貧血には鉄分よりたんぱく質?
知り合いから、こんな相談を受けたことがあります。女子大生の娘さんが貧血で困っているというのです。通院して3年も経つのに少しもよくならないそうです。それだけで、医師がどんな治療をしているのか予想がつきました。聞くと、案の定、鉄剤を与え続けているといいます。これでは貧血がよくならないのも無理はありません。昔ほど多くはないようですが、いまでも貧血で苦しんである女性は少なくありません。特にダイエットが原因になっていることが多いようです。そして、医師の対応は昔から少しも変わっていません。「貧血は鉄分の不足が原因」という従うべきマニュアルを信じて、鉄剤を処方するだけです。しかし、実際に私の知人の娘さんがそうだったように、鉄分を補給しただけで貧血がよくなることはありません。少し栄養のことを勉強すればわかることです。
貧血とは、赤血球の中にあるヘモグロビン(血色素)の量が不足している状態のことです。酸素を運ぶ役割のあるヘモグロビンが足りなくなると、組織の末端で酸欠状態が起こり、そのため顔色が悪くなったり、立ち眩みを起こしたりします。当然、貧血対策のポイントは、どうやってヘモグロビンを増やすかになります。当然、足りないものを増やすには、それを作るための材料を仕入れればいいということになります。
ヘモグロビンの材料は、“グロビン”というたんぱく質と“ヘム鉄”という鉄分です。ヘモグロビンという名前を見れば、この二つが欠かせないことは明らかです。医師の対応が間違っているのは、二つの材料のうちの鉄分のほうにしか目を向けていないというところ。鉄分だけを与えても、ヘモグロビンは増えません。必要なのは、まずたんぱく質なのです。
それ以外にも、採るべき栄養素はたくさんあります。ヘモグロビンが出来上がるまでには、ビタミンB6とB12、葉酸、ビタミンC、銅、ニコチン酸等が求められます。確かに鉄分も必要な成分の一つですが、医師が処方する鉄剤には、たんぱく質もビタミン類も銅も何も入っていません。それで貧血が改善するはずがありません。事実、3年も鉄剤を飲まされていた女子大生は、たんぱく質やビタミンの摂り方を指導し始めたとたん、わずか2カ月で貧血が治ってしまいました。彼女の場合も、やはりダイエットが貧血の原因だったようです。
人間には一日に体重の1000分の一の良質なたんぱく質が必要です。それだけのたんぱく質を確保するのは容易ではありません。ダイエットで食事を減らせば、ますますたんぱく質は不足してしまうことになります。
それにしても専門家の発想というものは短絡的すぎます。高血圧には減塩、骨にはカルシウム、そして貧血には鉄分。どれもこれも間違いだらけです。そのせいで何年も病気が治らずに苦しんでいる人がいることを思うと、ため息が出る思いです。
(出典:『医学常識はウソだらけ~分子生物学が明かす「生命の法則」~』三石巌著/祥伝社)
■鉄欠乏性貧血の対処法
貧血には様々な種類がありますが、女性の貧血の中で多いのは、鉄不足の「鉄欠乏性貧血」です。鉄欠乏性貧血は、月経によって血液を失う女性に多く見られ、赤血球のヘモグロビンが鉄不足で合成されずに起こります。また、男性が中年以降貧血になる場合は、胃がん、大腸がんなど消化器のがんが原因であることが多いので注意が必要です。
鉄不足の主な原因には、●ダイエットや偏食などによる鉄の摂取不足 ●妊娠・授乳などによる鉄の必要量の増加 ●胃切除や、胃酸分泌低下などによる鉄の吸収低下 ●月経過多、潰瘍、痔など失血による鉄の排泄増加 ――などがあります。
日本人の成人女性が1日に必要とする鉄の量は5.0~9.0mg。しかし、月経のある女性は、毎月20~30mgの鉄分を失いますから、鉄は補給しなければ減る一方です。バランスの良い食事をしていれば、1,000kcalの食事で6mg、2,000kcalでは12mgの鉄を摂ることができます。一方、単純にダイエットで摂取カロリー数を減らすだけでも、鉄は不足してしまいます。
鉄を摂る食事にたんぱく質は欠かせない
●食品に含まれる鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。ヘム鉄は溶けやすいため吸収されやすく、非ヘム鉄は消化吸収されにくいので、ヘム鉄で摂る方が効率的です。●たんぱく質は、赤血球の中のヘモグロビンの材料となる栄養素ですので、鉄と同様に大切です。肉や魚のたんぱく質は、非ヘム鉄の吸収を高めます。特に、必須アミノ酸のバランスのよいたんぱく質である卵、肉は欠かさないように注意しましょう。1日の目安は、卵1個+魚1切れ+肉80g程度+豆腐半丁程度です。
●ビタミンB2、B6、B12、葉酸、ビタミンCなども造血や鉄の吸収にかかせません。これらを十分に摂るには、偏食せずに3食きちんと食べることが大切です。炭水化物だけでなく、おかずをしっかり食べましょう。
●ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に換える助けになります。この作用は、梅干しに含まれるクエン酸や酢にもあります。
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康復医学学会で提案、企画協力により製品化が実現した「黒米エキス」加工食品には、黒米と親和性の高いビール酵母を配合しています。ビール酵母には各種ビタミン、ミネラル、たんぱく質などが豊富ですから、栄養素を効率よく補給、鉄を摂る食事をサポートします。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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