2025年9月24日水曜日

頭痛と片頭痛

 見逃すと生命にかかわる頭痛

 頭痛には上手に付き合わざるを得ない「一次性頭痛」と、脳やその他の部位の疾患のサインとして現れる「二次性頭痛」があります。実は、この二次性頭痛の中には、見逃すと生命にかかわるものもあるので注意が必要です。

 一次性頭痛は、脳の一過性の異常によって起こる頭痛で、「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれます。全体の約80%を占め、偏頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれます。大半は良性で、つらいことはあっても、生命に危険を及ぼすことはありません。

 一方、放っておいたら危ないのが、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍などにより引き起こされる二次性頭痛です。この場合の頭痛は、脳や身体の異常を知らせるサインの役目をはたしているため、すぐに医療機関を受診することが求められます。

 危険な頭痛のサインには次のようなものがあります。

 ハンマーで殴られたような頭痛

 こうした表現をされるのが、脳卒中のひとつで、脳動脈瘤が破裂して起きる「くも膜下出血」です。激烈な頭痛に襲われるのに加えて、嘔吐や意識喪失、痙攣などがみられます。さらに、うなじから首にかけて硬くなる項部硬直も起きます。このような場合は、すぐに救急車を呼びましょう。救急車で運び込まれた人の1/3は社会復帰できるまでに回復し、次いで1/3は身体に何らかの障害を残しています。そして残り1/3は寝たきりか死亡というのが現状です。くも膜下出血タイプの頭痛は、「この時から頭痛が始まった」というように発症時期が明確なのが特徴です。

 吐き気、嘔吐、手足のしびれ、言葉の障害などを伴う頭痛

 頭部を打撲したときに緊急を要するのが「急性硬膜下血腫」や「急性硬膜外血腫」です。頭痛の域を越えている症状なので、救急車で運ばれることになります。そのときは何の問題もなくても、2週間~数ヵ月後に頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出てくることがあります。これは「慢性硬膜下血腫」といい、頭蓋骨の内側の硬膜と脳のすき間に少しずつ血腫ができ、それが脳を圧迫して、様々な症状を呈する病気です。頭部を打撲した場合は、症状のあるなしにかかわらず2~3週間後にCT検査を受けることをおすすめします。

 朝方に痛みが強くなる頭痛、おう吐

 脳腫瘍の代表的な症状です。脳腫瘍には多くの種類がありますが、とりわけ多いのが「髄膜腫」と「神経膠腫」。最も多い前者は、ほとんどが良性ですが、後者はゼリー状の腫瘍で、脳のあらゆる部分にできるたちの悪い腫瘍です。どちらも初期の症状は目立たないものの、腫瘍が大きくなるに従って、次第に痛みが強くなります。頭全体が重苦しく、四六時中痛みます。そして、特徴的なのが「朝方により痛みが強くなる」ことです。脳腫瘍による頭痛は、一度始まったら治療するまで止まりません。1~2週間ずっと途切れずに頭痛が続くような場合は、脳神経外科を受診しましょう。

(出典:https://www.healthcare.omron.co.jp/)


■男性より女性に多い片頭痛

 片頭痛(偏頭痛)の症状は、周期的に生じる片側性の頭痛で、ズキンズキンと脈を打つように拍動する痛みが特徴です。若年期に発症することが多い傾向です。

 頭痛発作の前日ないし数日前に、気分の変化、口が渇く、飢餓感、あくび、眠気などの症状がでる場合があります。特に治療をしなければ、頭痛は数時間から数日程度持続します。片頭痛の頻度は男性より女性に多く、女性で20%、男性で6%という報告もあります。女性では月経前に生じやすいという特徴があります。

朝から痛むのは片頭痛ではない

 起床時の頭痛は片頭痛だと思い込んでいる人も多いのですが、東京科学大学(旧東京医科歯科大)大学院・神経内科学教授は次のように言っています。「片頭痛は頭部の血管が三叉神経などを刺激して痛みを起こす病気と考えられている。痛みが出る前に目の前がチカチカする閃輝暗点症状などの前駆症状があるのが典型で、多くは拍動性の痛みが特徴だ。しかし、前駆症状があるとは限らず、起床時にきまって起きることはめったにないので、朝からの頭痛の大半は片頭痛の薬を飲んでも無駄なのだ」。

セロトニンの異常分泌

 睡眠障害やストレス、生活習慣など様々な要因で神経伝達物質のセロトニンの分泌に異常が起ると、脳内の血中にセロトニンが一時的に増えます。すると血管が収縮します。収縮した血管からセロトニンが急激に減少すると今度は血管が拡張します。これによって血管の透過性が亢進し炎症物質が産生され血管壁が炎症や浮腫を起こします。これが痛みとして伝達されて片頭痛の発作が起こると考えられています。

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 頭痛薬は、初期の段階では有効な時もありますが、長期連用・飲み過ぎは、頭痛をさらに発症させることにつながるので、注意が必要です。また、慢性的な頭痛や片頭痛などに対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が処方される場合もあります。

 ストレスや疲労、不摂生な生活習慣などでセロトニン神経の機能が低下するとセロトニンの代謝異常がおこります。康復医学学会が長年研究している天然ハーブ素材「ラフマ」には、セロトニン神経を活性させ、正常なセロトニンの分泌を促進するデータがあります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月17日水曜日

脳とたんぱく質


 菜食主義者はうつ病になりやすい?

