脳の老化に関連する3つの部位
ある年代になると、固有名詞が思い出せない、集中力が低下したように感じるなど、脳の老化が心配になってきます。老化しやすい代表的な部位は「前頭前野」と「海馬」です。
前頭前野は、額の後ろあたりにあり、記憶や学習、感情、言語などを制御する司令塔の役割を果たしています。一方、海馬は短期記憶(新しい記憶)の保存や取り出しの作業をする部位です。前頭前野や海馬の働きが低下してくると、「あれ」「これ」「それ」が増え、「瞬間的に覚えて瞬間的に対応する」といった、ややこしい作業が苦手になってきます。ある目的があって動いたのに「何をしようとしていたんだっけ」ということが起こりやすくなります。一方で、脳内部にある「線条体」は、40、50歳あたりに最も充実することが分かってきました。線条体は、経験の蓄積をエサにして活性化しやすくなるという側面があり、「やる気の中核」とも言われる部位で、快感に関わるドーパミン神経と強くつながっています。ですから、仕事に対するやる気は、むしろ中高年世代のほうが高まりやすいのです。
経験を重ねることによって「この仕事で使ったロジックやノウハウが、あの仕事でも生かせる」というメタ認知(自分の認知活動を客観的に捉えること)が得意になってきます。これとあれはつながってるな、と発見することで仕事の面白みも増しますし、40、50歳ぐらいになると、仕事そのものを自分の人生観とのつながりで理解することも増えてくる。それが仕事の醍醐味や、やりがい、価値になっていくというわけです。
つまり、年を重ねても脳は衰える一方というわけではないのです。ただ、前頭前野と海馬は衰えやすくなる。前頭前野や海馬は、「流動性知性」に関係する部位です。
知能研究の草分けであるレイモンド・キャッテル(英・心理学者)とジョン・ホーン(米・心理学者)は、知性を以下のように区分しています。
【流動性知性】:その場その場で何かを覚えて対処する能力。脳トレで鍛えようとするのがこの知性。
【統括性知性】:現状把握、企画、意思決定などを担う、企業で言えば管理職に求められる知性。
【結晶性知性】:知識や経験に裏打ちされる知性。経験が結びつき、結晶化するように伸びていく。
流動性知性というのは、記憶力がその代表。18~25歳をピークに低下していきます。とはいえ、その部分はそれこそスマホやインターネットが補ってくれます。統括性知性は、40代以降、伸びる人と低下する人に二極化する可能性が指摘されていますが、50代ごろがピークといわれます。「鍛えようがある」知性といえます。そして、結晶性知性は、知識や経験や知恵が結びつきを強めることで、人生観、仕事観、社会観などを形成していく、まさに年の功、年を取らないと伸びていきにくい知性なのです。3つの知性の中で、統括性知性と結晶性知性は、年を取っても伸びていく可能性があるのです。
(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)
■記憶の引き出しを鍛えるコツ
仕事のパフォーマンスを高めたい時やウォーキングや筋トレを続ける時には、「線条体」の働きが重要です。実は線条体も工夫次第でその働きを高めることができるといいます。
■オノマトペで行動を表す
線条体は、新たな行動を始めるときに活性化される部位。まずは始めること。すると線条体は発火し、やる気が生まれ、その行動は維持されます。
仕事を「やりたくない」のも自分の脳、「やりたい」のも自分の脳。そこで、「やりたくない」脳を「5分だけやろう」「伝票の整理だけしよう」などと軽くだましつつ、「このくらいなら始められる」ことに仕事を分解して始めるといいでしょう。
このとき、オノマトペ(擬声語、擬態語)を使うと脳活動が強くなるといいます。その結果、線条体の活動もさらに高まりやすくなります。(例)「パッと立ち上がり、ダダッと歩いて、スッと座って、ガバッと資料を開いて、バリバリ片付けるぞ!」
線条体は、行動と快感を結びつける部位なので、だまされやすい一面もあります。筋トレをしながら「筋肉が喜んでる!」と言うのも線条体の活性にはプラスになります。
■行動している自分を映像で思い描く
線条体の活動を高めるには「行動イメージを具体的に思い浮かべる」という方法も効果的です。「やらなきゃ」と言っているうちは、発話や聴覚に関わる部位の脳しか活性化しません。つまり、言葉だけの空回状態で、行動につながる線条体は活性化していません。そこで、ビデオカメラで引いて見るように実際に行動している自分を思い描いてみることです。
(例)ジョギングしたいがやる気が出ない⇒颯爽と走る自分をリアルにイメージしてみる。
■こまめに休憩して体を動かす/脳をクールダウン
人間の集中力は長く続くようにはできていません。計算課題などで脳活動を調べると、集中力は開始15~20秒ほどがピーク、7分もすればダレてきます。そして10~15分ぐらいで切れてしまいます。10~15分で休憩をしたほうが線条体の活動は維持されやすいのです。休憩時には深呼吸を。副交感神経が優位になり、集中しやすくなります。トイレに立つなど体を少し動かすと線条体が発火しやすくなります。また、脳のクールダウンも有効。冷たい水を飲む、首を冷やす、などにより脳の働きがクリアになります。
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■霊芝で脳機能を高める
インドのパンジャーブ大学の研究(2017年)で、「霊芝エキス」はアセチルコリンエステラーゼの活性化を低下させ、脳の酸化ストレスを軽減することによって、認知症や記憶力の対価を防げ、脳神経を護る効果があることがわかりました。
※過激なアセチルコリンエステラーゼ(高濃度化や異常な活性化)と酸化ストレスは、アルツハイマー病などの認知症を引き起こす主な原因になると認められています。
また、国内の某化粧品メーカーは、「霊芝エキス」が血液脳関門の働きを高め、脳の機能(記憶・思考・理解など)を高める効果が期待できることを発表しています(2019年)。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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