また、同じ事をくりかえす厚労省!
厚生労働省は、過去に科学的な根拠の薄い制度の導入した事があります。。ご存知、特定健診・保健指導制度(メタボ検診)です。肥満対策に特化して、心筋梗塞など心血管疾患の予防を目指すものでした。しかし、日本人の肥満者の割合は海外より極めて低く、心血管疾患の発症にも肥満の有無は関係ないことがわかっていました。導入前から「肥満に特化した健診は、本来指導が必要な人を見落とす」と、反対する専門家は多かったのです。しかし、健診見直しは、当時の自民党政権が実現を目指していた医療制度改革の一環でした。厚労省は、批判を振り切って法案化し、自民党と一体となって成立にまい進したのでした(毎日新聞H24.5.3より)。結果として健診受診率は低迷し、必要な指導ができない現場に混乱が広がりました。結局、厚労省は、肥満以外の人への対策に乗り出さざるを得なくなり、来年度から新たに実施することになったのです。
また、科学的根拠なき対策といえば、原発の安全性に対する問題もありました(右図:2012年3月18日ダイヤモンド社より発売)。
そして、その厚労省が、また同じ事をくりかえそうとしています。自殺・うつ病という現代社会のリスク軽減を図ろうと、同省はメンタルヘルス(心の健康)検査の義務付けに向け準備を進めているのです。
検査の結果は本人の同意なしに,、事業者にも知らせず、必要があれば医師による面接を実施するそうです。同省は「ストレスが高い人の早期発見につながる」と説明しています。しかし、専門家からは「効果が確立されていない」と懸念の声が上がっています。川上憲人・東京大教授(精神保健学)は、「ストレスが高い人が、必ずしもうつ病のリスクが高いとは限らない。民間で使われる検査票で『うつ状態』と判断されても、実際にうつ病と診断されるのは5~20%程度」と指摘。今回実施予定の9項目の検査票で、うつ病や自殺の予防につながったことを示す研究もないとのことです。
また、同省の試算では、面接を含めた1人当たりの検査費用は350円。対象は約3000万人で、導入されれば事業者は計105億円の負担となるようです。「効果が実証されていない仕組みに費用を投じれば無駄になる」(川上教授)。 そして、中村純・産業医科大教授(精神医学)は、「検査の結果、機械的に精神科への受診が勧められれば医療機関に混乱が広がる」と懸念しています。
精神疾患全般への理解が進まない中でこの制度が導入されれば、労働者が職場で排除的に扱われる恐れもあるとして、「モデル事業でエビデンスを検証してからでも義務化は遅くない」(中村教授)と慎重な対応を主張しています。
■ 厚労省が推進するメンタルヘルス検査
厚生労働省は、自殺・うつ病対策の一環として、具体的な検査法を示した制度の導入を計画しています。現代社会のリスク軽減を図る目的としてはいますが、なんともおそまつな科学的な根拠の薄いメンタルヘルス(心の健康)検査が職場で義務化されようとしているのです。厚労省が標準例と示すメンタルヘルス検査の9項目
こころの健康という微妙な問題に、全労働者へ拒否できない法律という形で義務を課すこと自体が不適切です。しかも、今回示されている右図のようなストレスチェック手法は、各項目の表現があまりにも曖昧で(「へとへと」=「ひどく疲れる」と同義語:広辞苑)、科学的にも十分に確立された方法とは言えません。高ストレス者を「高ストレスでない」と判定する見落としや、「高ストレスでない」者を高ストレス者と判定(偽陽性)してしまう無駄が多く生じる事は容易に予想されます。問題点が山積なメンタルヘルス検査
メンタルヘルス検査を、定期健康診断とは別に実施して、精神面の健康と身体面の健康を別々に取り扱うことは、医学的に不合理で、実務上極めて困難との見方もあります。ストレスチェックを実施する際の検診機関等の問題点として、①全事業所においてストレスチェックを一律にしかも適切に行うには、膨大な労力が必要になること、②精神的健康状態の検査を適切に行うに当たって、必要な医師または保健師の確保ができないこと、③費用対効果の試算ができていないこと、④現在、精神科医療機関へ受診する患者数が急増している‥‥などが挙げられています。
この制度の導入によって、偽陽性者を含む多くの労働者が精神科診療機関へ押し寄せた場合、現状の医療体制では対応困難となるばかりか、本来早期の治療を必要とする人の受療が遅れるという悲惨な状況が懸念されています。この制度には日本産業衛生学会の他にも多くの学会が反対しています。
(※日本産業衛生学会資料より抜粋)
参考:日本産業衛生学会:https://www.sanei.or.jp/images/contents/213/Mesures_for_metnal_health(revised).pdf
いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ
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