 食事とうつ病の関係としては、食事の時間帯とうつ病の発症リスクが関係している可能性が示されたり、高脂肪の食事を繰り返すとアルツハイマー病やうつ病リスクが悪化することが判明したりと、様々な研究が行われています。ブラジル・ポルトガルの大学による共同研究で、新たに「肉を抜いた菜食主義の食事とうつ病の関係」が示されました。

 ブラジルの大学で集団的健康のプログラムを担当する研究者らのチームは2022年9月に公開した論文で、35歳から74歳のブラジル人1万4216人を含むデータを用いて横断分析の研究を発表しました。調査の中には「食物の頻度に関するアンケート」が含まれており、個人が肉を食べるか肉を含まない食事を選んでいるかを判断しています。その後、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス面での問題の有無を調べる特別の手法を使用して、個人のうつ病に関するエピソードを喫煙やアルコール摂取量、身体活動、健康状態、毎日のエネルギー摂取量などの要因と合わせて評価しました。

 結果として、うつ病に関するエピソードの発生率が、肉なしの食事との間に正の関連性があると研究者たちは発見しました。肉を食べない人は、肉を日常的に食べる人の約2倍の頻度でうつ病に関するエピソードを経験していたのです。

 菜食主義とメンタルヘルスとの研究は過去にも行われており、2020年の研究ではメタ分析により関連性が観察されなかった一方で、2021年の研究では同様のメタ分析で菜食主義と高いうつ病スコアの関連性が確認されました。2022年1月にイギリスの研究者らが発表した論文では、「過去のメタ分析では、7件の研究で菜食主義とうつ病に関係があると示され、7件の結果では関連性が見られないとされていますが、分析された研究は不均一で、さらなる研究が必要だ」と述べ、範囲を広げた詳細なメタ分析を行いました。結果として研究者は「菜食主義は肉を食べる人よりもうつ病との関連性が高く、またヴィーガンの食事はベジタリアンの食事よりもうつ病との関連性が高い」と示しています。

 ブラジルの研究チームによる論文では、うつ病のリスクは社会経済的要因やライフスタイルではなく、肉を食べない人に多く見られる傾向であると結論付けていますが、栄養不足がその原因ではなく、うつ病と菜食主義との直接的な因果関係の調査はできていません。

 また一方で、この研究についてのオンライン掲示板のスレッドでは、「肉を食べないからうつ病になりやすいのではなく、動物に道徳的価値を強く置いて肉を食べないという選択をする人は、共感性が高くメンタルヘルスを害しやすいのではないか」といった意見や、「ベジタリアンは肉を食べることを非倫理的と思っている人もいるため、多くの人が肉を食べていることに常に心を痛めている」「食べ慣れない料理を前にしたとき、料理に何が入っているのかを気にせねばならないのはストレスだ」などの具体的な指摘も挙げられています。

(出典:https://gigazine.net/)


■認知症予防:脳を守るたんぱく質

なぜたんぱく質が脳に重要なのか?

 脳は、思考、学習、記憶といった高度な機能を司る臓器であり、その活動には絶え間ないエネルギーと栄養が必要です。たんぱく質は、体のあらゆる組織を作る基本的な材料であり、脳にとっても例外ではなく、脳の構造と機能の両面で、重要な役割を担っているのです。

神経伝達物質の合成:脳内の情報伝達は、神経伝達物質(化学物質)によって行われます。これらの神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン等)は、アミノ酸から合成されます。アミノ酸はたんぱく質が分解されてできる最小単位であり、十分なたんぱく質摂取は神経伝達物質の合成を円滑に行うために不可欠です。

脳細胞の維持・修復:脳細胞(ニューロン)は、情報の伝達や処理を行います。たんぱく質は、これらの脳細胞の構造を維持し、ダメージを受けた細胞を修復するために必要です。

