つと言えるでしょう。


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2025年9月10日水曜日

認知症の危険因子

 認知症:注意すべき14の危険因子

 認知症のリスクを減らすことができる14の危険因子を、医学雑誌『ランセット』が発表しました。同誌は2020年に12の危険因子を発表していましたが、今回新たに「視力低下」「高LDLコレステロール」を追加。これら14項目全ての修正に取り組めば、全世界で認知症の発症を45%減らせる可能性があるとしています。

 医学分野で最も影響力がある雑誌の1つ『ランセット』は2017年から定期的に、認知症の予防と治療に関する最新のエビデンスについて検討し、その知見を報告しています。今回、2020年以降に発表された新たなエビデンスを確認して、2020年に示した12の「修正可能な認知症の危険因子」に、新たに2つの因子を追加し、以下の14項目を公開しました。

 2020年提示の危険因子12  ⇒教育水準の低さ、外傷性脳損傷、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病、聴覚障害、抑うつ、社会的孤立、大気汚染

 新たに追加:2つの危険因子  ⇒視力低下、高LDLコレステロール

 ランセットは、これら危険因子の修正を行う時期を、若年期、中年期、高齢期に分け、個々の危険因子について、集団寄与危険割合(その因子がなければ発症が何%減るかを示した数字)を推定しました(右図)

 これらを合わせると45%になり、14の危険因子がなくなれば、世界の認知症発症の45%が回避できることが示唆されました。これらの危険因子を回避するため、研究者たちは、個人と、公衆衛生や福祉を担当する政策立案者に対して、以下のような具体的な行動を促しています。

●全ての人が質の高い教育を受けられるようにする。中年期以降は、認知機能を維持するために脳を刺激する活動を実施 ●聴覚障害者の補聴器利用を容易にする。有害な騒音に晒される機会を減らして聴覚障害リスクを減らす

▼うつ病患者に有効な治療を実施 ▼接触スポーツや自転車には頭部保護具を使用 ▼運動を実施 ▼禁煙教育、公共の場での喫煙禁止などで禁煙を促す ▼高血圧の予防と治療 ▼中年期に高LDLコレステロールの診断、治療 ▼健康的な体重を維持。肥満者に治療を促す ▼酒類の価格コントロール、飲酒リスクに関する意識向上、過剰摂取を減少 ▼高齢者に優しく支援的なコミュニティの形成、暮らしやすい住居の提供などにより、社会的孤立を減らす ▼視力検査と視力低下に対する治療の機会を提供 ▼大気汚染の機会を減少

 これらの修正は、遺伝的背景を持つ人にも発症リスクの低下をもたらすことが分かっています。研究者たちは、「危険因子に対する修正の開始は早ければ早いほどよく、生涯を通じてリスクを低く保つことを目指すべきだ」としています。

(出典:https://business.nikkei.com/)


■視力低下、脂質異常症と認知症

「視力低下」と認知症リスク

 近年の研究で、視力低下と認知症、特にアルツハイマー病のリスク上昇との関連性が示唆されています。これは、単なる加齢による視力低下だけでなく、白内障、緑内障、加齢黄斑変性(AMD)といった眼疾患を含むものです。

 以下、考えられる5つのメカニズムです。認知リソースの低下視力低下が、脳が視覚情報を処理するために多くのリソースを必要とし、認知機能に割り当てられるリソースが減少し、認知機能低下につながる。社会的孤立と活動性の低下視力低下は、読書、運転、他人との交流など、様々な活動への参加を妨げ、社会的孤立や活動性の低下を招き、認知機能の低下を加速させる。脳構造の変化視覚情報は脳の多くの領域で処理されるが、視力低下によって、これらの脳領域の活動が低下し、構造的な変化を引き起こし、認知機能に影響を与える。共通の病理アルツハイマー病などの認知症と、加齢黄斑変性などの眼疾患には、炎症、酸化ストレス、血管機能障害など、共通の病理が存在する。運動不足視力低下により外出が億劫になり運動不足となることで認知症のリスクが高まる。

 多くの観察研究で、視力低下と認知症リスクの関連が報告されています。また、白内障手術などの視力回復手術が認知症リスクに与える影響を調べた研究では、手術を受けたグループで認知症リスクが低下する傾向が示唆されています。

 認知症は、視力低下だけでなく、遺伝、年齢、生活習慣など、様々な要因が複雑に関与して発症します。認知症リスクに影響を与える可能性のある他の感覚機能の低下(聴力低下など)も考慮する必要があります。

「脂質異常症」と認知症リスク

 脂質異常症によって動脈硬化が進行し、脳の血管が硬くなることが認知症の原因の一つと考えられています。LDLコレステロール値が39mg/dL上昇する毎に、認知症の発症率が8%増加するというデータや、116mg/dL以上の人は認知症リスクが上がるというデータがあります。さらに中年期の高コレステロール血症は認知症と関連することが報告されています。

 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール値が高い、トリグリセライド(中性脂肪)値が高い、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態を指しますが、脂質代謝を改善することで認知症の予防につながると考えられます。脂質を摂取しすぎないことや脂質代謝を高めるために運動することが大切です。

 脂質異常症が進むと動脈硬化によって血管が狭くなり、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。

 このように、「視力低下」及び「脂質異常症」の早期発見と適切な治療は、認知症リスクの軽減につながる可能性があるのです。


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