2026年9月16日水曜日

コエンザイムQ10

 コエンザイムQ10の認知症予防効果

「コエンザイムQ10(Co-Q10)」は、体内のほぼ全ての細胞に存在する脂溶性のビタミン様物質で、特にミトコンドリアの内膜に高濃度で存在します。その主な役割は、細胞のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)の生産に関わる電子伝達系の重要な補酵素として働くことです。このATPは、脳を含むすべての臓器の機能維持に不可欠なエネルギー源です。

 Co-Q10の認知症予防効果は、主にその強力な抗酸化作用とミトコンドリア機能の保護作用に起因するとされています。認知症、特にアルツハイマー病や血管性認知症の病態には、酸化ストレスの増大とミトコンドリア機能不全が深く関与していることが示されています。

Co-Q10の作用機序(効果を発揮する仕組み)

●抗酸化作用:脳は代謝活性が高く、大量の酸素を消費するため、活性酸素種(ROS)の発生源となりやすい臓器。ROSは脂質、たんぱく質、DNAに損傷を与え、神経細胞の機能障害やアポトーシスを引き起こす。Co-Q10は細胞膜のリン脂質層に存在し、活性酸素を直接消去する強力な抗酸化物質として機能する。特に、還元型Co-Q10(ユビキノール)は、酸化型Co-Q10(ユビキノン)よりもさらに強力な抗酸化作用を発揮する。これにより、神経細胞の酸化ストレスによる損傷を防ぎ、認知機能の低下を抑制する可能性が考えられる。また、他の抗酸化物質であるビタミンEの再生にも関与し、抗酸化ネットワーク全体を強化する。

●ミトコンドリア機能の保護と改善:ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場であり、その機能不全は神経変性疾患の主要な特徴の一つ。認知症患者の脳では、ミトコンドリアの形態異常や機能低下が頻繁に観察される。Co-Q10が不足すると、電子伝達系の効率が低下し、ATP産生量の減少だけでなく、ROSの産生が増加する。Co-Q10の補給は、ミトコンドリアの電子伝達効率を改善し、ATP産生を増加させることで、神経細胞のエネルギー供給を確保する。これにより、シナプスの機能維持や神経伝達物質の合成に必要なエネルギーを供給し、認知機能の維持に貢献する。

●抗炎症作用:脳内の慢性炎症は、認知症の進行に関わる重要な因子。ミクログリアの活性化や炎症性サイトカインの放出は、神経細胞に損傷を与え、認知機能の低下を促進する。研究では、Co-Q10が炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症作用を発揮することが示されている。これにより、脳内の炎症軽減および神経保護効果をもたらす。

●アミロイドβ沈着の抑制(動物実験レベル):アルツハイマー病の主要な病理学的特徴であるアミロイドβ(Aβ)ペプチドの脳内蓄積に対しても、Co-Q10が影響を与える可能性が示されている。動物実験では、Co-Q10によるAβの産生抑制、Aβによる神経毒性の軽減が報告されている。但し、このメカニズムはまだ十分に解明されておらず、ヒトでの効果についてはさらなる研究が必要となる。


■コエンザイムQ10の役割と効果

Co-Q10の強力な抗酸化作用

 コエンザイムQ10(Co-Q10)は、酸化ストレスを生む脂質過酸化物に対していち早く働き、さらにCo-Q10が存在する間は、脂質過酸化物の生成はほぼ完全に抑えられることがわかっています。研究では、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、そしてCo-Q10の4種類を特に重要な抗酸化物質として挙げています。このことから、日常的な酸化ストレスに対して、Co-Q10による抗酸化作用が大きな役割を果たしていると考えられています。

エネルギー産生に欠かせないCo-Q10

 Co-Q10には、エネルギー産生を促進する着火剤としての大きな役割があります。

 Co-Q10が十分でないと、エネルギー燃焼のシステムが効率よく働かず、エネルギーの通過であるATPの産生が行われなくなります(右図)


還元型Co-Q10は進行期パーキンソン病にも有効

 進行期パーキンソン病患者に対し、還元型Co-Q10(ユビキノール)の投与による症状の改善や進行抑制の効果、安全性を支持する研究結果があります。日本の研究では、進行期パーキンソン病患者に還元型CoQ10(ユビキノール)を300mg/日、48週間投与したところ、症状の改善が有意に認められました。この臨床試験では、有害事象も認められず、安全性が確認されています。また、アメリカの研究でも、高用量CoQ10(還元型・酸化型合わせて1200mg/日)の投与により、16ヶ月間で機能低下の進行抑制が認められたという報告があります。

 還元型Co-Q10(ユビキノール)は、ミトコンドリア機能や酸化ストレスの改善による神経保護作用が期待されています。パーキンソン病患者では、血中・脳内CoQ10濃度が低いことが多く、補充療法の意義が指摘されています。

 一方、早期のパーキンソン病患者では顕著な効果は認められていません。

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「Co-Q10」は、康復医学学会の主要研究素材の一つでもあります。康復医学学会開発の還元型Co-Q10サプリメントは、安全性の高いバイオ発酵法製剤を用いて、世界初の落花生油との配合製造法に成功。ビタミンEや米胚芽油と比べ、Co-Q10の吸収率が一段と高くなりました。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン


2026年9月9日水曜日

霊芝とインフルエンザ

 霊芝の抗インフルエンザ成分

 霊芝(学名:Ganoderma lingzhi)には抗インフルエンザ成分が見つかっており、その科学的根拠と作用機序について具体的な研究も進んでいます。

 2015年、九州大学の研究グループが霊芝から抽出したトリテルペノイドという成分に強い抗インフルエンザ作用があることを発表しています。特に、ガノデリン酸T-Qおよびガノデリン酸TRが、H1N1型やH5N1型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)酵素を強力に阻害することが確認されました。分子ドッキングの解析から、ノイラミニダーゼのアミノ酸残基(特に119位のグルタミン酸と292位のアルギニン)にトリテルペノイドが結合することで酵素活性を抑制すると考えられています。タミフル(一般名:オセルタミビル)に匹敵、または1.5倍以上の阻害活性を示すことが特徴です。

 霊芝の抗インフルエンザ作用は、単一のメカニズムではなく、複数の経路を介していると考えられます。

1. ウイルス吸着・侵入阻害:

 霊芝の成分がウイルスの表面たんぱく質や宿主細胞の受容体に結合し、ウイルスが細胞に吸着・侵入するのを阻害する可能性がある。

2. ウイルス複製阻害:

 ウイルスが細胞内に侵入した後、自身の遺伝子を複製し、新たなウイルス粒子を合成する過程を阻害する可能性がある。特に、上記で述べたノイラミニダーゼ阻害作用がこれに該当する。

3. ウイルス粒子放出阻害:

 新たに合成されたウイルス粒子が感染細胞から放出されるのを阻害することで、さらなる感染拡大を防ぐ。これもノイラミニダーゼ阻害作用が関与。

4. 免疫系調: 

 自然免疫の強化  マクロファージやNK細胞などの自然免疫細胞を活性化し、ウイルスに感染した細胞を認識して排除する能力を高める。 

獲得免疫の誘導   T細胞やB細胞などの獲得免疫細胞の応答を調整し、ウイルス特異的な免疫応答を効率的に誘導する可能性がある。これにより、ウイルスの排除や再感染の防御に貢献する。

 抗炎症作用  インフルエンザ感染による過剰な炎症反応(サイトカインストームなど)を抑制し、肺などの組織損傷を軽減する効果も示唆されている。

 霊芝の抗インフルエンザ作用に関する研究は進展していますが、その多くはin vitroや動物実験の段階であり、ヒトにおける臨床的な有効性や安全性についてはさらなる大規模な研究が必要です。また、霊芝は一般的に安全な食品として認識されていますが、特定の疾患を持つ人や薬剤を服用している人は、摂取前に医師に相談することが重要です。特に、免疫抑制剤や抗凝固剤との相互作用の可能性も指摘されています。

 このように、霊芝は伝統的に健康維持に用いられてきた生薬であり、科学的な研究によって、その潜在的な抗インフルエンザ作用が解明されつつあります。


■霊芝の総合力と抗インフル作用

 康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」の特長は、その特異成分(その物質だけが持つ成分)にあります。特異成分「ガノデリン酸」はトリテルペノイド系化合物で、苦みが強く、がん細胞の増殖抑制効果など、様々な有効成分としての薬理活性が報告されています。

 なお、厚生労働省の"霊芝の生薬基準(クロマトグラムパターン)"は当学会が研究開発した霊芝による製品で作られています(右グラフ)。つまり、他製品は厚労省の基準には至らず、菌の品種自体が全く違うのです。

霊芝の総合力

 あらゆる病気を治癒に導くのは血液です。症状の改善や治癒に必要な酸素や栄養素を血流によって全身に運び自己治癒力を高めます。血流が悪ければ細胞に必要な酸素や栄養素も届かず、老廃物の回収も滞ります。また、どんなに効果の高い薬成分も患部には届きません。血流改善を促す霊芝は、まさに健康の基盤構築において総合力を発揮する生薬なのです。

※霊芝の効能は当学会HPをご覧ください ⇒ https://www.koufukuigaku.org/kenkyu_reishikounou.html

早くから着目していた"抗ウイルス作用"

 2015年、「霊芝に抗インフル成分発見」がニュースになりましたが、康復医学学会ではそれ以前から"霊芝の抗ウイルス作用"の可能性に着目し、メーカーと協力して2つの商品化を実現しています。すでに数多くの治癒実証例が確認されています。

 霊芝とセンダン葉のダブル効果によるのど飴(2009年発売) :インフルエンザウイルスは、のどの粘膜から感染します。のど粘膜でのウイルス不活化が最大のポイントです。この「のど飴商品」は、霊芝とセンダン葉の抗ウイルス作用により、のど粘膜でのウイルス不活化に成功しています。また、この飴は世界で初めて「インフルエンザ予防・治療用の経口投与組成物」として特許を取得しています(特許第5578646号)。さらに、他のウイルス性疾患(ヘルペス、帯状疱疹)にも有効であることが確認されています。

 ●ウイルス性疾患の予防と治癒効果のサプリメント(2011年発売) :インフルに限定してのど飴を開発した一方で、ウイルス性疾患全般に効果を期待して開発された商品もあります。霊芝エキスに加え、毛細血管や血管壁の調節作用に影響を与えるといわれている「ルチン」を配合し、血管や粘膜の働きを改善してウイルスの不活化を促す商品です。


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愛・感謝 村雨カレン

2026年9月2日水曜日

ケイ素

 ケイ素の体内での働きと重要性

「ケイ素(珪素・シリカ;Si)」は、私たちの健康維持に不可欠な微量ミネラルで、近年その重要性が再認識されています。骨、皮膚、髪、爪、血管など、全身の結合組織の主要な構成要素として、多岐にわたる重要な役割を担っています。

1. 骨の健康:コラーゲンとミネラルの架け橋

 骨の主要成分はミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)ですが、これらのミネラルをしっかり結合させるための接着剤の役割を果たすのがケイ素です。骨の有機成分の約30%を占めるコラーゲン繊維にケイ素が結合することで、コラーゲンの架橋形成を促進し、骨の弾力性と強度を高めます。ケイ素の摂取量が不足すると、骨密度が低下したり、骨折リスクが増す可能性があります。特に骨粗しょう症の予防や改善において、ケイ素の十分な摂取が重要です。

2. 美容とアンチエイジング:皮膚、髪、爪の構造を強化

 ケイ素は"美のミネラル"とも呼ばれ、皮膚、髪、爪の美と健康に深く関わっています。 

 皮膚  皮膚の真皮の約70%を占めるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった成分の生成と安定化に不可欠。コラーゲンやエラスチンの架橋を促進し、その構造を強固にして、シワやたるみの予防、肌の保湿機能の向上に貢献する。 髪  髪の毛の約90%はケラチンというたんぱく質でできているが、このケラチンの生成を助け、髪の強度やツヤを保つ働きがある。  爪  爪もケラチンから構成されており、ケイ素は爪を丈夫にし、割れにくくする効果が期待される。

3. 血管の健康:動脈硬化の予防

 血管もまた、結合組織の一種であり、コラーゲンやエラスチンがその弾力性と強度を保っています。特に動脈の内壁は、多くのケイ素を含んでおり、血管のしなやかさを維持する上で重要な役割を担っています。ケイ素が不足すると、血管壁のコラーゲンやエラスチンの質が低下し、血管が硬くなったり、弾力性が失われたりする可能性があります。これは動脈硬化のリスクを高める要因となります。

4. デトックス効果と免疫機能のサポート

 ケイ素には、体内に蓄積された有害物質(重金属など)を吸着し、体外への排出を促すデトックス効果も期待されます。また、免疫細胞の働きをサポートし、免疫機能を正常に保つことにも間接的に関与していると考えられています。

5. ケイ素の摂取について

 ケイ素は、穀物(特に玄米)、野菜(ごぼう、ジャガイモ、アスパラガスなど)、海藻類などに含まれますが、加工食品が多い現代の食生活では不足しがちです。また、水溶性のケイ素は、体内で吸収されやすいため、ミネラルウォーターやサプリメントからの補給も可能です。ケイ素は体の様々な部位で、その構造と機能を支える存在です。ケイ素の重要性を認識し、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。


■ケイ素と特系霊芝

ミネラルを取り込んだ「HM-3000(特系霊芝)」

 康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」は、群馬県嬬恋村の自社農場で栽培しています。"浅間砂"を使用した培養用の埋床の中に、霊芝菌を蔓延させた原木を埋め込み、さらにその上から浅間砂を2cm前後の厚みで覆います。

 火山性の浅間砂は、雑菌率が極めて少ないため、菌糸の発育は雑菌に阻害されることなく、木質内深部に蓄積された栄養分や、浅間砂の持つミネラル(特にセレニウムやケイ素)を吸収・含有した高品質な霊芝が育つのです。

"水溶性ケイ素"がポイント

 ケイ素が体に良いといっても、火山灰や浅間砂に含まれるような鉱物性のケイ素(SiO2:二酸化ケイ素)は、そのままでは体内に吸収されません。水溶性(イオン化して水に溶けている)ケイ素が重要なのです。