脳のエネルギー源:一部の研究では、たんぱく質が脳のエネルギー源としても利用される可能性が示唆されています。

たんぱく質摂取と認知症リスクに関する研究

 複数の研究が、たんぱく質摂取と認知症リスクとの関連性を示唆しています。

 疫学研究 :大規模追跡調査では、高齢者においてたんぱく質の摂取量が多いほど、認知機能の低下リスクが低い傾向があります。特に、動物性たんぱく質だけでなく、植物性たんぱく質も認知機能の維持に貢献する可能性が指摘されています。

 介入研究 :たんぱく質の摂取量を増やしたり、特定のアミノ酸を補給したりする介入研究では、認知機能の一部が改善したという報告があります。

 ただし、これらの研究はまだ発展途上であり、量、種類、摂取タイミングなど、より詳細な検討が必要です。しかし、現時点での知見は、たんぱく質が認知症予防の一助となる可能性を示唆しています。

 右図は、たんぱく質がどのように脳の健康に貢献するかを示しています。このプロセスが円滑に進むことで、情報伝達がスムーズになり、結果として認知機能の維持・向上に繋がるというメカニズムです。

 たんぱく質は、脳の構造と機能の両面において不可欠な栄養素であり、認知症予防においても重要な役割を果たす可能性が示唆されています。バランスの取れた食生活の中で、様々な食品から十分なたんぱく質を摂取することは、脳の健康を維持し、認知機能の低下を遅らせるための有効な戦略の一つと言えるでしょう。


いつもありがとうございます。愛・感謝 村雨カレン

2025年9月10日水曜日

認知症の危険因子

 認知症:注意すべき14の危険因子

 認知症のリスクを減らすことができる14の危険因子を、医学雑誌『ランセット』が発表しました。同誌は2020年に12の危険因子を発表していましたが、今回新たに「視力低下」「高LDLコレステロール」を追加。これら14項目全ての修正に取り組めば、全世界で認知症の発症を45%減らせる可能性があるとしています。

 医学分野で最も影響力がある雑誌の1つ『ランセット』は2017年から定期的に、認知症の予防と治療に関する最新のエビデンスについて検討し、その知見を報告しています。今回、2020年以降に発表された新たなエビデンスを確認して、2020年に示した12の「修正可能な認知症の危険因子」に、新たに2つの因子を追加し、以下の14項目を公開しました。

 2020年提示の危険因子12  ⇒教育水準の低さ、外傷性脳損傷、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病、聴覚障害、抑うつ、社会的孤立、大気汚染

 新たに追加:2つの危険因子  ⇒視力低下、高LDLコレステロール

 ランセットは、これら危険因子の修正を行う時期を、若年期、中年期、高齢期に分け、個々の危険因子について、集団寄与危険割合(その因子がなければ発症が何%減るかを示した数字)を推定しました(右図)

 これらを合わせると45%になり、14の危険因子がなくなれば、世界の認知症発症の45%が回避できることが示唆されました。これらの危険因子を回避するため、研究者たちは、個人と、公衆衛生や福祉を担当する政策立案者に対して、以下のような具体的な行動を促しています。

●全ての人が質の高い教育を受けられるようにする。中年期以降は、認知機能を維持するために脳を刺激する活動を実施 ●聴覚障害者の補聴器利用を容易にする。有害な騒音に晒される機会を減らして聴覚障害リスクを減らす

▼うつ病患者に有効な治療を実施 ▼接触スポーツや自転車には頭部保護具を使用 ▼運動を実施 ▼禁煙教育、公共の場での喫煙禁止などで禁煙を促す ▼高血圧の予防と治療 ▼中年期に高LDLコレステロールの診断、治療 ▼健康的な体重を維持。肥満者に治療を促す ▼酒類の価格コントロール、飲酒リスクに関する意識向上、過剰摂取を減少 ▼高齢者に優しく支援的なコミュニティの形成、暮らしやすい住居の提供などにより、社会的孤立を減らす ▼視力検査と視力低下に対する治療の機会を提供 ▼大気汚染の機会を減少

 これらの修正は、遺伝的背景を持つ人にも発症リスクの低下をもたらすことが分かっています。研究者たちは、「危険因子に対する修正の開始は早ければ早いほどよく、生涯を通じてリスクを低く保つことを目指すべきだ」としています。

(出典:https://business.nikkei.com/)


■視力低下、脂質異常症と認知症

「視力低下」と認知症リスク

 近年の研究で、視力低下と認知症、特にアルツハイマー病のリスク上昇との関連性が示唆されています。これは、単なる加齢による視力低下だけでなく、白内障、緑内障、加齢黄斑変性(AMD)といった眼疾患を含むものです。

