2024年9月11日水曜日

チーズの虫歯予防効果

 キシリトールに血栓リスク?

 糖アルコールのキシリトールの摂取量が多いと、心筋梗塞や脳卒中などの主要心血管疾患の発生リスクが高まる可能性のあることが、米クリーブランドクリニック、ラーナー研究所の研究者らによる研究で明らかにされました。米国とヨーロッパの3,000人以上の患者を対象に解析した結果、キシリトールの高血中濃度は3年間の心血管疾患の発生リスク上昇と関連することが示されたそうです(『European Heart Journal』に6月6日掲載)

 キシリトールは砂糖と同程度の甘さですが、砂糖よりもカロリーの低い糖アルコールの一種で、あめやガム、焼き菓子、歯磨き粉などによく使われています。過去10年の間に、加工食品では、砂糖に代わる健康的な甘味料として糖アルコールなどの人工甘味料の使用が大幅に増加しています。研究者らは2023年に発表した研究で、米国ではキシリトールよりも使用頻度の高い糖アルコールのエリスリトールが心血管リスクと関連することを報告していました。今回の研究で同氏らは、キシリトールと心血管疾患との関連を調査しました。

 まず、調査の結果、キシリトールの循環レベルが、3年間の心血管疾患の発生リスクと関連することが明らかになったのです。次に、別の検証コホート(2,149人)の血漿サンプルを用いて、分析を実施したところ、キシリトールと心血管疾患の発生リスクとの関連が確認された。血液中のキシリトール濃度に応じて対象者を3群に分けた場合、最も高い群の心血管疾患の発生リスクは最も低い群の1.57倍と推定されました。

 補完的な研究として、分離されたヒト血小板、多血小板血漿、全血、および動物モデルを用いて、キシリトールが血小板の反応性および体内の血栓形成に与える影響を調べました。その結果、空腹時血漿中のキシリトールが、血小板の反応性および体内の血栓形成の複数の指標を増強することが示されました。最後に、健康な人10人を対象に、キシリトールを甘味料とする飲料の摂取が血小板の機能にもたらす影響を検討したところ、全ての対象者において、血漿中のキシリトール濃度が顕著に上昇し、血小板の反応性に関する複数の機能的指標が増強することが確認されました。

 研究者は、「過去の研究に続きこの研究でも、糖アルコールなどの人工甘味料、特に肥満や糖尿病のような疾患と闘っている患者に対して推奨され続けている人工甘味料を今すぐにでも調査する必要があることが示された」と話します。そして「キシリトール入りの歯磨き粉を捨てろとは言わないが、高濃度のキシリトールを含む製品を摂取することで血栓などの発生リスクが高まる可能性があることを認識しておく必要がある」と付け加えます。

 研究グループは、人工甘味料の使用も含め、食品の選択について医師や認定栄養士に相談することを勧めています。

(出典:https://academic.oup.com/)


■WHOも認めるチーズの驚きの効果

 WHO(世界保健機関)の報告によると、チーズは食品の中で、科学的にむし歯予防効果が最も高いランク(「ほぼ確実」で、キシリトールより高い)に分類されています。そして、アメリカの総合歯科学会などの研究機関は最新の調査結果により、チーズを食べることで、①虫歯を防ぐ ②初期虫歯を修復する という2つの効果が得られると発表しています。

 ここで重要なのは、牛乳やヨーグルトなどすべての乳製品に同じ効果があるのではなく、“チーズに限定された効果”であること。これはチーズに含まれているミネラル分であるカルシウムやリン酸などが唾液に溶け出しやすい形であることが大きく影響しています。

チーズで虫歯が防げる2つの理由

 通常、口の中はph値6.7程度の中性を保っています。しかし食べ物を食べると酸性に変化し、量が増えると歯のエナメル質が溶けやすくなり、虫歯になってしまうのです。一方でチーズは、「口内をアルカリ性に変化させる」ことで、虫歯になりにくくさせます。

 もう1つの理由は「歯の再石灰化を行う」ことです。再石灰化とは、簡単にいうと歯の修復です。エナメル質に保護膜を作り、歯を強くさせます。歯の成分の補充を行うことで初期の虫歯であれば自然治癒もあり得るほど。これは、チーズに含まれている歯の成分、リン酸カルシウムの働きによるものです。

 さらにチーズに含まれるカゼインというたんぱく質は、しっかりとエナメル質に吸着し、虫歯菌であるミュータンス菌から歯を守る作用が働きます。

虫歯を防ぐチーズの種類とその食べ方

 チーズにも向き不向きがあります。おすすめは、ハードタイプの硬く重量感のあるチーズです。ハードチーズの代表と言えば「チェダーチーズ」、セミハードタイプの「ゴーダチーズ」などがポピュラーですが、ミモレットやグリュイエールチーズ、パルジャミーノ・レジャーノなどもおすすめです。

 ハードタイプのチーズがお勧めの理由は、硬めのチーズはしっかりと良く噛まないといけないため、唾液が出やすくなり、より虫歯予防の効果を高めるからです。チーズはたくさん食べる必要はなく、食後に2~3口で十分です。毎日でも続けて食べることが大切です。

チーズ+歯磨きで虫歯ゼロに近づく

 チーズが虫歯予防になるといっても、歯みがきをしなくてよい訳ではありません。お仕事中などは難しい場合もあるかもしれませんが、食後の歯磨きはできる限り行いましょう。

 また、チーズの効果をより高めるために、チーズを食べた後は10分程度時間を置いてから歯みがきをすることをおすすめします。すぐに歯磨きをしますと、せっかくのチーズに含まれる栄養素が洗い流されてしまうこともあります。チーズ2~3口と毎日の歯みがきで、相乗効果を上げて、虫歯ゼロを目指しましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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