 ケイ素は植物や海藻類の「細胞壁」を構成する成分で、この細胞壁が食物繊維です。ただ、生野菜などを食べても実際に食物繊維を消化できる量は少なく、ケイ素もほとんど摂れません。しかし、食物繊維を長時間煮込んでいくと、ケイ素が水溶性の成分になって溶け出してくるのです(熱水抽出)。水溶性ケイ素は吸収性が高いうえ、腸内の善玉菌の活動を活発にし、腸内環境を整えます。つまり、長い時間をかけてコトコト煮込んだ野菜の煮物には、水溶性ケイ素が溶け出しており、それを食べることで様々なケイ素のメリットが得られる、ということになります。

 霊芝製品を選ぶ際にも、ケイ素を十分含んだ霊芝が原料であること、そしてしっかりと水抽出したエキスを使用していることが重要です。生薬や漢方薬の多くが植物性であり、それを乾燥させて細胞壁を壊しやすくし、煎じて利用する‥‥というのはまさに理にかなったケイ素の取り出し方でもあったのです。

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独自開発「霊芝炭末」の効用

 康復医学学会の研究から生まれた製品に「霊芝炭末(=霊芝の黒焼)」があります。ケイ素をはじめ、カルシウム、リン、ゲルマニウム、セレニウムを含有したHM-3000(特系霊芝)を長時間にわたって高温化し、かつ、ほぼ無酸素状態で炭化させ粉末化。アレルギー疾患や腎障害の改善など、いわゆる「薬用炭」としての効能の他、驚くべき特長を有しています。

 ケイ素は、太陽光や火、炭などから放射される赤外線によって活性化するため、霊芝炭の炭化成分が発する遠赤外線が、含有するケイ素を活性化。今度はその活性化したケイ素原子から、霊芝炭末の外に向かって赤外線を含む光エネルギーを放射します。

 霊芝エキス末や他の生薬に微量の霊芝炭末を混ぜると、元の生薬自体の効能が増進したりよみがえったりするのは、ケイ素の活性化に秘密があったのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2026年8月26日水曜日

健康寿命

 健康寿命と平均寿命の差 

― 長寿社会の光と影 ―

 日本は世界でも有数の長寿国であり、平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳(厚生労働省「簡易生命表」2024年)と、相変らず長寿が続いています。しかし、この「長寿」が必ずしも「幸福な老後」を意味するわけではありません。平均寿命と並んで近年注目されているのが「健康寿命」という概念です。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指し、男性が72.57歳、女性が75.45歳(2024年)です。この健康寿命と平均寿命の間に存在する差は、現代社会が抱える重要な課題を浮き彫りにしています。

健康寿命と平均寿命のギャップ

 健康寿命と平均寿命を比べると、男性で約8.52歳、女性で約11.68歳ものギャップがあることがわかります。このギャップは、多くの人々が人生の最終段階において、何らかの介護や医療の支援を必要としている期間を示しています。つまり、私たちは約8~12年間、健康上の問題によって自由に日常生活を送ることができないという現実を突きつけられています。この健康寿命と平均寿命の差は、個人の生活の質(QOL)に大きく影響します。身体的な不自由さや認知機能の低下は、自己肯定感の低下、社会参加の機会減少、孤立感の増大など、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。また、家族にとっても、介護負担の増加や経済的な問題など、様々な課題が生じます。

 健康寿命と平均寿命のギャップが生じる主な要因は、●生活習慣病の増加〔高齢化に伴い、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の有病率が増加〕 ●運動機能の低下〔加齢による筋力の衰え(サルコペニア)や骨粗鬆症は、転倒による骨折のリスクを高める〕 ●認知症の増加〔増加の一途をたどる認知症は、日常生活における介助の必要性を高める〕 ●医療技術の進歩〔病気を抱えながらも生き続ける期間が長くなり、結果、健康状態が必ずしも良好とは言えない期間が増える〕‥‥など、多岐にわたります。

 この健康寿命と平均寿命のギャップを縮めることは、個人の幸福だけでなく、社会全体の持続可能性にとっても喫緊の課題です。そして以下のような国や自治体、そして個人レベルでの多角的な取り組みが求められます。1.予防医療の推進 2.フレイル対策 3.認知症予防と共生 4.地域包括ケアシステムの強化 5.個人の意識改革


 平均寿命の延伸は人類の英知の結晶であり、喜ばしいことです。しかし、その陰で健康寿命とのギャップが拡大している現状は、私たちが真に豊かで質の高い長寿社会を実現するための課題を示唆しています。単に長生きするだけでなく、「いかに健康で活動的に生きるか」という視点を持つことが、これからの長寿社会において不可欠です。私たち一人ひとりが健康への意識を高め、社会全体で支え合うことで、誰もが人生の最後まで自分らしく輝ける社会を築くことができるでしょう。


■健康寿命の延伸対策

 厚労省が今年2月に行った調査結果の中で、健康に関して何らかの不安を持っている人が6割を超えていることが示されています。抱えている不安は、20~39歳では「ストレスがたまる・精神的に疲れる」、40~64歳では「体力が衰えてきた」、65歳以上では「持病がある」がそれぞれ最多でした。なお、調査では「健康寿命」という言葉を知っているのは2割にとどまり、65.5%は意味だけでなく言葉も知らなかったということです。