 以下、考えられる5つのメカニズムです。認知リソースの低下視力低下が、脳が視覚情報を処理するために多くのリソースを必要とし、認知機能に割り当てられるリソースが減少し、認知機能低下につながる。社会的孤立と活動性の低下視力低下は、読書、運転、他人との交流など、様々な活動への参加を妨げ、社会的孤立や活動性の低下を招き、認知機能の低下を加速させる。脳構造の変化視覚情報は脳の多くの領域で処理されるが、視力低下によって、これらの脳領域の活動が低下し、構造的な変化を引き起こし、認知機能に影響を与える。共通の病理アルツハイマー病などの認知症と、加齢黄斑変性などの眼疾患には、炎症、酸化ストレス、血管機能障害など、共通の病理が存在する。運動不足視力低下により外出が億劫になり運動不足となることで認知症のリスクが高まる。

 多くの観察研究で、視力低下と認知症リスクの関連が報告されています。また、白内障手術などの視力回復手術が認知症リスクに与える影響を調べた研究では、手術を受けたグループで認知症リスクが低下する傾向が示唆されています。

 認知症は、視力低下だけでなく、遺伝、年齢、生活習慣など、様々な要因が複雑に関与して発症します。認知症リスクに影響を与える可能性のある他の感覚機能の低下(聴力低下など)も考慮する必要があります。

「脂質異常症」と認知症リスク

 脂質異常症によって動脈硬化が進行し、脳の血管が硬くなることが認知症の原因の一つと考えられています。LDLコレステロール値が39mg/dL上昇する毎に、認知症の発症率が8%増加するというデータや、116mg/dL以上の人は認知症リスクが上がるというデータがあります。さらに中年期の高コレステロール血症は認知症と関連することが報告されています。

 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール値が高い、トリグリセライド(中性脂肪)値が高い、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態を指しますが、脂質代謝を改善することで認知症の予防につながると考えられます。脂質を摂取しすぎないことや脂質代謝を高めるために運動することが大切です。

 脂質異常症が進むと動脈硬化によって血管が狭くなり、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。

 このように、「視力低下」及び「脂質異常症」の早期発見と適切な治療は、認知症リスクの軽減につながる可能性があるのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月3日水曜日

便秘

 便秘で脳・心筋梗塞のリスク2倍

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリア・モナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響を与えて便秘を引き起こす可能性のある薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析は便秘が心血管疾患の危険因子であることを明らかにし、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■本当は怖い便秘症

 便秘症は身近な存在だけに軽く思われがちです。しかし実は、便秘症は命に関わる病態であり、正しく治療しないと思わぬ事態になりかねません。米国4000人を対象とした研究で、便秘のある人は便秘のない人と比較して、生存率が約4分の3に低下することが報告されました。なぜ便秘で命を落とすのか、それは以下のような事実が研究によって証明されたことで次第に実態がわかってきました。

便秘の人は(1)心疾患や脳血管疾患での死亡リスク、(2)静脈血栓症の発症リスク、(3)認知症リスク、(4)慢性腎臓病の発症リスクなどが高いほか、(5)便秘の人は生活の質が低いと感じており、労働生産性が低下している。

 このように便秘のある人は様々な内科的な疾患を抱えるようになり、結果として生存率が下がっていくことがわかったのです。

便秘症の改善法

(1)食事で「食物繊維」を摂る 

 お勧めの食材:●水溶性食物繊維(海藻類、納豆、オクラなどのネバネバ食品やキノコ類)。腸内細菌の善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす。●食物繊維は、1日20gが目安。玄米や雑穀など、主食で食物繊維豊富な食材を選ぶことが大切。●大腸の蠕動運動に必要な胆汁酸の分泌を促す食材(卵、良質の油)。"油抜き"は良くない。

(2)朝の「トイレ時間」を確保する 

 朝ごはんを食べて、腸が動いて便意をもよおすまで約30分~60分が正常な排便時間。食後リラックスした気持ちでいることが大事。2023年7月改定のガイドラインでも、便意回復の重要性を謳っている。

(3)意外と大事な「排便姿勢」

 排便姿勢はとても重要。腹圧をかけて便を押し出す際に、便の出やすい方向がある。背筋をのばしてまっすぐ座る姿勢では排便しづらく、逆に前傾しすぎても後傾しすぎてもダメ。ロダンの考える人のように足を床につけ、ひじが膝につく前傾姿勢35度がベスト。

(4)定期的な運動や腹部のマッサージ 

 定期的な運動は、便通のためにも重要。運動中は交感神経が優位になるので、腸の運動は止まる。しかし、運動を終えた後は副交感神経が優位になるので便意が来る。交感神経のメリハリをつけることにもつながり、便秘改善にいい効果がある。運動ができないときには、腹部マッサージをする。へその周囲を軽く手で押しながら、時計回りに優しくなでるように約15分。

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 当学会が研究開発・商品化した「モロヘイヤ粉末配合青汁」は、便秘・貧血・高血糖に対してより良い効果が期待できます。

いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン