2019年1月23日水曜日

トランス脂肪酸

超悪玉脂肪酸、動脈硬化学会が警鐘

農林水産省がトランス脂肪酸(TFA)に関する情報を掲載してから早10年。残念なことに、TFAに対する日本の姿勢には進展がありません。昨年10月の動脈硬化学会主催のプレスセミナーで、学会の研究者らはTFA摂取によるリスクに警鐘を鳴らしました。

同量摂取で比較した場合、TFAは飽和脂肪酸と比べ動脈硬化の発症を10倍も増やし、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の悪化などを引き起こします。そのため、TFAは“超悪玉脂肪酸”とも呼ばれています。にもかかわらず、TFAが未だに食品に使用されています。研究者らは、現時点では日本人において直接その有害性を証明した根拠が少ないためとコメント。さらに、TFAは食品などに直接注入される添加物ではありません。シス型で天然の液体植物油であるオレイン酸やリノール酸が食品工場での加工過程において、トランス型で固形油のエライジン酸やリノエライジン酸に変換・生成されるのです(※家庭での一般の調理過程ではこれらのTFAはほとんど生じません)。

 研究者らは、ガスクロマトグラフィー質量分析計でTFAの血中濃度を直接測定することに成功し、海外の疫学研究と似た結果を得ました。この研究でTFA血中濃度とBMIや年齢の関係を見ると、高齢者(75歳以上)ではメタボ有無による差はないものの、若年層(60歳未満)のメタボ群では有意にTFA血中濃度が高値を示しました。また、冠動脈疾患を有する患者でも同様の傾向を得ています。「今回の約1,000例を対象とした試験の結果は、海外で証明されたTFAの有害性と酷似している。つまり、海外で証明された知見は日本人においても当てはまると考えることが妥当。TFAがリスクだと認識するべきだ」(研究者)。

 欧米各国では、TFAの摂取削減や表示義務が課されており、実際、アメリカでは加工食品にはtotal fatに加えてtrans fatが記載されています。日本ではこのような表示義務がないため、各企業の努力に頼らざるを得ないのが現状です。

 そんな中、世界保健機関(WHO)は『Make the world trans fat free by 2023』という目標を掲げ、TFAによる冠動脈疾患の削減に取り組む具体策を講じています。研究者は、「一般消費者だけでなく、各企業がTFAについての理解があるかどうかも問題」と、啓蒙活動の重要性を語りました。また、日本の各省庁の対応を指摘。農林水産省の、“TFAだけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮”というTFA摂取による健康被害に根拠がないとも読み取れるホームページ上の説明文に悲憤しています。

 アメリカでは表示が義務化されたことでTFAの摂取が78%も減少したそうです。日本では、いくら“TFAをとらないで!”と言っても、何にどれくらい含まれているのかがわからないため、避けることができません。研究者らは、各省庁への働きかけを続けていくと明言し、摂取規制実現へ向き合っていく姿勢を示しました。
(出典:http://www.carenet.com/) 

■不自然な油"トランス脂肪酸"

トランス脂肪酸(TFA)は、菜種油やコーン油などの植物油に、化学的に水素を添加されて作られます。多価不飽和脂肪酸を多く含む植物油は劣化しやすい、そこで考えられたのが水素添加でした。不飽和脂肪酸である植物油を、酸化しにくい、見せかけの飽和脂肪酸に変えることができるのです。植物油が原料でありながら、常温で固まっている「硬化油」です。マーガリンは、硬化油を使って作られるTFAを多く含む油脂の代表格です。輸送に便利でバターに比べコストが安いため、様々な食品や業務用油脂として利用されています。

 TFAは、コレステロール疾患、心臓血管の病気、糖尿病、がん、リウマチ性関節炎、カンジタ症、アレルギー、うつ、慢性疲労などに関与するとされています。TFAは身体にとって異物であり、細胞を損傷させる能力を持つ危険な物質なのです。砂糖や人工甘味料と同様に、そのダメージは蓄積していくことになり、相乗的な悪い効果が推測されます。
 TFAは原材料に「加工油脂」とある商品はすべてに、「植物油脂」なとある商品はその多くに使われています。
(サラダ油、ドレッシングオイル、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、ホイップクリーム、クリーミーパウダー、ラクトアイス、コーン硬化油、パン、スナック菓子類、ファストフード等々)

 中国や韓国でもちゃんと表示義務がありますし、中国でのTFAの漢字表記は「反式脂肪」で、いかにも体に悪そうです。韓国の大企業でも自国内で販売するものは、TFAを不使用としたり制限したりしているようです。

 TFAは、動物の肉や乳にも5%程度含まれていますが、こうした天然のTFAは、人工的に作られる脂肪酸とは構造が違います。ここで問題にしたいのは、人工的に作り出された不自然なTFAなのです。

 できる限り「いい脂質」をとらなくてはなりません。裏を返せば、不自然な脂肪酸であるTFAは「悪い脂質」であり、悪い細胞、悪いホルモン、ひいては悪い体をつくる元凶となるのです。不自然であるために代謝酵素を無駄遣いして代謝に時間がかかり、あるいは代謝されることもなく、いたずらに脂肪を溜め込むことにつながります。
 良い油を摂るようにしましょう。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

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