平均寿命と健康寿命の差を縮めるための3つの柱

(1)予防医療の強化:生活習慣病対策: 食生活の改善、運動習慣の定着、禁煙、節酒などの啓発と支援。特定健診・特定保健指導の受診率向上。早期発見・早期治療: がん検診や各種健康診断の受診率向上、かかりつけ医による継続的な健康管理の推進。感染症対策: ワクチン接種の推奨、衛生管理の徹底。

(2)介護予防・フレイル対策の推進:運動機能の維持向上: 高齢者向けの運動プログラムの提供、地域での体操教室などの普及。栄養改善: 低栄養予防のための食生活支援、地域での会食機会の提供。社会参加・交流の促進: ボランティア活動、趣味のサークル活動、地域行事への参加促進により、社会的な孤立を防ぎ、認知機能の維持・向上を図る。

(3)医療と介護の連携強化、地域包括ケアシステムの充実:医療・介護専門職間の連携: 情報共有の円滑化、多職種連携による個別ケア計画の策定と実施。在宅医療・介護の充実: 住み慣れた地域で質の高い医療・介護サービスを受けられる体制の整備。地域住民の健康意識向上: 自助・共助の意識を高め、地域全体で高齢者を支える仕組みづくり。

これらの対策を総合的に推進し、個人が自律的に健康管理を行えるよう支援するとともに、社会全体で健康を支える環境を整備することが重要です。

健康寿命と微小循環

 糖尿病や高血圧は、健康寿命に影響します。高血圧は、血管内皮細胞が直接高い圧に晒されるため、小さな傷や機能不全により、血管壁に慢性的な炎症反応が生じます。糖尿病も、血流・血管に影響し、動脈硬化が進行します。動脈硬化は、心疾患や脳血管障害の発症リスクを高め、"健康寿命"の妨げになります。そして、これらの問題に大きく関わっているのが、「末梢血管の流動性(=微小循環の血流)」なのです。そして、この微小循環の血流を改善することこそが「健康寿命の延伸」にもつながるのです。

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 高血圧や糖尿病をはじめとする様々な生活習慣病は、健康寿命を縮める恐れがあります。当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」には、血管内皮細胞の機能促進血栓形成の抑制酸素の供給量促進などのエビデンスがあり、微小循環の血流・環境の改善による「健康寿命の延伸」に期待できます。また、加齢と共に低下する「睡眠の質」も健康寿命に影響します。「ラフマ葉」セロトニン産生促進作用は、快適な睡眠のサポートに役立ちます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2026年8月19日水曜日

アミノ酸のリン酸化

 眠気の正体は"脳内たんぱく"

 睡眠は誰もが毎日行う身近な行動でありながら、未だに多くの謎に包まれています。たとえば「眠気」は、睡眠欲求の一つですが、眠気をきたしている脳内では何が起こっているのか、その実体は全く分かっていません。

 眠気の原因が「脳内たんぱく」にあるという近年の研究では、特定のリン酸化たんぱく質群(スニップス;SNIPPs)が眠気の「正体」として注目されています。

【研究内容の要約】:筑波大学の柳沢正史教授らによるマウス実験で、覚醒時間の延長に伴い脳内でおよそ80種類ものたんぱく質がリン酸化されることが判明しました。これらのたんぱく質は「睡眠要求指標リン酸化たんぱく質(SNIPPs, Sleep-Need-Index-Phosphoproteins)」と名付けられています。断眠時間が長くなるほどSNIPPsのリン酸化が進み、眠気の強さとも連動していたと実験で示されています。

【SNIPPsの作用機序】:SNIPPsのおよそ9割は神経細胞同士の接合部である「シナプス」に多く存在し、情報伝達や記憶に関わるたんぱく質です。長く起きているとシナプスの構造や機能に関連したSNIPPsのリン酸化が溜まり、これが脳に「眠気」を生じさせる信号となります。睡眠をとることでこれらのリン酸化状態が元に戻り、神経の情報伝達や脳機能が正常にリセットされると考えられます。

【シナプス恒常性仮説との関係】:SNIPPsの研究成果は「シナプス恒常性説」とも深く関係しています。これは、覚醒中に神経細胞間のシナプス強度が過剰に高まるため、睡眠によってリセット(弱める)する必要があるという仮説です。SNIPPsのリン酸化の増加が眠気と連動し、睡眠によってそれが回復する現象はこの仮説と合致しています。

【他のたんぱく質・酵素の関与】:また、東京大学らの近年の研究によると、眠気や覚醒はプロテインキナーゼA(PKA:リン酸化酵素)やプロテインホスファターゼ1(PP1:脱リン酸化酵素)などの働きによって制御されています。PKAが覚醒を、PP1やカルシニューリンなどが睡眠を促進していることが明らかになっています。

