高身長は“がん”のリスクが高い
中国・復旦大学付属上海市第5人民病院の研究調査によると、身長が高い人は、がんになるリスクが高いといいます(『Cancer Epidemiology誌』2024年10月号に掲載)。中国人の特定集団を一定期間にわたり追跡調査した結果、身長の高い人は、がん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頚がんのリスクが有意に関連していました。さらに、中国、日本、韓国のデータを用いて解析した結果、東アジア人は、高身長が、肺がんおよび胃がんのリスク因子となる可能性があるそうです。研究チームは「身長とがんのリスクとの関連性は多くの研究で示されているが、こうした研究の大半は西洋人を対象としている。本研究では東アジア人におけるこの関連性を評価することを目的とした」としています。
身長と病気との関係については、日本の「国立がん研究センター」も調査結果を発表しています(2018)。調査結果によると、身長が高い成人は男女ともに脳血管疾患で死亡するリスクは低いが、身長の高い男性はがんの死亡リスクが高くなっています。この研究は40~69歳の男女10万7794人を対象とし、長期間(平均約19年)追跡調査したもの。身長は自己申告で、身長別に4群に分け、全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患などを調べています。その結果、男性の低身長(160cm未満)と、高身長(168cm以上)との間には差があり、脳血管疾患の死亡リスクは高身長の方が17%低くなりました。また、呼吸器疾患死亡リスクも16%低かった一方、全がん死亡率は低身長の人に比べて、高身長の方が17%高くなっています。女性の場合は、脳血管疾患死亡リスクで差が出ました。高身長の女性(156cm以上)は、低身長(149cm未満)より脳血管疾患の死亡リスクが16%低くなっています。
すでに欧米などの研究では、高身長ほどがんによる死亡リスクが高く、循環器疾患(心疾患や脳血管疾患)による死亡リスクが低いことが報告されています。
では、なぜ高身長だとがんのリスクが高くなり、循環器疾患のリスクが低くなるのか。
「“高身長の人はがんリスクが高い”というのは欧米では一致した意見になっている。がんリスクが高まるメカニズムは、まだ明らかにされていない。ただ、高身長の人ほど発がんに関連する『インスリン様成長因子(IGF)』のレベルが高いことが関係している可能性は考えられる。IGFレベルが高いと細胞分裂が促され体も大きくなるが、がん細胞も増殖してしまう。もっとも、がんになるのはいくつも要因があり、高身長が及ぼす影響は微々たるものだろう。一方、高身長の人の循環器疾患のリスクが低くなるというのは、高身長の人のリスクが低いのではなく、低身長の人のリスクが高い、ということかも知れない。一般的に低身長の人は、幼少期に低栄養だった可能性があり、血管がもろく、循環器疾患のリスクが高くなるとも考えられる」(医療ガバナンス研究所理事長、内科医・上昌広氏)
身長と病気との関係について研究が進み、予防や治療に役立つことが期待されます。
(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)
■インスリン様成長因子(IGF)とは
「インスリン様成長因子(IGF)」とは、インスリンに非常に似た構造を持つペプタイドホルモン(増殖因子)で、細胞の成長や分化、生存、代謝の調節など様々な役割を担っており、成長ホルモンにより肝臓や他の組織(骨格筋など)で産生されます。
成長ホルモン(GH)の作用の多くはIGF-1を介したものです。ただ、脂肪を積極的に代謝する作用や、抗インスリン作用による耐糖能低下などは、成長ホルモンによる直接の作用であり、IGF-1にはありません。一方、IGF-1はインスリンと類似した作用を持っています。
インスリンは細胞膜にあるインスリン受容体に結合し、IGF-1は1型IGF受容体に結合して、細胞内にシグナルを伝達します。糖尿病の患者ではこの2種類の受容体がハイブリッドを形成して、インスリン抵抗性の一つの原因になりますが、IGF-1はこのハイブリッド受容体とも強く結合し、その作用を発揮できる優れた点を持っています。
以前はIGF-1とインスリンの比較をした文献が多く見られ、それらをたんぱく代謝、糖運搬、グリコーゲンやトリグリセリド合成などの面から比較検討していましたが、近年では、IGF-1の持つ筋合成、筋分化、加齢、筋損傷、筋疾患に対する作用に注目した文献も増えてきました。
IGFの主な役割は次のとおりです。
◆新しい細胞の生成や損傷した細胞の再生を促進する。
◆代謝の調節や老化の抑制を行う。
◆肌のハリや潤いを保つために必要なヒアルロン酸の生成に関わる。
◆皮膚の構造と機能の維持に重要な役割を担う。
◆生活習慣病の予防や認知機能の改善、抗うつ効果、育毛効果などがある。
IGFは成長ホルモン(GH)によって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。GHの作用の多くはIGF-1を介して行われます。
インスリンとIGFは似た構造ですが、それぞれ異なる受容体に結合しています。インスリンは血糖値を下げる作用を持つたんぱく質です。
インスリン様成長因子(IGF)とインスリンは、構造が似ていますが、作用や分泌のタイミング、結合する受容体などが異なります(右表)。IGFは、成長ホルモンによって肝臓や骨格筋などの組織で産生されます。また、インスリンは糖や脂質などの物質代謝を調節する役割を担っています。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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