毎日「魚油」を取ると骨折のリスクが低下する!?
高齢者(特に男性)では、「多価不飽和脂肪酸」の血液の中の値が高いと骨粗しょう症による骨折リスクが低くなることが分かりました。男性では人生後期、女性では人生中期に毎日魚油を摂るとやはりリスク低下に影響するということです。これは、米国立老化研究所(NIA)を含む研究グループが、米国栄養学会が発行する臨床栄養学分野の専門誌のオンライン版で2015年3月18日に報告したものです。
必須脂肪酸の一つである多価不飽和脂肪酸は骨折に影響すると言われていますが、これまでの研究は主として食事からどれくらい摂ったかの推定に限られていました。今回は血液検査の数字も含めて検討されています。
研究グループは、アイスランドの地域住民を対象に行われている大規模研究の参加者を含む1500人近く(66~96歳、新規骨折540人)を5~9年追跡した医療データを分析。人生後期の脂肪酸測定値、人生初期/中期/後期の魚油(オメガ3脂肪酸を多く含む)を摂っていた量と、骨粗しょう症による骨折のリスクとの関連性を調べたのです。脂肪酸測定値は高/中/低の3区分、魚油摂取量はアンケートにより3区分(摂ったことがない/毎日より少ない/毎日)に分けました。
その結果、男性では、多価不飽和脂肪酸、オメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)の測定値が最も高いグループは、いずれも骨折リスクの約40%低下が見られました。
女性では、多価不飽和脂肪酸の測定値が増えるほど骨折リスクが低下する傾向は見られましたが、中と低のグループにリスクとの関連は見られませんでした。
オメガ6脂肪酸(アレルギーや炎症を促進する)とアラキドン酸(過剰に摂るとガンにつながると言われているオメガ6脂肪酸の一つ)の測定値が「中」のグループは、骨折リスクの約40%増加に関連していました。男性では、人生後期で毎日魚油を摂ると骨折リスクが約35%低下、女性では人生中期で毎日魚油を摂ると骨折リスクが25%低下しました。
多価不飽和脂肪酸値が高いと、高齢者、特に男性で、骨粗しょう症による骨折リスクの低下に影響する可能性があります。また、オメガ3脂肪酸をいつ摂ると効果的なのかは性別によって異なっています。年齢を重ねるにつれ、魚を意識的に食べることが一つの健康の要因であることは間違いないようです。
■オメガ3系脂肪酸で骨粗しょう症予防を
人の骨は生涯を通して古い骨を壊して吸収し(骨吸収)、その場所に新しい骨を作る(骨形成)ことにより、血清中のカルシウムの値を調節すると共に骨の強度も保っています。これを骨代謝と呼びます。「骨には牛乳が良い」という間違い
以前は、「骨を強くするために牛乳を飲む」などという情報が広まったことがありますが、現在は、牛乳にはリンがたくさん含まれるため、骨のカルシウムは溶け出しむしろ骨が弱くなるということを多くの人が理解しています。牛乳に含まれるリンとタンパク質は血液を酸性に傾け、カルシウムを失わせる方向に体を進めます。骨量測定機器で調べると、牛乳をたくさん飲む人ほど骨量が少ないことが各国の多数の研究で証明されています。
特に日本人は乳糖不耐症が多く、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解できないといわれ、この場合、骨を弱くするだけでなく、牛乳に入っている栄養素を利用することも難しくなります。
牛乳が好きな人は、コーヒーなどと同様にあくまでも嗜好品として楽しむことです。
α-リノレン酸の高い効果
オメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸(ALA)が、骨の健康状態を改善することは、すでに2007年に立証されています(ペンシルベニア州立大学)。クルミと亜麻仁油を加えたα-リノレン酸の高い食事と、リノール酸の高い食事の2種を平均的な米国人の食事(AAD)と比較した結果、骨吸収を表す数値が平均的な米国人の食事に較べて、クルミを加えたα-リノレン酸食において最も低下した、というものでした。この研究は、人において骨の健康状態に対する植物性オメガ3脂肪酸(ALA)供給源の効果を評価した最初の研究です。この研究結果からα-リノレン酸の摂取量が増えれば骨の代謝が抑制され、骨の「分解と形成」の2つのバランスが「形成」の方に傾くということが示唆されたのです。
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高齢化社会の今、骨粗しょう症や骨折は治療の長期化により寝たきりのリスクも高くなります。普段から食生活などに気をつけ、骨を丈夫に保つことを考えていくことが大切です。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン
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