【応用可能性】:SNIPPsの発見によって、眠気や睡眠のメカニズムを分子レベルで定量化できる道が開かれ、将来的には睡眠障害の新たな治療法や睡眠の質向上にもつながると期待されています。

(出典:https://www.nikkei.com/)


■アミノ酸のリン酸化と情報伝達

 体内では、情報は細胞から細胞へ伝えられています。細胞情報伝達手段(シグナル伝達)における中心的な役割が「アミノ酸のリン酸化反応」です。

リン酸化とは何か

 リン酸化とは、たんぱく質を構成する特定のアミノ酸〔主にセリン、スレオニン、チロシン〕の側鎖にリン酸基(PO43-)が共有結合する化学的変化です(この他、システインのような比較的珍しい例も報告されています)。この反応はプロテインキナーゼという酵素によって促進されます。逆にリン酸基が外れる脱リン酸化はプロテインホスファターゼによって行われます。

情報伝達における役割

 細胞への外部からの刺激(例:ホルモン、成長因子)がまず細胞膜上の受容体に届くと、受容体たんぱく質のリン酸化が始まります。リン酸化を受けることでたんぱく質の立体構造が変化し、機能が「オン」になります。それをきっかけに、細胞内の他のたんぱく質のリン酸化が次々と引き起こされ、「リン酸化のリレー」とも呼ばれる一連のシグナル伝達カスケードが発動します。

 このリレー型の増幅機構のおかげで、細胞外の小さな刺激でも細胞内の広範な応答に結びつきます。最終的には核内の転写因子のリン酸化も起こり、遺伝子発現パターンの変化(新たなたんぱく質合成)や代謝の調節といった広範な生理応答が実現されます。

リン酸化の可逆性と生体機能

 リン酸化は可逆的であり、スイッチのような働きを持ちます。シグナル伝達の開始(リン酸化)や終了(脱リン酸化)のタイミングをコントロールすることで、細胞の生理機能が精密に調整されます。この仕組みがうまく働かなくなると、糖尿病、がんなどの多くの疾患の原因にもなります。

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「ラフマ」がリン酸化を促進

 脳内神経伝達物質の「セロトニン」は、ストレスの解消作用や睡眠に関わる重要な役割を担っています。主に中枢神経系にあってセロトニンのシナプス伝達(右図参照)に関わるセロトニン受容体(5-HT4受容体)は、環状アデノシン一リン酸の産生を促進してプロテインキナーゼを活性化させます。つまり眠りを誘導するたんぱく質のリン酸化を促進するのです。

 当学会の主要研究素材である「ラフマ葉」は、脳内セロトニンの増加、そしてセロトニン受容体群活性につながるセロトニン神経通過性の安定が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2026年8月5日水曜日

熱中症

 汗をかけない現代人が増えている?

 近年、「汗をかけない」という人が増えています。これは単なる体質の問題だけでなく、現代社会特有の生活習慣が自律神経に与える影響と深く関連しています。

 自律神経は、意思とは無関係に内臓の働きや体温調節、呼吸、循環などをコントロールしている神経系です。交感神経と副交感神経の2種類がバランスを取りながら全身の機能を調整しています。汗も、この自律神経の働きによってコントロールされています。具体的には体温が上昇⇒自律神経が汗腺に指令⇒汗を分泌させて体温を下げる、という流れです。

 しかし、現代人の生活は、この自律神経のバランスを崩しやすい要因に満ちています。

〔1〕エアコンによる影響

 現代の生活においてエアコンは不可欠です。しかし、年中エアコンの効いた快適な環境にいると、体は体温調節の必要性を感じにくくなります。外気温の変化に対応して自律神経が汗腺を活発にさせる機会が減り、その機能が鈍化してしまいます。特に夏場、冷房の効いた屋内ばかりにいると、発汗による体温調節機能が衰え、なかなか汗が出ない、あるいは部分的にしか汗をかけないという状態に陥りやすくなります。

〔2〕ストレスの増加

 現代社会は、人間関係、仕事、情報過多など、多くのプレッシャーに囲まれています。精神的なストレスは交感神経を優位にさせ、自律神経のバランスを大きく乱します。交感神経が常に優位な状態が続くと、血管が収縮し、血行不良を引き起こすことがあります。汗腺への血流が悪くなると、汗の分泌が抑制されることがあります。また、過度なストレスは、自律神経の切り替えのスムーズさを乱し、本来汗をかくべき場面でも発汗がうまくいかないという事態を招いてしまいます。

〔3〕不規則な生活習慣

 睡眠不足、乱れた食生活、運動不足なども自律神経の乱れに直結します。特に、睡眠不足は自律神経のバランスを崩す大きな要因です。睡眠中に副交感神経が優位にならず、体の修復やリラックスができないと、日中の自律神経の働きにも悪影響を与えます。また、運動不足は体温を上げる機会を減らし、発汗機能を低下させます。

