愛情ホルモン「オキシトシン」の分子作用メカニズムを解明!
金沢大学、公立小松大学、東北大学、米・ハーバード大学、露・クラスノヤルスク医科大学などの国際共同研究グループは、社会性行動に重要な愛情ホルモンであるオキシトシンの脳内移行および中枢神経での作用発揮の分子メカニズムを発見しました。オキシトシンは、人が他人のこころを推し量り、交流していく際に必要なペプチドホルモンとされ、それを司る社会脳の発達に欠かせないものと考えられています。脳内で合成されたオキシトシンは脳内に分泌されたり、血液中へ放出されることは分かっていましたが、血液中のオキシトシンが中枢神経で作用を発揮する際に必須となる末梢循環から脳内移行のための血液脳関門の通過の分子メカニズムは明らかにされていませんでした。
本国際共同研究グループは、哺乳類にしか存在せず、炎症や老化などの進展に関わるパターン認識受容体のひとつであるRAGEに着目し、マウスを用いた実験を行いました。その結果、脳血管内皮細胞におけるRAGEの存在とオキシトシンの脳内移行には相関があることを見いだし、オキシトシンはRAGEに結合して血液脳関門を通過することを明らかにしました。RAGEを欠くRAGEノックアウトマウスの母親の子育ては下手で、仔の生存率は低い状態でしたが、脳血管内皮細胞へのRAGE発現を遺伝子操作で回復することで、仔の養育行動が戻り生存率が高まることが確認され、RAGEは養育行動を引き起こすための重要な役割を担っていることが明らかになりました。
本研究成果は、"親子の絆"や"愛情"行動の分子機序の理解につながり、育児放棄や虐待など、今日の深刻化する社会問題の解決の一助になる可能性を秘めています。
本研究成果は、2019年2月25日(英国時間)に英国科学誌Nature Research出版誌「Communications Biology」のオンライン版に掲載されました。
(出典:https://www.kanazawa-u.ac.jp/)
■セロトニンとオキシトシン
近年、医療や健康美容の分野で「セロトニン」の重要性が叫ばれるようになってきました。セロトニンが正常に分泌されなくなると、やる気や意欲、充足感などを十分に脳が信号として受け取れなくなるため、元気がなくなり、最悪の場合うつ病などを発症してしまいます。脳内の神経伝達物質は何百種類もあるうえ、それらが相互に干渉しあって脳に信号を与えるとても複雑なシステムです。特にセロトニンは、他の神経系の過剰な働きを抑止する作用により、異常な興奮や衝動・不安感を軽減する重要なホルモンの一つです。
セロトニン神経を活性化させる第4の因子
脳内セロトニンの産生および活性を促すには、歩行・呼吸・咀嚼など、日常生活レベルの「リズム運動」や、「太陽の光」を浴びることなどは良く知られています。また、リラックスハーブ「ラフマ」のエキスがセロトニン活性を促進することも広く認知されてきました。そして最近、セロトニン活性の第4の因子として注目されているのが、人と人とのスキンシップ・グルーミング等により分泌される物質「オキシトシン」の作用です。
グルーミングとは、元来ペットをなでたりサルの毛繕いをしたりなどの行為を指します。人間のスキンシップ行動は、それにより男女差なくオキシトシンが分泌されることが、最近の研究で解明されています。
オキシトシンにはストレス中枢を抑える働きがあります。つまり、体が何らかのストレス反応を起こしているときに、オキシトシンが脳からストレスを消してくれるのです。
オキシトシンがセロトニンに作用する
オキシトシンの分泌が増えると、脳内セロトニンの産生も活性します。その理由は、セロトニン神経がオキシトシンの受容体を持っているためで、オキシトシンはセロトニン活性も誘発するのです。疲労時のマッサージやエステは、オキシトシン分泌方法の一つですが、心の交流でもオキシトシンは増えます。具体的には、気の置けない人とのおしゃべりです。これは話の内容によって分泌の量が左右されるというよりも、誰かと会って「おしゃべりをして、心と心を通わせた」という事実と行動が重要だと考えられています。また、家族の場合は一家での団らんも非常に効果的です。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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