〔4〕入浴習慣の変化

 シャワーだけで済ませ、湯船に入って体を温める機会が減っていることも一因です。湯船の中で体の芯から温まり、汗腺を刺激し、発汗機能を高めます。しかし、シャワーだけでは体の深部まで温まることが難しく、発汗を促す効果は限定的です。

 以上の要因が複合的に絡んで現代人の自律神経のバランスを乱し、「汗をかけない」という状態を引き起こしているのです。汗をかくことは、体温調節だけでなく、老廃物の排出や皮膚の保湿にも重要な役割を果たしています。汗をかけない状態が続くと、熱中症のリスクが高まるほか、肌トラブルや体のだるさなど、様々な不調につながる可能性もあります。

 自律神経のバランスを整え、正常な発汗機能を改善するには、運動、睡眠、食事、ストレスマネジメント、入浴など、日々の生活習慣を見直すことが重要です。


■"熱中症"と自律神経・体温調節

 熱中症は、高温多湿な環境下で体の体温調節機能が破綻し、様々な症状を引き起こす病態です。体温調節で中心的な役割を果たすのが自律神経系であり、その機能低下が熱中症発症の大きな要因です。

体温調節の仕組みと自律神経の役割

 私たちの体は、常に一定の体温(深部体温)を維持しようとします。この体温調節の司令塔は脳の視床下部にあり、ここが体の内外からの情報を感知し、自律神経系を通じて体温をコントロールしています。体温上昇時の反応は発汗と皮膚血管拡張、体温低下時の反応はふるえ(熱産生)と皮膚血管収縮です。

熱中症:自律神経と体温調節の破綻

 高温多湿な環境に長時間さらされると、交感神経は体温を下げようと過剰に働き続けます。しかし、その働きには限界があります。

▼脱水と発汗機能の低下:暑い環境での大量の汗は、体内の水分と電解質を奪う。脱水が進むと血液量は減少し発汗も困難になる⇒体は熱を放出する主要な手段を失う。

▼皮膚血管拡張の限界と血液循環の悪化:皮膚血管を拡張し続け、体の表面に血液が集まるが、脱水による血液量減少と相まって、脳や内臓への血液供給が不足、だるさ・めまい・吐き気などの症状が現れる。

▼自律神経の疲弊:過酷な環境下で自律神経が過剰に働き続けると、次第にその機能が疲弊⇒体温調節の司令塔・視床下部からの指令伝達が乱れ、体温調節機能が破綻する。

 この破綻が「熱中症」と呼ばれる状態です。体温が異常に上昇し(高体温)、脳、腎臓、肝臓などの臓器に障害が生じ、重症化すると多臓器不全に至ることもあります。

熱中症になりやすい人、自律神経の乱れ

【高齢者】: 発汗機能や喉の渇きを感じる機能が低下しており、自律神経の働きも若い人に比べて弱いため、熱中症のリスクが高い。

【乳幼児】: 体温調節機能が未熟で、体温が上がりやすい。

【生活習慣病(高血圧、糖尿病など)がある人】: 血管や自律神経に障害がある場合があり、体温調節機能が低下していることがある。

【睡眠不足、ストレス】: 自律神経のバランスが乱れ、体温調節機能に影響を与える。

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 現代人の汗をかけない原因の一つに、東洋医学でいうところの「瘀血(おけつ)があります。つまり"微小循環血流の滞り"です。血液には酸素や栄養素とともに体内の熱を運ぶ役割もあります。微小循環血流を改善・維持すれば、体温調節システムも効率よく働きます。

「HM-3000(特系霊芝)」微小循環の改善作用と、「ラフマ葉」自律神経調整作用がポイントです。


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愛・感謝 村雨カレン

2026年7月30日木曜日

オイルファースト

 見直されている"食べる順番" 

 少し前に、「食べる順番ダイエット」が流行しました。「食べる順番を変えてやせましょう」というものです。"ダイエット=カロリーを減らす"と考えられがちですが、当時からカロリー制限によるダイエットに反対の立場を示す専門家も少なくありませんでした。カロリーを減らすと必要な栄養が摂れず、筋肉や骨まで削れて、体は内側から壊れます。肝心の代謝は落ちて、むしろ太りやすい体質になってしまうからです。

 当時の「食べる順番ダイエット」は、野菜を最初に食べる「ベジファースト」でした。食物繊維が豊富な野菜を先に食べることで、食後の血糖値上昇が抑えられ、インスリン分泌が必要最小限になるから太りにくくなる‥‥これがベジファーストの考え方です。

『日本人の食事摂取基準』2020年版でも、「野菜を先に食べることで食後血糖の上昇が抑制され、HbA1cが低下、体重も減少することが報告されている」とありました。ところが、最新の2025年版(5年毎に改訂)では、このベジファーストに関する記述が削除されています。これは、ベジファーストの効果に関する科学論文に"疑問符"がついたからではないかと考えられます。実際、米国糖尿病学会を含め、糖尿病や肥満の予防のためにベジファーストを推奨している海外の専門機関はありません。

 ベジファースト効果の"疑問符"とは、実は、脂質から先に摂る「オイルファースト」によるものだったのではないかということです。この研究では、先に食べる野菜に、オリーブオイル入りドレッシングをかけていたことがわかったのです。野菜だけで食後の血糖上昇を抑制できたという報告が出ない一方で、油脂で血糖上昇を抑制できたという報告は多々あります。野菜とともに摂る油脂の作用によって、食後の血糖値の上昇が抑えられ、それがインスリン濃度の低減(=減量)にもつながった可能性が高いのです。

 脂質ファーストで血糖値の上昇が抑えられるのは、小腸から分泌されるホルモン「インクレチン」が関わっています。脂質を摂ると、小腸上部のK細胞から分泌されるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)というインクレチンが分泌されます。インクレチンとは、小腸から分泌されるインスリン分泌を促すホルモンの総称で、GIPとGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の2種類があります。GIPの2つの役割から、血糖値上昇を抑え、結果としてダイエット効果をもたらしたと考えられます。

すい臓に働きかけ、インスリンの分泌を早める脂質を先に摂ることでGIPを介してインスリンが適切なタイミングで速やかに分泌。その後糖質を摂っても血糖値上昇を最小限に留めることができる。結果としてトータルのインスリン分泌量も抑えられ、インスリンの脂肪合成の役目は限定的となる(食後高血糖が避けられたら、糖質疲労も防げる)

GIPが、「レプチン」の分泌を促したり直接脳に作用して、食欲を抑制する脂質は脳に働きかけて食欲を抑え、食べすぎを防いでくれる。

(出典:https://president.jp/articles/)


■ダイエットに有効な"オイルファースト"

 ダイエットにおける「オイルファースト」は、従来の糖質制限やカロリー制限とは異なる新しいアプローチとして注目されています。

オイルファーストのメカニズムとエビデンス

オイルファーストの主なメカニズムは、以下の3つのポイントに集約されます。

(1)血糖値の安定化

 食事の最初に脂質を摂取することで、その後の糖質の吸収が緩やかになります。すると、食後の血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)が抑制されます。血糖値スパイクは、インスリンの過剰分泌を招き、脂肪の蓄積を促進するだけでなく、空腹感を早く引き起こす原因となります。

※2型糖尿病患者を対象とした研究では、食事の前に少量のオリーブオイルを摂取することで、食後の血糖値上昇が有意に抑制されたことが報告されています (Sasson et al., 2017)。また、健康な成人を対象とした研究でも、脂肪を先に摂取することで、その後の炭水化物の摂取による血糖値の上昇が緩やかになることが示されています (Wolever et al., 1988)。

(2)満腹感の向上と食欲抑制

 脂質は、たんぱく質や炭水化物と比較して、消化に時間がかかります。これにより胃の中に食物が長く留まり、満腹感が持続しやすくなります。また、脂質の摂取は、コレシストキニン(CCK)やGLP-1などの消化管ホルモンの分泌を刺激します。これらのホルモンは、脳に満腹感を伝えることで、食欲を抑制する効果があります。

※肥満者対象の研究では、食事の最初に脂質を多く含む食品を摂取することで、食後の満腹感が向上し、その後の食事量が減少することが報告されています (Rolls et al., 1999)。また、健康な成人対象の研究では、脂質の摂取がCCKの分泌を促進し、満腹感を持続させる効果があることが示されています (MacIntosh et al., 2001)。

(3)インスリン抵抗性の改善

 血糖値の安定化と満腹感の向上は、長期的に見るとインスリン抵抗性の改善にも繋がり得ます。血糖値スパイクの頻度が減少することで、膵臓のインスリン分泌への負担が軽減され、細胞のインスリン感受性が高まる可能性があります。

※高脂肪食がインスリン抵抗性を引き起こすという従来の概念とは異なり、良質な脂質を適切に摂取し、血糖値の急上昇を避ける食事法は、インスリン感受性を改善する可能性が示唆されています (Liu et al., 2011)。特に、単一不飽和脂肪酸(MUFA)や多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取は、インスリン感受性の改善に関連すると言われています。

オイルファーストの注意点

良質な脂質を選ぶ:飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取は避けるべき。アボカド、ナッツ類、オリーブオイル、MCTオイル、青魚などに含まれる不飽和脂肪酸を積極的に摂取しましょう。

適量を守る:脂質は高カロリーであるため、摂取しすぎるとカロリーオーバーになる恐れがあります。体の反応を見ながら調整することが大切です。

バランスの取れた食事:オイルファーストは、あくまで食事の順序に関するアプローチであり、食事全体のバランスが重要であることに変わりはありません。たんぱく質や野菜も十分に摂取することを心がけましょう。


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愛・感謝 村雨カレン